少し前の話になりますが、ブラームスのピアノ・コンチェルト第1番のCDを約10枚、一度に聴いてみたことがあります。外に音が漏れていたら「ここんちの人はこの曲が相当好きなんだろうか?」と思われたに違いありません。勿論好きな曲でしたからそのように思われても全く差し支えないのですが、2日間位で全部聴き翌日からは聴かなくなったので、本当に音が漏れていたら「ここんちの人は飽きっぽい人だなぁ」と思われたに違いありません。
何故このようなことを思い付いたのかその時の気持ちを憶えていないのですが、恐らく無性にブラームスのこの第1番を聴きたくなったのでしょう。スコア片手に聴くのは結構面白かったです。
その中で気に入った演奏が幾つかありました。
ヴィルヘルム・バックハウスがカール・ベーム&ヴィーン・フィルと組んだ演奏は気分爽快になる演奏とでも言ったらいいのでしょうか?この曲で気分爽快になるのもどうかとは思ってはみたものの、やはり聴いていて気分のいい演奏でした。テンポが速めということもあるとは思うのですが、「軽い」演奏という印象ではありませんでした。
エミール・ギレリスがオイゲン・ヨッフム&ベルリン・フィルと組んだ演奏もバックハウスの演奏と共にとても気に入った演奏でした。こちらは懐の深さとでも表現したらいいのでしょうか?そのような「大人の男」を感じさせる演奏という印象を持ちました。落ち着いたテンポだと感じるのですが、どこか引き締まっているのでしょう。長い曲でありながらその長さを感じませんでしたので。
グレン・グールドがバーンスタイン&ニューヨーク・フィルと組んだ演奏も印象的です。この演奏はライヴなのですが演奏前に指揮者のバーンスタインがなんと聴衆に向かってスピーチをしているのです。その内容もCDに収録されています。テンポを始め色々な点でグールドとバーンスタインの音楽の捉え方があまりにも違う為、何故共演を止めなかったのか等の説明を交え、時間にして3分以上演奏に至った経緯を話しています。バーンスタインは話が好きな人だったのでしょう。
さて演奏はというと、第1楽章冒頭で「テンポ遅いかも」と思ったもののソロが入るとそれほど遅いと感じなくなりました。グールドにはテンポの速さよりも大切にしたいものがあったのでしょう。恐らくこの演奏はバーンスタインがグールドのテンポ&音楽に歩み寄ったものだと思うのですが、私はこれで良かったのでは?と思います。
…このCDには演奏の翌年に行われたグールドへのインタビューも収録されています。
聴き比べてみて私が特に気に入った演奏は以上3種類でした。ピアノ付き交響曲と評されたこともあるこの曲はスケールが大きく、演奏者も独奏者に限らず指揮者・オーケストラにも要求の多い曲であると感じます。他に聴いた盤も独奏者に限らず、名指揮者・名だたるオーケストラの共演によるものばかりでしたから。
※他に何を聴いたのかは書きません。つまらない演奏は(1枚を除いて)なかったことだけ付け加えておきましょう。
つい最近ラザール・ベルマンがエーリッヒ・ラインスドルフ&シカゴ響と組んだ演奏のCDを手に入れました。こちらの演奏も気に入りました。この演奏はテンポを速めに取っていると言われるようですが、私は大して気になりませんでした。こちらも上に挙げた3点に加えてお気に入りの1枚にしようと思います。
1曲を様々な演奏者で聴き比べるのは時に面白いものです。ただ曲を選ばないと時間がかかりまくる予感…。
このように意識的に聴き比べをするということを私はあまりしませんでしたが、折をみてまたやってみたいと思っています。様々な演奏を何度も聴いているうちに自然と聴き比べをしていたという曲は沢山ありましたが。
今以って何故いきなり聴き比べをしたくなったのか、また何故それがブラームスの1番のコンチェルトだったのかは謎のままです。大して前の話ではないので、それを思い出せないということはたぶん気まぐれだったのでしょう。それにしても時間のかかる気まぐれ…。
<また聴き比べる予感…>