ドニゼッティのオペラ「ランメルモールのルチア」は個人的にとても好きなオペラです。聴きどころも多く、数々のアリア、カヴァレッタ等に加え六重唱(スコアでは四重唱になっていますが、実際には六重唱です)や合唱の表現等も充実していると思います。
このオペラのクライマックスと言っても過言では無い「狂乱の場」というシーンがあります。兄エンリーコに「恋人は不実だ」とだまされ政略結婚をさせられてしまうルチア!しかし結婚の契約書にサインをされられてしまったところに現われる恋人エドゥガルド!!流石オペラ!!グッタイミング!!!この辺りからルチアは狂乱モードになりつつあります。
そして無理矢理結婚させられた花婿を新床で刺し殺してしまうルチア!!結婚を喜ぶ人々にそのことが伝えられ、人々が「恐ろしいことが起こった」と合唱しているところにルチアが白い衣装(ネグリジェ?)で登場します。人々が見守る中、ルチアは恋人エドゥガルドとの婚礼を喜ぶ歌を歌うのです。そうです!ルチアは正気ではなくなってしまったのです!!血に染まった(演出によっては染めていません)純白の衣装をまとい、エドゥガルドとの婚礼を想い描きながら微笑むのです。
問題はその後です!!!正気を失ったルチアは狂死するのです。
実際にあり得るのでしょうか?どうやらルチアは霊感は強いらしいが健康な模様…。
私はある時専門医の方にお聞きしたことがあります。
「或るオペラの中でショックで気が狂ってしまうという役柄(ルチアのこと)があるのですが、狂乱死というものはあるのでしょうか?」
さあ何と答えて下さるのでしょうか?期待に胸を膨らませて回答を待って…
「ないです」
待つまでもありませんでした。即答。そしてその後、話は続けられました。
「狂って死ぬとしたら、自殺・衰弱死(ものを食べなくなったりして時間がかかる)辺りが考えられますが、狂っただけでは死にません」
とのことでした。
そういえばバレエ「ジゼル」も狂死シーンがあります。ジゼルの場合は元々心臓が弱い設定ですので、そのことを伝え質問してみると、
「恐らくショック死」
う〜んなるほど。
何となく察しはついていたので特に驚くことはありませんでしたが、身も蓋も無い質問を考えついた自分がちょっと好きだったりしてみました。
…と、ここで話は終わるはずだったのですが、実はルチアという役にはモデルとなったジャネットという女性がいたのだそうです。オペラ「ルチア」と同じスコットランドでの出来事で、話はルチアとほぼ同じと考えていいようです。ただひとつ大きく違うのは、正気を失ったジャネットがその事件から2週間後に亡くなったということです。気がふれたことが引き金になったのでしょうけれど、恐らくジャネットの死は衰弱死なのではないかと思います。
オペラの話のつじつまが合わないことはよくありますので、実はこのことも大して気にはしていなかったのですが、たまたまこのようなことをお聞きできるチャンスが到来したので質問してみました。
人の死をネタにするのはよくありませんね。フィクションの話ということでお許し下さい。
<しかしこの手の話は好きかも>