いろいろはじめました  
◆ フレーニの「ニューヨーク市の鍵」 2004.9.21.


 2003年始め、雑誌「音楽の友」に「レンツォ・アッレグーリの対談シリーズ」(訳・小瀬村幸子氏)という連載でミレッラ・フレーニが3回(3ヶ月)に渡って取り上げられました。1回につき4ページ(見開き2ページ)の文章でしたが、フレーニの半生の要所要所に触れて書かれておりとても興味深く読みました。かなり突っ込んだ質問もしていると思いましたので、フレーニとこのアッレグーリという人の間には強い信頼関係があるのでしょう。どうやら30年以上のお付き合いだそうなので友人のような間柄なのかもしれません。
(よくわかりませんがこの「レンツォ・アッレグーリの対談シリーズ」は恐らく他(外国の雑誌?)に連載されたものを「音楽の友」が転載したものと思われます)

 さて何故今更このような以前の記事について触れるかといいますと、先日手に入れた「ジョルダーノ:フェドーラ」のDVDを観ていたらこの文章に書いてあった或る出来事が映像に残っていたのを目撃したからです。


 文中でこれまでに受けた賞などについて筆者が尋ねているところがありました。フレーニは賞の類いにはあまり興味がないらしいのですが、ある時ニューヨークから「市の鍵」(一種の勲章のようなものらしい)というものを授与されたそうで、「鍵が頂けるのは嬉しい」と授与式に出向いたところ、贈られたものは羊皮紙の証書…。

そこでフレーニは孫に自慢する為に証書ではなく鍵が欲しいと告げたらしく、本来は証書のみの授与らしいのですがニューヨーク市長・ジュリアー二は「鍵」を作らせ後日フレーニに授与したとのことでした。因みに今頃フレーニは曾おばあさんになっているはず。曾孫にもいずれ「鍵自慢」をするのかもしれません。


 その鍵の授与の場所がメトロポリタン・オペラでの「フェドーラ」のカーテンコール時となったと文に書いてあったのですが、今回手に入れたDVDのボーナス映像に「鍵」の授与式の模様が収められていたのです。

第2幕の後のカーテンコールの拍手がひと段落した辺りでやおらMET総裁のジョゼフ・ヴォルピーが現れ式の進行をし、フレーニとジュリアー二をその場(オペラカーテンの前)に呼び寄せ、めでたく「ニューヨークの鍵」がフレーニへ贈られました。

フレーニは第2幕の衣装のまま(ロシアの皇女の役なのでゴージャスなドレス&王冠付き)。立派な鍵ではあるのですが「皇女が鍵を持っている図」は何だか可笑しかったです。そんなこと言っちゃぁ身も蓋もありませんが。恐らくこの授与式、第3幕の後だと終演後のカーテンコールを遮る形での授与式となってしまうからでしょう、そのひとつ前のカーテンコールが選ばれたと推測します。第3幕でフレーニ扮するフェドーラは自殺するまでに追い詰められてしまうというのに…その前に鍵の授与。


 この公演(1996年らしい)は相手役のロリスがプラシド・ドミンゴで素晴らしいものでした。それに加えオペラのライヴ映像ディレクターとして定評のあるブライアン・ラージの製作ですので(だからというわけではありませんし好みはあると思いますが)素晴らしい仕上がりでとても気に入りました。
やはり第3幕の後のカーテンコールは凄まじく、花束が投げ込まれるのみならず紙吹雪(花びらかも?)も激しく舞っていました。ここでオペラとは関係のない授与式なんぞおっ始めたら白けてしまったかもしれませんし(もしかしたら盛り上がったかもしれませんが)、他の出演者の立場も微妙な感じになりそうです。

 そういえば第1幕にフレーニが登場するや否やいきなり拍手が起こりました(ひと声も出していないのに)。約20秒間音楽も演技も止まりました…METのお客熱狂し過ぎ。登場時のそのようなひとこまはバレエではよく観ますし、オペラでも観たことがあった気はしますが音楽が止まるほど大騒ぎしてるのは初めて観ました(あくまで「登場時」です)。


 ところで、この映像は輸入盤です。字幕を付けることは可能なのですが、イタリア語(オリジナルの詞)、英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、中国語…。残念ながら日本語はありません(REGION 0・NTSC)。「今のところ」国内盤が出る予定はないとのことでしたが…そのうち出たりして。


  <早まったかも?でもいいや>