このページは、2010年に行った、チェコの旅行記です。短い旅行期間ですが、プラハやチェスキー・クルムロフはもちろん、テルチ、スラフコフ・ウ・ブルナ、ミクロフなどの小さな町も訪れています。といっても、写真などはフォートラベルの私のページに掲載していますので、このページでは、裏話的なものを中心に紹介しています。2つのページを併せてご覧頂ければ幸いです。
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〜1日目〜 2010.8.21
今回の目的地はチェコ、今まで行ったことのなかった東欧、いわゆる旧共産圏の国の中で、比較的気軽に行けそうな感じの国を選びました。去年は仕事が忙しくてどこにも旅行に行けなかったので、2年ぶりの海外旅行のチャンスです。といっても、続けて休みを取れるのは5日間が限度です。なので、到着日と出発日も目一杯使えるように、なるべく早く到着して遅く出発する航空便を探した結果、関空深夜発ドバイ経由のエミレーツ航空を利用することにしました。全日空のマイレージが貯められないのは痛いですが、料金は諸経費込みで15万円と、かなり格安でした。また、ホテルは全日空のサイトから予約しましたが、今まで行った国のホテルよりかなり安く、今回の旅行費用は前回のイタリアの3分の2もかからない程度になりそうです。
さて、出発当日、仕事から帰り、家でシャワーを浴びて軽く食事をとってから空港へと向かいます。何だかいつもの旅行と随分勝手が違います。飛行機は午後11時15分発です。厳密には旅行開始は8月20日の夜から、ということになりますが、ややこしいのでこの旅行記では21日を1日目ということにしています。
エミレーツ航空は定時出発にかなり力を入れているらしく、出発時刻の30分ぐらい前から搭乗を開始し、15分前には締め切ってしまいます。初めて乗るエミレーツですが、機内は、まあ当たり前ですが、他の航空会社とそれほど変わりはありません。各座席のモニターは大きめな感じがします。エミレーツといえば、色々なエアラインランキングで上位にランクされているので、ちょっと期待していたんですが、機内サービスは特に優れているという感じはしませんでした。乗務員の出身国が様々であるせいもあるのか、やや乗務員同士の意思疎通に苦労しているようにも見え、手際の良さという点ではヨーロッパ系の航空会社のほうが上のようにも思えました。・・・まあ、事前の期待が高すぎたせいで、少し物足りなく思ってしまったのかもしれませんが、普通に利用する分には全く何の問題もありませんでした。
いつもの旅と違う時間帯のフライトで、しかも最終目的地と時差のある経由地を経るので、時差ボケ対策には気を遣います。とりあえず、フライトの前半はエミレーツ自慢の各座席別モニターで映画など見ながら眠らないように我慢し、後半に睡眠を集中させるようにして、経由地ドバイへの到着を待ちます。
ドバイへは約10時間半、現地時間午前4時45分頃に到着です。ヨーロッパ直行便のフライト時間より僅かに短い程度ですが、心なしか疲れは少ない気がします。ドバイで乗継時間が6時間あり、一度入国してみるかどうか、その時の気分次第で、と考えていたので、入国してみることにします。入国審査官は全身白で頭に布を纏った典型的なアラブの服装をしていて、ちょっと緊張しましたが、特に何も言われず通過できました。ドバイ空港は24時間賑やかな空港と言われていますが、それはトランジットエリアの中の話で、入国してしまうと玄関ロビーなどは閑散としています。とりあえず、今年開通したばかりのメトロが6時頃始発なので、それに乗って町へ出る予定なのですが、それより早く町へ出られるバスがないかどうか、バス停へ行ってみることにします。ですが、バス停がどこにあるのかすら分からず、あまり人のいない所でウロウロするのも怖いので、結局引き返してメトロの始発を待つことにします。始発時間の少し前にメトロの駅へ行きましたが、日本で両替して持ってきたお札を自動券売機が全然受け付けてくれず、仕方なく空港内に戻って売店で安い菓子を買って小銭を作ったりしているうちに始発は出発してしまい、一本遅れで町へと向かいます。
メトロは初めは高架上を走り、やがて地下に潜ります。まずは、ドバイクリークの辺りに行けばアラブっぽい風景が見られるんじゃないかと思い、クリークに近いユニオン駅で降りようとします。が、なぜか自動改札機を通れません。駅員さんにそのことを伝えると、どうやら乗車区間を間違えていて、料金が足りなかったようです。駅員さんの指示通り追加料金を支払って、何とか外に出ることができました。駅員さんが親切に対応してくれて助かりました。地上に出ると、色々なビルが雑然と立ち並ぶ、普通の市街地の風景で、あまりアラブに来たという実感は湧きません。早朝なので人通りも少ないです。ただ、早朝なのに真っ昼間のような暑さと強い日差しだけが、中東の厳しい自然を感じさせます。メトロの駅から約10分歩くと、クリークの岸辺が見えてきます。岸辺には、水面が見える場所を探すのに苦労するぐらい、食料品などの船荷が大量に山積みされています。行き交う船は小さな木造船が多いです。市街地のビル群とは違った、生活感溢れる町の原風景を、ここでは見ることができました。「アブラ」という渡し舟にも乗ってみたかったんですが、乗り場はだいぶ遠く、行っている時間は無いので、諦めて駅に引き返します。駅で、さっき駅員さんに説明されたとおりに運賃をチャージし(メトロの切符はカード型で、2回目以降の乗車はそのカードにお金をチャージする方式です)、ここだけは行っておきたいと思っていた世界一の高層ビル「バージュ・ハリファ」を見に行きます。
メトロは地下から再び高架へと上がり、バージュ・ハリファ駅に到着します。メトロの車窓から姿を見ることはできなかったのですが、駅から出るとすぐに、その巨大な姿が目に飛び込んできました。まだ距離はだいぶありそうですが、それでもその圧倒的な高さは十分に伝わってきます。まるでその部分だけSFの世界が混じり込んでしまったような、異様な光景です。しばらくの間、茫然と眺め続けてしまいました。近くまで行ってみたい気持ちもありましたが、タイムリミットが迫っています。そのまま駅に戻り、空港を目指します。空港に着いた時には、ちょうど午前8時になったところでした。
いろいろとトラブル続きでしたが、初めて中東の国に足を踏み入れ、空港でダラダラしているよりはずっと刺激的で有意義な体験ができたと思います。さすがに少々疲れたので、本番のチェコ旅行に向けて元気を回復しておかなければなりません。「元気」といえばやっぱりこの飲み物でしょう。空港内の売店ではなぜかどこの店でも見かけ、メトロの駅などでも広告看板をよく目にしました。
さて、前置き(?)が長くなりましたが、ここからがチェコ旅行の本番です。午前10時半(チェコ時間8時半)発の飛行機でプラハへと向かいます。飛行機の中では時差調整の続きです。12時前まで寝た後は、絶対寝ないように我慢しながら到着を待ちます。
到着予定時刻は午後2時50分でしたが、予定より15分ぐらい早く到着したので、3時5分発の空港バスに乗れそうです。スタンプを押してもらうだけの入国審査を終え、荷物を引き取って、急ぎ足でバス停に向かい、何とか間に合いました。バスに揺られること約40分、プラハ本駅に到着します。駅の前は広い自動車道路になっていて、どうやって向こう側に渡るんだ?と一瞬思いますが、よく考えるとここは駅の2階部分、一旦駅の中に入って階段を降り、1階の出口から外に出ると、そこは小さな公園のようになっていて、遊歩道が左右に伸びています。滞在するホテル「エスプラナーデ」は駅のすぐ近くなので、適当に歩けば着くだろうと思って歩き出したところ、道を一筋間違え、1ブロックを1周する羽目になりましたが、それでもすぐに到着しました。ホテルの部屋は広くて清潔で、快適に滞在できそうです。浴室もバスタブ付きで広く、普段はこんな事はしないんですが、思わず到着してすぐにシャワーを浴びてしまいました。
このままいつまでもホテルでまったりしていたのでは、せっかくエミレーツ航空を選んで早い時間にプラハ入りした意味がありませんので、町へと出てみます。プラハ城は最終日に取っておくとして、初日は「王の道」に沿ってカレル橋あたりまで行ってみることにします。しばらく歩くと「王の道」の入口、火薬塔が見えてきて、気分が盛り上がってきます。隣の市民会館も派手な建物で目を引きます。そこから人通りの多いツェレトゥナー通りを進んでいくと、やがて視界が開け、旧市街広場へと到着します。
旧市街広場はとにかく華やかで、賑やかです。広場の周囲は豪華で美しい建物に取り囲まれています。広場の中にはビールや土産物などを売る屋台がたくさん出ていて、多くの人々が行き交っています。ストリートパフォーマンスの音楽演奏も聞こえてきます。広場を満たしている活気が自分にも伝わってきて、ただそこにいるだけでテンションが上がってくる感じです。
ずっとこの広場で過ごしていたいという気分にもなりましたが、とりあえず予定通りに一通り回ってしまおう、ということで、カレル橋の方へ向かいます。広場からカレル橋までは一本道ではないので、道を探してあちこちウロウロと歩き回りながら、何とか橋のたもとにたどり着きました。また一段と人の数が多くなってきます。橋を渡り始めると、橋の上では多くの似顔絵描きが客を待っています。人波をかき分けて欄干のところまで出てみると、ヴルタヴァ川は橋の上とは対照的に、涼しげに悠然と流れています。遠くにはプラハ城が見え、改めてプラハに来たという実感が湧いてきます。
橋を一往復して、旧市街側のたもとの塔に上って町の風景を眺めた後、広場に戻り、やっぱりチェコといえばビール、ということで、屋台でビールとホットドッグを買って、しばらく一休みです。ほんの数百円で手に入れられる、自分にとってはとても贅沢な時間です。
さて、この日にはもう一つ、予定を入れていました。ホテルが国立オペラ劇場の目の前にあるので、折角の機会だからオペラを観に行ってみよう、ということで、事前にネットでチケットを予約購入していました。一旦ホテルに戻り、一応それなりに服装を整え、劇場に向かいます。まあ、どんなに服装を整えたところで、貴重品を入れたウェストポーチを抱えている時点で明らかにヘンなんですが・・・。座席は、折角なのでオペラ劇場らしい席を、ということで、ボックス席を予約していました。ボックス席の入口付近はホテルの廊下のようにドアが並んでいて、近くの係員にチケットを見せると、鍵を開けて中に入れてくれました。劇場の中は、照明や壁の装飾など、どこを見ても芸術的で美しく、この劇場自体を見られただけでも価値があったと思います。ボックス席は、1つのボックスに3席×2列の6席がありますが、後列からは舞台はほとんど見えないので、実質3席という感じです。奥行きは広いですが、横幅はきっちり椅子3つ分しかなく、単にオペラ鑑賞を楽しむだけならば、普通の座席の方が見やすいように思います。
やがて客席の照明が落とされ、公演が始まります。演目はヴェルディの「ナブッコ」です。オーケストラによる序曲の演奏に続いて、合唱、独唱と続きます。実は私はオペラを観るのは初めてだったんですが、歌手の皆さんの、舞台上から耳元にまでダイレクトにぶっ飛んでくるような圧倒的な声量には驚かされ、その情感のこもった歌に心を動かされます。・・・ただ、やっぱり、全くの初心者である私にとって、ただでさえ長時間のフライトを経た後の到着初日で疲れと睡眠不足がピークに来ている状態で、ただじっと座って音楽を聴いているという状況になれば、眠くならないはずがありません。ウトウトしながら、何とか完全に寝てしまわないようにこらえます。目を開けていられなくなると、いわゆる「考える人」ポーズで、心底から音楽に聞き入っているかのようなフリをしてごまかしたりしていました。公演は途中で1回の休憩をはさみ、その間ににロビーや劇場内の休憩所などを歩いてみます。他の観客も同様に出てきています。ちなみに観客の服装ですが、ガチガチの正装という人も多いですが、逆に普通に町なかで見かけるような格好の人もいて、かなり差があります。多分、よっぽどの服装でない限り、入場を断られるようなことはないんだろうと思いますが、服装選びの基準は結局、他の観客とすれ違う時などに気後れせずにすむかどうか、という、自分自身の気持ちの問題になってくるのかもしれません。さて、休憩所ではワインなども販売していますが、そんなものを飲んだら爆睡してしまいそうなので、ミネラルウォーターを買って飲み、目を覚まします。やがて公演が再開され、後半はこの気分転換の効果もあってか何とかもちこたえ、そんなこんなで、物語は王女アビゲイルが感動的な絶唱を終えると同時に息絶え、幕となります。大きな拍手が鳴り続け、カーテンコールが続きます・・・。
こうしてチェコでの1日目が終わります。本当は、オペラの後で食事に行くつもりで、遅くまで開いているレストランを事前に調べたりしていたんですが、ビールでそれなりにお腹も膨れていましたし、何より眠気が勝ってしまいました。1日目を振り返ってみると、オペラは体調万全の状態であればもっと堪能できたのかもしれませんが、それでも観に行って良かったと思える、貴重な体験ができました。町の散策も、短時間でしたが、旧市街広場などでとても楽しい時間を過ごせました。考えてみればドバイの町を歩いたのもこの1日目だったので、まさに盛りだくさんの1日でした。これらの経験はどれも、もし普通に朝出発の航空便で夜にプラハに着いていたら出来なかったはずなので、そういう意味では、まずは今回の旅行プランが成功しているといえるかもしれません。さて、2日目は、チェスキー・クルムロフ、そしてテルチという、いずれも世界遺産に登録されている2つの町を訪れます。