フランス旅行記2011

   

〜2日目〜 2011.12.9

 2日目の朝、いつもの旅行ならば朝5時とか6時とかに出発するところですが、今回は珍しく、ホテルでちゃんと朝食をとります。冬は日の出が遅いので、あまり早く出発しても景色など見えないからです。朝食会場は割と広くて、各テーブルにはアルザスっぽいテーブルクロスが掛けられていて、クリスマスっぽい飾りも置かれています。品数は平均的なホテルと比べて多めだと思います。ただコーヒーを自分で入れるのはちょっと味気ないですが・・・。

 さて、2日目はアルザスの小さな村巡りです。結局現地ツアーには参加できなかったので、自力で回るしかありません。まずは列車でセレスタ(Selestat)という町まで行き、バスに乗り換えて、リボーヴィレ(Ribeauville)という村を目指します。時刻表上は、列車とバスがちょうど乗り継ぎできるようになっているのですが、列車は遅れないとも限らないので、1本早い列車に乗ることにします。列車は2、3分遅れてストラスブールを出発し、案の定、5分ちょっと遅れてセレスタに到着しました。駅前にはバスが何台か停まっていましたが、そのうち1台に小さく「リボーヴィレ」と行先が書いてありました。ストラスブールから通しになっている切符を運転手に見せると、問題なく乗車することができました。バスは数人の乗客を乗せて、3分遅れぐらいでセレスタを出発しました。このセレスタも見て回ると面白そうな町ではありますが、今回はそこまで時間がないので諦めます。バスは約30分で、最初の目的地であるリボーヴィレに到着しました。
 バス停から少し歩くと、村のメインストリートが見えてきました。道の両側に商店やレストランなどの建物が並んでいて、来る前に想像していた「農村」的な雰囲気とはだいぶ違い、村というよりも、ちょっとした「町」の商店街の雰囲気です。リボーヴィレただ、まだ朝早い(8時50分頃)せいか、人通りは少なく、とても静かで、少し寂しい感じもします。昔ながらの小さな木組みの建物が多いですが、教会の建物などは、大きな町にあってもおかしくないぐらい、立派なものでした。そんな町並みを眺めながらブラブラと歩いていましたが、このリボーヴィレは広さも意外と広く、村外れまで歩ききるのに30分位はかかったように思います。
 さて、この後はあと3つの村を、午後1時過ぎまでに「徒歩」で回る予定になっています。一体どれぐらいの時間がかかるのか、と言うか、そもそもそんな計画が本当に実現できるのかさえ不明なため、リボーヴィレの散策は早めに切り上げて、次の目的地、ユナヴィル(Hunawihr)の村に向かって出発することにします。道を探すための地図は、ハイキング用の地図・・・などではなく、単にグーグルマップを家でプリントアウトしてきたものです。グーグルマップは出発地と目的地を指定すると、「○○通りを何m進み右折する」といった案内文を、それぞれの場所の拡大図と一緒に並べたものを印刷することができます。とはいえ、この地図のみを頼りに外国の地を歩くのは無謀な気もします。とにかく、そこに名前の載っている道を探して町の中を歩きます。朝から空模様はあやしかったんですが、いよいよ雨が落ちてきました。それでも、傘はいらないぐらいの小雨なので、とりあえず用意していた帽子と手袋を装着し、そのまま歩きます。だいぶ入口の方まで戻ったところで一致する道を見つけ、買ったばかりのコンパスも頼りにしつつ、いくつかの角を曲がり、D416(県道416号線、みたいなもの?)という、ちょっと広めの道路に出ました。リボーヴィレからユナヴィルまでは、「Rue du Vignoble(ブドウ畑通り)」という、その名のとおりブドウ畑の中を突っ切る一本道が通っていて、その入口がこの県道にあるはずなんですが、いくら探してもそれらしき道が見当たりません。10分位歩き、明らかに地図と違うので、意を決して県道を逆方向に引き返します。すると、県道に入った場所を少し過ぎた所で、ようやく入口をみつけることができました。ここで道を見つけられないと1日の計画を全て見直さなければならないところだったので、かなりホッとしました。
 ブドウ畑通りは、最初は急な上り坂で息が切れますが、しばらくすると平坦になります。道の両側はブドウ畑ですが、ブドウの樹は背が低いので、道からの眺めは良く、遠くに村々が点在しているのが見えます。これなら現在位置や方角が大体把握できるので、町の中を歩くときよりも迷いにくいかもしれません。景色を見ながらのんびり歩き、30分位でユナヴィルに到着しました。

 ユナヴィルは、リボーヴィレと違って、だいたい来る前に想像していたとおりの「農村」で、人通りもリボーヴィレ以上に少ないです。まずは村の一番の名所と思われる、「歩き方」にも写真の載っていた教会に行ってみましたが、実際に行ってみると、ごく普通の小さな教会です。建物の周囲は墓地になっていて、観光地というよりも、村の人々の生活に密着した教会、という感じです。間近で見るとそんな感じですが、教会のある場所は高台になっていて、下の方から見上げた姿は、なかなか絵になります。都会の大聖堂などとはまた違った、素朴な田園風景ならではの風情があります。村自体ものどかな感じですが、とても小さい村なので、すぐに歩き尽くしてしまいました。
ユナヴィル地図 というわけで、次の目的地、ゼルンベル(Zellenberg)の村に向かうことにします。最初、村をどちらの方向に出ればいいのか分からなくなりましたが、村内に掲示してあった地図なども参考にしながら方向を定めて歩き始めます。途中からはD1B(通称「ワイン街道」)という広い道を通れば分かりやすいんですが、車の量が多そうなので、ワイン街道と並行に進むような感じで、ブドウ畑の間を通っている細い道を歩くことにします。舗装もされていない農道なので、道の名前などはどこにも書いておらず、地図に載っている道の「形」だけしか参考にできませんが、依然として見晴らしは良く、ワイン街道の位置も確認しながら進めるので、迷うんじゃないかという不安は感じませんでした。ユナヴィルから30分位で、ゼルンベルの村が見えてきました。

 ゼルンベルについては、ガイドブックには一切触れられていないので、もしここで素晴らしい景色が見られるようならば、超穴場発見!となるんですが、そう簡単に穴場が見つかるはずもなく、実際はごく普通の村という感じです。ユナヴィルと同じく静かですが、雰囲気は全く同じというわけではなく、ユナヴィルが「農村」という感じなのに対して、ゼルンベルは「住宅地」という感じです。建物が隙間なく並んでいて、通りからブドウ畑などがあまり見えないからかもしれません。少なくとも「観光地」という感じは全く無く、住民が普通に日常を過ごしているという感じで、クリスマスの飾りつけなどもほとんど見られませんでした。村は小さな丘の斜面の上に広がっていて、村全体が坂道になっているのが特徴です。坂を上りきって反対側の斜面に出ると、再びブドウ畑の景色が眼前に広がり、その中に、次に訪れるリクヴィル(Riquewihr)の村が見えます。そういえば、リクヴィル発のバスの時間まで、あと1時間半ぐらいしかありません。先を急ぐことにします。リクヴィルの姿はもう見えていたので、迷う心配は無いと思いつつも、なるべく最短距離で到着できるように、ユナヴィルの時と同様、掲示してあった地図を慎重に確認してから歩き始めます。

 リクヴィルまでは車も通る広い道路を歩くのですが、歩道が無い部分が多いです。路肩が広いので歩けないことはないんですが、それでも車に気を付けながらの移動になります。村の入口付近は、建物が点在する、ごく普通の田舎の風景なんですが、ゲートのようになっている建物をくぐって村の中心部に一歩足を踏み入れると、雰囲気がガラリと一変します。通りの両側に木組みの建物が立ち並び、美しい町並みが作られていますが、それよりもまず驚いたのが、人の多さです。まだ小雨が降り続いているにもかかわらず、観光客らしき人々で通りは大混雑しています。歩いて数十分程度の隣村とのあまりのギャップに、最初は圧倒されてしまいますが、ちょっと歩いてみれば、これだけ観光客が多いのも理解できます。リクヴィルカラフルな家々に挟まれた石畳の大通りの風景は、まさに映画やゲームの画面で見るような、中世の雰囲気そのまま、といった感じです。通りには観光客向けの土産物屋やレストランなどが並び、村の入口付近や広場ではクリスマスマーケットが盛大に開かれています。こんな賑やかな村ですが、大通りから路地に一歩入ると、一転してとても静かになり、村が本来持っているはずの素朴な雰囲気に、十分に浸ることができます。
 バスの出発時間まで残り少ないので、時間を惜しんで歩き回りたい気持ちもありますが、昼食を食べられるのもこのタイミングしかなさそうなので、どこかの屋台で買い食いでもして済まそうと思い、探して歩いていると、美味しそうな匂いが漂ってきました。カフェテラスの店先で、大きな鍋でジャガイモなどを炒めて売っているようです。これならハズレは無いだろうと思い、ホットワインと一緒に購入しました。これを店内で食べていいのかどうか分かりませんでしたが、他にも店内の席に座って食べている人が何人かいたので、自分もそうすることにしました。食べてみると、味は予想どおり、素朴で安心できる味です。赤のホットワインは、前日に飲んだ時には、温めることで渋みもやや増幅している気がして、飲み終わりの頃には少し気になったんですが、こうして何か食べながら飲んでいると、口に残った渋みもリセットされるので、こちらのほうが断然おいしく感じられました。
 いよいよバスの時間になりました。この村の魅力を味わい尽くすには全然時間が足りなかった感じです。もし1泊ぐらいして、まだ人通りのない早朝に散歩なんてできたとすれば、どれだけ幸せだろう、と妄想してしまいます。さて、バスはバス停の前を一旦素通りして、しばらくしてから戻ってくる・・・という情報を事前にネット上で入手していたので、バスが通り過ぎるのを悠然と見送り、やがて情報どおりに戻ってきたバスに乗り込みます。

バスの行先は、ストラスブールと並ぶアルザスの中心都市、コルマールです。ですが、それは次にコルマールを観光するためではなく(夜に戻ってきて観光するんですが)、ここでバスを乗り継いで、もう一つ別の村、エギスアイム(Eguisheim)に向かうためです。もっと今までの村に近い場所を選んでもよかったんですが、このエギスアイムはガイドブックやネット上の写真で見て、沢山ある村の中でも最も雰囲気の良さげな印象だったので、何としてもここだけは行っておきたいと思い、あえて目的地に加えた場所です。ただ、問題はバスの乗り継ぎです。時刻表上では、乗り継ぎ時間は5分しかなく、海外旅行においてこんな乗り継ぎは事実上不可能と言っても過言ではありません。案の定、リクヴィルを出発したバスが10分遅れでコルマールに到着した時には、エギスアイム行きのバスはもうどこにも見当たりませんでした。ですが、そんなことはもちろん想定内です。まだ、タクシーを使うか、徒歩で行くか、という2つの選択肢があります。タクシーは駅前に何台か停まっていたので、もし午前中の行程で疲れきってしまっていたならばタクシーを利用したかもしれませんが、まだ意外と体力は残っていたので、あまり旅でタクシーは使わない派の私としては、ここはあえて徒歩を選択します。徒歩に備えて、もちろん地図も準備してありました。といっても、やっぱりグーグルマップですが・・・。ちなみにグーグルがはじき出した予想所要時間は1時間12分でした。そんなわけで、地図を見ながら歩き出したのですが、道は単純そうに見えて、分かりにくいです。町の中心部ならば、交差点の部分などに必ず、道の名前を記したプレートが掲げられているんですが、少し郊外に出てしまうと、そういった目印がほとんど無く、自分が今どの道を歩いているのか掴むことができません。何かおかしいな・・・、と思いつつ20分ぐらい歩き続けてようやく、完全に間違った道を歩いているということがはっきりしてきました。ですが、落ち着いて地図を確認すると、このまま進んでも、予定のルートとさほど変わらない距離で目的地までたどり着けそうです。今更引き返しても仕方がないので、このまま進むことにします。歩道付きの広い大通りのD417から、歩道無しのティーフェンバッハ通りに入り、次に交通量の非常に多いD83に入ります。この道も歩道はありませんが、路肩が広いので、それほど危険は感じずに歩けます。これなら楽勝、と油断していると、思わぬ難関がやってきました。ロータリーです。現在道路の左側を歩いていて、右折しなければならないんですが、ヨーロッパの道路の交差点は、信号が無くてロータリーになっている所が多く、この交差点にも信号はありません。道路を横断するのはかなり困難ですが、ここまで来て諦めるわけにはいきません。車が一瞬途切れる隙を狙って、まずはダッシュでロータリーの中心円の部分に渡り、円をつたって目的の方向まで歩き、再びダッシュで道を渡り、やっとのことで右折に成功しました。右折した先の道路はD1B、午前中も近くを通った「ワイン街道」です。エギスアイムの村の姿も、はっきりと見えてきました。結局、ほぼ予定どおり、1時間20分ぐらいで到着しました。

 村に着いて、まず最初にしなければならないことは、バス停の確認です。さすがに帰りもあの道を歩いて帰るのは御免こうむりたいので・・・。村外れのバス停で時刻表を確認し、再び村の中心部へと戻ります。村の景色は・・・、やっぱり、わざわざ来た甲斐がありました。全体的にリクヴィルよりもやや小ぶりな、素朴な感じの家並みですが、路地を行けども行けどもずっと、昔ながらの家並みが途切れることなく続き、この夢の世界から現実に引き戻そうとするようなものは、ほとんど目に入りません。まあ、強いて挙げれば、観光客が多いことぐらいでしょうか。さすがにこれだけの景色を見られるとなれば、観光客が多いのも当然かもしれませんが、それでもリクヴィルほど混雑した感じはありません。とにかく、「タイムスリップ感」は今までに無いぐらい強烈でした。
 村ではクリスマス市も小規模ながら開催されています。普通、クリスマス市の屋台は仮設のものなので、元々の町の雰囲気にぴったりとは馴染まない感じがするんですが、ここのクリスマス市は、小さな広場にすっぽりと収まっているからなのか、周りの建物も小さいからなのか、まるでこれが村の日常の姿であるかのように、周囲の景色に溶け込んでいる感じでした。そんな様子を何となく眺めていると、不思議と心がとても温まる感じがしてきました。小雨が降り、夕暮れも近づく中、屋台の明かりや、灯り始めたイルミネーションのささやかな光に照らされる素朴な家並み、そして、大人から子供まで、思い思いにクリスマス市を楽しむ人々の活気、エギスアイムそういったものが重なり合って、優しくて温かい空気を作り出しているんだと思います。この写真は、感極まってシャッターを押したせいか、ひどくブレてしまっていて、とてもフォートラベルの方には載せられませんが、この画像サイズならあまり気にならないだろうと思い、こちらに載せてみました。
 惜しまれるのは、村に滞在できる時間が1時間弱しかなかったということです。やっぱりタクシーで来るべきだった、と改めて後悔してしまいます。タクシーで来ていたら、あと1時間ぐらい長く滞在できていたのに・・・。まあ、過ぎてしまったことはどうしようもありません。バス停に行き、バスを待ちます。今回乗るバスは、ネットでいろいろ情報を集めているうちに発見した、“Navette de Noel”という、クリスマス時期限定の臨時バスです。これを見つけたおかげでスケジュールの組み立てが楽になった一方、「本当に来てくれるのか?」という不安もありましたが、ちゃんと時間通り(少し遅れましたが)に来てくれました。このバスで、再びコルマールに戻ります。

 バスはコルマールの駅前に着きましたが、そのまま町の中心の方まで行くようだったので、終点まで乗り続けました。バスの着いた場所がどこなのか正確には分かりませんが、辺りの案内表示などを見ながら適当に歩き始めます。最近では道に迷うのも慣れた、というよりも、そもそも最初から道を調べようという気すら無くなりつつあります。町に着いた時点では、まだイルミネーションは点灯していませんでしたが、町並みの写真を撮ったりしているうちに、ふと周囲が明るくなったような気がして、顔を上げると、いつの間にか点灯していました。イルミネーションは他の町と同じく、それほど派手ではありませんでしたが、クリスマス市は町中で盛大に開かれていて、雨の中だというのに、昨日のストラスブール以上に賑わっているほどでした。そんな町の中を、特に当てもなくブラブラと歩き続けます。途中、立派な教会の建物なども見かけましたが、地図もチェックしていないので、何という名前の教会なのかも分かりません。このコルマールには、ストラスブールのプティット・フランスと同じように、プティット・ヴニーズという、水辺の風景が美しい地域があるのですが、そのあたりは目立ったライトアップやイルミネーションも少なく、純粋に「昼の観光地」という感じです。昼間の姿を見られなかったのは残念ですが、限られた日程の中、そう欲張るわけにもいきません。再び、クリスマス市で賑わう中心部の方へ引き返します。クリスマス飾り市で売っているクリスマスの飾りは、大きさも形も様々な種類のものがあります。せっかくなのでお土産用に買ってみました。
 雨が本降りになってきました。ヨーロッパの人は日本人と違い、多少の雨では傘など差さないんですが、それでも多くの人が傘を差すようになってきました。そんな状態なので、そろそろ帰ることにして、駅へと向かいます。が、町の中心まで直接バスで来てしまったので、駅がどっちなのか分かりません。今まで適当に歩いてきたツケが回ってきました。雨の中でガイドブックを開き、地図を確かめ、何度も迷ったり、同じ所に戻ってきてしまったりしながら歩きます。やっぱりブドウ畑の中を歩いている方がよっぽど簡単でした。それでもまあ何とか駅にたどり着くと、ちょうど列車が駅に入ってくるのが見えました。急げば乗れないこともなさそうですが、ホームには人がいっぱい並んでいて、もしかすると席を確保できないかもしれません。なので、ここは急がず、次の列車を待つことにします。
 夕食はストラスブールに戻って食べようと思っていたんですが、次の列車まで1時間あるので、待ち時間の間に食べられるんじゃないかと思い、駅の周辺を歩いてみると、駅前のホテルの1階にレストランが入っていました。ホテルのレストランだけに高そうな感じでしたが、よく見ると店は2軒に分かれていて、そのうち1軒は、貼り出してあるメニューを見ると、それほど高くなさそうです。外から見える店内の様子は、まだ開店時間直後のせいなのか客は1組ぐらいしかいませんでしたが、ホテルのレストランらしく明るくて広く、雰囲気は良さそうだったので、思い切って入ってみました。料理は、アルザス料理のシュークルート(キャベツの漬物に豚肉やソーセージなどを添えたもの)を注文しました。前日の二の舞にならないように、1品だけです。飲物はアルザス産のクレマン(発泡ワイン)にしてみました。こちらはかなり軽めのすっきりした口当たりで、料理の味の邪魔にならない感じです。クレマンを飲みながら、料理が来るのを待っている間に、客が次から次へと入店し、ガラガラだった店内はいつの間にか満席に近い状態になっていました。客層は家族連れや若者のグループなど様々で、店内は賑やかな雰囲気になりました。入る前は、ドレスコードなどは大丈夫なんだろうかという心配もありましたが、全然気にする必要は無かったようです。やがて料理が運ばれてきました。予想はしていましたが、やっぱり相当な量で、全部食べきるのは無理だと一目で分かりました。具材は豚肉、ソーセージ、肉団子、じゃがいもなどです。4本足の謎の物体が入っていましたが、「タコさんウィンナー」の要領で調理されたソーセージでした。1個丸ごと煮込まれたじゃがいもは、おでんを連想させ、味もおでんのように優しい味でした。大きな豚肉は、歯ごたえがあり、塩味が効いていて、燻製されているのか香ばしい感じもして(私は全くの味音痴なので間違っているかもしれません)、後を引くおいしさでした。もしかすると2時間ぐらい粘れば全部食べられたのかもしれませんが、列車の時間もあります。十分に満腹になったところで会計を済ませて店を出ます。これだけのボリュームで、全部で25ユーロというのは、リーズナブルだったと思います。
 駅に戻り、忘れないうちに切符に刻印しておこうと思いましたが、刻印機に何度通しても、エラーのような表示が出て、受け付けてくれません。焦って刻印機の周囲などを色々調べてみると、切符を裏返しにしているイラストが目に入ったので、とっさに切符を裏返して刻印機に通してみると、やっと反応してくれました。ですが、列車に乗り込んでから思い返してみると、あのイラストは「裏面への刻印は無効」という意味だったような気がしてきました。これは失敗したかな・・・、と思いながら列車に乗っていましたが、幸いなことに、検札は回って来ませんでした。列車は30分で無事ストラスブールに到着し、この日の予定は終了です。

 それにしても忙しい1日でした。ほぼ1日中歩き続けていた恰好になりますが、それでも、疲労感を上回るほどの充実感がありました。リクヴィルやエギスアイムの風景は、これまでもヨーロッパの色々な国で木組みの家並みを目当てに旅をしてきた私の目から見ても、今まで見たこともないような素晴らしさでした。ツアーで訪れていたとしても、それはそれで面白かったとは思いますが、やっぱり、文字どおり自分の「足」で訪れたということで、感激もより一層大きくなったのではないかと思います。広大なブドウ畑の中を歩くこと自体も、ちょっとした冒険気分で楽しめました。さて、アルザスの旅はこの日で終わり、実質最終日となる3日目はシャンパーニュ地方の町ランスを訪れ、その後、最後の夜はパリで過ごすことになります。



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