〜3日目〜 2011.12.10
3日目は早朝から移動です。ストラスブールを発ち、6時41分発のTGVでパリへと向かいます。さすがにこの時間だとホテルで朝食をとることはできませんが、まあこれがいつものペースです。チェックアウトは言葉につかえながらも何とか無事に済ませ(「チェックアウト、シルヴプレ」すら1回で通じない・・・)、外に出ると、雨こそ上がっているものの、昨日に引き続いての曇り空です。せめてこのまま降らずにいてくれることを祈りつつ、列車に乗り込みます。そんな祈りが通じたのか、列車に乗っている間に雲が次第に消えてきて、美しい夜明けの空を見ることができました。景色を眺めていると、今更ながら、TGVの速さが伝わってきます。日本の新幹線のようにずっと高架を走るのではなく、すぐ目の前に畑が広がる普通の線路上を走っているので、より一層速く感じるのかもしれません。
列車は定刻より数分遅れてパリ東駅に到着しました。この後の予定は、ホテルで荷物だけ預けて再びこの東駅に戻り、列車でランスに向かうことになっています。宿泊するホテルは凱旋門の近くにあり、東駅からメトロなら乗り換え1回、バスなら直通の路線(31番)があります。ここは荷物もあるので、バスを利用することにします。バス停がどのあたりにあるのかという情報は全く無かったんですが、駅の周りを歩いていると、バスが停まっているのが見えたので、近づいてみると、それが偶然にも31番のバスでした。切符は、売り場を探す手間なども考えて、元は取れないと分かっていながらも、「パリ・ヴィジット」という1日乗車券を日本であらかじめ買っておきました。バスの所要時間ですが、実は少々甘く見ていて、ほとんど計算にいれていなかったんですが、よく考えれば、この広いパリで端から端までバスに乗れば、それなりに時間がかかるのは当然で、結局40分位はかかってしまいました。凱旋門のあるエトワール広場は、エトワール(星)という名のとおり、広場を中心に何本もの道路が星のように放射状に広がっていて、想像以上に目的の道が見つけにくく(道の名前をうろ覚えだったせいもありますが)、さらに数分迷った挙句、ようやくホテルに到着しました。
パリでの宿泊ホテルは、「ロイヤル・マグダ・エトワール」というホテルですが、選んだ決め手は、ストラスブールと同じく、予約サイトのクチコミです。本当に良い意見ばかりしか書いていなくて、逆に気持ち悪いぐらいでしたが・・・。ホテルに着いてフロントに行き、予約しているのでとりあえず荷物だけ預けたい、という旨を何とか伝えようとしましたが、フロント係のお姉さんは、英語で何やら話しかけてきます。最初はよく理解できなかったのですが、「15分」と言っているのが聞こえ、どうやら「15分待ってくれれば部屋に入れます(チェックインできます)」という内容のようです。もしかすると、早く到着することを事前にメールで連絡していたので、わざわざ用意してくれていたのかもしれませんが、実際のところは分かりません。こちらとしては荷物さえ預かってもらえればそれでいいんですが、せっかくのご厚意ですし、それに何より、「ご厚意は大変うれしいのですが、すぐに出発しなければなりませんので、先に荷物だけお預かりいただくことはできませんでしょうか?」なんていうニュアンスを英語やフランス語で伝えることなど不可能なので、言われたとおりに待つことにします。結局10分位で用意ができたようで、エレベーターの所まで案内してくれました。狭いエレベーターに乗り込み、部屋のある階に着いたので降りようとすると、何と、フロア側のドアが閉まったままになっています。閉じ込められた!と一瞬焦りましたが、こんな時こそ落ち着いて、よく思い返してみると、乗るときも、フロントのお姉さんがドアを手で開けていたような・・・。試しにドアを手で押してみると、簡単に開き、無事脱出(?)することができました。昔ながらの大きな鍵をガチャガチャと回して部屋の扉を開け、中に入ると、かなり狭いですが、清潔感があり、古さを感じさせません。まあ、部屋の中で何をするわけでもないので、私としては清潔でさえあればそれで充分です。狭いことで逆に、ベッドの上から必要なものにすぐ手が届く感じがします。部屋のレイアウトや備品の配置に気配りがされているのも、そう感じる一因なのかもしれません。風呂も狭く、シャワースペースをガラス戸で囲っただけのものですが、まあ私もそれなりに旅行経験を積んで、この手のシャワーには慣れていますので、それほど不便は感じません。全体として、利用者目線での工夫で、狭い空間を最大限に活用しようとしている、という印象です。そう考えると、ストラスブールで泊まったホテルとは見事なまでに好対照で、何だか面白いです。どちらが好みかは、人それぞれだと思いますが・・・。
さて、話は元に戻りますが、思わぬロスタイムがあったため、列車の時間に間に合うかどうか、あやしくなってきました。元々は、来た時と同様にバスで駅に戻る予定だったんですが、来た時の所要時間を考えると、かなり厳しそうです。メトロを使う手もありますが、初めて使うメトロとなれば、想定外のトラブルなど、色々手間取ることもありそうで、はっきりした時間の目途を立てることは難しそうです。そうなれば、残された手段はタクシーしかありません。幸い、エトワール広場周辺には、あちこちにタクシーが停まっています。昨日は「タクシーは使わない派なので・・・」などと言っておきながら、早速この有様です。運転手に行先を「ガール・ドゥ・レスト」と告げましたが、やっぱり「何駅?」と聞き返されたので、「イースト」と思いっきり英語で言うと分かってもらえました。結局パリ市内を観光する時間もなく、次に戻ってくるときはもう夜なので、せめてタクシーの窓から見えるパリの景色を目に焼き付けておきます。タクシーを使った甲斐あって、駅には時間に余裕をもって到着することができました。TGVの切符に刻印しようとしますが(必要ないのかもしれませんが)、またしても刻印機が受け付けてくれません。今度は前後を逆にして通してみると、刻印は出来ましたが、券面の印刷と被ってよく読めない状態になってしまいました。周りを見ると、他にも切符を何度も通している人を見かけたので、切符に問題があるわけではなく、機械のご機嫌を伺いながら何度もやってみるしかないのかもしれません。とにかく、列車に乗り込み、ランスへと出発です。
ここで、なぜランスを行先に選んだか、ということに触れておきたいと思います。端的にいうと、「ストラスブールとパリの間にあるから」、つまり、最初はパリに向かう途中に立ち寄ってみようという狙いだったわけです。ですが、せっかくシャンパーニュ地方の町に行くのでシャンパンセラーの見学を申し込もうとしたところ、英語のガイドツアーは午後2時開始のものしか予約がとれず、それだとパリに着くのが夜になってしまい、初めてのパリで荷物を引きずってホテルの場所を探すのには不安が残ります。また、ランスについてのクチコミなどを調べていると、どうやら荷物を預けられる場所が全くなさそうです(シャンパンセラーの予約メールにも「荷物は預かってもらえますか?」と書いてみましたが、その質問については完全スルーでした・・・)。列車の所要時間的にも、ストラスブールからランスへは一度乗換が必要で、意外と時間がかかり、先にパリへ行って引き返しても大差は無いようだったので、それだったら先にパリに荷物を置いて・・・ということになった次第です。
パリを発つ時には、再び空が曇り始めて、嫌な予感がしましたが、ここは世界最速TGVの力で、さっきの青空に追いついて・・・、と願っていると、本当にそういう原理なのかは分かりませんが、次第に青空が広がり始め、ランスに着いた時には、今回の旅行で初めてサングラスを取り出したほどの快晴でした。駅前は公園になっていますが、公園を抜けると、パリほどではないですが都会の雰囲気です。大通りに出ると、道の真ん中にクリスマス市の屋台が並んでいます。ランスでもクリスマス市が開かれているとは思っていなかったんですが、どうやらクリスマス市はアルザスの専売特許というわけではなく、この時季ならどこの町でも普通にやっているものなのかもしれません。賑わう町の中を歩き、目指す先は大聖堂です。やがて建物の間から、白い巨大な大聖堂の姿が見えてきました。ランスの大聖堂は、歴代フランス国王の戴冠式が行われた場所であり、まさにこの国の歴史の証人ともいえる建物です。建物はもちろん大きくて立派ですが、外壁の黒ずんだ様子が、そういった歴史の重さ、生々しさを感じさせます。そんな大聖堂の様子を眺めながら周囲を歩いていると、すぐ目の前の小さな公園に、
ジャンヌ・ダルクの像が見えてきました。ジャンヌ・ダルクは英仏百年戦争の最中、敵軍を突破してシャルル7世をランスに導き戴冠式を行わせ、それがフランスの勝利の契機になったということで、この地に像が建てられているようです。やっぱりフランスといえばジャンヌ・ダルク(と私が勝手に思っているだけですが)、フランスに来て1か所でもジャンヌ・ダルクゆかりの地に来られたというのは嬉しいことです。さて、大聖堂の話に戻りますが、入口付近の見事な装飾を眺めつつ建物の中に入ると、中は割と明るめですが、不思議と厳粛な雰囲気が漂っていて、やっぱり戴冠式が行われる場所にふさわしい感じがします。ステンドグラスももちろん綺麗でした。
大聖堂の見学を終え、近くにある宮殿も見に行きたかったんですが、あまり時間がなく、シャンパンセラーの見学の前に昼食も食べておきたかったので、宮殿は諦めて、クリスマス市が出ていた大通りの方へ引き返します。歩きながら食べやすくて、注文しやすそうな物を探して屋台を回り、焼きたてのパイのような物を購入しました。店頭に並んでいる状態では、中に何の具が入っているのかは分からなかったんですが、食べてみると、ちょうど日本でいう「肉まん」のような感じで、豚の挽肉などで作られた具がぎっしりと詰まっていて、味も、きっと全然違う調味料を使っているはずなんですが、不思議と肉まんを思い出させます。一番小さいサイズのものを買ったのにもかかわらず、かなりのボリュームがあり、昼食として充分すぎるほどでした。
そろそろ予約していた時間が迫ってきたので、シャンパンセラーへと向かいます。今回見学させてもらうのは、「G.H.マム」というメーカーで、正直私は全く詳しくはないんですが、F1の表彰式で使われることで有名なメーカーらしいです。ここを選んだ理由は、駅から徒歩圏内で、土曜日も見学を受け付けている所が、ここぐらいしか見つけられなかったからです。さて、その場所なんですが、地図上では、駅前から線路沿いに広がる公園に沿って進み、公園が途切れた所からすぐの場所ということになっていたので、そんなに時間はかからないだろうと思っていたんですが、この公園というのが、果てしなく続いているんじゃないかと思うほど細長く、予想よりもかなり時間がかかってしまいました。それでも何とかたどり着くと、門はまだ閉まっていて、私と同じ見学者らしき数人が、社員らしき人としばらく話をした後で離れていったので、どうやら時間ギリギリまで門は開かなさそうだと思い、私も辺りをブラブラしながら待つことにします。ガイドブックにも載っている「フジタ礼拝堂」という、日本人が建てた礼拝堂がすぐ目の前にあり、行ってみたのですが、有名な場所だということを知らなければ確実にスルーしてしまいそうな、小さくて素朴な建物でした。この時は公開している時期ではなかったようで、中に入ることはできませんでした。そうこうしているうちにセラーの入口の門が開き、敷地内に入ることができましたが、まだ受付は始まりません。狭い警備員室のような部屋で数分待たされ(単に、寒かったので警備員さんが入れてくれただけだったのかもしれませんが)、その後ようやく案内の人が迎えに来て、他の参加者(全部で十数名ぐらいだったと思います)と一緒に別の建物に移動しました。そこで改めて受付を済ませる必要がありましたが、予約時のやりとりのメールをプリントアウトしたものを持ってきていたので、それを見せるとスムーズに受付を済ませることができました。もし何も持っていなかったら、ちょっと手間取っていたかもしれません。その後、研修室のような部屋に案内され、会社紹介のビデオの上映が始まりました。英語なので、内容ははっきりとは分かりませんが・・・。上映が終わり、映写用のスクリーンが巻き上げられると、その後ろに地下のセラーへの入口がありました。いかにも地下秘密基地への入口っぽいな、などと思いつつ(多分そんな意図は全く無いと思いますが)、地下へと下ります。セラーの中は暗いですが、見学者が来ることも考慮してか、ある程度灯りはついていて、それほど歩きにくい感じはしませんでした。所々で案内の人が、シャンパンの製法について解説してくれます。やっぱり英語なので、何となくしか理解できませんが、シャンパンがかなり手間暇をかけて作られている、ということは伝わってきました。熟成中のシャンパンは、ただセラーに置きっぱなし、というのではなく、熟成の過程に応じて、瓶の中の沈殿物を適切な位置に持ってくるために瓶の角度を変えていくなど、常に手が加えられているようです。セラーの中はとにかく広く、終わりが見えないほど長く続いている通路もあり、まさに地下迷宮といった感じです。さっきまで歩いていた、特に変わったところもない町の地下がこんなことになっているなんて、何とも不思議な気分です。
見学ルートの最後の場所には、シャンパン製造に使われる、色々な機械などが展示されていました。巨大なシャンパンボトルの模型も置いてあって、若いグループは、それでラッパ飲みの真似をして写真を撮ったりして、はしゃいでいました。さて、見学が終わった後は、いよいよ試飲です。試飲できる商品は、何種類かの内から選ぶことができ、その種類によってツアー料金が異なっています。くどいようですが私はワイン関係の知識など全く無いので、味の違いなんて分からないんですが、こういう機会でもないと、今後わざわざ高級なシャンパンを注文して飲むこともないだろう、と思い、あえて一番高いものを選びました。「高い」といっても、見学料込みで20ユーロ程度なんですが・・・。さて、その味のほうですが、少なくとも「こんなに苦労して作ってるんだぜ!」とアピールしてくるわけではなく、あくまでも上品に、自然に口の中に溶けていく感じでした。かなり変な例えかもしれませんが、優雅に泳いでいるように見えて、水面下では足を懸命に漕いでいる白鳥を思い起こさせます。きっと何も知らずに飲んでいたら、何の感慨もなく飲み干してしまうと思いますが、こうして製造過程を見学した後だからこそ、この自然な風味も苦労の末に生み出されたものなんだろうなあ、などと、色々な思いが浮かんできました。試飲を終えて帰る前に、出口の手前に販売コーナーがあったので、25ユーロのシャンパンを1本お土産に買って帰ることにしました。同じ物を日本では4千円以上で売っていたので、お買い得だったと思います。
これでランスでの予定は終了なので、再びあの細長い公園を通って、駅の方へ歩いていきます。公園の中には移動遊園地のようなものが設置されていて、子供連れの家族などで賑わっていました。駅に着いた時点では、列車の時間までまだ少しあったので、もう一度クリスマス市の方に戻ってみましたが、前にも増してものすごい人だかりになっていて、前に進むのも一苦労という状態です。この状態では、今買ったばかりのシャンパンボトルを割らずに守りきる自信が全く無いので、早々に退散し、おとなしく駅で列車を待つことにしました。
再びパリに戻ってきた時には、もう暗くなっていました。朝と同じように31番のバスに乗り、ホテルを目指しますが、バス停に停まるたびに大勢の客が乗車してきて、あっという間にバスは超満員になりました。バスの中はとにかく騒がしく、叫ぶようにひたすら喋り続けるおばさんがいたり、満員過ぎて乗れなかった客が外からドアをドンドン叩く音が聞こえたり、まさにカオス状態で、ただバスに乗って移動しているだけなのに、疲れがドッと出てきました。もう二度とパリでバスには乗るまい、と誓いつつ、バスの中で我慢を続け、ようやくホテルに帰り着くことができました。しばらく放心状態でベッドに寝転がり、このまま眠ってしまいたい気持ちにもなりましたが、さすがにこのままパリを完全スルーするわけにもいかず、また、バラマキ用のお土産も探しに行かなければならなかったので、何とか気を取り直して、再び外に出ます。
まずは、すぐ目の前にある凱旋門からです。凱旋門はエトワール広場のロータリーの真ん中にあり、道路を横断して行くことはできません(さすがにエギスアイムのロータリーとは次元が違うので・・・)。シャンゼリゼ通りにある入口から地下道を通って行くことになります。地下道の途中に入場券売場があり、パリ最大の観光名所なので長蛇の列ができているんじゃないかと心配しましたが、全然そんなことはなく、すぐに入場券を買うことができました。地下道を抜けると、すぐ目の前が凱旋門です。
ところで、この誰もが知っているはずの凱旋門ですが、実際に行ってみると、意外な発見があったりします。私は、凱旋門というのは単純なアーチ型の建物だと思っていたんですが、実は側面もアーチ型にくりぬかれていて、意外と複雑な形をしています。特に真下から見ると、まず余所ではお目にかかれないような、ユニークな眺めです。しばらくその姿を眺めた後、いよいよ屋上に上ってみることにします。実は、旅行が決まってパリについて調べるまで、凱旋門は屋上に上れる、ということさえ知りませんでした(私が無知なだけかもしれませんが・・・)。あれだけ大きな建物なので、階段を上るのも当然疲れますが、今まで色々な城や教会の塔を上ってきた私にとっては、楽勝・・・とまではいかなくても、まあ何とかなる部類です。しばらく上ると、いきなり屋上に出るのではなく、その前に広いフロアに出ました。そこには土産物屋もあったので、ちょっとのぞいてみると、バラマキ土産にちょうど良さそうな、パリの写真が包紙にプリントされたチョコレートが売られています。これはラッキー、とばかりに、さっそく購入しました。この後デパートにでも行って土産を探さなければ、と思っていたんですが、思わぬ形で用事が一つ片付いてしまいました。さて、屋上に出ると、期待どおりの美しい夜景が目の前に広がっています。街全体が明るいわけではなく、凱旋門から放射状に伸びる大通りの街灯や車のライトが、光の帯となって街を貫いているような感じです。そんな中、ひときわ存在感を示しているのがライトアップされたエッフェル塔です。形は東京タワーと似ていますが、周りに他の大きな建物も無く、塔全体の姿が鮮やかに夜の闇の中に浮かび上がっていました。
凱旋門から出た後は、シャンゼリゼ通りを歩いてみることにします。通りはものすごい人混みですが、各交差点ごとに機動隊のような人達が警備に付いていて、まるで何か事件でも起こったかのような物々しさですが、周りの人々は気にする様子もなく歩いているので、自分も気にしないことにします。通りには色々な店が並んでいたりしますが、とにかく人が多いので、ただゆっくりと前に進むことしかできません。イルミネーションはそんなに派手ではなく、都会的な、洗練された感じです。しばらく歩くと周りの雰囲気が変わり、公園のような場所になりましたが、そこからはクリスマス市の屋台が並んでいます。やっぱりこのパリも例外ではありませんでした。そして、さすがはパリ、大通りの両側に、何百メートルにもわたって屋台が並んでいます。そして、辺りはこのお祭りを楽しむ人々で賑わっています。都会的で洗練されたイメージのパリとはちょっと違う、「素顔のパリ」という感じがしました。この後どこかで夕食を食べる予定だったんですが、あまりお腹も減っていなかったので、この際、屋台で適当に買って済ませることにしました。色々見て回った後、一番あっさりしていそうなクレープを購入しました。砂糖だけで味付けしたプレーンのクレープでしたが、その焼きたての香ばしいクレープの、あまりの美味しさに驚いてしまいました。まあ、普段はクレープなんて食べないので、日本のものと比較はできませんが・・・。そして、クリスマス市巡りの最後はやっぱりホットワインで締めくくることにします。今まで赤ばっかりだったので、今度は白を飲んでみます。赤のような渋みは無く、優しい甘さが口の中に広がり、心も体も温まる感じです。
帰りはエトワール広場までメトロで戻ろうと思い、近くにあった入口から地下に下り、路線図を確かめると、あることに気付きました。この駅から、エッフェル塔がよく見えるトロカデロ庭園まで、乗り換えなしで行けるようです。時間はまだ9時50分頃、せっかく1日乗車券も持っていることなので、ちょっと寄り道してみることにしました。パリのメトロは初めてなので、ちょっと緊張しながら、1日乗車券を自動改札に通して、ホームに入って待っていると、すぐに列車はやって来ました。車内では、おじさんが当たり前のようにアコーディオンを演奏しています。そういうことがあるのは知ってはいましたが、やっぱり日本人の私にとっては違和感があります。やがて列車はトロカデロ駅に到着し、地上に出てみると、出口からはエッフェル塔の姿は全くみえません。ですが、少し歩いて1つ角を曲がると、巨大な塔の姿が視界に飛び込んできました。そこはまさに、エッフェル塔を見るために作られたかのような広場で、真正面に塔の美しい全体像が完璧な形で見えています。広場には見物人もたくさん集まっています。やがて午後10時になりました。エッフェル塔は、毎正時になると、通常のライトアップの他に、フラッシュのような光が塔全体で点滅し、キラキラと輝きます。あれだけ大きな建物が目の前で派手に光り輝く様子は、まさに圧巻です。元々は訪れる予定のなかったエッフェル塔ですが、ちょっとした気まぐれで立ち寄ってみたのが大正解でした。フランスでの最後の夜に、旅行の締めくくりにふさわしい、とても素晴らしい思い出ができました。
翌日の朝には飛行機に乗ってしまうので、いつもの旅行記ならここで帰国までを一気に書いてしまうところですが、随分長くなってしまったのと、翌朝も何だかんだで色々あったので、またページを改めて書くことにします。