Introduction
| ◆三保というところ 地元の人に三保で潜っていると言うと、「あんな汚いところで?」と顔をしかめられることが大方の反応である。平成15年4月に静岡市と清水市の合併により誕生した新静岡市民の生活排水の多くが、巴川を経由し、国際貿易港として知られる清水港に流れ込む。駿河湾に面し、その清水港の玄関口にあたるところに三保のダイビングスポットがある。典型的な港湾工業都市、今では政令指定都市となった人口70万人都市の一角に位置するのだから、汚くても無理はない。 それでも24時間いつ潜ろうが、誰も文句を言わない、潜水エリアも一応決まっているが、どこを潜っても構わない、入海料もいらない、車で波打ち際まで行ける、面倒のないところである。週末ともなれば毎週似たような顔ぶれが身近な場所にカタルシスを求めて集まってくる。地元ダイバーのほとんどはセルフで潜る。フィッシュウォッチングにシフトできなかった物獲りの先住ダイバーが未だに生き残っている数少ない海である。 ダイバーに三保の名を世に知らしめたスプリングボードはやはりアカタチだろう。思い起こせば’93マリンダイビングフォトコンテストでダイバーズプロ・アイアン(以下、アイアン)の小泉氏の受賞作品によってイッテンアカタチの生態写真が恐らく初めて公にされた。その後、別の種類が徐々に確認され、今日ではイッテンアカタチを含め4種類のアカタチが観察できるポイントとして知られるようになった。その間、アイアンの鉄氏の様々な形での情報発信とインターネットの普及により、地元の連中しか潜らなかった三保に県外のダイバーが訪れるようになった。最近のトガリモエビフィーバーや擬態するミミックオクトパスとやらの発見はその傾向に拍車をかけている。何れにしても今日の三保の知名度の向上はアイアンの鉄氏と小泉氏という2人のカリスマガイドに負うところが大きい。Map三 |
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◆海の中 富士山に向かってエントリーすると、砂地の斜面が広がり、下り切るとほぼフラットな泥地に変わる。この堆積した泥が三保のシンボリックな生物たちの住処になっている。沖まで進むと通称「沖堤」と呼ばれている堤防のゴロタが現れる。ゴロタを登ると堤防とそれを囲むように、テトラポッドが姿を現す。テトラポッド周辺ではちょっとしたケーブダイビングが味わえる。 透明度は悪く、コンパスは必需品。地元ダイバーの海での第一声は「今日どう?」。しかし「いつもの三保だよ」と答えが返ってくる日がほとんどである。「三保で潜っていればどこへ行っても平気だよ」と昔の人はよく言ったもので、確かに他の海では様々な制約に煩わしさを感じたことはあっても、困ったことはない。 年に数回、いわゆる抜けた時に出会す。それが地元ダイバーの至福であり、それを求めて通い続けていると言っても過言ではない。Point Map |
| ◆三保と水中写真 もともと三保で水中写真をやっている人は多かった。透明度が悪いので、通い続けるには写真か物獲りでもしない限り退屈するかもしれない。写真を撮る人のほとんどがマクロである。マクロであっても撮影距離が遠くなればフォギーフィルターをかけたような写真になってしまう。したがって、被写体によって60mmにするか、100mmにするかの選択が他の海以上に重要なファクターとなる。撮影機材の進歩に伴い、昨今はきれいな南の島へ行けば、誰でもそこそこの写真が撮れてしまうが、三保では結構手こずる。昔は南の島へも憧れたが、仕事の調整など多方面へエネルギーを費やした割には、そこら辺で見飽きたような写真しか撮れないので、近頃は諸事情も相まって三保へのこだわりをテーゼにしている。それでも三保で撮った写真も所詮、他で撮れば何でもない写真なので、明らかに自己満足の領域である。三保は写真をやっている人が多いと前述したが、ダイバーそのものの絶対数が少ないので、どこかの海のように被写体待ちの行列ができたり、撮ってるところを横から邪魔されることもない。失敗してもまた来週来ればいいので、気楽なもんだ。それだけに甘さが出るのも否めないが、それがライフスタイルとして染み着いている。 水中写真を始めて数年後、三保の高砂淳二を自称する植原氏の影響でワイドを撮るようになった。冬になると透明度の良い日に出会す確立が高くなるが、反面確実に魚影は薄くなる。いわば、トレードオフの関係だから青い海に魚の大群なんて写真は容易く撮れるものではない。ワイドレンズを付けたハウジングを手にして潜るダイバーを見かけることなんてまずない。その効率の悪さを考えればもっとものことだ。それでも自分にとって三保でワイドを撮り続けるということは、その効率の悪さを度返しした、土着ダイバー固有のローカリズムへの回帰である。 ところで、ワイドレンズを付けて潜っていると、思いがけないマクロの被写体に出会したりする経験が意外と多い。最近はハウジングを2台、3台手に潜る人も増えてきた。自分も2台持とうかと考えた時期もあったが、自分の写真にそれだけの投資価値が見いだせず、未だに古びたネクサス1本で良しとしている。 なお、本HP作成にあたっては、大したコンセプトもないので、Galleryに掲載する写真の選択には困った。特別好きな写真を選んでという訳でもないし、トレンドにも疎いので、何が貴重かなんていうのもよくわからない。適当に見繕ってというのが実のところだ。まぁ折角HPを作ったのだから、この際少しは三保のトレンドもTopicで紹介できれば幸いだ。 |
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◆三保を潜りたい人へ 三保へ潜る場合、サービスはやはりアイアンがお勧めである。鉄氏と小泉氏という三保の海を熟知した2人のカリスマガイドがいる。鉄氏は三保のトレンドセッターであり、三保をアートするカメラマン。一方の小泉氏は一枚一枚、時間をかけて仕上げる職人かたぎのカメラマン。それぞれが独自の視点でガイドしてくれる。三保の被写体を手っ取り早くコレクションしたい人はガイドを頼めば、効率よく収集できるはずだ。 |