この映画、20年以上前からずっと見たい見たいと思っていました。「第2回 新・午前十時の映画祭」が叶えてくれました。初見がスクリーンなんて、本当にラッキーです!!
元警察官の男の娼婦への一途な愛を貫く話です。楽しげな音楽で始まるこの映画、娼婦たちとそのヒモの話ですが、ビリー・ワイルダーにかかるとエロさも悲惨さも感じられません。娼婦たちの衣装はもちろん、市場で売られている果物など色がとても鮮やかなうえ、話の展開もまるで漫画の様で、とびっきり明るい恋愛成就のコメディになっています。
ジャック・レモンを助けるバーのマスターと彼が経営するバーに集まる人たちがそれぞれ人生を抱えていて面白い。特にバーのマスターが素敵です。
映画の冒頭、娼婦達が客待ちをしている町並みを見た時、三谷幸喜監督作品の『ザ・マジックアワー』の架空の街、守加護を思い出しました。空気感がものすごく似てると思ったんですけど・・。ま、余談ですがね。

これは衝撃の1本でした。思春期だった私には刺激的な作品でした。
【当時の鑑賞日記】
はじめて見てすぐに思ったことは「わっ!ビスコンティの映画だ!!」ということ。またまたきらびやかでした。
STORYは『夏の嵐』と同じく恋愛ものなんだけど、事の起こりは男がうわきをするのよね。なんか許せなくって。男は何をやってもいいっていうのはまちがいだよ!女は弱い生き物だからいつも苦しむ。男の勝手さにはついていけない。男なんてみんな女の身体しか必要としなんだ。などと考えてしまいます。しばらく男性きょーふしょーになりそうです。世の男性がみんなトゥリオさんのよーな人でないことを祈ります。
あまりの衝撃に、映画鑑賞の5年後に、また映画の感想を書いている。
【鑑賞5年後の鑑賞日記】
高校2年の9月だった。当時、ヴィスコンティは大ブームだったのでかなりの人がいた。私が入った時はすでに暗くなっていて、やっとはじっこに一つ席を見つけた。「よかった!」と思いながらスクリーンを見た時、たしかアルバムだとおもうんだけど、本のページをめくる手だったような気がする。
男の浮気が許せなかったし、子供を殺してしまうあの男の考え方が全くわからなかった。映画館を出てからものすごく落ち込んだっけ。「この映画はいったい何を言いたかったんだ?」という思い、「なんで女が泣かなくっちゃいけないんだ?」から始まって「どうして私は女に生まれたんだ?」って。
”イノセント”がイタリア語ではなく英語だと知り、意味を調べてまた考えちゃったね。どうしてあの男が無実なんだろうって。女があんなにひどい目にあってるのにあの男が無実なんだろうって。(略)
「どうしてあの男がイノセントなんだろう。ヴィスコンティが与えたこの問題は誰にも解くことができない」そう思っていた。そして「ああ、そうか、だからあの男はイノセントなのか」そう思ったのは、すでに19歳の2月だった。あの夫婦に子供がなくて(望んでいるのに)、若い男とのあいだに子供ができてしまったことに気が付いた。今考えると、女より男の方がだんぜんかわいそうだし、情けないし、悲しい存在なんだよね。(略)
今21歳。いまだに、これ以上にインパクトを与える映画を私は見ていない。
思春期の頃に観たので衝撃でした。でも大人になってから観ても深い問題提起をしている作品だと思うでしょうね。ヴィスコンティは「イノセント!」と表現したのか「イノセント?」と表現したのか・・。今あらためて、もう一度観てみたいな。
ギリシャ神話から題材を得た作品。わがままなギリシャの神々が悲劇を呼んでしまってます。
【当時の鑑賞日記】
とっても悲しい。
イフゲニア役のタティアナ・パパモスクーがきれいだった。
ウエストサイド物語、初体験でした。
楽天地シネマズも初体験。全席自由席っていうのも久しぶりです。
冒頭数分の小さなイザコザを幾重にも重ねるシーンを見て、これはすごいと思ったけど、最後まですごいシーンの連続でした。
出演者が多いのに、動きにまとまりがあり細部にまで神経の行き届いた絵のよう。全員がやり場のない怒りをぶつけるのでどのシーンもとってもパワフル!幼稚な演技は皆無だし、当然ダンスもプロフェッショナル!とても完成度の高い映画です。
本作に限らず、半世紀も前にこれだけ完成度の高い作品が作られているのだから、映画の世界は大変ですよね。興行収入ばかりを大きく発表してランク付けしてるようでは、半世紀後には誰も知らない作品ばかりになってしまいます。そんなことまで考えさせる素晴らしい作品でした。
前年に観た『誰がために鐘は鳴る』と『カサブランカ』でイングリッド・バーグマンにノックアウトされた私。本作と『白い恐怖』は願ってもない組み合わせの上映でした。

うぶな高校生だった私には恥ずかしくなってしまうほどのキスシーンがありました。これはヒッチコックの検閲への反抗で、キスシーンは3秒以内というルールを忠実に守り、3秒以内のキスシーンを何度も繰り返すという伝説のキスシーンでした。
【当時の鑑賞日記】
なんか久しぶりにハラハラした。アリシアとデブリンが酒蔵庫に入った時とか、デブリンがアリシアを迎えに行った時とか。
この映画で”また女がバカをみる話”なのかなと思っていたけど、男の人がステキですね。とっっっっっても。
久々に英語が聞けて嬉しかった。だって言ってること少しわかるんだもん。
当時の日記に描かれている”女がバカをみる話”っていうのは前年に見たヴィスコンティの『イノセント』のことでしょう。英語が聞けて嬉しいというのも、イタリア映画を指しているのでしょう。