「はっはっは、いやぁ、困ったな弟よ♪」
「笑ってる場合か馬鹿兄貴! し、死ぬ! このままでは死んでしまう〜〜!!」
嵐が吹き荒れ、雨が痛いほど降り注ぎ、波は二人を塵くずのように飲み込んでいく。
一人、弟の行人は泣きながら浮き輪にしがみつく。
一人、兄の海人は行人の腰にしっかりとしがみつく。
笑う者、泣き叫ぶ者。両者、極限にまで高められた感情は全くの正反対であった。
全くなんでこんな事になってしまったのか。
それは行人が父親と喧嘩をした事から始まる。
まず学校で受験やらなんやらのストレスが拍車をかけて思いっきり口喧嘩になった。
そこでどうしたんだと兄の海人が仲裁、話を聞いた瞬間父親の顔面を思い切り殴ってしまう。
いや、それだけで事は収まらなかった。
「てめぇ、まだ行人を操り人形にする気だったのか!?」
「い、いや、ちがう!! まてっぷろはっ!!??」
ゴキィ! ぺしっ、ぺしっ、ぺしっ、ぺしっ、ぺしっ、ぺしっ!!
「あぁ? 何言ってるか聞こえませんなぁ父上殿!!」
ミシィ、ボキン! バキバキッ! ゴスッ! ボゴッ! メキョッ!
「俺は慈悲深いんだ。そろそろ止めにしようや」
キュィィィィィィィィィィイイイイィ!!!!!!
「うおおおおおおおおおお!! 石破! 天・○・拳!!」
ズゴオオオオオオオオッ!!!!!!!!!!!
まさに大破壊であった。それでも父が生きている所を見ると手加減はしていたのか。
その後、海人の誘いで家出をし、追っ手を撒きながら国外へ逃亡。
だがその途中で誤って船から転落。5日間漂流の末、現在にいたる。
しかしこの兄、この状況を打破する気は一切ないらしく、行人にひしっとしがみついたままである。
海人なら海面さえ走れるはずなのに。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!!!!
「な、なんだ、この音は!?」
「む、あれを見ろ行人!!」
海人の指差す方向に目をやると、そこにはとんでもなくでかい津波が迫っていた。
「いやぁ、津波って本当にゴゴゴッて音するんだなぁ、初めて知ったよ」
「ギャアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」
そして二人は波に飲まれた。