成田スカイアクセスいきなり盛業
■下り開業初電(平成17(2010)年 7月17日)
日暮里・舎人ライナーの始発電車で日暮里に向かう。早朝だというのに、京成の構内はざわついていた。勿論、悪い意味では決してない。そう、今日は成田スカイアクセス開業日なのである。日暮里駅では下りスカイライナー初電の出発式が挙行される。出発式までまだ 1時間ほどもあるというのに、報道陣が三々五々と集まっている。ごついTVカメラ、背の高い脚立、一般の立入を禁じる仕切……。大きなイベントがやってくる前兆である。


【日暮里】スカイライナー出発式約50分前の様子
出発式前の如何にも晴れがましい様子は、一般の利用者にも伝播したらしい。雰囲気が浮かれ気分だ。といっても、筆者はスカイライナーの乗車券を確保できなかったし、時間がきわめて限られてもいる。成田空港行(ただし船橋経由)の各停に乗り、高砂を目指す。

【高砂】成田空港行下り開業初電
高砂で暫し待っていると、成田スカイアクセス下り開業初電がやってきた。神奈川新町始発のアクセス特急である。京成(系)路線の開業だというのに、開業初電が他社車両という点、めぐりあわせがなんとも面白い。
高砂に入線する写真を撮り、乗りこんでしまえば、実はやることがあまりない。最後尾1号車に座って、しばし北総線内の乗り心地を味わう。路線図の色わけが面白く、写真を一枚撮ってみる。

【アクセス特急】路線図表示
もうすぐ本日開業区間に入ろうかというころあいで、列車の前の方に移動する。その際、軽い驚きを覚えた。
開業初電だというのに、いきなり本来の利用者層が多数見られるではないか。開業初電のお祭り騒ぎを楽しむためにではなく、「成田空港から国際線に搭乗するため」この電車を利用している方々が、これほど乗りこんでいるとは。当たり前といえば当たり前のことながら、開業初電から機能全開という事例は珍しいのではないか。最も混んでいたのは、写真を撮れなかった 4号車。一車あたり20名近い乗車。慶賀すべき状況である。

【アクセス特急】車内の様子(左:2号車 中:3号車 右:5号車)
もっともこれは、成田空港アクセス輸送に関する京成の長い蓄積があればこその好況、ともいえよう。現成田空港駅開業は平成 3(1991)年、ここから数えても既に約20年の時が流れている。東成田(旧成田空港)駅の開業は昭和53(1978)年までさかのぼるわけで、ここから通算すればもはや32年も経っている。

【成田湯川】下り開業初電と上り開業三電
成田湯川で降車する。なんとも幅が狭いホームで、写真を撮るのも難儀する。辛うじて初電の顔を押さえることができた。

【成田湯川】駅舎全景と近景
成田湯川は開業区間唯一の中間駅だ。駅舎だけでなく、駅前広場の造作も宏闊で、将来の拠点駅として発展していく可能性が秘められている。もっとも、周囲の開発はこれからというところ。今日は開業日とあって、利用者の集まりはなかなかのもので、まだ 7時になる前だというのに記念入場券が売り切れてしまった。

【成田湯川】下りスカイライナー初電たる 1号が 160km/hで通過
ホームに戻ると、日暮里駅での出発式をすませたスカイライナー 1号が、まさしく飛ぶような勢いで走り去っていった。 160km/h走行は速い! 写真を撮るのも難しいほどで、実は上の写真も、ピントを遠方に置いた「安全策」に徹したものなのである。
本日はここで時間切れ。完乗することなく、引き上げることにする。
■開業一週間後の日暮里
開業後一週間経ってから、改めて日暮里駅に行ってみた。特急列車専用の一番ホームには中間入口が設定されている。ただし中間改札ではなく、撮影目的でも通ることができるというおおらかな仕掛だ。二列並んだエスカレーターはともに上行き。片方向の動きのみに重きが置かれたつくりである。

【日暮里駅】特急列車専用一番ホームへの入口
ホームに上がってみる。予想できたはずなのに、軽い驚きを覚えざるをえない。かなり混んでいる。炎天にあぶられた陽気のなか、エアコンの効いた待合室は大混雑だ。猛暑にもめげずホーム上にいる方々も多く、成田空港に向かう旺盛な需要を実感する。

【日暮里駅一番線】渡航客で混雑する一番線待合室
考えてみれば、今は夏休みの始まりにあたる。観光旅行のハイ・シーズン。海外旅行の需要が最も高まる時期でもある。そんな時期に成田スカイアクセスの開業を間に合わせた判断は、卓見といえるだろう。

【スカイライナー23号】渡航客でほぼ満席
成田空港行スカイライナー23号は、ほぼ満席の混雑ぶりで日暮里を出発した。

【スカイライナー23号】旅立ちの訣れ
こんな訣れと旅立ちの風景も、いずれ日常に溶けこんでいくのだろう。

【シティライナー83号】そこそこの乗車あり
主役の座から降りた旧スカイライナーを転用した、シティライナーが続けてやってくる。どの程度の乗車があるか、ある意味で注目に値する。83号の状況を見ると、2〜3割程度の乗車というところか。新スカイライナーと比べれば大きな段差があることは確実で、閑散期には空気輸送なるとも想像されるが、最混雑期の輸送力列車と割り切れば、相応の機能を果たしているとはいえそうだ。

【スカイライナー25号】こちらは八割方というところ
次のスカイライナー25号も混んでいた。ただし23号よりは空席が目立ち、八割方の席が埋まったというところ。



【本線経由の特急】速達性を優先しない渡航客は決して少なくない
一番ホームだけが混んでいるわけではない。二番ホームでも、スーツケースやキャリーバッグを持った渡航客が目立つ。たとえ時間がかかっても、安価な移動手段で行きたいという需要も根強く存在することがうかがえる断面である。
新スカイライナーによる大幅な時間短縮が実現し、大きなインパクトが生じた成田空港アクセス輸送。鉄道(京成・JR)・バス・自動車などによる分担率に変動が生じることは確実である。新スカイライナーが伸びるのは当然として、どの程度の幅で伸びるのか。分担率が下がるモードはバスか自動車か'NEXか。それとも前泊・後泊が減るというように、行動形態そのものが変わっていくのか。刮目して速報を待ちたい。
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