豊橋鉄道しょーと・とらっく

豊橋付近鉄軌道路線図
■元気軒昂な路面電車
新川にて
豊橋鉄道東田本線は、近頃珍しい「路線を伸ばし続けている」路面電車だ。路面電車が全国的な衰勢にある昭和35(1960)年に赤岩口まで延伸し、さらに昭和57(1982)年には運動公園前延伸を実現した。その間に柳生橋線が廃止されるなど、決して順風満帆というわけではないにせよ、近頃では豊橋駅前広場への乗り入れをも果たした。あわせて架線のセンターポール化など、都市景観への配慮もされている。
今日もなお元気軒昂な路面電車、それが豊橋鉄道東田本線である。
■飛ぶがごとく
駅前にて
駅前から颯爽と駆け出してくる3201(もと名古屋鉄道美濃町線 584)。駅前に到着した電車は、まるで親の仇にでも出会ったかのように、飛ぶようなすばやさで引き返していく。この写真、手ブレがたまたまうまく流れて、速さを強調することができた。
■元気の源
路面電車が元気であるためには、当然ながら利用者がいなければならない。朝のうちの様子を見ているにつれ、元気の源がなんとなくうかがえた。ひとことでいえば、この路面電車は天賦の条件に恵まれている。
駅前にて
まずはこの写真。撮影時間帯は 7時前。豊橋市内に通勤するには早すぎる時刻ながら、電車はこのように混んでいた。電車ばかりでなくバスもまた同様で、どの便も一車あたり20〜50名ほど乗っているようだ。こんな早くから何故これほどの乗車がと不思議に思えたが、冷静に考えてみれば豊橋は名古屋にほど近いのだ。この利用者群は、おそらく名古屋都市圏に通う方々にちがいない。
大都市のベッドタウンは、住むには快適であっても、「都市」としての魅力に欠けるといわざるをえない。豊橋駅前のなんとなくさびしい雰囲気の理由が、この一事から見えてきたような気がする。しかしその一方で、路面電車にとって経営上ありがたい現象であることも否定できない。本来は閑散としているはずの時間帯にも、数多くの利用者がつくのだから・・・・・・
駅前にて
朝 8時台になればこの様子。駅前に着く電車も混んでいるうえ、折り返す電車は高校生を満載して発車する。両方向にラッシュがあり、しかも(豊橋鉄道にとっての)時差通勤ラッシュもあるとは、ほとんど理想的な輸送体系ではあるまいか。
■柳生橋線あと
廃止された柳生橋線はの跡は、バスでなぞってみただけに終わった。車窓からうかがうに、どうやら単線の軌道敷が中央分離帯になったようで、一部に線路跡が路面に浮かんでいるような箇所もあった。再訪の機会があれば、歩きで確認してみたい。
■渥美線は
残る渥美線はといえば、敢えて詳しく記さない。柳生橋の旧さに出会い、ただただ感じ入ってしまったことだけを伝えておく。
確かに利用者は多い。宵闇の時間帯でも、両方向に通じる利用者が多数いる。それだけの背景があってこれほど時代がかった古色蒼然とは、絶句するしかないのである。
柳生橋にて
■執筆備忘録
訪問:平成15(2003)年秋
執筆:平成15(2003)年冬