鳴門線朝ラッシュ賦
先日ちょっとしたきっかけがあり、鳴門線に乗る機会があった。その時の様子を、利用者数の計測に写真を交えつつ、記しておくことにする。
鳴門駅はなかなか広闊な造作である。駅前の立派な椰子の木は、温暖の地に立つという印象を際立たせる。今年は残暑が厳しく、陽射しに映える風景ではあった。
鳴門 7時32分発の徳島行に乗車する。改札口を抜けていく利用者を遠目に数えてみると、およそ 180名が乗車したようだ。ただし、この中には筆者を含む「特需」も30〜40名程度あり、日常的な利用者は残り140〜150名、うち通学と通勤が半々というところだろうか。列車は47系 3連で、鳴門線内は先頭 1両がドア扱いしない輸送力列車となっている。
先頭車の一席から、各駅での乗車数をながめてみる(降車数は各駅とも確認できず)。撫養では15名、金比羅前では20名、教会前では14名、立道では12名の乗車があった。各駅とも利用者数は決して少なくないものの、目立つほど多くの乗車があるわけでもない様相である。始発鳴門での乗車がなければ、バスでさばける程度の需要でしかない。阿波大谷では 4名乗車と、ここでの利用者数は突出して少なかった。
高徳線と合流する池谷のホームには多数の高校生が列車を待っていた。この多くは鳴門方面への通学のようで、実際の乗車は15名程度にとどまった。
勝瑞ではおよそ60名のまとまった乗車があった。その一方で、多数の高校生が降車していった。これは駅至近の徳島北高校に通う学生のようだ。次の吉成でも50名程度の乗車があり、また高校生の降車が見られた。
吉野川を長い鉄橋で渡っていく。眺望にすぐれたこの区間が最も混雑しており、車内は下の写真のような様子。混んではいても、クロスシート車特有の現象ともいえる。居心地悪いほどの混雑ではないし、また混雑区間の乗車時間もけっして長くはない。
高架区間の佐古では 100名近い多数の降車があり、乗車も30名ほど見られた。もう次は終点の徳島、短い旅程はあっけなく終わった。
同列車の乗降バランスを瞥見する限りでは、徳島都市圏の流動はコンパクトで、吉野川という自然の障壁を超えるためだけに鉄道が利用されている可能性が大きい、などの状況がうかがえる。実際のところ、吉野川をはさんでパーク・アンド・バスライドも行われているようだ。ということは、吉野川に多くの橋が架かっていれば、鉄道など見向きもされない懸念さえあると考えられる。
実際のところ、鳴門−徳島間には徳島バスがかなりの高頻度で運行されている(徳島着基準で毎時 4本以上)。その一方、鳴門線の運行は毎時 1本程度にすぎない。即ち、鳴門−徳島間の移動はバスが基幹であり、鉄道がバスを補完していると見ることも可能であるし、むしろそう理解する方が正しい。
鉄道はその大きな器を持て余しているのか、それともラッシュ時に特化した巧い「使いこなし」が可能なのか。地方での公共交通を考えるうえで、興味深い題材の一つであろう。
執筆備忘録
訪問:平成15(2003)年初頭・初秋
執筆:平成15(2003)年末