呪文でチャームアップ


―未公開資料で辿る空モモ呪文が決まる迄―

 「魔法のプリンセスミンキーモモ」は1982年3月18日にテレビ東京でその第一回が放映され、それを見た私はいろいろな部分で衝撃を受けた。
 その事はひとり私に止まらず、同様に衝撃を受けた多くの人がいる筈だ。
 そして、その幾つかの衝撃の一つに、あの独特で長大な呪文、
「ピピルマピピルマプリリンパ パパレホパパレホドリミンパ」
が含まれていた事は紛れもない事実であろう。
 このページは、あの呪文が確定するまでの過程を、資料に基づいた考察で追っていく試みである。
 尚、以下の考察を補完する、または覆す新たな資料を求めている。
 そういう資料をお持ちの方、また間違いや補足事項を見つけられた方は、メールまたは掲示板夢のミンキーボードでお知らせ願う。

 TVアニメの各話が作られるには、いろんな人の手が必要であることは、このページを御覧になる様な方は大体は御存じだろうし、それらの人々の間の意志の疎通を図る為には様々なドキュメントが必要である事も言う迄もない。
 また、実際の放映に先立ってかなり前からそんなドキュメントは作られ、いろんなフェーズの作業が、各話平行して行われている事も周知のことであろう。
 しかし、アニメに限らず、どんなプロジェクトでも、決まっていなければならない事が最後の最後迄決まらないという事も日常茶飯事である。
 従って、ミンキーモモ放映初期のそういったドキュメントでは、非常にレア且つドラフトな設定を垣間見る事が出来る。
 ここではそういう資料を追う事で、化石を分析して進化の過程を詳らかにするが如くに、ミンキーモモの呪文の変遷を辿っていく。

 サンプルとしては、第二話「メガネでチャームアップ」を選んだ。
 理由は、先ず最初期の話数で、資料による呪文の変遷が分かり易い事。これ以降の話数の資料には、いちいち呪文が書いていない。「モモ、変身する。」等の記述でおしまいである。「メガネでチャームアップ」では、呪文を唱えるシーンが二ヶ所あるというのも重視したい。
 二ヶ所とは、一つがAパートにある、犬のメリジェンを人間の女の子に変身させるシーン、もう一つはBパートにある、モモがメガネを掛けたモデルに変身するシーンだ。
 もう一つの理由は手持ちの資料が豊富である事。絵コンテ以外の関連資料は揃っていると言えるのが大きい。第一話も、選択するに足る良い条件を備えているのであるが、如何せん私の手持ちの資料が殆ど無いというのが痛い。
 決して「Charm-up with THE CHARM」という英語版オヤジギャグが使えるからというのが理由ではない。(^_^;)

 前置きが長くなったが、とにかく手持ちの資料から各々二ヶ所ある呪文を唱えるシーンをピックアップしてみよう。
 先ずは脚本原稿である。これは実際の原稿用紙に肉筆で書かれたものをコピーしたものだ。
 タイトルは「魔法の冒険妖精モコミンキーモモ No2 モデル編 モモの笑顔は百万ドル」(土屋斗紀雄)
 表記は出来るだけ原本に近づけた。題名や作者名に疑問を持たれる方もおられるだろうが、これは事実である。

 Aパートにある変身シーン(以下Aパート)は、
 「ヤー、チャイ、マーバットン、プルルオフ」
とある。
 Bパートにある変身シーン(以下Bパート)は、
 「ヤー、チャイ、マーバットン、プルル、オフ」
とある。

 この文句は没呪文としては結構有名で、放映と同時に週刊少女コミックに連載されたみさきのあの「魔法のプリンセスミンキーモモ」に後ろの方の一部の「プルルオフ」が使われている。
 次はシナリオ本(リンク先は表紙の現物が手に入っていない為第3話の物を使っている)。これは空モモの場合は、基本的に脚本原稿をその儘ガリ版印刷に起こしたものなので、ほぼ脚本原稿と同じになる。
 タイトルは、「魔法のプリンセスミンキーモモ モデル編 モモの笑顔は百万ドル」である。

 Aパート「ヤー、チャイ、マーバットン、プルルオ」
 Bパート「ヤー、チャイ、マーバットン、プルル、オフ」

 基本的に同じと言いながら、いきなりAパートの最後が違うが、これは脚本原稿に書かれた呪文の最後の「フ」が見えにくくなっている為、ガリ版に落とした人が見落としたものと思われる。
 次に絵コンテという事になるが、これは残念ながら所有していないので、これにはどう書かれているか分からない。もし、御存じの方がおられれば御一報願いたい。
 資料の最後は録音台本である。これは声優がアテレコの際に使用する台本で、AR台本と言われる事もある。
 タイトルは、「魔法のプリンセスミンキーモモ メガネでチャームアップ」である。

 Aパート「ピピルマピピルマドリミンパ、パパレホポレホ、フーランパ」
 Bパート「ヤーチャイ、マーバットン、プルルオフ」

 Bパートは読点が少ない以外は今迄と同じだが、Aパートが大きく違っている。こちらの方が決定版に近い事から、Bパートの方が直し忘れではないかと思われる。
 「ヤーチャイ、マーバットン、プルルオフ」という呪文はこれ迄も幾つかの文献でその所在が明らかにされてきたが、「ピピルマピピルマドリミンパ、パパレホポレホ、フーランパ」は、初めて御覧になった方も多いと思う。
 これは、多分、印刷物としてはこの録音台本の一行に書かれたのみであろう事に由来していると思われる。
 それにしても、第2話の録音台本に至ってもまだ呪文が決定していないという事は、本当にぎりぎりになって漸く決まった呪文だったという事を如実に物語っている。
 このAパートの呪文が更に決定版に迄変更になったのには、「フーランパ」というフレーズが、魔女っ子チックルで使われていた「マハール ターマル フーランパ」という呪文と重なるという事が、直前に分かったという事情があるのではないかと推測される。
 なお、海モモの呪文決定のエピソードについては、「南極二郎のモモやま話」を参照されたい。

 Special thanks
 シナリオ提供:片山敬一さん(元「魔法のプリンセスミンキーモモ研究会」代表)
 脚本原稿提供:尾手下箸熾さん(元「モモちゃんFC」会長)

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