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多極型の地域構造について ●基調講演「多極的な国際金融センターの育成」 谷口驪` 財務副大臣 ご紹介に預かりました、財務省、副大臣の谷口です。 我が国の金融資本市場は、内外取引の自由化や総合的な改革の実施等によって、制度的には充分に整備されたも のとなっていると評価されております。しかしながら世界におけるその地位は、低下傾向にあるといわざるを得ない面 があります。さらには経済成長著しいアジア諸国の追い上げもあり、我が国市場の地盤沈下に拍車がかかる可能性も 指摘されています。こうした中において、我が国市場の国際化を進め、世界における主要な金融センターとして育てて いくことが、我が国にとって極めて重要な喫緊の課題のひとつとなっています。 我が国では、国際金融センターは東京に一極集中しているといわれていますが、我が国の金融資本市場全体として 発展するためには、東京以外にも国際金融センターを育成していくことが極めて重要です。国際金融センターを育成し ていくためには、欧米の国際金融センターに追随するということよりも、世界に先駆けた様々な取り組みに挑戦していく ことが非常に重要です。まず進取の気性を持ってやっていくということが不可欠ではないかと考えています。そういう意 味において、ここ大阪は我が国の商業の中心地として進取の気性が培われてきた地です。例えば17世紀前半、米穀 取引をもとにした証券化の手法を開発し、世界で最初の整備された先物市場が成立しているわけです。 国内的に見ると、都市開発を念頭に入れた沿線開発、このような観点での郊外電車、また地下街等の基礎的なイン フラがあります。このようなことから、スイミングスクールのような身近な施設に至るまで、大阪から全国に広がったとい う例は、枚挙にいとまがありません。最近では、我が国最初の24時間空港が大阪で開港したわけです。 したがってこうした進取の気性に溢れている大阪は、我が国における国際金融センターの育成に向けたシンポジウ ムにまさに打ってつけの場であるといっても過言ではありません。大阪においては、大阪府、大阪市、関西経済連合 会、関西経済同友会等、14の自治体と団体によって設立された「大阪における国際金融機能強化のための推進連絡 協議会」が、長年にわたって活動を続けておられ、このシンポジウムの共催をいただいています。そして、この後にパ ネルディスカッションが行われますが、このパネルディスカッションにおいては、本間正明・大阪大学大学院教授にコー ディネーターをお願いし、内外の学会、また金融界の有識者の方々に加えまして、大阪の地元財界からも、松下正幸・ 松下電器副会長のご参加をいただきます。 大阪では、今を去る130年前の明治8年に、大久保利通らが参加して、今日の我が国の立憲制度の基礎を確立す ることになった大阪会議が、今回のシンポジウムの会場であるこの大阪商工会議所にほど近い北浜の「花外楼」にお いて開催されました。この大阪会議がそうであったように、このシンポジウムが大阪の経済の活性化に貢献するのみな らず、我が国の今後の飛躍の礎を築く一つの大きな契機となることを、心から期待しています。 我が国の金融資本市場の国際化を進め、国際金融センターとしての機能が改善されることになれば、大きなメリット が期待されます。企業にとっては円滑かつ効率的な資金調達が容易になるわけです。また投資家にとっては有利な資 金運用の機会が増加するということになります。また金融サービス産業のみならず、会計、税務、法務等の関連サービ ス産業の発展が促され、我が国経済の発展に資するものと考えられるわけです。さらに人の往来と資金の環流は、地 域開発をより一層進めることになり、経済に与える影響も極めて大きなものがあります。また我が国市場を通じた資金 の流れが、拡大していくことにより、グローバルな資金配分の適正化が促され、世界経済の安定的な成長にも貢献す ることが期待されるわけです。 財務省においては、昨年、私が財務副大臣を拝命いたしましたが、その後、塩川財務大臣に進言申し上げて、円の 国際化を推進するとともに、我が国の金融資本市場を国際化させるため、幅広い取り組みをしています。特に昨年の9 月から本年の7月にかけて、「円の国際化推進研究会」、また本年の3月から7月にかけて、「我が国金融・資本市場 の国際化のための研究会」を開催し、現実の金融証券取引や、マーケットの実体に即した多岐にわたる有益な提言を とりまとめていただきました。こうした研究会の提言をふまえて、早急に対応すべく、本年7月より我が国のオフショア市 場の機能の拡充をしました。これはかつてないスピードです。証券会社等のオフショア市場への参加を認めるとともに、 海外企業の発行する債券、デリバティブ商品等の取扱を解禁したわけです。また最近では、円建て貿易の円滑化の取 り組みを開始しています。この関連で申し上げると、私は財務省を代表して、日本銀行の金融政策決定会合に出席し ています。この場において、貿易金融の円滑化に向けて、アジアの企業と日本の企業との間に生じる債権を担保にし た、円建てCP市場の創設及び育成について、日本銀行の協力を要請しています。またさらにアジアにおいては、通貨 危機の再発を防ぐために、域内の貯蓄を有効に活用し、成長著しいアジア諸国が必要としている安定的な長期資金を 供給することが求められているわけです。そのために、ASEAN諸国と日本、中国、韓国の3ヶ国で構成されている「A SEAN+3」財務大臣会合の枠組みにおいて、私はこの3月にASEAN+3各国の代表の参加するセミナーにおいて 提唱したわけですが、これがきっかけとなって、アジア債券市場の育成に向けたイニシアティブが強力に推進されてい るところです。 トップページにもどる 我が国の金融資本市場の国際化は、こうしたアジア債券市場の一助となることが期待されています。私は先月、東南 アジア諸国を歴訪して、首相、財務大臣、中央銀行総裁等と意見交換会を開きました。アジア債券市場の育成につい て意見交換をしたわけですが、その中では、アジア債券市場の育成に向けて、我が国が主導的な役割を果たしていく ことについて、また円の国際化について、強い期待が表明されたわけです。 我が国の金融資本市場を国際化し、国際金融センターを形成していくために、さらなる取り組みが必要であると考え ています。そのためには各市場がビジネス環境の整備等において、健全な競争を行っていくことにより、金融サービス 産業全体の発展が促され、ひいては市場全体の利益につながることが望まれるわけです。 私は昨年、欧州に参って、国際金融センターとして発展著しいアイルランドのダブリンを視察したことがありますが、 欧州においては、通貨統合の影響もあって、各市場がその向上を競っており、それが欧州の金融資本市場の活力の 元になっているわけです。いうまでもなく金融証券の分野は、グローバル化、またIT技術の発展により、集中化が否定 できないわけです。だからこそ各市場が危機意識を持って、それぞれの市場環境の向上に取り組むということが、市場 全体の活性化につながるものと考えています。 例えば、アメリカにおいては株式取引はニューヨークに集中しています。しかし金融先物取引のデリバティブ取引につ いては、シカゴが商品先物に関する歴史的な蓄積からニューヨークをしのぐ地位を占めています。他方、資産運用では ボストンが大きな存在感を示しています。また英国においても、ロンドンへの金融取引の一極集中が生じているわけで はありません。エジンバラのようなスコットランドにも投資信託等の資産運用サービスの集積がみられ、世界有数の資 産運用のセンターとなっています。 また政策的に見ても、市場の一極集中にはリスクが伴うことを考えると、例えば東京と大阪とが役割分担を行い、西 日本の中心である大阪が一定量を担うということは、国土形成上も望ましいのではないかと考えます。そのような観点 で、多極的な市場が形成されていくことが望ましいと考えています。 多極的な国際金融センターの整備のためには、それぞれの市場の特性を活かした取り組みが必要になると考えられ ますが、基本となるのはそれぞれの市場が、その位置している地域と一体となって、自ら積極的に取り巻く環境の整備 につとめ、自ら創意工夫を重ね、IT環境やインフラ整備の面において、具体的な努力を積み重ね、グローバルな競争 の中で拡大していくことではないかと考えます。 そのための具体的な取り組みの例としては、次のようなものがあると考えられます。 一つは、研究・教育機関を中核とした国際金融センターの自治体による整備ということです。国際金融センターの育 成を目指す地域が、金融取引に関する教育や研究について、国際的に認知されている機関や施設を誘致していくこと が極めて有益です。例えばニューヨーク、シカゴあるいはロンドンといった国際金融センターにおいては、国際金融取 引やそれに関連する法律、また会計実務に関する教育に重点をおいたビジネススクールや、ロースクールが開設され ています。そうした施設に付随して金融取引にかかる先端的な研究を行う機関が設置されています。こうした研究・教 育機関が誘致されれば、それを中核として最新の金融工学に基づいた新金融技術や、新金融商品の開発拠点に発展 するとともに、国際金融にかかる国際的な人的ネットワークの形成とも相まって、金融機関、証券会社、会計事務所、 法律事務所等の、金融サービス産業及び関連サービス産業の集積が期待できるものと考えます。 二つ目は、国際金融センターとしての機能の集積です。国際金融センターは、その利便性を高めるため金融機関や 取引所等の関連機関が、集積された中心地区を形成していくということも必要です。例えばロンドンにおいては、シティ ーと呼ばれる1マイル四方の地区に国際金融センターのほとんどの機能が集積されています。またニューヨークにおい ても国際金融センターとしての機能は、マンハッタン南部のウォール街を中心とした地区に集積されています。こうした 中心地区への機能の集中は、関係者間の交流や情報交換を容易にすることにより、その利便性を向上するだけでは なく、国際金融センターとしての付加価値が高まり、さらなる機能の集積を促進していくという効果が期待できるわけで す。 三つ目は、地域の産業の特性を反映した金融取引の振興ということです。国際金融センターを育成していくために は、地域の特性を反映した金融取引を活性化させることが有効であると思われます。例えばアジアとの関係の深い地 域においては、我が国とアジアとの貿易に伴う、我が国の企業やアジアの企業との債権を担保とするコマーシャルペー パー市場、いわゆるABCP市場の創設等が考えられるのではないかと考えます。特にこうしたABCP市場について は、地域の企業との取引を通じ、そのリスクを認識している地域の金融機関が主体となって参加するということが、最も 適しており、こうした金融機関が参加することで、地域に根付いた市場の形成が可能になると考えられます。もちろんこ うした新しい市場の創設には、ある程度の発行額が確保されるということが前提となるわけです。そのためには自治体 の方々から地域の中小企業に対してその利用を呼びかけていただくというような、地元の努力が必要だと思っていま す。 次に四つ目ですが、国際会議や国際機関の誘致ということです。地域の金融市場を国際金融センターとしていくため には、様々な国際金融上の活動や情報を集積していくということが不可欠です。国際会議や国際機関を誘致するという ことは、こうした情報や活動を蓄積していくきっかけとなるわけです。地域がその特性等を活用して、国際会議や国際 機関の誘致に積極的に取り組んでいくことは、この意味において大変重要です。また研修の定期的な開催に努めるな ど、国際機関の機能を誘致することも考えられるのではないかと思っています。 以上、申し上げましたように、我が国においても欧米の主要国と同様に多極的な国際金融センターが競い合って成 長していくということが、我が国の経済のみならず、アジア経済さらには世界経済にとっても有益であるものと考えま す。 トップページにもどる 大阪はそのための資質を備えているものと思っています。まず大阪においては以前より多くの大学や研究機関が存 在し、経済分野でも数多くの研究成果を残されている研究者がたくさんいます。こうした蓄積を活かしながら、国際金融 取引にかかる先端的な研究を行う機関や教育施設の誘致に積極的に取り組んでいただくことで、大阪の国際金融セン ターとしての機能と地位の一層の向上が期待できるのではないかと考えています。さらに大阪では、主要金融機関の 本店や取引所は北浜、御堂筋を中心に既に集積が見られますが、こうした地区、あるいは、現在、開発が進められて いるベイエリア地区において、24時間空港である関西国際空港によるアクセスの良さとの相乗効果によって関連施設 のさらなる集積を図ることができれば、国際金融センターとしての競争力を高めていくことが期待できるのではないかと 考えます。また大阪は歴史的に見てもアジア地域とのつながりが深く、アジア域内との貿易取引を行う企業も多く存在 することから、こうした特性を反映していくことが期待できるでしょう。アジアにおいては域内の債券市場の育成に積極 的に取り組んでいるところであり、こうしたアジアの玄関口という特性を活かせられれば大阪において国際金融取引が 活発になっていくことが予想されるわけです。国際会議等の誘致においては大阪は既にAPEC首脳会議やアジア開発 銀行の総会を開催した実績に加えて、アジア開発銀行、関西経済連合会および大阪商工会議所の主催によるアジア 開発銀行セミナーを毎年開催しているという実績がありますが、ユニバーサルスタジオジャパンといった大阪の最新施 設に、京都、奈良といった古都を抱える大阪の豊富な文化遺産を加えた観光資源、さらには海外、特にアジアとのアク セス面の有利性を活用し、国際会議の誘致を積極的に行っていくことが期待できると考えています。 また国際機関の機能の誘致としては、来年、アジア開発銀行が大阪で予定している研修をご紹介いたします。これは アジア諸国のハイレベルの貿易担当者を大阪に招いて、WTOでの多国間交渉に、発展途上国が全面的に参加でき るよう支援することを目的として行う研修ですが、これも大阪府、大阪市、地元経済界などの地元の方々の協力を得な がら実施するという、これまでにない新たな試みです。このADB、アジア開発銀行のことですが、ADB大阪WTOハイレ ベル会合のような取り組みが積み重ねられることにより、大阪の国際金融センターとしての機能が強化されることを期 待しています。 終生大阪にあって我が国の歴史を見つめ続けた司馬遼太郎氏は、明治の初期に大阪に商業新聞が発刊され、その いくつかが全国紙に成長し、我が国新聞界をリードしていることをもって、「情報が商品であることを証明したのは」大阪 であるとしています。情報が商品であったということは、情報産業の最先端である金融資本市場が機能していたという ことの証左でもあるわけです。 この大阪において、金融センターとしてのさらなる発展に向けた努力が積み重ねられることが、我が国の金融資本市 場の国際化を進展させ、国際金融センターとしての機能の向上を図っていくために、極めて重要であると考えていま す。大阪をはじめとして、我が国の金融資本市場が一層の発展を続け、我が国に多極的な国際金融センターが形成さ れることを祈念して、この基調講演の結びとさせていただきます。 ご静聴ありがとうございました。 トップページにもどる ●来賓挨拶@ 鈴木重信 大阪府副知事 副知事の鈴木です。木津信を含めた信用組合の破綻の整理に携わっていたので、金融機能の低下がいかに地域に 影響を及ぼすかよく承知しております。そういう意味で、金融業は国家的な戦略産業だと思っています。今、金融業の 収益環境が非常に厳しい環境にありますが、一日も早く復活をして、そして大阪でこの国際金融を含めて、そのパワー を発揮していただきたいと思います。知事から挨拶を預かってきておりますので、代読します。 本日は、国内外の有識者の方々に加え、一般からも多数の参加者を得て、このように盛大に開催することができ、大 変嬉しく思っております。また、シンポジウム開催に当たって谷口副大臣をはじめとして、財務省の皆さまのご尽力とご 協力に心から感謝申し上げます。 さて、今回のシンポジウムは「多極的な金融センターの育成」がテーマとなっています。諸外国の例を見ると、アメリカ では、ニューヨークやシカゴ、あるいはボストンといった各都市が、取引形態ごとに市場、金融センターを形成していま すが、ヨーロッパではロンドンに対してフランクフルトがもう一つの金融センターを目指しているなど、国際的な経済取引 が加速する中で、厳しい地域間競争が行われています。 東アジアにおいても、我が国の東京が、香港やシンガポール、さらには成長著しい上海と伍してアジアの国際金融セ ンターとしての地位を中、長期的に保持することは決して楽観できる状況にはありません。経済の中枢機能ともいえる 金融面の拠点機能の確保は、我が国の国家戦略上、真剣に育成、発展に努めるべき課題ととらえなければなりませ ん。 一方、大阪はといえば、既に1987年に大阪の国際金融機能の強化に関する推進連絡協議会を立ち上げ、例えば 大阪証券取引所において我が国初の先物取引市場を創設されるなどの取り組みを進められ、先物取引、オプション取 引では、現在でも日本随一の実績を有しています。世界初の先物取引といわれる帳合米取引の例に習い、大阪証券 取引所では引き続きこうした先進的な取り組みが進められていますが、バブル経済の崩壊以降、大阪では関西を代表 する銀行や証券などの中枢機能が東京へ移転する動きが一段と加速し、金融サービス機能が低下しつつあるという、 非常に厳しい状況におかれているのが現実です。このため大阪府としては、まず産業の再生、都市の再生、府政の再 生に取り組みその潜在力を掘り起こして、実体経済の再生化につとめているところです。加えて今後大阪が、国際経 済の分野でもその経済にふさわしい役割を発揮していくためには、先人の知恵と工夫に学び、大阪らしい新しい取り組 みを不断に継続していくことが重要です。 本日のシンポジウムでは、このような観点から、過去と現状をふまえつつ、有意義の議論がなされることを期待してい ます。 最後となりますが、この会が、大阪と関西の再生へとつながる第一歩となることを祈念して、挨拶とさせていただきま す。 平成15年9月10日 大阪府知事 太田房江(代読) トップページにもどる ●来賓挨拶A 磯村隆文 大阪市長 多極的な国際金融センターの育成に関するシンポジウムがこのように盛大に開催されることを心からお喜び申し上 げます。皆様方には平素から、経済施策の推進をはじめ大阪市政の各般にわたって格別のご理解、ご協力を賜り、厚 くお礼申し上げます。 近年の経済、金融活動のグローバル化に伴って、金融資本市場の国際化を目指す我が国としては、多極的な市場、 金融センターの育成が図られようとしています。こうした中、先物取引市場の発祥の地として我が国の産業、経済、金 融の発展に大きな役割を担ってきたここ大阪において、多極的な国際金融センターの育成を目指すこのシンポジウム が開催されたことは、誠に意義深く、財務省をはじめ開催に力を尽くされた関係の皆様方に深く敬意を表する次第で す。 大阪市では、大阪の持つポテンシャルや蓄積されてきたノウハウを活用して、次代を担う新しい事業や産業の創造に 力を注ぎ、大阪におけるビジネス展開の威力向上を図るなど、内外から企業を誘致し、中小企業の競争力を強化する 施策をはじめ、新しい時代にふさわしいたくましい大阪の創出を目指しています。 今後とも、関係機関や経済界との緊密な連携のもと、大阪関西の金融市場の国際化と、産業経済の再生と発展に資 するよう努めて参りますので、皆様方のお力添えを賜りますよう、お願い申し上げます。 本シンポジウムが大きな成果を収めますよう、またご臨席の皆様方のご健勝ご多幸、ご活躍を祈り申し上げて、私の ご挨拶といたします。よろしくお願いいたします。 トップページにもどる ●パネルディスカッション <司会:本間正明氏(大阪大学大学院教授)> 谷口副大臣の基調講演をいただき、これからパネリストの方々と一緒に多極的な国際金融センターの育成に関する シンポジウムを始めさせていただきます。 私は今日は完全なコーディネーターに徹したいと考えており、おそらく私をコーディネーターにしたことは、あまり余計 なことを言うなということだろうと思いますので、時間ももったいないので早速、皆さんにお話いただきたいと思います。 実は、このシンポジウムの土台となった研究会の委員長を務められました吉野直行慶応大学教授は、今日、関空に チューリッヒから戻られたばかりで、時差をおそらく抱えていらっしゃいますが、現場のお話を持って帰られて、さっきも おもしろいお話を伺いましたので、口火を切っていただきたいと思います。よろしくお願いします。 <パネル報告@:吉野直行氏(慶応義塾大学教授)「国際金融センターの多極化の意義・必要性」> ただいまご紹介いただきました吉野です。今、本間先生からご紹介いただきましたが、実はブルネイでPECCという 国際会議があり、それからコペンハーゲンで講義をして、チューリッヒに行って、今朝、帰ってきました。それでアジアと ヨーロッパを回ったので、せっかくなので、そのお話も含めながら、いかに日本の金融業を強くしていったらいいかとい うことをお話しさせていただきたいと思います。 ここ(資料1頁)にタイトルとしては「我が国の国際金融センターの地位向上をめざして」と書いてありますが、これは財 務省のホームページを見ていただくとその報告書が出ています。それから谷口副大臣が、ほぼこの基盤をふまえなが らお話しいただいたので、今日は少しこれに加えさせたお話をさせていただきたいと思います。 これ(資料2頁)は日本経済の、1970年代から今日までの動きですが、ポイントは、日本経済が相当弱くなってきて いることです。こうした中で海外に行くと、昔は日本に対する興味が非常に大きかったわけです。ところがコペンハーゲ ンやスウェーデンとかに行くと、半分以上は、中国はどうなっているのかといったことが非常に高い興味となってきてお り、だんだんとこのまま日本が衰退したのでは日本に対する興味はなくなっていくのではないかと心配します。これはア メリカでも同様のことがいわれますが、ヨーロッパに行っても同じように感じました。その中でいろいろ聞かれているの は、先程大臣がおっしゃいましたが、金融は情報の生産だということだと思います。特に私がチューリッヒで話をしてい た時に、オランダ人やフィンランド人が、日本に一度も来たことがないのに日本経済のことを非常によく知っている。「こ の2、3週間の数字で見ると、日本経済は少し動いてきているけれど、今後日本に投資していいのか、国際市場はどう なるのか」という質問を非常によく受けました。しかし今後、日本の金融業で必要なことは、いかに情報を取るかという ことが必要だと思います。 これ(資料3頁)はアメリカの産業構造を示したものですが、黄色いところが金融・保険業です。それから通信や製造 業、サービス産業がありますが、通信産業それ自身は金融業・保険業を支えているわけですが、大きな生産の付加価 値を生み出しているのは、やはり金融・保険業が非常に大きく占めてきています。それからイギリスも、今日は示しませ んが全く同じです。イギリスの場合も製造業が下がってくる中で、金融業、サービス産業がそれを補填するという形で経 済が成長しています。 これ(資料4頁)が日本の場合ですが、97年ぐらいから製造業が特に、黄色いところで見にくいですが、下がってきて います。これは円高になってから製造業がどんどん外に出ていって、そこが5%程度、生産のシェアーが下がってきて います。ところがそれを補うセクターが出てきていません。下の方に緑の線で、下から3番目ぐらいが日本の金融・保険 業であり、アメリカやイギリスと比べるとその生産高は非常に低くなっています。つまり日本がこれからやらなければな らないことは、強い製造業をさらに強くすることも一つですが、やはり金融サービス業、特に金融業でどうしたら稼げる だろうかということを作ることが重要だと思います。 これ(資料5頁)は我が国の家計の資産配分を示したものですが、一番下の黒いところが現金です。下から2番目の 白い線が普通預金、真ん中の非常に太いところが定期性預金、それから2つ上の非常に分厚いところが保険です。ご 承知のように日本人はほとんど預貯金、それから保険だけで運用している、つまりリスクを取らないようにしながら、そ れで資産運用をしようというのが、これまでの日本人だったと思います。 よく私が金融のことを専門にしているというと、ある時に有名な女子大の先生が一緒にパネルにおられて、「金融のこ とでお金を儲けることは卑しい、預貯金するのが一番いいのだと教えている」と。やはりそういうことではない世界になっ てきているわけです。諸外国、特にヨーロッパ、アメリカはいかにして金を稼ぐか、そういうことで皆が必死になっている わけですが、日本人はリスクを取らないようにしようと、それでなんとか安全にしようとしています。こういう日本の文化 をこれから少し変えなければならないと思います。つまりリスクを取りながらいかにして自分たちが儲けられるかという ことだと思います。 その中で、どのようにしたら日本の金融業を活性化できるかということだと思いますが、日本人がなぜこうして安全資 産を好むかというと、一番の高い理由は、近くに店舗があるかどうかが1のところ、80.4%の方が答えています(資料 6頁)。ですから利便性が高いかどうか。それから6番目が安全な金融機関であるかどうか、この2つでほとんどを占め ています。これはマルティプル・チョイスなので、100%以上になりますが、そういう形で日本人はリスクを避けるという ことをずっと続けてきたわけです。 これ(資料7頁)は銀行の破綻の数ですが、預貯金は全額保証されている、それで銀行はリスクにさらされなければな らない、そうであれば不良債権が銀行にたまるのは当たり前です。そうでないようにするためには、やはり我々も投資 信託とかその他のリスクを抱えた資産に運用し、それを金融機関が使いながらいろいろ中小企業なり、リスクのあるプ ロジェクトに貸していくということが必要ではないかと思います。 これ(資料8頁)は見にくいかもしれませんが、金融分野での改革としてどういうことが必要かということです。まず第一 番目は貸出依存から関連ビジネスによる手数料の収入、つまり情報の生産ということです。これは国内の情報ばかり ではなくて、やはり日本の金融業がアジア全体の情報を発信できる。もしそれが大阪からできれば、必ず大阪は金融 の中心になります。それから先程大臣がおっしゃいましたように、国際的な会議をその国に持ってくるということは、非 常に重要なことです。 これは2つあって、ひとつはその国から発する情報があれば、諸外国の人がみんな集まってきます。ですから我々自 身が海外に対して発する情報を作り出さないといけないということです。2番目は、いろいろな国際会議が日本で開か れると、日本人がそこにたくさん出席できます。そこから学べることが非常に多いわけです。今回のチューリッヒの会議 は60人いましたが日本人は私一人でした。日本の金融業の方は、日本の中で不良債権処理などで非常に忙しいです し、だんだん収益も減ってきているのでそういう会議に出席する方も減ってきている。そうするとますます情報が入って こなくなるわけです。その会議での印象ですが、よく金融技術で日本は遅れているということですが、私がそこの会議で いろいろアメリカや、イギリス、ヨーロッパの方々が発表するのを聞いて、そんなにたいして難しいことをしているわけで はないというように思いました。ということは我々日本人が大学を中心に、あるいは金融機関の研究機関を中心に、新 しい金融商品や新しい金融情報・技術、こういうものの発信というものは、必ずやっていけると思います。つまり、製造 業が強かった日本がどのようなことをしていたかというと、いろいろな製品、非製品を研究開発しながら作っていたわけ です。これから必要なことは、金融業においてもやはり情報を作り出し、いい製品を作り出し、新しい金融商品を作って いくということができれば、大阪であろうが東京であろうが、そこは必ず情報の発信地になると思います。これこそが 我々大学がやるべきことだと思いますし、そしてその情報の発信によって諸外国の人達が東京に来たい、あるいは大 阪に来たいという形で、情報を取っていくと思います。シカゴ、ボストンが先程の大臣のお話のように、金融の中心とし ていろいろなことをしていますが、これはやはり金融技術の開発であり、大学との関連がずいぶんあったと思います。 そういう意味で、私は東京から来ていますが、大阪の大学でもがんばりながら、金融のいろいろな開発をしていく、我々 東京自身も、いろいろな大学の中から情報発信をする、金融機関がそういうことをしていく、こういう切磋琢磨の中か ら、やはり日本の金融業を強くするということが、今後の日本経済にとって、一つ必要なことだと思います。 これ(資料9頁)はアジアの経済成長率を示したものですが、97年のところで非常に落ちてきているわけです。今日 はタイからカニートさんが来られていますが、タイでは非常に通貨危機の影響が大きかったわけですが、この後V字形 の回復をしているわけです。これはやはりアジア各国でのいろいろな金融技術、日本からの新宮沢構想などによるい ろいろな支援、こういったものが相まっているわけですが、やはりアジア諸国の成長というものは著しいものがありま す。 これ(資料10頁)はアジア諸国の為替レートを見たものですが、為替レートもいろいろな国によって変動相場制、固定 相場制と様々です。もう一つのアジアでの議論は、どういう為替相場がいいのだろうかということです。よく最近では中 国があまりにも有利なように固定為替相場を引いているではないかという議論です。ですからアジアの今後の議論の中 では、為替制度のあり方というものがあると思います。 それから最後に貯蓄とか投資の比率をアジアで見たものですが(資料11頁)、アジアの特色は貯蓄率が高い、ほとん どの国で貯蓄率が高いということです。その貯蓄をアジア域内で回せば、うまく金融が回るというのがアジアの特色であ り、これはラテンアメリカと大きく異なっています。つまりどうしたらアジアの貯蓄がアジアで回るのだろうかということで す。アジア通貨危機で起こったことは、アジアの金持ちの方々の貯蓄が、アメリカやイギリスに行く、そこの金融センタ ーから短期でまたアジアにお金が戻ってくる、こういうことをしていたわけです。そんなことをしないで、何とかその資金 をアジア域内で回したい、こういうことです。もうひとつ、そのアジアで資金を回す時に、アジアの国々は日本と同様に銀 行中心の市場です。その銀行が不良債権を抱えて、タイでもそうですし日本でもなかなかお金がうまく回らない、それを 打破するためには、一つは債券市場を育成することです。そういうことからアジア域内での債券市場ということが最近 言われていることです。 これ(資料13頁)は、貸出と社債と株式の3つを比べたものですが、一番左側の銀行貸出が非常に大きいということ がわかると思います。一番下はアメリカですが、株式の比率が非常に高いのがわかると思います。 最後のこれ(資料14頁)は、日本の銀行のアジア向けの貸出の推移を見たものです。黒い線で95、6年から下がって いるのが日本です。それから波線のところでちょっと上がって下がってまた安定していますが、一番下がアメリカです。 それからその上がヨーロッパです。このように日本の銀行業というのは、アジアにずいぶん最初の頃は進んでいたの が、最近ではこのように下がってきたのです。つまりこれから我々がやらなければならないことは、やはり金融業の活 動をアジアでもっと活発化させる、それから情報を発信させる、こういうことが必要であり、これによって日本も、あるい は東京、大阪、いろいろな都市で市場を魅力的にすることが必要だと思います。 それから、最後は、中小企業の育成ということがアジアでももう一つ重要なことです。これは日本でも重要なことです が、最近日本ではそれぞれの金融機関が、資産運用能力を発揮してやると同時にCRDというようないろいろなデータ の収集が始まっています。それからいろいろな信用金庫、あるいは地方銀行でもデータの収集が始まっています。今後 はやはりそういうデータ分析に基づいた中小企業の審査、それからこれまでの担当者の勘、そういったものを見ながら やっていく、科学的なものとそれから経験、両方を作っていくということと同時に、預貯金だけで中小企業に資金を出す のではなく、やはり少しリスクを取れるようないろいろな投資信託なり金融の構造を作ることによって、そこからリスクが 取れる資金供給を作っていくことだと思います。 このことを日本がやれば、アジアの国々へのいろいろな伝播ということになると思うので、日本がやるべきことはたくさ んあると思います。 そして私は今回たくさんの国際会議に出て、日本人も今後うまくやっていけば5年以内には日本の金融業も再生でき るのではないかというように、感じた次第です。 時間の関係で以上とさせていただきます。 トップページにもどる <司会:本間正明氏(大阪大学大学院教授)> 吉野教授、極めていきいきとしたお話をいただきまして、ありがとうございます。 つぎは、タイからカリニート・サンスッパン博士をお招きしております。カニートさんから日本の資金の国際化、あるい は大阪への期待も含めてお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。 <パネル報告A:カニート・サンスッパン氏(タイ財務省財政政策研究所長)「アジアから見た我が国の金融・国際市場 国際化への期待」> ありがとうございます。 谷口副大臣、そして本間先生、吉野先生を始めとする出席者の方々、そしてご来賓の皆さん、今日はこうして大阪に 来られたことを嬉しく思います。私は一度、大阪に来たことがあります。最初の来日が、タイ航空が初めて大阪に就航 した時の記念式典の時だったと思いますが、以降、関西は様々な面で発展してきているように見えるので嬉しく思いま す。ただその最初の来阪以来、何度も日本には来ていますが、大阪を訪れたことはあまりありません。大阪の財界の 皆さんの前でこうしてお話をするのは今回が初めてです。もし今回の討論で、関西の今後の発展に少しでも資すること ができるのであれば幸いです。また谷口副大臣を始めとする主催者の方々には、ご招待をいただき、お礼申し上げた いと思います。私からは、吉野先生のご発表を踏まえながら3つの点に触れたいと思います。 まず最初に、多極的な国際金融センターということで、先般の研究会での吉野先生の「座長とりまとめ」に補足して私 の考え方を、そして次に、アジアから見た日本の国際金融市場への期待は何かということについて、アジアの国々で働 きながら海外から日本を見てきた経験を踏まえてお話ししたいと思います。私の持ち時間が10分ということなので、一 つ一つの点にあまり時間を費やすことはできませんが、最後に、3つ目として実際に皆さんの多くが関心を持っておられ るであろうアジア債券市場の進展についてお話ししたいと思います。 「我が国金融・資本市場の国際化のための研究会」での吉野先生の座長とりまとめにおいては、「多極的な市場/金 融センター整備」として、ます特に研究・教育機関の整備の必要を挙げられています。確かにそうだと思います。また地 域の産業の特性を反映した金融取引を指摘されていたこと、その中で特に中小企業の貿易取引債券を使ったABCP 市場の創設を指摘されていたことは重要です。更に、国際会議の招致、国際機関の研修等の機能の招致を挙げてお られます。これに加えて私の意見としては、新しい市場を発展させるには新たなリスクを扱っていくことが必要だと考え ています。既存の東京のマーケットに対して、大阪が真っ向から立ち向かうというのは、とても困難なことであり、賢明な オプションではないと思われます。また、日本全体にとっても最適なやり方ではないでしょう。新しいマーケットを成功さ せるには、伝統的なマーケットから専門的な知識を吸収しながら、新しいタイプのリスクや商品、デリバティブ取引など を取り入れていくことができるようなマーケットを考えることが必要ではないかと思います。既存のマーケットもかつては 新しいマーケットでした。その伝統的なマーケットが最初に発展した時には、新しいリスクを負ったものです。そしてその 中で専門知識を集積し、他のマーケットに比較して、そのリスクのコストを低減することにより優位性を確立するという 経験を経てきたわけです。例えば東京の市場が最初にできた際には、当時は誰も取りたがらなかった円建てのリスク を最初に扱ったわけです。いわば追従するというよりは、ニューヨークに対抗して、当時の東京が新しいリスクを取り、 なおかつその新しいリスクを最低限に抑えるために努力したことにより円ベースでのリスクアセットを扱う中心的な市場 になり、そのことにより円資産を扱う人々が集まり、情報の中心となったといえると思います。吉野先生の座長とりまと めで提言されておられた貿易債権を使ったABCP市場の創設についても、新しいリスクとして、大阪がマスターすること のできる典型的な例ではないかと思います。同じ枠組みにおいて大阪は新しい商品、例えばアジア通貨建ての資産、 まだどの市場も専門性を確立していませんが、こうしたアジア通貨建ての資産を扱う市場となることが一つの可能性と して挙げられるでしょう。ただこうした円以外のアジア通貨建て資産のプラットホームについては、東京、香港、シンガポ ールが競争していますが、ロケーション、インフラ等を考えれば大阪もその競争に加わることになるでしょう。日本にお いては私は東京が西洋側・米ドルにリンクをするのに対して、大阪が東洋側・アジア通貨建て資産とリンクを図っていく ということが、将来の一つの可能性ではないかと思います。 ただ、こうした新しい市場の開発において重要な役割を果たし、その試みが成功するか否かを左右するのは民間投 資家です。政府の果たせる役割には限度があると思います。民間部門の連携を助け、ノウハウの蓄積を支援し、ある いは必要なインフラを整備するということは政府ができるでしょうが、そうした役割にも限度があると思います。 次に、日本の金融資本市場の国際化におけるアジアの期待という点に移りたいと思います。ただ私がこれから申し上 げる意見は、私の個人的な意見です。したがってタイ国政府や私の勤務している財政政策研究所の見解を代表するも のではありません。率直な意見を言ったほうがいいと思うので、私的見解としてお含みください。 まず、アジアとしては、日本にはアジア全体としての金融資本市場の中心になってもらいたいと思っています。日本で は国際通貨としての円による取引が様々な面で大きく進展を見せており、大規模な取引が行われているとともに、こう した取引を効率的に行うためのすばらしいファシリティが既に存在しています。結論的に申し上げると日本の市場は既 に国際的なレベルに十分に達成していると思います。しかし私は真のアジアの金融センターとなるためには、日本のマ ーケットがアジアの金融の開発とともに進歩していく必要があると思います。つまりアジアで活動を行うことによって日本 は、いろいろな変化にうまくあわせて改善し、常に競争優位を維持していかなければならないと思います。 日本がアジア債券プロジェクトに参加する上で障壁があるとすれば、それは公的部門ではなく民間部門ではないかと 思います。谷口副大臣をはじめ財務省の皆さんにはこのプロジェクトに多大なご協力をいただいており、積極的に努力 していただいています。実際、私は、財務省の方々や吉野教授には自分の上司に会う以上に頻繁にお会いして、一緒 に仕事をさせていただいているのではないかと思われるくらいです。 ただ私の個人的な考え方としては、日本の民間部門は、他の香港、シンガポール、台湾などと比較すると、それほど 積極的ではなく、むしろ保守的な態度になっているのではないかと思います。最近の香港やシンガポール、台湾での投 資においては、「アジアンビット」ということがよく行われています。これはアジア通貨建ての債券や株券を積極的に取引 していくというものです。例えばバークレーキャピタルは、シンガポールの証券投資の中でもアジア通貨建ての資産証 券や株券が、より高い利息収入を生み出しており、さらに通貨の変動によって高い利益を上げることができるであろう と言っており、極めてポピュラーになっているといえるのです。投資銀行、あるいは機関投資家は、香港や台湾でも既 にこういうことをしているのです。日本の投資家もこうした可能性を積極的に探求することが必要なのではないかと思い ます。 さらに香港やシンガポールの投資家は、もっと地元通貨での債券を発行するように、直接私達に申し入れてきていま す。つまり結局は通貨リスクのバランスを図るには、通貨スワップといった金融技術を使わずとも、できるだけ多くのア ジアの現地通貨建て資産を持つことによってリスクを分散することも有効ではないかと香港、シンガポールの投資家は 考え始めているわけです。このため、民間投資家は比較的リターンの低い米ドル、ユーロ、円建ての資産からアジア通 貨建て資産に向かってきているわけです。 アジア通貨建て金融取引において競争が活発にならないのは、吉野さんがおっしゃるとおり、おそらく多極的な国際 金融センターが欠如しているためということもあると思います。しかし今はどの国でもこういった金融資本センターにな る可能性があります。その中で残念なのは、アジアの債券市場については特に、東京の銀行にこの流れに積極的に参 加しようという動きが見られないことです。アジア債券市場においては、特に財務省に力を入れて取り組んでいただい ていますが、日本の投資家が十分に参加しないことになれば、非常に残念なことです。アジア債券市場の動向につい ては、一方で各国の投資家がこの分野で抜きん出るべく注意深く見守っています。とりわけ香港が熱心であり、そのセ ンターになることを強く希望しているように思います。 最後に、アジア債券市場の進展をご紹介したいと思います。これ(資料7頁)をご覧いただきますと、アジア9ヶ国、そ れぞれの各国・地域間の相関関係として、東アジア内での相関関係が極めて強く、70%近くとなっていることが分かり ます。その一方で、G3と呼ばれている米国、ヨーロッパ、日本のGDPの成長率はバラバラの動きをしています。つまり 日米欧における相互の成長を支え合うということが、かつてほど見られなくなったということです。日本について見ても、 日米の相関係数が3%、日欧の相関関係が26%であるのに対し、東アジア9ヶ国との相関関係は44%もあり、今で は日米、日欧の相関関係より高くなってきているということです。こうした結果から見ると、従来の国際経済学での機関 車理論というものが言っていたような、いわゆるG3がまず成長し、その後で初めてアジアの残りの国が発展するのだと いう考え方はもはや当たらないということがわかります。古いパラダイムに変って、米国、欧州、日本、そして東アジア9 ヶ国という4つのコアとなる経済グループからなる複雑な関係が新しいパラダイムになってきているということです。パラ ダイムシフトがここにも見られてきています。 次に、日本と東アジア9ヶ国をトータルして見た場合の世界経済に占める割合について、GDP全体でみると、世界GD Pの約26%、輸出で見ると、世界輸出の27%、輸入で見ると、世界輸入の25%に至っています。これはアメリカや欧 州が占める割合に匹敵する、あるいは超える程のレベルになっています。東アジアの9カ国のこの5年の成長率は平均 4.7%と他のどのエリアよりも高く、近い将来、世界経済全体の成長を促すのは、まさに東アジア9ヶ国になるということも 考えられます。こうした中で日本とアジアの経済的結びつきを強めていく必要があり、その中でアジア債券市場の育成 が重要な手段の一つとなっています。これまで、日本を含めたアジアの貯蓄率は高かったのですが、その貯蓄のほと んどは課税されることなく欧米の金融市場に流れていきました。これ(資料14頁)を見ていただくと、外貨準備高で見る とアジアが世界の55%を占めていることが分かります。こうしたアジアにおける外貨準備高、貯蓄が欧米の金融市場 に流れてしまって、そこで例えばこうした貯蓄の24%はアメリカの証券市場での投資に使われているわけです。そこでい かに資金の流れを変えるかということが重要になってきますが、アジア債券市場の育成はこの資金の流れをショート・ カットする手段となります。 次にアジア債券市場についてですが、アジア債券市場の取組みにおいては、3つの構成部分があると思います。需 要サイド、供給そしてインフラということです。需要サイドについては、日本を含めたEMEAPと呼ばれる中央銀行のグル ープによって、アジア債券基金、これを称してABFと呼んでいますが、10億米ドルの基金が設立されました。そしてそ のうち現在8億米ドルが米ドル建てのアジア債券の購入に当てられることが既に決まっています。今後、ABFの第2 次、第3次、第4次の基金が出てくるでしょう。またインドは、アジア協力対話(ACD)において、新たに10億米ドル程度 の出資を行うことにより次のABFを設立することを提案しています。さらに、APECにおいても、民間部門からの資金約 10億米ドル相当の資金により新たなABFを設置することが提案されています。 供給サイドにおいてもいろいろな提案が出されていますが、地元通貨建ての債券発行が中心となっています。米ドル 建てや円建てにはもはや関心がない、むしろ中小企業による資産担保証券の発行を行うことなどが議論されているわ けです。タイは今、バーツ建ての国債を発行し、それが次の段階では社債のベンチマークとなるようにプロセスを進め ています。 アジア債券市場を代表する、これはアジア債券ファンドという基金ですが、これが先程申し上げたようなACDでのイン ドの申し出や、APECにおける提案、さらには次の新しい商品としては、現地通貨建て10年以上のソブリン債、準ソブ リン債、あるいは社債の発行などが考えられています。特にタイにおいては、現在、非居住者の税の源泉徴収を免除 することによって、いかにオン・ショア・マーケットだけでなくオフ・ショア・マーケットのステイタスを高めていくかということ に取り組んでいます。その中で、さらに地元通貨建ての債券取引のためのファシリティを改善しようとしています。また 他の各国・地域に対しても、タイは、先週、プーケットで開かれたAPECの財務大臣会合において市場の障壁を撤廃し て、アジア域内での債券取引が円滑にできるような施策を実施するように要請をしました。多くの国が地元通貨建ての 債券を発行し、マーケットのネットワークができることになれば、近い将来、どのマーケットがセンターになるかということ が問題となりますが、要するにいかにリスクに対する投資家の態度を変え、インフラ整備の準備ができるかが、そのマ ーケットが、国際金融センターととして中心的な役割を果していくかに関わってくると思われます。そうした意味で大阪の 役割に期待します。ありがとうございました。 <司会:本間正明氏(大阪大学大学院教授)> 非常にクリアーなプレゼンテーション、具体的な提案、それを裏付ける分析的なお話をいただきました。 引き続きまして、関西を代表して福本UFJ総合研究所調査部長にお話を伺いたいと思います。お願いします。 <パネル報告B 福本康蔵氏(UFJ総合研究所調査部長)「アジアの金融・投資・貿易における大阪の位置づけ」> UFJ総研の福本です。こんにちは。 谷口副大臣から非常に心強い基調講演をいただきましたし、それから吉野先生、そしてカニートさんからは、未来指 向で、本当にクリアーでアカデミックなお話を賜りました。 私に与えられましたテーマは、「アジアの金融・投資・貿易における大阪の位置づけ」です。実はこの「大阪」と入ると、 非常に話が難しくなるのが実態であり、私のほうからはあまりきれいごとではなく、あるいは過去の栄光にすがるので はなくて、足下の大変厳しい状況、具体的な状況についてご説明をします。そして、最後の方で、こうやれば必ず大阪 は国際金融センターになるという方法をご紹介します。 まず、「厳しい」という話ですが、日本の預金と貸出、現実には不良債権の処理など、いろいろなものをやってピーク からは相当減ってはいるのですが、ここ12年間をとらえると、そうはいっても日本全体の民間銀行の融資は、14兆円 増えて440兆円あるのです。それから預金の方も全国の預金は22兆円増えて、506兆円あります。どちらも増えてい ます。唯一激減している地域が大阪市です。大阪市の同じ時期の預金残高は、45兆円から31兆円に激減していま す。融資の残高は、同様に46兆円から38兆円に激減しています。 日本銀行の金融政策が効かないといわれますが、もし仮に大阪のマネーがドカンと増えていれば有効に効くわけで、 ここに何らかの対策を打てば、ひょっとすると金融政策が効くかもしれません。冗談ですが。そういう厳しい状況にあり ます。 マネーセンターというのは基本的に、経済的規模が大きく、発展している地域にあります。世界的に見ると唯一の例 外が、たぶんドイツのフランクフルトではないかと思います。ベルリン、かつてのボンに対してフランクフルトは金融セン ターですが、ドイツ以外の国や地域では、経済的に強いところにマネーセンターがあります。そうした観点から先程経済 力が落ちているという話をしましたが、大阪、関西に課せられた課題は非常に大きいということをまず、指摘したいと思 います。 マネーセンターにはいくつかの金融市場があるわけですが、一つは銀行間のコール市場、それから債券の現先と か、CPとかNCDとか、こういった短期の金融市場、それから株式とか国債といった証券市場。国際金融市場、これは 当然、非居住者が絡んできます。大阪にあるのは株式市場とその先物市場、そして、ごくわずかのコール市場です。ほ とんどの金融市場は、東京に集中しているということがいえると思います。 今日のシンポジウムの目的は、こうした大阪にある金融市場を活発にさせて、新しい市場を作りたいということであり ますが、現状は市場はほとんどが東京集中という格好になっています。また他方で、東京の方はサムライ債の発行高 とか外国為替とか、世界的に見ると、かなり地盤沈下をしているといえると思います。そうした中で大阪の金融、特に国 際金融について考えるわけですが、今から10年ほど前に、大阪にも外国のマネーセンターバンクがたくさん店を構え ていました。フランスの銀行、スイスの銀行、ドイツの銀行、アメリカの銀行、たくさんありましたが、多くの銀行は仕事が 減ったために店を閉じて、大阪を去ってしまいました。狭い意味での国際金融市場、そこに「大阪」とつくと、ほとんど存 在しない状態になってしまいます。 そこで銀行の業務をもっと広げて考えて見たい。この国際金融という市場ですが、かなり昔は特殊な市場でありまし たが、規制の緩和が進むとか、企業のグローバリゼーションが進むとか、いろいろなものが自由に行き交うので、お客 様の業務が一体化する、そして銀行の業務も一体化する。したがって銀行の本店、支店と外国にある支店とのつなが りも距離が非常に接近した形になっています。従って、かつて国際というと特殊な仕事でしたが、今はほとんど国内の 業務と一体化しているということがいえると思います。 そういうなかでIT技術が進展しているわけです。例えば外国送金はお客様のパソコンからもできますし、電話からでも できます。非常に簡単に外国送金ができます。そこに、東京とか大阪とかいう区別は全くないということがいえます。 次にアジアとの結びつきですが、関西、大阪は非常に結びつきが強いという話になりますが、残念ながら実はこれも 東京に集中しています。関東の対アジア貿易は45兆円です。一方で関西は19兆円です。この関東のアジア貿易は最 近どんどん増えています。それから資金決済の場、確かに陸揚げが神戸とか関空になりますが、そうすると関西の貿 易になるのですが、実は大企業の国際部門や財務部門は東京に行っているので、例えば関空から輸入した、あるいは 神戸港から輸出したというものでも、大企業の場合、ほとんどが東京で資金決済されています。したがって大阪の銀行 の外国為替の窓口は、大企業の取引は少なく、多くは中小企業取引になっています。 そのなかで、日本とアジアのお金の結びつきですが、確かに、日本の企業とアジアの企業の結びつきは強まっていま すが、実際には、日本の企業の子会社、あるいは、かつて日本にあって、例えば現在はタイとかマレーシアにある現地 法人、こういう関係の企業との接点が非常に多いのです。そうなってくると資金のやりとりは、ほとんどが送金です。した がって例えば中国との間では、資金決済のうち8割は、日系企業あるいは子会社を相手にしたものです。残りの2割が 現地企業。その他のアジアの国についても、おそらく2割から4割ぐらいが現地企業、残りは日系企業や子会社、こうい った格好になります。 問題は先程副大臣の方から話がありました、貿易債権をバックにしたアセットバックCPの話ですが、今、貿易の形態 はかなり変わっています。相手が子会社や日系企業であればほとんど、L/Cが付きません。送金です。他方で、例え ばタイの地場企業にモノを売る場合でもL/Cが付かないケースが多くなっています。L/Cというのは銀行の信用状で すから、その銀行の信用があれば、回収に特に問題がないということで、その内容どおりに輸出をすれば必ず回収で きるものですが、最近、この信用状の発行がない、そういうケースが非常に増えています。 外国為替の決済は東京に集中してきていますので、うかうかしていると先にアセットバックCPの市場は、先に東京に できてしまうという恐れがあります。この点を指摘しておきたいと思います。 次に、外国企業の大阪への投資の話ですが、株式市場への資金の流れが非常に進んでいますが、外国の企業が日 本に来てモノを作るとか、あるいは日本の子会社にモノを輸出して、日本で販売するということが、まだまだ限られてい ます。特にアジア系の企業の投資はかなり少ない。私も銀行の現場で業務をし、数社のアジアの企業と取引をしていま したが、非常に小さな取引でした。アジアから日本に来て、商売をやっていただくチャンスは十分あると思います。特に これから日本に進出するに当たって、日本の企業を買収するということも大きな市場になると思いますので、この辺も ぜひ検討していただきたいと思います。 次に、切り札について説明の時間をいただきたいのですが、経済が集中する、お金が集中する、政治が集中する、 行政も集中するという東京集中という問題は、金融だけの問題ではないと思います。地方に任せる、地方分権ですが、 最近はやりの特区構想もあるものの、こういう対策だけでは、今の中央集権国家の構造は変わらないでしょう。これは 先進国では日本だけで、ロシアや中国を含めても、中央集権国家は大国の中では日本だけです。従って、地方分権を 進めて、その次には地域主権によって、関西ないし大阪が、自由な地域、自由な都市として、ガバナンスをする権限、 統治権というものを獲得すれば、この金融の問題とか、経済の活性化とか、大きな課題に向けて前進するのではない かと思います。 最後に、こうすれば大阪が必ず国際金融センターになれるという切り札をご紹介します。これはゼロサムの話なの で、大阪が活性化すれば東京は地盤沈下をするという類の話ですが、多極化という観点からお話をしたいと思います。 人為的に金融市場を創ることは可能です。先程、預金の残高、融資の残高の話をしましたが、それに匹敵する、ある いは今たぶんそれより大きくなっているのですが、最大の資金調達を行なっているのは日本の政府なのです。それか ら外国為替も、これは政府の仕事です。したがって金融センターをどこに作るかというのは、政府がどこでオペレーショ ンするのかによって決まってきます。 財務省関係の方からお叱りを受けるのは当然ですが、政府はマネーセンターの多極化という観点から、東京での国 債の発行をある時からやめます。入札は東京では行わず、それを大阪で行います。その資金決済は、これも大阪で行 います。今、東京での資金決済は、日銀ネットを使って、日銀の東京本店にほとんどすべての銀行の口座があって、こ れを使って資金の決済が行われています。日銀ネットは、すべての金融市場の要になっているのです。これと同じネッ トワークは、たぶん日銀の大阪支店にすぐにできるはずです。それが稼働を始めます。大阪に国債の発行市場ができ ると、すぐに流通市場もできます。そうすると先物市場もできてきますし、今わずか残高4000億円程度のコール市場 も、おそらく拡大します。大阪証券取引所の現物の株、あるいは先物も取引が増えていく可能性があります。 そうして、国内の金融市場を集めた上で、外国為替の介入も今度は大阪でやるという格好になってくると、大阪が情 報の発信源となります。そうすると内外の銀行、証券、アナリスト、ストラテジスト、会計士、税理士、いろんなその関連 の人々、プレーヤーがぞくぞくとセンターとしての大阪に集まってきます。大阪は国際金融市場としての厚みを増す、そ うして金融サービスが大阪の重要な産業となってくる、こういうストーリーであるわけです。これは決してドリームではな く、もちろん地元・大阪の、国債の入札は大阪でという熱意も必要ですが、要は、政府・財務省の意思の問題だと思い ます。 先程からシカゴとニューヨークの関係、あるいはニューヨークとボストンの関係、それからロンドンとエジンバラの関係 の話がありました。そういう関係を重視することは重要ではありますが、そういう観点で物事を考えていると、必ず行き 詰まります。私はワシントンとニューヨーク、FRB・財務省のようにワシントンで決めて、ニューヨークで介入、調達をす るということを、政策の有効性、波及性といったものを考えながら、日本でもできないはずがないと思います。一つの例 というのが、先程申し上げたかつてのボンとフランクフルトの関係、あるいは今のベルリンとフランクフルトの関係、ロー マとミラノの関係、パリとロンドンの関係。パリは公的債務について外交交渉するパリクラブというものがあります。私は これと3年ほど付き合っていましたが、民間の交渉はロンドンで、という役割分担をやっており、これも日本及びアジア における大阪の位置づけの参考になるのではないかなと思います。 それから人を育成する話があるのですが、今、大阪というのはどちらかというと金融サービスを売る場所になっていま す。金融サービスを作る場所にはなっていない。商品を作る人、考える人はすべて東京に集まっています。したがって ここに市場ができればそういう人たちがどんどん集まっていくと思います。 以上で終わります。 <司会:本間正明氏(大阪大学大学院教授)> どうもありがとうございました。福本さんの方から、政策を考える東京と、オペレートする大阪という形で、力強い提案 をいただいたのですが、私もそれはその通りという感じがするのですが、国債の事務的なことを財務省と日銀の間でオ ートバイでやっている現状の中で、果たしてロジの面も含めて大丈夫だろうかという感じを実は持っていまして、デジタ ル経済の中でまだ東京ですらそうしたシステマティックなマネージメントシステムが確立されていないのもこれまた日本 の現状でして、こういう面を含めてもう少しきちんとした議論を、多極化をどういう形で実現していくか、本当に真剣に考 えなければならないテーマだと思っています。 今、三人の方から報告をいただきました。それぞれすばらしい報告だったと思いますが、それを受けて、これからパ ネリストの方々に、ご意見を賜りたいと思います。 経済界を代表しまして、最初に松下松下電器産業株式会社代表取締役副会長にお願いしたいと思います。よろしく お願いします。 トップページにもどる <松下正幸氏(松下電器産業株式会社 代表取締役副会長)> 松下電器の松下です。他の皆さんのように私は金融の専門家ではありませんので、一般の産業界という立場から、 私なりの気づきをお話しさせていただきたいと思います。 本日のテーマは、大阪において金融の国際化機能を持とうということですが、金融だけの国際化というのはできない わけで、そういうことを行う社会インフラが重要である、また経済インフラが重要だということだと思います。 まず、社会インフラからお話をすると、ひと言でいうと国際金融センターであれば外国の方にたくさん来ていただかな ければならない、住んでいただかなければならないわけですから、住みよい街作り、あるいは来ていただきやすい街作 りというものから始めなければいけないわけです。そういう観点から考えますと、確かに大阪は周りに神戸や京都もあ って、歴史もあって文化的にもおもしろいものがあると、あるいは物価は東京に比べてずっと安く、あるいは生活環境 は海や山が近くにあって、通勤時間も短くていいということがありますが、一方において、最近治安があまり良くないと か、あるいは公園を青テントが占拠しているとか、そのような問題もあるわけです。谷口副大臣のお話にあった関空に しても24時間開いているのはいいのだけれど、肝心の便数が少ないというような問題もあります。だからこういった点 をもっともっと良くしていかなければならないのではないかと、あるいは外国人の方が来て住宅を探した場合、東京に比 べて外国人に住んでもらうのは嫌だという家主さんが結構いらっしゃると聞きますが、このような社会全体の国際化を もっとしっかりしていかなければならないと思います。 またこれは日本全体のことですが、法的なインフラといいますか、いわゆる金融に関する規制緩和とか、あるいは政 策の透明性の問題、このあたりも課題ではないかと思います。 経済の方ですが、やはり実体経済のある程度の強さがなければ金融センターというものもなかなかできにくいわけ で、その実体経済の国際化をもっともっと推進していかなければいけないと思います。 少し話がそれますが、現在、NAFTAが南の方に拡大しようとしています。EUは東の方に拡大しつつあります。そうい う中にあって東アジアの地域経済圏はまだまだなきに等しいわけです。これは東アジアにとっても損なことですし、日本 にとっても損なことです。相対的に欧州や米州に対して不利な条件でやっているわけです。また欧州や米州の各国は、 地域経済圏のまとまりを欠く東アジアの各国と個別にFTAを結んでいこうとしている、いわば「いいとこ取り」をしている わけです。やはり東アジアというものがASEAN+3とか、いろいろいわれていますが、一つの経済圏としてもう少しまと まりをもっていかなければいけないと思います。そういうことがこの金融センターを置くのにも役立つし、また金融センタ ーを置けばそういう動きもより促進されるという、その辺の相乗効果が必要ではないかと思います。 もう時間もありませんので、あと素人の私なりに考えた、金融を大阪で強化するというアイディアをいくつか申し上げる と、AMF・アジア通貨基金という話があり、アメリカなどの反対で潰れたわけですが、これなんかは諦めずに追求してい くべきではないかと思っています。それからアジア・ボンド・ファンド、これは日銀が1億ドル応募したと伺っております が、これはあくまでもドルベースなわけで、せっかく1億ドルも投資するのであれば、それはいろいろ難しいことがおあり で、私もよくわかりませんが、ぜひ円建てでできないものだろうかと、全額が無理なら半分でも円建てでできないのだろ うかということを思っています。 それからアジアの域内経済を活発化するといってもアジアの各国と日本とが取引をしようとすると、必ず間に米ドルが 入るわけです。あるいはユーロが入る。これを直接取引をすることによって、その取引の手数料も少なくて済みます。ま あ銀行にとってはちょっと損なことかもしれませんが。それから時間的なロスもあります。そういうことで、アジア通貨間 の為替市場の育成をしていけないものだろうかと思います。それからこれは谷口副大臣もおっしゃいましたけれど、円 の国際化の推進、そしてアジアに縁の深い国際機関を何とか大阪にもってきてもらうということではないかと思います。 以上です。 <司会:本間正明氏(大阪大学大学院教授)> どうもありがとうございました。 非常に有益なご提案までいただきまして、ありがとうございます。 では、宮本大阪府立大学教授にお願いしたいと思います。実は「我が国金融・資本市場の国際化のための研究会」 の関西を代表するメンバーであり、最近では阪神タイガースの計量分析でいろいろお話しいただいておりますが、その へんのところを入れて、お話しいただきたいと思います。 <宮本勝浩氏(大阪府立大学教授)> 大阪府立大学の宮本です。多極的な国際金融センターを大阪に誘致しようという問題につきまして、ただいま谷口副 大臣、それから吉野先生、カニート所長、それから福本部長さん、松下副会長さん、いろいろお話をされましたので、私 の申し上げるところはほとんどありません。先程お話のありました吉野先生は今日、スイスから帰ってこられたというこ とですが、私は実は昨日、ロシアから帰ってきたばかりで、時差ではなく温度差が20℃ぐらいあって大阪の暑さに参っ ているのですが、先程本間先生よりお話しがありましたように、私が行った時は阪神のマジックナンバーは15ぐらいだ ったのですが、5に減っていたのでこれは大変喜んでおります。 阪神タイガースだけでは大阪の活性化は図れないと思います。これは一時的な現象だからです。大阪の経済の活性 化を図るためには、長期的なビジョンをもって構造的な改革が必要であろうと考えています。そのためには大阪に国際 金融センターを誘致することはとてもいいことだと思います。 ロシアでの経験を少しお話しすると、ロシアの飛行場に行くと全部ユーロ表示になっています。私が行ったのは実は 極東なのですが、ウラジオストクやハバロフスクでも免税店では全部ユーロ表示になっています。やはりロシアはヨーロ ッパなのだなということと、もう一つは、ユーロという通貨が非常に進出してきているなということをまず感じました。そこ で元の問題が出まして、先程どなたかお話しされていたように、元のドルとのペックについてお話ししたのですが、ロシ アでは私の想像とは全く違う意見が出ました。例えば、ハバロフスクの経済研究所の所長で、ハバロフスクの前の州知 事だった人ですが、その人と話をしていると、「元を切り上げるなんてとんでもないことだ」というわけです。我々日本や アメリカは、「元は不等に低く評価されている、そういう設定におかれているから我々は元を上げなければいけない」と いう意見が多いのですが、ところがロシアの専門家は、「とんでもないことだ」、「元を上げることは考えられないことだ」 と言うわけです。「どうしてですか?」と聞きますと、「消費財のほとんどが国内では良質のものが生産されていなくて、 中国から輸入している、これが値上がりされてくるなんてとんでもないことだ、自分たちが中国で売っているのは武器で ある」、「ただこれはコンスタントに買ってくれない。もし元が高くなれば売る時はいいのだけれど、武器というのはそんな にコンスタントに買ってもらえないので、コンスタントに入ってくる消費財が安い方が国益に合っている」、「これはアジア のかなりの国でもそう考えているだろう。だから元を高くするのはアメリカや日本のみが希望する話だ」というようなこと を言われて、「えっ!」とビックリしたことがあったのです。 私はやはり元は本当に不当に低く抑えられているなと感じまして、私のゼミでも中国人の院生に計算させたことがあ ります。最近、財務省が出した数字があるのですが、残念ながら財務省は中国に少し甘いのかなと思うのですが、1ド ル=7.1元ぐらいがいいのではないかという話です。その程度の評価でいいだろうということですが、全米の製造業協 会ですと、1ドルが大体5.7元から6.6元、このぐらいが妥当なところだとしています。ビッグマックで計ると、日経新聞 が書かれていましたが、1ドルは3.8元です。現在1ドルが8.2そんなところですから、50%以上、ビッグマックで計る と切り上げたほうがいいということになるのです。クレディースイスファーストボストンでは1ドルが4.4から4.9元だと 推定してますので、だからやはり50%ぐらい切り上げた方が正当だということです。私のゼミの中国人の院生が「とん でもない、元はまだまだ下がらなければならない」と話したので、一度ちゃんとデータを集めて計算させてみました。そ の結果、一応1ドル=5.1から5.2がいいところだと推定しました。このくらいの数字が出ているのです。先程福本さん は、「いや、中国との貿易やアジアとの貿易は、東京の方が多い」と言われましたが、結構、大阪の中小企業は中国と のトレードが多いのです。そうすると元の問題は大阪にとって非常に大事な問題です。 大体日本と中国の為替レートが日本とアメリカとの経済関係で決まってくる、というのはおかしいと思います。為替レ ートは取引のある国同士の経済力で決まるのが普通であるのに、他の国の経済力(ドルの力)で、二国間の為替レート が決まるのは、おかしいと考えているのですが、中国の院生などと話をすると彼等も少しずつわかってきます。先程話 があったように、アジアの中の貯蓄、これは非常に多いのですが、これがアメリカやヨーロッパに吸い上げられてそれ がずっと回りまわって、それがまたアジアに返って来るというのではなく、アジアの中でその資金をうまく投資に活用でき るというようなシステムを作るということも大事です。さらに新しいデリバティブも作る、それに先程言いましたように、や はり新しい通貨レートなど世界の金融問題について我々が大阪でいろいろ考えることが大事ではないかと思っていま す。 先程本間先生の方から阪神タイガース優勝の経済効果の話が出ましたが、私がなぜそんな計算をしたかというと、ど うしたら大阪経済を活性化させられるかという研究の中の一つの分析であったわけです。平成12年の県民所得で見る と、東京は1人当たり434万円なのですが、大阪は342万円、1人当たり100万円も差がついているのです。そのよう に大阪の経済は落ち込んでいるので、何らかの形で大阪経済を活性化する、そのためには阪神タイガースも大事です けれども、長期的に見て、谷口副大臣が考えておられるように、大阪に国際金融センターを誘致して、そうしてまた、隣 にいらっしゃる松下さんのように、製造業のほうでも活性化をしていくことによって、大阪の経済の活性化を図る。この ためには、地方分権も必要であろうというように考えています。 以上です。 <司会:本間正明氏(大阪大学大学院教授)> はい、どうもありがとうございました。 それでは次に、中島みずほコーポレート銀行調査部長にお願いしたいと思います。 私はWBSをテレビで拝見しておりまして、あの中のコメンテーターで最も信頼するコメンテーターであります。信頼さ れる中島さんにお話を伺いたいと思います。よろしくお願いします。 <中島厚志氏(みずほコーポレート銀行調査部長)> ただいまご紹介いただきました中島です。大変重いご紹介をいただきまして、ちょっとコメントしにくくなった面もあるの ですが、今までの話、再論はしません。今、日本が国際金融センターになるには、タイミングもいいのだということを付 け加えます。 アジアの貯蓄率は高く、資本についても97年当時、アジア通貨危機の時ですが、NIESとASEANとを合わせると経 常赤字であったのが、昨年でみれば大きな経常黒字に転じているということがあり、東アジアでは資金がずいぶんと余 剰になってきております。これは、アジアが、その資金を世界に回さなければならない供給地となってきたということを意 味します。このことが、なぜ日本が国際金融センターとなるタイミングの良さにつながるのかということですが、もちろん 資金を域内で取り込まなければならないということもあります。加えて、香港、シンガポールが国際金融センターとして 大きくなったのがオイルマネー環流の活発化に伴ってという背景があることも見逃せません。言い換えると、域内でお 金を取り込むのであれば、受け皿機能が重要になってきている。今がその時点になってきた。これがタイミングが良い という1点目です。 タイミングが良い2点目として、アメリカの事情からも、アジアあるいは日本が国際金融センターになるのはいいので はないかということが挙げられます。ご案内のように、現在、世界経済でのお金の流れは、世界からアメリカに回って、 そしてアメリカから世界に回っています。ところが、アメリカは現在、景気を一生懸命支えようとしており、どうしても双子 の赤字が増えてしまう。そして、その規模は今までにないほどで、いわばドルが再び不安定化し、ドル金利が上昇する 可能性も増えているということです。当然、ドルを通じた金融取引も支障を受ける可能性が増えることになり、アメリカの 市場の仲介機能は今後とも重要ですが、現在以上に頼るのは得策ではないと思われます。アメリカ経済を取り巻く環 境からしても、アジアのお金をアジアで取り込むことが重要です。 タイミングが良い3点目としては、日本経済の現状があります。確かに、過去10年間、円の国際化がいわれて、金融 ビックバンが行われてきたにもかかわらず、実際の円の役割、あるいは日本の金融、国際金融センターとしての役割 は縮小してしまいました。しかし、現在でも日本は世界最大の資金余剰国であり、幸いにして経済・金融環境は今、改 善してきているというタイミングでもあります。 以上のような点をとらえると、時期は熟しつつあり、日本としても国際金融センターを目指すような位置づけにあるとい うことがいえるかと思います。 当然、後はどのように日本が国際金融センターとなるに相応しい役割を具体化するのか、その芽を、特にどのように 大阪に埋め込むことができるのかというになり、今までのパネラーの皆様のお話にもあったわけです。その中には、マ ーケットの機能、あるいは教育機関の機能といったものが重要ということもあるのですが、谷口副大臣もおっしゃってい るように、国際機関を大阪に持ってきてはどうか、とりわけ、アジア開銀の実質的機能をマニラから大阪に移したらどう かということには大変共鳴するところであります。世界には国際機関がいくつか設置されておりますが、例えばアフリカ 開銀は必ずしも政情が安定していないアビジャンにあります。しかしながら、アジアの開発銀行であるアジア開発銀行 が、アジアの中で政情が必ずしも安定していないマニラにあることが適切かといえば、率直に申し上げると、やや疑問 を感じます。政情不安定な国が相対的に多いアフリカならともかく、アジアには政情が安定している国がいっぱいある からです。そうであれば、アジア開銀を、政情が安定しており、最大の出資国かつ総裁も出している日本に持ってくるの は不自然なことではありません。しかも、大阪に誘致することができれば、当然こうした大きな国際機関の周りには、先 程も谷口先生がおっしゃっていましたが、内外の弁護士や専門家集団、それから金融関係の方々が大量に出入りする わけです。ですから、国際金融センターとなるに当たってのひとつ大きな核になるということが出来ます。こういう国際機 関を現実的に取り込むことも、大変いいのではないかと思います。 それから、UFJ福本部長さんのお話の中で、アジア企業への出資を加速するというお話があったのですが、この点で 思ったのは、大証の機能強化です。特に、国内企業の上場基準は、見直しされて昨年の8月に緩和されていますが、 外国企業の上場基準は同じではありません。同じようにしてもいいではないかというのが私の思いであります。アメリカ も同じ基準ではないのですが、例えばニューヨーク証券取引所国内基準で外国企業が上場していいというルールにも なっております。大証もいろいろと先駆的なことをやられているので、外国企業の上場基準などについてもどんどんやっ ていただいて、アジア企業を取り込むということが現実にできればいいと思います。 以上です。 <司会:本間正明氏(大阪大学大学院教授)> はい、どうもありがとうございました。 パネリストの発言の最後になってしまいますが、大村財務省近畿財務局長にお願いしたいと思います。東京と大阪を つなぐという役回りとともに、大村局長は実は、国際金融に対しても非常に造詣の深い方で、その辺のところからお話 をいただきたいと思います。よろしくお願いします。 <大村雅基氏(財務省・近畿財務局長)> どうもありがとうございます。では、日頃、地元の金融界、経済界の皆さまからいろいろお話を聞かせてもらっていま す。また、現場を見ている立場からコメントさせていただきたいと思います。 それで私は、松下副会長がおっしゃったように、金融だけの国際化というのはあり得ないというのは、全くおっしゃる 通りだと思います。経済、社会の活性化をやっていかなければならない。それで、先程の福本さんの大胆なご提案を始 め、ゼロサムのご提案もあったのですが、ゼロサムであるからというよりも、私はどちらかというと国際機関の移転と か、他力本願的なお話が多かったように思います。私は地元がこういう努力をすることが必要ではないか、それを政府 がどうサポートしていったらいいのかという立場からお話をちょっとさせていただきます。 これは難しい話かもしれませんが、関西の多くの方は、国際金融センター機能強化のことを多く取り組んできたけれ ども、これはなかなかできないということをおっしゃる方も多いのですが、それは非常に難しいとは思いますが、私はで きるところは必ずあると、これをちょっとご紹介させていただきたいと思います。 私の考えは、先程申し上げましたように、経済の国際化を進める、その上で、金融の果たす役割はまだまだ大阪に あると、それを強化することによって、人的あるいは先程情報、あるいは吉野先生がリスクをいかに取るかということが キーワードだとおっしゃっていたのですが、そこを強化することによって、まだまだできる部分は、最終的には国際金融 センター機能の強化につながっていくのだと思います。私は特に3つあると思います。 一つはやはり中小企業、二番目は技術の集積、三番目は皆さんがおっしゃっていましたが、文化、歴史、あるいは住 みやすさ、おもしろさ、そういうことだと思います。 中小企業ということをちょっと申し上げると、私どもが所管している地元の金融機関の皆さんには、正直言って国際業 務としてやっている金融機関は非常に少ないです。しかし、地元の金融機関は国際業務に全く関心がないのかという と、もちろんそうではありません。お客さんはどんどん海外に出て行きますし、また入って来られる方もいます。ちなみに これはある信用金庫さんの調査ですが、「海外進出の際に問題となったことは何ですか?」とアンケートをとると、一番 多いのは信頼できる現地取引先の確保、それから2番目に進出先の正確な情報収集、3番目は資金的な問題だと。 要するに情報がないのですね。大きな企業であれば一社の中でそうした情報がいろいろ取れるのかも知れませんが、 中小企業を中心にやはり海外に出ていく時の情報収集、それからアドバイス機能というのは、非常に重要だと。それか ら先日、ここに来ておられますが、総領事館の皆さんにお集まりいただいてアドバイスをいただいた時も、例えばアジア の企業が日本に出てきたいと思っているところは結構ありますよと。ただ体力がなかなかないと。そうすると日本でジョ イントベンチャー先、提携先を探そうとするのだけれどもそれがなかなか難しい。そういうご要望もあります。あるいはア ジアの企業をもっと、例えばもっと大切にしてくれると相対的に東京よりこちらが住みやすいといったお話もあります。そ ういった意味で中小企業を中心にした、そういう情報やネットワークの強化、これは、私は重要なサービスだと思いま す。 それから2番目に技術の集積と申し上げるのは、これは産学連携など、皆さん非常に取り組んでおられます。それか ら中小企業でも独自のルート、これは国際的なルートを開拓されているところもある。ところがそういった方々のお話を 伺うと、せっかくルートを開拓しても金融機関がなかなかその評価をしてくれないとか、あるいは技術があってもそれを ビジネスモデルに乗っけるのがなかなか難しいとか、そういうお話が非常に多いです。それを適正に評価する能力、あ るいはビジネスに仕立ててあげるアドバイス機能、これも非常に重要だと思います。それからこれも外国の方からいた だいたアドバイスというのは、いろいろプロジェクトはあるけれども、なかなか成果が目に見える形で上がってこないと、 実際、外からの進出は難しいですよと。あるいは政府もいろいろな取り組みをやっているけれども、もう少しコーディネ ートした取り組みをやって欲しいというご要望が非常に多かったと。ここでもいろいろやることは多いと思います。 それから文化、おもしろさ、これはもう、先程松下副会長がおっしゃっていたので付け加えませんが、先程のアンケー ト調査の中で、「大阪の国際化に向けて不足しているものは何だと思いますか」という問いに、一番が規制緩和、二番 目が外資系企業の誘致のための環境整備、三番目が大阪府民の国際化の意識というのがありまして、やはりこうした 住みやすさというのも非常に大事だと思います。 それで今、私が申し上げたことを具体的にどのようにつなげていったらいいのか。これは先程副大臣も基調講演の中 でおっしゃいましたが、やはり金融を中心にした、いろいろな研究・教育施設を大阪で充実させるというのは、私は非常 に大切だと思います。例えばアジアの情報リスク、あるいは、先程申しましたビジネスモデルを確立していく,そうしたア ドバイス機能を待ったそういう人をたくさん育てていく、それは将来的には必ず金融センター機能につながっていくと思 います。それから、先程の基調講演の中にありました例えば研修機能、これも単にWTOのセミナーを開くということで はなく、それによって海外と地元経済との結びつきを強めて、大阪の良さをわかってもらう、あるいは大阪の方に海外 に目を開いてもらう、それを継続的にやっていくという意義は非常に大きいと思います。あまり時間がないのですが、例 えば地元の方がやっておられるワンストップ機能なんかですが、こんなところを充実させていくなどです。そうしたいろい ろな取り組みをしていくことで、私はまだまだ金融機能の強化というものはできるのではないかと思っています。 <司会:本間正明氏(大阪大学大学院教授)> はい、どうもありがとうございました。 実は、タイムキーピングの観点では非常に大きな問題を抱えておりまして、予定ではここで終わることになっているの ですが、ただ私は規制改革論者でして、タイムキーピングに対して規制をしなかったということになるのですが、これで 終わるというのは、これだけのメンバーが来られてもったいないと、今、事務局と相談しまして、少しばかり時間を延長 させていいただきたいと思いますが、よろしいでしょうか? それでは、今、報告及びパネリストの意見を伺いましたので、基調講演をしていただきました、谷口副大臣からさらに コメントをいただきたいと思います。 <谷口財務副大臣> 各パネラーの方から大変参考になるご意見をお伺いしたわけですが、先程始まる前に松下さんとお話をしていたので すが、リスク分散という観点があるのだと思います。今、東京への一極集中がどんどん進んでいまして、東京で仮に関 東大震災といわれるような震災が起こると、経済がほとんどパンクしてしまいます。そういう意味では国土形成上、やは り大阪に幾分かの割合が残っていることが非常に重要なのだと思います。 それともう一つは、大阪の活性化を一体どういうような形でやっていけばいいのかということです。いろいろな考え方 があるのですが、例えば東大阪市ではモノづくりでいろいろ後押ししているようですが、先程も申し上げましたが、大阪 は金融に馴染みがあって、向いているのではないかと従来から申し上げてきたわけです。それでこの研究会を立ち上 げ、14回開催して、吉野座長にとりまとめをしていただきました。先程、松下さんがおっしゃっていた、例えば円とアジ ア通貨の直接取引に関し、間にドルやユーロを介入させないということについては提言に入れております。 またAMFは結局できなくなって、チェンマイ・イニシアティブという形で、6ヶ国との間で通貨スワップ取極を締結してい ます。もう二度と通貨危機を起こさないということで通貨スワップをやっているので、例えばその本部や事務局を大阪に 置くということも可能であるでしょうし、アジア開発銀行の研修施設ということでありますが、これを仮に持ってくるとなる と、スタッフだけで2千人から3千人にものぼり、またこの人たちは極めてクオリティの高い人達で、我が国の金融その もののレベルが引き上げられるというような大きな影響を与えるわけです。 また現在の大阪の状況を見ると、舞洲また夢洲といったところで、この開発をどのような形でするのか、さらに北ヤー ドでどういったものを作っていくのかということで、今、大阪で議論があるわけですが、こういうことを念頭に入れてやっ ていけばと考えています。 私は、大阪の経済がベクトルとしてどんどん下方に下がってきていると、皆さんが実感として感じられているのだろうと 思います。パネラーの方のご報告からもそういうお話がありましたが、この下方ベクトルを、また上方のベクトルに向け ていくというのは、大変なエネルギーが必要だと思います。放っておきますとどんどん下方に向いていくわけです。この 状況では、仮に2005年に中部国際空港ができ、愛知万博が行われて、中部経済圏がより大きくなるということも考え ますと、より一層関西経済が沈滞化するのではないかといった観点も考慮に入れて、総合的にこの大阪が一体どうあ ればいいのかということを考えた場合に、先程福本さんからいろいろな観点で現実を考えても難しいのではないかとお 話がありましたが、確かにそういうことがあるのだろうと思います。先程私の基調講演の中でも申し上げたように、アジ ア域内の債券市場を育成していくというのは、一つは、アジアという成長エリアに我が国から知的支援、技術支援、時 には金も出してアジアの債券市場を育てるということになると、国債や政府関係機関債とかから入っていくわけですが、 最後は民間の資金調達が、アジア域内の諸国においてできるような形をにらんでいるわけです。そうなると、またより一 層成長が望まれ、期待されているわけです。そうすると新たな需要がそこで創出されるということです。これは我が国の みならず、欧米もこのようなアジア債券市場の育成というものに期待をしているわけです。そのような点で大阪が金融 の窓口になればということも申し上げているわけです。そのような環境を整備していくのは一朝一夕にはできるもので はありません。いろいろな観点での機能の集積が必要であると思います。先程も申し上げましたように、金融機関のみ ならず、国際機関を集積していくといったようなこととか、またあらゆる金融に関わる機能を集積させていく、それがこの 付加価値になっていくと思います。その価値が高まっていく中で、私は一番重要なことは、この大阪の人たちが、一体と なってこの街をどのようにしていくのかという強い意志を持つことだろうと思います。この強い意志で、仮に私が提唱して いる大阪の国際金融センターの育成をやるということに対して、これはなかなか難しいということになると、それ以外に 大阪で一体何ができるのかといったようなことも考えなければなりません。このまま放置していると、なお一層、大阪の 沈滞化に拍車がかかるということです。私はそういう観点から、先程、ちょうどタイミングもよく、我が国は資金余剰もで きているという状況の中で、大阪に新たに作るということは、他に可能性を秘めているということもあって、私は非常に 好ましいことではないかと思っているのです。 <司会:本間正明氏(大阪大学大学院教授)> はい。 ここで、パネリストの方々からご意見いただいたのですが、会場の皆さんから、こういうことをしてはどうかとか、質問 等がありましたら受けたいと思いますが、いかがでしょうか? はい、どうぞ。 <質問者@> 今日は東京からこちらに参加させていただきました。今日は大変おもしろいお話をお伺いして大変ありがたいと思っ ていますが、実は私は、商社に勤務しながら、今、シンクタンクの方に出向させていただいておりまして、そこで活動を いろいろやっているのですが、一方で日本資本市場協議会、これは主に東京なのですが、企業の財務の人たちの取り まとめのような役をやっております。 先程福本さんが、おっしゃいましたが、多極的な国際金融センターの育成のために、何をしたらいいかと、いろいろな ご提案があったのですが、一つの実現性の高いご提案というのをさせていただきたいと思ったものですから、手を挙げ させていただきました。 それは実は一昨年が短期社債法、昨年が社債等振替法、要するにコマーシャルペーパーの電子化ですが、与党の 大変なご尽力をいただきまして、また皆さんご関係者の方のご尽力もいただいて、実現しました。実際に今年の3月か ら、電子コマーシャルペーパーというのが発行可能になっています。先日も日本経団連の主催で東京でセミナーがあり まして、私がお話しさせていただいたのですが、50社の方がお集まりいただきまして、まさにこれから電子のコマーシャ ルペーパーを作ろうとがんばっておられますが、今日のお話の中で、コマーシャルペーパーという言葉が、何カ所か出 て参りました。しかし私の知る限りでは、大阪の企業の方で、せっかくできるようになった電子のコマーシャルペーパー をお使いになっている会社がまだ1社もおられないと思います。実際に新しいものですので、非常に保守的に考えられ て、他の方がやられてから、徐々にということもあると思いますが、非常に使い勝手がいいと思いますし、リスクも少な いし、コストもそれほどかかるものでもないので、ぜひとも国際金融センターの育成のためには、せっかくのものがある ので、それを皆さまでお使いいただいたらいいのではないかというのがひとつの提案です。 もう一つの提案ですが、そのコマーシャルペーパーの振替を行うのが、証券保管振替機構というところですが、これ はCSDという呼び方もしますが、アジアの金融市場で、アジアボンドマーケットを作っていく場合に、例えばアジア通貨 建てのインターナショナルボンドを発行すると、その証券決済、資金決済は、どこで行われるかというと、すべてがヨー ロッパ、例えばブラッセルのユーロクリアで決済されてしまう。そうするといろいろなメリットがヨーロッパに行ってしまう わけです。それでなおかつアジア通貨建て債券の場合には、決済に一日遅れることもあります。一日が一番最初に始 まるという日出づる国の優位というのが一番東にある日本にはあると思います。そしてこの大阪がそういうことを考えて いく場合には、そのCSDのインターナショナル版、要するに証券保管振替機構の国際版の拠点を例えば大阪に持って くるとか、そういうことも一つのアイディアとして、言えるのではないかなと思います。以上です。 <司会:本間正明氏(大阪大学大学院教授)> はい。ありがとうございます。ご意見として承っておきます。 他にどなたか、お一人でも。どうぞ。手短にお願いします。 <質問者A> 今日、東京からお邪魔させていただきました。 大阪ということではなく、アジア債券市場イニシアティブについて、銀行内で取りまとめをしているのですが、各ワーキ ンググループができている中で、今後アジア債券市場を発展させるためには、発行における規制条件を、ある程度ハ ーモナイズさせる必要があると思うのですが、そのワーキンググループがどうもどこがイニシアティブを取っているのか 今ひとつ見えない、それからアジア債券市場で例えば東京だけではなく、いろいろなところで起債の市場を厚くするため には、国々の持っている起債条件をある程度ハーモナイズさせていくワーキンググループが必要なのではないかと思 います。 <司会:本間正明氏(大阪大学大学院教授)> はい。どうもありがとうございました。ご提案ということで。 もう時間も過ぎているので、手短にひと言ずつ。まず、福本さんからお願いしたいと思います。 <福本康蔵氏> 大阪の国際化で、大阪人が国際化していないという話がありました。確かにそうだと思います。他方で、外国の方が 大阪に来ますと、ほとんど「郷に入れば郷に従え」ではないのですね。銀行とのつきあい方も異なっています。私の経験 から、非常に困ったのが最も条件の厳しいところを要求する。スプレッドは非常に低いことを言ってくる。つきあいがス ポット、スポットのため、長いつきあいができません。それから日本企業の場合、融資する際にかなり詳しい資料をいた だけるのですが、外国の企業はなかなか出してこない。したがって稟議にかけられない。これから大阪を国際化しよう という話ですが、入ってくる外国企業の方は、なるべく地元の慣例をよく知って、合わせていただくことが、商売の発展 の基本にあること付け加えておきたいと思います。以上です。 <司会:本間正明氏> はい、ありがとうございます。 それでは、カニートさん、お願いします。 <カニート・サンスッパン氏> アジア債券市場について、2点申し上げたいと思います。 1つ目は決済制度の整備ですが、この問題については各国SEC等の証券当局によるグループにおいて取組みが進 んでいるところです。 2つ目の問題は各市場における調和・ハーモナイゼーションについてですが、これを進める取組みが実際にAPECの 枠組みの中で行われています。ADBでも債券市場をアジアでいかにハーモナイズさせるかについての優れた研究を行 っています。 ともかく、APECの中で取り組むものであれ、ASEAN+3の中であるいは日本、タイやアジア各国が互いに話し合う ものであれ、我々の中では非常に緊密な取組みが進んでおり、アジア各国の債券市場を調和させるために、我々が何 をすべきか、答えを出せる時は遠くないと信じています。 <吉野直行氏> 債券市場について、いろいろご意見がありましたが、これに加えることとしては、関連しますが、各国の国内の債券市 場を整備することと、それから国債から社債に動く場合には、格付け機関が必要ですし、それから一時的にはギャラン ティーをする保証機関というところまでしていく必要があると思います。 それから、別の観点から、国際機関の誘致ということで、ヨーロッパに行くとフランス人のしたたかさに驚かされます。 フランスはOECDをパリに持ってきました。OECDの会議はフランス語と英語で行われます。おのずとフランスの影響 力が強くなります。ひとこと最後に付け加えさせていただくと、大阪の方々にぜひフランス人のような気質を持っていた だきたいと思います。必ず、国際会議にひとこと、ちゃんといちゃもんを付けるのです。いちゃもんを付けるというとちょ っと失礼ですが、やはり自分の有利なところは言っていくという、あの凄さは立派だと思いますので、ぜひフランス人に なっていただきたいという意味で最後にお話しさせていただきました。 <司会:本間正明氏> それでは松下さん、お願いします。 <松下正幸氏> 大阪人としては、したたかさは持っていると思うのですが、国際感覚がいささか欠けていると思います。ただ私は大阪 人の名誉のために申し上げると、大阪の国際化よりも日本の国際化がもっと必要だと思っています。関経連で今、国 際委員長をやっておりますが、国際化ができていないことをしみじみ感じております。 大体、中学、高校、大学まで行くと10年間も英語の勉強していながら、英語が全然話せない人がたくさんいるという 日本のような国は他にまずないと思います。今、関西経済同友会の方で日本と教育を考える委員会もやっております ので、国際人を育成するためにどうするべきかという提案を考えています。 <司会:本間正明氏> ありがとうございます。それでは宮本さん、お願いします。 <宮本勝浩氏> 今、国際化の話が出ました。確かに、大阪経済が活性化するためには国際化が必要なのですが、さらに付け加える と、やはり地方分権もこれから必要であろうと思います。先程申し上げましたように、ロシアから帰ってきたのですが、ロ シアは昔から社会主義で上から完全に押さえつけていたのです。ところがこの間、聞きましたら、各州に税の徴収権を 任せるという、そういうところまで来ているとうかがいました。財務省はちょっと大変かもしれませんが、そういうふうにロ シアですらだんだん地方分権が進んできているということで、日本でも地方にある程度権限を委譲するということがこれ から必要ではないかなと思っています。以上です。 <司会:本間正明氏> はい、どうも。中島さん、お願いします。 <中島厚志氏> 今さっき、大阪人もフランス人のようにしたたかになれという話があったのですが、私はフランスがすごく長くて、向こう の日本人の間では、フランス人の気質は大阪人がすごく近いということになっていることを、ひとこと付け加えたいと思 います。ただ、申し上げたいのはその点ではなくて、アジア債券市場の育成は必要なのですが、そのためにはインフラ 整備だけではなくて、ニーズが表面化しなければいけない。日本で見れば一番フランス人に近いかどうかはわかりませ んが、アジアに近い利点というのは大阪ないし近畿圏というのは間違いなくあるので、この点を発揮して、中小企業の ニーズがアジアと結びついている、それが債券市場育成の一環になっていくという、こうしたことも一つの大きな連関と していえると思うので、そうしたことも含めて、アジア債券市場が発展して、大阪が発展すればいいと思います。 <司会:本間正明氏> はい、大村局長、お願いします。 <大村近畿財務局長> ここ10年ぐらい日本で進んできたのが、東京一極集中が進むかたわら、日本全体の地盤沈下です。これをひっくり 返すには、要するに東京でも、日本全国でもできていないことを大阪ですることによって、大阪のウエートを高めていく ことだと思います。そういう意味では先程申し上げたように中小企業の国際化、あるいは技術をきちんとビジネスモデ ルに仕立てるという、東京ができていないことを大阪がしていくことによって、私は、大阪の活性化は必ず進むと思いま す。 地方分権でやや誤解があるといけないので、1点だけ申し上げますと、塩川大臣が言ってきたのは財源委譲だけで はなく、権限も委譲するということで、決して地方分権に反対しているわけではございません。それをするためには、権 限も一緒にやるというわけです。 <司会:本間正明氏> では、谷口副大臣、お願いします。 <谷口副大臣> 大変短い時間ではありましたが、いろいろな意見をお聞きかせいただきまして、大変参考になったと思います。財務 省としても、今回こういう形でシンポジウムを開かせていただいて、今後は大阪府、大阪市、またこの金融関係で作って いただいている14団体との間で協議をより一層進めながら、できることとできないこととのより分けもしながら、やって いく必要があるのだと思います。いずれにしても最終的に私は、大阪をどうしたいのかという大阪の皆様の意志が、一 番極めて重要なのだろうと思っています。そういう観点で、よく考えていただきまして、大阪に国際金融センターをもって きたいという思いを結実させていただきますように、皆様方のご協力もぜひお願いしたいと、最後に申し上げたいと思 います。どうもありがとうございました。 <司会:本間正明氏> どうもありがとうございました。 吉野先生にはスイスから、また宮本先生はロシアから、私は実は明日、フランスに行くことになっておりまして、OEC Dの経済局長と会うことになっておりますので、大阪人が勝つか、フランス人が勝つか、勝負をしたいと思っておりま す。 それから、実は今の特区等、規制改革の問題があって、ダブリンに参りまして、ダブリンの現状を見極めながら、日 本で早急に実現できるようなことをきちんと勉強してこようと思っています。 今までの話の中で、地方分権、規制改革をどう活かすかということが、今後多極化する金融市場の中で、大阪がどれ だけコミットできるかということになるのだろうと思います。それには我々の能力と知恵をどう出していくか、ということが 究極的には問われているのだろうと思います。経済界、および行政も含めて、我々も一生懸命、地元において努力す る必要性があるのだろうと思います。 予定の時間を大幅に超過してしまいました。私の責任ですが、この議論を参考にしていただきながら、今日ご参加い ただきました皆さまにもそれぞれの立場で大阪が活性化できるような形での協力をお願いしたいと思います。 ご静聴ありがとうございました。 拠点法・ペイ法・多極法関連 トップページにもどる 地方拠点都市地域における電気通信高度化促進調査 施策の目的 地方の発展の拠点となるべき地方拠点都市において、地域の特性に応じた電気通信の高度化を促進し、高度な情報 通信を活用できる環境を創出することにより、地方の活性化を図ります。 施策の概要 (1) 調査内容 地方拠点都市地域のうち、情報通信基盤の整備等に関心がある地域を対象とし、以下の調査を実施します。 1. 地方 拠点都市地域における電気通信の高度化ビジョン 2. 地方拠点都市地域における情報通信基盤整備の課題と推進方策 3. 情報通信基盤を活用したサービス (2) 調査方法 総合通信同等が地元地方公共団体、学識経験者、民間企業等各界各層の意見を幅広く集約することなどにより行い ます。 (3) 調査実績 平成5年度以降平成14年度までに21件の実績があります。 大阪湾臨海地域開発整備事業 施策の目的 本事業は、大阪湾臨海地域開発整備法(平成4年法律第110号。以下「法」という。)の趣旨に基づき、法第7条の規定に よる主務大臣が同意した大阪湾臨海地域の整備計画に従って、中核的施設の整備を図ります。 施策の概要 (1) 対象事業者 法第7条の同意を得た大阪湾臨海地域の整備計画に基づき、開発地域において中核的地殻の整備を行う者。 (2) 対象施設 大阪湾臨海施設の整備計画に基づき、開発地区内において整備される中核的施設 1.研究施設、2.展示施設、3.会議場施設、4.業務施設、5.教養・文化施設、6.その他 (3) 支援措置 1. 日本政策投資銀行からの財投出融資 2. 税制上の特例措置[法人税特別償却(10%)、特別土地保有税、事業所説] 3. 無利子・低利融資(NTT-C、C') 振興拠点地域における中核的施設整備事業 施策の目的 地域社会の中心となる地方都市の育成を図るため、地方都市とその周辺地域の一体的な振興及び行政、経済、文化 等に関する機能の各地方都市への適正な配置に留意しつつ、地方都市における産業の高度化、経済社会の情報化 等に対応した都市機能の増進に資する施策を推進します。このため、多極分散型国土形成促進法(昭和63年法律第 83号)に墓づき、振興拠点地域における重点整備地区での中核となる施設(中核的施設)の整備を図ります。 施策の概要 (1) 民活法施設の整備事業 重点整備地区内における中核的施設のうち、民活法上の認定を受けた整備計画に墓づき整備を行うもので、民活法 の支援措置の適用を受けられます。ただし、地方税の特例措置については特に適用要件が緩和されるほか、別途、 法人税の特別償却制度が設けられています。 ●支援措置(原則として、民活施設整備事業の支援措置が適用される。) 1.補助金 2.財投出融資 3.無利子、低利融資(NTT-C、C') 4.地方税の支援措置(事業所説) 5.国税の支援措置(法人税特別償却(7%):単なる民活施設には適用なし。) (2) 政令施設の整備事業 重点整備地区内における中核的民間施設のうち、政令で定める施設(民活法上の認定を受けた整備計画に基づき整 備を行うもの以外)の整備を行うもの。民活法の支援措置とは別の枠組による支援措置が設けられています。 ●支援措置 1.財投出融資 2.無利子、低利融資(NTT-C、C') 3.地方税の支援措置(特別土地保有税、事業所説) 4.国税の支援措置(法人税特別償却(7%)) 業務核都市における中核的施設整備事業 施策の目的 東京都区部における人口及び諸機能の過度の集中を是正し、これらの機能の東京圏における適正な配置を図り多核 多圏域型の地域構造を実現するため、業務核都市の積極的整備を推進することは、首都圏整備上の重要課題です。 このため、多極分散型国土形成促進法(昭和63年法律第83号)に基づき、業務核都市において定められる業務施設集 積地区での中核となる施設(中核的施設)の整備を図ります。 施策の概要 (1) 民活法施設の整備事業 業務施設集積地区内における中核的施設のうち、民活法上の認定を受けた整備計画に基づき整備を行うもので、民 活法の支援措置の適用を受けられます。ただし、地方税の特例措置については特に適用要件が緩和されるほか、別 途、法人税の特別償却制度が設けられています。 ●支援措置(原則として、民活施設整備事業の支援措置が適用される。) 1.補助金 2.財投出融資 3.無利子、低利融資(NTT-C、C') 4.地方税の支援措置(事業所説) 5.国税の支援措置(法人税特別償却(7%):単なる民活施設には適用なし。) (2) 政令施設の整備事業 業務施設集積地区内における中核的民間施設のうち、政令で定める施設(民活法上の認定を受けた整備計画に基づ き整備を行うもの以外)の整備を行うもの。民活法の支援措置とは別の枠組みによる支援措置が設けられています。 ●支援措置 1.無利子、低利融資(NTT-C、C') 2.地方税の支援措置(特別土地保有税、事業所税) 3.国税の支援措置(法人税特別償却(7%)) トップページにもどる 国民生活白書 東京と地方―ゆたかさへの多様な選択 平成3年11月19日 経済企画庁 -------------------------------------------------------------------------------- [次節] [目次] [年次リスト] 第II部 東京一極集中と国民の暮らし 第1章 東京一極集中の推移 第1節 人口の集中,経済の集中,その他の動き 1. 人口集中の進む東京 (規模の大きな東京の集中) 東京一極集中の特徴をつかむため東京と世界の主要都市であるニューヨーク,ロンドン,パリとを人口と就業人口の面 から比較してみる。 これらの4都市は行政区画などが違うため,単純にそれぞれの都市を比較することができない。このため,東京は東京23 区を中心として23区以外の東京都と神奈川県,埼玉県,千葉県を合わせた1都3県を東京圏とし,東京23区と東京圏の面 積規模に相当する区域を選んで比較することにする(第II-1-1表、第II-1-2図)。まず,23区の面積規模で比較すると(ロ ンドンは23区と同一規模で区切ることが難しいので,他の都市よりも小さい規模で比較している。),人口 密度はニューヨ ークが約9,400人/km2,ロンドンが約7,600人/km2,パリが約8,000人/km2と他の3都市もかなり集積が進んでいるが,東京 は約16,000人/km2と群を抜いて高い。就業人口密度でも東京は約13,000人/km2と,比較面積の小さいロンドンを除くと 他の都市の3倍も高くなっており,23区は就業人口の集中が著しいことが分かる。さらに,東京圏の面積規模で比較して も,東京は人口密度が約2,300人/km2,就業者密度約1,000人/km2と他の3都市に比べ非常に高い集積を示している。全 国人口に占める割合を東京圏でみると,約25.7%となっており,ニューヨーク(8.9%),ロンドン(23.0%),パリ(18.8%)と比較し て集中度が高いといえる。 つまり,東京圏は中心部への集積も非常に高いが,その面的な広がりも他の都市に比べかなり大きく,先進国には例をみ ない集中の態様を示している都市だということがいえる。 (進む東京圏の人口集中) 次に東京圏がどのような推移をたどって現在のような人口集中の状態を作ったのか,時系列で追ってみる(第II-1-3 図)。 東京23区の人口集中は,大正期より人口増加率が5年ごとに20%前後と,かなり速いペースで進んでいた。その勢いは 戦争により衰え一旦大幅に減少したが,終戦を迎えると再び急激な集中が始まり,昭和40年には高度経済成長のもとで 900万人近くにまで人口が増加した。しかしその後は,減少に転じ,平成2年には約800万人となっている。 昭和35年頃から,23区の人口増加率が低くなるのとは対照的に周辺の地域の人口増加率が高くなった。まず,23区に比 較して増減率こそ小さいものの,戦中戦後とも類似の動きをしていた23区以外の東京都と神奈川県が急激な増加を始 めた。その後,35年以前まではその他首都圏(茨城,栃木,群馬,山梨の4県)と類似の動きを示していた埼玉県,千葉県も 急激な人口増加が始まり東京圏に取り込まれていった。40年代に入ると23区は人口減少に転じ,ドーナツ現象といわれ るように23区の周辺部で人口が増加するという現象が生じてきた。 最近では23区以外の東京都と周辺3県の人口増加率は低くなってきたが,なお全国平均の2.1%を上回っており,依然と して人口の集中が進行している。 また,その他首都圏の各県の人口は戦時中は疎開により一時的に増加したものの,戦後はほぼ横ばいないしは減少傾 向で推移していたが,40年頃から若干増加傾向にある。とくに,東京圏に近い茨城県南西部,群馬県北東部の市町村な どは,最近5年間に10%以上の高い人口増加率を示し,東京圏が外延的に拡大していることがうかがわれる。また,栃木 県でも西那須野町や河内町,野木町など新幹線沿線の市町村の人口が増加しており,東京との時間距離の短縮が人口 増加につながっていることが分かる。 また,東京圏の人口の対全国シエアをみても人口の推移と同様の動きを示している(第II-1-4図)。23区は戦争中を除い て毎年シエアが増大し,昭和35年には8.5%となったが,その後は縮小し現在では7%弱にとどまっている。23区のシェア が最大になる35年までは7.5%〜8.O%とほぼ横ばいで推移していた周辺3県の人口は,35年以降急激に増大し,現在で は全国人口の16.O%となっている。東京圏全体でみると,戦中以外は増大を続けていたが,50年から55年にかけては0. 3%高まるにとどまり東京圏への人口集中も落ち着いたようにみえた。しかし,50年代後半以降,東京圏の人口増加率は 低くなったものの,全国の人口増加率がそれよりも低くなったため,再び全国シェアが拡大し始め,平成2年には25.7%と 全国の4分の1余りの人口を東京圏が取り込むようになった。その他の首都圏は昭和20年以降緩やかな縮小傾向で推 移していたが,40年頃からわずかに増大傾向となっている。 (自然増加率も社会増加率も高い東京圏) 東京圏への人口集中を自然増加率と社会増減率に分けて,現在と同様長期の景気上昇が続いた時期である昭和40年 〜45年と比較しながら分析する(第II-1-5図)。 このグラフは縦軸に自然増加率をとり,横軸に社会増減率をとって各都道府県の値を示したものである。I,IIグループは 自然増加率,社会増減率ともにプラスであり,安定的に人口が増加している地域である。とくにIグループ(神奈川,埼玉,千 葉の3県)は社会増加率が高い地域であり,人口の流入が激しいことからIIグループとは区別した。IIIグループは社会増 減率は減少しているが,自然増加率が社会減少率を上回っており,全体では人口が増加している地域である。IVグルー プは自然増加率が社会減少率を下回っている地域であり,人口が減少している地域である。 Iグループの神奈川,埼玉,千葉の3県は昭和60年から平成2年の社会増加率が4%以上と非常に高いが,自然増加率も 他県に比較して高くなっている。 このことから,この3県には比較的若く,子供を作る可能性の高い年齢層が多く集まっていると考えられ,今後全国的な自 然増加率の低下により社会増加幅が縮小してもなお,自県内の自然増加率により人口増加が進むことが予想される。 東京都は,昭和40年までは自然増,社会増ともにプラスのIIグループに位置していたが,その後社会減となりIIIグループに 入り,現在は自然増加率2,O%,社会増減率△1.8%と人口はほとんど増加していない。 茨城県,栃木県,群馬県は40年から45年では自然増,社会減で人口が増加しているIIIグループに,山梨県は人口減少(自 然増,社会減)のIVグループにいたが,60年から平成2年ではIIグループに,つまり社会増減率,自然増加率ともにプラスに なった。これは,高度経済成長下では,東京圏に人口を吸収される立場にあった地域が,近年になって逆に人口を他の県 から吸収する側に転じたものであり,東京圏の範囲がこれらの県にまで確実に広がっていることを表している。 大都市周辺の人口増加と大都市の社会減少という現象は大阪圏でもみられ,滋賀県,兵庫県,三重県などは自然増,社 会増でIIグループに位置し,大阪府,京都府ばIIグループから人口増加(自然増,社会減)のIIIグループへと移動している。 また,全体的には昭和40年がら45年の増減率と比較して,昭和60年から平成2年の増減率は,自然増加率,社会増減率と もに,変動の幅が小さくなっている。昭和40年から45年の自然増加率は9.4%〜1.9%,社会増減率は19.O%〜△9,5%で あったのが,60年がら平成2年では自然増加率が5.6%〜0.5%,社会増減率で6.3%〜△4.8%となっている。 (東京圏の人口の再集中) 次に,東京圏の転入転出の動きを時系列でみる(第II-1-6図)。 東京都は昭和40年頃から急激に人口流出が進み,48年には17万人の流出超過となった。その後は漸次流出数が減少 し,60年にはわずかに流入超過に転じたが,現在は再び流出超過となっている。 東京圏全体としては東京都の流出超過を周辺3県の大量の流入超過で相殺し,45年までは25万人以上の流入超過を 保っていた。その後は周辺3県への人口流入も減少し,東京圏の流入超過は45年の27万人から51年には約4万人とな った。51年以降しばらくは5万人前後と低い流入数で推移していたが,56年から再び増加し始め,62年には約16万人まで に増加した。63年以降,地方景気の好転とともに,東京圏への流入超過数は若干減少しているが,依然,10万人近くの流 入超過となっている。また,1都3県以外の首都圏でみると,63年以降流入超過の減少はみられず,東京圏がさらに外延的 拡大をしているとみることもできよう。 全国的にみると高度経済成長期の40年代前半までは,東京圏,大阪圏(大阪府,京都府,兵庫県),名古屋圏(愛知県,三重 県)などの大都市圏に人口が集中し,その他の地域は大幅な流出超過となっていた。しかし,40年代後半以降は大都市 圏への人口集中も勢いが衰え地方の地代といわれた50年代前半には大阪圏,名古屋圏では流出超過,その他の地域 では流入超過となった。その後は大阪圏は流出超過,名古屋圏はほぼ流出入なしで推移しており,その他の地域も流出 超過にはなっているものの以前に比較すると流出数はかなり少なくなっている。 2 東京圏にますます集中の進む経済活動 (大規模事業所の集中) 東京圏の事業所総数は,昭和53年から平成元年までに対全国シェアで約1%程度上昇したに過ぎなかった。しかし,従 業員300名以上の大規模事業所でみると全国比で33.8%から36.2%へと上昇しており大規模事業所が東京へ集中して いる。一方,大阪圏は事業所総数,大規模事業所数ともに対全国比は昭和53年からほとんど変わっておらず,大阪圏へ の事業所の集中傾向はみられない(第II-1-7図)。 また,申告所得上位企業のうち東京圏に本社のある企業の対全国シェアをみても上位500社中326社(65.2%),上位100 社中では72社(72%)と企業の所得が大きくなればなるほど東京圏に本社を置く割合が高くなっている(第II-1-8図)。 以上のように,事業所規模の大きな企業や,収益の大きい企業が東京に集中する傾向があるといえる。 (高い金融,情報産業の従事者の東京圏集中) 東京圏の従業員の対全国シェアは,総数で昭和53年の26.4%から平成元年には27.9%と若干の増加傾向で推移してい る。産業別にみると,製造業は25.8%から25.1%と低下しているが,金融・保険業は32.8%から34.3%,サービス業は27. 6%から30.1%とシェアが高まっている(第II-1-9)。とくに,サービス産業の中の情報サービス・調査・広告業は49.O%と全 国のほぼ半数が東京都に集中している。そのうちでも,ソフトウェア業,情報サービス提供業は50%を超えており,東京で の情報収集の重要性とニーズの高さを示している(第II-1-10図)。大阪圏では,就業人口自体は若干増加しているもの の,対全国シェアは昭和53年以降ほとんどの産業で横ばいになっており,事業所数と同様に就業人口でも大阪圏への集 中傾向はみられない。 (製造業のシェアは大きく低下) また,製造品出荷額のシェアでは,東京圏は昭和40年の30.O%をピークにその後は減少を続け平成元年には24.7%とな った。とくに東京都は東京圏よりも早く昭和35年頃から急激に減少し平成元年にはピーク時の半分の7.1%となった。周 辺3県では東京都の出荷額のシェアが落ちた35年以降も増加が続いたが,昭和56年の18.8%をピークに対全国シェア が低下している(第II-1-11図)。 製造業従事者数の対全国シェアの推移も,製造品出荷額と同様の経過をたどっている。 東京都の製造業従事者数は,対全国シェアだけでなく実数でも減少しており,40年に140万人いた従業者が現在では約 半数の78万人に減つている。周辺3県でも近年はほぼ横ばいであり,東京圏外への工場の移転が起こつていることを示 している。 (金融活動の集中進む) 金融は,平成元年3月末で東京圏が全国に占める比率をみると,預貯金残高35.6%,貸出残高46.O%,手形交換高84.5% と非常に高いシェアを占めている。実数でも,昭和55年3月末から平成元年3月末までの9年間で預貯金残高が2.4倍,貸 出残高2.7倍,手形交換高4.O倍と急激な伸びをみせている。とくに,東京都の全国シェアは預貯金残高24.6%,貸出残高 37.6%,手形交換高84.O%と東京圏の大部分を占めており,金融の東京都への一極集中が急激に進んでいることを顕 著に表している(第II-1-12図)。 また,大阪圏をみると,これらのシェアは昭和35年以降横ばいないしは減少で推移しており,金融の集中は東京圏だけで 起こっていることが分かる。 さらに,外資系の金融関係企業数の対全国シェアをみると東京都に99.O%とほとんどの企業が集中し,そのうち中央区, 千代田区,港区の都心3区だけで92.3%を占めており,外資系の金融関係企業は都心の限られた地域に集中している。 東京の世界金融市場化が,他の地域にはみられない金融の集中を起こしているといえる(第II-1-13図)。 (集積のメリット) 以上のように,人口や経済活動の東京への集中は進んでいるといえる。しかし,現在の集中は昭和30年代後半から40年 代前半にかけての高度経済成長のもとでの集中とは性格を異にしている。高度経済成長期の集中は大規模な人口移 動や物の移動を中心とした東京圏だげに限らない大都市圏への多極集中だったのに対し,今回の集中は金融あるい はそれを中心とした情報サービスなどのソフト面の東京一極集中である。したがって,以前にも増して東京23区への集 中,とくに都心3区(中央区,千代田区,港区)への集中が著しくなった。 当庁が63年に行った企業に対するアンケート調査(「東京の世界都市化と地域の活性化」経済企画庁編所収)によると, 半数以上の企業が東京圏に本社を置くメリットは「市場や顧客の情報収集に便利である」「他社や業界の情報収集に 便利である」と答えており,各種の情報収集が東京へ本社を置く大きなメリットであることを指摘している。 このように,東京に集中する企業を対象にして,企業が求めている情報の提供を売り物にしたサービス産業が発達する という状況がおこっている。 平成2年に当庁が行った企業行動に関するアンケート調査報告書によれば,今後3年間に事業所の新設あるいは移転 予定があると答えた企業のうち東京圏への移転を予定している企業は,全産業では直接部門で18%,間接部門で56%, 研究開発部門で42%となっている。とくに,非製造業で東京圏への移転を予定している企業は直接部門で59%,間接部 門48%,研究開発部門46%となっており今後も東京圏への集中が進行することを予想させる結果となっている。 【 目 次 】 研究の目的と視点 東京一極集中と北海道の活性化 (社)北海道産業調査協会 東京一極集中の実態 東京一極集中 製造業 商業 企業活動 情報 学術研究活動 大学・教育 文化活動 県民所得 人口 東京一極集中の要因 アンケートとその結果 北海道から見ての東京一極集中のメリットとデメリット メリットについて デメリットについて メリットとデメリットの比較 東京一極集中の利用とその効果 東京一極集中の利用方法 東京一極集中の利用による地域活性化の効果 東京一極集中下での北海道の活性化 基本的認識についての設問 活性化の具体策についての設問と回答 アンケートによって提起された新たな課題 総括と課題の整理 情報の東京一極集中に対抗する地域情報基盤のあり方 (社)北海道未来総合研究所 情報の東京一極集中の現況と問題点 東京の情報一極集中の現況とその背景 地域における情報基盤整備の意義と方向 地域における情報基盤整備としての札幌テクノパーク 札幌テクノパーク建設の背景-経過と概要- 札幌テクノパークの特徴 札幌テクノパークに対する評価-入居・未入居企業アンケート 調査の目的と方法 調査の結果の概要 地域における情報基盤整備のあり方〜行政・地域企業等への提言〜 北の風土を生かした新しいデザイン情報の発信 (社)北方圏センター デザインをとりまく時代の潮流と北海道の現状 時代の潮流とデザイン 東京一極集中と北海道の現状 国際的視野の中での北海道デザインの可能性 地域特性をふまえたデザインの国際性と北海道がめざす方向 北の風土を生かした北海道デザインの可能性 北海道デザインの発信と地域経済の拡大 北海道デザインの創造と発信 北海道デザインの展開と地域経済の拡大 現状の調査・分析 地域の人々の感性の養成および教育・啓蒙 デザインに関連した議論・交流の活発化 デザイナーの育成とデザインマネージメントの養成 経済的バックアップとパトロネージ 情報の収集と発信 流通・経済的効果の検討、およびデザイン開発への投資 デザイン関係機関・施設等の整備拡充 東北地域における技術型人材育成の課題と対応方策について (財)東北開発研究センター 東北地域における工学系高等教育機関の現状 東北地域における工学系高等教育機関の人材供給力 東北地域における工学系高等教育機関の人材供給状況 理工系学生の最近の就職意識 東北地域における技術型人材需給の現状 東北地域における工学系人材需要の現況 東北地域の企業における技術型人材確保の状況 東北地域における技術型人材需要の将来展望 東北地域における理工系高等教育機関誘致の動向 東北地域における理工系高等教育機関誘致の現況 東北地域における大学等の誘致構想 大学等の新増設に係わる諸課題 東北地域における技術型人材の育成と供給のあり方 東北地域の企業における技術型人材需給の問題点 東北地域における技術型人材の供給と定着を促進するために 前橋・高崎都市連合-脱東京受け皿づくりの提言- (株)CAD計画研究所 脱東京受け皿づくりの緊急性 多極分散型国土と前橋・高崎地域 前橋・高崎地域の特殊課題 脱東京受け皿となりうる都市の条件 前橋・高崎都市連合の必要性 前橋・高崎地域の現状と問題点 人口推計 人口推計の根拠 産業経済の現況 両市の地勢状況 両市都市経営の現況 両市の現況と群馬全体のかかわり 都市連合の必要性と効果 都市連合阻害の本質的問題点 前橋・高崎都市連合のイメージ 動き出した都市連合-《東国市》 理想の都市群建設研究会との出会い 《東国市》のネーミング 《東国市》の描く地方中核都市像 4つのキーワード 都市機能発揮の4つのレベル EC型統合としての《東国市》 《東国市》のための調整項目 EC型統合への戦略と戦術 《東国市》のための調整項目 電話市外局番の統一 図書館・文化施設等の共同利用 組合立大学の設置・運営 新交通システムの採用 許認可事務の一体化 2001年元旦にむけて 「薬の富山」のルネッサンスを-和漢薬研を核とした地域活性化- (社)地域振興研究所 薬の富山の歴史と現状 県における薬業の歴史 薬の生産と販売等の現況 和漢薬研究所の経緯と役割 富山医科薬科大学の概要 和漢薬研究所の誕生と変遷 研究所の機能と役割 地域活性化の課題とシーズ 地域活性化の課題 地域資源の把握 企業等の意向調査 地域活性化の戦略とシナリオ 全体構想 「製剤」等開発への道程 「機能性食品」開発への道程 その他 むすびにかえて フードピア金沢にみる「食」文化の発信〜石川県の特徴を生かした情報発信〜 (社)北陸経済調査会 はじめに 石川県における食関連産業の集積と▽フードピア金沢▽の土壌 金沢の食料品工業の独自性と食文化 食文化と食の技術との連関 フードピア金沢のコンセプトと食文化のイメージアップ コンセプトの形成 食文化のイメージアップ 食文化の発信能力をどう高めるか フードピア定着による情報発信 食品産業の連携基盤に立った多様な情報発信 食関連産業と地域ネットワーキング おわりに 情報発信機能の強化による福井地域の活性化 (財)地域環境研究所 福井地域の情報流動の現状と課題 情報の受発信機能の現状 都道府県別情報量からみた福井の位置 地域情報の受発信の現状 現状における情報流動の課題 地域情報と地域アイデンティティー 地域情報データベース作成の必要性 福井地域の活性化のための発信情報の検討 意識調査からみた発信情報の検討 受発信情報のメディアの現状 発信の必要性 発信情報の発信源、メディアの検討 地域情報の発信機能の強化のための具体的施策 地域活性化のための情報発信 観光、イベント情報の発信 地場産品情報の発信 データベースセンターの基本構想 地域情報データベースの基本構想 データベースセンターの基本構想 具体的方策 地域情報センターの整備 整備の基本方針 具体的な方策 首都圏情報へのアクセスと▽福井産地▽の再活性化対策 (株)福井経済経営研究所 福井産地の現状 福井県産業における繊維工業の地位 福井産地の概要 福井産地の生産、流通の特色 東京市場との取引 衣料分野と東京市場 福井産地の取引の状況 東京市場との取引に関する意識と関心度 東京市場との取引についての障害ないし隘路 福井産地の情報化の実態 情報の収集方法 福井産地の情報ニーズ 情報機器の普及状況とネットワーク化の現状 播州織産地の情報システム構築へのアプローチ 結びにかえて 産業技術の高度化による情報力強化 (社)中部開発センター はじめに 産業技術にかかわる愛知の現状と特色 産業構造の特色 研究開発機能の現状 愛知の産業発展の歴史と技術開発力 産業と技術の発展 産業と技術の課題 事例からみた愛知の研究者・技術者および研究開発の実態 東京からみた愛知 研究者・技術者および研究開発の実態 おわりに 全国文化情報ネットワーク拠点豊橋-アマチュアオーケストラの都- (社)東三河地域研究センター 序章 全国文化情報ネットワーク拠点と地域活性化 アマチュアオーケストラ・ネットワークの形成過程 アマチュアオーケストラの発展と分布 アマチュアオーケストラの発展 アマチュアオーケストラの分布 アマチュアオーケストラ・ネットワークの分布と形成過程 アマチュアオーケストラ・ネットワークの分布 アマチュアオーケストラ・ネットワークの形成過程 アマチュアオーケストラの地域活動の現況と全国ネットワークへの期待 各アマチュアオーケストラ活動の実態と今後の課題 アマチュアオーケストラの地域活動 アマチュアオーケストラの地域活動の強化点と今後の課題 全国ネットワークへの期待 全国行事への参加状況とその評価 アマチュアオーケストラの都づくり アマチュアオーケストラの都づくり戦略 アマチュアオーケストラの都のイメージ アマチュアオーケストラの都としての豊橋市の資質 アマチュアオーケストラの都づくりの戦略 日本アマチュアオーケストラセンターの内容 導入機能 設立運営 三重県-鈴鹿山麓新首都構想 (財)三重社会経済研究センター 首都移転の必要性 三重新首都の基本理念 三重新首都立地の必然性 国際的な視点 国内・地域的な視点 地理的・資源的優位性 三重新首都の機能の規模 新首都の機能 新首都の適地 新首都の規模と都市構造 新首都圏の人口規模 新首都およびその周辺の人口配分の考え方 新首都の規模計画 土地利用計画と首市構造のイメージ 三重新首都に期待するもの(各界インタビュー抄録) 京阪神を含む「バイオベルト」構想-近畿における新情報軸の効果 (株)エー・エー・ピー 近畿圏経済と首都圏集中 近畿圏経済の低迷 東京圏集中と近畿圏 研究開発機能の集積 近畿とバイオテクノロジー 近畿圏とバイオテクノロジー 近畿における主なバイオテクノロジープロジェクト バイオベルト構想 バイオベルト構想 近畿圏活性化のキーテクノロジー バイオベルト構想 研究開発活性化の方策 地方博覧会の情報波及と東京の役割 (株)エスシイアイ 地方博と広報活動 地方博の現状 地方博の広報活動の現状 広報活動の実態 広報戦略と広報体制 広報効果 地方博広報の問題点 情報の一極集中と地方博広報 広報戦略、体制の課題 博覧会テーマのインパクト力 地方博広報の方向性 狭域広報の課題と方向性 広域広報と情報の高付加価値化 情報の双方向化の推進 地方博広報への提言 「近畿圏における情報発信機能に関する研究」報告書 (財)関西空港調査会 情報の東京一極集中 東京一極集中問題 東京一極集中の問題点 基本的な視点 「東京」そのものの問題点 「地方」における問題点 情報の一極集中 「地方」における情報集積の必要性と可能性 「地方」からの視点 行政分野における情報集積の可能性 近畿圏活性化のための基本戦略 「すばるプラン」と情報化戦略 情報化へのアプローチ 情報生産・創出の重要性 情報流通システムの重要性 行政情報の公開 都市生活における情報の重要性 基本戦略 独自の世界都市機能の構築 「東京問題」との関連 近畿圏情報ネットワーク構想の提案 近畿圏情報ネットワーク構想 構想の基本方針〜分野別の拠点整備とトータル・マネジメント〜 個別情報集積拠点の整備 情報集積のあり方 情報内容の検討 情報集積の手順 総合情報センターの概念 ネットワーク機能 独自の情報集積 情報生産機能 北大阪における文化創造とその強化-市民オーケストラの文化発信機能- (財)関西情報センター 市民による文化発信について 市民文化の現状 研究の目的・対象・地域 北大阪地域における文化発信機能としての市民オーケストラの現状と課題 北大阪地域の市民オーケストラの概略 アンケート実施の概略と回答者のプロフィール 参加動機 活動について 市民オーケストラの文化発信について 他地域での活動経験について 北大阪地域における文化のバックグラウンド 北大阪地域における音楽関連施設 市民文化活動へのバックアップシステムについて 公的なバックアップ例 民間のバックアップ例 市民における文化受容構造 市民(聴衆)の文化受容意識 アンケート実施の概略と回答者のプロフィール 演奏会への参加 市民オーケストラの受け容れかたについて 市民型文化発信機能の強化方策の提言 考え方の整理 市民型文化発信機能の強化のために 市民オーケストラにそくして バックグラウンドにそくして 市民にそくして 西日本における情報サービス業の経営と東京情報集積との関わり (株)関西総合研究所 調査の概要 調査の目的 調査の方法 回答企業のプロフィール 企業所在地 企業規模 最近の業績 首都圏の事業所の有無について 首都圏における支社・工場の有無 首都圏に事業所のある企業の今後の方針 首都圏に事業所のない企業の今後の方針 売上高の地域分布 情報や人材入手方法 情報の入手先 情報の入手先の地域別割合 情報入手ルート 技術開発面での首都圏への依存 人材確保面での地域別依存など 経営上の問題点と今後の方針 経営上の問題点 今後の経営方針 地域情報サービス業発展の課題と東京集中問題 地域立地の理由 地方立地の得失 東京一極集中について まとめ 関西圏の特化と活性化をめぐる課題-国土の多極機能化のために- (社)労働調査研究所 まえがき 東京一極集中とさまざまな首都論の問題点 東京プロブレムの主な要因 さまざまな遷都論・首都論の問題点 関西圏の問題点とストック 関西圏の問題点は何か 関西圏のストックの特性 関西人の見方・考え方 東京一極集中と関西の地盤沈下をめぐる評価 関西圏の活性化をめぐる方策 提言 一極集中緩和の問題について 地方権の特化と自治・自立性の強化 関西圏の特化と活性化 ファッション都市神戸における情報発信基地づくりの戦略 (財)神戸都市問題研究所 ファッション都市神戸とまちづくり 神戸のファッション産業 神戸ファッションの歩み ファッション都市宣言 神戸のファッション産業の現状 神戸のまちづくり 開発と保全の調和 景観条例によるまちづくり 都市アメニティ倍増構想 ファッション意識アンケートの分析 アンケート調査の概要 ファッション都市と神戸 ファッションと情報 ファッション都市神戸に必要なもの 神戸ファッションのアイデンティティ確立戦略 ファッション都市の景観 ファッション都市の施設づくり 神戸ファッションマート 神戸ファッションセンター(仮称) ファッション都市の人材育成 ファッション都市への総合戦略 ワールド・ファッション・フェアと神戸発の情報発信メディア 「ファッション都市基金」の創設 官・民・学のネットワークによるファッション都市づくり 国際・情報都市「こうべ」の創造-ハーバーランドを中心にすえて- (財)社会システム研究所 国際・情報都市をめざしての地域プロジェクト 神戸の地域構造と課題 国際化都市としての神戸 情報化都市としての神戸 国際・情報都市としての都市機能のあり方 国際・情報都市の機能分析 国際・情報都市▽こうべ▽の位置づけ 京阪神都市圏での▽こうべ▽の役割 国際・情報都市としての「神戸ハーバーランド」の役割 情報発信システムとして 情報化都市空間として 情報化演出として 国際・情報都市「こうべ」の創造にむけて インテリジェント・タウン▽こうべ▽ エキゾチック・タウン▽こうべ▽ エンターテイナー・タウン▽こうべ▽ 尼崎市-シビックゾーンを基盤とする活性化 (財)兵庫経済研究所 まえがき 尼崎の現状 尼崎の立地条件 大阪府に属しない大阪市の衛星都市 尼崎市の市域構成 尼崎市内の交通網 人口の減少 産業の衰退 尼崎市活性化の方策 尼崎市の対応 人口の定着 産業の振興 阪神地域としての対応 シビックゾーンを基礎とする活性化方策 シビックゾーンを基盤とする尼崎市の活性化 既存の尼崎市活性化方策の評価 臨海部開発構想の評価 シビックゾーン構想の評価 シビックゾーン構想の拡充 シビックゾーンに集散する人口の増大策 総合交通体系の再検討 あとがき 鳥取県の東京における情報受発信機能の現状と将来方向 (株)地域デザイン研究所 問題意識 鳥取県人の東京における情報活動の現状 調査の概要 ビジネス活動の場としての位置付け 情報収集に関する取り組みの現状 事例にみる地方各地の東京における情報機能の現況 在京地方銀行の東京における情報機能の現況 東京における情報機能の先進事例 東京を拠点とするネットワークコミュニケーションの事例 地域戦略・・・東京一極集中における情報機能のあり方 鳥取県の東京における情報機能の新しい動き 東京一極集中における鳥取県の情報機能のあり方 高知県における生活文化継承運動と情報発信機能 (株)くろしお地域研究所 はじめに(生活文化の概念と研究対象の限定) 高知県における生活文化をめぐる現状と問題点 概況 「衣」文化をめぐる現状と問題点 「食」文化をめぐる現状と問題点 「住」文化をめぐる現状と問題点 「祭」文化をめぐる現状と問題点 情報発信面からみた生活文化継承運動の課題と方向 生活文化継承運動の現代的意義と役割 「衣」文化継承運動の課題と方向 「食」文化継承運動の課題と方向 「住」文化継承運動の課題と方向 「祭」文化継承運動の課題と方向 まとめ-生活文化と地域活性化- 生活文化のもつ情報発信機能 地域の暮しぶりをみがくことの意義 自ら演じはじめた青壮年集団 要約 「休暇を考える」(飯田経夫) 休暇延長の国民的要求 「外圧」の狙い通りには 休暇の長さは豊かさなのか 日本固有の休暇制度を考える 休日・休暇の歴史 休日・休暇の起源 休日と休暇の違い 週休制度の起源 祝祭日の起源 休暇の起源 西欧における休日・休暇の変遷 中世ヨーロッパの休日・休暇 産業革命以降の休日・休暇 第一次大戦以降の休日・休暇 日本における休日・休暇 江戸時代の休日・休暇 明治以降の休日・休暇 戦後の休日・休暇 日本における近年の休暇政策の推移 欧米主要国における休暇拡大の動向 欧米主要国の休暇状況 イギリスの動向 有給休暇は70年代以降に急速に拡大 労働者の「手段的」労働志向 ブルーカラーによる休暇拡大の「押し上げ効果」 ホリディツアーの普及(ロンドンからの報告-イギリスにおける長期休暇の過ごし方(稲上毅)) フランスの動向 制度よりも実態が先行した休暇先進国 ミッテラン政権の休暇政策 バカンスの過ごし方 西ドイツの動向 トップクラスの休暇国 時間の生活哲学 熾烈な時短闘争の展開 アメリカの動向 早い時期に進んだ休暇条件の整備 休暇拡大が不活発な理由 欧米諸国における休暇の拡大要因と問題点 休暇拡大の社会的要因 欧米休暇制度をめぐる問題点 休暇の役割と今後の方向 休暇制度の比較 休暇制度の歴史的推移 休暇制度の日欧間の相違 休暇後発国の日本 休暇の機能と現代社会における役割 休暇の生活機能 休暇の経済社会的機能 休暇の社会文化的機能 休暇拡大のための具体的提言 おわりに 参考文献 序文 序章 「歩く」ことさまざま 歩行整備の歩み 森村道美(東京大学教授) 歩くことは文化生活の反映である 村山正博(聖マリアンヌ医科大学教授) 東京こそ大歩行空間-屋外民族の居場所-が必要だ 真鍋博(イラストレーター) 大都市の安全のために 村上處直(横浜国立大学教授) 触覚的体験としての「歩く」 及部克人(武蔵野美術大学教授) もう歩くしかないかもしれない 藤森照信(東京大学助教授) 歩きたくなる街 林丈二(デザイナー) 高齢者と歩くこと 秋山哲男(東京都立大学) 歩行者空間の整備に関する視点 竹内直文(建設省大臣官房) 歩いて東京の再発見を!-歴史と文化の散歩道- 笹間薫(東京都生活文化局) 大都市東京における「歩く」について 鳥山千尋(杉並区都市環境部) 歩くこととまちづくり 中村八郎(国分寺市都市整備部) 要約 〔本文〕 都市を「歩く」ことの視点 歩行と健康 歩行の都市的意義 歩行者と歩行空間に関する現状と展開 交通手段としての歩行 歩行者交通事故と交通安全対策 地区交通計画とコミュニティ 歩行者から見た歩行空間 歩行者空間整備のまとめと今後の課題 東京の様々な「歩き方」 東京の様々な「歩き方」 ガイドブックにみる東京の「歩き方」 歴史と文学を手がかりに「歩く」 風景を「歩く」 発見しながら都市を「歩く」 元気に「歩く」 身近な街を「歩く」 災害で「歩く」 東京の様々な「歩き方」 東京の「歩き」の実態-杉並「知る区ロード」探検報告- 杉並「知る区ロード」と「知る区ロード探検隊」 杉並「知る区ロード」探検報告 東京を「歩く」ための課題と提案 「歩く」ための基本的視点と課題 「安全で快適な歩行者空間づくり」 「歩いて面白い都市づくり」 「街歩き」意識を育てる 東京を「歩く」ための提案 参考資料 「街歩きに関するアンケート」結果 あとがき もっと東京の街歩きを まえがき 調査の概要 要約 ガットサービス貿易交渉の背景 はじめに ガットの概要 ガットサービス貿易交渉 サービス貿易交渉の主要問題点 民間サービス産業組織の活動 はじめに 米国におけるサービス産業組織 欧州におけるサービス産業組織 日本におけるサービス産業組織 主要民間サービス産業会議の概要 サービス産業民間団体の結論 わが国民間業界サイドとしての今後の対応 サービス貿易と南北問題 はじめに サービス経済化の流れ 世界貿易に占めるサービス貿易の動向 開発途上国におけるサービス経済化の意味 開発とサービス業 サービス貿易自由化に関する南北対立 米国の貿易政策と自由貿易協定 はじめに 米国貿易政策の変化 米加自由貿易協定の意義 通信 はじめに 通信に関する国際間取引の形態 電気通信分野における既存国際組織 各国の通信制度と規制,障壁の状況 通信分野におけるあり得べきサービス貿易秩序 銀行 はじめに 銀行に関する国際間取引の形態 各国の銀行制度における規制,障壁の状況 銀行分野におけるあり得べきサービス貿易秩序 建設業 はじめに サービス業としての建設業 日本の建設業制度 米国の建設業制度 建設業の貿易障壁を考える視点 国際航空運送サービス はじめに 航空運送の国際取引の形態 国際航空運送制度 国際航空運送制度における航空運送サービスの貿易 日米の航空運送に関する規制 まとめ サービス貿易交渉の意義と展望 はじめに サービス貿易交渉の意義 サービス貿易交渉の課題と展望 要約 序論 東京の重要性 外からみた東京 飛躍のための助走期間 世界都市東京都は何か 国際金融センターとしての世界都市 ニューヨーク ロンドン 東京 競争力を保つには 定義を拡大して考える ニューヨーク ロンドン 東京は将来,いくつもの世界都市機能を持つことになる 問題をどう実際に解決していくか 東京を世界都市とするには 真の国際化に向けて 国際化と世界都市 ニューヨーク ロンドン 東京 在日外国人労働者 彼らはなぜ来るのか 東京 移民の雇用 差別問題 在日韓国・朝鮮人 外国人留学生 特別な措置 海外から帰国する日本人 アウトサイダー 地域全体にわたる開発 世界都市東京の位置づけ 中心の所在 戦略的な中枢地点 東京の都市構造 都心にみる世界都市 ニューヨーク ロンドン 分散化の可能性 ドックランド より複合的で分散した東京の都市構造 計画と立案 土地問題と世界都市 情報テクノロジーの発達は計画の失敗を埋め合わせられるか 首都の移転 首都圏計画の枠組づくり 地域問題 ニューヨーク ロンドン London Planning Advisory Committe(ロンドン計画諮問委員会) ロンドンとSERPLAN(南東地域計画会議) 東京の計画 政府間関係としての大都市計画 コミュニティー開発の促進 ニューヨークとロンドン 安心して暮らせる世界都市東京 誰が世界都市東京をつくるか ニューヨーク ロンドン 東京 住宅 近隣地区の保全と開発 参加と計画 世界都市における文化 結語 資料A インタビュー・リスト 資料B 引用文献 序文 要約 救急医療システム開発の動因 混乱する救急医療 救急医療の環境変化 救急医療=緊急医療+応急医療 救急医療不採算の本質と対策 救急医療需要の動的変化と対応策:待事方式と待機方式 救急医療改革の基本方略 救急医療システム開発の足掛り 開発支援のモデリング・アプローチ モデリング・アプローチの目的 望まれる計画支援機能 モデルの基本構造 発生モデルの設計 応需モデルの設計 受療モデルの設計 システム・シミュレーション モデル開発から計画支援へ 付録 システム・シミュレーションのディスプレイ画面例 要約 研究の目的と手法 研究の目的 研究の対象と方法等 変貌する産業労働 サービス経済化と雇用環境の変化 フレキシブル化する産業労働 経営・人事の中期的戦略 市場・技術戦略 雇用変動と人材調整 労働条件の調整 雇用構造のフレキシブル化と雇用展望 分析視角 多様化する雇用形態 人材の流動化 固定費の逓減 就業形態の弾力化 フレキシビリティの進展 就労と仕事に関する意識 求職者の就職に関する意識 派遣社員の就労実態とその意識 従業員の定着・移動と仕事に関する意識の変化 フレキシビリティの進展に伴う雇用政策の検討 はじめに-フレキシブル化に対応する雇用政策の方向 雇用情報システムの整備 中途採用者の有効活用 教育訓練の外部化 賞与の賃金化 福利厚生の社会化 新たな退職金基金等の創設 外国人労働者の流入と日本社会の対応 巻末資料 フレキシブル化指数等の算出について 性・年齢別労働力構成の分類 各調査の基本的属性 トップページにもどる ★はじめに★ 願わくは日本地図の御用意を……。 ★東京★ 大概の人は、日本の中心は東京だと言うのではないでしょうか。国会、最高裁判所、首相官邸、中央省庁、日本銀行 本店、皇居といった政治の中枢機関が集まり(首都としての機能)、東京外国為替市場、東京証券取引所といった世界 に名だたる大市場や、ありとあらゆる業種の大企業の本社が集まる(経済の中心としての機能)、日本随一の、そして 世界でも有数の巨大都市です。今や首都機能移転問題が国会で議論されるまでに国内の人、物、金の東京一極集中 が進んでいることは御存知の通りです。 しかし、だからといって、「日本の中心」=「東京」 と決めつけてしまうのはどうでしょうか。 確かに、東京が日本の中心であることは、前に述べた通り、疑いようのない事実です。でも、日本の中心が東京だ、 というのは東京都民の驕りと他の道府県民の誤認に他なりません。独裁政治や国教の存在する国ならいざ知らず、 「民主主義・政教分離の国」日本において、全ての事柄が東京中心に回っているなどという観念が、かくも信仰を集めよ うとは。やはり日本は今なお戦前の国家体制を引きずっているのでしょうか。……閑話休題。ともかく、日本の中心は、 案外たくさんあるのです。そのうちのいくつかを御紹介しましょう。 ★岐阜県 郡上郡 美並村★ 人口重心というものを御存知でしょうか。これは、ある地域に住む人々の体重が皆、同じであると仮定したときに、そ の地域を支えることができる点のことです。 日本の人口重心は国勢調査結果を元に算出されています。そしてこれが一九八〇年から一九九五年(前回)までの 国勢調査結果では美並村にあるのです。このことから、美並村は「日本まん真ん中の村」を名乗り、村おこしに利用して きました。ところが、日本の人口重心は、前に述べた様な東京への人口集中を反映して、国勢調査が行われる度に東 の方向へと移動しています。この調子で移動を続けると、二〇〇五年の調査結果では人口重心は東どなりの武儀郡武 儀町に移ってしまうのはほぼ確実。ひょっとすると、この一〇月一日に行われた国勢調査の結果の時点で既に移って しまっているかもしれません。さあ、美並村よ、どうする? ★千葉県 銚子市★ 利根川の河口に位置し、犬吠埼で有名な銚子市は、離島を除けば関東地方で最東端の街です。そんな銚子市がな ぜ日本の中心を名乗っているのでしょうか。実は、銚子を中心にして半径約一一〇〇kmの円を描くと日本列島(離島を 除く)がすっぽりと収まるから、とか。長野県辺りを中心にした方が小さい半径(約一〇〇〇km)で済みそうに思えるので すが、まあ、銚子を中心にした方が日本列島が円にきれいに内接しますから、良しとしましょうか。 ★能登半島と佐渡島の間★ 正確には、東経一三七度四二分四四秒、北緯三七度三〇分五二秒。この場所が日本海の海上であることは言うま でもないでしょう。海の上が日本の中心とはいかなることか、といぶかしがる方もあるかと思いますが、これは建設省国 土地理院が発表した「日本列島の重心」の位置で、日本列島の地質や地形が均一だと仮定(かなり乱暴な仮定だとは 思いますが)したときに質量の中心点、すなわち重心はどこになるかを計算で求めたものです。 ★長野県 上伊那郡 辰野町★ 今回取り上げた「日本の中心群」のなかで最も怪しいのがここ。東経一三七度五九分三六秒、北緯三六度〇〇分四 七秒、と正確に決められてはいるのですが、なぜそこが中心なのか、一切、説明がないのです。私も色々と調べてみま したが、とうとうその由来を知ることはできませんでした。 ★新潟県 糸魚川市★ 日本列島は弧状列島ですが、その弧の曲がり具合をやじろべえのそれに見立てると、このやじろべえを支えることが できる位置は、糸魚川市となります。なんだか無理矢理こじつけた様な感じがしますが、これでも中心は中心です。 ★群馬県 渋川市★ 日本列島のほぼ中央に位置し、また交通の要衝であることから、我が市は「日本のへそ」である、としているのが渋川 市。一九八三年より「へそ祭」が開催されています。 ★兵庫県 西脇市★ 最後に御紹介するのが西脇市。この街には「日本へそ公園」なるものが整備されており、なんと、同名のJRの駅まで もが存在するのです。へその由来は、無人島を除いた日本を南北方向に見たときの中央である北緯三五度線と、日本 標準時子午線である東経一三五度線とが交わる点であることとか。そんなに遠い場所ではありませんから、一度訪れ てみてはどうでしょうか。JR加古川線日本へそ公園駅下車すぐのところに「日本のへそ」モニュメントがあります。 ★おわりに★ 各市町村の街おこしにかける熱意は、日本にありとあらゆる「中心」を創り出してきました。しかし、街おこしをせねば ならないのは大都市への過度の人口流出があるからであり、その熱意も、もとをただせば東京一極集中が生み出した ものに他なりません。やはり東京こそが、全ての物事の出発点、日本の中心なのでしょうか? ・ 日時 平成11年9月11日 会場開始 14:00〜16:30 ・ 会場 伊賀町役場前 ふるさと会館いが大ホール ・ 主催 三重・畿央地域首都機能移転連絡会議(三重・滋賀・京都・奈良) ・ 講師 基調講演 中村 英夫氏 武蔵野大学教授・国会等移転審議会委員 ・ パネルディスカッション コーディネーター 平本 一雄氏 三菱総合研究所取締役社会環境センター長 パネリスト 石森 秀三氏 国立民族学博物館教授 金森茂一郎氏 関西経営者協会顧問・近畿日本鉄道代表取締役 紙野 桂人氏 帝塚山大学教授・大阪大学名誉教授 佐々木俊一氏 日本経済新聞社大阪本社代表室企画委員 ・ 会場に見る主な出席者 中井・川崎両代議士代理秘書・上田三重県副知事 伊賀選出県議会議員5名全員・上野市長 他府県、滋賀県議会議員ヤモリ・サワダ・ウラタノ各氏 土山町長他多士多才。 -------------------------------------------------------------------------------- 会場の固定椅子席は目分量でざっと600強。それに組立椅子を並べて約650、それでも足らず立っている人がいま したが、動員数700は遙かに越えてその先はどこまで入ったかというところです。 会場受付は、県関係者・市町村関係者・経済界と分かれて設置。休憩時のロビーや喫茶室の様子を見ると、おそらく この会館開設以来の入場数ではないかと察するにぎわいです。 定刻通り14:00スタート。司会者から本日のプログラム説明のあと、本日の主催者を紹介しました。主催者側として 京都・滋賀・奈良・三重の1府3県(略してケイジナミと呼ぶようです)を代表して地元三重県上田副知事が挨拶しまし た。 -------------------------------------------------------------------------------- 三重県上田副知事 挨拶内容要旨 私ども畿央は4府県34市町村、関西・中部の結束点になります。8月5日の京滋奈三知事会議で、共同して宣伝す ると確認しました。そして経済界他関係諸団体のもとシンポジュウムする事になりました。中村先生の話は滅多に聞け るものではありません。10月には4府県で、私どもに答申いただけるよう審議会に要望する予定しています。よろしくお 願いします。 トップページにもどる -------------------------------------------------------------------------------- 中村英夫氏の基調講演 話をさせていただく機会いただきましてありがとうございます。本日は5つ程の点についてお話したいと思います。 1.何故首都機能移転が必要なのか。 2.他国に見る首都の様子。 3.私達日本ではどんな首都、新都市を目指すのか 4.それをどこにつくるのか、立地条件に関すること 5.どうやって選ぶか、選定方法 以上のようなこと語ってみたいと思います。 1.神戸の地震からどうしてもやらねばならない大事なことと思いました。皆さんも共感してくれると思います。ちょうど、 土木学会・会員4万人の会長していた私は復興現地調査に関与する機会あってショック受けました。日本はあれほど の被害がいつどこで起こっても不思議ではありません。そんなところに住んでいます。あんな地震が来るものとして、そ れでも安心して住めるようにと考えたら、一体どうしたらよいのでしょう。 例えば東京。建物のものすごい広がりが続きます。計画的に作られたものではありません。バスが交差できない道が たくさんあって、これで地震が来たら車が燃える電柱が倒れるで逃げることも助けることもできません。こりゃ大変で す。神戸に起きて大変だったけど、東京に起きたらもっと大変でした。日本の首都東京の混乱は国内ばかりでなく世界 にも影響及ぼします。一極集中は一面効率的でもあるけれど地震が来たら怖いですね。 地震対策・危機管理これはどうしてもしておかねばなりません。 (2)人心の一新があります。これまでの日本史は遷都で歴史。社会が変わってきました。しかも良い方向へ変わって きました。今回も同じ事、期待できます。我が国は疲労している部分が多い。その部分を改革すれば良いではないかと いう声もありますが、根本的に立て直すには部分の改革ではすみません。また地方分権にも大いに期待できます。 (3)東京は一極集中で大きくなりすぎました。この傾向はこれからも続きます。これにブレーキをかけることはできま す。東京3,700万、首都に予定している人口が60万です。これで東京の過密はなくなりません。しかしこれからも続く集 中化に歯止めをかけることはできます。 2.オーストラリアはメルボルンからキャンベラに移りましたがここは完全に人工都市です。ブラジルもブラジリアという 全く人工の都市・首都を作りました。最初は批評浴びました。都市基盤のないところに町を作るのですから、当初は住 民にとって何かと不便なことあるのは当然です。しかし今では町も成熟してきて、首都動かして良かったという意見多い のです。 ドイツのボン。この小さな町に首都作りました。ナチの悪夢に繋がるベルリンからボンに作りましたが、東西統一して からまたベルリンに戻ろうという動き、でてきています。幾つかの機能はボンにも残しますが行政や政治・司法などを国 内に分散しています。 むしろ世界的に見ると先進国では機能が分散している国の方が多いですね。何もかも集中していると効率はよいの で、これから頑張って追いつかねばならない途上国に一極集中型の首都が多いのです。 3.私達の考える首都は、行政・政治機能は移すが首都機能の全てを移すものではありません。例えば皇居は残りま す。どんな都市かというとクラスター型だと言われています。クラスター、葡萄の房のようなものです。小都市群から成り 立ちます。何故そうするかというと、大きな都市にするにも土地がいっぺんに取れないと言うこともありますし、小都市 の方が生活利便性や環境に有利です。面積マキシムで9,000haです。この周辺の1つの町の規模で10,000ha。信楽町 で16,000haですか。こういう例があるのかというと大規模なものではシンガポールです。10万ha、淡路島位の大きさに全 体が10万都市です。生活は数万人位の小都市が点在する、その各都市がそれぞれ機能し、その中で生活します。 どんな都市かというとそれは文化的であり環境と調和していること。世界に向けての首都でありますから風格が必要 です。更に最先端の科学を使って機能的に、誰もがここに住みたいと思うような都市を造ります。 その費用ですが、税金として使う公共投資額は4兆円。その他民間から導入して総費用は10数兆円になります。15〜 20年程かけるので年間の税金使用は2,000億程ちょっとになります。年間国家予算全体の約1/200・0.5%程です。これ どの位の規模のプロジュクトかというと第2名神で10兆ほどです。既存のものを可能な限り使って新しく空港を作るよう なことはしません。このお金は小さいとは言わないけれど、それよりも費用対効果が大きい。東京は130年使いました。 今度は何年使うかわからないけれど効果で言えば圧倒的に有利です。 4.東京から300kmであればここがリミットです。あんまり離れては困るがしかし東京は世界都市です、近ければ影響さ れ、吸収されてたりしては困ります。100km以上は離します。 地形的に複雑だったり、地震・噴火等災害があるのも困るし、水もいる。環境を破壊するようなところは困るし首都に ふさわしい景観もほしい。周辺の景色は美しくあってほしいです。汚らしい建物や電柱・品のよろしくない看板などが林 立していてほしくはない。国内からも世界からも交通の便の良いことが必要です。周辺の都市と近からず遠からずの距 離にあること、土地の取得が容易であることが大事です。 5.これまで申し上げたのは条件です。それではどうやって決めるかということが問題になります。それにはわかりやす く公正に行う事が一番大事なことです。 大学先生とか交通のエキスパートとかその道の専門家が集まって16の評価項目作って審議会設けました。東大総長 の有馬さんや堺屋太一さんなどもおられましたが今はお二方とも内閣に取られておりません。 それぞれ比較検討していると景観と交通とどっちが大事、というようなことが生じてきます。可能な限り分かり易く客観 的に判断して総合的に重みをつけます。評価に盛り込まれなかった項目もあるかも知れません。その他にも東京に置 いといた方がよいのかどうかもう一度チェックしてみようとか、影響度はどうなのとかあります。買い占めなどならないよ う、そういう方面にも手を打たねばなりません。 そういうことを総合的に判断して審議会として答申し国会で決めます。 言い忘れた大事なことがあります。 地震に対して計画して作ります。火山の噴火を避けることはできても地震は日本中ならどこにも来ます。新首都に来 ないという保証はありません。しかし被害は、対策をしてある新首都と今の東京では雲泥の差になります。都市計画は しっかりしています。建物は現在の知識で造ります。神戸でも現在の技術で作った建物はほとんど被害がありません。 だから地震が来ても旧都市と比べたら被害は格段に違います。災害のない安定した首都を作る事はプロジェクでは最 も大事であります。 どこに決まろうが移転地だけの問題ではありません。日本中がサポートして進めなければなりません。どこに決まる のかは私も全く知りませんが、公平に決めます。ということでありがとうございました。 -------------------------------------------------------------------------------- 14:50終了。パネルディスカッションは15:00過ぎ始まりました。 -------------------------------------------------------------------------------- パネルディスカッション 壇上に向かって左からコーディネーターの平本氏。間を置いてパネラーの石森・金森・紙野・佐々木、各氏の順でし た。 コーディネーター平本氏から。 -------------------------------------------------------------------------------- 平本:中村さんから学んだばかりですが私の言葉に直すと、私達は目標を失っている様に見えます。21世紀に向けて どうあればいいかわからない。だからこれをきっかけにして世界に向けて貢献できるものは何かとういうようにもって行 きたいことと、もう一つは改革の軸にしていこうというようなことがあります。他には指摘されたとおりですけど、2つに東 京一極の集中の弊害、3つに災害の危険性への対応、4つ目に今のままでは東京も改造できない、東京のためにも必 要、というようなことが言えますか。 私も世界の都市みてきたが、首都というのは必ずしもその国で一番大きい都市ではありません。首都に何でもかんで も集まっているのはむしろ珍しい方で、先進国の欧米では特にそうです。その中でフランス・パリだけはその珍しい方に 当たり何でも揃っているけれども、イギリスでは実は首都機能の半分以上がロンドン以外に広がっています。ドイツは ベルリンとボンの2重制だし、イタリアはローマが首都ですが、ミラノが経済首都になっています。ということで先進国で はオールマイティは少ない。アメリカはじめ名だたる諸国は皆そうです。一方途上国では多い。発展したい国は一極集 中させて、その方が効率がいいから、機関車にして進めて行きます。日本はそういう意味ではまったく途上国型です。 一極集中は止まったよ、という東京都民の方の反論もありますが、それでも何故行わねばならないのか。全面移転 か条件付き移転か、首都機能移転の意義とか必要性のその辺りを各パネリストに聞いてみましょう。 石森:この問題については素人です。委員でも何でもありません。私自身はこれまで懐疑的に考えてきました。5大紙 の幾つかは社説で白紙に戻せとか凍結せよと論じています。首都機能を移転する前にすることあるだろう。国と地方自 治体合わせて800兆以上の借金抱えて苦しい中で、リストラや高い失業率最悪の中で移転は果たして必要か。こんな 調子で訴えています。 今年になって進展を初めてマジに見直してみました。重要ないろんな問題含んでいます。財政苦しいだけで見送るよ うなことではありません。 その一つに、このままで21世紀迎えて盤石か、という日本の国際競争力の低下があります。これ国民が自覚してい る以上に弱くなっています。 ジュネーブに国際経営開発研究所という47カ国を対象に国際競争力を計る、いろんな指標を発表している機関があ ります。その'99年版を見ますと、総合評価で1位がアメリカ、2位シンガポール、他にアジアでは香港が7位です。日本 はというと16位です。日本の弱点を見ていくと起業家の部47位、つまり最下位なんです。起業家が育つような創業する ような環境ではないと。他、外国労働者の受け入れ47位、企業と政府の変化対応力は46位のブービー賞。金融機関の 情報公開度も46位公共財政の運営45位、大学教育も45位です。他にも低い項目たくさんあります。こんな日本に誰が した、借金まみれに。それは政官癒着が政治を弱めてきましたのです。外国は日本を土建国家と呼び、このドケンコッ カも日本発国際語として定着しつつあります。こういう構造が何故できた、このままにして21世紀を迎えたなら展望は 開けません。大幅なシステム改造を行い小さな政府、地方分権を進めなければなりません。ドケンコッカ的発想で単純 に首都が移動しただけではダメなのであって、21世紀の新しい日本の息吹の構築に我々は取り組み、伝えねばならな いのではないか。そこに首都機能移転があるのだ、と今ではそう受けとめています。 金森:私の会社が日頃お世話になっておりましてありがとうございます。私が何故首都機能移転に関心持ったのか、そ してまた「畿央」という言葉はどの辞書にもございません。この様なこと少し説明させていただきたいと存じます。 伊賀高原ですね。東京から帰ってもうまもなく大阪という時、上空通ります。緑の開けた地域が見えてきます。ここは いいところだなと思って参りました。 前原という弁護士がおりまして、この話題になりました。だったらこの伊賀高原もいいじゃないか、移転地には相応し いのじゃないかと意見一致いたしました。しかし伊賀では忍者とかでどうも明るいイメージではない。受けないのじゃな いか、近畿の中央で「畿央」というのはどうだろうということで、この言葉をつくったのでございます。それと共に首都にふ さわしどうか詰めて研究してみようということで私も参加して約20名位、皆仕事持っているのですけれど、私、場所を提 供して80数回、18:00〜21:00位やりまして研究の成果をパンフレットにして配っておりますと、いろんな方の目に止まり 取り上げていただいた。我々の案をもとにして三重畿央の場所を推進して貰ったという次第なのでございます。個人の 集まりから発したというのは他の地域と異なるところで知事や行政から発したものではございません。 何故移転かと申しますと危機管理がまず何より大切と考えます。私達の拠点の1つが潰れたとしても他機能するよう なシフトが保険として必要であろうと考えるのでございます。 もう一つ、普段言ってこなかったことがございます。 21世紀に向かって今日本はどういう状態に置かれているか。これから特にビジネスの世界ではボーダーレスの時代 に入って参ります。私の様な鉄道事業及び関連事業にしてもそうでございます。このまま迎えては日本としてのアイディ ンティティがなくなります。世界に飲み込まれてしまいます。世界化していく仮定で自己主張せざるを得なくなってきま す。日本がその自覚を持たずして突入するのは大変危険です。 場所を選定するのは我々の世代ですけれども、育てていくのは次の世代です。その時日本人の自覚を高めていく、こ の周りは民族遺産に取り囲まれています。これが今、この畿央で考えなければならない1つでもあります。他にも考えな ければならないウエイトたくさんありますが、日本精神への回帰、首都を育んでいく過程で取り返せること、できるので はないかと考えており、この事が今私の情熱を駆り立てております。 紙野:私からはつけ加えますと1つ。世界はここ10年で全く変わってきています。アメリカ、EU諸国、東南アジア、ロシア も立ち直る過程にあります。大経済変動のうねりの中で我が国も立ち直ることができるのか。 ヨーロッパはキリスト教諸国であることはいうまでもないことですがそのキリスト教では新しい1000年紀というものに非 常に関心もっています。その中でもイタリアは今、有名な協会はじめ聖堂等2000年に向けてあらゆる大改修していま す。リフレッシュされた文化財を一挙に提供しようとしている。これはキリスト教の特徴です。これに立ち向かうに我々は 何もしていない。システムは一切動かない。こういう中でこれから日本が考えなければならないことを1つだけ申し上げ る。世界は解決策を求めて主張のルツボと化していく。2000年以降解決策を求めて活発な協議交渉が展開されるが、 これがいずれアジア環太平洋での諸国・民族の協議体が必要となってくる。この時主催するのは誰か。北京かシンガ ポールか香港か、東京もその一つといえるか。手垢がついていて協議するような場所に選んでもらえるか。NOです。し かしそうなるとこれはアジアにとっても損失になります。これからの1000年紀に向けたアジアのほんとの都が必要となっ てくるのです。これができるとアメリカもロシアもアジアを無視できなくなってきます。世界の政治協議を行う事の出来る 都をつくること、この様な貢献が日本にできるかどうか、ここが私達に試されていることでもあり、目指すところとなってく るのです。 佐々木:マスコミで禄をはむ者ですが、個人として言わして貰うと、どこにいてもチャンスに恵まれた都市づくりというも のを実現できたらと思います。それは地方分権です。もう一つは面白いこと、地域ごとに違う方が面白いじゃないです か。キーワードは多様性です。その点アメリカなどは面白いですね。ピッツバークは大学2つをてこに、パイレーツで町 を盛り上げています。アイオワ州、広大な地平線までトウモロコシ畑のど真ん中に大学1つの小さな町があります。とこ ろがこの大学、ロボット工学の世界的権威です。世界中から学生集めて注目されてます。地域毎に異なった魅力持っ ている方が絶対面白いですよね。 現在日本は一極集中していますが、これからは一極地方分権から多極地方分権へ進んでほしい。これ関東に住んで いるとこうなります。多極多角型であってほしいと思います。 現実の流れは反対の方向に向いてます。東京への人口増加、流失が流入上回ったととしていますが、そんなことは ありません。増えています。また企業なども、大阪上場の企業が東証に移動する動き止まっていません。一極集中化 は止まっていないのです。例えば吉本興業といえば大阪のお笑い・文化そのものではないですか。その吉本興業が今 は東京支社ですが、本社にして大阪・東京本社2本立てにします。そしていずれ東京本社1本立てにすると戦略たてて います。そういう傾向の中で首都機能移転とは何かと捉え、考えたいと思います。 -------------------------------------------------------------------------------- 平本:それでは次の話題に移りたいと思います。 ベルリンに行って参りました。ベルリンは今どこもかしも工事中だらけです。国会議事堂では帝国議事堂をリフォーム しています。議会の天井てっぺんにガラスのドームを作り螺旋階段を巡らしてあります。そこからベルリンが展望できる わけですが、階段を下りてくると議事場も見下ろせるという仕掛けなのです。ベルリンの再開発は世界有数の建築家を 集め、歴史に残る建物を次々に新築・リフォームしています。一方ボンにも残すべきものは残してベルリンとは違った 役割を果たそうとしています。首都になる前10万ほどの古都だったボンは歴史的伝統的な町並みが残っています。落 ち着いたたたずまいです。時代を見据えて国内にバランスよく配置し展開しています。ドイツでは首都に何を求めてい るのか読みとれるような心地します。 移転に何を求める、日本の場合の首都機能のイメージ像をお尋ねしたいと思いますが、それではまた石森さんから お願いします。 石森:時代によって首都に求めるものは変わってきます。明治の頃は列強に追いつき追いこせで近代に立ち向かって きましたが、国民の欲求のよりよい豊かな生活を求めて経済追求するには東京1極集中は効率が良くてこれまでの東 京は間違っていなかったと思います。しかし21世紀に向けてこのままで良いのかどうかは問題です。先ほどの紙野先 生の話にあったように世界は大きく変わりつつある。金森さんのお話のようにボーダーレスがドンドン進行していく時代 に佐々木さんの指摘、キーワードは多様性でした。これまでは経済至上主義の時代に1極集中の効率の良いシステム として首都東京があったのですが、21世紀に向けて国家デザインを描くとき何より時代の変化を見据えて首都をイメー ジしなければなりません。経済立国も貿易立国も情報立国も文化立国もアジアとの連携を高める国際協力立国も皆大 切です。そういう多様性を求められる中で21世紀に見合う様々な新しい機能を日本の中にバランス良く配置し、集中 型ではなくて分散型によって時代に対応する首都機能を我々は考えて行かなくてはならないのではないかという風に思 います。 平本:佐々木さんにご意見伺いたいのですが、国土庁中心に審議されていますが新都市移転するのに全ての機能を 一括移転しようとしているのですが、この通りすればよいのか、多少他にもやり方があるのかこのあたりはいかがでし ょうか。 佐々木:先ほど多極多角と申し上げましたが、あえて申し上げますと分割移転の方がよいのじゃないか、ある程度東京 に残しても良いのじゃないかと思います。 先ほどドイツの話が出ましたが、ボンには食料・農林環境・自然保護・教育や原子力安全・科学研究・国防など12分 野を残し、ベルリンでは議会・広報・首相官邸・外務・大蔵・建設・労働・高齢者婦人青少年など18分野を設置し互いに 支店おいています。しかも互いに出張所を置いて連絡取り合って、やってみて不都合があると変えていくんだと柔軟に 対応しています。外国との交渉や危機管理的なあるいは国際摩擦が非常に激しいものと、そういう分野を1つまとめて いる。そこにない文化的なもの基礎研究的なものとを配置していく。発想を変えることによって新しい時代に対応しよう としているのではないかと思いますし、また違ったものが見えてくるのではないかなと思います。 平本:次は金森さんにご意見伺いたいのですが、一括移転と絡んでくるかも知れませんが何か特別な機能のようなも のを対象にして移すといったようなご意見ありますか。 金森:いや私は元々一括移転は考えておりません。今度の国会等の法律でもいっぺんに全部移すというようなこと考え ておられないと思うのですね。先ほどの基調講演でも費用のこと触れられてしました。審議会で計算された根拠は、ま ず国会を移すと、10年ほどかかって約10万人の都市をつくる。この費用が約4兆円。約半分は民間、税金使うのは2兆 3000億円ほど。年間2000億くらいの支出かなというのがその根拠ですね。次に行政、それも省庁半分位を移す。それ が7,5兆円ですが、これもその内実際に税金使うのは半分が税金、後は民間。それでもし全部移ったらと仮定して数十 年の長い期間です。試算したらそれでも12兆円位なんですね。この様な資料が発表されておって、これから見てもいっ ぺんに移すというのではありません。あと東京に残るのは何かというと世界の経済都市して活躍して貰う。これは放って おいてもこれからまだまだ伸び続ける。だから経済・産業に関わる監督官庁は東京に残す。臨機応変的な即応を求め られる省庁ですね、こういうものは東京に残し反対に長いスパンで取り組まねばならないような、例えば文化的なもの や他色々あると思います。こういうものは新首都に移します。 もう一つつけ加えたいのは、これから日本にとって大事になってくるのは司法機能だと思います。今、裁判が非常に 長い期間かかります。刑事ではオームのようにいつ結審するかわからない。民事もそうです。結審できなければ前に向 いて進まないしお金もかかり過ぎます。アジアにしても司法による統治は遅れています。進んだ司法システム作って日 本が充実すると共に、ハーグの様な国際裁判所のアジア版を新首都に設ける。これで日本がアジアに貢献できる立場 が作れます。そういうような姿を考えているところです。 平本:私あまりなじみがないのですが、これから司法機能というものが大事になってくるように思いました。次に紙野先 生に新首都像というようなもの、例えば地域の構造とかからご意見伺いたいと思います。 紙野:空間像というようなものについて意見求められたのですがその前に申し上げたいことあります。関西国際空港を 例に取ります。エアラインがどういうものを求めるのか従来の経験聞きながら作っていくと、これ現在の延長線上のもの しかできません。これはこれでよいのですが、貨物の取り扱い技術はドンドン進化しています。つい先日まで常識であっ たものが次の時代では全く通用しないというようなことが現実のものとなってきています。そこでパリの空港公団のアン ドリュースに全く新しい発想で考えてくれないかと当時の計画部局が依頼しました。それは非常に斬新なアイディアであ った。けれどもそれ見た日本の航空関係者はビックリし反発しました。しかしそれは合理的でありかつシンプルでありわ かりやすかった。それで納得させて、最終的にイタリアの建築家レッドピアノがコンペに勝ってああなりました。いま特に 外国から大変高い評価をして貰っています。外国から関空の知名度高いです。 新首都つくる時も、現在の霞ヶ関の体系の延長線上で考えてはダメだし現在の政界人のビヘイビア行動意識に合わ せてもダメ。機能を位置付けていくときには現状の延長で考えたり分割したりしてはダメなんで、新しいものを想定し て、それによって元の霞ヶ関がどう変わるのかと考えて東京も生きながらえねばならない。 首都もまず移すべきものは移して、両方の変化を引き出していく事が大事じゃないかと考えます。 1つのコアとして協議の場としてアジア外交を考えたらいかがでしょう。先ほど金森さんおっしゃられたアジア版国際司 法機構と一体化すれば非常に有効ですね。 首都機能とそれを支える生活都市とは分けて考える。世界からの参加という事を考えてあげねばなりません。諸外国 に開かれた外国高官に住み易い環境を考える。賃料の高いのはだめです。全てが合理的にコンパクトでなければなり ません。 先ほどクラスターの話が中村先生から出ましたが実は私どもが提唱し、関西文化学術学園都市がクラスターシステ ムのはしりです。まあそこは全体を結びつけるファクターが弱くてもう一つうまくいっていないのですが、1つ1つのクラス ターがコンパクトで強くむすびついて一体感あることが大事です。 もう一つ。ローマ人が考えておったローマの都市はローマなるものを公の場と考えていました。公にいる人間には保 養が必要になります。そこで郊外に保養所や別荘と公務に就く家と両方持ちました。これからの首都はこれくらいの余 裕が必要でしょう。郊外に保養ビレッジがあって良い。今、私の頭の中にあるのはこういったものです。 トップページにもどる -------------------------------------------------------------------------------- 平本:それではもう一点お聞きしたいのですが。首都機能移転に対して、三重畿央地域がどのような貢献できるのか。 この土地の特色・独自性が何かということ。東北、北東地域は自然が豊かだと通常イメージされている。東海地域は比 較的産業が発達して先進的なことやろうという気風が強いと思われている。三重畿央地域は歴史文化に恵まれている となっているようで、候補地でもそれぞれイメージが違う条件が違う。畿央についてはどのような特色があるのか、貢献 できるのか、この様なことについてご意見伺いします。 佐々木:ようは価値観の持ち方でしょう。全国に向けて指令出す仕事をするのは甲子園で優勝したみたいなもんだと霞 ヶ関の官庁はおっしゃいますが、甲子園は毎年優勝チームが代わります。霞ヶ関は地域と固定してずっと継続します。 三重畿央の人々が1つの日本の大きな中枢発信源になろうと思われるのかどうかが分かれ目になるのじゃないです か。 現在の首都圏がありそこに日本の中央部分にもう一つの核がある。私、個人的には沖縄が文化的に3番目の核と思 うのですが、そういう核になっているのが我々の地域なんだと、そこで発信地として面白いこと考えてやろうかという気 になるのか、いやそんなものは要らないよとなるのかが分岐点になることでしょう。 そこで具体的なこと申し上げますと、広域連携の協議会がこの6月に出来ました。福井・大阪・和歌山・兵庫の4県で すね。霞ヶ関に執着するか地元で頑張るか、公務員も人によって違うのですけれど、こういう新しい大きなフレームで物 事を考え実行したいという人もいるんじゃないでしょうか。東京でなくても大きなフレームで考えることが出来て良いんじ ゃないか。そこが地方を面白くしていくのではないでしょうか。 例えば経済界がお金を出し合ってヨーロッパに常駐して向こうの文化首都プロジェクトや国境を越えた市民権のあり 方だとか地方制度の詳しいシステムだとかを吸収して首都づくりに生かしていく。2〜3週間の滞在ではなくて常駐してや る。或いは大学を派遣する。首都が来ようと来なくとも、そのようなソフトプロジェクトを大いに考えて実行して地域づくり を進めていく。そのような事を起こすやる気を持っているかいないのか、その価値観のところですが、そのような事業を 興し提案をしていく役割・使命を三重畿央地域の人々は持っておられるんじゃないかと思います。 平本:金森さんの方から何か一言ありませんか。 金森:東北、北東地域は移転することの意味からすればナンセンスです。ここは東京の外縁です。いわば首都圏にあり ます。東京に対峙してもう一つの核として首都機能移転するのですからここに移転はナンセンスです。何故首都機能を 移転するのか、そのバランスからすれば移転地は東京の東ではなくて西になります。しかも東京に拮抗できる力を持っ ていなくてはならない。するとその西の潜在的な力を見て東西のバランスを見たら東海中部・関西地域の重心このあた りをおいて他にないということになってきます。 平本:紙野先生、ここ三重畿央は地域的な位置づけからすれば特別な場所だなあと思うのですが、そういう観点でこの 地域の特徴とか首都機能移転地としての貢献をどのように考えたらよろしいのでしょうか。 紙野:畿央地域は中部と関西圏の重なったところにあります。私は国土庁国土審議会の大都市圏部会のなかで検討さ れております3圏の緊急整備特別委員会で大都市設計核の立案をしております。東北・中部・近畿とあります。そこで2 〜3日前に報告してきたばかりなのですが、私中部圏の方にも顔を出しておりまして両方わかっているんですが、それ で中部圏も近畿圏と一体になって両圏が競争と協調して現在の首都圏と本当の意味で力比べをできるくらいの新しい 日本のセンターをつくろうではないかということを申し上げ考えてまいりました。現在の首都は強力なのでどうしても東の 方に拡がって行ってしまう。一方で地方分権が問われている。そういう自由を獲得し2つの重石が均衡とりながら双方 が切磋琢磨していく。そういうものをつくるキーになるものは何かというとこれはやはり首都機能なるものを育てればき わめて豊富なキーになります。その事が日本全国にとってどうなのかというと日本全国の国土構造は1つは九州を含 めまして西日本、畿央はここに入りますが、そして中部圏・北東圏、その間に首都圏があります。中央部において近畿 中部が一体化して1つのマグネットになる。現在の首都圏も首都機能を身軽にして、そこから東京も本当の世界都市に なれるのではないかと考えます。今のままの重たい状態ではほんとの世界都市にはなれない。この西日本圏と北東圏 が互いにコンタクトし独自に共に成長発達していく、これで現在の国土軸がまさにバランスがとれた国土軸になってい く。相互に自立して競い合う構造に日本がなることを願っておるのであります。 平本:石森さんに、この地域では長い歴史文化の役割を持ってきましたが、それを首都にどう生かしていくのかについ てお願いします。 石森:5人で新しい首都機能について議論してきたが、1つまだ充分議論できていないものがあると思うのです。それは 今度の首都はまさに21世紀に向かって日本を代表する顔でなければならないということです。首都機能地は日本の象 徴機能も持たねばならないだろう。ここに来れば真っ先に日本がわかると、であれば役人や国会議員その家族だけが 住む都市ではなくて世界中から観光にめがけてくる首都でなければならない。この観点からしても由緒ある歴史的文化 遺産に囲まれた三重畿央は観光首都機能として考慮したとき候補に上がっている3つの中では最も相応しいと考えま す。 観光首都機能としてその裏付けは文化歴史首都であることです。そのなかで先ほど佐々木さんがおっしゃられた関 西広域連携協議会ができて広域的な観光ネットワークが考えられる。関西という広がりの中でネットワーク化され21世 紀の日本を代表をする顔として畿央がその象徴機能もする。またアジア環太平洋文化首都と位置づけられる中でアジ ア・太平洋文化と日本文化をどう比較していくのかといった手だてに1つの機能として博物館があります。私一番好きな 首都のワシントンは巨大なスミソニアン歴史博物館があります。そのなかにある国立航空宇宙博物館は年間800万人 集客しています。私の国立博物館は年間30万人で申し訳ないのですが、1つの博物館で800万人の吸引力がある。非 常な吸引力があるわけです。博物館都市といった色彩も持って日本文化を正しく世界に紹介され、ここから新しい日本 文化の発信が21世紀に向けてなされる機能もあることを考えれば、三重畿央地域は3つの候補地の中で最も大きな ポテンシャルを秘めているのではないかと考えております。 -------------------------------------------------------------------------------- 平本:一通りお話をいただきまして、ここで会場からの質問にお答えしたいのですが、まず第1点佐々木さんにお答え いただきたいのですが。東京にTV局があって全国に発信されていますが首都機能移転された場合、こういう情報発信 の場がどのように変化するかと言ったことを教えていただきたいということなんですが。 佐々木:実際にそうなったらというような議論はまだなされいないのが実状です。東京本社の人間は実際のところほん とに移転するのかなピンと来ないといった受けとめ方です。はっきり確かな予測できない状態です。 平本:それに関して、なかなか議論が高まらないという声があります。マスコミの報道の仕方に工夫いるのではないかと いう指摘もあるようですが 佐々木:確かに記事が少ないですね。何故か新聞記者の反応が今一なんですが、どうしても業界紙やら目先にいって しまったり、他の記事取材にいってしまうようです。これは反省してもっとベーシックに大きく考える必要あります。 平本:次の質問は金森さんにお願いしたいのですが、昔近畿圏に於いて大和環状線構想というのがあったけれど、どう 思うかということですが・・・。 金森:具体的にどういう構想か知りませんが、建設費が非常に多くかかり維持費も高くつく鉄道は、新幹線やリニアは 別に考えて、ローカル鉄道は畿央に相応しいかどうかは疑問です。車で用が足りるところはドンドン車使えばよい。鉄 道は人工集積地で機能するものであって、地方を活性化するための役割は終わったと、私自身個人的にはそう思って おります。 平本:あと幾つか質問がありますが、私で答えることできるものについて回答いたします。 Q1 新首都の候補地が最終決定される時期はいつですかという質問ですが、これ正確には今年の秋の内にと言われ ておりまして、それでは秋とはいつ頃かというと現在の解釈では11月末までが秋と言えるだろう。12月になると冬だと、 そういう解釈になっております。 Q2 次に東京都等の反対でやめにならないかという質問ですが、候補地が決まった場合、それが1つになるのか複数 になるのかわかりませんがそれから東京都との比較検討に入ります。この時かなりの議論になるでしょう。それでやめ るかどうかは国会の場に持ち出されて、決めるのは国会になります。そこで最終判断として畿央は要らないとか、移転 そのものが必要ないという話が出てくればそういう結論になることもあり得ますが、現在のところは移転するんだという プログラムで国会は候補地を決めるため進めているわけです。 Q3 場所の選び方で、どういう単位で選んでいくのかという質問ですが、単位は比較的まとまった土地で評価していきま すが、三重畿央地域というまとまったものではなくてもう少し小さい単位で評価して、それらが適当なところで群をなして いれば、それらを1つの単位としてもう一度ここが良いのではないかと評価し直すのではないかと言われております。こ のあたりはまだきちんと決まっているわけではありませんが、そういうような考え方があるということ、お答えにさせてい ただきます。 Q4 現在使われている霞ヶ関の施設についてはどうすると言う質問ですが、新しいものはのはオフィスに使い、国会議 事堂等は近代博物館に使ったらどうだという話もありますが、現在のところはその辺りまでの議論しかされていないと いうのが実状です。 -------------------------------------------------------------------------------- 最後にまとめさせていただきます。本日は4人のパネラーにお話伺うなかで1つのストリーがあったかとおもいます。 21世紀に入っていくとき、このままの日本ではまずい。もう一度日本を建て直す必要があるだろう。その起爆剤に首 都機能移転を考えなくては行けない。という時間軸でのとらえた方がまず1点あったろうかと思います。 空間的地理的軸では、アジアの人々が集まってアジアをどうするかいろいろな議論するとき、その場がない。ヨーロッ パにはブラッセルとかあります。アジアにはそういうアジアの都というものが必要である。それを日本につくらなくちゃい けないのじゃないか。これからアジアのリーダーとして日本が責任を果たしていく、また果たしていかねばならない日 本、という観点から新首都を考えていかねばならないという課題がありました。 一方日本の内政上の問題ではやはり地方分権、今のままではなかなか抜本的な改革はできない。この実現へテコと して首都機能移転は必要である。これによって日本の国土を多様なものにしていくということがございました。 それでは移転の仕方ですが、必ずしも一括移転でなくて良いではないか。審議会では国会を中心とする分割移転で も良いのではないかという意見も出ています。 ところで東京が業績とかいわば社会経済の変化に対応したもう1つの首都機能の場所とするならば、新しい首都は 非常に高級性を持ったステイタスのある首都機能を配置してそういう場所にしてはどうだろう。その中の1つとして司法 機能というものを中心に据えたらどうだろうという案がございました。 三重畿央地域はどういう位置づけ・特徴があるのかということについては。これからの社会はボーダーレスソサエテ ィ・グローバル化していくなかでそうなればなるほどその国・民族のアイディンティティが必要になってきます。そこで日本 人の精神とかアイディンティティがキチンと発揮できる場所として三重畿央地域のような場所に首都がつくられなくてな らないのだ。という位置づけが明快になりました。 日本の国土から考えた場合、本当にポテンシャルのある地域といえば東京を中心とする関東の他にやはり関西であ り、近畿と中部と一体化した広い地域にそういうものがつくられなくてはいけない。2つのセンターが日本の中にあって 独自の発展を遂げていく。そうでないと東京自体も本当の世界都市へなっていけないだろう。というその核をつくるのに 三重畿央は場所的に非常に有利であるということが指摘できます。 三重畿央の特色・性格を生かしては、アジア太平洋の文化首都・観光首都機能を中心とするような地域をつくるべき であると。第2回目の大航海時代と世界でいわれておりますが、世界の動きの中でこういった考えを首都機能移転で実 現していかなくてはならないのじゃないかということで締めくくりたいと思います。 今日は4人のパネラーを迎えてこの様なストーリーで進んでいったのではないかと受けとめました。どうも長い時間、 皆さんありがとうございました。これで終わらせていただきます。 一極集中から多極分散へ 日本は戦後、科学技術が大変発展しました。ただ、その特長としては、一極集中といいますか、東京とか大阪、京都 といった都市に集中してしまいました。この大都市集中は、高度成長をもたらすにはよかったのですが限界に達してい ます。これからは多極的にすべきでしょう。 以前から表日本、裏日本という考え方がありますが、現在はどうも太平洋側が表日本で経済的にも、科学技術的に も繁栄してきているようです。明治以前は日本海側が表で栄えていたのです。その勢いが鈍くなっているだけなので す。 日本海側は、新潟に石油が出ていましたから昔からエネルギーの供給地です。富山にしても薬の製造供給地で、そ の資本が水力発電に使われました。現在、原子力発電所は北海道に始まって日本海側に多数建設されています。と いうことは、日本海側にエネルギーの研究センターを作るということは理に適っていることなのです。 地域の特質にあった振興 一般的に申して、その地域、地域の特質を生かした振興を図っていくことが求められます。例えば、北海道ですと今 は札幌が中心ですが、室蘭や苫小牧などに低温工学研究所のような施設を整備する。和歌山県に海洋研究センター を設けるとか。あるいは沖縄県にしても、東京から見るから西南の端と思うのですが、那覇市に立ってみると、地理的 にもそこは東南アジアの中心なのです。ですから、沖縄県に熱帯総合研究所みたいなものをつくるというのはよい考え と思います。 日本学術会議の会員のときに「中央集中の時代は終わって、これからは機能を分散し、しかも地域の特性のある研 究所をつくるべきだ」と主張し、賛同も得られました。その思いがようやく7、8年前から実を結んできております。その一 つが若狭湾エネルギー研究センターです。また現在、那覇市に設立準備中なのが亜熱帯総合研究所です。 加速器を活かしたエネルギー利用 若狭湾エネルギー研究センターは、科学技術庁および通商産業省から施設、装置等に現在まで180億円の投資をう け、また福井県、電力会社からの基金約51億円をもとにつくられました。エネルギーといいますと、電気が最も身近に 感ぜられますが、加速器から出てくる粒子もエネルギーの一種ですから、それを使いまして医学へ応用する。2001年に ガンの治療を開始しようと考えています。また、この辺は農業が盛んですから、農産物の品種改良に利用することを考 えています。最終的にはコメ、ムギなどですが、当面、地域に貢献することからソバやウメ、花(スイセン、キク)の品種 改良研究がすでに行われています。 それに、日本海の対岸は中国や韓国、ロシアですから、これらの国々と研究交流をしていきたいと思っています。 地域のやる気が決めて こうした地域の振興といいますと、科学技術ばかりではありませんが、何といってもその地域がその気になるか、やる きがあるのかがキーポイントです。そして、国とうまくタイアップして、地域の特質を引き出せるような仕組みを考えるこ とが大切ではないでしょうか。 ドイツやアメリカには、各州に、あるいは各地域に立派な研究施設がありますが、日本でも地域に根ざし、研究の質 は世界的なものをめざす研究センターをつくるべきです。ただ、とかく研究といいますと、経済性などを度外視していま したが、これからは立派な研究もするけれども、その中から一つでも二つでもよいから経済貢献をするようなものを育 てていく。若狭湾エネルギー研究センターでいえば、ガン治療は経済貢献ではありませんが、地域の医療に貢献します し、次の段階には経済貢献できるものを生み出していきたいと考えています。 いよいよ地方分権も、本格的な段階となり、昨今では、分権への対応度合いに、自治体間格差が明らかになってきた 観さえいたします。 今日、本市においても、電子会議など、市民の熱い議論が交わされ、市民参画によるまちづくりなど確実に地方分権 への気運が高まりつつあるようにも感じられます。 ミスター円こと、慶応大学の榊原英資氏の著書である、「分権国家への決断」でも、これまでの一極集中から、多極自 立へ向かうことが、日本再生の道筋であることが述べられております。社会状勢の変化が非常にめまぐるしく、また大 きな時代であればこそ、足下の課題に目を向けつつも、敦賀市という地方政府として自立し、確たる自治経営の理念を 持ち、遠く30年、50年先、更には100年先をも、眺望していくことが肝要と考えるものであります。このような観点で発 言通告に従い、質問をさせていただきます。 1. 財政運営について @ 中期財政の展望 このたび示されました「中期財政の展望」を踏まえ、本市の財政に関し、また、これからの本市の自治経営に関する考 え方などについて、お伺いを致します。 まずは、この本議会で私が、何度か、要望し、提案した中期財政見通しについて、的確に、迅速に対応していただいた ことに、評価をし、感謝申し上げるものであります。 この「中期財政の展望」のはじめに、「本市の財政は、現在の経済状況や固定資産税などの減収により、今後、一段 と厳しい状況を迎えることが予想される。」との記載があります。まさに、そのことは、財政指標、すなわち、1を超えると はいえ財政力指数の右肩さがり、経常収支比率の見通しの右肩上がり、また、新規事業および重点施策に支出するこ とが出来る政策的経費の減少、財政調整金の減少など、わかりやすく、グラフ化され、その厳しい実情が手に取るよう にわかります。全体としての財務体力も明確になっています。あらためて評価するものであります。 そこで、質問をいたしますが、本市の規模や財務構成中のバランス、さらには財務体力等々について、どのようなご 所見をお持ちでいらっしゃるのでありましょうか。 ご呈示の「中期財政の展望」も含め、全体観にたった基本的な認識を、はじめにお伺いしたいと思います。 A財政運営と行政評価 私は、この行政評価システム構築の進捗や、評価の手法、市民への情報公開の時期など、何度か、質問をさせてい ただいたところであります。 行政評価システムの基本的な考え方として、施策実施のためにどれだけの資源を投入したのか、あるいはどれだけ のサービスを提供したかだけではなく、結果として住民にどのような成果をもたらすことができたのかを重視した、成果 主義に基づくことを説明されています。言うなれば、予算というインプットに対する実施した事業のアウトプットだけでは なく、アウトプットによってもたらされる成果、アウトカムを考慮しているものと、判断いたします。 これらの取り組みについても、現在の進捗と決算との関係がどのようになっているのか、質問をいたします。併せて、 評価システムに関する、市民への公開を急ぐべきと考えるものでありますが、この点についても市長のご見解をお示し いただきたいと思います。 あらためて、平成15年度予算では、編成作業の当初から、既存事業において、どのように行政評価が進められたの か、お伺いをいたします。特に、平成15年度予算では、きらめき・みなと館のシアターについて、どのように行政評価が 進められたのか、お伺いをいたします。さらに、市民温泉リラ・ポートの経営をされていこうとしているのか、お伺いいた します。 B地方債とIR 「中期財政の展望」によりますと、政策経費の動向から、今後も市債発行20億円を見込んでいます。3年後の2006年 からは、地方債の発行について、現行の国による許可制から、事前協議制に移行することが、すでに予定されていま す。このようにファイナンスに関わる、時代の大きな変化に、今から備えていく姿勢が重要であると、言わざるを得ませ ん。従って、起債の方法も、現在、都道府県や一部政令市で行われているような、民間投資家から資金を調達すると いう公募債に寄る時代が、早晩、本市にも到来することは確実であります。 となれば、公会計の財務諸表を速やかに整えておくことはもちろんのこと、いわゆるIRにも早い段階から取り組んで いくことが重要と思われますが、いかがでしょうか。 ご存知の通り、IRとは、investor relationsの略であり、民間企業が投資家に対して、情報開示を通して、信頼関係を 作り上げる広報活動のことでありますが、こうした活動を地方自治体でも導入し、市民や広く関係者に説明責任を果た していくことを目指していこうとするものであります。 今後、投資家から公募債の発行という形で資金を調達することになってくるならば、債券の安全性が問われることと なり、従来の地域住民に対する情報公開以上に、数値をもって本市の財政の健全性や安全性を説明することのでき る、説明責任が問われることとなるのは確実であります。 既に、公募債を民間投資家向けに発行している自治体では、地方債に対する格付けの議論が盛んとなっております が、こうした動きは、ひいてはその発行主体である、地方自治体が格付けをされるということにもなってくるものでありま す。 まさしく、地方自治体の経営スタンスが問われてくると言っても、過言ではない時代であろうと思います。また、このこ とは決して遠い将来のことではなく、まもなく本市においても、確実に現実のものとなってまいることは、当然想定してお かなければならないでありましょう。この際、公会計データの整備にあわせて、現時点において、NPM(新公共経営) や、またその一環であるIRについては、どのようなご認識をお持ちでいらっしゃるのか、併せてお聞かせください。 トップページにもどる 2.地域経済と雇用の安定 @ もんじゅの高裁の影響 このように日本がかつて経験したことのない不況時代にあっては、本市のような地域の経済について申し上げるなら ば、確かに政府によるマクロ経済政策の効果に期待を寄せつつも、その一方で、冒頭ご紹介をした、榊原氏の言葉の ように、一極集中から多極の自立へと舵を取っていくことが肝要では無かろうかと、考える次第であります。 その意味で、敦賀3,4号建設に向けての市長の事前了解は高く評価するものであります。とこが、足元の状況は、そ れほど生易しいものではありません。各製造業の規模縮小やそれに伴う、人員の削減など、色濃く敦賀の地域経済低 迷に影響しております。 また、これまで、敦賀経済を支えてきた電力事業も自由化の影響がじわじわと現れ、さらには、今月、停止予定のふげ んの雇用の状況、もんじゅの高裁での判決などその不安要素をさらに、拍車をかけていると言っても過言ではありませ ん。 特に、もんじゅ建設所には、ナトリウム漏れ事故以来、社会問題化する中、それでも再開を信じて、設備の維持管理な ど約500人の方が今も真面目に働いています。原子力に働くもの、エネルギー安定確保と安全確保という重い使命感を もって昼夜を問わず、ひたむきに働いています。 話は飛びますが、なぜ米国があれほどの兵力、すなわち税金と命をかけてまで、イラク攻撃にこだわるのか。大義名 分はあれど、その背景は石油に他ありません。極論すればほとんどがエネルギー戦争といっても説明がつき、太平洋 戦争の始まりもそのひとつでありました。「もんじゅ」は明らかに、10年、20年のスパンではない、50年、100年のエ ネルギー確保に向けての取り組みであり、現段階で結論づけるにはあまりにも早いと言わざるをえません。エネルギー 確保のしんどさ、どれほどの苦労と忍耐を要するか、イラク攻撃と同列にするつもりもありませんが、税金と命というよ り、税金と知恵で、今しばらくの辛抱と議論、その上でも遅くはない。当然、安全論議は大前提でもあり、それほど、エ ネルギー確保はしんどい。そのしんどさを、もんじゅに働く人々が、その使命感を持続し、働いていくには、敦賀市民の あたたかいバックアップとそれなりの後押しが必要と考えます。市長におかれましても、国への働きかけなど、辛抱強 い取り組みが必要と考えます。現時点での市長のご見解をお伺いいたします。 A 市役所のワークシェアリング ワークシェアリングの発祥はヨーロッパといわれておりますが、特に最初の成功事例としては、オランダのルベルス前 首相の時代に見ることができます。それまでこの国では、「オランダ病」と言われるほど、「高い失業率」と「財政危機」 に苦しんでいたところ、「パートタイム革命」により一変し、「高い経済成長率」と「財政黒字」をもたらしたと、高く評価さ れています。 そして、欧州で「最高の競争力」と、「最低の失業率」、更には「労働者の高い満足度」までをも、誇る今日を築きあげ たのであります。この「パートタイム革命」というのは、「一人あたりの労働時間」を減らし、それによって、より多くの人で 仕事を分かち合うワークシェアリングの実行であります。いわゆる日本でこれまで行われてきたような、「労働者をリスト ラし、残った人間の負担を増やしつつ、企業を立て直す」方式とは、全く逆の発想のもとに行われたのであります。 現下の市内経済に目を向けますと、本市における就業機会は全国的な傾向よりはましといいながらも、市民感覚は 厳しいものがあるといわざるを得ません。そこでこのような就業対策的な要素を含みつつ、また行財政改革の観点から も、投入したコストの有効活用や圧縮対策なども兼ね合わせた構想として、提案をするものであります。確かに、昨年 来今日まで、国県の主導により、このワークシェアリングに準ずる緊急雇用対策事業が実施されていることは、熟知を しておりますが、私がここで申し上げたいのは、いわゆる国県の補助金によって実施される以上に、本市の自前の政 策として、本市の財政の中に位置づけた考え方が必要ではないかと言うことなのであります。 岐阜市や長崎市、さらには千葉市などで、その残業実態を踏まえ、残業費を財源にウォークシェアリング実施してお ります。確かに処遇の問題や仕事の質的な問題も考慮すると、決して単純ではないかもしれませんが、少なくとも私 は、一考に値する考え方と思う次第であります。この点、河瀬市長のご見解をお伺いいたします。 3.市立敦賀病院改革について @ 病診連携 先月、岡崎、春日井市、蒲郡市の各市立病院を視察したおり、3箇所共、持っていたシステムに「病診連携」がある。具 体的に説明すると、医療機関には、患者が日頃かかっておられる「かかりつけ医」がいる個人病院(診療所)と、「専門 医」がいる総合病院があります。個人病院(診療所)と総合病院が緊密に連絡を取り合うことで、包括的で一貫性のあ る医療を患者に提供することが可能となり、この二つの医療機関の連携を「病診連携」といいます。病診連携事業を積 極的に推し進めて行く上で、実際に連携の運営を担っているところが、「病診連携室」と「開放型病床」。 敦賀市と人口規模の同じ蒲郡市を例にあげると、「病診連携室」は、蒲郡市民病院内にあり、蒲郡市医師会の職員に より運営され、主な業務内容は、市民病院外来受診予約・放射線科検査予約・検査資料やレントゲンフィルムの配送・ 開放型病床との連絡・病院から診療所への紹介など。連携室があることで、診療所と病院の連絡が緊密となって、患 者にとっては、市民病院の外来や検査の待ち時間が短縮されます。検査の重複が避けられる、入院や退院が円滑に できるといった利点があるとのことであります。 また、蒲郡市民病院内に開放型病床が40床備えられ、開放型病床とは、診療所の「かかりつけ医」と病院の「専門医」 とが共同で診療を行うことができる入院病床。入院患者は、普段からかかっている医師と病院専門医の二人の主治医 による療養を受けることができます。入院前の状況がわかっているかかりつけ医と、専門的な知識を持つ病院医師が チームを組んで診療にあたることで、お互いに責任を持って、信頼される医療を提供できる。また、退院後も円滑に通 院治療や在宅療養に持っていくことが可能となるようです。 この方針は、厚生労働省も推進しており、これからの地域医療のポイントでもあると考えます。敦賀でも地元医師会と の調整など難しい面がありますが、この方向性は、市長提案理由でも明らかにされており、市民にとっても大切とも思 います。また、国立病院との病病連携も考える時期でもあり、あわせて、現段階における取組状況や市長のお考えを お伺いしたい。 A 院外処方 12月議会一般質問で、私は敦賀病院の医薬分業について聞きました。この4月から実施されるとのこと、視察した結 果もふまえ、改めてお聞きをいたします。 院外処方にしているところでは、病院と薬局の別々に支払う。薬の値段は国が決めている薬価があるのでどちらも同 じ。処方箋料や調剤料などは院外処方の方が患者の負担が少し(一般に200〜500円くらい)増える反面、 院外処方による投薬では、「かかりつけ薬局」を決めることで、薬の重複投与のチェックや、患者さんの薬歴の作成に より、以前にアレルギーを起こした薬の再投与を防ぐことができます。また、薬剤師から医薬品に関する説明と服薬指 導を受けることができるなどのメリットがあります。 すでに、国立敦賀病院でもすでに実施されている。 先日、視察した春日井、岡崎、蒲郡の各市立病院はこの医薬分業を実施し、院外処方7割から8割、院内処方2割か ら3割の併用でいずれも実施されています。私は、4月の現段階では併用が望ましいと考えている。というのは、愛発、 西浦、山、東浦地区など身近な薬局がありません。となると患者は、敦賀病院の近くの薬局(俗にこれを門前薬局とい う)に頼るしかなく、かかりつけの薬局のメリットあるのか、患者の立場で考えると、薬代の増加と手間が増えるだけとも 言えます。 視察した春日井市は、門前薬局(病院近くの薬局)で時間がかかる場合は、運送会社と提携して無料の宅配制度を確 立しているとか。 私は、医師と薬剤師の意思疎通と、かかりつけ薬局への患者の理解が、医薬分業を進めるカギでもあり、当面は、無 理に院外処方だけで進めるのではなく、院外処方と院内処方の併用が妥当であり、きめ細かい宅配制度や苦情を聞く 対応が必要と考えます。これらを踏まえ、市長の実施にあたってのお考えをお伺いいたします。 4.敦賀短大について 過日、「定員割れが続いている敦賀短期大学の日本史学科について、敦賀市の河瀬市長は、来年度いっぱいで学科 の廃止を検討する事を明らかにしました」とテレビで報じられた。 このことは、入学者がいる現在、まったく、無責任な報道でもあり、検討でも、関係者が漏らしたとすれば、もっての他で もあります。現段階における市長のご見解をお伺いいたします。 次に、この件は、昨年の6月、12月にも質問をさせていただき、市長からは、経営学科のIT化や日本史学科の改革の 成果を待って、「いましばらく金は出しても口は出さないというような形でひとつ応援をしていただきたい。これは理事長 としてお願いを申し上げる次第」との答弁でありました。理解できるものの、周囲環境を考えると、その厳しさは以前に も増しているといえます。 あえて言わせていただければ、今後とも赤字補填的な年間2億円の補助金で経営が立ち行くのか。積立金も底をつくよ うでは、活力ある大学ともいえません。市として、赤字補填というより、将来への投資という考え方で、敦賀短大側の自 助努力を促すことも大事ではないでしょうか。 それには、市民の大学とするべき改革、すなわち、生涯学習の一元的管理やシンクタンク化や職員の研修・教育管理 など、市側の働きかけも必要ではないでしょうか。と指摘をさせていただきました。 特に、生涯学習の一元化委託は、民間委託化の流れや欧米での動向など、かなり実現性の高い政策ではないでしょう か。そして、情報発信基地、街づくりや福祉計画など、地域のテーマにアカデミズムがかかわりを持ってこそ、敦賀短大 は地域から信頼される存在になるといえます。定員割れという「量」の問題も今後重要な要素ですが、敦賀短大が市民 に応える大学として、「質」向上のチャンスとして、繰り返しにもなるが、市民の支援体制が必要不可欠ではないでしょう か。さらに、敦賀気比高校、中学校との関係や敦賀市立看護専門学校の将来など、総合的な地域の高等機関のあり 方について、市民を巻き込んだ論議が必要と考えます。そこで、敦賀短大の理事長としての改革、さらに、市の今後の 高等機関のあり方論議など、市長としての現段階におけるお考えをお聞かせください。 5.2006年直流化事業開始に伴う受け皿づくりについて 3月1日の福井新聞の統一地方選の特集でJR直流化などのより、人が出る一方という、いわゆるストロー現象」。199 8年の本四連絡橋が完成し、京阪神が身近になった徳島県が、まさにこの現象に現在、苦しんでいます。また、その中 で、福井大学の川上洋司教授は、「交通基盤はあくまで交流の手段でしかないと認識すべき。できたことを喜ぶだけ で、地域の魅力をおこす自助努力をしなければ、むしろデメリットになる」と指摘。さらに、「行政だけに任せず、住民自 身が地域のことを真剣に考え主導する取り組みも必要」と提言とありました。 JR直流化がこの指摘のとおり、長浜に見られる観光客の増加や人口増加ではなく、徳島県のようなストロー現象にな っては本末転倒であります。 これらを踏まえ、12月議会で私の質問に受け皿づくりをすすめるとのこと、これを受け、以下の点について、お伺いを 致します。 第1点目、まず、私は、敦賀の魅力を創出する基本は、「おもてなしの心」であり、まちづくり、ひとづくりであると思いま す。2006年直流化を当面のターゲットにしつつ、他力本願的なまちづくりやひとづくりを住民自身の主導にすべく、市役 所の呼び水的なお膳立てはどうしても敦賀の場合、必要ではないでしょうか。市長のご見解をお伺いいたします。 第2点目は、受け皿づくりは何よりも体制作りでもあります。当面する最大の課題としてとらえ、市長直属のJR直流化 利用促進室(仮称)を設け、全庁をあげての姿勢を示すとともに、2006年直流化に向けて、市や商工会議所、TMOを巻 き込んだ敦まち賀の活性化策など観光客を迎え入れる協議会の設置、検討、実施、盛り上げなど、市民・企業・市役 所が一体となり、市民が主役となる体制づくりが必要でないかと考えます。市長のお考えをお伺いいたします。 第3点目は、2006年をターゲットにしつつも、それを盛り上げるためのソフト面の企画運営やボランティア組織づくりな ど、市民が主役の施策を打ち出す意味でも、市としても直流化に向けた活性化政策が必要でないか、市長のお考えを お伺いいたします。 6.民間最終処分場問題について 樫曲の最終処分場の違法性が明らかになり、すでに2年半が経過いたしました。その間、技術検討委員会の立ち上 げ、検討、調査、そしてこれに基づく、覆土ならび漏水対策工事まがりなりにも進展することについては、一定の評価す るところであります。しかしながら、これまで経験したことない環境ホルモン、すなわち、ダイオキシン類やビスフェノール Aなどが検出される状況下では、地下水を水道水源とする敦賀にとって、その現状の把握や影響を最小限にとどめる 努力を継続しなければなりません。そして、その監視は子々孫々まで残る可能性すらあります。これらの観点から2 点、お伺いいたします。 @ 県の姿勢 1月22日の議会の全員協議会に引き続き、その夜、開催された処分場対策協議会で、私は、「北陸トンネル内でビス フェノールAが検出された点について、今後の覆土効果を検証する上で、重要な要素ではないか」と質したところ、「検 出成分の観点から因果関係はない」との見解を示しました。地盤の関係から大半は木の芽川に流入するにしても、今 後の抜本的な対策を進めていく上で、これからも重要な検査要素であることは誰が見ても明らかであり、本当に撤去し ないですむか、どうかの判断基準のひとつにもなるとも考えられます。 撤去費用、方法、無害化など撤去の困難性は、理解は出来るものの、覆土して、漏水対策工事を行えば、それで終わ りという県の姿勢が私には見え隠れしてなりません。 子々孫々まで水の安全を守るという責務をもつ、敦賀市にとって、この県の姿勢は許されるものでもありません。市長 の本問題に関する姿勢とこのような県の姿勢について、どのように考えるのか、お伺いいたします。 A 処理責任と費用負担 廃棄物の処理責任は、廃棄物処理法において、当初より、一般廃棄物は市町村、産業廃棄物は都道府県と明記され ておりました。また、本問題の対策費用も当時の厚生省は、廃棄物処理法に基づき、国3分の1、残りについては、県 と市との話し合いによって決めてほしいとの見解を示しておりました。 処分場の許可責任は、県にあろうとも処理責任は市が負わなければならないとの観点から、これまで、私は、市の処 理業務責任については言及しなかったものの、公害防止協定に基づく対応の不備したことや、各市町村への費用負担 の請求を提案してまいりました。ところが、市長は、許認可権者である県の一元的な責任から、市長は、「口は出して金 は出さない」との言葉と代執行など行動をほとんど県に求めてきました。このことについては、私も論議の中で一定の 理解をしてきたところでもあります。 ところが、一転、昨年末の県の要請から、地方自治法の水を守るという観点で、費用負担を受け入れるとの見解を示 すとともに、市との事前協議なしにごみの搬入を違法に行った28の自治体に対し、覆土や漏水防止対策費用の負担 を求めていくことを明らかにしました。また、予算説明の記者会見で市長は、「飲み水を守る立場から県に協力して意 見を伝えていく。金を出さないと口はだせない」とまで、変わってきました。 廃棄物処理法と地方自治法、県と市の関係などあまりにも曖昧な点が多く、理解に苦しむものであります。そこで、改 めて、質問を致します。 まず1点目は、本処分場許可後、市長は「反省すべき点はあった」と述べており、一般廃棄物の処理業務において、管 理責任に落ち度があったのか、なかったのか。 第2点目は公害防止協定を結びながら、なぜ、くい止めることが出来なかったのか、さらに、違法性が発覚してもから も、なぜ、協定に基づく、措置をとらなかったのか、改めて伺います。 第3点目は、今後とも、工事費および水処理の維持管理費の一部を県から求められるとが想定されますが、その都 度、話し合いを行い、一元的な管理責任は県であり、あくまでも水を守る立場から対応していくとの姿勢に変わりがない のか、お伺い致します。 最後に、この質問の中で紹介をした、オランダのルベルス前首相は、このようなことを論じられています。即ちそれは、 「人生はチャレンジです。チャレンジには『行動』が必要です。そして『行動』には『ビジョン』が必要です。オランダで普及 している自転車を例に取るならば、ペダルを踏むという『行動』があるからこそ、自転車は前に進みます。踏まなけれ ば、倒れてしまいます。そして進むべき『方向』を定めなければ、目的地には着きません。」ということであります。 ぜひ河瀬市長におかれましては、3期目に向けて、行動を起こすべく、ただ今申し上げた明快な「ビジョン」をもって、 ご答弁をいただけますことを期待申し上げ、壇上からの質問を終わらせていただきます。 ありがとうございました。 21世紀中部圏計画(アポロ2025プラン) −緑と水の産業・技術首都圏をめざして− 1 21世紀中部圏計画策定の趣旨 我が国を取りまく急速な国際化、情報化の進展および経済社会の構造変化などの諸情勢に的確に対応しつつ、 中 部圏のもつ豊かな緑、産業の集積など恵まれた諸条件を生かして、 我が国および世界を先導する創造的でゆとりとう るおいに満ちた圏域を形成するため、 富山、石川、福井、長野、岐阜、静岡、愛知、三重、滋賀の9県からなる中部 圏を対象地域とし、 21世紀の第1四半期(昭和100年=平成37年)を展望し、既存の諸制度にとらわれない自由な発 想にもとづいて、 中部圏の新しい将来像を描く超長期ビジョンである。国土庁大都市圏整備局、 地方公共団体(中 部圏開発整備地方協議会)、及び民間(中部経済連合会、北陸経済連合会)が、 昭和59年度から3ヶ年にわたって共 同して調査を実施し、とりまとめたものである。 トップページにもどる 2 計画策定の経緯 昭和59年度 21世紀中部圏計画調査委員会、21世紀を考える中部圏会議、21世紀中部圏フォーラム等の検討体 制を整え計画策定に着手。 昭和60年 21世紀中部圏計画基本構想検討 昭和61年7月 21世紀中部圏計画基本構想(案)公表 昭和62年7月 21世紀中部圏計画(案)公表 昭和62年9月 21世紀中部圏計画公表 3 21世紀中部圏計画の概要 1.21世紀中部圏計画の基本理念 (1)自然と共生する良質な人間居住空間の形成 (2)創造的で活力ある経済社会の構築 (3)国際社会への貫献とその発展の先導 (4)まとまりのある圏域の形成 2.基本理念が掲げる「中部圏の新しい将来像」 (1)産業・技術首都圏の形成一中部圏の役割 A 21世紀に向けて、東京一極集中構造を是正し、多極分散型国土を構 築する必要があり、関西圏、名古屋圏等において、既存の集積を生かした、日本を代表する特色ある世界都市機能を 分担することが重要である。 B 中部圏は、我が国発展の先導と圏域の均衡ある発展を図るため、その工業集積、技術集積を最大限に活用し、情 報・研究開発機能や国際交流機能を強化し、北陸、内陸等に一層の産業の集積を進め、名古屋圏の産業技術の中枢 圏域という機能を生かしつつ、 いわば「産業・技術首都圏」とでもいうべき高い理想を掲げ、圏域整備を推進する。 (2)エコロピアの形成一対立の時代から共生の時代へ A 中部圏は、分散して配置された都市圏の周辺を山や海がとり囲み、しかもそこには人為による改変をあまり加えら れていない豊かな自然が残されていることなど、人間と自然との好ましい共生関係をつくり上げる上で欠くことのできな い基礎条件が備わっている。 B このため、次のような人間活動と自然の営為が調和的に共生する快適で良質な居住空間(エコロピア)の形成を図 っていく。 a. 人間社会を生態系を構成する一要素としてとらえ直し、人間社会と自然とが調和的に共生する地域社会を形成す る. b. それぞれの地域の特性に応じ、生活の中はもとより、産業の場においても自然の保全・創出に努め、美しく快適な 空間の形成を図る。 C. 恵まれた自然風土や各地で受け継がれてきた地域文化を活かすとともに、多様な知的・文化ニーズに応え、自己 実現と多彩な個性の発揮が図られる創造的で質の高い地域社会を形成する。 (3)多極連携型圏域構造の構築 A 中部圏全体で見れば、首都圏における向心性の強い一極集中構造とは対照的に、多くの都市圏が多中心的、広域 的に分散する圏域構造を有している。 B しかし、各地域、各都市圏は相互に潜在的な力を引き出し合い、活用し合える可能性を有しながらも、その連携の 弱さのために、全体として十分な力を発揮しうる構造とはなっていない。 C 中部圏の各都市圏の機能を育成・強化し、各々が地域特性を生かして特色ある「極」となるよう努めるとともに、現 在の分散型の圏域構造の利点を生かしながら、それらを交通、情報・通信網で結ぶことにより、多様な地域が一体とな ってまとまり、それらがお互いに連携し、相乗的な効果を発揮してゆく、多極連携型圏域構造へ再編する。 3.将来像への接近を計る「4つの基本方向」 (1)自然を活かした魅力ある圏域の形成 −活かしていく緑と水のイメージ− (2)国際的産業・技術首都圏の形成 −産業と科学・技術の創造的中枢ゾーンの展開 (3)世界に開かれた圏域の形成 −世界と結ぶコアづくり− (4)連帯とアイデンティティのある圏域の形成 −個性的な自立圏域の形成と連携− 4.連帯とアイデンティティのある圏域の形成 −個性的な自立圏域の形成と連携− 東海、静岡、長野、北陸、滋賀の各地域を一体的かつ自立性の高い個性的な自力圏域と して発展を図るとともに、 これらを包摂する連合体としての中部圏を構築する. (1)東海地域 高度な研究開発機能、高次都市機能など頭脳部門の充実を図り、国土中枢ゾーンとでもいうべき地域の中央部を 占める枢要な極として、また国際的産業・技術首都圏の中枢地域として発展を図る。 (2)静岡地域 東西方向に加え、山梨、長野地域などとの南北方向の連携を図りつつ、東西に連担する諸都市を中心に高次都市 機能の集積や高度技術を活用する創造的で付加価値の高い産業の展開を図る。 (3)長野地域 中部圏のみならず、首都圏、近畿圏の各地域との連携を深めつつ、内陸型の先端技術産業拠点と して、また、生鮮農産物の供給基地等として発展していくとともに、国際性豊かな国民的リゾート空間を形成する。 (4)北陸地域 高速交通ネットワークの整備の効果を活かしつつ、三県の強い連携と機能分担の下に、特色ある学術、技術、芸術 の交流拠点として、また、衣・食・住・医等生活を中心とした幅広い文化・産業複合拠点として、環日本海をはじめとす る国際交流の拠点として発展を図る。 (5)滋賀地域 人、文化、技術の交流を通じて創造的な学術研究活動や産業活動が展開されるびわ湖リサーチコンプレックスを形 成するとともに、居住性と活動性に富んだ長寿社会をリードする魅力ある地域の形成を図り、日本や世界の人々の活 力の涵養と交流の拠点を形成する。 5.緑と水の産業・技術首都圏形成のためのプロジェクト構想 4つの基本方向に沿って、実効ある施策を総合的に進めていくため、以下の5つのプロジェクト構想を用意し、 21世 紀へ向けての中部圏づくりを積極的に推進することを提案。 (1)「ワールド・ガーデン構想」 中部圏を、「世界の庭園」と呼ばれるにふさわしい、リゾート空間とするとともに、「緑の 連帯」のもとに美しい自然を国民的財産として後世代へ引き継いでいくことをめざす。 (2)「未来の郷づくり構想」 中部圏各地域に個性と活力に満ちた未来指向型の地域社会を、未来を担う世代にとって の魅力ある、ふるさととして創造することをめざす。 (3)「テクノコリドー構想」 中部圏の各地域の個性・独自性・創造性を高めながら、相互の活発な産業・技術の交流を通じ、中部圏全体を、「国 際的産業・技術首都圏」とすることをめざす。 (4)「交流マルチコア構想」 中部圏の大小様々な都市を世界に開かれた、人や情報の交流の拠点、あるいは、文化創造の拠点として育成する ことをめざす。 (5)「交通ネットワーク構想」 中部圏と首都圏、近畿圏の連携強化、多極連携型圏域構造の構築及び本格的国際化 に対応した、陸・海・空の交通ネットワーク形成をめざす。 トップページにもどる お役立ちサイト「tomoen(トモエン)」 |