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   占星学エッセイ  Astrology Essay

       月の話 vol.1


 
夜の支配者――月は、あらゆる意味で太陽と背反します。

 太陽が表の顔なら、月は裏に潜む本性を示唆するのです。

 太陽は決定された一つの形を焼き付けますが、月は刻々と変化し続け、一つの形をとどめることは決してありません。

 シェイクスピア悲劇のロミオとジュリエットの台詞のように、夜毎形を変える不実な天体なのです。

 「変化」こそが月の持つ特質の最重要キーワードであり、過去から現在、現在から未来へと流れていく「必然」の道筋を管理しています。

 いわゆるバイオリズムというやつですね。

 一つの生命が誕生し、徐々に成長していくプラスの変化も、成長過程を終えて少しずつ老いていくマイナスの変化も、全て月の支配下にあるのです。



     vol.2

 太陽が人生の「おもて」の基本を示唆するなら、月は人生の「うら」の基本を示唆します――すなわち「欲望」を。

 生きるとは欲望を処理することであり、全ての人生は欲望を満たすための戦いに明け暮れます。

 空腹であれば食物を欲し、満たされれば次は好物を欲し、満足しきれば飽食。
 このプロセスが月の仕事です。

 異性に恋し、思いを募らせ、やがて実り、相手を味わい尽くすと冷めていく。
 …このプロセスもそう。

 ホロスコープ上で月の在るハウスは、欲望・興味・好意の向かう方向を指し示します。

 あなたのホロスコープの月が風のエレメンツ(3室・7室・11室或いは双子座・天秤座・水瓶座)にあるなら、あなたが好きになる人は風のエレメンツに華やかな天体(木星や太陽)を持っていませんか?

 あなたの月が木星に反応しているなら「理想の人」の要素が強く、太陽に反応しているなら「運命の人」の可能性あり。

 月同士や冥王星に反応していると思われるなら、ちょっと生々しい関係に陥りそう。悪縁・腐れ縁につながる場合もあるから注意が必要かも。


     vol.3

 月は、欲望の向かう先を示唆すると同時に、他者の欲望を向けさせる誘因をも示唆します。

 何かを欲するということは、その対象に対しての受け入れ態勢が全開になるということで、イコールそこがあなたの「弱み」になるからです。

 「金が欲しい」人は「金に弱い」わけだし、「甘くて脂っこい食べ物が好き」な人はメタボを恐れつつも「霜降りステーキ肉300gや濃厚チーズケーキに弱い」わけです。

 あなたの欲望の対象が人間である場合――簡単に言えば誰かを恋した場合、相手からも愛されたいと強く願うとフェロモンの分泌が活発になり性的魅力(セクシー度)が増します。

 恋をするとキレイになる、という道理ですね。
 そして性的魅力が増せば、あなた自身が他者の欲望を引き付ける対象になります。

 あなたのホロスコープ上の月がアクティヴになると、欲望が強くなり、同時に魅力が活性するわけです。

 繰り返し述べてきたように、月は決して一つの状況に安住せず、常に変転する宿命を持っているわけで、緩やかな弧を描きながら増減し続けます。

 自分自身の月のバイオリズムを知るのはそれほど難しいことではありません。
 欲望が健全に、活発に、稼動している状況なら――食欲、性欲共に旺盛、金銭欲もバリバリ、並程度の嫉妬心や憧れを抱き、現状に満足できず、誰かに恋焦がれている状況なら――あなたの月はアクティヴであり、今現在、あなたはあらゆる飛躍の可能性を手にしているのです。

 「欲」がこの世の悪を生み出すものであることを否定はしませんが、人間の営みを生き生きとさせる原動力であることも事実です。

 「幸福の狩り」に参戦することこそ、人を魅力的に輝かせる最上の手段といえます。

 但し、月が引き付けるのは恋心だけではありません。
 劣情やよこしまな企み、暴力など様々な災厄も引き付けます。

 欲望の充足には常に相応のリスクが伴うということも覚悟すべきでしょう。

     vol.4

 月が象徴するイメージの基本は「女性」であることが多く、そこから弱々しさや艶かしさが連想されるわけですが、実は、月には別の暗い面もあるのです。

 月は「血と肉」に作用し、「凶行」や「流血」を主導する天体でもあります。

 受動的に身に降りかかる凶行だけでなく、能動的に他に及ぼしてしまう危害にも月は深く関与します。

 実際に力を行使するのは天王星の管轄であるため、凶行の加害者・被害者になるためには天王星と月との位置関係が密接である必要があります。
 月は言わば陰の黒幕――欲望から派生する嫉妬や劣情、悪意などを使って天王星の実行力を巧みに操り、その方向性を狂わせるのが仕事です。

 被害を受けるということから考察すると、水室(House参照)の月はターゲットにされやすい状況――「狙われやすさ」を示します。
 この内、12室は変調が加わる人室(House参照)に属すため、時に「過剰な排出」をもたらします。

 12室に月があり、天王星と同居するか、ハードなアスペクトを持つ場合、事件・事故による失血を暗示することもあるので注意が必要です。

 加害については、同様の考察から火室・人室に属す9室に天王星があって、月がハードに絡んでいる場合に暗示が強まります。

 12室の月は、女性の生理を重くする働きもしますが、サイクル次第では多産や不労所得、多人数からの求愛にもつながり、悪い意味とばかりは限りません。
 9室についても同じで、「無敵の力」を示唆することもあるのです。


 月の光は見慣れた事物に気まぐれな陰影を与えてデフォルメします。
 物の形だけでなく、人の心も怪しく狂わせるのです。

 よく言われるように、満月の夜は危険がいっぱい…なのでしょう。

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