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■今月の詩■
私
どこにだつて私がゐるの、
私のほかに、私がゐるの。
通りぢや店の硝子のなかに、
うちへ帰れば時計のなかに。
お台所ぢやお盆にゐるし、
雨のふる日は、路にまでゐるの。
けれどもなぜか、いつ見ても、
お空にや決してゐないのよ。
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■この作品から感じること■
この詩にはみすゞの優しい本質が
秘められています。「どこにだつて
私がゐるの」とはすべてが私である
ということです。魚も鳥も私なので
す。それは魚の側に立ち、魚だった
らどう感じるかという思いやりの心
です。それは万物を愛そうとする優
しくて広大な愛のこころが発するも
のです。この観点からみると、たと
えば「お魚」は私が私を食べる詩と
いってよいでしょう。何んでもない
ようなみすゞの詩が深い感動を呼ぶ
理由はここにあるのでしょう。 |