学舎の理念



今何故、真水なのでしょう?

 

水は生命のみなもと


 水は生命の源です。生きとし生けるもの全てが、水なくしては生存できません。例えば、我々の体の70%は、水なのです。

 水は、エネルギーの源です。清浄安全な電力を生み出します。例えば、毎秒50立方メートル(以下m)の流量と400メートルの落差で、理論的には、約2Wの電力を生産できます。

 水は食糧の源です。穀物収穫は、「大気中の二酸化炭素を吸収しつつ、太陽光の助けを借りて炭水化物と酸素を生成し、酸素を大気に放出還元しながら、炭水化物を内部に蓄積する“炭酸同化作用・光合成”」のお陰です。水なくしては、光合成は有り得ません。家畜の餌も又そのお陰です。

 

フローだけで十分な水が?


 水は、“天下・地球の回りもの”です。液体()・固体(雪、氷)・気体(霧、雲)となって、地表(河川、湖沼)・地中(地下水)・気中(水蒸気)を循環します。

 専門家によれば、河川湖沼淡水は約16日、大気中の水分は8日に一回循環し、その間に、約110mの地上への降雨と63兆mの地上蒸発が発生しているといいます。

 この差、約47兆mが、世界の人々が利用できる、淡水フローです。(湖沼河川・地下水のストックは、除く)

現在全世界の人類が使用する淡水は、年間約5.5兆mと推定されています。ですから、人類にとって不可欠な水は、十分余裕があるはずです。

 

水は偏在します


 残念ながら、‘回りもののお金・富’と同じく、其のフロー・降雨量は、偏在します。南・西・中央アジア、アラビア半島、北アフリカの国々,特に中東の国々は、水不足に呻吟しています。

 例えば、国民一人当たりの年間取水量(生活・農業・工業・環境・レクレーション用水として)が、カタールでは50m、アラブ首長国連邦で、190m、ヨルダンで260mと推定されています。

 安定的な国民生活に必要な量は年間1,000m、最低限のそれが500mと言われますから、上記数値は、言わば絶望的なレベルです。

 

他国源国際河川への依存と紛争


 比較的に安定的な取水を維持している国々にも、大きな問題があります。

 それは、取水を、他国に源を発する国際河川に依存することです。例えば、エジプトは、10カ国の上流国を持つナイル川に取水の約97%、東欧に目を向ければ、ハンガリーは、約95%をドナウ川に依存します。

 その結果、重要極まりない水資源を巡り、国際的な係争が噴出します。例えば、ヨルダン川を巡る、イスラエルとアラブ諸国の紛争・エジプトとエチオピアの青ナイルを巡る軋轢・ドナウ川に関わるハンガリーとスロバキア紛争・インダス川に関するパキスタンとインドの其れ、等々枚挙に遑がありません。

 

温暖化の影が


 加えて、地球温暖化による降雨量の全体的、地域的変化の可能性と言ふ、不確定要素も不気味です。例えば現時点で、オーストラリア農産物の50%を支える、マーレー・ダーリン川流域の旱魃で、豪は、深刻な事態に陥っていると伝えられています。 

 米国ジョージア州の友人からは、「日本の梅雨をこちらに移送する方法を発明すれば、ノーベル賞!」、と尋常でない低降雨量への悲鳴が伝えられてきます。

 

水問題への挑戦課題


 このような現状下において、われわれは地球規模で、下記のような緊急・重要挑戦課題を突きつけられています。

 

* 低コストの淡水創造科学技術;

海水脱塩、生活排水の再生、雲の人口創造、地下水ダム等

* 節水農産物の開発;

 強耐塩性穀物(極度に塩分に強い小麦・飼料植物)の開発等 

         国際水資源の協調利用;

 流域国間の協調・開発流域住民の参画システム構築等

 

日本も水問題に無縁ではあり得ない


国民一人当たりの可能淡水取水量は、年間約 1,400mと、わが国は、比較的に水に恵まれています。ですから、我々日本人は、世界の水問題に感性豊かではありません。むしろ、無頓着とも言えるでしょう。

しかしながら、時季・地域によっては、わが国でも降雨量は極めて限られた数値です。例えば、夏季の関東地方の其れは、エジプト・モロッコなみであるといわれています。その結果、例年夏季には、水不足の不安が喧伝されますし、事実でもあるのです。四国、とくに香川県、九州北部(福岡県)なども然りです。

しかもわが国は、膨大な食料を輸入しています。牛・豚・鶏を飼育するには飼料が必要です。それを育むのには、水が欠かせません。穀物・野菜も同様です。

ある研究によれば、日本の総食料輸入量は、約640億mの「実質水」(バーチャル・ウォーター、Virtual Water:日本で其の量の食料を生産するに必要な水量)に相当するといわれています。

実のところ我国は、膨大な淡水輸入国なのです。世界の水問題に、無関心では、いられません。

 

21世紀は水の世紀なり”の視点から、我々は、「世界の水問題を、英語原書の輪読で理解する真水の学舎」を、2002年5月に立ち上げました。

それ以来、週一回・約3時間の例会を、地道にコツコツ、連綿と継続し続けています。

浅学非才な、“一寸むかしの若い衆・お嬢さん”達の、小さな小さな会ですが、皆さんとの交流、そして皆さんのご参加を、切望してやみません。

 

真水の学舎 代表世話人 玉置 義魂