キワモノ系第一弾

【G4 Mac用ATX電源アダプタ】


<取扱説明書>
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 ヤフオクで入手したRADEON 9800を取り付けたQuickSilver。戦闘力が上がったのは間違いないが、この最新のグラボの強烈な発熱に私は戸惑っていた。・・・これは消費電力もかなりなものに違いない。さらに大容量HDDの搭載を目論んでいるのに・・・大丈夫なのか? Quick Silverの純正電源は344Wだが、およそ100W分はADC出力なので実質250Wクラスと考えられる。B&Wにさえ400W電源を搭載していた私は、ここでQuickSilverの電源交換を決意した。

<電源のピンアサイン>
COM +3.3V +5.0V +12V +25V
5VSB -12.0V PS_ON PW_OK


ATX電源
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QuickSilver
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DigitalAudio / GigabitEthenet
1 2 3 4 5 6 7 8 × 10 11
12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22
注:DA/GEでは22番は28V

 初めに、ごく簡単にATX電源の説明。ATX電源の5VSB(5Vスタンバイ)は、コンセントにつながってさえいれば常に出力されている。起動スイッチが押されるとPCは5VSBを利用して起動準備に入る。電源が起動するとPW_OKに+5Vが出力される。PCのマザーボードはPW_OKが出力されるとPCの起動を続ける。

 このATX電源をMacに搭載する方法は数多のHPで語られているが、実機で確認してみる。QuickSilverの22ピンのうち20ピン分はATX電源の20ピンとほぼ一緒。テスターで調べてみると、QSの電源はシャットダウン時には5VSBと25Vが両方出力されている。しかしさらに調べると、ロジックボード上のコネクタの5VSBとCOMの間の抵抗値は∞。つまり配線されていない。実質的には、5VSBの出力がないDAやGEと同じなのだ。
 実験してみると、純正電源のメインコネクタから紫を抜いてもQSは問題なく起動する。白を抜くと紫が挿してあっても起動しない。即ちQSは25Vのスタンバイ電流(シャットダウン時にも出力されている電流)を利用して起動していると考えられる。

 ところで、コネクタから電極を抜くのはなかなか難しいのでこちらに抜き方を解説してみた。

QuickSilver
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 さて、話の核心はここから。QSの純正電源の白を抜き、換わりに紫を挿してみる。すると・・・QSは何事もなかったかのように起動する。つまりATX電源をこの配線にすればQSを起動できるわけだ。ピンアサインを見るとわかるがDAやGEも一緒。一般的なG4用強化電源はこの配線になっていると思われる。そして強化電源を販売している五州貿易さんのHPを見ると「バスパワーおよびADC不対応」と記載されており、実際この配線でFWバスパワーのHDDは使用できない。このことから25V出力がADCだけではなくFireWireのバスパワーにも利用されていることがわかる。FWバスパワーは8〜33V/1.5Aの規格なので、25Vの換わりに5Vを接続した状態ではバスパワーが使えないのは当然と言える。しかしバスパワーが使えないのは本体のFWポートだけ。すでにFW400 + USB2.0のcombo. CardをQSに装備しており、こちらのバスパワーは使えるので問題はない。

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 ということで、さっそく電源を物色。電源を選ぶ際の注意点は、まずサイズ。150x140x86mmなら問題なし。最近のATX電源は140mmより長いのが多いので要注意。光学ドライブ側がきつくなる。新しい光学ドライブは短いので、多少長めの電源でも大丈夫かも。あとはバックパネルの切削が必要になるかどうか。ACコネクタの位置がポイント。
 ネット上で吟味し、TORICA Sei4-550Wを購入。・・・550W! G4 Macにこんな巨大容量の電源が必要なはずがない。400Wあれば余裕だ。でも550Wを購入してしまった。400W電源と550W電源であまり価格が変わらなかったし、大きな電源を使う安心感というか・・・絶対に時速300km/hなんて出せない狭い日本でもフェラーリを買う人や、アスファルトの上しか走らないのにランクルを買う人の心境に通じるものがある(?)。とにかく私はTORICA Sei4-550Wを買った。バックパネルを削らないと搭載できないが、すでにおでこをくり抜かれたQSにとっては大した問題ではない。一緒に24ピン延長ケーブルWAX-2415を購入。延長ケーブルで配線変更すれば失敗してもダメージが少ないのでお勧め。

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13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24

1 2 3 4 5 6 7 12 × 10 24 ×
13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 9 ×

 まず、延長ケーブルのロジック接続側の24Pハウジングコネクタから、8番(グレー)の電極を抜く。8番はATXではPower good (5V)、QSでは3.3Vなのでこれは必須。さらに余計な4本のピン(11, 12, 23, 24)を抜き取り、12番(オレンジ)を8番へ、24番(黒)を11番へ挿しておく。そして9番(紫)を抜き23番へ挿し直す。空き家になった端の2本のピン(12, 24)は邪魔なのでカットして22ピンのハウジングコネクタに形成してしまう。これでひとまず完成。
 参考までにWAX-2415の場合20番は配線されていない。20番に-5Vを出力している古いATX電源への対策と思われる。さらに4番のラインが何故か緑色。他のラインは一般的な配色になっている。
 さて、余った11番(黄色=12V)と23番(赤色=5V)を延長ケーブルから完全に取り外そうとしたところで、ふと閃く。電源が起動したら、この12Vを25Vラインへ流してやればFWバスパワーが使えるはずだ。つまりQSは25Vラインに流れる5VSBを利用して起動し、起動後は12Vが25Vラインに流れFWバスパワーが供給される。う〜ん、グッド・アイディア。

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 すぐ思いついたのはリレーを使っての切り替え。リレーは電磁石でスイッチを切り替える装置。左の図で説明すると、5Vが流れていない時は25V出力へは5VSBが接続されている。電源が起動して5Vが流れるとコイルが電磁石になって接点を引き寄せ、12Vが25V出力へ接続される。よし、思い立ったが吉日、即千石電商さんのHPでリレーを注文。
 しかし・・・商品到着を待つ間に致命的な欠陥に気付く。リレーによる接点切り替えは時間がかかる(人間にとっては一瞬だが)。5Vが流れコイルが電磁石となり、5VSBから25V出力への接点が離れる。この瞬間、25V出力へはまったく電力が供給されなくなるのだ。果たしてQSは起動を続けることができるのか?
 もしかしたら、スタンバイ電流が必要なのは起動の最初の一瞬だけで、電源が起動してしまえばスタンバイ電流は不要なのかも知れない。そうなら都合がいい・・・うん、そうに違いない。早速、実験してみる。QSを起動させ、22番へ接続してあった紫(5VSB)の配線をおもむろに引き抜く(注)・・・と!? ヴィギョン・・・と異音を発しQSはシャットダウンした。う〜ん、スタンバイ電流は常に流れてないとダメらしいな。・・・それより、QSは回復可能なのか!?

注:よい子は決してマネをしないでね。

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 幸いにもQSはPMUリセットで復活したので、25Vスタンバイにどのくらいの電流が流れているか調べてみた。結果はこちら。ごくわずかだが、電流は常に流れている。何に使われているかは知らないが、とにかくこの電流が途絶えるとQSはシャットダウンすることが確認された(汗)。千石電商さんからリレーが届いたが、もういらない。

 リレーには接点がシームレスに移行するタイプもあるが、それだと今度は12Vと5VSBが接触する時間が生じる。電源の5VSB端子に12V以上の電圧がかかることになり好ましくない。
 そこで考えたのがダイオードを介して直接接続する方法。ダイオードを入れると電圧が若干低下する(約0.6Vだそうな)のがちょっと心配。コンデンサは12VのON/OFF時のサージを吸収するために入れてみた・・・実際必要かどうか判らない。でもこの記事を読むと、何となく入れておきたくなる。
 回路が決まったので秋月電気通商さんより基板やパーツを購入し、テスト基板を作成。延長ケーブルに基板を取り付け、ATX電源を接続、お祈りをしてから起動スイッチを押すと!? ・・・ジャーン、と見事起動した! Finder画面に到達してからFWバスパワーのHDDを本体のポートに接続してみる・・・おおっ、マウントされた。やったぜ!

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 テスト基板では耐久性が心配なので、ちゃんとした基板を作成してみた。基板の作成は高校生の頃にギターのエフェクターを自作した際に経験あり。15 mm四方程度の小さなモノなので、セロテープでパターンを描き8枚分まとめて作成。これに径1.0 mmのドリルで穴を開けダイオードとコンデンサと配線をハンダ付け。絶縁のため銅箔面を浴槽補修用シリコン剤で覆い、パーツ類を薄いゴム板で包んで「FWバスパワーモジュール」(笑)の完成。

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 作成した「FWバスパワーモジュール」(黒いの)は、千石電商さんで基板作成用品とともに購入した4ピンのハウジングコネクタを介して24ピン延長ケーブルへ接続。ついでにFWバスパワーを使わない一般的な改造電源配線にする「ノーマルモジュール」(小さいヤツ)も作ってみた。24ピン延長ケーブル(WAX-2415)はアダプタとしては少し配線が長めのため、全部の配線を短く切って電極を付け直した。これはかなり面倒な作業。

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 完成したアダプターを使ってTORICA Sei4をQSに接続。QSでは22ピンの横にある4ピンにも配線が必要(実は配線しなくても起動はするが)。ATX電源のPentium4用のコネクタと形状はピッタリだが配線が違う(黄色と黒がまるきり逆)ので、これもアダプタを作成して接続。
 そして起動確認! FWバスパワーHDDのマウント確認! う〜ん、いいんじゃないですか、これは。

 かなりの資金を投入したが、構想どおりのアダプタが完成し、意味も無くFWバスパワーのHDDを操作しては悦に入る。
 ふと気付けばパーツが多量に余っている。コンデンサやダイオードは10個セットで購入したし、コネクタや延長ケーブルなども失敗に備えて予備を購入してある。基板もある。実機は持っていないが、ピンアサインから考えてもDAとGEでもこのアダプタは使えるはずだ。QS/DA/GEのユーザーで、電源交換をしたいが配線変更が面倒で二の足を踏んでいる人は結構いるのではないか。

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 よし、もっとアダプタを作ってヤフオクに出してみよう・・・ということで、このようなセットを作成。

1)アダプタ本体
2)FWバスパワーモジュール
3)ノーマルモジュール
4)12 cmファン用アダプタ
5)QS用P4変換アダプタ

 以外と苦労したのが純正12 cmファン用のコネクタ。日本モレックス製であることは判ったが、どこにも売っていない。代替コネクタで済ませた。
 どうせ「商品」として売るのなら、と22ピンのハウジングコネクタの入手も目論んだ。ここで買えそうだが・・・9月に見積もり依頼メールを送ったら、10月末の入荷と。で、10月末にメールを送ったら11月末に返事が来て「在庫あり」。で注文のメールを送ったけど1月になっても音沙汰なし。価格も高いのでキャンセルのメールを送った。小口相手の商売はする気がないらしい。結局24ピンコネクタをカットして使用。

 ヤフオクに出品した「キワモノ系アダプタ」は幸いにもご好評をいただき余剰パーツ分を完売。さらにご要望をいただきパーツを追加購入して何個か出品した。

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 しばらくはQSにアダプタを取り付けて電源を取っ替え引っ替えしてみた。しかしそのうちにアダプタが邪魔になり、電源ボックス内へ引っ越し。電源が故障したらすぐ取り替えられるのがアダプタの良い所だが、内蔵した方がケーブルがすっきりする。アダプタの作成は24ピン延長ケーブルを適当な長さに切り詰めるのが面倒なのもあって、ヤフオクへの出品は終了。時間がある時にFWバスパワーモジュール内蔵電源を作成して出品することにした。

<FWバスパワーモジュールによる不眠症>
 ・・・傑作(笑)と思えたFWバスパワーモジュールであったが、ヤフオク出品中に欠点が明らかに。FWバスパワーモジュールを使用するとディープスリープできなくなるMacがあるのだ。私はまったくスリープを使わない人なので気付かなかったが、試してみるとスリープできない。一瞬眠りにつくと見せかけてすぐ覚醒してしまう。
 これはどうしたことだ? アダプタをご購入いただいた方々にメールを送って情報収集すると、QS2002は全台(4台)スリープ可能、QS2001は2台中1台、DAおよびGEは半々くらいでスリープ可能であった。個体差があるようだ。調査するうちに、この記事と関係があるのではないかと気付く。
 Macがディープスリープに入ると電源は停止する。この時にFWバスパワーに流れていた12Vが5Vに低下する。この電圧の変動がFWポートの信号として拾われ覚醒モードに入るのではないか。未確認情報ではあるが、QS2002からはESD保護素子がロジックボードに組み込まれたとのことだ。ESD保護素子があるとFWバスパワーの電圧変化が信号として拾われることはなくなる。実際、QS2002のロジックボードだと全台(といっても4台だが)スリープ可能。DAやGEでは、FWポートの信号に感度の鈍い個体だけが安眠できると思われる。
 何とか睡眠障害を起こさないFWバスパワーモジュールを作成できないか。容量の大きなコンデンサを付けてみたり、コンデンサと抵抗でスパークキラーのような回路を作ってみたり、と試行錯誤したがどれも失敗。私のQSは未だに不眠症である。
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上記の説明文は「安心オークション(マック用ソフトウェア)」を利用して作成されました。