| 続ゴジラの目玉 |
地球最大の決戦版ゴジラの眼
モスゴジを流用した地球最大ゴジ。全体の劣化を除く意図的な変更点がその眼球である。モスゴジではレンズ効果を用いた三白眼であったが、地球最大ゴジではヒートプレスした透明カバーと木製の眼球の二重構造になった(『大ゴジラ図鑑』による)。瞳は、虹彩と瞳孔が塗り分けられ、中央に白でハイライトが描き込まれている。だが虹彩と瞳孔については劇中やスチールでもはっきりしない(DVDでは判別できるのだろうか?未見です)。
また、眼球は動かすことが出来るようになっており、「三大怪獣の会談」のシーンなどで効果的に用いられている。おそらく口の開閉と同じくラジコンによる無線操作だろうと思われるが、確証はない(大ゴジラ図鑑』ではサーボモーターによる可動とされる)。
地球最大ゴジの目玉の表現は、キンゴジ、モスゴジのようなキャラクター性を固定した表現から一歩進み、生物感が増したとみることも出来るし、反対に擬人化が進んだとみることも出来ると思う。いずれにせよ視線がはっきりわかり、ゴジラも目で演技できるようになった。東宝特撮黄金期のヒーローゴジラにふさわしい表現といえよう。
大戦争ゴジラの眼 ― 仏像と怪獣、慶派仏師と利光貞三 ―
最初に仏像彫刻と怪獣との関係を見出したのはみうらじゅんだったか・・・・・・。また利光貞三のゴジラと慶派仏師による仏像彫刻の類似性を説いたのはヤマダマサミだったかな・・・・・・・。ここではゴジラと仏像彫刻の関係についてまた違った角度からスポットを当ててみたい。実は本稿のキモはここだったりする。
玉眼について
まずは慶派仏師による仏像の特徴のひとつである玉眼についてまとめておこう。
運慶をはじめとする慶派の仏師たちの理想としたものは「生き生きとした仏のリアリズム」だった。それを表現する技法として考え出されたのが玉眼である。玉眼は、水晶を磨いて薄いレンズ状とし、裏側から瞳を描き込む。その上から綿もしくは紙をあて白目とし、仏像の眼の表現とするものである。天部や明王の場合であれば、白目の部分に赤く染めた紙をほぐしたものをいれ、血走りの表現とする。・・・・・・どうです?水晶のレンズをヒートプレスしたアクリル板に置き換えると、そのまま着ぐるみにおける目玉の表現と重なってくるのだ。
そして、利光貞三、八木兄弟をはじめとする東宝特美のスタッフが、まさに玉眼を参考にし、その構造を着ぐるみに応用したということの証拠が大戦争ゴジラの目玉なのである。
大戦争ゴジラの眼は、黒い瞳の周囲にオレンジ色の縁取りがあり、中心に白でハイライトが入れられる。前作の虹彩と瞳孔を表現したものと比べるとカリカチュアされた表現のように思える。たしかに白いハイライトは効果を最優先に考えた、いわば模型的な表現であろうと思われる。だがオレンジ色の縁取りである。実際の生物とも違うこの表現、コレが実は玉眼につながるのだ。
運慶作奈良円成寺の大日如来を見て欲しい。また高野山金剛峯寺の八大童子立像を見て欲しい。これらの仏像で使われている玉眼の表現が「黒い瞳に朱の縁取り」また「黒い瞳に赤の縁取り」なのだ。実際に見ていただけると、大戦争ゴジラとの近似性がわかると思う。
利光たち特美のスタッフがゴジラに込めたもの、それは童子のように若々しくも荒ぶる神(仏ですが)の姿だったのではないだろうか。
その他のゴジラの眼
飛ばします。ひとつだけいっておくなら、メガロゴジラの精密に書き込まれた虹彩には、カリカチュアライズされたメガロゴジラにおける安丸信行の主張が込められているのではないか。
VSゴジラの眼
『ゴジラVSビオランテ』のゴジラの眼は、特技監督の川北紘一の以降により大幅に変更された。一般に白目がなくなったといわれるが間違いで、黒目が大きくなったため白目はほとんど見えない。猛禽類的な無表情が生命感を感じさせる。
黒目は、濃褐色の上に黄色と赤色で放射状に線が描き込まれ、遠めには褐色の虹彩となる。白目は黄ばんだ色合いで、赤い毛糸をほぐしたものを入れて毛細血管が表現されている(前述した仏師たちと同じ、創意工夫!!)。
この目玉は残念なことに『ゴジラVSモスラ』から明るくされてしまった。川北特技監督がポスターなどで白目を着色されてしまうのを嫌ったためらしい。ビオゴジからの変更点は黄色と赤色の放射状の描き込みの密度の変化だろう。この眼は『VSメカゴジラ』のベビーゴジラ、ラドンでも使われているようだ。
以下続