知らず知らずのうちにこの曲を口ずさんでいたら、サラリーマンの疲労レベルとしては末期症状と言えるかも知れません。

ゲ ゲ ゲゲゲのゲー
朝は寝床で グーグーグー
楽しいな 楽しいな
おばけにゃ 学校も
試験もなんにも ない
ゲ ゲ ゲゲゲのゲー
みんなで歌おう ゲゲゲのゲー
(「ゲゲゲの鬼太郎」 水木しげる作詞・いずみたく作曲)



第二次大戦後、無限の可能性を秘める未来へ向かって人々が勤勉に働いた、日本の高度成長期。
手塚治虫らが近未来的な漫画を世に発表し、科学少年の心をとらえました。


『メトロポリス』



時を同じくして、時代に逆行するような、古風なオバケ奇譚が水木しげるの手によって送り出されました。



『ゲゲゲの鬼太郎』と名づけられたその作品は爆発的な人気を呼び、大きな商業的成功を収めました。





「頑張らない」ことの美しさを忌憚無く謳う『鬼太郎』のテーマ曲。
みんなが前へ前へとがむしゃらに頑張っていた時代に、その頑張らない姿勢が大衆に支持されたことは、実に注目に値します。

21世紀になり、進歩し発展することこそすべて、と言い切れる日本人はもはやいません。
むしろ、趣味や余暇などいかに人生を楽しむかが人々の関心事です。
水木しげるの懐古路線の方が、手塚治虫の近未来ストーリー以上に未来を先見していた、と言うと大げさでしょうか。



ゲ ゲ ゲゲゲのゲー

夏バテのベッドで、ゲゲゲのテーマが脳内に鳴り響きます。
アパートの天井を眺めながら考えました。

最先端技術が必ずしも幸せを運んでこないことに、誰もが勘付き始めたこの時代。
文明に毒されていない所へ行くというのは、実は何よりも贅沢なことではないでしょうか。
仕事のことを忘れてリフレッシュを図るとしたら、気の利いたサービスも、おいしい料理も要らない。
ただ、シビアな損得勘定とは無縁の、オバケの世界のようにのんびりした所へ行きたい。