病気 その2
彼は生後3日目にして、食欲旺盛だった。母子手帳の記録を見るとこの日の体重は3404g。授乳
室に掲示してある哺乳量をぺろりとたいらげ、満足そうにゲップをした。そうそう、保育器だからもちろん
オムツだけで寝ている訳なのだが、しゃっくりした時ってすっごくおなかが凹む、という事にこの時初めて
気がついた。最初に見た時は思わずナースコールを押そうかと思ったくらいだ。 それにしても、彼は重
い。保育器に入る子はやはり未熟児・超未熟児が多いのだろう。設計もそれが前提で成されている
と思われる。 …何が言いたいのかって?授乳中の手首がツライのだ!片手にも余るほどの大きさの
頭と違って、うちのチビ介はフツ-よりも頭でっかち。更に、不自然な格好での授乳で…わきをしめず
に腕を伸ばし、肘をどこにも乗せないで塩1袋を左手の手のひらに乗せて15分ほど動かないでいて
ほしい。…気持ちが判っていただけるだろうか? それを「幸せな重さ」と感じていられるのは限界があ
る、という事は是非理解していただきたいものである…。 それはともかく、次の日とその次の日の朝
までは保育器の中のチビ介に搾乳したおっぱいをやった。 昼からは点滴も外れ、授乳の時だけは
外にだして(授乳室に連れて行って、という意味だが)おっぱいをやっていい事になった。退院予定2
日前にして、ようやくお産仲間にお披露目だ。 出産直後に初乳をやって以来、初めて乳首を吸う
のでどうだろう、と思ったのだが (哺乳瓶の乳首の方が吸いやすいので、 先にそちらに慣れてしまうと
おっぱいを嫌がる子が多いのだ) 全くの杞憂だった。力強く吸う彼のおかげで、私の胸は一気に楽に
なった。(私の胸は非常に小さいが、母乳分泌はすこぶる良好だった。で。男性諸氏にはご理解い
ただけまいが、お乳がたまった胸というものは、ヒジョーに痛いのだ!) 胸は楽になるし、授乳も抱っこ
してやれば楽ちん。そして、何より彼をこの手でゆっくり抱けた最初なのだ。気付かぬ振りして彼を病
室に連れ帰ったとしても、誰が責められよう…婦長に責められたが。ホンのちょっとだけ、ね。 そして、
次の日は私が退院の日だった。ベッドが空いていればチビ介と一緒に退院が出来たのだが、あいにく
空き待ちの方がいらしたので元気な母は一足お先に帰宅となった。午前中にダンナが出生届けを出
しに行き、戻ったところで小児科の医師から現在の状況の説明を受ける。毎日母乳を届けにきてい
いという。来た時は直接やって、あとは冷凍しておいたのをやって下さるという。本当に感謝である…。
(もっとも、私の母に言わせると産後すぐの私が猛暑の中を毎日電車で通うのはいかがなものかと…
心配性な彼女は夜も眠れなかったらしい)会計を済ませ、昼食も終わったところで形成外科の医師
が到着。しばらくしてから呼び出しがあり、ダンナと2人でナースステーションへと向かった…。そして…。