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■ブラック・ダリア

□評価:★★★★★
□監督:ブライアン・デ・パルマ
□出演:ジョシュ・ハートネット アーロン・エッカート ヒラリー・スワンク スカーレット・ヨハンソン
□ストーリー:女優を目指していた娼婦が惨殺死体で発見された。バッキーは相棒のリーと共に捜査に当たるが、リーの事件に対する異常な入れ込みように振り回され、その影響は仕事のみならず私生活にまで及ぶようになる。そんな中事件の鍵を握る大富豪の娘が彼の前に現れる。
□感想:『L.A.コンフィデンシャル』のジェームズ・エルロイが、実際に起こった未解決殺人事件「ブラック・ダリア事件」にインスパイアされて書き上げた小説『ブラック・ダリア』が原作。その原作を、ブライアン・デ・パルマ(『キャリー』『ミッション・インンポッシブル』)が監督、ジョシュ・ハートネット、アーロン・エッカート、ヒラリー・スワンク、スカーレット・ヨハンソンら、若手実力派俳優を主演に迎え、映像化したハードボイルド作品。
 至る所に張られた伏線が終盤に向け見事に収束していき、最後には事件の意外な真相が明らかになる、さらに、その過程において主人公たちが抱える苦悩が描き出されるといったところは、まさに『L.A.コンフィデンシャル』と共通するプロットで、(というか、どちらも「LA四部作」と言われるシリーズの作品らしいのですが…)これは見事なもの。
 しかし、そういったプロットの良さは原作のおかげ。演出等を考慮して「映画」として本作を鑑賞した時に、果たしてこの作品はブライアン・デ・パルマが監督すべき作品だったのだろうかと考えると、そこは少し疑問なところが残ります。
 『ミッドナイトクロス』や『アンタッチャブル』を撮っていた頃ならまだしも、特に『スネーク・アイズ』や『ファム・ファタール』などといった近年の彼のサスペンスと言ったら、舐めまわすかのようなカメラワークの裏にどこか甘ったるい音楽を流すものだから、どことなく緊張感が足りない(や、昔からそうなんだけど最近は行き過ぎ。ヒッチコックに引っ張られ過ぎ?)。彼のスタイルは「緊迫」も重要な要素の1つであるハードボイルド映画には少し向かない気がします。
 一方で、出演陣はなかなかの演技を見せてくれています。ジョシュ・ハートネット、アーロン・エッカートはそれぞれ渋みのある演技で主人公たちに説得力を持たせているし、悪女役初挑戦のヒラリー・スワンクもなかなかの妖艶さ(でも本当は彼女が悪女を演じるっていうのが新鮮に映るだけでちょっと硬いかも)。脇役も魅力十分で、特に富豪のお母さん役の人が恐すぎます。ただ、スカーレット・ヨハンソンはイマイチだったかも。
 というわけで、ストーリーの質は十分なものの、ブライアン・デ・パルマの趣向がおおいに反映された作品で、彼の映像スタイルをそれなりに知る人、もしくは、『ファム・ファタール』(全体の雰囲気は一番これによく似ている)がおもしろかったという人でなければ楽しむことは難しそう。『L.A.コンフィデンシャル』のようなものを期待するとちょっと肩透かしを食らうことになると思いますし、「たまには映画でも」とふらっと立ち寄って楽しむような作品では決してありません。