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注目すべき大企業2社の施策展開 (19.2.26)
★日立製作所
1月に確定給付からリスク分担型に四月から移行することを発表しました。
同社は確定給付の名称を冠していますが、実はキャッシュバランスプラン(国債市況に連
動して給付が一年単位で変動。指標は10年国債応募者利回り) 方式へ03年に移行して おり、企業側の負担は軽減される措置を実施済みでした。
今般の発表は給付変動の計算基礎となる指標を見直すと共に、リスク分担型へ移行す
るもので、受給者にとっては二重の不安定化であり、確定給付企業年金の名に値しない ものです。
今のところ、既に退職している受給者をもリスク分担型に組み込むのかどうかは明らか
にされていませんが、同社は「企業年金制度のさらなる持続可能性の向上に向けて」と 述べています。原発事業頓挫で3千億円の損失計上の下、企業の都合で退職年金を変 える措置ともいえます。三菱UFJ銀行でも2011年にキャッシュバランスプランへ移行して おり(これ以前の退職者には不遡及)、他人事とも言えない事例と考えられます。
★ソニー
二期連続最高益を更新しながら、確定給付企業年金を確定拠出年金に移行(四月予定)
し、金融市場が悪化しても積立不足による資金拠出の必要を断ち切る施策を講ずると の発表です。このような施策で受給者がどういう扱いになるのか、懸念されます。受給者 のみ別枠とする「閉鎖型」に移行するとしても、企業の都合で解散した事例(現・日産東 京販売ホールディングス)もあり、受給権を守る運動は一段と発展が求められています。
私たちの年金はどうなる?どうする? (`19.1.20.)
確定拠出が増加…現役だけの問題か?
私たちの企業年金は確定給付企業年金で、従来よりの原型であり、多数の企業で採ら
れてきました。しかし、大企業・財界が種々の負担と責任を避けようとして、2001年に加 入者(現役)に運用責任を転嫁する仕組みの法律=確定拠出年金(DC)法が制定されま した。
その後、金融機関がDCを取引先に勧めたこともあって、増えてきました。厚生労働省の
発表(5年毎の就労条件総合調査、昨年10.23発表。信頼性は別として…)では、企業年 金制度のある企業のうち、DCを導入している企業が調査企業のうち47.6%に達したとの ことです。労働者1千人以上の企業では63.9%と多くなっています。他方、確定給付企業 年金の企業は43.3%(1千人以上の大企業は62.4%と、こちらも多いのです。両方併用の 企業もあってのことですが)。
こうした結果について日経新聞は確定拠出年金が主流になった"と報じ、確定給付か
ら確定拠出に移行する企業の実例をたびたび報道してきました。
一例としては、「ソニーが19年10月にエレクトロニクス事業の社員約3万人を対象に、確
定拠出に移行する」という報道がありました。移行するのは現役のみで、退職者は従来 の確定給付年金に基づく給付を続けるとの報道です。(日経新聞18.10.23.)
既に、全日空(`13年)など大企業で行われてきた方策ですが、企業が年金債務の増加
や積立不足の発生を嫌って採るものです。現役や受給者のために採るものではありま せん。ソニーの場合「構造改革が奏功し営業最高益を達成したため、長期的なリスクの 芽を摘み取る」とのことです。
このように現役を確定拠出年金に移行すると、現役と企業の二者で構成する企業年金
基金は存在する意味も必要もなくなって、企業は受給者を「閉鎖型企業年金」に移し、信 託や生保が給付を事業主に代わって行うのが一般的です。この場合、受給権(=給付金 額、有期・終身の給付期間、財政状況等の開示など)が完全に保証されるのか、厳格な 吟味が必要となります。
また、閉鎖型に移行しても、企業の都合で廃止することもあります。一例は、日産東京販
売ホールディングス(東証一部上場)が前の商号「東日カーライフグループ」の時、2012 年12月に突然「退職給付債務の削減、財務負担の軽減」を理由に閉鎖型企業年金を終 了しました。ゴーンの影をつい連想もしますが、「年金資産は関係法令や関係当局の指 導に基づき受給者に分配」との「お知らせ」を発表。受給者への説明の程度、意思確認 の有無と結果など詳細は分かりません。こういう場合、企業の都合で改定・廃止など行 われるのを阻止し受給権を守る取り組みが必要と考えられます。
リスク分担型でも報道が…
リスク分担型についても日経新聞は、二年前にできた時から、みずほ信託や第一生命
などが成約した企業の導入事例について個別に記事を出してきました。
リスク分担型の導入については二種類の方策があります。
@リスク対応掛け金のみ=株式、債券などの資産の運用損失発生に備えて企業が多め
の掛け金を予め一定期間積み立てます。この掛け金は費用計上し節税、などのメリット があります。りそな銀行、三井住友銀行が二年前に導入済みです。
A給付増減を含む全面的リスク分担=現役さらには受給者をも対象にして、資金運用
の結果を給付に反映。一定算式に基づき給付が"減ることもあれば増えることもある"と 言いますが、多大な損失発生の時に備えるのが目的のリスク分担型です。@の積み立 て途中の金額か少なくて補完できない損失は現役・受給者が分担し労使1/2ずつの分担 にならないこともあります。南都銀行が昨年四月に導入しました。
厚労省発表の1月1日現在の導入件数は、@が123、Aが6、となっています。
原点に立ち返って
こういう報道のなかで、「私たちの企業年金はどうなるのか?」「これまでのような確定給
付は無理なのか」といった不安の声が出ていますが、企業年金の原点、基本に立ち返っ てみる必要があります。
企業年金は、企業が全面的に責任をもって給付すべき退職年金(=退職金の後払い)で
あり、◆確定拠出やリスク分担型は退職年金の本質、基本点を歪める企業本位の仕組 みであること、◆退職者は確定した債権を得ており法律、省令、ガイドラインなどで守ら れている一面はあること、を踏まえたいものです。
しかし、これらは大企業・財界の圧力で改定改悪されてきた歴史があり、受給権を守る
観点で、欧米のように支払保証制度を本格的につくる必要があります。法定に至るまで にも個々の企業・基金ごとに受給権を守る取り組みが不可欠ですし、この運動が広がり 強くなってこそ、まっとうな支払保証制度を作る力となります。
個々の企業が「確定拠出年金やリスク分担型に移行したい」と提案しても、それは現役
と労働組合の労使間協議の問題であって、退職済みの受給者はすでに受給権が確定し ており、変更はあり得ないことです。
もちろん、現役だけの問題と看過する訳にいきません。企業が人件費節減・リスク回避
など画策して現役へ改定圧力をかけることは、受給者にも影響が及び得ることに警戒が 必要です。
`10年に三菱東京UFJ銀行が新しい制度(キャッシュバランスプラン)を提案した時、従業
員組合執行部に対して、「退職者も対象にすることを検討した」と述べたことを想起した いものです。現役・受給者ともに企業に対して責任を果たすよう連帯する必要もありま す。
確定拠出年金でもリスク分担型でも、狙いは企業がリスクと責任を現役や受給者に負担
させるものであると共に、巨額の資金を金融市場に誘導して金融機関のビジネスチャン スを拡大するものとなっています。しかも、安倍政権はアベノミクスの一環として「日本再 興戦略」にリスク分担型の普及を掲げ、今では経済のバブル化に繋がっています。
企業年金利回り7年ぶりマイナス
昨18年の確定給付型の主要年金の平均運用利回りはマイナス3.13%になった、と格付
投資情報センターが発表しました(日経新聞1.19.)。このところ全体的にバブル化で運用 益が出ていたものの、昨年は米中貿易摩擦などから国内外で株安、米国金利上昇で債 券価格が下落、結局7年ぶりの運用損とのことです。三菱UFJ銀行の基金は昨年4-6月 は順調との報告(基金だよりNo.14)でしたが、通期の結果が気になります。
「企業年金は、金融商品みたいなものだ、給付の増減は避けられない、これが今の世の
流れだ」との意見がありますが、賃金の後払いである退職金の、そのまた延払いである 退職年金は確定した金銭債権であり、金融市場の変動によって変動する筋合いにあり ません。現在の確定給付企業年金法では、金融市場で運用しても積立不足などになれ ば企業が資金を拠出することを義務付けており、これを無しにするような仕組みを「世の 流れ」とする訳には行きません。前述紹介の実例からしても、受給権を守るために頑張 る会の取り組みが在るのと無いのとでは大違いです。
他方、公的年金は積立金の運用結果が昨年10-12期は▲14兆円と、これまでにない損
失計上との一部報道が出ました。日銀がこれまでに24兆円も株投資するなど公的資金 でも株相場を支えてきましたが、ほころびが露呈したといえます。
そして来年は公的年金がマクロ経済スライドの実施で0.1%の伸びに抑えられ、実質0.5%
の減額です。減額は僅かでもこんな仕組みや公的資金のバクチ的運用、庶民を踏み台 に金融機関や富裕層などが儲ける仕組みに馴らされる訳にゆきません。
企業年金でも公的年金でも私達に害悪が及んでいる両面を視野に入れて今年も力を合
わせて会員を増やし、会の活動を展開していきたいものです。
年頭ご挨拶
明けましておめでとうございます (`19.1.4.)
昨年は、暮らし・平和・経済など色々な面で問題や変化の相次ぐ年でしたが、今年は
内外ともにさらに大きな波乱が予測もされています。既に昨秋来、株式相場の乱高下と 下落傾向が日本とともに海外でも続き、公的年金、企業年金への悪影響が懸念されま す。
元々年金は安定給付のために株式などへの資金運用は避けるべきですが、安倍政権
は公的資金による相場を作ってきましたし、「日本再興戦略」でリスク分担型企業年金の 普及を図りました。しかし異次元金融緩和など筋違いな金融政策でバブル化が進行し、 矛盾が綻びざるを得ないことは多くの専門家が指摘するところです。
リスク分担型は`17年元日に施行され、南都銀行の全面導入や、りそな銀行・住友銀
行の「リスク対応掛け金」という部分的開始がありました。前者は6件、後者は123件(1月 1日現在厚労省認可)でこれからも増えていくことが予想されます。私達としてはこの制度 の問題点と、銀行・基金の出方をしっかり見ておき、今後に備える必要があると考えてお ります。
リスク分担型企業年金とは?
リスク分担型は、端的に言えば"企業が自己責任で負担すべき運用リスクや金利変動を
現役や退職者にも分担させる制度です。
つまり、金融相場の激動などで巨額の運用損が出て積立金が不足する場合、給付を減
らして対応するものです。(また、金利水準の変動で、例えばマイナス金利政策で予定利 率を低くすると必要な運用元本資金を増やさないと必要な運用益を挙げ得ないで給付減 額という事態にも対応します。)
こういう事態に備えて企業は予め多めの資金を一定期間にわたって拠出する仕組みで
すが、この拠出が終わらない段階で積立金の不足が生じたら労使の分担割合は5:5とい う保証はないまま減額するのです。
他にも色々な複雑な仕組みが決められていますが、要は企業の利益を守るために練り
上げられた制度であって、現役加入者、退職している受給者の受給権を守る目的で作っ たものではありません。
厚労省は「給付が増えることもあれば減ることもある」とも言い、想定以上に運用益が出
れば給付が増えると言いますが、制度の基本はこの名称が示す通りで、リスク分担を筋 違いにも現役・受給者に転嫁するものであり、「利益分配」を目的にしていないし命名も そうなっていません。
法に反する重大問題が!
この制度は"現役の労働組合と企業が合意することによって現行の確定給付からリスク
分担型DBへ受給者を含めて移行できる"としており、次の二点は法に反する問題があ ります。
第一に、受給者の諾否意思を問うことなしに移行可としている点です。
退職している受給者にとって受給権は債権であり、銀行は債務者です。この変更には個
別の同意が必要、というのは民法の基本原則です。しかし、同意のない債務変更や部分 不履行は債権法上、出来ないことです。
第二に、厚労省令施行日(2017.1.1)前に退職している受給者に対してもリスク分担型と
いう新たな制度に移行可、とするのは、不遡及の原則(新しく法令が制定された際,制定 前の事実にまで遡って適用されることがないという原則)に反します。
銀行の動向は?
三菱UFJ銀行は今のところ、リスク分担型についての検討は聞かれません。
ただ、●マイナス金利政策下、本業である預貸業務の収益低下、●フィンテック・AI(≒
ロボット化)戦略で新たな競争激化、●海外展開も一段と推進中だが金利上昇、地政学 リスクの増大拡散で利益増は楽観できない●それにも関わらず増益を図り、配当増を言 明、という状況です。
こういう下で「経費削減に聖域なし」とされているし「長期趨勢的に負担になることは一個
一個詰めてゆく」(三菱UFJFg徳成専務)はとの発言に注意が必要です。
基金の対応は?
銀行の基金の運用成果はこのところ好調ですが、過去13期を振り返ると増減幅が大
きく、運用利回り率を単純平均すると予定利率に届いていません。(詳細は当会会報を
お求めの上ご覧下さい。申し込みは当ホームページトップ左上のメールアドレスへどう
ぞ)
基金はリスク分担型に関しては、会計規程にリスク分担掛金関連の勘定科目を新設す
る改訂を実施(`17年7月)しています。
なお、16年7月の規約改定では、情報開示について加入者・受給者同等の扱いが厚労
省の指導で受給者には加入者より劣後し、努力義務どまりと明記されました。基金は 「法令の定めに合わせただけのことで、実質的な扱いはこれまでと同じにする」と述べて いますが、厚労省と基金の変化は充分留意して今後対応する必要があります。
これから必要なことは?
リスク分担型へ移行しないようにするには、★会としての広報活動を強めて受給者のな
かでのご理解を拡げて会員を増やし、存在感のある会となること、★銀行に対してリスク 分担型を導入することのないよう申し入れ済み(昨年7月)ですが、従業員組合に受給者 の意向を届け連帯を強めて行くこと、が引き続き必要と考えています。
会員および受給者皆さんのご理解ご支援を本年も宜しくお願いします。
銀行は中間決算で増益
本業は引き続き低迷、巨額利益ながらリストラ推進 (11.20)
三菱UFJフィナンシャルグループ(以下MUFG)の4-9月半期決算が11月14日に発表され
ました。「中間決算としては過去二番目の純利益」との報道もありますが、内実は様々で す。私達の年金給付の債務者は三菱UFJ銀行(以下MU銀行)ですが、MUFGの全体状 況と併せて見ておきたいものです。MUFGが公表した資料やトップの会見から次のような 特徴点があると考えます。
全体的な変化は
★MUFG全体は純利益が6,507億円で前年同期比+238億円の4%増。
但し、本業の状況を端的に示す「連結業務粗利益」は6%の減益で、
1兆8,825億円。
それでも結果的に純利益が増益となった要因は、◎大口融資先の東芝やシャープなど
の財務改善で貸倒引当金の戻し入れが多額あったこと(MU銀行と信託で1,051億円)、 ◎持ち合い株式の削減を進めたため売却益を多額計上したこと、◎モルガンスタンレー の利益伸長(+47%の1,264億円)など挙げられます。
★傘下の中心柱であるMU銀行の純利益は4,234億円で、前期比+1,291億円43.9%もの
増益。(MUFGの純利益の65%を占めている)
但し、この要因としては ◎融資先の貸倒引当金の戻入金1,023億円、◎株式の売却益
が+76%もの844億円、◎三菱UFJ信託銀行の法人融資事業をMU銀行に移管したため と見られます(移管対応の利益増寄与分は非開示)。
これらの要因によって以下の本業不振、減益を上回る利益を計上したものです。
本業の内実はどうか
国内預貸業務
★貸出金残高は信託からの移管を主因に大幅に増え(+14.2%)、61,7兆円になりまし
た。こうして資金利益は大幅に増え(+37.7%)、4,051億円です。ただし貸出金利回りはマ イナス金利政策下、引き続き低下(0.88→0.81%へ)となっており、アベノミクスによる悪影 響がもろに出ています。
★中小企業向け残高は37兆円(前年同期比+8.5%、2.9兆円増)に達しましたが信託から
の移管額は不明です。総貸出額が移管含めて多額増えたために、全体に占める中小企 業向け比率は3.1%減の59.9%となっています。
★消費者ローンは14.8兆円で、「住宅ローン」、カードローンを含む「その他」合わせ13%
の減少です。一昨年は「グループ事業戦略」では「個人のお客さまの資産形成・消費活 性化への貢献、 中堅・中小企業のお客さまの成長への貢献」を掲げていましたが、新た な経営計画の下で富裕層ビジネスに傾くことが懸念されます。
役務取引等利益 投信、保険の販売などが計上される項目で、市況の低迷や不安定等
を反映してか不振で、引き続き1.9%の減少です。
国債等売買損益 133億円の利益に留まり、前年同期の実績743億円の18%に激減して
います。今期は市況の変化が大きかったことが主因と見られます。
このように本業はマイナス金利政策で低迷が続いたものの、株式売却益や貸倒引当金
の戻し入れといった一時的要因による増益であり、安定性に欠けるといえましょう。
なお、国内業務部門の総資金利ザヤは0.17%で二年振りにプラスとなりました。 (前年同
期はマイナス0.01%。数値的には「有価証券利回り差」の好転による改善が大きな要因で すが詳細は開示されていません。)
預貸金利回差は前年同期0.88%だったものが0.81%へと縮小しており「厳しさ」に変わりは
無い状況です。
海外部門=国内部門とは対照的に業務粗利益は大幅減少(▲24.9%の2,977億円)、国
内業務の稼ぎの35%にまで低下しました。これは◎米国金利の上昇に伴うコストアップで 資金利益が16.6%も減少、◎海外での「国債等債券関係損益」の大幅減(前年同期6億円 の利益だったものが逆に今半期では124億円の損失、など市場取引のリスクと難しさが 反映していると見られます。
特に、米国の利上げと新興国不安でドルの需要が高まり、銀行が円でドルを調達する金
利が上昇。前年同期は2%を切っていたものが9月には年率換算で3%台前半と、リーマ ン・ショック以来、10年ぶりの高さとなったことは今後も引き続く重大なリスクと言えます。 金利上昇=価格下落(コインのうらおもて)で外債の含み損が巨額となりMU銀行は6月末 時点で2,071億円と報じられました(9月末は不明)。米国金利は来年まで更に上がると想 定されMUFG平野社長は「事業モデルの見直しが急務だ」と発言(10.8日経新聞)、危機 意識は高まっています。
営業費=一般企業の「販売管理費」に相当する勘定科目で、MU銀行は人件費を2.4%減
らしています。3年連続ベア見送りなどやっているのが反映しています。
経営陣はいつも「経費率」の引下げを強調していますが、これは「経費÷業務粗利益」で
算出するものです。MUFGもMU銀行も経費率は前年同期実績を上回りました。(MU銀行 は4.9ポイント悪化の67.59%) 経費圧縮以上に業務粗利益がマイナス金利政策等で減れ ば当然に経費率は高くなります。
「厳しさ」を強調しつつ増配宣言
この中間決算で増益要因となった貸倒引当金の戻入や保有株式の売却益は一時的な
ものであって今後は一段落し、引き続き計上できる見通しは無いとみられています。アベ ノミクスの破綻による国内景気低迷の上に、海外では米中貿易戦争、EUの動揺、地政 学リスクなど不安定な問題がくすぶっており、前々から平野氏は危機意識を述べていま す。
しかしながら、MUFGとしては増配を宣言、今期は22円(`11年度までは12円)へ増やし、
配当性向(利益処分の内の配当の占める比率)は`11年度以降20%台で推移していたの を`23年度までに40%へ引き上げると語りました。
経営上のリスクと困難を述べつつも、利益を増やし配当を増やすのはかなりの強気であ
り、従業員そして受給者にどんな波及があるか警戒が必要です。
昨年の決算説明会で徳成CFO(財務担当専務)は経費について「長期趨勢的に負担にな
ることは一個一個詰めてゆく」と述べました。既にMU銀行はベアの見送りを3年間続けて いますし、脱法的な確定拠出年金も導入しました。受給者としてはリスク分担型が導入さ れることのないよう警戒し、当会をもっと大きく力強い存在にしていく必要があります。
銀行の進むべき方向は?
マイナス金利政策以降とみに経営トップは一段と厳しさを強調し、一年前MUFGは「再創
造イニシアティブ」と称する新たな戦略を打ち出し、今年は6年間にわたる経営計画を発 表しました。前半3期でフィンテック、海外部門強化など織り込んだ11もの重点戦略を掲 げ、業務効率化や店舗削減など、施策を推進中です。銀行・信託・証券など業態の垣根 を超えてMUFGとして事業本部制をとって一体化を強めつつ、富裕層を対象とする戦略 で保有資産3億円以上、20億円以上を区分しての「ウエルスマネジメント戦略」や、「不動 産バリューチェーン戦略」「法人営業…高度化」などを掲げ、決算説明会では平野社長 みずから進捗状況と今後の展開方針を述べています。
この銀信証一体化路線は、金融持株会社を解禁した時、禁じられたものです。大財閥が
力をふるった戦前の反省から弱肉強食を進めないようにするための当然の措置でした。 しかし今では「ワンみずほ」が大っぴらにCM登場などメガバンクは似たような一体化経
営を進めています。異次元の金融緩和・マイナス金利政策で地銀などが苦境に陥り、ア
ベノミクスで多くの中小企業が喘いでいる今、メガバンクとしては富裕層傾斜で利益追求 ということでなく、日本の金融経済をまともな軌道に乗せるよう政府に提言し、持てる力 を経国済民のために活かすことが求められているのではないでしょうか。
私達受給者としても、銀行が儲かっていればいい、企業年金が従来通り支給されればい
い、というのでなく、銀行が世の為人の為になることを求めていく必要があるのではない でしょうか。
銀行の企業年金基金を訪問しました。 (`10.17)
九月下旬に基金より受給者に「基金だより」が送付されました。
当会では毎期の決算分析だけでなく、旧三行合併以降の主要指標、B/S、P/Lの傾向な
どの分析、基金の「成熟度」と資産運用の課題、などの独自記事を会報に載せてきまし て、今回も44号に掲載しました。
また、今年も基金を10月17日に訪問し、最近の企業年金を巡る動向や前期決算の概要
について意見交換・懇談しました。
併せて七月に開催された基金代議員会の議事録を閲読しました。コピー交付は不可と
のことで、加入者並みの開示を要望しました。
なお、今期に入ってからの運用実績数値など詳しい内容はホームページに掲載しません
が、来月発行予定の会報に掲載します。
基金の決算分析掲載の会報44号をご希望の受給者は、本ホームページのトップに表示
のメールアドレス宛てにお申込下さい。
銀行4〜6月期の四半期決算
増益でも経費圧縮に聖域なし (`18.8.10.)
三菱UFJフィナンシャル・グループ(以下MUFG)が8月1日発表した18年4〜6月期の決
算は、純利益が3,150億円で前年同期比9.0%増でした。三菱UFJ銀行単体は1,730億 円で前年同期比32.1%増となっています。
中身を見ると、預金・貸付業務による「資金利益」はマイナス金利政策下ながら2,303億
円と、前年同期比28億円微増(1.2%回復)です。この要因としては貸付金を9.9%も増やし ていることが挙げられますが、預貸金利回差が0.88%から0.81%へと縮小しているだけに 第一線の苦労が窺われます。
他方では「国債等債券関係損益」が231億円の利益計上ですが、前年同期比▲578億円
(-71.4%)もの大幅減益です。この結果、業務純益は1,177億円と、前年同期比33%もの減 少です。
しかし、持ち合い株式の売却益3倍化などで臨時利益が920億円(前年同期が7億円の損
失)となって、最終の四半期利益が前年同期比+32%の421億円増えたことになりまし た。
こうして銀行単体は増益ながら本業は横ばいで、臨時的な保有株式売却益は株数自体
に限界があります。
また、アメリカの金利引き上げに伴い保有している外国債券が下落し含み損失が増えて
います。報道では「三菱UFJ・FGは6月末時点で2,071億円と3月末から700億円近く含み 損が増え、外債の保有残高自体は減少傾向にあるが、含み損の拡大傾向は続いてい る」との指摘(日経新聞8.3)があります。
銀行単体の計数など詳細は開示されていませんが、損失に繋がる大きなリスクと言えま
す。
昨年、銀行は事業再構築の構えで6年間の経営計画を発表し6月の株主総会で平野
社長は「これまで踏み込めなかったことに取り組む」と強調しましたが、今年は「市場環 境に左右されず、また台頭する新興企業群にも負けない持続可能なビジネスモデルの 構築をめざす」と述ベ、事業本部の再編や新たな銀行・信託・証券一体でのビジネス開 拓を強調、こうした戦略に対応したグループワイドでの人材育成・配置を可能にする人 事戦略を行うとしています。
銀行は組合に新しい人事制度(給与体系やコース制度の変更など)を提案した処です。
人件費に関してはすぐ表に出る由もありませんが、幹部段階では経費削減に「聖域な し」との受け止めがあることを日経新聞は報じていました。
既に退職金は27年間棚上げのまま、2年前は脱法的な確定拠出年金を導入したこと、6
年前はキャッシュバランスプランを導入して銀行の負担を軽減したことは忘れる訳にゆ きません。銀行は今、行員に対して厳しい対応を推進中ですが、今度は退職者の企業 年金に向けられる可能性は排除できないのではないでしょうか。
銀行に要請書提出 (18.7.3.)
厚労省が「確定給付」の名に値しない「リスク分担型」の政省令を施行してから一年半た
ち、ジワリジワリと導入企業が増え始め、銀行業界では南都銀行が退職者をも含めて四 月に移行しました。
政省令施行前に退職した受給者をもリスク分担型に組み込むことが可能、しかも労使合
意で受給者の意思不問で可能とするのは、法の大原則である「不遡及の原則」、債権法 に反する不条理なことです。
当会では役員の討議を重ねて、リスク分担型を導入を検討しないよう次の書簡を銀行に
送付しました。
2018年7月3日
株式会社三菱UFJ銀行
頭取 三毛兼承様
三菱UFJ銀行の企業年金を考える会
会 長 橋希穗
事務局長 稲邑明也
謹啓 経営環境が厳しい中ではありますが、ご清栄ご健勝のことと存じます。
初めてお手紙を差し上げます失礼をお許し下さい。
当会は、三菱UFJ銀行企業年金基金より給付を受けている受給者有志が2011年に設
立した組織で、企業年金についての情報と知識を共有しつつ受給権を守ることを目的と しています。
この数年来、厚生労働省は社会保障審議会の企業年金部会で、リスク分担型企業年
金制度を審議し、昨年一月に政省令を施行しました。三菱UFJ銀行企業年金基金では、 このリスク分担型施行に対応して明治安田生命の推奨で勉強会が開催されたとのことで すし、リスク対応掛金の積上げを開始できるよう会計規程の改訂が昨年の代議員会で 決定されました。
こうした動きについて、受給者の間でリスク分担型への懸念の声が広がりつつあり、か
つ会員の方々の要請もあり、貴行に下記の通り当会の見解をお伝えし要望を申しあげ る次第です。
諸課題山積の折と拝察しておりますが、ご高覧頂けますよう宜しくお願いします。
末筆ながらご健康にご留意の上、ご奮闘頂くことを念じております。 謹白
記
一、リスク分担型企業年金は、重大な問題が様々にあり「確定給付」に値しないものと当
会では考えています。特に受給者の立場から次の点は重大と考えています。
1.確定給付企業年金は、退職時に銀行が確定した金額を給付すると約束したものであ
り、受給者はこれを基本として生活し、将来設計もしており、命綱であります。
しかるに、この給付がリスク分担型に移行すると不安定なものとなること、特に市場激動
の時に減額措置を講ずるのが狙いであることを考えますと、受給者に理不尽な打撃を与 えるものです。
2.そもそも確定給付企業年金は、企業の責任でコストとリスクを負担して給付するものな
のに、加入者・受給者にもリスクを分担させるという点で、退職年金の本質を歪める不条 理なものです。
3.退職している受給者にとって受給権は債権であり、銀行は債務者です。この変更には
個別の同意が必要、というのは民法の基本原則であります。それにも関わらず、確定給 付企業年金法制は、規約の変更によってリスク分担型への移行ができる、受給者個別 の同意は不要、としております。しかし、同意のない債務不履行は債権法上、出来ないと 考えています。
4.厚生労働省が、厚労省令施行日(2017.1.1)前に退職している受給者に対しても移行に
当り同意不要、更に労使合意前に退職している受給者に対しても移行に当り同意不要、 としていますのは、不遡及の原則にも反すると考えております。
5.従来の本来的な確定給付企業年金制度からリスク分担型へ移行するに当り、厚生労
働省は「労働組合と企業の合意のみで可」としています。しかし、上記厚労省令施行日 前、あるいは労使合意前に退職済みの債権者たる受給者を脱退者として埒外に置き、 債権債務関係の当事者でない労働組合が規約変更に合意して、実質的に減額給付が あり得る制度を導入するとすれば、債権法上何ら根拠がないことと考えております。
6. 個人型確定拠出年金拡大やリスク分担型は、アベノミクスの一環たる「日本再興戦
略」の中に金融市場の活性化の方策として盛り込まれたものです。金融市場に投入され る資金量は増えても、その分の可処分所得・購買力減退となり国民多数のためになる政 策とは言えません。これではデフレ克服、経済成長に繋がらない政策です。リーディング バンクとしてこのような政策に即した企業年金制度の採用はあってはならないことと考え ております。
二、以上の基本的問題点から貴行に次の点を要請します。
1.受給者が同意しなくても減額のあり得るリスク分担型に移行することは銀行にとって債
務不履行になり、信用を重視すべき銀行として、その社会的責任の重大性からも許され るものではないと考えます。不遡及の原則に反するリスク分担型へ移行するなら、受給 者の信頼は勿論のこと、世の信用も得られなくなると考えます。
法治国家で経営し法令遵守を宣言標榜してきた大銀行としてはリスク分担型への移行
を検討しないよう要請します。
2.既に銀行はキャッシュバランスプランを導入し人件費圧縮策を実施しています。更に、
個人型確定拠出年金の拡大が可能でない段階で、確定拠出年金法に無い「シニアライ フプラン支援制度」なるものを言わば脱法的に導入しました。現役行員のなかに不安不 信の声が出ただけでなく、退職者の中にも銀行の姿勢に危惧懸念の声が出ました。ステ ークホルダーたる行員と退職者の働きがあってこその銀行経営であり、当事者の満足 度向上に繋がる経営を強く要請します。 以上
銀行決算-減益ながら巨額の利益、FG-減益でも増配
「厳しい」と言いつつ、現役や受給者への波及は? (5.26)
15日に発表された三菱UFJフィナンシャルグループ(以下「FG」)の決算は、FGの純利益
が9,896億円(17/3期比632億円増6.8%増加)で過去2番目の水準でした。傘下の主柱で ある三菱UFJ銀行(以下「銀行」)の純利益は、4,377億円(17/3期比▲9.1%、437億円減 益)でした。
企業年金給付の債務者は銀行単体(=子会社を含めない銀行本体)でありFGの状況と併
せて経営実態をよくみておきたいものです。
世界経済の変化、日本経済の低迷下、アベノミクスは行き詰まり、マイナス金利政策の
続行という混迷状況で、FGは減益予測をしながらも増配を宣言しています。
先行きの厳しさを強調しつつ利益本位となって人件費削減、年金改悪に走らないよう、
私達としては注視する必要があります。
巨額利益を維持の内実は?
FGの純利益9,896億円のうち、銀行は44%を占め依然として大きな存在です。FG発表の
資料や記者会見、経済紙報道などからも、次のようなことが特徴点と考えられます。
融資業務=銀行の国内向け融資は54兆円で17/3期比2.3%の減少です。日銀がどんな
に異次元緩和で資金供給に力もうとも、設備投資は伸びないし、大企業は内部留保を増 やして借入を必要としない状況です。
国内貸出のうち中小企業向け残高は34兆円、17/3期比0.03%と微減です。貸出競争激
化のなかで、低金利融資は避ける方針もとられており行員の努力は大変です。
なお、中小企業向け貸出比率は62.9%となり16/3期比1.24ポイント上昇しました。大企業
向け貸出減の幅が大という要因によります。
消費者ローン残高は14.9兆円、うち居住用住宅ローンは12.3兆円で、それぞれ微減で
す。銀行が力を入れていたカードローンは三年間で五割超伸ばす計画でしたが、社会的 批判の中で減少したと見られるものの、内訳は不明です。
資金利益=超低金利の下で本業の預金貸付業務による資金利益の減少傾向は止まら
ず、17/3期比▲981億円、9.2%もの大幅減でした。
貸出金利回りは国内が0.88%と横ばいですが海外の調達コストがアメリカの金利引上げ
で高くなり利ザヤ減へと響いたと見られます。
預金利回り(資金調達経費を含む)は、引続き0.0%で推移しています。この結果、両者の
差額=総資金利ザヤはマイナス0.04%へと0.01ポイント改善されました(資金調達経費の 減少とも考えられますが詳細は未公表)
融資するほどに赤字、と報じられもしますが、他分野の経費も含んでの調達コストによる
算定なので軽々に論じられません。
融資以外の資金収益として、投信や生保などの販売手数料がありますが、金融商品の
運用意欲の減退傾向が続き、為替手数料など含めても「役務取引等利益」は国内外合 わせて▲221億円となっています。
これまでも注目されてきた国債等債券売買益は国内では130億円減で、日銀の方針や
アメリカの金融動向に振り回されて稼げなくなった面もあり、往時に比べれば桁違いの 減少です。
要するに銀行の本業部門の不振・低迷はアベノミクス、マイナス金利政策が主な要因で
す。
海外部門=海外に力を入れ、融資分野は海外店分など総額25兆円ですが、17/3期比
では3.5%の減少です。外貨の調達コスト上昇などの問題があって資金利益は約一割の 減です。
他方、外債関係損益は▲604億円と引き続いての損失計上です。損失額は16%もの増で
米国の金利上昇=債券価格下落が主因とみられます。
FG全体としては、引き続きモルガンスタンレー、アユタヤ銀行などの稼ぎがあって高収
益の状況です。
銀行単体の国際業務粗利益は7,502億円で、国内業務粗利益9,229億円の81%に及ぶ
水準で、グローバル化進展を示しています。
中国・EU・アメリカなど経済・金融での不透明感は多面的に漂っており、グローバル化と
共にリスク増大は避けられません。
他の増減要因=融資先の貸倒れ懸念減少により引当金の戻し入れ益(1,012億円)、保
有株式の売却益(1,290億円)が高水準などで「臨時損益」は827億円の利益となっていま す。17/3期比大幅好転で業務粗利益の大幅減少を八割近くカバーした形となっていま す。
これは本業の稼ぎ減少を臨時的な利益で補っている形で安定経営と言い難い面があり
ます。また今度の決算では、稼ぎ度合いの低い支店物件の評価を下げるということで 「減損損失」を510億円特別に計上したこともあって最終的に純利益は4,377億円(▲437 億円9.1%減)となっています。
人件費はベア見送りの反映もあってか0.3%の微減で17/3期に続いての減少です。「生産
性向上」「効率化」の掛け声で人員抑制もあり現役の大変さが思いやられます。
これからの経営方向は?
「景気は長期間上向き」などと報じられていますが、企業サイドの話であって、消費は伸
びず経済成長低迷で異次元金融緩和・マイナス金利政策が引き続き重くのしかかる見 通しです。国内・海外ともに本業の融資での利ザヤ確保・利益増加は難しくなっていま す。
金融商品の売買仲介で手数料を稼ぐトレーディングや資産運用は、海外大手銀行同様
にFG・銀行としても力を入れていますが、収益環境は厳しい、と行内では危機感が語ら れています。
一年前、FGは「MUFG再創造イニシアティブ」と称する新たな戦略を打ち出しましたが、
今年は6年間にわたる経営計画を発表しました。前半3期でフィンテック、海外部門強化 など織り込んだ11もの重点戦略を掲げ、業務量や店舗の削減など、新聞でも様々に報 道されています。
平野FG社長は決算発表会見で厳しさを強調、店舗網でも「今は赤字ではないが、このま
までは将来どうなるかわからない」と危機感を表明。その一端は、ライバル三井住友と ATM共通化検討に入ったことでも示されています。
今期は厳しさも反映してFGは約1,400億円の減益予測ですが、配当は年間19円から20
円に増配と表明しました。事業、利益を支えている従業員はどうなりますか。
現役も退職者も受難阻止を
経営戦略の重点11項には人事戦略の柱を立てており内容とその具体化が注目されま
す。
FGの取締役は減らし、社外取締役増員ですから行内の競争は激化し、職場への影響が
懸念されます。
銀行は既に、人事制度の見直しを発表し組合には「求められる人材像」を再定義してコ
ース制度、職能資格体系、職務等級体系、給与体系の4項目で改定を行うと告げていま す。
フィンテック・AI化推進の中で、給与面だけでなく職種の転換や、勤務場所の変更など不
安も広がっています。新聞では銀行員の転職希望激増とか、就職希望ランキングでの銀 行人気低下とか取沙汰されています。
機械化による省力効果は残業減・休暇増などに振り向けて行員が余裕もって働き、顧客
にも行き届いた仕事が可能とするのが筋道のハズです。しかし、FG平野社長や三毛頭 取など経営陣は、盛んに「変わることへの勇気」を強調している由です。利益と増配優先 の経営が現役に様々な負担を及ぼすことが懸念されます。
そして又、経費率の更なる引下げ方針が人件費抑制に繋がり、現役のみならず退職者
の年金改悪に波及しないか?―警戒が必要と考えられます。
かつて`12年に、現役に企業年金改悪=キャッシュバランスプランを導入したとき、銀行
は従業員組合執行部に対して「年金受給者にも相応の負担をお願いすることも検討して きた」と述べました。現役の不満・批判をかわす狙いもあるとみられますが、リスク分担 型への移行に持ち込まれないよう、受給者としては銀行の動向を注視し現役行員と共 に、しわ寄せが及ばないよう求めていく必要があると思います。
厚労省、4月に第20回企業年金部会を開催
受給権保護にならず企業のための厚労省提案
厚生労働省は、4月20日に開催の第20回企業年金部会で、確定給付企業年金(=DB)の
積立て基準に達しない場合に、企業が拠出すべき特例掛金の出し方のルール緩和を審 議しました。
DBでは、受給権保護のために財政検証というチェックを基金に課しています。@継続基
準=基金を継続していく上で、計画通り将来分も含む年金資産を積み立てているか、A 非継続基準=基金が解散とか廃止の場合、給付に最低限必要な額を積み立てている か、の二項目で点検計算し、積立額が足りないと企業は一定期間内に拠出する義務あ ります。
今回の企業年金部会では、Aについて企業が拠出する場合、二種類ある方法のうち一
つについて(積立比率方式)、負担を緩和する方式(複雑なため説明省略)が審議され、 省令を改訂をしたいと、厚労省が意見募集をしました。
私達の基金は@A共に必要額をクリアしていますが、受給権を保護するルールを緩和し
て企業が得するやり方を、よく知られないまま改訂するのは、イザと言う時に受給者には 不利なことであって黙って見過ごす訳にいきません。当会として次のように意見を出しま した。
財政検証とこれに基づく企業の拠出義務は受給権の保護のための重要措置であり、と
りわけ非継続基準による追加拠出は厳格に守られるべきと考えます。今回の省令案は 企業の拠出負担を軽減する狙いがあり、僅かなものであっても受給権保護の本旨を弱 めるものであると判断し、認めるわけにいきません。
なお、企業年金部会では、他にも規制緩和の提案が企業年金連合会から出ました。非
継続基準のチェックをする際の利率について、現行は30年国債の応募者利回りの5年 平均を使っていますが、低金利政策のために元本に相当する積立ては多額必要となる ことから、優良社債の利回りを勘案して定めて欲しい、そうすれば積立て額は少なくて済 む、というものです。この連合会は大企業の発言力が大きいためこんな要求になるので しょうが、大企業本位の発想と要求は受給者の立場からは戴けません。さすがの厚労省 も採り上げませんでしたが、企業年金制度は永年、財界の要求に基づいて改悪を重ね てきており、受給者としては引き続き注視・警戒が必要です。
リスク分担型の導入相次ぐー南都銀行は銀行界初 (4.23.)
南都銀行はリスク分担型企業年金を金融機関として初めて4月1日付で導入したと発表
しました。同行の発表文http://www.nantobank.co.jp/news/pdf/news1804021.pdf
では、従来の確定給付企業年金の一部を確定拠出年金に変更することと併せてリスク
分担型へも移行し、「受給権が確定しているOB等にも適用」としています。
この制度は給付額が運用結果等に伴い増減(と言いつつリスクに対応して減らすのが最
大目的)することになりますが、同行人事部は「給付額が変動する可能性を極力抑えた」 と述べており(業界紙ニッキン4月6日)厚労省令で定められているリスク対応掛金がどの 程度の水準なのか、など詳細は報じられていません。
この制度は、企業がリスク対応掛金として多く拠出すれば、積立不足は発生しにくくなり
給付の減額も回避する可能性が高まりますが、逆に、掛金拠出を少なくすれば、給付の 減額の可能性が高まりますので、労使間の合意内容が重要となります。但し今の受給 者は退職と共に基金から脱退していますので合意形成に参画することはできない仕組 みです。
同行発表文は「経営環境の変化や従業員のライフプランの多様化に対応しつつ、退職
給付債務の変動リスクを軽減」によるとしていますが、給付額が既に確定している現在 の受給者(同行では5千人超)をもリスク分担型に移行する必要性や目的についての説 明はありません。
厚労省令は従来と同じ水準で移行する場合には受給者の同意は不要としていますが、
この場合でも受給者への「十分な説明」を義務づけています。
同行が受給者に対して「説明」をどんな方法(質疑応答のある説明会か、文書送付のみ
か)、どれだけの周知・質問受付期間、対象範囲でやったのか、など知りたい点です。
さらにリスク分担型移行に不同意の受給者には一時金で清算しますが、この時の利回り
積上げ相当分の計算はどのような水準としたのか、も大事なポイントです。
なお、同行は確定給付企業年金の一部に「擬似キャッシュバランスプラン」を導入すると
しています。これは給付利率が市場金利に連動し給付が変動する仕組みですが、今の 受給者に適用するのかどうか発表分だけでは不明確です。
リスク分担型に全面移行としなかったのは掛金負担増を抑えたかったのでないか?とも
推察されます。
また同行は同日付で高齢者従業員を68歳まで雇用し、業務の知識やノウハウを活用す
る「グランドシニア制度」も導入したとの報道です。これは65歳以降も雇用を希望し、同 行も必要と判断した行員を1年ごとの契約更新で68歳まで週20時間未満の労働時間で 雇用する。60歳の定年退職者のうち、希望する行員を65歳まで雇用する「シニアスタッフ 制度」に続くものです。
同行は本店が奈良市にあり旧三菱銀行から三菱東京UFJ銀行になった後も筆頭株主で
したが16/3期以降持株比率を低下させています。今も三菱UFJフィナンシャルグループ との関係が深いとされています。
リスク分担型の導入状況は、4月1日現在での厚労省発表は次のようになっています。
★掛金制度開始が54件(リスクに対応して予め労使合意で掛金を積み増し、給付は変更
しない。りそな銀行は開始済みです)
★給付制度も併せて一体的開始が4件(掛金制度だけの実施でなく給付制度もリスク分
担型として全面的に実施変動)と少ない状況です。
この全面実施4件の中に南都銀行も含まれている訳ですが、4/1日経新聞は富士通が6
月開始予定、退職者は含めない、と報道しました。
日経新聞は昨年7月にみずほ信託が1件受注したこと、第一生命が今年三月に1件受注
したことを経済紙面上位に掲載しています。
政府が二月発表の「高齢社会対策大綱」はリスク分担型も含めて企業年金の周知、普
及、充実を図る、としており、公的年金の補完策として受給者にまで波及させる可能性と か使い勝手のいい制度への改悪とか警戒を要すると考えられます。
明けましておめでとうございます 18.1.1.
昨年は、暮らし・平和・経済など色々な面で問題や変化の相次ぐ年でしたが、企業年
金についてはリスク分担型DB(確定給付企業年金)の厚労省令が昨年元旦付けで施行 され、新たな段階に入ってきました。
もちろん、これを各企業が直ちに導入できるものでなく、労使間合意が必要です。
ただ、この一年間にこれを導入した事例が続いており、主に財界の意向によって作られ
た経過と内容を考えますと、私達としてもこの制度の問題点と、銀行・基金の出方をしっ かり見ておき、今後に備える必要があります。
リスク分担型企業年金とは?
リスク分担型DBは、端的に言えば"企業が自己責任で負担すべき運用リスクや金利変
動リスクを加入者・受給者に転嫁する仕組み"であって、積立金が不足すると減額もする 制度です。
つまり、金融相場の激動などで巨額の運用損が出て積立金が不足する場合、給付を減
らして対応するものです。また時々の金利水準の変動で、例えばマイナス金利政策で予 定利率を低くすると必要な運用元本資金を増やさないと薄利でもって必要な運用益を挙 げ得ず、給付の減額という事態になる訳です。
こういう事態に備えて企業は予め多めの資金を一定期間にわたって拠出する仕組みで
すが、この拠出が終わらない段階で積立金の不足が生じたら労使の分担割合は5:5とい う保証はないまま減額するのです。
他にも色々な複雑な仕組みが決められていますが、要は企業の利益を守るために練り
上げられた制度であって、現役加入者、退職している受給者の受給権を守る目的で作っ たものではありません。
厚労省は「給付が増えることもあれば減ることもある」とも言い、想定以上に運用益が出
れば給付が増えるとされていますが、制度の基本はこの名称が示す通りで、リスク分担 を筋違いにも現役・受給者に要求するものであり、「利益分配」を目的にしていないし命 名もそうなっていません。
更なる重大問題は意思不問!
この制度は"現役の労働組合と企業が合意することによって現行の確定給付からリスク
分担型DBへ移行できる"としていますが、私たち受給者にとって許せない問題は、"受 給者の諾否意思を問うことなしに移行できる"としている点です。
厚労省は"リスク分担型への以降がイヤな受給者は代わりに一時金を受けることができ
る"としていますが、算定方式や金額ほか色々とデメリットも付いて回る問題点がありま す。
銀行の動向は?
三菱東京UFJ銀行は今のところ、企業年金をどうこうしようとする言明は聞かれません。
ただ、●マイナス金利政策の影響により本業である預貸業務の利ザヤが縮小、●フィン
テック・AI(≒ロボット化)戦略で新たな競争激化、●海外展開も一段と推進中だが新たな リスクについて三菱東京UFJ銀行などグループ傘下4社の債券格付けはA+からAに1ラ ンク格下げ(昨年11月)…など経営陣は危機意識を述べています。
こういう状況下でコストカットには新たな意気ごみで臨んでいます。行内では「経費削減
に聖域なし」とされていますし、三菱UFJフィナンシャルグループの徳成CFO(財務担当専 務)は経費について「長期趨勢的に負担になることは一個一個詰めてゆく」と述べていま す。まさに企業年金は長期的に銀行が責任を負うべき債務であり、この見直しを検討す る可能性はあり得ると考えざるを得ません。
基金の対応は?
銀行の基金の運用成果はこのところ好調ですが、過去12年間を振り返ると増減幅が大
きく、運用利回り率を単純平均すると予定利率に届いていません。(詳細は当会会報を お求めの上ご覧下さい。申し込みは当ホームページトップ左上のメールアドレスへどう ぞ)
昨年、基金はリスク分担型に関しては、●勉強会を開催、●会計規程に、リスク分担掛
金関連の勘定科目を新設する改訂を実施、という変化があります。
なお、16年7月の規約改定では、情報開示について加入者・受給者同等の扱いが厚労
省の指導で受給者には加入者より劣後し、努力義務どまりと明記されました。基金では 「法令の定めに合わせただけのことで、実質的な扱いはこれまでと同じにする」と述べて いますが、厚労省と基金の変化は充分留意して今後対応する必要があります。
これから必要なことは?
リスク分担型へ移行しないようにするには★会としての広報活動を強めて受給者のなか
でのご理解を拡げて会員を増やし、存在感のある会となること、★従業員組合に受給者 の意向を届け連帯を強めて行くこと、が必要と考えています。
会員および受給者皆さんのご理解ご支援を本年も宜しくお願いします。
厚労省が省令を「改正」!
銀行の基金は受給者に対して十分な開示を!
11月8日に厚労省は確定給付企業年金制度について省令「改正」を行ないました。
ポイントは次の三つの事項です。私達が企業年金の基金について重要事項を知り得る
ように様々な措置が規定されており、今後に活かしたい内容です。(緑字は厚労省)
T「運用の基本方針」「政策的資産割合」の策定義務化
一定の予定運用利回りを確保する必要があるDB制度においては、積立金の運用の目
的やその資産構成などの事項を記載した「運用の基本方針」や長期にわたり維持すべき 資産の構成割合である「政策的資産構成割合」の策定なしに安定的な運営は困難であ ることから、原則全てのDBにおいて「運用の基本方針」及び「政策的資産構成割合」の 策定を義務付けることとします。
当会コメント
私達の基金(以下、当基金)では、年に一度の「基金だより」で「資産運用状況について」
の頁で上記の事項が簡潔に概略記載されています。
しかし、この省令に照らせばもうすこし詳しい記述が必要となります。
U 総合型基金の代議員選任の見直し―私達に直接関係なく説明割愛。
V 「資産運用関係者の役割及び責任に関するガイドライン」の見直し
確定給付企業年金において、より安定的な運用を行うため、資産運用管理体制の強
化等を図る観点から、平成30年4月1日から以下のとおり見直します。
@資産規模100億円以上のDB(確定給付企業年金)は資産運用委員会を設置する。
A分散投資を行わないDBは基本方針への記載及び加入者への周知を行うとともに、
運用委託先が特定の運用機関に集中しないための方針を定める。
Bオルタナティブ投資について、運用機関の選任及び商品選択等についてのー定の内
容に留意する。
Cガイドラインにおいて、運用受託機関の選任・評価について厚生年金基金に求めてい
る事例や定性・定量評価項目のーつである「内部統制の保証報告書の取得」、「投資パ フオーマンス基準(GIPS)への準拠」を例示する。
D運用コンサルタントが金融商品取引法上の投資助言・代理業者であるとともに、その
採用の際に運用受託機関との間で利益相反がないか確認する。
E運用受託機関の選任・評価状況などを代議員会に報告する(規約型DBは除く。)とと
もに、資産運用委員会の議事録の保存、議事概要を加入者に周知する。
Fスチュワードシップ・コードの受け入れや取組み、ESGに対する考え方を運用受託機
関の選任・評価の際の定性評価項目とすることを検討することが望ましい。
G加入者等への業務概況の周知において、加入者等へわかりやすく開示するための工
夫を講ずることが望ましい。
当会コメント
@、A共に当基金は資産運用委員会を設置し分散投資を実施しています。
Bオルタナティブとは株式や債券など伝統的な金融資産に代わりうる対象資産への投
資とか、デリバティブ、ヘッジファンド、プライベートエクイティ、金や石油などの商品や不 動産等の実物資産が典型的な例です。流動性に欠ける一方、高利回りが期待できるリ スクある投資で、当基金は7%の限度で不動産投資を行なっています。
C厚労省としては民間の企業年金について厚年基金並みのガイドライン
を示して、問題が起きないようにするというものです。
D基金が依頼するコンサルタントがマッチポンプ行為をしないようにす
るものです。
E基金が委託する生保・信託などの選任・評価、資産運用委員会の議事録
についての規定ですが、「加入者への周知」とあるものの、受給者の表記が欠落してお
り、無視されている点で問題です。
Fスチュワードシップ・コードとは、機関投資家が「顧客・受益者」の中長期的な投資リタ
ーン拡大を果たすための原則。英国のを参考に「日本版スチュワードシップ・コード」が 2014年に金融庁により策定されました。こちらは、機関投資家が投資先企業と建設的な 「目的をもった対話」などを通じて、当該企業の企業価値(≒株価評価総額)の向上や持 続的成長を促すことにより、中長期的な投資リターン拡大を図ることを目的とします。
ESG投資とは、財務情報など従来的な投資尺度だけでなく、Environment(環境)、
Social(社会)、Governance(ガバナンス=企業統治)などの非財務情報も考慮しつつ、 収益を追求する投資手法のことを指します。
G受給権者に対して判り易くすることは当然のことであり「望ましい」以上の規定が必要
です。加入者等という表記には受給者を含めると厚労省は言いますが、実際には軽視 又は無視されている実態があり運動によって打開が必要です。
この「改正」に伴い通達(02年発出)も「改正」、次のような点がポイントです。
〇オルタナティブ投資の場合、その目的、固有のリスク、運用報酬コスト、換金条件など
の確認・留意を求めています。
〇基金が運用を委託する機関の選任や契約締結に当たって運用実績のみならず、投資
哲学、運用プロセス、事務処理体制、法令遵守体制などの吟味が望ましいとして多くの 事項を並記しています。
〇この「改正」通達でも業務概況の周知は加入者のみの表記です。別項で「加入者以外
の者への周知」を掲げ「努めなければならない」としています。
今回の一連の「改正」省令・通達は、一部分で受給者の扱いが依然として不当です
が、全体としては基金や運用機関に厳格な規定をしており、受給権を守るのに資する内 容と言えます。
2012年初めに発覚したAIJ投資顧問の年金消失事件で、結局は厚年基金の受給権が
保証されない憂き目にあう受給者加入者が大量に出て、厚労省の監督責任が問われる 事態となりました。厚労省として明確な反省は無かったものの、対応せざるを得なかった 諸点や、受給権を守る運動の反映で今回の措置が講じられたと言えます。
当基金は従来より受給者に概況報告をやっていますが、基金代議員会の議事録や資産
運用委員会の記録などの周知は欠落しています。来年四月からの施行に合わせて、 諸々の規定を反映し充実した報告となるよう望みたいものです。
銀行は中間決算で利益減る
求められる「世の為人の為の銀行」 (`17.11.23.)
11月14日に発表された4〜9月期の三菱UFJフィナンシャルグループ(以下
MUFG)の4-9月半期決算によると、FGは純利益が6,269億円で前年同期 比27.8%増加と好調でしたが、傘下の中心柱である三菱東京UFJ銀行(以 下BTMU=Bank of Tokyo Mitubish UFJ)は2,942億円で前期比8.9%減と いう結果でした。
決算発表の場で平野社長はMUFGが巨額の利益をあげていても、保有株
式の売却益や為替差益など一時的な要因による増益であって先行きは厳 しいと強調しており、徳成CFO(財務担当専務)は経費について「長期趨勢 的に負担になることは一個一個詰めてゆく」と述べています。
このところ、メガバンクが揃ってリストラ策を発表している折、私達受給者と
してもMUFGだけでなくBTMUの動向にも独自の注意が必要と考えられま す。
巨額利益の中での変化は?
MUFG全体としては、海外預貸金業務、金融市場関連業務が好調で増益
だったのに対して、BTMUは国内預貸金業務を中心に資金利益が減少した ことにより減益、と対照的な結果となりました。
MUFGの純利益のうち、銀行の占める割合は前年同期に63.3%だったのが
今半期は46.9%へと貢献度が低下しました。こんな状況下、これから利益 拡大のためにどんな施策が講じられるのか、従業員や受給者にどんな影 響が及ぶか、警戒が必要です。以下、MUFG、BTMUの発表資料や会見発 言からコメントします。
国内業務 内訳としては次の@〜Cの種類区分が記されています。
@資金利益 貸出金残高は81兆円で前年同期比4兆円近く減りました。残
高以上に資金運用利回りが低下したために資金利益が6%近く減ったこと になります。昨年のマイナス金利施策がモロに響いていると言えます。
中小企業向け残高は半期に2千億円余減っています。消費者ローンは15.1
兆円です。このうち住宅ローンは1.7千億円減ですが、カードローンを含む 「その他」は71億円微増の8.2千億円です。
ちなみに、FG傘下のアコムはこの半期に純利益137億円と更に増益となっ
ています。MUFG全体として零細企業・庶民向け事業のバランスと内容は どうなのでしょうか。
昨年5月発表の「グループ事業戦略」では「個人のお客さまの資産形成・消
費活性化への貢献、 中堅・中小企業のお客さまの成長への貢献」を掲げ ており、真にお客様に役に立つ事業展開が求められているのではないでし ょうか。
A役務取引等利益 投信、保険の販売などが計上される項目で、市況の
不安定等を反映してか不振で9.4%もの減少です。
B特定取引利益 これは「金利ヘッジや為替ヘッジなど、顧客ニーズに基
づいたベーシックな商品を提供し稼ごう」とする取引で、前年同期に130億 円の利益だったものがこの半期では逆に11億円の損失となっています。
C国債等売買損益 前年同期比で利益が1.6倍化して、743億円の利益を
計上しています。
このように@以外は金融市場の波と投機結果次第という点で安定性に欠
ける利益源といえましょう。
なお、国内業務部門の総資金利ザヤはマイナス0.01%へと改善されました
(前年同期はマイナス0.05%)。資金運用の利回りが引き続き横ばいの他方 で資金調達、特に外部負債利回りの低下が寄与して差し引き総資金利ザ ヤが約0.05%幅で改善されたということです。
海外部門=引き続きモルガンスタンレー、アユタヤ銀行の稼ぎがあって高
収益の状況です。しかしBTMUに限ると、業務粗利益9千億円のうち国内 業務5千億円、国際業務4千億円で後者の減り具合が目立ちます。これに は海外の国債等債券関係損益の大幅減など市場取引のリスクと難しさが 反映していると見られます。
MUFG平野社長は記者会見で、中国などの経済成長の鈍化や、08年リー
マンショック契機の金融規制の強化、地政学リスク等述べて海外部門でも 先行きの厳しさを強調しています。
営業費=人件費は2年連続ベア見送りなどやっていますが2.9%増、物件費
は2.5%増となっています。海外部門経費の円換算反映もありますが、内訳 が発表されていないので詳細不明のまま、経費率の上昇ばかりマスコミに 取り上げられている傾向があります。
経費率は、業務粗利益に占める経費の割合を示しますが、マイナス金利政
策で業務粗利益全体が減少する他方で、海外事業拡大に伴う経費増や規 制対応、訴訟関係費増がありますから、経費率は高まらざるを得ません。
**************************
この決算に関する会見でMUFG平野社長などは、低金利政策の影響やら
少子化の問題やら様々な問題を示し、リストラの必要を説いています。
これには、短期的な変化や数値から経営が厳しいことを強調している面
と、長期的な問題に根本から向き合わないという面が感じられます。このま ま利益最優先でリストラを進めるのでいいのでしょうか。
先行き懸念すべき問題やリスクは自然災害と訳は違い、経済と政治の歪
み・矛盾から起きている人為の問題です。世のため、人のためを基本に据 えて経営にあたり、賃上げや雇用について(企業年金の確定給付も含め) 社会的責任を果たし、間違った政治・経済を正すことに大銀行としての大き な力を発揮することで銀行の経営も、日本経済への貢献も可能となる展望 が切り開かれるし、銀行の存在意義も社会的評価も高まると考えられま す。
「基金だより」の「決算のお知らせ」について (17.10.4.)
2017年3月期の基金の「決算のお知らせ」が受給者へ9月に送付されました。
「考える会」の事務局で検討しました特徴点を、過去の全体的トレンドや用語の解説と共に会
報に掲載しました。お読みになりたい方は本ホームページトップのメールアドレスへ入会手続 きと共にお申込下さい。
今期4〜6期の四半期決算 銀行は増益だが不安定な内容
(`17.8.28.)
三菱UFJフィナンシャル・グループ(以下MUFG)が8月1日発表した17年4〜6月期の決
算は、純利益が前年同期比53%増の2,890億円でした。この点だけをみると結構!とな るでしょうが、中身は安定的と言い難い面があります。国債の売却益や米景気の拡大に よる米モルガン・スタンレーの好調な業績が寄与したこと、貸倒れ引当費用が減少した ことが収益を押し上げた要因と言えます。
銀行本体は、純利益が1,309億円、前年同期比205億円の増加でMUFG全体の伸びよ
りも低くなっています。預金・貸付業務による「資金利益」はマイナス金利政策下481億円 の大幅減収(▲17.4%)です。他方で@国債等売却益が前年同期比+264億円(約五割増 し)、A貸倒引当戻入+289億円、B株式売却益+187億円の増加が寄与しています。 つまり、銀行本来の業務である資金利益は大幅減益であり、最終的な純利益の増加に 寄与した上記3要因を見ても、市場次第の面があり安定的決算とは言い難い内容です。
8月3日の日経新聞は、★MUFG自体は収益が上向いており、今期は3年ぶりに連結
純利益が1兆円の大台回復も視野に入る。★けん引役は先細りする国内を補う海外事 業(海外子会社の米ユニオンバンクやタイのアユタヤ銀行などが収益を押し上げ)。★し かし好調にみえる海外事業にも死角が潜んでいる。それは人件費や店舗運営、規制対 応費などの「経費」の増加だ。連結ベースで膨らむ経費の圧縮が喫緊の課題、と評して います。
いつの時代でも経費圧縮は重要課題で、トップは常々号令をかけています。その指標
は経費率(=営業費÷業務粗利益)で、今では分母=業務粗利益がマイナス金利政策下 で減るため、経費率は上昇するのが当たり前です。
しかし、そのこととは関係なく常に引下げを掲げて行員を引き締めています。銀行単体
の人件費16年度は15年度比2.75%減の実績。巨額の利益を挙げていながらベアは15, 16年二年続きで見送りとしましたし、「働き方改革」との号令で、業務を増やしながら人 員を減らし、早帰りを求め、労働強化…という実態に拍車がかかっています。
MUFGとして平野社長は業務のデジタル化で9,500人分の業務を減らす、生産性の向
上を目指すとのこと(7月末刊MUFGレポート)で、職場では不安が高まっています。
6月の株主総会で平野社長は「これまで踏み込めなかったことに取り組む」と強調しまし
た。幹部段階では経費削減に「聖域なし」との受け止めがあることを日経新聞は報じて います(8/3)。
既に退職金は26年間棚上げのまま、昨年は脱法的な確定拠出年金を導入したこと、6
年前はキャッシュバランスプランを導入して銀行の負担を軽減したことを忘れる訳にゆき ません。現役に対する厳しい対応が、今度は退職者の企業年金に向けられる可能性は 排除できません。
第19回企業年金部会開催、
受給者への周知は棚上げのまま
私達が基金から知らされるべきことは? (`17.7.28.)
「企業年金は難しい」などの声は依然として多いのですが、知られていないのをいいこと
に財界・厚労省は次々と受給者を困らせる問題を作りだしており、難しく思えても細かな ことはさて置いて、大筋でどうなっているのか?ご一緒に知識も情報も共有していきたい ものです。
六月に企業年金部会開催
財界・厚労省は社会保障審議会の企業年金部会で諸々の施策について審議を継続して
きました。リスク分担型企業年金については一月施行したのですが、引き続き企業年金 部会の19 回目会合が6月30日に開催されました。
今回はリスク分担型企業年金とは離れて、確定給付企業年金(DB)全般にわたる次の3
項目が審議されました。
a.総合型DB 基金への対応、b.DB の資産運用 c.加入者への情報開示
a.は中小企業などが複数で構成する基金の諸問題について、b.はAIJ事件を受けて強化
された厚生年金基金の資産運用ルールをDBにも適用する内容について、です。
今号では私達に関係あるbとcについて考えてみたいと思います。
資産運用では何が問題に?
b.資産運用の項では、先ず@運用の基本方針、政策的資産構成割合の策定を全ての
DBに義務化、としています。
三菱東京UFJ銀行企業年金基金(以下当基金と略記)では運用管理規程、運用方針細
則が定められ、政策的資産構成割合の策定や変更が代議員会に報告されていることを 確認しました。
A資産運用ガイドラインの見直し、として●資産運用委員会の設置義務化、●分散投
資、●オルタナティブ投資(株債券など従来方投資と異なるデリバティブなどの金融商品) の方針化、 など掲げています。
当基金は実施済みで、オルタナティブは全資産の5%限度の方針があり、この範囲内の
投資となっています。
他にも●運用受託機関の選任・評価など掲げられており、当基金は問題ないようです。
受給者への報告はどう規定?
ただ、ガイドラインは「運用基本方針の概要、運用の概況」について「加入者(=現役)など
への業務概況の周知」と掲げているのに、その具体化項目を見ると「加入者への周知事 項」と、加入者に限定した記述で受給者は蚊帳の外の扱いです。
この基本になるのが確定給付企業年金法で「加入者等に周知しなければならない」(第
73条)の定めがあって、同施行規則では周知方法まで定めています(第87条)。
しかし、厚労省は「等」については具体的に明示せず、「事業主等が給付の義務を負っ
ている者にもできる限り同様の措置を講ずるよう努めるものとする」という程度に済ませ ているのです。
加入者への周知も曖昧さが残り、例えば、基にしている厚年基金ガイドラインは「資産運
用委員会の議事の概要等」と明示しているのに、このDBガイドラインでは削除していま す。
この点について企業年金部会の議事録を読むと、経団連の小林委員が「つまびらかに
する必要性は薄い」ほか、消極的発言で厚労省を牽制しています。他委員からの発言や 反論は出ておらず、後で固まる省令がどうなるか?思いやられます。
当基金は受給者への周知に問題あり
当基金は受給者にも毎年一度「基金だより」で決算や資産運用状況について知らせてい
ます。 この点で、当基金の規約は第100条(業務概況の周知)で、加入者も受給者も全 く同等の扱いとしていたのに、昨年の関東厚生局の監査で指導を受けたとして、受給者 には100条に別項を設けて「できる限り同様の措置を講ずるよう努める」との規定に後退 的に改定したのです。
AIJ事件や以前の企業年金部会での要望に照らして適切と言えない後退的「指導」なる
ものを厚労省がやったという事実は看過できましょうか。
当基金に問い合わせた時、「従来と変わらない扱いでゆきます」との回答でしたが、折角
と世の先を行っている規約を、守るべき最低限度みたいな法令に合わせて後退させる 厚労省の姿勢は何なのでしょうか。安倍首相の姿勢に合わせたものでしょうか。
「スチュワードシップコード」とは?
これまでの企業年金部会で提起されていた「スチュワードシップコード」が今度、本格的
に浮上してきました。
これは、コーポレートガバナンス(企業統治)を向上させる規範の一種で、企業経営の収
益力向上と、企業不正を監視する役割を果たすためのもので、企業に投資する機関投 資家の心がけ・規範(法令とは異なる)と言えます。
スチュワード(steward)は執事、財産管理人の意味ですが、金融機関による投資先企業
の経営監視など企業統治への取り組みが不十分であったことが、リーマン危機を深刻 化させたとの反省に立ち、英国で2010年に導入され、日本では14年に導入された経緯 があります。
今年6月に金融庁は改定し「機関投資家には、投資先企業との建設的な対話を通じてそ
の企業の持続的成長と価値向上を促すことにより、中長期的なリターンの拡大を図る責 任があるという考え方」と定義しました。
安倍首相はアベノミクス第三の矢=成長戦略について「我が国産業の競争力強化や国
際展開に向けた成長戦略の具現化と推進」のため「産業競争力会議」など設置し議長と して仕切ってきましたが、5月に纏めた新たな成長戦略「未来投資戦略2017」案で「中長 期的な企業価値向上に向けた取り組みの一層の推進」の項を設け「スチュワードシップ・ コードの改訂を踏まえた、実効性あるスチュワードシップ活動」を強調しています。
成長戦略で企業向けの色彩が濃厚なのですが、企業年金部会で厚労省は「スチュワー
ドシップ活動の意義は、中長期的なリターンになるということが究極的な目的で、加入者 に返ってくるもの…加入者のために運用機関に活動してもらうもの…加入者のためにな る…」としきりに加入者本位を強調しています。
アベノミクスのために加入者・受給者がダシにされている感がなくも無いように見えます
が、いずれにしても当基金は先んじて15年1月の代議員会で本コード受け入れ表明を報 告しています。
「ESG投資」とは?
ガイドラインではスチュワードシップ・コードと共に「ESG投資」も掲げられています。これ
は、環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)に配慮している企業 を重視・選別して行う投資とされています。
環境では二酸化炭素の排出量削減や化学物質の管理、社会では人権問題への対応や
地域社会での貢献活動、企業統治ではコンプライアンスのあり方、社外取締役の独立 性、情報開示などを重視する考え方です。
みずほ総研は「ESG投資は環境や社会を良くすることを主目的にする投資ではなく、
結果としてESG要素改善も期待される投資ではあるが、主目的は長期的リターンの追 求」と率直に述べています(17.7年金コンサルティングニュース)。
メガバンクは原発再稼働狙う電力会社に巨額融資、海外でも火力発電所建設に融資
し、ニューヨークでは銀行に対しデモも行なわれました。国際条約で禁止されているクラ スター爆弾製造企業に投融資…ほか様々な問題があり、報道もされています。
受給者としては、年金が安定して給付されればそれで良いというだけでなく、永年働いて
きた銀行が世の批判を浴びないように願いたいものです。
ESG投資推進と共に機関投資家はメガバンクに対してどんな行動に出るのか?銀行の
姿勢が正されるのか?効果を注視したいものです。
これらの背景と狙い、問題の根源は?
今世紀初頭以降、小泉・竹中路線で「貯蓄から投資へ」が推進され、金利低下のもと、
通帳のシミ程度の金利よりも株売買益や配当で実利を得るのが良いとされる風潮が強 まりました。
それでも貯蓄志向が強いとして、庶民のカネを金融市場へ誘導しようと、政権は諸々の
政策を掲げていますが、変動多い金融市場に庶民が資金を投入し易いようにするため、 巨大企業が粉飾決算や経営困難に陥ることのないよう大株主たる機関投資家に相応の 働きをさせる方向で、スチュワードシップ・コードやESG投資等が検討されている背景も 見て取れます。
また安倍内閣は「日本再興戦略」で「金融・資本市場の活性化」の一メニューとして企業
年金の「改革」を進めてきた経過があります。この中で今スチュワードシップ・コードや ESG投資の強調です。この二つ自体は経済社会にプラスになるものと期待したいところ ですが、政権の狙いや取組経過と併せて注視していく必要がないでしょうか。
問題の根底には、大企業が自社の利益を増やすために短期的に目先で動き粉飾決
算や不法行動など絶えないとか、ESGと逆の行動をとってきた、などがあって大株主の 機関投資家の力に依拠せざるを得ない処にきたという面がありませんか。
更に、アベノミクスで成長政策の効果が無いと批判されている問題の根底には、大企
業が増益を続けて内部留保を増やす他方で、賃金年金抑圧・下請け抑圧など続き、格 差と貧困が拡大して総需要が低迷しデフレ脱却からできない失政がありませんか。
賃金・年金などで庶民のフトコロを豊かにしてこそ総需要が伸び、設備投資・融資も増
え、金利もマイナス誘導せずとも適正に推移し、デフレ克服・経済成長が可能になるとい う、国民本位の政策こそ求められています。
根本問題の打開を抜きに、庶民を困らせ、企業年金では筋違いのリスク分担型企業年
金をはじめ、確定拠出年金で庶民の購買力を減らしてまで金融市場に資金を誘導する 政策はマッチポンプみたいなものではありませんか。政治の転換を願いたいものです。
本邦初のリスク分担型導入の企業でるーみずほ信託が受注
これからどうなる?どうする? (`17.7.28.)
一月施行のリスク分担型企業年金で、本邦初の導入企業が出た、と日経新聞が報じま
した(7.14)。みずほ信託が受託したもので、他にも10社前後が導入を検討しているとの 記事です。
リスク分担型については「こんな複雑なものは普及しないのでは?」といった意見もあり
ますが、楽観できるでしょうか。報道に見られる導入側の問題点と今後について検討し ました。
財界・金融機関の姿勢
リスク分担型企業年金の導入企業はこれから増えるのでしょうが、二年前の企業年金部
会で厚労省が銀行・信託・証券・生保など金融業界代表を招いて要望事項をヒアリング した経緯もあり、金融機関の積極的な売り込みが予想されます。
リスク分担型は「日本再興戦略」の中の「金融・資本市場の活性化」というメニューを具
体化したものです。AIJ事件で厚年基金の解散等により運用資金量の縮小を懸念した金 融業界・財界が安倍政権を動かしてリスク分担型を策定した経過を私達としては忘れる 訳にゆきません。これからは、各企業が自ら導入を企画するというよりも、金融機関が 提案していく流れが強まりそうですが、当銀行の場合、どう動くのか、導入の可能性はど うなのか懸念されます。
導入側の言い草を斬る!
財界意向に即したリスク分担型を企業年金部会で審議してから、大手新聞はまともな報
道はせず、当初のみ一面的な解説報道をしました。こういう中で現役も受給者も殆どが 的確な知識・情報に接し得ず、財界寄り報道に影響をうけやすい状況に置かれてきたと 言えます。
14日の日経新聞の記事も当時の財界側の視点そのままであり、受給者の
立場に即した情報が今後一段と求められていくと思います。
看過できない点を指摘するとー
▲「年金の運用リスクを労使で分かち合う"第3の企業年金"」→この表現は「企業年金
が企業の責任で給付すべき退職年金」という根本を突き崩すものです。「労使で分かち 合う」と書いても、五分五分の分かちあいでも無い巧妙な仕組み、企業側のメリット大な 点への言及が必要です。
▲確定給付企業年金(DB)と確定拠出年金(DC)を引合いに「従来の制度は運用リスクが
企業か従業員のどちらかに偏っている」との文章→これこそ偏った方向へ誘導するもの です。DBは企業が責任をもって当然だし、DCは加入者に運用責任を転嫁するもので企 業年金の名に沿わないものです。真ん中を採ることで別の良い選択肢があるような誘導 とはとんでもないことです。
▲「企業の財務負担の重い確定給付型の受け皿として広がりそうだ」→リスク分担型が
企業の負担軽減を狙うものであることをアケスケに明記したものです。代わりに現役や 退職者にどんなリスク負担が及ぶのか言及がありません。
「労使五分五分の負担」と思わされている人達もいますが、不公正不公平な仕組みにつ
いて、世に伝えることが社会的公器たる新聞の役目です。人ごとのように「広がりそう」と 観測してみせる新聞の立ち位置は問題です。
▲「財務負担の重い確定給付企業年金や厚生年金基金の後継制度に頭を悩ませる企
業は多い。みずほ信託はこうした企業に解決策としてリスク分担型を提案しており、年金 の受託資産を積み上げる」
→これまた呆れるほど率直です。現役や受給者の不利益面は全く記述なく、みずほ信託
など売り込む金融機関は企業の救世主みたいです。受託資産の積み上げになるという 信託側のメリットも正直に記述。
多分、金融市場は運用原資の増大で活性化に資するでしょうが、安定よりも変動で利益
を稼ぐ市場活性化が国民や経済全体にどんな影響を及ぼすのか考え処です。まして稼 ぎが悪いと加入者(=現役)受給者に減額するという市場任せの仕組みは困ります。
▲「企業年金連合会によると、企業年金の加入者は約1500万人で正社員全体の4割強
という」
→受給者の数は書いてませんが同数近いとも見られています。これだけの人達の老後
の生活安定を保障すべき企業年金をDB法の目的条項にも背を向けヒン曲げてきた財 界の責任は厳しく問われるべきです。
また公務員は一部の人達の為でなく国民全体の為に働くべきことが法律でも明確なの
に、加計疑惑程でないにしても、厚労省が政権と財界の言いなりで動き、本来は国会で 審議すべきものを政省令で片付けると言うのは、法治国家として放置できることではあり ません。
受給者軽視許さぬ活動を!
リスク分担型に移行の場合、受給者の意思不問で労使合意だけで可能と言う重大問題
もこの記事はノータッチです。
先月開催の第19回企業年金部会では現役への情報開示に触れているものの、受給者
には言及ないも同然でした。いずれ厚労省はパブリックコメント(=意見公募)→施行の 段取りですが、リスク分担型でなくても情報開示は重要です。
当会が参加している「企業年金受給権を守る連絡会」としても厚労省に対して要請活動
を行なう方針です。意見公募の段階では受給者の皆さんも意見を出して行くようにしまし ょう。
当会としても会報やホームページでリスク分担型の危険性を受給者に知らせつつ、導入
されないように可能な活動を展開し、現行のままでも必要な情報開示を基金に要請して いく方針です。
前期決算で銀行は減益ながらも高水準の利益確保
今期も厳しいと言うが受給者・現役へのしわ寄せなしに!
5月15日に発表された三菱UFJフィナンシャルグループ(以下「FG」)の決算によると、FG
の純利益は9,264億円(16/3期249億円2.6%減益)でしたが、傘下の主柱である三菱東京 UFJ銀行(以下「銀行」)の純利益は、4,814億円(16/3期比▲17.8%、1,046億円減益)でし た。企業年金給付の債務者は銀行単体でありFGの状況と併せて経営実態をよく把握し ておく必要があります。
世界経済の変化、日本経済の低迷下、アベノミクスは行き詰まり、マイナス金利政策の
続行という混迷状況で、銀行経営はどうなるのでしょうか。先行きの厳しさを強調して利 益本位となって人件費削減、年金改悪に走らないようにして貰いたいものです。(銀行単 体=子会社など含めない銀行本体)
巨額利益を維持の内実は?
FGの純利益9,264億円のうち、銀行は52%を占める関係です。FGの発表資料や経済紙・
誌の報道などからも、次のようなことが特徴点と考えられます。
融資業務=銀行の貸出金残高は81.4兆円で、この約3分の2に当たる55.3兆円が国内
向けで16/3期比10.4%もの減少です。日銀がどんなに国債買取で資金供給に力もうと も、国内景況は芳しくないし大企業は内部留保増で借入を必要としない状況です。うち中 小企業向け残高は34.1兆円で増加率は0.72%と僅かながら増えました。貸出競争激化の なかで、行員の努力が結実したと言えます。こうして、国内貸出し総額の減少のなかで 中小企業向け貸出比率は61.72%となりました(16/3期比6.8ポイント上昇)。
銀行の消費者ローン残高は15.2兆円、うち居住用住宅ローンは12.4兆円で、それぞれ
16/3期比微増(1.3%、2.1%)です。
銀行が力を入れている「バンクイック」は17%増の4,350億円で、他に2千億円超ある模
様で、来年三月までの三年間(中期経営計画)で五割超伸ばす計画との報道です(朝日 新聞5.16.)。どの銀行も稼げる分野と見て無担保で増やしたため、多重債務を誘発との 批判が高まり、四月からテレビ広告を減らしている由で融資額は減りそうですが、FG全 体として庶民向け融資のバランスはどうでしょうか。
「グループ事業戦略」では「消費活性化への貢献」などを掲げていますが、アベノミクスの
矛盾から実質賃金の低下、貧困と格差拡大という実情下、真にお客様に役に立つ事業 戦略の実践が求められているのではないでしょうか。
資金利益=融資額が増えたものの、金利低下と相まって資金利益は▲996億円、4.2%も
の大幅減でした。貸出金利回りは0.87%(16/3期は0.92%)へと更に低下しています。
預金利回り(資金調達経費を含む)は、遂に0.0%(16/3期は0.02%)まで圧縮したものの、
結果として総資金利ザヤはマイナス0.05%へと拡大しました(16/3期はマイナス0.04%)。 融資するほどに赤字という実情です。
融資以外の資金収益として投信や生保などの販売手数料がありますが、金融商品の運
用意欲の減少が続き、為替手数料など含めても「役務取引等利益」は▲25億円とのこと です。
銀行の本業部門の不振・低迷はアベノミクス、マイナス金利政策が主な要因と言えま
す。
海外部門=海外に力を入れ融資分野は総額で4.4%増の26兆円です。外貨の調達コスト
上昇などの問題があって資金利益は微増。
他方、外債関係損益はトランプ政権発足前からの金利上昇=債券価格下落により521
億円の損失を計上しているのが目立ちます。
FG全体としては引き続きモルガンスタンレー、アユタヤ銀行の稼ぎがあって高収益の状
況です。銀行単体の国際業務粗利益は7,987億円で、国内業務粗利益1兆100億円の 79%に及ぶ水準です。
今後、中国・EU・アメリカなど中心に経済・金融での不透明感は漂っていますし、資源価
格不安定、中東・北朝鮮など地政学リスクなどがあります。
他の増減要因=貸倒引当など「与信関係費用総額」は、東芝の引当増額問題などがあ
るものの、全体として780億円減っています。大企業を中心とする景況好転の反映と見ら れています。
これまでも注目されてきた国債等債券売買益は国内では10億円増ですが、日銀の方針
に振り回されて稼げなくなり、往時に比べれば桁違いの減少です。海外分は747億円も の減少です。こうして安定的利益源となっていません。
持ち合い株式の売却益など948億円計上(16/3期比270億円増)も目立ちます
人件費は2.73%の減で16/3期に続いての減少です。「生産性向上」「効率化」の掛け声で
人員を抑えベアを見送るなども含めた施策の反映と見られますが、詳細は発表なく不明 です。
これからの経営方向は?
このところ、行名変更、三菱信託の法人融資移管、頭取交代、等の報道が相次いでい
ますが、銀行とFGの経営方針・戦略・姿勢についてしっかり見ておきたいものです。
国内では、経済低迷下で異次元金融緩和・マイナス金利政策が引き続き重くのしかかる
見通しです。国内・海外ともに本業の融資での利ザヤ確保・利益増加は難しくなっていま す。
金融商品の売買仲介で手数料を稼ぐトレーディングや資産運用は、海外大手銀行同様
にFG・銀行としても力を入れていますが、収益環境も悪化し厳しい、と行内では危機感 が語られてきたとのことです。
こんな中、FGは決算発表の会見の場で「MUFG再創造イニシアティブ」と称する新たな
戦略を打ち出しました。2023年度までを展望し「グループの経営体制の再構築」と銘打 ち、六つの柱があります。
第一は、グループ内における重複事業の一本化です。銀行と三菱UFJ信託銀行に重
複していた法人融資事業を、銀行側に集約し効率化を図るとのことです。
次いで、「新しい信託銀行モデル構築」「顧客セグメンテーションの見直し」「ニコスの完
全子会社化」などあります。「デジタルビジネスモデルの変革」ではフィンテック分野進 出・仮想通貨開始・ビットコイン参入・AI活用など、と見られます。
世の為人の為になるサービス向上は良いのですが、`23年度までに全体として「3千億円
の営業純益効果」(=増加)を見込んでいます。その内「コスト削減1,200億円」と明記して いますが、この内容は示されておらず気になるところです。
異質の競争になるか
さらに注目すべきは、フィンテックを軸とする、従来と異なる画期的な技術革新の波が他
産業との競争も含め、メガバンク相互の競争を激化させることです。
フィンテックの紹介紙幅はありませんが、ビル・ゲイツ(Microsoft創業者)の昔の発言「銀
行機能は必要だが今ある銀行は必要なくなる」(1994年)が象微的です。
あれから劇的に進展しJPモルガン・チェイスのジェイミーダイモン氏は2014年に「フェイ
スブックやグーグルと競争することになる」と発言。
リスク増大の経営環境下、フィンテックなど新分野で他産業と渡り合いながら銀行同士
の競争激化が見込まれるなか、利益獲得のために経費抑え込みは一段と重要課題とな ってきます。MUFGの経費率は17/3期64.6%、銀行は63.1%でしたが、今年度のFG目標 は「60%程度」との発表です。
他方、みずほFGの16/3期経費率=60.3%、みずほ銀行=56.9%と各々の実績を公表。三
井住友FGは17/3期実績=62.1%、今期は「1%程度低下」と発表しており、経費圧縮でも 競争激化が予測されます。
人件費の方針は?
銀行は`15年に物価上昇率以下にベアを抑え込み、脱法的確定拠出年金を導入、`16
〜`17年連続でベアを見送りとしました。減益でも巨額の利益を稼ぎ、内部留保は狭義 の利益剰余金だけでも3兆2,315億円に達しているのに…。
現役への厳しい人件費対策が企業年金・受給者に及ばないか?懸念されます。
FG平野社長は、一年前に「今後10年間で総合職3,500人の削減を予定」と公表。「自然
減で対応するが、減少分はシニア層を充てることも検討し、人件費の削減に取り組む」と 報道されました(週刊ダイヤモンド16.5.16)。
更に平野社長は今年5/19の決算説明会で「業務の四割(従業員1万人に相当)は機械で
代替可能、デジタル化を業務プロセスまで浸透させられるか、が金融機関の競争力を左 右する」と述べIT活用による生産性向上を強調しました。
フィンテックなどで合理化が進んでも人を減らすのでなく、残業を減らして所定労働時
間を守る、若い人の雇用を確保して社会的責任を果たす、企業年金でも退職者との約 束を守るという経営姿勢を貫いてこそ社会的評価を得て、信用も高まるのではないでし ょうか。利益・効率化競争に走ることなく、世のため人のために役立つ金融機関となって 欲しいものです。
企業年金の先行きは?
マイナス金利政策の浸透で銀行は一段と企業年金が「負担」になっていきそうです。
マイナス金利が続くと、@資金運用が困難になる、A予定利率を下げ積立を増やさない
と不足する、ということで企業の負担が増大します。
特にAが問題です。将来に生じる年金給付額を予測して現時点で用意すべき金額(=退
職給付債務)を算定します。
例えば5年後に百億円必要なら通常は運用益をプラスの利回りで見込んで90億円何が
しを今用意すれば良いのです。しかし、マイナス金利なら先行き目減りするので、前もっ て給付必要額を上回る資金を用意することになります。こうなると退職給付債務が増大 し、これが10%以上増えると決算に反映する必要があります。
FG傘下のアコムは昨年決算で、企業年金・退職金算定の割引率(利回り)をマイナス0.
05%として退職給付債務が増大し、同様の企業が相次いだことが注目を浴びました。
銀行がもしマイナスの割引率で実施する場合は巨額が必要になります。この債務の計
上・負担を回避しようとすると、厚労省が施行したリスク分担型企業年金は格好の選択 肢となり得ませんか。
銀行は今期マイナス金利を織り込んで614億円の減益(▲12.8%)を見込んでいます。
FGは他事業も含めて236億円の増益目標で配当予想は据置の2,436億円です。
毎期、利益の26〜25%を株主に回しているのですが、他方で「ステークホルダー(従業員
を含む利害関係者)に最善の価値を提供」と常日頃掲げていることを、言行一致させてこ の方針貫徹のために顧客・従業員・受給者に悪影響を及ばせることなく、社会的責任を 果たす健全経営を目指すことが求められていると言えます。
厚労省にリスク分担型企業年金
の重大問題点について再質問 (`17.3.1.)
社会保障の後退・負担増が進められる折、私達としては公的年金、企業年金の両面で
痛めつけられている状況にありますが、今年一月からリスク分担型企業年金の政省令 が施行されました。
この問題の経過はホームページで都度紹介してきましたが、「難しい」「ややこしい」…と
の声が多く聞かれます。しかし、知らないうちにコトが進められないように、先ずはシッカ リと問題点を直視したいものです。
重大問題とは?―これまでにない理不尽の数々!
この制度は複雑な面がありますが、細かなことはサテおき、主要な問題点は本ホームペ
ージ運動方針「3.企業年金で政府・厚労省はどう動いているか?」の「(2)リスク分担型の 問題点」に記したような点です。
この中でも特に重要なのは次のようなことです。
▲現役労働組合と企業の合意のみで現行の確定給付からリスク分担型へ移行可能。こ
の場合、受給者の賛否を問う必要はない。
▲不同意者は一時金を選ぶことが可能だが、この算定にも受給者は排除されるとか、
金利変動のリスクを負うとか、ロクなことが無い。
これまでに無い制度で、民法にも背を向けたトンデモない仕組みで、国会にも諮らず政
省令で押し通したものです。
企業年金受給権を守る連絡会が国会議員通し厚労省に再質問
当会が参加している「企業年金受給権を守る連絡会」は、国政選挙の折、各政党に企業
年金の受給権に関係する問題点について公開質問状を出してきました。回答してきた政 党の中で一貫して筋道通し受給権を守る立場を明確に示してきたのが日本共産党でし た。(自民党、公明党など無回答の政党もありました。)
そこで同会は日本共産党小池晃参議員に要請し厚労省へ12月に質問書を出し8日後に
回答がありました。(この内容はホームページ「最近の動向」に掲載)
しかし、厚労省は質問に正面から答えないなど不十分な内容だったので、小池議員・秘
書の尽力で直接、厚労省担当官と質疑応答の機会が2月14日に設けられ、当会事務局 からも出席しました。
厚労省担当官と1時間の約束のところ20分延長してもなお不十分なことでしたが、概要
を以下にご紹介します。(回答が整然としていないため読み易いように組み換え補筆し、 割愛した細部もあります)
受給者の同意が不要とは?
質問 確定給付企業年金からリスク分担型へ移行する場合、受給者の同意を求めない
でよいとする理由や根拠は何か。リスク分担で減ることを前提としているのだから同意を 求めるのは当然でないか。
厚労省 根拠法は確定給付企業年金法だ。この法律に給付が変動することや手続きを
定めている。リスク分担型では増えることもある仕組み。
質問者 受給者は退職時点で給付額が確定している。後になって変動する仕組みに移
行するとか、減額の場合は、当然に個別の同意が必要。増えることもあると言うが、この 制度はリスクが現実に発生したら減らすことを狙いとしたものだ。
現役は労働組合で多数決で同意する団体法理が適用されるとしても、退職すれば個別
の債権であり民法・債権法の定めにより、同意なしに一方的に変更されることは許され ない。厚労省が許されると言う法的根拠は何か。
厚労省 確定給付企業年金法第4,6条である。
質問者 これらは手続き的なものだ。基本的に民法に背いている矛盾をどう考えている
のか。
厚労省 民法とは接点が無い。リスク分担型への移行が困るという不同意の人には一
時金給付という選択肢が確定給付企業年金法で定められている。
質問者 手続き法を言っても根拠法を示せないということだ。一時金というが、これでは
終身給付の場合、期待権も失う。民法など法律の角度から吟味し直す必要がある。労 使合意で決めて受給者は一顧だにされないのは問題だ。
企業と現役が受給者の賛否を問わず権利侵害とは!
質問 労使間合意によって受給者をリスク分担型へ移行させることが可能となったが、
受給者の意思を問う必要がないとする法的根拠はどこにあるのか。
厚労省 確定給付企業年金法にある。この制度は給付増額もある。移行したくない受給
者の意思は一時金の選択で示すことができる。
質問者 そういう回答では、現役が退職者の給付を企業と一緒になって変えてもいいと
いう根拠が示せていない。
厚労省 確定給付企業年金法の第4,6条にある。規約の変更等の手続きに則していく。
民法との接点は無い。
質問者 それらは手続きであって確定給付企業年金法は受給権の基本となる民法との
接点が無いと言うことでいいのか。給付が増えることもあるというが、この制度は市場が 激変して積立不足になったら給付を減らすためのものだ。名称からして明確だ。給付が 増えることがあれば減ることもありますという、のどかな話では無い。
当初の約束と違うトンデモない制度へ引きずり込まれるのにイエスもノ―も無い、みな一
緒くたに移行するというのは全く乱暴な話だ。受給者の意思を問わなくて良い根拠は何 なのか。
厚労省 一時金を選択する事で意思を示せる。
質問者 受給者としては退職時に決まった給付なのに、これが厚労省令で変えられてい
く。年金は生きていく糧だ。一時金なんて欲しくない。厚労省としては受給者の権利、財 産権を踏まえて無くさないようにして欲しい。
一時金で「配慮」とは?
質問 リスク分担型へ減額して移行する場合、受給者の3分の2以上の同意があれば良
いとしているが、残る不同意者の受給権が侵害される。法的根拠を問い質したのに12月 の回答では答えが無く、希望者に一時金を支給することで受給権に配慮している、とあ った。これで受給権を守り得るのか。
厚労省 権利侵害にはならない。移行時に残る給付額が一時金と同額になるよう現在
価値を保証することで受給権を保護している。また閉鎖型(=受給者だけを給付義務に相 当する原資と共に分離して生保・信託銀行が管理給付)とすることで従来のまま受け取 れる。これも受給権の保護だ。
質問者 一時金といっても「配慮」止まりでないか。日本航空の場合、一時金の選択肢ナ
シで減額した。この時、厚労省は「企業の工夫の範囲。はっきりした見解を出す立場に はない、難しい問題。本人が同意しているので水準に差が出ても問題ない」とし、黙認の 態度を取った。「配慮」とはそういう程度のものになる。一時金ではなく民法の基本に立 ち返り給付すべき。
厚労省 日本航空の一時金ナシの件は確定給付企業年金ではなくて厚年基金の話。
質問者 根本は同じことだ。減額の場合、厚労省が受給権を守る立場に立つ意思があ
るなら「同意した者のみ減額とすることが可能」との通達(年企発第0316001号 平成16 年3月16日)を新制度でも活かす(=不同意者は減額も移行もない)ことを明確にしてはど うか。
厚労省 この通達は今も生きている。(新制度に活かすかどうか回答を回避)
質問者 「3分の2以上同意」という基準には法的な根拠が無い。それでも経団連は2分
の1以上の同意でやれるようにせよと厚労省に3年前に求め、検討されたことが新聞に 報道された。
一時金も受給者排除で減らせるとは!
リスク分担型は困る、これまで通りの確定給付を受けたい、という人には「一時金を受け
取る選択肢がある」と厚労省は言いますが、この計算には減額可能という問題がありま す。
質問 「移行前の給付を一時金で支給」とあるが、この一時金の算定は「告示」で予定利
率が示され、この適用にあたり代議員会または労使合意により0.8〜1.2を乗じたものを 用いることも可能としている。この決定に受給者を排除する理由、根拠は何か。受給権 の侵害になる場合があるとの認識はあるのか。
厚労省 加入者が受給者よりも基金などの状況をより一層把握できているし、その上で
労使の合意を経て決める。これで受給権を保護していると考えている。
質問者 これが受給者を保護している措置と言えるのか。労使間でものごとを決めるの
は労使自治の原則でいいとしても、脱退している受給者が不利益を受けるのをどう考え ているのか。
厚労省 加入者は受給者と利害がある意味で一致していると考えている。受給者が直ち
に不利益になるとは判断していない。
コメント 告示が出ていても、最大限20%も減額できる理由や根拠を厚労省は示し得ませ
んでした。同じ20%幅で増額もあり得るからいい、と言えましょうか。受給権を守り定額給 付をすべきという基本は曖昧にできないと思います。
受給者は基金の脱退者とされ、情報開示は努力義務(努力だけで良い程度の義務)止ま
りです。加入者は諸々の情報に接し得るとしても、受給者とは別の立場で利害一致の保 障はありません。銀行のように現役が先に増減可能の仕組み(キャッシュバランスプラ ン)へ移行させられるな
ど不利になる事例もあります。それぞれに不利益にならぬようお互いの理解と連帯が必
要ではないでしょうか。
一時金を選んでも不利益が出てくる!
質問 リスク分担型に移行しないで一時金を希望する場合、終身年金の給付総額は、平
均死亡率等で算定する定めだが、長生きの人は不利となる。マイナス金利などで変化も ある。厚労省としては全く関知しないつもりか。
厚労省 この算定に用いる予定利率は、安定的に確保、ということで過去五年の国債利
回りの平均としている。
質問者 客観的な国債利回りを使うのはいいとしても、金利情勢は最近先を見通せな
い。マイナス金利下、急に変化しリスクが増大する。
厚労省 利回りが低下している状況はある。しかし過去五年を見ているので急に低下す
ることはない。直近の利率変化を反映はしている。将来は分らないというならそうだが、 予測はどっちにでも振れるリスクだ。余命だって同じだ。今はマイナス金利といっても使 う利率はマイナスではない。
コメント 金利動向により追加給付の指導有無については回答回避でした。この後の2
月21日発表の告示で17年度の最低積立基準額算定に用いる予定利率は1.46%とされま した。08年度2.27%だったものが年々低下し16年度は1.76%でした。
これまで通りの給付を希望すると?
質問 この制度は@リスク分担型に移行か、A嫌なら一時金の二者択一だが、この他
にB当初の規定通り死亡するまで給付を受けたい人はいる。こういう受給者の意思は不 問か。
移行に伴い労使間で諸々の条件を約定し直せるのか、その場合、給付の金額や期間な
どの条件後退なら、受給権侵害と認定するのか。受給者の同意を求めるのか。
厚労省 Bについては閉鎖型で対応することが出来る。(一時金選択者以外纏めて)
給付期間の変更は労使合意により可能。給付期間が短縮されても給付金額が増えて現
在価値で計算し比較して同額なら問題ない。減額になっていないと判断する。
例えば、10年有期で1百万円のケースで5年短縮しても1百万円の現価になれば価値が
下がっている、となる。減額なら十分な説明と受給者の3分の2以上の同意は必要。しっ かりした手続きが取られていないなら認可しない。客観的に平均余命で計算する。
質問者 終身年金を有期に変更する場合どうなのか。
平均余命は五年ごとの調査によって変更されるから現在価値は変わる。平均寿命よりも
長生きする人とそうでない人の得られるはずの給付額の差は出てくる。
厚労省 客観的指標で算定した平均寿命、最低積立基準額で決める。
コメント ●一時金は、平均余命で計算のため、長生きできる人は給付が少なくなり、結
果的に受給権侵害となります。この点で厚労省は問題視していません。
●閉鎖型は、加入者がいない受給者だけで構成され、受給者への給付だけが目的で
す。給付とともに年金資産は減り続け、運用収益が予定利率を下回ると積立金が足りな くなり、補填が必要になります。
企業と受託機関の契約がポイントで、厚労省が受給権を保障する指導監督をどこまでや
るのか問われてきます。
リスク分担型も一時金もイヤな人だけで閉鎖型への移行はなく、全体一括の移行となり
ます。
受給者への説明がいい加減では困る!
リスク分担型へ移行する場合、厚労省は企業・基金に受給者への説明を義務づけてい
ますが、どの程度のもので「十分」と言えるのか?りそな銀行の事例も出して追及しまし た。
質問 リスク分担型へ移行時など規約改定に「全受給者に対する事前の十分な説明が
必要」とあるが、過去の事例では極めて不徹底な実情だ。例えば、りそな銀行では全国 に散在する受給者に、限られた地域でのみ行われ、説明も不十分の上、質問も制限さ れ多くの疑問が残ったまま、減額が強行された。
説明が十分かどうかは、「総合的に判断」というが、周知期間の長さ、受給者の参加率、
説明会での質疑応答の記録、文書質疑の回答内容チェックなど、厚労省としては具体 的に報告書・書式など整えているのか。
厚労省 一律的な基準で報告を求めることは適切でない。規約変更は手続きに則して申
請して貰う。しっかり確認し総合的に判断する。書式は定めていない。
質問者 十分に説明したか?厚労省の点検には最小限度のもの、例えば周知期間とか
必要でないか。書式にしていなくても最低限チェックする項目は重要。単なる書式の話で は無い。
厚労省 全国何か所 周知期間、何人参加 何をやればいいというものでもない。全国7
か所でやった10回やった、300人来てくれた… これで認可されるものでもない、総合的 判断ということになる。
質問者 りそな銀行の減額の時、不服申し立てはやったが結果的には通ってしまった。
3分の2という数字だけで見ると、説明会などどういう風に行われてきたか、企業の方で 努力してきたかなど分らない。重要なのは「十分」を担保するものだ。「総合的判断」と言 うと役所に任せよ、ということになる。最低限の基準は何か。
厚労省 3分の2以上同意が最低限の所。「十分」の内容を数値化はきない。
質問者 「十分な説明」は一つの要件で、移行への関門になる。「説明」が適当にやられ
厚労省が厳重なチェックもしなければ受給者が困る。今後が危惧される。
支払保証制度作りの約束を先送り!
支払保証制度とは、企業年金実施企業の倒産等で年金制度廃止とか支払い不能に陥
った場合、一定の範囲で年金の支払いを保証する制度です。企業年金受給権を守る連 絡会では前々から制度創設を厚労省に要請してきました。
質問 2001年、企業年金二法制定の時、支払保証制度を作るべきと国会で附帯決議が
された。又、`14年5月の参議院財政金融委員会で大臣政務官が「企業年金部会でアメ リカのエリサ法も参考にしつつ議論する」と発言した。どうなっているのか。
厚労省 過去に検討したことはあるが、企業年金部会など開催予定は今のところ無い。
企業の負担の問題、モラールハザードの問題がある。各基金から保険料を取る、倒産し て給付を保証すると、追加で保険料を取られ負担が増えるとか、モラールハザードにな るとか、問題提起されている。
質問者 これまで聞かされている発言は企業の論理だ。加入者・受給者の立場に言及し
たのは無い。経団連から企業年金部会に出ている小林委員は企業の負担とかモラール ハザードを強調している。`15年の企業年金部会では経団連の否定的発言があたかも 全体の意向みたいに紹介されている。
企業年金は元々企業の責任で給付すべきもので保証料などコスト負担するのは当然。
払えぬ企業のために保証料を負担して損するという経団連の理窟は利己的だ。信用保 証協会の仕組みを考えるべき。保証料を払った企業が、こけた企業のために損したとい う話は通用しない。企業お互いの支え合いが重要。経団連の論理に流されないように早 急に具体化を。せっかくやりますと言ったのだから。企業年金部会の開催は無いのか。
厚労省 何とも申し上げられない。
部会は必要あれば適宜開催されることになっている。厚労省は片方の意見だけ聞いて
いるのか、といえば必ずしもそうではない。
質問者 政府内では何がどこまで進んでいるのか。検討会とか、何もないのか。
厚労省 過去に研究会をやったことはある。何をいつまでにと決まっているという訳でな
い。
質問者 企業年金は退職金一時金の代わりという基本点から考えるべき。それなのに
「日本再興戦略」の「金融市場活性化」の項目に本件を含めて閣議決定した。ここに盛り 込むこと自体がおかしい。
厚労省 退職金には色々な考え方がある。
質問者 退職金は褒賞金でなくて賃金の一部であり、後払いと言う認識が必要だ。
厚労省 今度のは確定給付企業年金と確定拠出年金の中間的なリスク分担型というこ
とで選択肢の一つとして提案した。決めるのは労使である。
質問者 誰のために選択肢を増やしたのか?が問題だ。全体として給付を減らすのが
目的だ。増える時もあるというのは話にならない。厚年基金の解散など受給者の意思は 無視のまま進められているのは重大。受給権も期待権も無い。
問題点が未だ未だある!
リスク分担型の複雑な仕組みの細部はさて置き、大きな問題としては▲企業年金は企
業が退職金の延べ払いとして経営責任でコストとリスクを負担して給付ずきなのに、この 本質を歪め企業の責任を減殺する、▲企業の人事労務政策の改悪を政府が促進する、 ▲従来の確定給付と異なる制度であって独自に法案を国会に提出して採否を決するべ きなのに厚労省令・政令で済ませる、▲従って国民に知られない内に推進し、マスコミも ダンマリ…などの重大な問題があります。
本件は大企業が史上最高益を挙げながら更なるメリット追求のために先手を打ってこの
数年来画策してきたものであり、DB、DC制度化以来15年ぶりの大攻撃です。私達として は従来に無い運動が求められていると思います。
厚労省担当官は答えにくいことには、答えないとか、弁明とか、小声の早口になるとか、
追及にも限度がありました。もっと上層部に問題と責任があります。
本件の根底には安倍内閣の「日本再興戦略」があり、この転換を求める運動と共に、重
要なのは、草の根の取り組みです。政府が政省令で実施しても各企業がこれを採用す るかどうかは別問題です。それぞれ個別企業で受給者がリスク分担型へ移行されないよ うな運動が重要になります。
当会の拡大強化が求められています。お互いに利害共通する問題としてご支援ご入会
のほど宜しくお願いします。
入会ご希望の方は、本ホームページトップ左上に表示のアドレスをクリックして下さい。
ご連絡必要の事項は、ホームページトップ・庭園写真の左側の項目の中ほどにある「ご 入会案内」をご覧下さい。
゛17年版・情勢と方針
当会の情勢の捉え方と運動方針を2月15日の会議で決定しました。
T. 私たちを取り巻く情勢―2017年
1.全体的にどんな変化が?
安倍政権が「アベノミクス」と称する政策を推進して四年余、混迷と矛盾の
度合いを深めています。マイナス金利まで導入して財界内でも批判、不協 和音が広がりました。実体経済はGDPに示されるように低迷が続き、消費 税増税の悪影響が尾を引き、年金引き下げ、実質賃金低下などが国民生 活を直撃しています。中国の成長減速、アメリカの利上げなど国際的な要 因も絡んで、安倍政権の失政と行き詰まりは明確です。
格差と貧困が進む中で政府が社会保障改悪を進め、国の責任を投げ捨て
公助から自己責任の自助へと転換させていることは重大です。
この間、企業年金での重要な問題は、財界が政府・厚労省を動かし、企業
の負担とリスクを現役や受給者に転嫁する新制度(リスク分担型確定給付 企業年金)の政省令を今年一月から施行したことです。
銀行は`15年、脱法的な年金制度を現役に導入し、最高益を達成しながら
コスト圧縮に貪欲さを示しました。この姿勢からすれば、受給者をも対象と する新制度移行の可能性は排除できないと考えられます。
受給者の暮らしが厳しくなってきている今、当会は受給権を守るために、会
員の皆様と共に広範な受給者に必要な情報を提供しながら活動を展開し ます。
2. いま経済・金融はどうなってるの?
永年続いてきたデフレは、大企業を先頭にした雇用削減、非正規化、賃金
抑え込み、年金削減などで国民の購買力が低下した点に大きな要因があ りました。
しかし、安倍政権はこの要因の是正克服を目指すのではなくて、インフレ目
標を掲げて「異次元の金融緩和」で資金を過剰に供給し、先行き値上がり の期待感で需要を喚起して大企業が儲かれば、おこぼれが国民にしたた り落ちるという筋書きの政策を推進してきました。
「アベノミクス」が金融緩和によって株価上昇をもたらし円安効果で輸出産
業の好況など変化は出たものの、海外要因によって昨年は落ち込み、実 体経済の好転や国民の暮らし向上はないままです。安倍首相にアベノミク スを進言した学者が失敗を認めたにも関わらず安倍首相がアベノミクスの エンジンをさらに噴かせると広言していることは重大です。
国民の購買力向上の必要を安倍首相も黒田日銀総裁も認めざるを得なく
なって賃上げ必要論を口にするものの、実効策を打ち出さず、年金減額を 推進する矛盾無茶ぶりです。
中国経済の失速、EUの混乱に加え、トランプが米大統領に就いたことも引
き金となって経済・金融分野の不透明感が増大し金融機関のリスクも増大 しています。マイナス金利導入下、銀行業界では預貸利ザヤ縮小、投信の 販売低迷の他方でカードローンや不動産業向け融資を増やす傾向が強ま り国民の批判を呼んでいます。
年金給付の義務を負っている銀行と私達との関係からすると金融の在り
方、経営姿勢も見つめる必要があります。また基本的には賃金・年金を含 めて国民の所得が増え購買力が向上してこそ、企業の販売増、雇用増、 設備投資増、健全融資増、利益確保…という好循環がもたらされることが 重視されるべきです。
財界の戦略・政策はどうか?
経団連が安倍政権に、利益第一の政策を推進させる下で大企業は二年連
続で史上最高の利益を挙げ内部留保は386兆円に達しました。それでもな お法人税率を引下げる他方で公的年金を含む社会保障改悪、消費税増税 など画策中です。経済成長のためには個人消費拡大が不可欠との筋論・ 世論は認めざるを得なくなって、賃上げ容認に転換したものの物価上昇率 以下とか不安定な賞与依拠であって人件費総額抑制の方針に変わりはあ りません。労働運動と世論に押され「残業短縮・働き方改革」など唱えるも のの、残業代なし制度抜け穴の糊塗策を追求しています。
医療・介護の後退と負担増や公的年金・企業年金の改悪などは暮らしを直
撃し、購買力の低下は経済成長にブレーキをかけます。これらは安倍政権 の「日本再興戦略」に盛り込まれた施策であり、現役各層から年金受給者 にまで打撃を与えていきます。財界が国民生活を犠牲に大企業の利益追 求の度を強める大元になっていることを直視する必要があります。
3.公的年金で政府・厚労省はどう動いているか?
政府は過去の物価下落時に年金額の減額をしなかった「特例措置」分2.5%
の減額を実施してきました。更に昨年末に「年金カット法」を強行成立させ ました。これは物価が上がっても賃金が下がれば年金を引下げ、マクロ経 済スライドを強化し、デフレ下で実施できなかった「未調整分」を先送りして 実施するという、年金削減の徹底を図るものです。
安倍政権は、受給者のみならず現役に対しても公的年金の改悪を企図し、
将来の給付開始年齢繰り延べ方針を公然と打ち出しています。こうして年 金の問題は次世代も含め全層にわたる問題として一段と関心が高まって きました。
4.企業年金で政府・厚労省はどう動いているか?
(1)最近の経過
5年前に発覚したAIJ事件を好機として、厚労省は経団連が前々から狙っ
ていた企業年金の改悪要求に応える施策を次々と進めてきました。
▲12年9月に、黒字企業でも一定条件によって受給者の給付減額を可能と
する省令を公布、
▲14年4月に、@厚年基金の特例解散に関する措置などと共に、Aキャッ
シュバランスプラン(=CB)の更なる「設計弾力化」などの政省令を公布しま した。@は国家が受給権を侵害する措置を含んでおり、Aは給付を不安定 不確実にする仕組みを基金が多数決で導入可能とし、不同意者の受給権 を侵害する点で重大です。
▲01年に確定拠出年金(DC)法施行以降、企業に好都合なように改定を重
ねました。今では、大企業を中心に現役にはDCへ移行させる動きが強まっ ています。今年一月からDCが企業とは無関係の公務員や専業主婦も加入 可能となり、公的年金先細りの補完策と位置付け加入促進を政府予算も 投じて推進しています。
▲確定拠出年金改定とリスク分担型DB導入はアベノミクス・日本再興戦略
の一環であり「金融市場の活性化」の名目で金融機関の収益源が拡大さ れる他方で、元本保証のないDCで庶民が老後資金の確保が困難になる 危険や、リスク分担型DBで不安定不確定給付になる危険があります。
(2)リスク分担型DBの問題点
厚労省は、経団連や金融業界の要求実現のため新たな年金制度作りを進
め、今年1月からリスク分担型DBの政省令を施行しました。これは次のよう な特徴と問題点があります。
▲企業年金は企業の責任でコストとリスクを担って実施するものなのに加
入者(現役)・受給者にもリスクを分担させる。
▲金融市場激変・年金積立の不足金発生に備えて一定金額を企業は事前
に拠出、損金計上節税のメリットを受ける。
▲企業が掛金を前もって多く出せば安心出来るように思える面があるが、
積立の途中段階や想定外の不足金発生の場合は、加入者・受給者の減 額負担が企業の分担以上に過大となる。
▲したがって建前としては企業と加入者受給者の分担は1:1とするものの、
保障のかぎりではない。
▲現役労働組合と企業の合意のみで現行の確定給付企業年金からリスク
分担型DBへ移行可能、
▲この場合、受給者の賛否を問う必要はない、
▲不同意者は一時金を選ぶことが可能だが、この算定にも受給者は排除
される、
▲資金運用等に加入者・受給者を参画させるが、選出方法・専門知識・意
思決定権など実質が伴わないまま責任のみ負う。
(3)受給権・受給者軽視の厚労省
厚労省はリスク分担型DBの持つ問題点への追及に対して、次の見解を述
べて受給権を守る立場が極めて弱い点を露呈しています。
▲リスク分担型DBへの移行は受給者に同意は求めない(減額なら必要)
し、移行後、リスク分担の規約通りに減額となっても、その時点で受給者の 同意を求めることは無い。受給権の変更には個別の同意必要というのは 民法の定める基本点だが「民法とは接点が無い」と回答。
▲移行時に減額なら3分の2以上の同意が必要となるが、残る人達は受給
権の侵害とならないように一時金給付の選択肢がある。
▲「減額の場合に同意した者のみ移行することが可能」との通達は今も有
効だが、リスク分担型DBでは規約で減額があり得ることを定めており、改 めて同意を得ることは要しない。
▲一時金の算定は大臣告示の予定利率で計算するが、労使合意により0.
8〜1.2を乗じたものを用いることも可能としている。加入者と受給者とは利 害が同じとみなして受給者除外を認めており、受給権の侵害とは考えてい ない。
▲終身年金を一時金で給付する場合、平均死亡率等の客観的な指標を基
に画一的な平均計算となる。事前に個々人の余命は確定できないので結 果的に減る人も出る。
▲移行時、受給者向けの十分な説明が必要だが、どの程度のものか申請
受付の時に判断する。周知期間の長さ、受給者の説明会参加率、説明会 での質疑応答の記録、文書質疑の回答内容チェックなど、厚労省としては 具体的に報告書・書式など整えていない。個別に判断すべきで一律的な取 り決めは適切でない。
(4)更なる問題点
仕組みの細かな部分では更に問題点がありますが、これらはさて置き、▲
企業年金の本質を歪め企業の責任を減殺転嫁する、▲企業の人事労務政 策の改悪を政府が促進する、▲法制化に当り法案を国会に提出して採否 を決するべきなのに厚労省令で済ませる、などの重大な問題があります。
しかも、これまでは厚年基金の行き詰まりからDB、DCの改定へ転換してき
たものの、本件は大企業が史上最高益を挙げながら更なるメリット追求の ために先手を打って画策してきたものであり、DB、DC制度化以来15年ぶり の大攻撃です。この動機と構え方から私達としては軽視できません。
6. 銀行の経営実態と問題は?
(1)業績
三菱UFJフィナンシャルグループ(以下FG)の前期(16.3)決算によると、FG
の純利益は9,514億円(過去最高の前々期比8%減益)でしたが、傘下の主 柱である三菱東京UFJ銀行の純利益は5,860億円(前々期比143億円増 益)でした。
今期4〜12月ではFGが純利益7.7%減益、銀行は同12.6%減益となっていま
す。しかし、減益でも銀行の内部留保は3.3兆円に達しています。ただ、銀 行の先行きとして次のような問題があります。
●国内融資は増加傾向ながら、低金利政策の下で利ザヤが縮小し、総資
金利ザヤのマイナスが続いており、日銀のマイナス金利導入で更に悪化。
●銀行は、アジア・アメリカ等海外への進出を強めているが、中国・アメリ
カ、EUの経済先行きの見通し難とリスク増大。
●保有株式の圧縮に努めているが株価次第で巨額の評価損を計上見込
み。日銀や米大統領次第で金利上昇=国債下落のリスクも増大。
●国内外の融資業務は利ザヤ縮小・リスク・BIS規制などの問題があること
から、手数料稼ぎ(投信・保険販売、M&Aなど)への傾斜を戦略としている。
●3メガバンクを初めとしてフィンテック分野進出が進展し新たな競争を展
開し、金融持株会社の規制緩和で更なる利益獲得を目指している。
(2)人事労務
銀行は`14年19年ぶりに0.5%のベアを実施、15年は1.5%で物価上昇率以
下、16年は見送りました。国内総資金利ザヤがマイナス続きであることか ら、銀行の「合理化」意欲は強く、頭取は「本部組織のスリム化」「効率化」 など督励しています。
何よりも問題なのは、史上最高の利益を更新しながら、現役に脱法的な
「確定拠出年金」なるものを`15年に開始したことです。退職金の改善は26 年間も放置しておきながら法律に背馳した制度を他行・他企業よりも突出 先行して開始した銀行の経営姿勢を受給者としても重視する必要がありま す。
銀行が高水準の利益・内部留保を維持していることで安心との意識もあり
ますが、現役を踏み台にしての利益であり、利益第一の経営姿勢からは次 に受給者にも施策が及ぶ可能性を排除できません。
銀行が現役と受給者の負担不均衡を口実に受給者に何らかの画策・悪影
響がないか警戒する必要があります。
7. 銀行の企業年金基金はどんな状況?
前期(2015年4月〜16年3月)決算の特徴点は次の通りです。
★前期の資産の運用成果は予定利率には届いていません。
今期に入り円高進行、リスク資産の市況下落が著しく運用益の確保が難し
くなっており、4〜6月の運用成果は低率に留まっています。
★継続基準の財政検証、非継続基準の財政検証、損益計算書、貸借対照
表などの特徴点は会報に記載していますので、ご希望の方はこのホーム ページトップ左上のメールアドレス宛てにお申込下さい。
★現役の人数は31,896人で5期連続の微増ですが受給者数は42,758人と
大きく上回っています。現役にはキャッシュバランスプランを導入済みで給 付は市況により銀行負担が軽くなっています。
その上、銀行は今後10年間に総合職3,500人減らす方針であることから、
現在の受給者への給付負担が相対的に高まります。リスク分担型確定給 付企業年金の導入へ移らないような運動強化が求められます。
8.受給権を守る運動の必要は?
銀行の業績も基金の財政状態も共に良好との受け止めから、企業年金に
ついて多くの受給者には安心感が広がっています。しかし、銀行経営陣の 危機意識が強いこと、リスク分担型DBが施行されたことから、私達の確定 給付企業年金が現行のまま存続し続けるかどうかは予断を許しません。私 達としては、受給者に情報を届け広報活動に取り組みながら、会員を増や し大きな組織として年金基金や銀行と協議できるようにしたいと考えていま す。
また、間違ったデフレ克服策から物価上昇を当然視する政策と受け止め方
が拡散していますが、私達の企業年金に物価スライドはありません。目減 りを防ぐには、国民本位の政策への転換を求めていく必要があります。
こういう点で、私達の企業年金は私達だけで守り切れるものではなく、視野
を広げて全日本年金者組合ほか受給者団体との連携、協同も必要となっ ています。国民の暮らしを直撃するアベノミクスや金融持株会社の規制緩 和などの政治の方向についても目を向けていく必要があります。
以上のようなめぐる情勢を踏まえて、次の運動方針によって活動を展開す
ることとします。
U.2017年の活動方針
1. 広報
(1) 会員向け「会報」の発行
私たちを取り巻く情勢、企業年金をめぐる動向、会の運営に関する報知、な
どについて二ヶ月ごとのペースで分かり易い内容で発行します。
会員からの寄稿を得て親しみやすい会報とするよう努めます。会員の要望
や意見などを聞く努力を強め紙面に反映します。
(2) ホームページの充実
パソコンやスマートフォンが普及し、インターネット利用者が多い状況に鑑
みて更に機敏的確な発信に努めます。多数の受給者に必要で正確な情報 を知らせます。「交流の場」、「Q&A」の項の内容充実に努め、受給者と双 方向型のコミュニケーシヨンをめざします。
レイアウトなどについても引続き改善に努めます。
(3)勉強会などの開催
企業年金の制度・動向などについて、さらに理解を深め情報を共有するた
めに適時に開催します。また、会員相互の交流ができる懇親会なども企画 します。
2. 組織
(1)受給者総数に比べて会員数は少なく、まだまだ緒についた段階です。リ
スク分担型DBが制度化されたことを考慮し更に会員の拡大に努めます。 会員皆様のご理解ご支援を頂きながら会員を更に広げていくことを目指し ます。
(2)受給者が全国的に散在していることを視野に入れて、首都圏以外の広
範な人達に入会を推奨します。
(3)入会に至らない受給者には会報の講読を推奨します。情報と知識の普
及共有に資すると共に会組織の裾野を広げることができます。
3. 他団体との連携
私たちの受給権は単独の取り組みでは守りきれものではなく、他団体との
連携と共同に努めます。
(1) 銀行年金守る会
都市銀行の退職者が自覚的に結集し、二ヶ月に一度の世話人会を開き機
関紙を発行しています。当会から参加する世話人を増やします。
(2) 企業年金受給権を守る連絡会
民間企業や私立大学の受給者有志が、受給権を守るために毎月会議を開
催して、情報交換、意見交換を行ない、勉強会や厚労省との質疑応答など 対外活動を行なっています。減額などで裁判中とか闘争中の団体・当事者 への支援も行なっています。
ホームページは随時更新し関係者・部外者への広報に努めています。当
会は`13年に加盟しており、引き続き共同していきます。
(3) 全日本年金者組合
全日本年金者組合ではマクロ経済スライドの廃止と最低保障年金の確立
を目指す大運動、「年金切り下げは憲法違反」の提訴に取り組んでいま す。
4. 会の運営
事務局が、会の目的と活動方針に基づいて日常的な運営を円滑に推進し
ます。
事務局は、ホームページの更新、会員の事務管理、会計事務、など行いま
す。
5. 財政
会の目的と活動方針を遂行するための必要経費は、入会金千円と翌年度
以降千円の会費および寄付金で賄います。
銀行が第3四半期決算発表
減益ながらも高水準の利益確保 (17.2.6)
2月3日に三菱UFJフィナンシャルグループ(MUFG)の第3四半期決算が
発表されました。
FGとしては通期(4〜12月)の純利益は7,869億円で7.7%の減益ですが、年
度目標の92.5%を既に達成したことになります。
銀行単体の純利益は4,505億円で12.6%の減益ですが、引き続き高水準で
す。9月末の狭義の内部留保である利益準備金だけでみても今期半年で 607億円増やし3兆2,921億円に達しています。(12月末は非開示)
マイナス金利が減益の主因
銀行の発表資料では資金利益がマイナス金利の影響もあって8.3%減収、
投信販売手数料などの役務取引等利益が4.3%減収となっています。
貸出金利回りは0.87%で前年同期の0.93%から更に低下、預貸金利回差は
前年同期の0.90%から当期0.86%へと更に縮小しています。(総資金利回り はこの四半期決算では非開示)
他方、営業費は0.3%の伸びにとどまりました(為替の影響は非開示)。経
費圧縮の効果が出ているものと考えられます。
株式売買では損失が3倍化の他方、売却益は60.3%増で差し引き37.5%の
増加です。自己資本比率規制の関係と金融庁方針で長期保有の株式は 売却推進なので荒っぽくなったのでしょうか。
日経新聞の報道では外国債券の含み益が九月末に3メガ合計で6,700億
円あったものが12月末には3,200億円の含み損に転落、その6割
がMUFGとのことです。昨年11月の米大統領選
挙後にアメリカの金利が急上昇したことが背景にあるとの指摘です。
海外傾斜での問題は?
このところ米大統領のツィッターでの指先介入・口先介入で様々な波紋が
各分野に及んでいます。
銀行は海外融資を増やし特にアメリカで増やし、金融業への規制緩和期待
から株価は上昇しましたが、米大統領に翻弄される面やリスクは
高まるのではないでしょうか。
米国での規制はリーマンショックを経て金融機関のリスクを抑えるためのも
のでしたから、
緩和といっても安心はできません。
また、儲ければよいという姿勢には批判も高まっています。既に核兵器関
連企業・火力発電会社等への融資には現地で3メガバンクに批判が高ま り、トランプが推進を命じた原油パイプライン計画にニューヨークで抗議デモ がありました。
銀行が目指すべき方向は?
アベノミクスが破綻しマイナス金利を含む金融政策が弊害をもたらすに至っ
ては、国債入札の特権返上に済まさず、日本の銀行として政府に本腰入 れて政策転換を求めるのが筋ではないでしょぅか。これぞ国民経済に資す る道です。
頭取は昨年四月の就任時、「金利低下が資金需要を直接喚起する効果は
大きくない」と述べつつも「資金需要を掘り起こし、赤字の中小企業も含め て融資拡大に取り組む」と日経新聞のインタビューで語りました。
巨額の利益は、顧客・従業員あってこそ稼げたものであり、サービス向上・
従業員処遇向上のために何をなすべきか、熟慮し実践することが経営陣に 強く求められていると考えられます。
厚労省がリスク分担型DBについて省令を公布!
受給権を守る運動は新たな段階へ (`16.12.16.)
リスク分担型DB(確定給付企業年金とは?… 一言で言えば "企業が自己責任で負
担すべき運用リスクを加入者・受給者に転嫁する仕組み" です。
重大な問題が様々にありますが、受給者にとって大問題の一つは、現役と企業が労使
合意で受給者の意思不問のまま、採り入れて受給権が侵害されることです。
このトンデモない厚労省案は5月に公表され、パブリックコメント=意見公募(行政法で官
公所に義務づけ)がありました。多くの問題点について当会も提出したのですが、なかな か公表されず、やっと12月14日に出ました。業界団体の他24人の個人からも出ていて 殆どが疑問・反対・批判の内容で、厚労省はこれに対する見解を示す義務があるのです が、肩透かしの回答が目立ちます。
厚労省は同日に6月の案を少し業界意見に即して微調整の上、正式に厚労省令として
公布、施行日は間髪を入れず来月1月1日としました。施行されても企業が導入するかど うかは別問題であり、これから受給権を守る運動の前進が一段と求められます。
受給者の意見に向き合わない厚労省
公募意見と厚労省見解のうち、特に受給者にとって重要なものを次に紹介します。
意見 確定給付企業年金は賃金の後払いである退職金を原資とした退職年金であり、企
業年金は企業と従業員との契約であるので、企業が責任をもつべきであって加入者・受 給者にリスクの分担を求めるべきではない。
意見 年金制度実施企業のリスク負担の軽減を中心としたものであり反対。
厚労省見解 確定給付企業年金は、事業主が従業員と給付の内容を約して行うもので
すので、両者の間でリスクをどのように分担するかについて労使で協議の上、各企業に おいて適切に決定すべきものと考えております。今般の改正により加入者・受給者への リスクの分担を一律に求めるものではありません。
当会コメント 厚労省は制度を作るだけで後は採否など労使が決めること、という姿勢で
す。財界意向に即して厚労省が作ったら企業が労使協調の組合と合意して導入するの が目に見えています。
法的根拠を問うても答えない!
意見 現在の受給者は退職時点で受給額は確定しており、後になって変更するのは憲法
第29条第1項の財産権の侵害となり許されない。リスク分担型企業年金への移行を労働 組合と企業が合意しても、受給者が運用の意思決定に参画したとしても、 参画していな い受給者にまで適用するのは受給権の侵害となる。企業年金の受給権をどう考えてい るのか。このような受給権の侵害ができる法的根拠はなにか。
厚労省見解 受給者のリスク分担型企業年金への移行においては、全受給権者に対し
て事前に給付設計の変更に関する十分な説明を行うことに加え、希望者には移行前の 給付を一時金で支給することとしています。
当会コメント まともに答えられず、受給権侵害を可能とする根拠を示せないことが明ら
かです。
「同意手続き不要」の根拠示せず!
意見 減額とならない移行なら A. 3分の2以上同意の手続きは不要、 B. 十分な説明、
C. 一時金の給付、 でリスク分担型DBに受給者が移行させられるが、Aの手続きは何故 不要と判断するのか。法的根拠はなにか。B十分な説明を履行させるにはどんな要件を 企業・基金に対して課すつもりなのか。C.一時金の算定が公正妥当なものとなる担保は 何か。
厚労省見解 リスク分担型企業年金への移行であって 給付減額に該当しない場合に
は、該当者から個別に同意を得る手続きは必要ないと考えています。受給者への説明 については、全受給者に対して事前に給付設計の 変更に関する十分な説明が必要と考 えています。一時金については、法令に基づき算定した最低積立基準額とすることで公 正性を確保します。
当会コメント これも答にならないもので呆れます。受給者の受給額は退職時に確定し
ており民法で定められている個別の債権です。変更には当然同意が必要です。無関係 の現役と企業とで変更するなんて権利侵害です。「説明」されても合意しない人に一時金 を出せばいい、というのも筋違いです。長生きして給付される分は打ち切りです。
なお、最低積立基準額は企業年金制度を終了・解散すると仮定した場合の分配額の算
定基礎で、予想合計額の現価(=予定利率を織り込んでの現在価値)として厚生労働省令 で算定する額です。
予定利率は30年国債の応募者利回りの直近5年平均を基に厚労大臣が定める率で、今
年度は1.76%です。但し、基金の代議員会または労使合意等により上記の率に0.8〜1.2 を乗じたものを用いることも可能、とされており、これ又、受給者の意思は不問で可!と いう仕組みです。
肩透かしの厚労省
意見 企業年金減額に該当する場合には受給者の三分の二以上の同意や最低積立て
基準額の支払いをすることで、受給権を保護するとしていますが、厚生労働省通達で認 めている同意者のみの減額を徹底するべき。一時金支払いでなく年金受給が出来る様 に制度を強化すべきと考えます。
(字数制限のため圧縮した当会事務局員の提出意見ですが、要するに厚労省案はリス
ク分担型に移行するか、嫌なら一時金か二者択一しかないので、従来通りの給付を受 ける選択肢を設けて受給者の意思を問うべき、減額でも不同意者には従来通りの給付 をすべき、という真意)
厚労省見解 本件はパブリックコメントの対象外であり、 既存制度に対するご意見とし
て承りました。 なお、従来より、受給権者の給付の額は、 原則として引下げの対象とす べきではなく、仮に引き下げる場合でも、確定給付企 業年金を存続するために真にや むを得ない場合に限り行うこととしています。
当会コメント リスク分担型DB移行は困る、従来通りの確定給付を!というのは当たり
前のことで意見を出したのに「対象外」と言う厚労省は余程答えに窮して、こう言う他な かったのでしょう。不当性が明らかです。
結局は財界意向通りに!
この新制度は 「労使合意で決めたリスク負担分の掛金を企業が出せば、後で不足金
が出ても現役と受給者に減額で負担させる。とにかく企業は後から追加拠出の義務は 無い。企業会計上は確定拠出年金と同じ扱い。しかし後で労使合意により追加拠出は 可能」 ということです。
組合の合意を得やすくするため変更可能としたのでしょうが、これでは導入後に隠れ債
務が出てくるため、企業会計基準委員会が4カ月間審議したものの、財界意向に即した 厚労省案通りになりました。
投資家の利益となることもいい加減にあしらい、企業利益最優先で現役・受給者には法
理も道理も通らないことを、法改定でなくて厚労省令で強行する理不尽は許されません。
国会議員が厚労大臣に質問書提出
まともに答えられない「回答」がありました(`16.12.26.)
厚労省は三月までに施行としていたので日本共産党・小池晃参議院議員が厚労大臣
に宛てて、重要問題に絞った質問書を14日に提出しました。偶然かどうか分りません が、同日に省令が公布されたのです。以下に質問書と回答、当会のコメントを併せてご 紹介します。
なお、当会が参加している「企業年金受給権を守る連絡会」では国政選挙の度に各政
党に公開質問状を出してきましたが、回答のある中で日本共産党が受給権を守る上で 最も筋道の通った回答を寄せており、同連絡会と厚労省との質疑応答(ヒアリング)の場 の設定でも小池議員と秘書に尽力頂いてきた経緯があります。
質 問 書
2016年12月14日
厚生労働大臣 塩崎恭久殿
参議院議員 小池 晃
厚生労働省が「リスク分担型確定給付企業年金」として、本年5月30日付で発表した厚
労省令案は、公的年金削減の補完と位置付けて企業年金において加入者・受給者に負 担を求めること、企業が積立不足に追加拠出を行なわない原則を会計基準に盛り込ん だこと、2001年の国会附帯決議にある支払保証制度を何ら組み込んでいないこと等を はじめ、本来企業が自己責任で負担すべきリスクを加入者・受給者に求めることから来 る重大な問題点があると指摘されている。
とりわけ特に重大なのは、民法・債権法の定めに反すると考えられる内容があり、企
業年金受給者・加入者から受給権の侵害になるとの批判が広がっていることから、以下 の質問に対して政府・厚労省の見解を示されたい。
厚労省令(案)では、「確定給付企業年金」から「リスク分担型確定給付企業年金」へ移
行する場合、減額とならない設計であっても不利益変更になる可能性があるとして、受 給者についてのみ「全受給者に対する事前の十分な説明」と「希望者には、年金給付に 代えて移行前の給付を一時金で支給」の二つの要件を定めている。
質問
一、この措置には、減額の場合に行うとしている、受給者の3分の2以上の同意が要件
とされていないのはどのような理由か。
回答 受給者の3分の2以上の同意は給付減額の場合の手続要件であり、リスク分担
型企業年金への移行で給付減額に該当する場合には必要となりますが、給付減額に該 当しない場合には要件としていません。
当会コメント 要件としない理由を質問したのに答えられないことが明確になりました。
二、仮に3分の2以上の同意があったとしても、残る不同意者の固有の受給権が侵害さ
れることとなるが、侵害可能とする法律上の根拠は何処にあるのか。
回答 確定給付企業年金法においては、受給者の給付を減額する場合には、受給者の
3分の2以上の同意を得た上で、受給者のうち希望者に対しては減額前の給付に相当 する一時金を支給する措置を講じることとして受給権に配慮しています
当会コメント 減額自体が受給権の侵害なのに 「一時金で配慮」 と言うのは不誠実な
肩透かしですが、回答不能を告白したのも同然です。
三、労使間合意によって受給者をリスク分担型確定給付企業年金へ移行させることが
可能との案であるが、受給者の意思を問うことなく可能とする法的根拠は何処にあるの か。
回答 確定給付企業年金の給付については、労使の合意に基づき規約に定めることと
しており、リスク分担型企業年金へ移行する場合においても同様です。その上で、受給 者の給付を減額する場合には、受給者の3分の2以上の同意を得ることとしています。
当会コメント 減額しない設計で移行しても後で減額になり得る新制度だからこそ質問
したのに、同意を得ないで良いという根拠を示せない有り様です。
四、移行にあたり、『受給者の意思は移行を異議なく受け入れることにより、または不同
意なら一時金を選択することによって確認できる』との見解が貴省から示されているが、 その場合、当初の規定通り死亡するまで給付を受けることを希望する受給者の意思は 不問に付すという見解か。
回答 リスク分担型企業年金に移行した場合には、規約で定めるところにより年金受給
開始時に設定した支給期間の給付を受けることができます。
当会コメント 移行に同意したら新規約に基づきリスク分担方式で給付するとの、言わ
ば当たり前の回答。訊いていないことへの言及であって、従来通りに終身給付を受けた い人の意思不問について問うた質問にまともに回答できない状況です。
五、「移行前の給付を一時金で支給」とあるが、この一時金の算定方法と根拠法規は何
か。
回答 確定給付企業年金法施行規則第6条の規定に基づき、当該受給権者に係る最低
積立基準額を一時金として支給することになります。
当会コメント 想定した回答ですが、肝心の一時金即ち「最低積立基準額」を定めてい
る確定給付企業年金法第60条に言及しないのは不親切不誠実と言えましょう。
六、厚労省令(案)での一時金は、現行規定では最低積立基準額であり、算定する際の
基礎率は現行省令の定めによること、希望する受給者への配分は平均余命によるこ と、とされるが、厚労省令(案)での一時金は、この現行規定の通りか。この場合、個々 人に死亡するまで給付と約定されている受給権が平均余命を超えて生存する者には保 障されない事態となる。
かかる受給権の侵害を可能とする根拠は現行法令のどこにあるのか。
回答 リスク分担型企業年金に移行する場合の一時金については、現行規定の通り最
低積立基準額を支給することになります。終身年金の場合の給付の総額は、結果として 個々人の余命に影響されますが、事前に個々人の余命は確定できないことから、当該 年金の給付に要する費用の予想額として平均死亡率等の客観的な指標を基に算定した 最低積立基準額としています。
なお、確定給付企業年金は、必ずしも終身年金を義務づけているものではありませ
ん。
当会コメント ここでも肝心の事に回答不能を露呈しています。つまり、終身年金で長
生きして多く給付される筈の人が平均値の計算によって途中打ち切りとなるのは受給権 の侵害でないかと問うたことに答えられないということです。
なお書き部分は言わずもがなのことを持ち出しており、質問に真面目に答えようという姿
勢が窺えません。
七、「全受給者に対する事前の十分な説明」とあるが、過去の事例では極めて不徹底な
実情にある。例えば、りそな銀行の減額提案の説明会は2004年1月に行われたが、全 国に散在する受給者に対し、限定された地域でのみ行われ、説明も不十分の上、質問 も制限され多くの疑問が残ったまま、減額が強行された。
政府・厚労省として、こうした過去の事例と実態をどのように把握しているのか。
是正すべき問題点は何だと考えるか。この「全受給者に対する事前の十分な説明」との
要件を文字通り担保する具体的な措置を、省令若しくはガイドライン等によって公正な客 観的規範として示す予定があるのか。
回答 規約の承認又は認可にあたっては、受給者に対する説明の内容や経過に関する
資料を求めて、確認をしています。説明が十分かどうかの判断については、個別の事案 やその当時の状況等を含めて総合的に判断する必要があると考えます。
当会コメント 全く不誠実です。りそな銀行の場合、説明不十分で重要な問題を残した
からこそ質問したのに無回答同然です。事後に「判断」しても無意味であり今後の十分な 説明を遂行させる具体的な担保を問うたのに答えていません。
全体として厚労省はまともな質問に向き合えず回答不能であることが明確です。この
新制度は財界意向に基づき練られたものであり、受給者のみならず現役にとっても理不 尽な制度です。 受給者・現役が連帯して引き続き受給権を守る運動を盛り上げ、厚労 省に対し追及することなどが必要です。
以下は下線の題字部分をクリックすると記事が展開できます。
2016.5.3.0.
2016年3月22日
企業年金受給権を守る連絡会の質問状に対して厚労省の
回答無し
前述の質問状の回答期限は一週間の猶予をつけて提出していますが、回答期限の3月
31日を過ぎて二週間ですが何の沙汰もありません。 16.4.14.記
最近の情勢の見方と会の方針を決定 (`16.2.17.)
年初来、金融市場が目まぐるしく変動し、企業年金の運用も懸念材料が出
てきましたし銀行の業績も色々と取り沙汰されるようになりました。他方、 厚労省は財界意向に即した「リスク分担型確定給付企業年金」の新設を急 いでいます。
2月17日の事務局会議で、情勢の見方と当会の方針を討議し決定ました
ので、ホームページトップ下左側四番目の見出し「考える会の方針」をご覧 下さい。
これからも引続く財界の攻勢
財界はAIJ事件を千載一遇の「好機」として、前々からの要求を通した訳ですが、これ
から更に何を狙っているのか?警戒が必要です。
厚労省は社会保障制度審議会の下部機構として企業年金部会を設置し、ここで今後の
「企業年金のあり方」というテーマで審議を重ねています。
私企業の人事制度である企業年金を、国の社会保障のテーマとしたのは「訳あり」で、
公的年金の縮小を前提に、企業年金の普及拡大を図るものです。国民の老後を考える なら公的年金の改善が本筋です。賃金が増えないまま自己拠出を増やすような制度づく りなら、誰に好都合なのか?問われます。
企業年金部会では、中小企業にも確定拠出年金を広げること、専業主婦にも個人型の
確定拠出年金適用可能とすることなど審議し、関係法の制定・改定を急いでいます。
銀行の新制度は脱法的
三菱東京UFJ銀行は従業員組合の合意を得て、「シニアライフプラン支援制度」という新
しい確定拠出年金を四月から開始することを昨秋決めました。
これは10千円を限度に給与を銀行に差し出す人に実施する「確定拠出企業年金」です。
法律では事業主が拠出すべきところを一円も出さないのに「拠出した」ことにするもので 法律の趣旨から外れており、いわば脱法的な仕組みです。
厚労省は「確定拠出年金はあくまでも事業主が拠出するもの、賃金規程を変え労使間で
合意の場合のみに認められる」との見解です。
銀行のこのような新制度は、財界・厚労省が国の年金先細りのなかで画策している「自
己責任」の確定拠出年金を更に巧妙な方式を開発したものです。これが他行他企業に 普及していくと金融市場に流入する投機資金が価格変動の振幅を強めるし、現役の手 取り賃金減=購買力の減退となり、日本経済にマイナスの要因となりかねません。
基本点に即して流されず受給権を守りましょう
以上のように振り返ると、退職年金の基本点を財界などが崩してきたことが浮かび上が
ります。そして一連の改変改悪に当って厚労省は一貫して受給権・受給者・現役を無視 ないし軽視してきました。
銀行は25年間も据え置いてきた退職金・年金を改善すべき責務があるのに、行員負担
の新制度導入では不満が出る可能性が高まります。銀行がこれをかわすために受給者 に対して何らかの改悪改変、例えばキャッシュバランスプランの導入など画策する可能 性もあり得ます。私たちとしては現役と対立する関係ではなく、同じ屋根の下で生計を立 てる間柄として連帯していきたいものです。
厚労省が企業年金部会で新制度作りを続行(`14.9.25)
企業年金について新政省令を公布(`14.4.12.更新)
四月一日付けで企業年金に関する新しい政省令が公布されました。
二年前に発覚したAIJ事件を契機に厚年基金の改廃を決めた厚生年金保険法の「改
正」部分の具体的施策を政省令として公布するものです。
内容は、財政状態の悪い厚生年金基金の解散、代行返上など多岐にわたり詳細に書か
れていますが、解散後に他の制度へ移行する場合の措置に関する定めがあります。
他の制度としては@確定給付企業年金、A確定拠出年金、B中小企業退職金共済が
示されています。
これらへの「移行支援」の措置が具体的に示されていますが、@確定給付企業年金につ
いては「キャッシュバランスプランの設計弾力化」などがあります。キャッシュバランスプ ランは市場金利などによって給付が不確定不安定となる仕組みで、既に二年前に三菱 東京UFJ銀行は現役に導入済みです。新政省令では、これまでのキャッシュバランスプ ランに定められていた諸規制が緩和される点が問題です。つまり、給付の額の算定に用 いられる予定利率の下限をゼロ以上(=ゼロであっても良い)、給付の額の再評価に用 いる率(指標)に、国債などの他に基金自身の運用実績を選択肢に加える、その指標は 単年度にマイナスになってもよい、ただし全期間通算でゼロ以上であればよい、とされて います。
このような緩和措置は財界が企業・基金のリスクと負担を軽減するために厚労省に要
求していた方針に添うものです。
新政省令に盛り込まれた新たな措置は現役にも現在の受給者・受給権者にも適用可能
です。銀行・基金が自動的に採用できるものではなく、現役については従業員組合の合 意が必要ですし、受給者・受給権者については基金規約の改定を提案し三分の二以上 の同意を得る必要があります。
企業年金部会が「企業年金のあり方」を審議予定 (14.5.12.)
社会保障審議会は、国の社会保障制度の充実のために設置されているものですが、現
実には後退させる議論を展開しています。このところ「公助」から「自助」へ重点を移す方 針を明確にしています。
この審議会の下部組織として設置された年金部会では、厚生年金の関係で昨年から厚
年基金の改廃に関する具体的措置を審議し、更に具体的なことは新設した「企業年金 部会」で審議してきましたが、厚年基金の受給権を侵害する内容を盛り込んだ新政省令 の公布で一段落したところです。
今後の予定では、四月から「企業年金のあり方」の審議に入る段取りでした。しかし何故
か四月は開かれず、今後の開催の予告もありません。
企業年金部会が、厚年基金とは関係の無い企業年金の分野にまで踏み込み、現役や
受給者に影響する施策を審議することには警戒を要します。委員には、経団連や日本 商工会議所の代表、年金業界、政府に重用されている学者が大多数を占め、労使協調 路線の労働団体から二人入っています。
昨年の厚労省の専門委員会では、企業年金より個人年金で老後保障を!との意見が
出ており、具体的にはアメリカのIRA、ドイツのリースター年金が紹介されています。
既に、日本生命など大手金融機関や学者が「日本版IRA」の提言を発表しており、この
中の一人である森戸英幸・慶大教授が企業年金部会の部会長代理に就いています。
これらの点について当ホームページ「交流の場」に寄稿を掲載しましたのでご覧下さい。
当会の情勢分析と今年度方針
2月19日に事務局会議を開催し、昨今の情勢について討議。昨年の活動を振り返りつつ
今年の方針を決めましたのでご報告します。(`14.3.6.)
T. 企業年金を巡る動向
1.全体的にどんな変化が?
安倍政権が「アベノミクス」と称する政策を推進してきたことにより、株高・円高・物価上
昇となって日本経済に変化が現れると共に、「社会保障と税の一体改革」路線で社会保 障後退、消費税増税など国民直撃の政策が推進されています。とりわけ、社会保障につ いて国の責任を投げ捨て公助から国民同士の共助、自己責任の自助へと転換させよう としていることは重大です。
既に、国民年金・厚生年金の減額が強行されていく下で、受給者は企業年金の維持に
関心と要求を高めつつあります。
企業年金でのこの間の重大な問題は、財界・経団連が政府・厚労省を動かし、企業が黒
字であっても一定条件の下で、受給者の給付を減額し易くするように省令を公布したの に続いて、厚労省は私達の確定給付企業年金を不安定な給付にし得る新たな制度作り に踏み込んできたことです。
「アベノミクス」の矛盾が綻び始めて、経済成長の見通しが立たず株価の変動激化、国
債暴落などリスクが高まるなかで、銀行が企業年金の負担とリスク軽減のために新たな 制度を導入する可能性を排除できないと考えられます。
既に受給者の暮らしが厳しくなりつつある今、当会は受給権を守るために、広範な受給
者に必要な情報を提供しつつ活動を展開します。
2. 財界はどんな言い分か?
財界の旗振り役・経団連は、企業の利益最優先で安倍政権に圧力を加え、公的年金を
含む社会保障改悪、消費税増税など推進させています。永年の賃上げ拒否が世論の批 判に晒されて今年はデフレ脱却のために賃上げ容認の姿勢を打ち出しました。しかし人 件費総額抑制の方針に変わりは無く、労働法制(派遣法、低賃金の限定正社員、残業 代なしの裁量労働制など)や企業年金の改悪などについて政府を突き上げています。
人件費抑え込みのために「社会保障の給付を増やすと企業の負担が増えて賃上げの妨
げになる。現役の社会保険料負担が増える」といった主張を並べ、現役と退職者の分断 も図っています。
規制改革要望も相変わらずで、昨年「今後の企業年金制度の在り方」を発表、現役向け
確定拠出年金の拡大、受給者を含めた給付減額要件の緩和などを引続き掲げて政府・ 厚労省に迫っており、これが現実に厚労省の施策案として審議会
などの場に持ち出されていることは重大です。
3.公的年金で政府・厚労省はどう動いたか?
政府は過去の物価下落時に年金額の減額をしなかった分として、昨年末から三年度に
わたる合計2.5%削減を決定、実施中です。これには国民の批判が高まり、全日本年金 者組合が不服審査請求の運動を展開し12万人を超える受給者が参加しました。
安倍政権は、受給者のみならず現役に対しても公的年金の改悪を企図し、将来の給付
開始年齢繰り延べ論を公然と打ち出しており、年金の問題は国民全層にわたる問題とし て一段と関心が高まってきました。
政権側やマスメディアには、現役と年金受給者との対立関係に持ち込む論も目立ちます
が、現役・受給者ともに連帯していくことが求められています。
安倍政権は前政権から引き継いだ「社会保障と税の一体改革」で現役・受給者ともに打
撃を与える政策を練りつつあり、世代各層が連帯していく必要も条件も広がっていること に留意したいものです。
4.企業年金で政府・厚労省はどう動いてきたか?
(1)二年前に発覚したAIJ事件を好機として、経団連は前々から狙っていた企業年金の
改悪方針を厚労省に実践させつつあります。
厚労省は12年9月に、黒字企業でも一定条件によって受給者の給付減額を可能とする
省令を公布したのに続いて、キャッシュバランスプランの「設計弾力化」などを新政省令 で今年四月から実施しようとしています。
これは確定給付企業年金の一類型としているものの、給付が不安定不確定な仕組みで
あり、確定給付企業年金法の定める目的条項にも背馳するものです。
一昨年来の政省令は、殆んどが厚年基金に関するため、銀行の受給者には「自分たち
の確定給付企業年金には関係ない」といった受け止めが多いのですが、@厚年基金で進 めている受給者・受給権の無視軽視は国民全体に及ぶ重大問題、Aこの姿勢が実は私たち 銀行受給者や現役にも重大な問題を作り出しつつある、という二点に注視が必要です。
@については、政府・財界寄りの委員達が、厚労省の会議で企業や基金を擁護する発
言を重ね、国家が受給者の受給権を侵害するという驚くべき施策を論じています。
国会では、受給権侵害とならないように「厚生年金基金の解散・移行に当たり、母体企
業が退職金規程等に基づく退職給付義務を履行するよう指導を行うこと」との付帯決議 までしたのに、厚労省は曖昧化する文書を示しています。この後退姿勢は受給権擁護と 相容れず許されないものです。
Aについては、既に導入されているキャッシュバランスプランの更なる「設計弾力化」は
現役に不利益をもたらすものであり、受給者に導入されれば受給権を侵害し、生活に響 くものです。また大企業を中心に現役には更に確定拠出年金へ移行させる動きが強まり つつあり、優遇視される受給者と現役を対立分断へ誘導する動きもあります。
また、国民意識の分断により「企業年金は贅沢」といった捉え方が依然としてあります
が、企業年金は退職金の延払いであること、確定した受給債権は法治国家として侵害 が許されないこと、など基本点について理解が広がるように努める必要があります。
こういう状況下、私たち受給者は現役との連帯も図りながら受給権を守る運動展開が必
要と考えられます。
(2)厚労省は、厚生年金基金の改廃に関連して、経団連のかねての
要求実現のために、社会保障審議会の下に企業年金部会を設けて、
@新たな政省令の公布とA新たな年金制度作りに取組んでいます。
@について厚労省は、企業・基金の利益を擁護する他方で、受給者・受給権について軽
視・無視の姿勢です。政省令案について意見公募した中に、「受給者の退職時に確定し たルールを後になって変更されては困る」「退職者の発言の場の確保を」「受託者責任 の強化を」「支払保証制度の早急確立を」といった意見があるのに対して、誠意の無い、 事実とも異なる見解を示しています。
Aについては、公助たるべき年金制度や企業年金を個人責任・自助の制度とする方向
を示し、四月から企業年金部会で「企業年金のあり方」をテーマに検討することを予告しI RAなど新たな施策・制度の導入を画策しています。
5. 銀行の経営実態と問題は?
三菱UFJフィナンシャルグループとしては近時、高水準の利益を挙げ、増配も決めてい
ます。傘下最大の三菱東京UFJ銀行は、13/4以降の第3四半期決算では税引後純利益 が4,240億円となり、前年同期比19%増の高水準の業績です。
この要因は株高により保有株式の減損処理と株式売買益増で1,414億円のプラス、景気
好転で貸倒引当金戻入れ648億円などがあります。しかし、これらは臨時損益での増益 であり、本業の業務純益は1,515億円減少しています。国債売却益が激減し1,083億円 にとどまった点が目立っていますが、本来の預貸業務では融資額の伸びにも関わらず 資金利益が90億円増にとどまっています。
こういう状況下で銀行の先行きとして次のような問題があります。
●国内融資は底打ちから回復傾向とされていますが、内需不振の下で設備投資低調の
ため融資伸び率が小幅だし、低金利政策の下で利鞘が縮小し続け、結局は本業での利 益増は期待できない問題を抱えています。
●株価は最近不安定な状況が続いています。アメリカが金融財政政策を少し変化させ
たことで国際的な投機資金の流れが変わり、新興国に打撃を与え、円高要因となるなど 株式市場の変動幅を増幅させています。
●アベノミクスが抱えている矛盾が綻び始め、公的年金減額、消費税増税、社会保障後
退、内需不振のまま更に物価上昇となると、日本経済は大きく混乱する可能性が強ま り、取引先の業績悪化で貸倒引当の増額など大幅減益、赤字の可能性も増え融資業務 のリスクも高まります。
放漫財政で国債暴落が懸念され債券・株式市場に当然波及し、銀行は株・債券の減
損処理で巨額減益のリスク大です。
●銀行は、アジアなどで海外進出を強めていますが、新興国の経済低迷により、海外融
資やM&Aに力を入れている銀行は新たなリスクを抱え込みます。
銀行は19年ぶりにベ・アに応ずるようですが、好業績と共にこれで受給者も安心か?と
言えば、むしろ逆と考えられます。人件費総額の圧縮に努めている銀行としてはベ・アの 経費増を何でカバーするか?が課題になり、企業年金が標的になり得ます。
企業年金については、積立不足を即時、決算に反映するルールに変更となったことも
あり、現受給者の確定給付企業年金をキャッシュバランスプランに移行し、現役に確定 拠出年金を導入する可能性があります。こういう場合、現役と受給者を対立関係に誘導 することも懸念されます。
金融のグローバル化進展の下で巨大銀行の経営陣はリスク覚悟で
収益を追求し政府に施策展開を求める立場にあり、私たち受給者と
しては動向を的確に捉えていくことが必要です。
6.銀行の企業年金基金はどんな状況?
基金は昨秋、前期の決算を発表しており、その特徴についても事務局会議で討議し会
報第17号に掲載しました。このホームページで不特定多数の方に開示することは差し控 えますので、受給者の方は当会にご入会のうえ、ご覧下さい。
7.現役や給者の気持は?
二年前、現役向けのキャッシュバランスプラン導入に際し、現役では不安感が高まった
他方で、若年では割り切る傾向や諦めなど、年代による差異が見られました。また受給 者との格差を問題視する状況もあり、分断されている傾向がありました。
受給者の中には、銀行の動きに対して知らないままの人達が多数いたし、知ったものの
「受給者は対象外」とのことで安心している人達や、不安感を払拭できない人達、受給権 を守る必要性は理解しつつも静観の人達、など様々な意識状況があります。
「アベノミクス」政策が進行する下で、基金の運用成果に期待する声が聞かれる他方で、
株価の乱高下と「社会保障と税の一体改革」で将来不安が増大していることなどから、 企業年金の水準維持を求める意識が広がりつつあります。国の年金減額に対する審査 請求運動には一部分ながら「打てば響く」ように加わる人が会員以外にもいたのは心強 いことです。
しかし、厚労省の本格的な受給権侵害の政策は殆んど知られていないことに留意しつつ
会の活動を次のように展開していきます。
U.2014年の活動方針
1. 広報
(1) 会員向け「会報」の発行
私たちを取り巻く情勢、企業年金をめぐる動向、会の運営に関する報知、などについて
二ヶ月ごとのペースで分かり易い内容で発行します。
会員との対話に努め、要望や意見などを聞く努力を強め紙面に反映します。
(2) ホームページの充実
アクセスは11,000を超えました。パソコンの普及率、インターネット活用者が多い状況に
鑑みて更に、普及に努めます。
多数の受給者に適切正確な情報を迅速に知らせます。「交流の場」、「Q&A」の項の内
容充実に努め、受給者と双方向型のコミュニケーシヨンをめざします。
レイアウトなどについても引続き改善に努めます。
(3)勉強会などの開催
企業年金の制度・動向などについて、さらに理解を深め情報を共有するために適時に開
催します。また、会員相互の交流ができるリクリエーションを企画、実行します。
2. 組織
(1)受給者総数に比べて会員数は緒についた段階です。引続き会員の拡大に努めます。
会員自身にも理解支援を頂きながら会員を更に広げていくことを目指します。
(2)受給者が全国的に散在していることを視野に入れて、首都圏以外の広範な人達に入
会を推奨します。
3. 他団体との連携
私たちの受給権は単独の取り組みでは守りきれないので、他団体との連携と共同に努
めます。
(1) 銀行年金守る会―都市銀行の退職者が自覚的に結集し二ヶ月に一度の世話人会
を開き機関紙を発行しています。当会から参加する世話人を増やします。
(2) 企業年金受給権を守る連絡会―民間企業受給者や大学教職員受給者の有志が、
裁判提訴中とか牽制中の状況にあり、15団体が毎月会議を開催、情報交換、意見交換 を行ない、シンポジゥムや勉強会も開催してきました。
ホームページは随時更新し関係者・部外者への広報に努めています。当会は昨年、正
式に参加しており、引き続き共同していきます。
4. 会の運営
事務局が、会の目的と活動方針に基づいて日常的な運営を円滑に推進します。
事務局は、ホームページの記事掲載、更新、会員の事務管理、会計事務、などを遂行し
ます。
5. 財政
会の目的と活動方針を実践するための必要経費は、入会金千円と翌年度以降千円の
会費および寄付金で賄います。
国の年金減額に不服の審査請求12万人超!
(`14.3.6.)
国民年金、厚生年金などの支給額削減を不服としての審査請求運動が全日本年金者
組合の取組みで大きく盛り上がりました。一月末のいっせい提出日には全国各地の年 金事務所・厚生局で116千人が請求書を提出しました。締め切り後も届けられ120千人 を超えました。当会関係でも60人を超え、ご協力を頂いた会員の皆さんにお礼申し上げ ます。
不当な削減
昨年の年金削減は、一昨年の国会で自民、民主、公明が強行した消費税増税・社会保
障「一体改革」関連法に基づくものです。
年金削減の理由にしている"過去の物価下落時に年金額を下げなかった"という言い分
は実態とかけ離れています。物価下落幅が大きいのは、大型テレビやパソコンなど高齢 者が頻繁に購入するものではありません。むしろ高齢者に関わりの深い医療や介護の 保険料などは大幅に引上げられて来ました。過去に年金引下げを見送ったのも、当時 の政府と国会が"消費を冷やし、景気に悪影響"と判断したからです。今になって"年金 貰い過ぎ"と言い立てるのは筋が通りません。
これからも
今、円安がもたらす輸入材料高騰で食品の値上げラッシュが押し寄せています。電気、
ガス、灯油、ガソリンなどの価格引き上げは節約だけではどうにもなりません。日銀は14 年度の物価上昇見通しを3.3%としています。近年にない物価高と負担増の時代になると いうのに高齢者の命綱を削ることは逆行です。
消費税増税の実施と抱き合わせで、増税で直撃される高齢者の年金を減らすこと自
体、「消費税は福祉のため」という口実が崩れていることを示しています。
年金受給者は、現役時代に税金や保険料を苦労して負担し、年金はじめ日本の社会
保障を長年支えてきた人たちです。その努力に報い、老後の安心を確保することは政治 の最低限の責任です。低年金・無年金への対策を強めることこそが急がれるのに、わず かな年金まで容赦なく削減し続けることは年金不信を高める結果にしかなりません。
「年金を削らないと若い人達の負担が増す」と若い層を守るような言い草も喧伝されます
が、今の水準切り下げはいずれ後で「若かった層」に適用されるものであって誤魔化さ れる訳にいきません。
次の引下げ
安倍政権は今年4月分から更に第二弾として1%減らす(6月振込み分から実施)ことを決
めています。ただし、国民年金法・厚生年金保険法に規定されている年度初めの見直し (=過去の物価・賃金統計に基づき算定)分で0.3%引上げるので差し引き0.7%減らすとの 発表です。
受給中の人の年金額は購買力を維持するため物価変動率により、改定されます。ただ
し、給付と負担の長期的な均衡を保つなどの観点などから、賃金水準の変動よりも物価 水準の変動が大きい場合、「名目手取り賃金変動率」で改訂する定めです。
14 年度は、名目手取り賃金変動率(0.3 %)よりも物価変動率(0.4 %)が高くなるた
め、低い前者を用いての改訂です。
法律の定め、理屈としては通る一面があるものの、割り切れなさが残ります。実際には
消費者物価が上り、日銀が14年度の物価上昇見通しを3.3%としている他方で、賃上げ は定かではありません。
連合が1%以上の賃上げを要求している状況下、現役には大いに頑張ってもらいたいも
のです。ちなみに銀行の従業員組合は19年振りのベ・アを目指すとのことです。
年金削減不服審査請求IO万人提出に際しての声明 20
14年1月31日 全日本年金者組合
「食べるだけで年金は消える」「これ以上何を節約できるのか」「年金は絶対減らさないで
ほしい」。高齢者の悲鳴です。
年金切り下げに不服を申し立てようという年金者組合の呼びかけに対する高齢者の反
応は、驚くほど強いものでした。12月初旬の年金額改定通知以来、全国の年金者組合 員の熱心な働きかけもあって、2ケ月足らずの間に11万を超える請求書が集まりまし た。日本の社会の中でかつてなかった大規模な不服審査請求です。
取り組みの中で、私たちは改めて、今の高齢者の暮らしの苦しい実態を痛感しました。
日本では、基礎年金のみを含め、月額10万円以下の受給者が半数近くです。広範な低 年金者の存在が日本の実状です。保険料が高い、光熱費が高い、医療費がかかる、死 ぬまで働かざるを得ない。こうした高齢者に対する情け容赦ない、年金額の連続的な引 き下げは、過酷なものであり、不当と言う他ありません。
4月には消費税が上がり、今度の国会では、医療・介護の改悪も企まれています。マク
ロ経済スライドによる年金削減も予定されています。
年金者組合はこうした高齢者いじめの政治に断固として反対します。年金削減は断固
として認めず、闘い続けます。現在の高齢者も、将来の高齢者も、安心して暮らせる最 低保障年金の確立に力を注ぎます。世代間の対立感情を煽りながらの、社会保障の改 悪を許しません。
全ての世代の人々と連帯を強め、仲間を増やし、安心できる高齢者のために全力をあ
げます。
ご紹介 年金者組合とは?
「全日本年金者組合」は、1989年に創立されました。イタリアでは半世紀前に結成され
ており、運動を展開している実情を知った有志が、日本の公的年金制度の不十分な状 況を改善しなければ、と考えて運動を始めたものです。運動の基本、方向は次の綱領に 掲げています。
全日本年金者組合 綱領
日本国憲法は、すべての国民が個人として尊ばれ、平和のうちに生存する権利を保障し
ています。
私たち全日本年金者組合は、この憲法の理念を守り発展させ、より自由により豊かに
生きていける社会をめざします。
私たちは、高齢者をはじめすべての人にひらかれた組織として、思想・信条の違いをこ
え団結して行動します。
(1)私たちは、要求で結集し、みんなの力を出し合ってその実現をはかり、心身とも
に健康で楽しい高齢期をつくり出します。
(2)私たちは、国と大企業の責任ですべての国民が健康で文化的な生活を保障される
よう、年金・医療・介護・福祉など社会保障制度の確立をめざします。
(3)私たちは、全国の地域に根をはり、地域を基礎に運動をすすめます。
(4)私たちは、労働組合をはじめ要求で一致するすべての団体と共同し、世界の高齢
者や働く人とも手をとりあってすすみます。
(5)私たちは、核兵器のない平和・中立・の日本を建設し、美しい地球を子や孫に残
します。
(6)私たちは、日本の政治、経済、教育、文化の民主化のために力をつくします。
運動経過
年金者組合は、「消えた年金」を取り戻す運動や、後期高齢者医療制度の廃止を求め
る運動に力を尽くしてきました。後期高齢者医療制度では、署名、座り込み、 集会、自 治体要請行動、国会要請行動、行政不服審査請求の取り組みなど、全国で大きな運動 を展開しました。マスコミにも登場するようになりました。
今は、生活必需品の値上がりに合わせて、無年金・低年金者に生活支援金を支給す
る運動などをしており、先般は年金減額への不服審査いっせい請求で存在感を示しまし た。
増税、医療、介護、年金など、高齢者に大きな負担が押しつけられ、高齢者の間に貧困
が広がっています。年金者組合は、高齢者が安心して暮らせる社会を目指して、運動を 展開しています。
また、一人ぼっちの高齢者をなくし、みんなで、生きがいや、楽しみ、趣味などで生き生
きと暮らせるように、それぞれの地域の支部が活動しています。
基本的には公的年金改善を中心課題とし、地域・自治体を基礎に活動していますが、り
そな銀行の企業年金減額が強行されたのを契機に、産業別に組織をつくることが認めら れ、東京では千代田支部に金融班が作られました。ここには銀行・保険会社で働いてい た受給者が参加し、毎月ニュースを出し活動を行なっています。
全国の現在の支部数は896、組合員数は113千人です。
地域支部または金融班に加入ご希望の方は事務局員にお申し出下さるか、ホームペー
ジトップのメールアドレスへご連絡下さい。
国の年金引下げに、不服申し立ての運動が取組まれています
(`14.1.4.)
年金機構から12月に一枚の葉書が届きました。基礎・厚生年金の「特例水準解消」とい
うことで10月分から1%減額との通告です。
12月支払分から1%、2014年4月分から1%、2015年4月分から0.5%の引下げ予定です。
引下げの理由は、2000〜02年の消費者物価の下落で減額すべき分が2.5%に達してい
たのに、据え置いてきたから下げるというものです。物価下落といってもTV、パソコン、 エアコン、冷蔵庫などであって、高齢者に縁が薄く、直接響く健康保険料、介護保険料な どは上昇していました。そこで当時「現下の社会情勢に鑑み…高齢者の生活に配慮」し て
「特例水準」として据え置かれてきたのです。
年金引下げはまだ続く?
この「特例水準」が解消されると、その後25年以上にわたって「マクロ経済スライド」のス
ライド調整により毎年1%以上の年金引下げが続けられる見込みです。「百年安心」との 触れ込みで04年に自公政権が仕組んだ「マクロ経済スライド条項」のせいです。
当時のマクロ経済の数値から計算して物価上昇分から0.9%差し引く、と報じられましたが
0.9%は固定的なものでなく5年毎の財政検証で数値は変わるものであり、09年のマクロ 経済統計指標では1.2〜1.3%程度と試算されています。
したがって、本来は物価が2%上がったら年金も2%上がるところ、1.2〜1.3%程度を引かれ
る、それも基礎年金については25年間続けないと年金財政が持たない、と試算されたの です。
04年改定時、自公政権が打ち上げた「百年安心」のいい加減さを当時、少数議員の野
党が国会で批判しましたが、直ぐに的中した訳です。
「特例水準解消」だけでも、厚労省の発表で標準世帯(平均的な給与で40年間厚生年金
に加入した夫と40年間専業主婦を続けた妻の世帯)で年額7万円以上の年金引下げで す。さらに二段階の消費税増税が予定されており、この標準世帯の場合、約13万円の 税負担増となります。往復ビンタで約20万円が消える訳です。
不服申立の道―審査請求
これでは、消費税増税や社会保障制度改悪などと併せると、年金生活者の暮らしが立
ち行かないだけでなく、家計消費が低下し日本経済にも大きな悪影響が及びます。
こうした重大な問題について、日本で唯一の年金受給者の団体である「全日本年金者組
合」(組合員113千人、896支部、http://www.nenkinsha-u.org/)では目下、「行政不服 審査請求運動」を取組んでいます。これは「行政不服審査法」に定められているもので、 行政庁が行なった違法または不当な処分(決定)に対して不服申立ての道を開くことによ り、簡易迅速な手続による国民の権利利益の救済を図ると共に、行政の適正な運営を 確保することを目的とするものです。
年金者組合では、この法律に基づき、全国的に10万人規模での審査請求をめざしPRと
請求書の集約に取組んでいます。
これにはマスコミも注目し、例えば「週刊ポスト」は「全面的に支持します」との特集記事
を出しました(10/18号)。
「特例措置」解消の法律を廃止する立法が必要ですが、現在の国会の議席状況を考慮
すると、先ずこの審査請求で、年金引下げの流れを変え、社会保障制度の解体政策の 転換を迫る意義があります。この年金減額が消費税増税なども加えると、日本経済の先 行きに悪影響を及ぼすことは世論となりつつあり、14年4月予定の1%引下げは0.6%程度 に留める可能性が政府内で検討されている、との観測が一部の新聞に報道されるに至 りました(26日付の日経新聞)。
引下げストップに大義あり!
年金減額のストップは、今の年金受給者だけでなく、現役の人たちの将来の年金を確保
するためにも重要な意味をもつものです。「今の受給者は現役よりも恵まれている、財政 難だから引下げは当然」といった意見が多いように喧伝されていますが、いったん引き 下げると回復が困難ですから、現役も受給者も同じ土俵に立つ必要があります。
また、国の年金について多数の受給者が異議を唱える声と力が、企業年金受給者の中
からも盛り上がることは、企業年金の受給権を守る意識へと広げ、運動の土台を強める ことが可能となります。
年金の減額は家計に打撃を与えて日本経済の成長を妨げる要因となりますし、貧困と
格差を更に深刻にしていきます。よく持ち出される財政難や人口減少をもたらした真の 要因は何か?受給者・現役共に一緒になって考えて立ち向かい、政治の転換を求めて ゆく必要があるのではないでしょうか。
12月初旬に「年金額改定通知書」が送られてきてから審査請求書を各地管轄年金事務
所に提出する期限は60日以内になっています。全日本年金者組合東京本部では、各都 道府県の分も含めて一括して厚生労働省本省に1月下旬に提出することにしています。
この方法で提出ご希望の方はホームページトップ記載の当会メールアドレスにご照会下
さい。ご案内します。
勉強会を開催しました。
10月31日に開催された勉強会では、気軽に率直な質問が出され、丁寧に回答しました。主なQ
&Aは別項「Q&A」に紹介しています。
最近の動き
基金だよりて゛「決算のお知らせ」が出ました
(`13.10.1)
今年三月期の基金の決算概要が9月20日、受給者へ送付されましたが、基金だよりの解
説は簡単すぎることもあり、また、年金基金の決算は企業会計と異なる面があり、さらに読み 取り難い面があります。
運用は他の基金同様に好調でしたが、過去の決算推移も併せて長期的に見つめること、収支
構造に内在するリスクや不安定性などの問題点も見ておくことが必要です。
詳しくは、本頁で不特定多数の方にお示しすることは控え、退職者であることが明確な当会
会員に限定発行している「会報」に、用語の解説と共に掲載しました。どうぞご入会のうえ、ご 覧下さい。(入会手続きはこのホームページのトップ頁の下半分に表示の「ご入会案内」)を開 けて手続きできます)
なお、決算に用いられている用語については「Q&A」の頁にトラブルが発生しましたので、以下
に掲載します。
基金決算の用語について
基金の決算を見る場合、企業会計と異なる言葉や意味があります。違いも含めてポイントに
ついて以下に記します。
貸借対照表の用語
基金の貸借対照表は、年度末において、左側(借方)に固定資産、流動資産、もし不足金があ
れば基本金(不足金)と表示され、右側(貸方)に責任準備金、支払備金、基本金が表示されま す。
責任準備金は、これまで表示されていた数理債務から未償却過去勤務債務残高を差し引いて
計上するルールに変更されました。
基本金
基金としての蓄積は次の算式で得られます。
基本金=固定資産+流動資産−責任準備金+支払備金
基本金は、当年度剰余金と、これ迄の蓄積である別途積立金と区別して表示されます。
責任準備金
将来の給付のために現時点で保有しておかなければならない理論上の積立金のことで、右側
の負債勘定に示されます。
これは理論上ということであって、企業会計の負債なら請求に備えて資金手当てを必要とする
性格のものとは異なります。実際の年金資産と比較可能な「理論上の積立金」を表していま す。
過去勤務債務、未償却過去勤務債務残高
制度発足前の勤務期間も、将来に給付すべき期間(=過去勤務期間)
とするので、これを通算すると、その分の年金費用が積立不足になり
ます。この不足分を過去勤務債務といいます。
しかし、基金財政の計算ではこの概念が拡張されて、財政決算で発生する不足金なども含
め、過去の期間に生じた債務の全て、と定義されています。
つまり、過去勤務債務は、財政再計算(平均余命なども織り込む)、制度変更、給付水準の改
定、給付増額などによっても発生します。
運用利回りが予定利率を下回った時に発生する利差損も過去勤務債務です。2012/3期(=平
成24/3期)は現役にキャッシュバランスプランを導入した結果、未償却の過去勤務債務残高は 減少しました。つまり銀行にとっては負担が減少したということです。
大枠では、数理債務−年金資産と計算されます。
過去勤務債務は通常の掛金とは別に「過去勤務掛金」を定め計画的に償却します。
この部分の償却が済んでいない残高が未償却過去勤務債務残高です。これは基金が銀行に
対して保有する債権となります。
償却の方法は三通り定められていますが、当基金の場合はどの方法か開示されていません。
数理債務
将来の年金給付のために、期末時点で積み立てていなければならない積立金の必要額です。
ただし企業会計の負債と異なり、すぐ資金を必要とする性格のものではなく、理論上の数値の ため、数理債務と表現されます。
年金受給中の人、受給年齢到達まで待期中の人(待機とは言わない)、加入者(=現役)の各人
それぞれについて、ある時点(例えば決算期末)を基準として、将来にわたって発生することが 見込まれる「年金債務」の現在価値から、将来に収入が見込まれる「標準掛金収入」の現在価 値を差し引いた額です。
基金では、将来の給付を賄うため、基本的にこの数理債務に見合う資産を保有していることが
求められます。
支払備金…期末時点で支払いが済んでいない給付金です。
基本金(別途積立金)
将来の不足金に充当するなどのために積み立てておく利益金の留保額です。
損益計算書の用語
当年度の収入と支出の差額が当年度不足金または当年度剰余金として表示されます。
但し、これらは企業会計の損益計算とは異なり、資金運用損益の他に数理債務の内容の反
映や銀行からの拠出金を含めるなど、独自の金額の出入りという面があることに留意が必要 です。
掛金等収入
加入員(=現役)および銀行からの掛金収入です。過去八期の推移
を見ると減少傾向にあります。
運用収益
市況の変動との関連で大きく増減します。損失が出れば、これとは別建てで計上表示されま
す。両方を比較し、差し引き結果で過去の運用成績を見ることも必要になります。
責任準備金減少額
貸借対照表の右側に示される金額(=数理債務から未償却過去勤務債務残高を控除)の減少
額です。資金の動きがありませんが、基金にとって負債の減少として収入に計上します。
運用報酬等
運用を委託している信託銀行、生命保険会社、投資顧問会社などに支払う手数料です。管理
と運用の対価であり、運用の成果が単純に比例して成功報酬的に支払われるものではありま せん。
厚労省が企業年金部会を設置―何を狙うのか?
(`13.10.1)
9月26日、厚労省は突然、社会保障審議会の下に企業年金部会を設置すると発表しました。
厚年基金の改廃を決めた、いわゆる「健全化法」について来年4月の施行までに詳細な制度
設計の検討を進める必要があり、厚年基金に係る特例解散の認定等は、社会保障審議会の 意見を聴くことが定められています。
しかし、厚労省はこれを超えて、健全化法の施行に向けた準備と併せて「公的年金制度の在
り方の議論を踏まえつつ、今後の確定給付企業年金制度や確定拠出年金制度等の企業年金 制度全般の在り方等についてもより専門的な見地から議論を進めていく必要がある。このた め、社会保障審議会に、企業年金制度等についてご審議戴く専門の部会を設置する」との趣 旨を述べています。
国の年金である厚生年金の基金制度に関する部分をあれこれ整備するのは判りますが、代
行返上して純然たる私企業の退職年金となっている制度についてまで今更、国が何をどうしよ うというのでしょうか。
これまで明らかになったように、政府の社会保障政策は、財政上の困難から基本を「公助か
ら共助へ、そして自助へ」と移してゆき、「自己責任」へ誘導することにありますから、企業年金 制度の在り方についても、そうした方向(企業の負担と責任を軽減し現役や受給者に転嫁)へ 誘導するものと考えられます。
実際に、厚労省は昨年11月、「企業年金の持続可能性を高めるための施策の推進」を掲げ
てキャッシュバランスプランの更なる設計弾力化などのメニューを専門委員会に諮ったので す。
これは企業・基金の負担を軽減するもので、この試案に対して経団連は「今後の企業年金制
度の在り方について」の文書で「公的年金だけでは、将来安定した老後生活を送ることが難し くなる見通しとなる中で、自助努力によって退職後資産を準備する必要性は高まっており、企 業年金をはじめとする私的年金の普及・拡大が求められている」との主張を前提に具体的提 案をしていますから、こうした提案項目の具体化が検討されていく方向性が見えてきます。
専門委員の中からは賛成の他方で不賛成の意見が出ていましたが、厚労省としては企業年
金部会で更にお墨付きを得て詳しい設計を行い、実施するものと考えられます。
企業年金部会は10月から始まる模様ですが、その討議内容と取り纏めが現役・退職者に対
してどんな影響を及ぼすものなのか、注視、警戒していく必要があります。
確定給付企業年金を改変する動き (`13.9.15.)
AIJ事件を契機に国会が六月に厚生年金基金を改廃する法改定を議決したのを受けて、厚生
労働省は確定給付企業年金までも改変(実質改悪)する新しい政省令を出そうと今、大車輪で 動いています。(施行は来年四月を予定)
本記事では、国会と厚生労働省の動向について記します。
企業年金は平たく言えば退職年金です。企業で働いて得た対価であって、賃金の後払いであ
る退職金のそのまた後払いです。
この基本点を考えますと、「企業の業績や基金の運用成果で減らされることはあり得る」とか、
「市況が悪ければ減額は仕方が無い」ということにはなりません。
この点では、先の国会でこの本質を認めた質疑があります。
厚労大臣の重い答弁
高橋千鶴子衆院議員(日本共産党)が「企業年金は賃金の後払いであり、賃金の一部である、
だからこそ受給権が保護されるのは大前提である」と質問し田村厚労大臣が「労働契約といい ますか、就業規則等々に書かれておったりですとか契約されている場合には、そういうふうに なるわけでございます」と答弁しました(5月17日衆院厚労委員会)。少し歯切れのよくない表現 ですが、認めたのです。
この基本に立てば、企業年金受給者への減額は、後払いである賃金の一部不払いとなり、一
般的な賃金の不払いと本質的に同じ面があります。
賃金不払いは法律違反であり厚労省は厳格に指導監督の責任をもって対処します。倒産など
で困った労働者が国に要請すれば国が賃金を立替える制度を作っている程の重要性があり ます。
退職年金は労務提供が終了した後の金銭債権です。勤務が終った後で約束した対価の支払
いを減らすのは無茶です。提供の後に受け取る債権は後で変更できません。食堂で客が食事 した後になって、支払いを減らせ!と言うのが通らないのと同様です。現役の賃金とは異なる 面はあるものの、企業の支払義務と法的基本点を踏まえ、受給者が弱気になったり翻弄され たりしないようにする必要があります。
国会決議に沿わぬ厚労省
先の国会で厚生年金保険法の改定の折、こういう本質も踏まえて「政府は本法の施行にあた
り次の事項について適切な措置を講ずるべき」とする附帯決議の第三項目で「厚生年金基金 の解散・移行に当たり、母体企業が退職金規程等に基づく退職給付義務を履行するよう指導 を行うこと」を掲げました。基金による退職年金支払いが、減額やゼロになっても他の方法で 企業は支払い義務がある、ということです。
しかしながら厚労省は、今般の厚生年金基金改廃の措置について「FAQ」(=Frequently
Asked Questions=よく尋ねられる質問)という文書を出し解説した中で
「退職金規程に基づき、労使間で適切な対応がなされるよう、厚生労働省としても基金の解散
に向けた指導を行う中で関係者に周知を図っていきたいと考えています」と述べています。
附帯決議の文脈からすると「指導を行う」中心点は、退職給付義務の履行についての筈なの
に、基金解散の指導にすりかえていませんか。
受給者を無視軽視
厚労省は今回の措置を推進しようと各地方厚生局ごとにブロック説明会を開催しましたが、企
業や基金を集めるものの、当事者である受給者は外しています。「丁寧な説明」を基金に行わ せるとし、その説明対象から受給者が欠落しています。基金や企業の「説明」に納得できない 受給者が出てくることは考えていないようです。
自選の専門委員にも背馳
昨年、厚労省は財界注文に基づく「試案」を専門委員会に提出、この中に「キャッシュバランス
プランの設計弾力化」を盛り込みました。
基準利率の下限は、加入から退職までの全期間通算でゼロ以上ならば各年度マイナスでも
可、指標としては国債などの他に「運用実績」を選択しても可、という内容です。こうなると個別 の基金が赤字運用となっても、この実績を基準指標にして以後の給付を決めるということです から、マイナス利率が基準にされてはたまりません。
これに対して、厚労省自ら都合よく選んだ専門委員会の意見書には、反対の意見が併記され
ていました。しかし、厚労省は自らの「試案」の施策を新省令に盛り込もうと目下準備中です。
もともとキャッシュバランスプラン(以下CB)は給付額が変動する制度です。確定給付企業年金
法の第1条「公的年金の給付と相まって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目 的とする」と合致していましょうか。不確定不安定な給付なのに確定給付企業年金の区分に入 れることからして欺瞞的です。
退職時に確定した金額を不確定にし、結果として受給権=金銭債権が履行されないリスクが
発生します。市況や運用成績の悪化で企業・基金が債務不履行になる可能性がでてきます。
CBを導入する企業は受給者の不安を抑えるため、大抵が「市場金利の変動により減ることも
あるが増えることもある」と説得しています。
老後の暮らしを市場金利の変動や基金の運用実績に応じて変動できましょうか?安定した暮
らしが先行き望めましょうか?「弾力化」の措置は、受給者の利益や権利は考えず、企業サイ ドに立つ厚労省の姿勢が浮き彫りです。
今後の改悪段取り
厚生労働省は新しい政省令案を九月中に発表し、パブリックコメント(=意見公募)を行った上
で10月以降に公布し、来年四月からの施行見込み、としています。
AIJ事件や厚生年金基金の改変については新聞報道がありましたが、ついでに確定給付企業
年金をも改変することは奇妙なことに報道されていません。
パブリックコメントは、「国の行政機関が政令や省令等を定めようとする際に、事前に、広く一
般から意見を募り、その意見を考慮することにより、行政運営の公正さの確保と透明性の向 上を図り、国民の権利利益の保護に役立てることを目的」としています。
厚労省が政省令案を発表したら、このホームページでもご紹介しますので、大いに意見を寄せ
ていきたいものです。
国会審議と厚労省の重大な問題点 (`13.8.17.)
詳しくは上の見出しをクリックしてください。
企業年金連絡会が各党へ質問状 (`13.7.12.)
企業年金について各党への公開質問状 (`13.7.1.)
このホームページの「企業年金受給権を守る連絡会」の頁に質問状の内容を紹介していま
す。
六月末を回答期限とし、自民党、民主党、日本共産党から期限内に回答があり、7月1日に
社民党からありました。回答はこのホームページのリンク先に記してあります「企業年金受給 権を守る連絡会」のホームページ
http://www.ki-nennkin.info/kigyounenkin/Home.htmlをご覧下さい。
厚生年金基金の改廃法律が成立 (2013.6.22)
私たちの企業年金にも重大な及ぶ問題が…
。
厚労省の試案に専門委員会が「意見書」 `13.2.9.
(汐留)
経団連が新提言 (`13.1.29.)
(2012.12.4.)
以下の記事内容は下記題字の部分をクリックして下さい。
`12.7.24.
AIJ問題を「好機」として
退職者の給付減額に進まないか? (`12.6.)
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