|
リーマン・ショック後10年、危機再来は?
アベノミクスの間違い転換を! 稲邑明也(18.9.15.)
リーマン・ショックから10年目となる9月に入って、今また危機が再来するのでないか、と
経済紙・誌では警戒、警告する論評が増えてきた観があります。
10年前の危機で各国が協調して財政支出を増やし、金融緩和の措置を取りましたが、
その後バブル化が進み今や金融緩和の是正措置など米国・EUなどで取られていますが 日本はアベノミクス下、迷走中です。
更に、トランプのために色々と新たなリスクが膨れ上がって複雑な様相ですが、暮らしや
虎の子に響いてくる看過できない局面ではないでしょうか。
「株なんぞ無縁」という人でも、アベノミクスで日銀や年金積立運用のGPIFが、巨額の株
投資をやっていますから無縁ではあり得なくなっています。
大銀行も懸念のリスク
大企業・大銀行は海外展開している関係で一段と危機に敏感です。三菱UFJフィナンシ
ャルグループ平野社長は、大きなリスクとして@金融緩和からの出口戦略が引き起こす 市場のボラティリティー(株式などの価格の変動率・変動性)、A通商問題、B地政学的リ スクの3点を挙げています(MUFG Report 2018)。
トランプ米大統領が仕掛けた貿易戦争、新興国の通貨下落など、次々と生起してくる問
題は玉突き的に影響し、日本への本格的波及も懸念されています。
アメリカの利上げを契機とする新興国の通貨下落は大幅で、例えばアルゼンチンは政
策金利を60%(桁違いでない!)としたのに、ペソが年初から40%超の下落。BRICs各国でも 大小幅の違いはあるものの、軒並み下落です。
これに、トランプの制裁でトルコリラ下落が加わり、玉突き現象が出ています。欧州でト
ルコへの融資比率の高い銀行は、経営悪化に陥る可能性も指摘されています。邦銀の トルコへの与信はメガバンクを中心に1兆円程度(今年三月末・ニッキン報道)で影響は 限定的と言われています。
しかし、新興国等の金融市場の動揺はインドネシア、フィリピンなどアジアにも波及、と不
安定な様相が報じられています。
米中貿易戦争と相まって、中国経済の減速も観測されており、金融のグローバル化が進
んでいる今は、投資というより投機で動く金融市場では、何が引き金になって激震になる か分りません。
但し、リーマン・ショック後、金融面の規制が強化されて投機的投資は幾分か制限されて
いますし、これまで自己資本比率で制約を課してきたBIS規制も、バーゼルVによって前 進を見ている、等は考慮されて良いと考えられます。
それでも、IMFのラガルド専務理事は十分ではない
との認識を示し、トランプ政権下で進む金融規制緩和の動きを憂慮しています(IMF
BLOG 9.5) 。http://www.imf.org/external/japanese/np/blog/2018/090518j.pdf
著明投資家ジム・ロジャーズ氏は、リーマンショック前にバブル崩壊を予測して空売り、
大儲けした人物ですが、今の状況を憂えて「いつと断定することはできないが、次の金融 危機が近づいているのは確実で、発生した場合の被害は10年前以上に深刻になる」と 警告(日経新聞9.12)、同趣旨の論が増えてきました。
現下の問題は金融分野だけでなく、米中貿易戦争も絡む実体経済の激変であり、この
ままいくと国民の暮らし、日本はどうなるか、です。
日本の異常な事態
安倍首相は、デフレ克服のため、インフレ方向にする、日銀の輪転機をぐるぐる回して
お札を大量に発行…とぶち上げ、物価上昇2%を目指す、と日銀総裁に約束させました。 国民の購買力が落ちてデフレになっているのに、金融政策で克服というのが間違いの元 でした。
実際に破天荒な金融緩和をやり、マイナス金利にしても銀行融資は伸びません。需要喚
起となる根本策=賃上げ・年金確保改善が無いままでは、消費も設備投資も伸びる訳 がありません。
公的資金で株を爆買いして、株価は当然の如く上がりましたが、国民の懐にお金が回り
ませんから、総需要は伸びず、結果として物価上昇に至りません。物価上昇を目標とす る発想自体間違いなのですが…。
(物価上昇は、需要が盛り上がり供給とギャップが出る過程で現れ得る現象で、これとて
通貨価値の番人たる日銀は抑える責務があります)
アメリカ・英国・EUなど曲がりなりにも実体経済の改善が進んで、金融緩和から抜ける政
策を取っているのに、日銀はマイナス金利政策を止めようとしません。銀行が苦境に陥 ったから、と先月一部分手直ししましたが、継続です。
何故か?―様々な観測がありますが、ゼロ金利誘導策を引き上げると、アメリカとの金利
差縮小を展望した円買いが増え、円高になる、輸出企業に打撃となるし、物価下落要因 になる…との観測です。
世界全体に、新たな警戒警報が発せられているときに、間違った金融政策の根本的転
換にモタモタしている時でしょうか。
このままいくとどうなる?
今日本が抱えているもっと大きな問題は、
▲異次元の金融緩和からの出口策を取ろうとすると、つまり日銀やGPIFなどが国債や
株式購入を止めると、国債も株価も大暴落、
▲低金利をイイことに大量に国債発行、財政規律が緩んでいますが、世界的な金利上
昇となると日本も金利上昇へ連動、国債の利払い増加、対応力が問われ国債への信任 が低下すると、投機筋が売り浴びせ、金利急上昇、(八月前半に海外勢は売り超過、前 年同期比五割超)
▲これは金融市場全体に打撃を与えるだけでなく、借金経営の会社や住宅ローン借手
にも打撃、多面的に日本経済全体に悪影響が拡大、
▲銀行は貸付金利上昇で救われるが、他面、保有株・債券の評価損、売買損発生、
▲公的年金GPIFや企業年金基金が保有する株式・債券の評価損、売買損発生、受給
者に不利益発生、
▲日銀の保有国債の減損、市中銀行への利払い増などで赤字が拡大し、国庫納付額も
減少orゼロ、この分、国民負担へ (前期納付は7,567億円、平成10-13年は1兆円超)
▲勿論、個々人保有の虎の子も大変となり、国民全体の消費減退、デフレ、不況へ進む
▲国債の支払い金利増大で、政府は社会保障負担や消費税増税など一段と国民負担
強要を推進する他ない、▲これで更に国民の消費減退となり、日本全体の経済は沈ん でいきます。
こうした事態は、アベノミクス、異次元の金融緩和策が採られた時から指摘、警告され
ていたことです。
日本維新の会の藤巻健史参議員でさえ批判してきました。
元々、アベノミクスは金融超緩和策を取れば円安を招き輸出大企業が儲かり、公的資
金で株価を吊り上げて投資家や資産保有者を富ませる狙いを、初めから仕組んだもの と言えます。格差と貧困が増幅することは判っていたことです。緩和策を元に戻さないと バブル化した経済が破裂するのを座視して待つようなものではありませんか。
複合するとどうなる?
こういうアホノミクスとも言われる日本独自の問題だけでなくて、世界的な危機が加わっ
たら、もっと大変なことになります。リーマン・ショック対策で膨れ上がった緩和マネーで 進んだバブル化が、是正されない内に、実体経済が危ないことになるとの指摘も増えて きました(日経新聞コラム「大機小機」9.12も)。
間違った異次元金融緩和を含むアベノミクス自体をもう止めさせないと、国民の暮らしも
日本経済も落ち込むばかりです。日銀は、見通しの効かない五里霧中を確たる方針も 戦略もないまま、衰えた足でヨロメキながら塀の上を歩いている、というか「一輪車で傾 いた塀の上をヨロヨロ走って転落しそうな状況」というのは言い過ぎでしょうか。
自民党総裁選で、大手新聞は安倍首相の偽りの実績宣伝をそのまま垂れ流し、アベノミ
クスへの的確な批判も避けています。こういう時ほど、真に国民の暮らしを守り得る情報 を得て、政治転換を願う世論の広がりが求められていると思います。
***************************
国内外でリスク拡大のもと、銀行は新たな経営戦略を打出し、大幅な人員削減を含め現
役に犠牲転嫁を図りつつありますが、この経営姿勢が企業年金の改悪・リスク分担型導 入に繋がらないか、警戒が一段と必要です。「三菱UFJ銀行の企業年金を考える会」へ 未加入の方はどうぞご入会下さい。
のんびり余生を過ごしたいのに火の粉が飛んでくる! 火元は
どこ? どうしますか? 稲邑明也(旧三菱) 18.7.29.
永らく銀行で働き、やっと年金でのんびり暮らせると思ったら公的年金も企業年金も雲行
きがおかしくなってきました。当会にお誘いする対話を多くの方々としながら、おかしくな ってきた経過と背後の力について共に考え対応していく必要を感じ一筆綴ります。
退職年金の原点から考えると…
企業年金は、その名称からか、企業の恩恵みたいに見られている面がありますが、
元々労働条件としての「退職年金」=退職金の延払いであり、運営者が国の年金と異な るとして付いた名称と言えます。
また、金融商品みたいに受けとめて「市況次第で増減やむなし」という声もあります。し
かし、退職年金は決まった金額を定期に延払いするものであって、給付額が変動する仕 組みは、財界とアメリカの圧力・金融政策で作られた筋違いなものです。
リスク分担型も、この一連の圧力の中で退職年金の原点原則から逸脱して、企業の利
益優先のために作られたことを先ず明確にしておく必要があります。
そして財界は金融業界、厚労省、国会を動かし言わば政官業一体となって執念深く取り
組んできたのです。向こう側の執念と実らせ方からすると、「儲かっている銀行がまさか 採り入れないだろう」「法的に変なこんな仕組みを導入しないだろう」などと済ますことが できるのか考えどころと思います。
国民が頼んでもいないのに財界の執念と構え方は?
経団連は前世紀から企業年金の負担軽減のため様々に理不尽な要求を政府に突き
つけ2001年に企業年金二法(●厚年基金法制に代わる確定給付企業年金法と●確定 拠出年金法の二つ) を実現させました。
厚労省は、更に06年10月から08年10月まで年金局長のもとで「企業年金研究会」の名
で14回審議し「企業年金制度の施行状況の検証結果」を取り纏め「制度として改善すべ き点及び方向性」を打出しました。
次いで09年2月から9月(民主党政権誕生)まで「企業年金政策研究会」の名で四回、「中
長期的な企業年金の姿をどのようなものとしていくのか、老後保障全般に及ぶ広範な視 野で研究」を目的に集中的に審議しました。国の年金と企業年金をセットに財界が口出 しを強めた狙いと背景があります。
その後AIJ事件(12年2月発覚)を契機に一段と経団連は攻勢に出て要求を重ね、厚労
省の担当課長らを招いてヒアリング、要求の点検などしてきたことが経団連タイムスで 度々報じられてきました。
筋違いな口出しと進め方!
財界は国の年金と企業年金と両方に口出しして社会保障審議会の年金部会で審議して
いたのですが、本格的に企業年金改変の為に企業年金部会を別途13年10月に独立さ せて集中審議を進めました。
企業年金は労使の労働条件に関わる問題であり社会保障審議会でなくて労政審議会で
扱うのが筋です。それなのに企業年金を社会保障の一環=公的年金の「補完」策として 位置づけ、両方の充実を図るのでなく共に改悪し、企業本位に金融業界寄りに歪める画 策であったことが、徐々に明らかになりました。
しかも、企業年金部会のメンバーは厚労省が一方的に決め、労政審議会なら公労使三
者構成の公正均衡を図るのに、労使協調の労働団体から二人参加するのみです。
こうして政官業一体の体制で審議し採決もせずに部会の意向として決め、厚労省令施行
まで全過程を仕切るのです。企業年金部会のメインテーマはリスク分担型と見られてい ます。
これは、AIJ事件で厚年基金が消滅の運命となり金融業界は資金運用ビジネス縮小とな
るのを食い止め新たな展開を図るため、確定拠出年金拡大と共に推進してきたもので す。(企業年金部会では早い段階の第5,6回の二回に亘って銀行、証券、信託、生保、損 保ほか各業界代表が交替で縷々要求=15年6,7月)
安倍首相がこれらと一体となってアベノミクスの成長戦略の一環に位置付けたことは重
視する必要があります。
リスク分担型はアベノミクスの一環
第二次安倍内閣になって、安倍首相はアベノミクス三本目の矢の成長戦略として「日本
再興戦略」を毎年策定しました。
各年版には`14年以降毎年「金融・資本市場の活性化」の項で企業年金を取り上げ、企
業年金部会の審議と並行して具体的になり、 `16年版には「運用リスクを事業主と加入 者等で分担するリスク分担型確定給付企業年金制度等の導入により、企業年金等の普 及・拡大を図る」と明記するに至ったのです。
企業有利にするための画策は会計原則や税制面等も含めて筋が通らない問題も色々
あって難航しました(例えば企業会計基準委員会では厚労省の提起に対し結論を出すま で半年を要した)が、結局、経団連の意向が貫かれたことを忘れる訳にゆきません。
「日本再興戦略」は17年に「未来投資戦略」に替わり、ここには「リスク分担型企業年金
制度の周知」が盛り込まれています。ただ、更なる改変としては、確定給付企業年金より も確定拠出年金に重点が置かれていることが特徴的です。(年金基金のスチュワードシップコ ードなど健全投資促進策もありますが説明は割愛)
安倍首相は「規制改革」に異常な執念を持って岩盤にドリル云々で各分野の規制を打破
しましたが、この規制は企業の横暴を抑え国民の利益を守るためのものが殆どです。企 業年金についても、企業利益の為に受給権をないがしろにしてきましたが、経団連の副 会長は毎期メガバンクトップが交替で就いており、政府への諸々の要求では金融業界と しても財界としても一体となって動いていることを銘記したいものです。
高齢対策にまで企業年金の「拡充」
財界・政府のリスク分担型推進の姿勢は、政府が今年二月発表の「高齢社会対策大
綱」にも出ています。政府は公的年金の補完策としてリスク分担型も含めて企業年金の 周知普及充実を図る、としています。
この大綱の前提となった有識者会議の議事録にはリスク分担型とか拡充などの言及は
何もないのですが、厚労省の担当官は「厚労省の姿勢・方向として大綱に盛り込んだ」と のことです。
企業年金普及と言いつつ実はリスク分担型も含め、今の受給者にまで遡及させるとか、
使い勝手のいい「充実」めざし更なる改悪とかやるのでないか?警戒を要すると考えら れます。
又また企業がお得の厚労省令
厚労省は、4月開催の第20回企業年金部会で、確定給付企業年金(=DB)の積立基準に
達しない場合、企業が拠出すべき特例掛金の出し方のルール緩和を審議しました。
DBでは、受給権保護のために財政検証し、積立額が足りないと企業は一定期間内に拠
出する義務あります。この企業年金部会では、企業が拠出する場合、二種類ある方法 のうち一つについて(積立比率方式)、負担を緩和する方式(複雑なため説明省略)が審 議され、厚労省は意見募集(法定手続き)をした上で6月22日に省令を改訂しました。
受給権を保護するためのルールを緩和して、企業が得するやり方を、イザと言う時に受
給者には不利なことであって、黙って見過ごす訳にいきません。当基金は基準をクリアし ていますが、「三菱UFJ銀行の企業年金を考える会」としては、筋が通らず看過できない 問題として反対意見を提出しました。
厚かましい大企業の更なる欲求
企業年金部会では、他にも規制緩和の提案が企業年金連合会から出ました。検証する
際の利率について、現行は30年国債の応募者利回りの5年平均を使っていますが、低 金利政策のために元本に相当する積立ては多額必要となることから、優良社債の利回 りを勘案して定めて欲しい、そうすれば積立額は少なくて済む、というものです。公的で 信用が高い国債を邪魔もの扱いし、目先の計算で民間の社債にするという身勝手な主 張です。
この連合会は大企業の発言力が大きいためこんな要求になるのでしょうが、大企業本
位の要求は受給者の立場からは許せましょうか。
さすがの厚労省も採り上げませんでしたが、企業年金制度は永年、財界の要求に基づ
いて改悪を重ねてきており、受給者としては引き続き注視・警戒が必要です。
大銀行の危機意識と経営戦略
大銀行は昔からベア抑え込みなど足並みを揃えて行員不利の施策を実施してきました。
今は経営環境の大変化と共に新たな長期的戦略と共に人事施策を練っており警戒が必 要です。
前期の大手銀行5グループの決算はみずほ以外は増益でした。しかし傘下の銀行はど
こも株式売却益、貸倒引当の戻り益などで潤った面があるものの、本来の融資業務は マイナス金利政策下、資金利益は三年連続で減り続けています。
アベノミクスで日本経済が低迷し、異常な金融緩和・低金利が常態化、大銀行は融資で
の利益が減りフィンテック、AI化の流れを取り入れつつ様々な戦略を展開しています。
海外進出の更なる推進もその一つですが、米・中・EU間の諸矛盾やリスク増大などで困
難もあり(例えばアメリカの金利上昇で外債評価損や調達金利上昇、投融資先の地政学 リスク増大…)経営陣は危機意識を強めています。
国内は、手取りの賃金や年金の減少と共に国民購買力低下のため物価が下っているの
に、安倍内閣と日銀は購買力拡大に動かず2%の物価引き上げを目標とし金融緩和・金 利引き下げの逆立ち・本末転倒の政策を5年も続けています。これでは矛盾が深まるば かりです。
既に金融のバブル化が指摘され、緩和政策は手仕舞いの必要がある(欧米は実施中)
のに、緩和しっ放しです。貿易戦争など各国のぶつかり合いと諸リスクの微妙・脆弱な 「均衡」の中で「嵐の前の静けさ」と警告する論者も増えつつあります。
こういう中でMUFG平野社長は、大きなリスクとして@金融緩和からの出口戦略が引き
起こす市場のボラティリティー(株式などの価格の変動率・変動性)、A通商問題、B地政 学的リスクの3点を挙げています(MUFG Report 2018=7月末発行)。
金融緩和から抜けて引締めると株・債券は下落するので出口と矛盾打開策を先送りし、
見通しの効かない五里霧中を方針も戦略もなく衰えた足でヨロメキながら塀の上を歩い ているようなものです。
先日長期金利の上昇が見られましたが、コインの裏返しで国債価格は下落。日銀は一
定範囲許容すると言いますが、もし海外など投機筋の売り浴びせで下落が本格化すると 株式・外為など金融市場全体に波及し、銀行や基金の資産は大きく目減りし庶民の虎の 子も激震に見舞われます。
こういうリスク拡大の中で銀行は大幅な人員削減を含め、現役に犠牲転嫁を図りつつあ
りますが、この経営姿勢が企業年金の改悪・リスク分担型導入に繋がらないか、警戒が 必要と考えられます。
財界追随のマスコミ報道
日経新聞はリスク分担型の構想が出た段階で「第三の企業年金」として一面トップに
大々的に報道(15.7.23.)、他紙も追随し報じましたが、厚労省発表の垂れ流しであり、受 給者の視点からの記事は見られませんでした。
各紙は政省令が出ても無視軽視という状況下、殆どの受給者が知らないままです。日経
新聞は昨年7月以降、リスク分担型の導入企業例を一々大きく扱い南都銀行の場合、退 職者も含めて銀行界初の導入と報じました。
銀行の決算や経営戦略の変化は報道されるようになりましたが多くの受給者は企業年
金の変化など知らされていない状況にあります。
私たち受給者に必要なことはー当会の発展を!
財界が執念をもって厚労省にリスク分担型を実施可能とし、危なっかしい金融経済政策
の下で銀行が危機意識を募らせている折、「三菱UFJ銀行の企業年金を考える会」とし てはもっと多くの受給者の皆さんに今日の銀行や企業年金をめぐる情勢・動向をお知ら せすることが大事だと考えています。
受給者の方々が当会にご参加戴き、情報などを提供している「会報」にて年金を巡る動
向・情報を共有し、「考える会」が存在感ある組織に成長・発展できますようお力添えの ほどを宜しくお願いします。
「企業年金 何でもだべろう会」
6月15日(金) 勉強会と懇親会を開催しました。
当会事務局長稲邑からの報告は手短にしつつ力点を置いたのは、企業年金の歴史と基
本点などです。次いで、リスク分担型企業年金の仕組みについては質問を基に仕組みを 黒板で図を描いて解説。参加者との質疑応答のなかで、企業本位で受給者無視の重大 な問題点の内容が次々と解明されました。
また、銀行の動向と経営戦略についても具体的な事実に基づき質疑が進み、会員でな
い方のご理解も戴きました。
以下に報告と質疑への回答のポイントを紹介します。
1. 現在に至るまでの企業年金の歴史と基本
(1) 全体的な流れは? ―財界が国を動かして企業本位に次々改悪
(2) 企業年金―原点は「退職年金」。企業の恩恵で無く企業の責任での労働条件。
なのに大企業・財界の圧力で本質歪める経過をたどってきた。
@創設―退職金の延払い(負担平準化という企業の都合)。 人材確保の一条件
資金原資は経営コスト・賃金の一種として開始。 (株相場など無関係)
A厚年基金創設―厚生年金の給付・保険料引上げに際して財界が大企業の自社年金
制度との負担が二重になると反対。
結局は国の厚生年金と企業の自社年金と一体化した基金制度を創設。大企業が保険
料を自前で運用可能な仕組みにしてメリット享受。
Bバブル崩壊、アメリカ追随の金融政策で運用難。企業会計原則も変更。
2001年 企業年金二法成立 a.確定給付企業年金法→代行返上 b.確定拠出年金法
→アメリカの方式(401k)を採り入れる。
C更なる変質転換―AIJ事件を「千載一遇」として財界が更なる波状攻撃
アメリカ従属の金融政策(低金利、自由化etc.)を前提に政官業一体の攻勢
▲安倍政権→「日本再興戦略」に「金融・資本市場活性化」として盛り込む
▲財界方針→経営コスト・リスク負担の転嫁
▲厚労省→財界の意向を受け「第三の企業年金」を唱導、リスク分担型へ
▲金融業界→企業や労働者から資金を集めて金融市場へ流入誘導拡大
Dこの流れを基本点から見ると法律に背を向け歪めている!
●確定給付企業年金法第1条「公的年金の給付と相まって国民の生活の安定と福祉の
向上に寄与することを目的とする」
●公的年金削減に向け厚労省は企業年金で「補完」というが法に無い規定
●高齢社会対策大綱はリスク分担型も含めて「周知等を行なうことにより…普及・充実
を図る」→今後更なる改悪の狙いも
確定拠出年金→公的年金の補完…政府=2020年に2万社目標を大幅超過、3月末3
万社突破。現役加入者の半数が元本割れとも。
金融市場の大激動・大暴落にどうなるか→自己責任
(3)企業年金の法律=確定給付企業年金法と確定拠出年金
確定給付企業年金 現役にとっては労働条件であり、団体法理適用(組合で多数決
で導入や変更)
退職者にとっては金銭債権、個別の財産権であり、企業が個別に負債者となってお
り、民法上の債務者
判例→減額について判断が分かれ揺れている。
りそな銀行=受給者敗訴、NTT=企業敗訴、もみじ銀行=受給者勝訴
2. こんにちの問題
(1) リスク分担型企業年金の仕組みー図説省略
@「拠出の弾力化」
A「柔軟で弾力的な給付設計」
(2) リスク分担型の仕組みの問題点
▼企業年金は退職金の延払いとして企業の責任でコストとリスクを担って実施するもの
なのに、加入者(現役)・受給者(退職者)にもリスクを分担させ、給付額は変動し、確定し ない。
▼金融市場の激変・年金積立の不足金発生などのリスクに備えて、一定金額を企業は5
〜20年内に積立て拠出、メリットを受ける。
▼企業が掛金を多目に積立てるので、受給者として安心出来る面があるとしても、これ
は付随的なもので、もっと大きな問題は給付が変動し不確定なこと、積立て途中や積立 て後に市況暴落とか想定外の不足金発生の場合は、加入者・受給者の減額負担が、企 業の分担以上に過大となる可能性があることなど。
▼現役(労働組合or労働者代表)と企業の合意のみで現行の確定給付年金からリスク分
担型へ移行可能。受給者の合意は不要。
▼受給者の同意を得る必要はなく「説明」するのみで可。説明の内容など妥当性は基準
なく厚労省が総合的に判断して認可。
▼移行に不同意なら一時金を得ることが可能だが、この算定に当っても受給者は排除。
(3)もっと大きな問題点
@退職年金の基本を歪める
▼不安定給付 ▼リスク転嫁=株債券為替の相場変動と金利変動のリス
▼リスク分担と言いながら折半では無い場合も出て来る
A会計原則を歪める
▼確定給付は企業の追加拠出義務あるが、リスク分担型は無く、確定拠出年金と
同然
B法治原則を歪める―
▼国会に提案し新たな法律制定とすべきところを政省令「改正」で強行
▼条文に明記無いまま、不遡及原則に反する適用を厚労省が主張
▼関係ない者が債権侵害→労働組合(労働者代表)が企業の勝手で債権侵害に加担
3.銀行の動向―銀行の経営環境とリスク、トップの危機意識 (会報42号の内容)
4.私達の課題
@当会の会員拡大と組織強化
A現役と連帯してリスク分担型企業年金への移行を阻止
従業員組合への働きかけ
銀行への意思表示
当会の労働組合化→労働組合法に基づき賃金の分割払い債権者として
銀行と団体交渉も視野に
B他行受給者・他産業受給者との連帯―銀行年金守る会、企業年金受給権を守る
連絡会と引き続き連帯
C政治への働きかけの必要性→法の原則貫徹、支払保証制度つくりなど「企業年金
受給権を守る連絡会」の運動実績積み重ねと強化方向
D受給権守る運動の意義
経済的不利益強要を止めさせ、暮らしを守る―「少々の不利益に自分は我
慢できる」としても、中流層分解・下層化の流れの中で弱者を共に守り自
身を守る運動。法治国家にあるまじき不当不法を阻止―お金の問題に留ま
らない、大企業本位の横暴な政治を阻止し、経済の民主化に繋がる運動
世界の株価はこの後どうなる?
めざすべき方向は? 稲邑明也(旧三菱 18.2.16.)
このところ、平昌オリンピックでドキドキ、株価でドキドキ、コリャ血圧に悪い…という声も
ありますが、年初に書いたように、バブル化してきた相場が愈々崩れることになるの か?転換点にきたようにも思います。株・債券の保有有無・多少に関係なく、私達にどん な波及があるのか、どういう方向が求められているか考えてみたいものです。
相場変動をどう見ますか?
日本や世界の主要国では、リーマンショック後に景気回復を図るため金融緩和政策をと
り、景気拡大と低金利が共存する状況が作り出されてきました。
このため投資家・評論家・マスコミの間では「適温相場」なんて言葉が(国民多数の冷え
込んだフトコロ具合とは別に)使われ、この継続を当て込んで株や債券に資金が流入し てきました。
しかし、アメリカの金利上昇を契機に状況が一変し、日本・中国などの株式市場も急落し
ました。投資家のリスク回避姿勢が強まり、先週1週間で世界株の時価総額は約5兆 $(約540兆円)減ったとの報道です。
急変の発端は1月のアメリカ雇用統計で賃金が8年半ぶりの上昇率となり、物価が上
向くと米連邦準備理事会(FRB)の利上げが加速との観測が強まり、長期金利が約4年 ぶりの水準に急騰した経過があります。
日本株は1週間で8.1%安と米国(5.2%安)や英国(4.7%安)の下げを超える下落でし
た。日本は世界景気の動向に左右されやすい輸出企業の比率が高いうえ流動性が高 く、海外マネーの換金の格好の対象になったとも見られます。
2008年の世界金融危機以降、米国の金融監督当局は銀行や証券会社にリスク管理
を徹底強化させてきた上に、大企業の業績は順調、日本でも企業業績は良好ということ から今回の株価下落はリーマンショックの二の舞みたいにならないと見られています。
しかし各国とも異常な金融緩和で余剰資金が投機に流れバブル化している点で、いず
れ剥がれ落ちることは不可避と考えられます。
株と共に債券の動向も注目する必要があります。日経新聞(2.10)は「グリーンスパン元F
RB議長は昨年8月にバブルは株ではなく債券にあると警鐘を鳴らしていた」「FRBが量 的緩和を始めた2008年以降の債券の増加ぶりはすさまじい。世界の債券の17年末の 時価総額は推計169兆$で、金利の低下によって債券価格が上昇(コインの裏と表の関 係)し、08年から50兆ドル(4割)膨らんだ。世界の国内総生産(GDP)の6割強にあた る」と報じました。
各国政府の国債増発・中央銀行の国債購入政策で、株より値動きが小さい債券が株
と同じ規模で増え「慢心し、規律を失ってきた」(みずほ総研市場調査部長)との指摘も あります。
しかし、膨張の流れは米・欧などの緩和政策転換=出口戦略で転機を迎えました。国
債の買い入れ削減・償還で資産縮小へ向かうと価格下落となります。アメリカではトラン プ大統領の法人税減税・軍拡・公共事業などで国債増発は必至であり、このため国債の 需給バランスが崩れ、金利upとなります。これは日本の市場に大きく響きます。
日本はどうなる?どうする?
黒田日銀総裁は再任と見られていますが、アベ・クロミクスが継続すると出口戦略の無
いまま放漫財政で国債発行残高が膨張、これに金利upが追い撃ちし国債利払い費を急 増させると一段と財政悪化を招き、国債格付け引下げ・暴落する可能性が高まります。
目下の処は、●日銀が「差値オペ」(利回り指定の無制限の国債買い込み)に踏み切っ
た、●株式の売却資金が日本国債購入に流入との観測がある、などで国債は値下がり していません。
しかし、株のバブル崩壊本格化と相まって早晩、国債価格の暴落も懸念され、金融市場
はガタガタとなり日本経済のみならず家計をも直撃する可能性は依然としてあります。
株式、債券の他、円ドル相場の変動もあり複雑ですが、こういう流れのとき重要なのは
投資家の立場でなく、庶民の立場に立つ政策ではないでしょうか。
今の局面は一時的との見方がありますが、根底にある金融政策の歪み・バブル化の実
態を直視するならもっと深刻な形でガタがくると懸念せざるを得ません。
安倍政権は、アベノミクスでデフレ不況打開を弱肉強食的に進めて金融緩和などやって
バブル化を進め、格差と貧困を拡大しました。
国民の購買力が弱いままでは真の景気回復も経済成長も見込めません。巨額の内部
留保をもつ大企業や富裕層の優遇税制を元に戻し、増税して国債は圧縮し、雇用・賃金 の改善で国民の所得増による購買力拡大で経済成長を展望する根本策こそ必要です。
GDPは8四半期連続増加と言っても家計低迷のまま企業の稼ぎなどでの伸びに依るの
では空しさが漂いませんか。
誰の為、何の為の経済政策なのか問われており、この点からも安倍政権の退場が必要
です。
年金などの動向は?
公的年金ではGPIFが株式投資の比率を引き上げ、日銀が上場投信など巨額買い込
み、株価を押し上げてきましたから、これが値崩れすると逆回転し膨大な損失・評価損と なります。
これまで、GPIFが利益を挙げた時はマスコミが大きく報じてきましたが、値動きの大きい
内外株式に国民の積立てた資産総額の約半分をも投入すること自体が問題です。
私達の企業年金の支払い債務者である三菱東京UFJ銀行は、単体(フィナンシャルグループ
全体でなく)で昨年末保有の株式は4.8兆円、債券(主に国債)22.2兆円ですが、先週の株 価下落幅8.1%で推計すると4千億円の目減りで四半期の純利益4.2千億円に匹敵しま す。
銀行の企業年金基金の株式運用額は前期末で1.3千億円ですから推計約1百億円の目
減りです。これは受給者への給付の約2.4カ月分に相当します。
(国債の価格変動の影響は軽々に推測困難)
既に、財界はリーマンショックに懲りて企業年金については、市況悪化のリスクを現役・
退職者に転嫁できる「リスク分担型」を厚労省に造らせ、昨年1月に省令を施行しまし た。
これは、既に退職して給付金額が確定している受給者にもリスクを分担=減額させる、
それも個々人の同意を求めることはせずに現役組合と企業の労間合意でリスク分担型 へ移行できる、など筋違いな仕組みです。
導入する企業は増えつつありますが、こんな筋違いな仕組みを導入させないよう、受給
権を守る運動の拡大強化が求められています。
「三菱東京UFJ銀行の企業年金を考える会」では会員の拡大に取り組んでいます。未加
入の方はどうぞお入りください。年会費は千円で、隔月に会報をお届けしています。会報 には必要重要な情報を掲載しています。
このホームページのトップページを開いて入会申し込みができます。
アベノミクス下、バブル化進行、
虎の子・年金はどうなる?どうする? 稲邑明也 18.1.10.
昨年から世界的な株高が続く中、日本でも昨秋から年初にかけ上昇相場です。メディア
では景気拡大や雇用状況の良さを強調して今年も株高になるとの見立てが広がってい ます。
しかし、山高ければ谷深しです。そもそも多くの庶民にとっては沈みっ放し、株高とは無
縁の人が多いという実情があります。アベノミクスでソコソコ潤った人達もいましょうが、 今の金融経済政策が続いたら、虎の子や年金はどうなるのか?考えてみる必要がない でしょうか。
おかど違いの政策
そもそもデフレ克服のためと称して物価上昇の目標を掲げること自体、筋違いです。デ
フレに陥ったのは総需要≒国民の購買力が賃金・年金の抑え込み、雇用制度の改悪、 社会保障の後退・負担増などで減退したことが主因です。
それなのに、物価上昇―インフレ傾向にすれば「物価が上がらぬ内に買うのが得策」と
いう心理が働いて消費が増え、デフレから脱却できると言うのが御用学者・政府の理窟 でした。
しかし、先行き値上がりしそう…といってせっせと消費する、衣服や食品を沢山買い増す
庶民はどれほどいましょうか。
庶民の暮らしを分っていない人達の理窟と政策でデフレ脱却できる筈が無いのに、当時
のマスコミはヨイショし続け、国会では1野党以外の追及は弱く、日銀は大量に国債を買 いまくり、資金供給を継続しました。
こうしてお金がジャブつき株価上昇、円安となったのは当然で、アベノミクスの「成果」と
するのも筋違いです。日米の金利差が開いて円安となり、輸入物価の上昇は庶民を直 撃しました。大企業を先頭に雇用の非正規化、賃金抑え込みが進行し庶民の購買力を 抑え、デフレ
克服どころではありませんでした。物が売れなければ設備投資増→銀行融資増となる訳
もありません。
大体が、通貨価値の番人である日銀が、時の権力と一体になってインフレ目標を掲げ
ること自体が間違いです。本来は、需要が盛り上がり企業活動が活発化する過程で物 価が上昇するものであり、需要サイドの大本に策を講じないで金融政策で2%の上昇をめ ざすのは本末転倒です。
黒田日銀総裁が師と仰ぐアメリカFRB前議長バーナンキ氏は昨年五月来日の折、自説
に反省の弁を述べた(一部経済誌が報道、大手新聞は黙殺)ものの、黒田総裁は金融緩 和政策に固執。欧米では緩和政策の出口に向かっているのに、資金供給に励み、2%の 物価上昇目標を降ろそうとしていません。
国の年金は物価上昇スライドが基本ですが、上昇率0.9%以内なら給付を増やさない仕
組み(マクロ経済スライド)ですし、企業年金は物価上昇を全く反映しません。ですから年 金受給者にとって日銀のやり方は噴飯ものです。
アベノミクスで儲かっても、物価上昇でチャラとなる可能性、アベノミクスの矛盾破綻に
よるバブル禍でパーになる危険性を警戒すべきではありませんか。
「リーマン超え」の危機可能性も
「株高で公的年金も企業年金も好調なのは結構」という意見がありますが、いつまでも続
くものでしょうか。急激な株価上昇は、いまや実体経済とは乖離しており、バブルと言え ます。
リーマンショック以降、主要国は超金融緩和政策をとりマネーが溢れかえり「17年は30カ
国以上の株価指数が最高値を更新、世界株の時価総額は1年で21%拡大」(日経新聞 17.12.30.)との報道もあります。年末年始の経済紙誌ではバブル化に警告する著名人士 の言説が掲載されています。
例えば、寺島実郎氏(日本総研会長)は「世界の膨大な緩和マネーで金融資産がGDPの
四倍規模に膨らみヒビの入った卵のように割れ易い状況。きっかけとなる危機はいつ起 きてもおかしくない」と秋から述べています(17.11.7.エコノミスト)。
前掲バーナンキ氏は「バブルは弾けて初めてバブルと分る」と言いましたが、日本の場
合は欧米よりもっと無茶な政策をとっているので害悪は甚大と言えますし、的確な早め の対処策が本来は必要です。
日銀お買い上げのETF(指数連動型上場株式投信)は既に16兆円を突破、社債などと
合わせると20兆円を超えていますが、「日銀が株価を支えてくれる」という心理から、外 国人投資家が主導して日本の株価も上昇していくパターンです。
これら売買金額は外国人投資家が7割を占め、(個人取引は2割前後)、株式の保有主体
では外国人が3割を占めています。外国人の保有比率が3分の1を超えた企業は「外資 系企業」と称され名だたる大企業の多くが実は外資系企業なっている面があり、海外の 影響圧力を受け易いと言えます。(ちなみに三菱UFJフィナンシャルグループは昨年九月末で 38.18%)
こういう状況下、海外の投機筋が売り浴びせてバブル崩壊の引き金を引いたらどうなり
ますか。日本だけでなく世界的に大波乱となり株式だけでなく金融市場全体、商品相場 にも及び被害は増幅しましょう。
既に安倍政権は株価維持・アップのため日銀に株価連動型上場投信(ETF)を6兆円、
GPIFに年金積立金で日本株を60兆円購入させてきました。無理に背伸びし過ぎている のです。
投機筋の動向などで株暴落すると円の信用低下→円安→輸入物価の上昇等で庶民
は難儀となりますし、国の年金積立や企業年金にも損害が生じます。
国債も暴落のリスクが
国債暴落のリスクについても前々から、警告する人士たちが様々にいましたが、廉了氏
(三菱UFJリサーチ&コンサルティング主席研究員)は、次の点を指摘しています(「金融財政事 情」誌17.12.4)
★日銀レポートでは金利が3%上昇した場合、金融機関全体で保有円債の時価が総額
19.2兆円下落(大手行は5.9兆円、時価下落額の自己資本対比では、大手行は9%)。
★金利3%の急騰は非現実的とは言い切れない。金利急騰を引き起こす可能性が最も
高いのは日本の財政事情。消費税を19年10月に10%に引き上げてもプライマリーバラ ンスが黒字化しないほど悪化している。
★日本国債暴落の契機は海外にも存在する。日本国債は、現時点では安全性が高いと
みなされているが日本国債はこれまで段階的に格下げされ今はA格だが更に格下げさ れた場合、海外においてこれまでどおり受け入れられる保証はない。…
「日本はギリシャなどと違って国内で保有されているから、海外勢の投機で揺らぐこと
はない」といわれてきました。しかし海外勢いの保有は増えています。
特に、短期国債の外国人保有率は6割に迫っており、金利変動にリスクがあることを日
経新聞(1.5)も指摘していますが、海外投機筋が利ザヤ稼ぎで売り浴びせるなどしたらや はり、金融市場全体に大変な波乱がおきます。
海外勢は格下げに当然敏感に反応し外貨資金調達は金利などコスト急騰を招きま
す。グローバル化で外貨依存度の高い日本の企業・銀行は難儀なことになります。3メガ バンクの痛手は特に大となることも注目すべきです。
9日に日銀は国債の買い入れ額を減らしたら、これが引き金にもなった面があって、円
高を招く事態も起きており、綻びはあちこちに今後とも出てきます。
根因はアベノミクスに!
アベノミクスの根幹は、金融緩和や財政拡大で円安や株高を実現すれば大企業や大
資産家のもうけが増え、回り回って国民の雇用や所得、消費も増えるという「トリクルダ ウン」(滴り落ち)の筋書きにあります。
ここから、安倍首相は「日銀が輪転機をぐるぐる回してお札を大量に発行すると景気が
良くなる」と暴論を広言し、国債を大量に発行し続け、短期間の内に日銀が買い上げる 政策を推進しましたが、やっぱり庶民にとっても効果がないことが五年後のいま実証さ れています。
重大なのは、政権の言いなりで日銀が国債買い上げを続けていることであり、安倍首相
が政府と日銀の関係を親会社・子会社になぞらえる暴言(=日銀の自律性明文の日銀 法に背馳)を吐いたことです。これでは、日本の財政運営、金融政策、日本経済への信 認・信用を海外からも落とされます。安倍首相の姿勢とこれまでの経過は、自ら国債格 付け引下げを促すようなものです。
既に国の借金は1千兆円を超え、この圧縮のために、安倍首相自身が国会で表明し続
けてきた「財政健全化」の言葉を施政方針演説から昨年は削除しました。その上で安倍 政権は相も変わらず無駄な公共工事や更に軍拡に一段と努め、他方で社会保障抑え込 みに励んでいるのです。消費税10%でツジツマを合わせる当初の予定も、使途変更など で矛盾を自ら作り、消費税10%強行で消費後退を招けば、景気も暮らしも日本経済も、 次世代も含めて大変なことになります。
アベノミクスからの転換を!
こういう難儀な見通しの中、世界的なバブル化も進行しており、崩壊はいつどう起きるの
か?―金融市場が大荒れとなると、虎の子だけではなく国の年金・企業年金も翻弄され ます。こんな時の企業年金の被害・リスクを抑えようと経団連はリスク分担型を厚労省に 仕組ませ一年前に施行しているのです。
受給者としては、この狙いを看破すると共に、★アベノミクスが金融・財政絡めて一体的
に国民の暮らしと平和を脅かしている全体構図を捉えていくこと、★過度の内部留保に 励む大企業の経営、これと一体になった政府の政策を改めるべきこと、★その方向性 は、国民のフトコロが温まるように雇用・賃金・年金・社会保障など国民本位に変えてい くこと、★そうしてこそ、企業の売り上げが増え、設備投資が増え、資金需要も増えて銀 行は融資が増え、世の役に立ちながら相応の金利収入へとゼロ金利から脱却できるこ と、★こういう状況をめざすことで正社員も増やせて所得税や社会保険料を負担できる 人達が増えて国の財政や社会保障制度も改善方向へ向かうこと、★こうして全体的な国 政革新がないと虎の子、年金も守れないし次世代も大変なこと、といった世論の広がり が大切なのではないでしょうか。
笑う門には福きたる K.T生(旧三菱)
昨年は色々と問題や話題がありましたが、安倍首相の政策はどうなんでしょうか。
安倍首相はアベノミクスをもっぱらPRし続けていますが、これって安倍のみクスッと笑う
政策ではありませんか。五年たってもうまくいっていないのにそれでもなお「道なかば」と 言い張っていますが、これって逆に読むと「ばかな道」です。
さて、今年はどうなりますか。頭にくることも出て来るでしょうが、「笑う門に福来たる」と
笑い飛ばしたいものです。
このところ、私は年金者組合や病院友の会の役員をやりながら色々な集まりには次のよ
うなネタも用意してバカ笑いしています。
−「18才」と「81才」の違いー
口道路を暴走するのが18才、逆走するのが81才
口心がもろいのが18才、骨がもろいのが81才
口偏差値が気になるのが18才、血糖値が気になるのが81才
口受験戦争を戦っているのが18才、アメリカと戦ったのが81才
口恋に溺れるのが18才、風呂で溺れるのが81才
口まだ何も知らないのが18才、もう何も覚えていないのが81才
口東京オリンピックに出たいと思うのが18才、東京オリンピックまで生きたいと思うのが
81才
口自分探しの旅をしているのが18才、出掛けたままわからなくなって、皆が探している
のが81才
口「嵐」というと松本潤を思い出すのが18才、鞍馬天狗の嵐寛寿郎を悪い出すのが81
才
銀行のリストラはどこへ向かうか?
世の為人の為になる事業展開を! (`17.11.23. XP生)
このところ、マスコミがメガバンクの先行きをあれこれ報じています。日経ビ
ジネスが「もう銀行はいらない」という大特集を組み、銀行の融資姿勢や先 行きについて問題提起(9月18日付)したのを皮切りのように、他の経済誌 や新聞もフィンテックやAI活用の合理化絡みの人員・店舗削減など報じて います。
みずほFGは26年度までに19千人、国内店舗の2割100店舗の削減、三井
住友FGは4千人分の業務削減、全店舗を次世代型に転換、と発表してい ます。
三菱東京UFJ銀行(以下BTMU=Bank of Tokyo Mitubish UFJ)は、デジタ
ル化などの推進により7年間かけて「業務量の30%(人員換算で9,500人 分相当)の削減をめざす」と半年前に発表していました。人減らしと言わな いのがミソと思っていましたが21日の会見で平野MUFG社長はBTMUにつ いて「6千人の人員削減につなげる。残りの3,500人は資産運用相談など成 長分野に振り向ける。希望退職者の募集は行わない」と述べました。
リストラで従業員や退職者は?
銀行が科学技術の発展を活かして世のため、人のためになるように寄与す
ることは結構なことです。
しかし、フィンテックやAI活用のメニューごとの内容や推進工程がどうなの
か?分らないまま、積み上げ方式というよりトップダウンの大づかみのま ま、人数相当分だけが強調されると、行員としても不安が高まります。
BTMUは来春の新卒採用内定者数が1,020人で一年前の1,200人より15%
の減少と発表しています。バブル時の大量採用行員の大量出向・退職も織 り込んでいる由です。
在職者は既に「働き方改革」で一段と労働強化が進行中です。3,500人は
成長分野に振り向けるとのことですが、職種職務の転換は円滑に行くので しょうか。
銀行の事務合理化は三次に及ぶオンライン化で機械化による効率化以上
に人減らし労働強化を進めたため、けんしょう炎患者やメンタルヘルスの 問題が増加し職場の砂漠化が進行しました。顧客サービスも低下しまし た。
業務量の削減で具体的にどんな施策となるか判りませんが効率化の果
実は顧客への利便性向上と共に行員の労働時間短縮・労働密度緩和にも 向けられるべきでしょう。
人減らしも、行員以外の身分・職種の人達はトバッチリを受けないのか?
懸念せざるを得ず、先ず30%削減が出発点の利益計画優先の改革である なら、雇用での社会的な責任が問われます。
また、現役に冷たい施策が推進されると「退職者は高額年金で優遇だ」と
いう分断策で、企業年金改悪という方策がとられることはよくあることで、こ の点でも人ごとに見る訳に行かないと思います。
ITやAIなど技術革新の進展と共に銀行の経営も変わるのは必然でしょう
が、利益最優先では困ります。スマホ普及やIT化で来店客が10年で四割 へったからと言っても引き続く六割の来店者の利便性はどうなるのか?― 利益本位で店舗削減や無人化など進めると機械化に追い付けない来店客 はどうなりましょうか。
海外進出でも問われる問題
MUFGはこの間、東南アジアへの進出を強め、今月に入ってインドネシア大
手・ダナモン銀行への2千億円規模の出資を検討しているとの報道です。 将来は子会社化し、海外利益の比率五割超を目指す方向とのことで、注 目を浴びました。
一般論として、資本主義経済の発展と共にグローバル化は避けられませ
んが、利益最優先の姿勢では困ります。
資源開発や農地開発、電源開発などで日本のメガバンクが当該地の反発
を招く事例が色々と報じられています。
今年一月、アメリカでの石油パイプライン敷設事業への3メガバンクなどの
投融資を巡ってニューヨークで反対デモがありました。
「核兵器関連企業と取引」の問題では国際的な批判を招きました(オランダ
の平和団体PAX発表ではMUFGは総投融資8,621百万ドルと他行比トッ プ。16.12.10「赤旗」報道)。
直視すべき根本問題
今、銀行が経営再構築を進める最大要因は、アベノミクスの異次元金融緩
和・低金利政策による貸付業務の不振などにあります。
昨年のマイナス金利政策導入時にBTUMは国債引受けの特権返上で抵抗
して見せました。16日の定例会見で平野氏は「金融機関や金融システム に支障となる可能性がある」と指摘するに留まっています。金融業界サイド だけでなく、日本経済や国民のために、という大きな観点から抜本的政策 転換を求めるべきです。
国民の消費が盛り上がらないままでは、設備投資・貸付も振るわず、金融
政策でもって実態経済が好転することはあり得ません。間違った政策を前 提に銀行の利益を優先して、顧客や行員にも負担を求めるようなリストラ・ 合理化は筋違いです。
(リスク分担型企業年金もアベノミクスの一環「日本再興戦略」の一メニュー
であり退職者にまで意思不問で移行を図るとすれば理不尽なことになりま す。)
平野社長は長期的にも、地方衰退、少子高齢化などが銀行の経営にとっ
てリスク、との見方を示していますが、これらは企業利益優先の下での大 都市集中とか、農業・地場産業や地方経済軽視の政策とか、賃金抑圧・非 正規化で結婚子育ての困難化によるものであり、永年の自民党政治のた めに引き起こされた問題です。
平野氏は、内需不振を問題だと語ってもいますが、先ず銀行自身が賃上げ
をやるべきです。安倍首相でさえ要請しているのに2年連続でベースアップ 見送りとしたのでは言行不一致です。
「銀行が儲かっていれば企業年金も安泰」との声はありますが、利益優先
で現役に負担をかけ続け、企業年金改悪の仕組みも法令上は仕上がった 今、退職者としては「現役と利害を共にする間柄」との共通認識で銀行の 在り方を考え、銀行の経営姿勢が社会的評価を損なうことのないように願 いたいものです。
年金生活者として総選挙を考えると… XP生旧三菱) 17.10.4.
あれよアレヨと言う間に解散・総選挙突入となりました。安倍首相は「国難突破解散」と
言いましたが「アベ難突破」ではありませんか。四年半を超える第二次安倍政権はどうだ ったのか?年金生活者として幾つかの問題を考えてみたいと思います。
マスコミは自民vs希望の選択と描き民進党の解党騒ぎに注目を向けていますが、真の
選択は何か?見詰めると違憲立法を廃止させる護憲派vs改憲派が選択ポイントであ り、国民の多数を占める護憲派が前進してこそ、格差と貧困化拡大の下での国民の難 儀、年金生活者の難儀を打開できるのではないでしょぅか。
消費税でも無茶な安倍発言!世代間の対立を煽るのはペテン
首相は、消費税を10%に上げる際に、その使い道を教育や子育てに充てるよう変えるか
ら信を問うと言いました。首相も自公両党も前々から財界意向に即して社会保障予算の 抑え込みに躍起となり「高齢者向けから若い世代向けに重点を移す」と言ってきました。 世代間対立を煽り、必要総額は抑え込む魂胆です。
高齢になって暮らしと健康の維持のために年金保険料・健康保険料を納めて来たので
あり、給付を受ける段になって抑え込むのは、ぺテンではありませんか。
高齢者をカタキのように仕立てて若い世代がラクになると思わせるのもペテンの類です。
つまり、いま若い人たちも先行き高齢になったら、低レベルの給付になる訳ですから。
こんな策動を仕掛ける政党・背後の財界vs庶民という構図で考えて、老いも若きも結束
してまともな政党・候補を選びたいものです。消費税10%を強行すると老いも若きも可処 分所得は減り、全体の消費は落ち込み不景気となることが目に見えてきます。
格差是正の税制と財政再建をしないと国債暴落の懸念も!
さらに重大な問題は、消費税を増やしても使途を変更する、ということは従来の方針であ
る[消費税増税で赤字財政を圧縮」という方針を変更することになり、国債が累積して信 認が低下しますから、投資家から売り浴びせとなり、国債暴落=金利急騰と共に、株式 等の暴落やら金融市場の大混乱があり得る、という多くの学者・評論家の指摘が現実の ものになる危険があります。
実際に9月29日の日経新聞は「市場、財政悪化を警戒」「国債の信用リスク高まる」との
見出しで9月22日以降の5営業日間に0.02%から0.06%台へ急騰(=価格は下落)、国債の 格付けにも不安が連鎖している、と指摘しています。
希望の党の政策は、消費税増税見送りですが、財政再建策に触れておらず、「合流」を
決めた前原氏は安倍首相と似た政策です。こんな人達と諸党の政策と方針が、市場に 反映していることを直視する必要がありませんか。
国債下落となると、株式相場、投信に当然悪影響が及び、庶民の虎の子に大きく響くこ
とになります。もちろん、企業年金の資金運用も難儀となります。銀行の基金は国債に3 千億円運用しており、5%下落なら150億円の目減りで年間給付総額500億円の3割に相 当します。さらに基金が運用している国内株式約1,300億円とか他の資産にも打撃となり ます。
市況悪化、景気後退となって政府が不況打開と称して、マイナス金利政策を更に強めて
金利を下げるなら、銀行の経営は、ますます厳しくなって人件費圧縮に動いて、退職者 の年金を改悪する、リスク分担型を導入する可能性が高まる危険性があります。
格差拡大下の国民多数のために必要な徴税政策と財政政策は?
国民多数の暮らしを守るなら、アベノミクスで大儲けした大企業の減税・富裕層の優遇
税制を止めて応分の増税とし、消費税率は上げずに社会保障・教育・子育ての予算を 増やし、財政再建もめざすべきです。
企業や富裕層の優遇税制は、誠に腹立たしい実態ですが「負担能力に応じた公正な課
税にすれば38兆円の増収」(不公平な税制を正す会http://japan-taxpayers.org/)とい う試算もあります。
こういう点で、応能負担原則に基づいた税収増と軍拡予算の削減で、財政再建も社会保
障・教育の予算増も可能という政策を掲げる政党を選びたいものです。
少子化も大きなテーマです。価値観の変化はありましょぅが、結婚・子育てについて若い
世代が願望していてもハードルが高い処に問題があります。雇用不安、低賃金など永年 強いてきた財界と連携・同調の政党の責任は大であり、無反省のまま耳当たりの良い政 策を並べても看破する必要があります。
少子化を打開し社会保障の土台を確かにするには、最低賃金の引上げ、同一労働同一
賃金の徹底、残業の縮減など必要であり、これに沿わない「働き方改革」関連法案は撤 回させるべきです。この方向に沿う政策を掲げる政党こそ伸びて欲しいものです。
リスク分担型での各政党の見解は?いい加減さを看破する選択を!
昨年の参議院選挙の前、「企業年金受給権を守る連絡会」が各政党に対して企業年金
に関する公開質問状を出しました。
質問4項の中にリスク分担型企業年金に関する質問があり、各党の回答ポイントを紹介
します。(質問時点では、厚労省案概略が出た段階)
質 問 確定給付企業年金を変質させ受給者の生活を不安定化させるものではないか。
企業の利便性を図るのと引き換えに受給者にとって受給権侵害となる案ではないか。
自民党 確定給付企業年金法の目的と合致するものと考えています。@全受給者に対
する事前の十分な説明、A希望者には年金給付に代えて移行前の給付を一時金で支 給というのは、従来の給付設計の変更の取扱いよりも手厚い手続きになっていると考え ます。
民進党 確定給付企業年金を変質させてしまうことがないように、受給権の侵害とならな
いようにする観点から、現在行われているパブリックコメント(意見公募)を踏まえて、必 要であればさらに精査されるべきであると考えます。
共産党 "企業の責任による定額給付"という本来のあり方を変質させ、確定給付企業年
金法に定めた目的規定にも反する。「積立不足」などの財政状況に応じた"機械的な年 金減額"を可能とする「リスク分担型」は、重大な受給権侵害につながると考えます。
社民党 確定給付企業年金を変質させかねない問題があると考えます。リスク分担型へ
移行する場合も一定の必要要件を前提にすべきである。厚労省案にある、事前の十分 な説明など手続きは必要と考えますが、これで受給権が完全に守られたとは言えませ ん。
おおさか維新の会 現行制度に新たな仕組みが加わることに問題ない。但し、リスク管
理の規制や情報開示は必要。
当時の九政党のうち、公明党など四党は無回答でした。「連絡会」では共産党が受給権
擁護などに積極的姿勢ありと判断し、厚労省への質問状提出、質疑応答の場(レクチュ ア)設定を要請し、尽力を得てきました。
アベノミクスで庶民は?このままいくとインフレに!
企業年金も公的年金も大変! (`17.7.28. A.I生)
アベノミクスが始まって四年経ちますが、庶民の暮らしはどうなったでしょうか。株式・投
信など持っている人は潤ったでしょうが、安倍暴走下、社会保障の予算は抑えられ、国 民負担は増え、将来見通しは暗い…というのが世論調査でも明らかです。
少々の潤いや蓄えがあったとしても、このまま行くと、インフレなどもっと大きな波がかぶ
さり私達の暮らしが脚元から掬われそうなアブナイ現実を直視したいものです。
おかど違いの政策
そもそも、デフレ克服のためと言って物価上昇の目標を掲げること自体、おかしいでは
ありませんか。デフレに陥ったのは貧困と格差の拡大や賃金・年金抑え込みで国民の消 費が落ち込んで、総需要減退に陥ったのが主因です。
それなのに、物価上昇―インフレ傾向にすれば「物価が上がらぬ内に買うのが得策」と
いう心理が働いて消費が増え、デフレから脱却できる…というのが御用学者・政府の理 窟でした。
しかし、先行き値上がりが予測されるからと言って衣服、食品、まして車、家など沢山買
い増せる国民はどれ程いますか。
庶民の暮らしを真に理解していない人たちの理窟と政策でデフレ脱却できる筈が無いの
に、当時のマスコミはヨイショし続け、国会では共産党以外の追及は弱く、日銀は大量に 国債を買いまくり、資金供給してきました。円安となって株価上昇などの現象は起きたも のの、デフレ克服には至らないままです。
物価が下がってナゼ悪い?
基本的に、物価が下落すること自体、悪いことではなく、電子機器製品に見られる如く、
消費者には結構なことなのです。(売れないからと言って、労働者や仕入れ先などに犠牲 転嫁して、コスト引下げを推進する構造・実体経済に勿論問題があります)。
物価下落により、消費が増え全体的に総需要が増え、生産・販売が増えていく過程で経
済が成長し、物価が副作用として上昇することにもなるのです。
それなのに、多数の国民には賃金・年金を抑え込み、企業側の利益と経済成長を優先
するから、物価上昇率を重要な目的指標とする、企業本位の逆立ち発想と政策に陥って いるという、本末転倒の根本的問題があると言えます。
超金融緩和でどうなった?
この発想下、日銀が国債買取→銀行に資金供給し、企業が低金利で借り易くしても、
消費が伸びていないので、設備投資も貸出しも伸びず、大企業も儲けた分を賃金に回さ ず、資金が遊ぶだけです。
財務省発表では企業の現預金(金融機関除く)は2007年度135.3兆円だったのが2016年
3月で255兆円と1.88倍、最高記録更新の由です。
リーマンショック後、多くの資本主義国は金融緩和策をとって、大企業は利益を増やした
ものの、有望な投資先が無いため、資金余剰が常態化してきました。
日経新聞は7月2日付一面トップで「企業の現預金、世界で膨張」「10年で8割増」と報じ
ました。この記事からも、日本企業の資金余剰は、他国以上であることが分ります。(トヨ タ自動車は2.15倍)
アベノミクスの一環で日銀は「異次元の量的緩和政策」を四年前から実施し、国債等を
毎年80兆円超も買い続けるに至りました。政府の赤字国債を即、買い上げるのと実質 同じことで、これは戦前の失敗と教訓からやってはならない、と財政法が禁じているので す。なのに、自民党政権は永らく継続し、安倍首相はデフレ克服のために「輪転機をぐる ぐる回して大量に日銀券を供給する」と公言したのです。
これを実行するために日銀総裁に黒田氏を就け、加速度的に国債を大量に買い上げ、
資金供給に励んできました。
しかし、四年経っても効果は出ず失政であることが明らかなのに安倍首相は「この道し
か無い」しかも「道なかば」と言う始末です。
逆に読むとばかな道なのに!
アベノミクス・日銀に衝撃的発言
アベノミクスの第一の矢=大胆な金融緩和は、黒田総裁が師と仰ぐバーナンキ氏(元
FRB連邦準備制度理事会議長・著名な経済学者)が日本に提唱した政策を採用したもの です。
ところがバーナンキ氏は5月24日に日銀内で行われた講演で「私は理解が足りなかっ
た」「楽観的で、中央銀行が量的緩和を実行すれば、デフレを克服できるはずと確信し すぎた」「ほかの選択肢を無視しすぎた」と自説も日銀の金融政策も過ちだった、と白状 したのです。
安倍監視下、大手メディアは揃ってこの懺悔部分を無視しましたが、「エコノミスト」など
週刊経済誌が報じ「日銀の黒田総裁の胸中は穏やかではなかったはずだ」との観測記 事を出しましたが、的外れ政策であることをマスコミは大いに批判すべきでした。
今も日銀がやっている量的緩和は、実質的に財政支出を中央銀行が紙幣の増刷で引き
受ける「財政ファイナンス」の状態で間違い政策であることが、バーナンキ氏が言わずと も明らかなのに、安倍政権も日銀も、かたくなに否定し続けています。
その上、史上初のマイナス金利政策を始めて一年余、これも効果に繋がっていません。
開始直後、三菱東京UFJ銀行は国債引き受けの特権を返上して「抵抗」して見せました が、全銀協会長に就いた平野・三菱UFJフイナンシャルグループ社長は「効果があった」と述 べました(6.15記者会見)。
マイナス金利のために、預金金利は更に引き下げられ、金融機関の利ザヤは悪化し企
業年金の予定利率引下げ他、広範な悪影響が広がり、効果の中身は何か?訊きたい 程です。
平野会長は、立場上そう言った感もしますが、同時に「実体経済を大きく動かすために
は金融緩和だけでは足りず、成長戦略、或いは構造改革が必要」と金利政策の限界を 指摘したのです。
勿論「成長戦略」と言っても安倍・財界好みの政策(赤字国債増発による公共工事や軍
需等)ではなく、庶民のフトコロを温めて、総需要が伸びる政策こそ基本なのですが。
欧米では金融緩和の手仕舞いなのに欧米では、異常な資金供給はインフレやバブルと
なるなど弊害があるため、供給した資金の圧縮へ向かう「出口戦略」を実施(米)或いは 検討(EU他)しつつあります。
7月15日の日経新聞は一面トップに「緩和マネー 縮小へ難路 景気・物価にブレーキ
も」との見出しの記事を出しました。縮小せざるを得ないことを認めつつ、様々な難しさを 述べた中途半端な記事です。
欧米でも出口へ向かうと、株相場の下落等懸念していますが、大事なのは金融経済全
体の健全化と考えられています。
日本も金融緩和・マイナス金利の弊害を考え出口戦略を採るべき、との批判が出始め
週刊経済誌には、相次いで掲載されていますが、マスコミ界ではまだ批判が弱い感じで す。
黒田日銀総裁は、バーナンキ氏の懺悔にもかかわらず「大切なことはやり遂げることだ」
と言い放ち7月7日にも国債の買い入れ増額を実施しました。欧米の出口戦略の影響 で、日本の金利も上がる気配が出たため金利抑え込み目的の買い入れです。
安倍政権が続く限り、日銀の「出口戦略」は実現されない可能性が高い、との観測も出
ていますが、このまま日銀が量的緩和、マイナス金利政策を続けたらどうなりますか。
日銀自体がタイヘンに
日銀がこのまま日本国債やETF、REITを買い続けていくと、様々な問題・矛盾が深まり
ます。日銀は国債を買い上げて紙幣を印刷し続ければ、紙幣は日銀の「負債」となり、債 務が膨らみ債務超過になりかねません。
政府や日銀への国際的信用が落ちて、円安となる可能性も高まります。輸出産業はお
得かも知れませんが、輸入原料の高騰、消費者物価上昇で大変な事態となります。
日銀の利益に応じて出す国庫納付金(16年分は4,813億円で、14年分=7,567億円より
既に減少)がガタ減りになると、国の減収分、玉突きで国民に穴埋めの余波が出てきま す。
現在の日銀の資産は500兆円余で国債が85%を占める異常さです。
これだけ買い集めた国債を出口戦略で売却となると、円滑に売れるのか?当然に値崩
れし、日銀は赤字売却だし、コインの裏表の関係で価格下落は即、金利上昇となり、金 融市場は混乱に陥ります。
銀行や他産業、国民に及ぶ問題
金利上昇となれば、銀行の預貸利ザヤは改善していくでしょうが、元々消費も融資も低
迷という状況下、貸付金利の単純な上昇とはなりにくく、もっと別の問題として、保有国 債・株式の下落で売却しなくても巨額の評価損が発生…、など他の面での混乱が出てき ます。
勿論、年金分野も運用損に評価損が出ます。公的年金運用のGPIFに巨額損失が出る
し、企業年金の基金も大赤字になります。リスク分担型企業年金に移行しておれば積立 不足が出ると受給者減額という憂き目にあいます。
懸念の一つは国債の投機的売却です。国債は殆ど国内で買われているので、ギリシヤ
みたいに、投機的暴落は無いと見られてきましたが、日本の国債は安定資産ということ で海外投資家が近時、購入比率を高め3月末は前年比6%増の116兆円で、保有割合 は11%に達したとの報道です。
下落の可能性が出てくれば、海外投資家などの投機的カラ売りが懸念されます。国債下
落幅は増幅されて金融市場全体を長期的な混乱に陥れ、金融機関の損失を拡大しかね ません。日銀は「金利が1%上昇すると銀行保有債券の時価損失が5.5兆円発生」との 試算を15年10月に発表したことがあります。
金利上昇となれば、政府が負担する国債金利の額が膨れ上がり国の支出予算が削減さ
れて国民生活を圧迫します。金利上昇で企業の負担が増えるため減益となります。不況 で税収が減れば庶民増税となりかねません。賃金・年金抑え込みのまま増税となれば、 消費は落込み、不況深刻化、悪循環となります。
国債利払い増加なども加わって国家財政が一段と悪化すると国債の格付けランクは引
下げられ暴落に拍車がかかる悪循環に陥ります。
このようしてインフレへの道を進むことになりかねません。むしろ、これによって巨額国
債の負担を軽減できるとの見方も出ています。
かけ間違えたボタンは?
こういう危険性はアベノミクス開始時から野党(特に共産党)が批判し、学者の中からも指
摘があったのです(藤巻健史・日本維新の会参院議員などまで)。
今の金融政策が続けば続く程矛盾が深まり、インフレを招きます。アベノミクスで儲かっ
たり、少々の蓄えがあったりしても吹っ飛びます。企業年金は物価スライドがありません から、著しく目減りします。国の年金とて、物価スライドはあるものの、物価上昇率そのま まではなくてマクロ経済スライドという圧縮計算装置付きですし、常に一年遅れの後追い です。
早く政策転換しないと年金受給者は勿論、国民各層、企業も日本の経済も困難に陥るこ
とが明らかと言えます。
かけ違えたボタンはかけ直す他ありません。総需要増大でデフレ脱却めざし、賃上げ・
社会保障拡充・年金改善など国民の懐を温め、必要税収は大企業・富裕層が担い、格 差と貧困を克服、国民本位の政治へ転換する他ないと思います。
フィンテックって何だろう、そして銀行の将来にどんな影響が?
(`17.7.28. A.H生)
最近、新聞の記事に時々フィンテックとかビットコインとか仮想通貨という言葉を見かけ
ることがあるし、書店にはこれらの解説書が多く展示されている。先日も「考える会でこ の問題の勉強会が開かれた。その中からか少し解ってきたことをかいつまんで書いてみ ます。
フィンテック(FinTech)とはFinance(金融)とTechnology(IT技術)をつなぎ合わせた造語
でIT技術を駆使した金融サービスのことで、銀行では従来からATM(現金自動受払機)、 クレジットカード・デビットカード決済などもその一つですが、それが最近、急速に発展し てきています。
もともとフィンテックが発展したのは2008年リーマンショックのころ、金融業界が低迷して
お客である業界や消費者の不安と不満が高まり新たな金融サービスの創出の要望が強 まってきた。つまり、既存の金融機関のサービスの低下と消費者ニーズの変化、その上 IT技術の発展で新たなサービスが生まれてきた。例えば、多くの若い人が持っているス マートフォンを利用してアマゾン、グーグル、アップルの各社が銀行より安くて便利な決 済方法などを始めた。
フィンテックの金融サービスには次のようなものがある。
(1)決済についてはスマートフォンによるカード不要決済、指紋による決済(生体認証決
済)、小規模な店舗には割高なカード決済用の設備を備え付けなくてもスマホにカードリ ーダーを接続して決済できるようにするなど。
(2) 国内・海外送金、貿易決済では金融機関を使用しない安価な送金(詳細は下記)
(3) 預金と融資では金融機関を使用しないで個人(預金者)と 融資を受ける企業を直結
して両者のニーズを満たす。預金者はより高い金利を得、融資を受ける企業は割安な金 利で融資を受けられる。(詳細は下記の通り)
(4) 財務管理では複数の銀行口座、各種のカード決済情報を一元管理できるサービ
ス。
(5) 資産運用ではニーズに見合った投資プランのアドバイス
(6) 家計での利用では買い物のレシートをデータ化、銀行口座情報を家計簿に自動反
映。
(7) 仮想通貨、実体のない電子マネーを利用した少額の外国送金では簡単な手続きで
割安な送金手数料とともに為替手数料・リスクが少なく、迅速に相手にお金が渡る。(詳 細は下記の通り)
金融機関自身がITを取込むか、フィンテック企業との協業か
このような状況なので金融機関はIT企業に比べ低い預金金利と高い手数料では金利・
手数料競争に負け顧客の流出の可能性がある。同時に預貸利ザヤ縮小、利益率の減 少と取引量減少によりリテール部門の縮小の危機感を抱いている。
今後、従来の金融機関とフィンテック企業が競合するか互いに相手 と協業するか、い
ずれかの方法で生き残り策を考えている。金融機関自身がITを取込むか、フィンテック 企業との協業かについての各行の状況は下記の通りです。
金融機関の扱っている情報は、顧客の入出金情報・与信情報・株価の推移など膨大な
量の情報があるが、それを収集・分析し、特定のサービスやビジネスに活用できるよう に精査・解析を人手ではなくITで行う「ビッグデーター技術」が必要。それは融資分野・資 産運用分野でも欠かせないものとなっている。
法的な規制でも銀行法改正(2016年5月)で銀行からIT企業への出資率を緩和され従来
の出資比率は5%以下だったが、改正で金融庁の認可があれば5%超の出資が可能で議 決権保有もありうる。また資金決済法の改正で仮想通貨を取り扱う事業者の義務として 購入者の本人確認(マネーロンダリング防止)、客からの預かり資金と事業資金を分離 (倒産の場合の客の保護)
「MUFGコイン」の開発、他行の動き
さらに仮想通貨のビットコインは商品券と同様に消費税が非課税となる(2017年7月か
ら)
銀行内にIT専属部署設置や、フィンテック企業との連携として三菱UFJフィナンシャルグ
ループではデジタルイノベーション推進部や「MUFGコイン」の開発が報道されている。こ れは1円=1コインの交換比率を固定・金銭への払い戻し可能・銀行口座を持たない人で も対価を支払い購入可能できるものです。
ビットコインの欠点は価格変動が激しいので決済には使いにくいけれど、固定にしたの
で一般に受け入れ易くしている。従来は資金移動に手数料を取っていたが、これを安い 手数料にすることも見込まれる。
みずほフィナンシャルグループでも、インキュベーションPT創設、LINEやマネーフォワー
ドと連携など、みずほ銀行とソフトバンク社との合弁会社設立により事前予備審査は融 資申し込み即時口座入金(スコア・レンディング サービス)も検討しているようだ。
その他、三井住友フィナンシャルグループではITイノベーション推進部、静岡銀行や東邦
銀行でもマネーフォワードと提携、千葉銀行・北國銀行ではfreeeと提携 (クラウド会計サ ービス)、横浜銀行はGMOペイメントゲートウエイと連携して「はまPay」(デビットカード機 能をスマホで利用)→2017年3月開始などの話もある。
これらの背景には消費者の変化があるが、例えば現金やカードの不用化で現金やカー
ドを持たずスマホで買い物、飲食をすべて支払い。決済のたびにカード情報を知らせたく ない要望に沿うためにはオンライン上に自分の口座を持ちそこから決済するオンライン 決済サービスではスマホからApple社の「Apple Pay」やLINE社の「LINE Pay」を利用す る。
上述の通り小規模店舗のカード決済導入が進んでいる。これは消費者(客)のカード決済
ニーズがあるが、決済端末導入には高コストなのでスマホなどのタブレット端末に店舗 の決済端末を接続し決済可能にすることで飲食店などの店舗で導入拡大している。
低手数料での外国送金の仕組み
上述の低手数料での外国送金の仕組みは以下の通りです。
銀行による従来の外国送金の仕組みは、銀行に送金依頼→受取人の取引銀行などに
支払い指示(SWIFT=国際銀行間通信)→代金は相手行にある自行の口座残高引き落と しまたは自行口座のある銀行に対して受取人の取引銀行に支払い指示など複雑で煩雑 な人手が必要だった。
それに対してフィンテック企業による外国送金の仕組には以下の方法がある。
(1)TransferWise
多くの送金の中から似た状況のユーザーを見つけ、反対方向の外国送金をマッチングさ
せ国内送金として処理する。
(例えば日本のAから米国のBへの送金と米国のCから日本のDへの送金をマッチングさ
せ、日本国内でAからDへ、米国内でCからBへの国内送金とする。)
(2)仮想通貨(ビットコイン等)による方法
〇送金方法 送金者がビットコインを購入(送金国通貨)→受取人にインターネットでコイ
ンを送信→受取人がコインを売却(受取人国通貨)
仮想通貨利用のメリット
1.送金手数料が安い→少額送金の場合は銀行送金は仕組みが複雑で多くの手数がか
かるため手数料が割高となる。コインの場合には仕組みが単純で人手がかからないの で割安。
2.送金者の国の法規制で銀行送金は金額に限度がある場合があるが、コインだと規制
できない。
預金者(投資家)に高い金利・高い配当と借入企業に低い金利で迅速融資
@Lending Clubの例
外国送金をマッチングと同じやり方で預金者と借入企業をネット上で直接結びつけるマッ
チングにより両者がメリットを得られる
A中小企業向け無担保融資判断が短時間で(Kabbage(カーベッジ)の例)
銀行口座・クレジットカード決済情報・クラウド会計サービス情報を登録し、オンラインで
それらをつなぐことにより外部サービスでデーターの収集・分析を短時間で行う
B不特定多数の投資家から資金調達(クラウド ファンディング)
自分のアイデアや製品をオンライン上に掲載、様々な投資家からの資金調達
(Kickstarterの例)
フィンテックの今後の発展と銀行の将来
上記の記述の通りフィンテックの発展は、@金融機関の収益に重大な影響を与えるとの
危機感で人件費などの経費削減の圧力とともに、A顧客の入出金情報・与信情報・株価 の推移など融資分野・資産運用分野の膨大な情報の精査・解析をIT技術で行うことにな る。
その分野の与信審査・資産管理・運用の人員の削減、人が従来行っていた投資判断や
投資アドバイスがコンピューターに置き代わり雇用が失われることもありうる。
国内送金の決済を従来の「全銀システム」から「ブロックチェーン」に置き換えの実証実
験
みずほ・三井住友・三菱UFJが2016年11月に行ったブロックチェーン技術の実証実験
振込銀行から受取銀行への情報伝達・決済の処理速度を比較
「全銀システム」→1秒間に1,388件
「ブロックチェーン」→1秒間に1,500件
貿易取引を信用状から「ブロックチェーン」に置き換えの実証実験
信用状取引は手続き処理が煩雑で多くの人手が必要だがブロックチェーンに
より「共通台帳を分散管理する」機能の活用で取引関係者が情報を同時に共有
することが可能。これにより情報閲覧が迅速にでき信用状の修正も簡単な作業
でできる。
スマホによる個人情報保護の危険性
フィンテックとは直接関係はないが、最近の「共謀罪」や特定秘密保護法さらにはマイナ
ンバー制度などを考えると、スマホはフィンテックでは上記のような便利な機器として必 要手段であり利便性も高まっているけど、半面では個人情報保護の危険性が懸念され ますのでスマホなどのモバイル端末の利便性と個人情報保護の危険性について一言、 触れておきます。
スマホでは、メールで交友関係がわかる、ホームページ検索・閲覧履歴で趣味趣向・購
買傾向が解る、撮影データーの履歴で趣味趣向・行動の記録が解る、GPS機能で行動 が記録される。このように個人情報が本人の知らぬ間に収集され、サービス提供側が活 用、販売促進・与信審査に本人の素行調査(?)などで利用するだけではなく、公安警察 や自衛隊などの各種の監視活動にもその機能が利用される可能性もあるので注意が必 要だと思われます。
退職している私達にまでリスク分担型を適用可能という厚
労省 法の原則に反し理不尽な厚労省の直視を!
今年一月にリスク分担型企業年金の関係法令が施行されました。2001年に確定給付企
業年金(DB)法、確定拠出年金(DC)法が施行されてから16年ぶりの大波と言えます。
ナゼこんなことを?―財界・厚労省はAIJ事件を「好機」に企業負担の軽減など狙い、こ
れまでに無い仕組みを作ったのです。
つまり、企業年金は本来、退職金の延払いですから、企業が当然に費用は勿論リスクも
全面的に負担すべきなのに、金融市場の激動などで積立不足が生じたら現役と退職者 にも給付を減額して負担転嫁させ得る、という仕組みです。
これは、退職年金の本質を歪め、金融商品のような性格まで持たせるもので、「企業年
金」の名に値しないものです。
厚労省は「確定給付企業年金法」に基づくとしながら「確定給付」という四文字を削除し
て「リスク分担型企業年金」と銘打ち、国会審議抜きで実施できるように政省令の施行で 片付けました。こうして多くの人達が知らない状況下で財界・厚労省はこの方式の普及 を図ろうとしています。
いずれにしても、出来あがったものを施行日以降に労使が合意すれば、現役を対象に
開始できる制度です。従って施行日に退職している受給者は当然、適用対象外なので す。
しかし、厚労省は施行日前の受給者に適用可能、しかも意思不問のままリスク分担型に
組み込めるという見解なのです。適用の不法拡大と意思不問と二重の重大問題があり ます。
法の原則に反する厚労省
法律が施行されると、その日から先の将来に向けて適用されるのが原則です。例えば、
厚生年金でも給付改悪が重ねられてきましたが、施行日から適用され、その前日までの 給付ルールが遡って変更されることはありません。
「法の不遡及原則」といわれていることで、当たり前のことです。法律を実施するための
政省令もこれに準ずるとされています。
リスク分担型に関する政省令は1月1日施行なので、当然のことながらこの日以降の
「労」側の現役が適用対象になります。
従って、施行日以降に月日を経て、例えば三年後に労使合意で導入の場合、退職者(=
受給者)を対象に組み込むことができると言っても、施行日以降に「労」側であった労働 者、三年間の退職者に限られます。四年前とか十年前とかの退職者にまでさかのぼって 適用するのは「法の不遡及原則」に反します。
しかし、厚労省は小池晃参議員の質問書への回答では、施行日以降の適用に何ら触れ
ることなく、遡及して適用可能と見なされる文面でした。
このため、二月に開催された厚労省レクチュアで当会事務局員が改めて問い質した処、
やはり施行日前の受給者をもリスク分担型に組み込むことが可能、と担当官は回答した のです。
繰り返し根拠を訊きましたが、回答は確定給付企業年金関係法令(手続き的な面だけ規
定)を示すのみで、かみあう答弁はなく平行線でした。
こうなると、現在、確定給付企業年金の受給者として安心していてもリスク分担させられ
る可能性が不当にもあるという訳です。
受給者の意思不問の横暴
重ねて重大なのは、施行日前の
受給者が意思不問のまま、リスク分担に組み込まれる理不尽です。
つまり「確定給付からリスク分担型への移行は労使合意による」としているのは、労使自
治の原則からは、労働組合(又は労働者代表)が正当な手続きを経て合意すれば形式的 には一理あります(実質的には労使協調的組合が企業主導で物事が決められる事態が 横行)。
しかし、施行日前の退職者は既に給付額は確定し、個々人固有の債権であるのに「本
人同意なしに減額可能」なリスク分担型に移行し得る、としているのは許されません。
しかも、受給者と関係ない現役の労働組合が、ナゼ受給者の債権を侵害し得るのか、
法律上の根拠はどこにあるのか、重大問題です。
この点でも二月に厚労省担当官に重ねて問い質しても、根拠はDB法施行規則にある
と、手続き的なことしか答えないのです。そして「移行に不同意の人は一時金給付を選 択することで意思表示ができる」という回答なのです。
「退職時に確定の受給債権が侵害される問題だ、民法の債権法に照らしてどうなの
か?」と訊くと担当官は「この政省令は民法との接点はない、自分は法律家でもないし弁 護士でもない」と肩透かしの回答をしたのです。
こんな行政府の筋違いについては、立法府から国会質問や質問主意書で正すことが求
められます。
裁判で決着つければいい、との意見もありますが、この国の裁判の実態では、正しいこ
とが必ず勝てる保障は何もありません。
重要なのは、「お上」を突きあげるだけでなく、「下じも」、つまり草の根段階から受給者
はじめとする国民世論の広がりと突き上げる運動です。
受給者が正当な権利意識を共有し広げていかないと、知らない内に不利益を押し付けら
れます。
まだある理不尽
従来の確定給付企業年金では、受給者に減額し得る認可要件として「受給者の3分の2
以上の同意」というのがあります。これは厚年基金の一つのルールとして1997年の厚労 省年金局長通達で一方的に示されたものですが、減額に同意しない受給者の意思を多 数の力で蹂躙するものであって理不尽なことです。
組合などが、多数決で団体としての意思を決定する方法は一般的に認められます(団体
法理) が、退職したら(受給者は基金から脱退扱い)個々の債権者であって、団体に属し ている訳でもなく多数決で減額できるものではありません。
年金局長の通達一本でこんな理不尽が横行している上に更に重大なのは、「3分の2以
上同意要件」を97年通達前に退職した受給者にも適用するという事例が増えたことで す。
局長通達も、出した日以降に実施するのが原則です。この前に退職している受給者にま
でさかのぼって適用するのは不遡及原則に反し、二重の間違いです。間違った遡及の 放置については、厚労省の企業・基金への指導監督責任も問われます。
りそな銀行でも1997年通達発出前の退職者まで減額される事態となりましたが、加えて
重大なのは、裁判所までもが認めてしまったことです。こういう事例が相次いで、厚年基 金とは無関係の大学の年金の減額事件の判決にまで援用されており、決して放置出来 ない問題と思います。
受給者が連帯しての運動を!
リスク分担型企業年金は、ややこしい仕組みですが、細部は別として大枠で見るだけで
も理不尽な制度です。しかも厚労省は根拠ないまま不遡及の原則に反して今の受給者 をも組み込み可能としているのです。
こんな横暴な受給権侵害が横行しないようにするために、受給者が現在起きている問題
状況を的確に知り、力を合わせてゆくことが求められています。
このため、当会は会報だけでなくホームページや対話で情報と知識を一段と幅広く届
け、会員を増やしながら基金や組合に働きかけていくこと、企業年金受給権を守る連絡 会、銀行年金守る会、年金者組合金融班と連帯していくことを方針として努力を重ねて います。
リスク分担型企業年金に見られる重大問題の背景には、安倍内閣が「日本再興戦略」で
企業年金を金融市場活性化の施策の中に盛り込んだことがあります。
つまり、厚年基金がAIJ事件を契機に減って廃止方向となり、企業年金分野での資金運
用の畑が狭まったこともあって、儲け口を拡大しようと、@元本保証の無い確定拠出年 金を国民全層に拡大、A企業負担軽減のリスク分担型で中小企業を含めて普及しよう、 となった訳です。
しかしAについて、既存の確定給付の受給者までリスク分担型に移行させるのは全く筋
違いです。こんな横暴を厚労省と組んでやるのは、受給者・国民の暮らし安定を考えず に、財界・金融業界が利益獲得のために動く政官業の癒着体制にあると言えます。
「企業年金は贅沢」といった意見が少なくありませんが、格差拡大と貧困化が進むなか
で、分断されたまま大人しくしていると「未だマシ」とか「よりマシ」と思っている人達も下 流へ押し流されてしまいます。社会保障予算の抑え込み・制度改悪に見られる通りで す。当会としては、こういう背景や実態も視野に入れつつ、会員の皆さんと力を合わせて 行きたいと考えています。
三菱UFJフィナンシャルグループ(MUFG)の第3四半期決算が2月3日に発表されました。
FGとしては通期(4〜12月)の純利益は7,869億円で7.7%の減益ですが、年度目標の92. 5%を既に達成したことになります。
銀行単体の純利益は4,505億円で12.6%の減益です。減益を織り込んでの当期目標7,
000億円に対して64.3%の到達度で、職場ではハッパがかけられている由です。
そうは言っても引き続き高水準の利益です。9月末の狭義の内部留保である利益準備金
だけでみても今期半年で607億円増やし3兆2,921億円に達しています。
減益でも巨額の利益は誰の働きによるもの?
銀行の発表資料では資金利益がマイナス金利の影響もあって8.3%減収、投信販売手数
料などの役務取引等利益が4.3%減収となっています。国内預貸業務が厳しくなった要因 はマイナス金利にあり、銀行はリスクのある市場部門、海外部門に力を入れています。
しかし、株式相場や金利、債券などの市況は変動が激しく、安定経営には至りません。
このところ米大統領のツィッターでの指先介入や口先介入で様々な波紋が各分野に及 んでいます。銀行の海外融資は特にアメリカで増加、金融業への規制緩和期待から株 価は上昇しましたが、米大統領に翻弄される面やリスクは高まるのではないでしょうか。
米国での規制は元々リーマンショックを経て金融機関のリスクを抑えるためのものでした
から、これを緩和すると長期的に見てリスクが高まるだけではありませんか。
こういう要因・背景もあってか、銀行は現役に対して厳しい対応です。目標が厳しくなる
上に残業するなと労働強化。ベアがあっても物価上昇に見合わなかったのが、昨年に続 いて今年もベア見送りとなり、職場では失望とため息が広がっているとのことです。
減益とは言え、巨額の利益は、従業員の働きがあってこそ稼げたものであり、サービス
向上・従業員処遇向上のために何をなすべきか?明確です。アノ安倍首相でさえベア必 要を説きライバルの三井住友銀行がベア実施をトップ自ら言うときに、三菱東京UFJ銀 行としては実践することが経営陣の責務でしょう。利益確保のために働く人達を押さえつ ける姿勢はいずれ退職者の年金にも向かって来ませんか。
銀行が目指すべき方向は?
MUFGの平野社長は日経新聞(1月1日)で今年の景気見通しは「家計・企業マインドが改
善。個人消費、設備投資が緩やかに増加」と予測しましたが、大銀行・大企業が率先し て賃金水準引き上げ→消費喚起→設備投資増大の好循環を作り出すべきであり、ベア 見送りの姿勢では言行不一致になりませんか。
アベノミクスが破綻しマイナス金利を含む金融政策が弊害をもたらすに至っては、国債
入札の特権返上に済まさず、政府に正面から政策転換を求めるのが筋ではないでしょぅ か。これぞ国民経済にも家計にも資する道です。
経営陣は目標必達を号令していますが、儲ければよいという姿勢には海外でも批判が
出ています。既に核兵器関連企業・火力発電会社等への融資には現地で3メガバンクへ 批判が高まり、トランプが推進を命じた原油パイプライン計画とこれへの三菱東京UFJ 銀行の融資にはニューヨークで抗議デモがありました。
週刊東洋経済(3月4日)は年に一度のCSR(企業の社会的責任)のランキングを発表しま
したが、三菱UFJフィナンシャルグループは金融機関部門で10位でした。人材活用・環 境・企業統治・社会性の各要素を評価するものですが、経営トップは何のための銀行経 営なのか、誰のための銀行なのか、熟考が求められていると思います。
トシはとってもゴマ化される訳にいきません!
年寄り相手の振込詐欺など年々進化?して高齢者が騙される事件が絶えません。カネ
と欲にくらんでいないのに騙されるのは全くアホらしいことですが、昨今はワルの政治 家、そして追随応援するマスコミにも騙されないよう用心することが一段と必要に思いま す。
その一つは社会保障の問題です。安倍政権の今年度予算案は色々とトンデモない内容
で、医療に限っても、70歳以上の高額療養費の上限引き上げ、75歳以上の後期高齢 者医療制度の保険料軽減措置の縮減、療養病床入院65歳以上の光熱水費引き上げ など目白押しです。
自公与党と補完勢力、そして財界は財政難や少子高齢化を理由に正当化しています
が、マスコミも声援を送るのは困ったものです。国民を洗脳し騙す内容と手口を看破して 暮らしを守る政治への転換が求められていると思います。
異様な日経新聞の提灯記事
高齢者に負担を強める政府案が出てすぐ先月19日付日経新聞は1頁トップに大々的に
「チェックなき膨張、社会保障債務2000兆円に」とビックリポンの大見出しを掲げ、続け て6-7頁に見開き2頁全面を使って「2030年悪夢のシナリオ、 改革怠れば現実に」など の見出しで根拠不明のオドロオドロしい予測数値を書き連ねました。
そして「世代間の意識差鮮明、支え手急減、制度瓦解」と世代間分断と対立を煽りつつ、
高齢者など応益者の負担強化論を掲げ、安倍政権案を援護射撃する記事を出しまし た。私は永らく日本経済新聞を購読していますが、こんなヒドイ記事と編集姿勢はこれま で無かったように思います。一体どうしたことでしょぅか。
日経新聞は、財政難を強調するものの、大企業の減税や内部留保に言及せず、無駄な
公共工事・軍事費に目を向けず、この新聞の立ち位置が明快な記事と言えましょう。
今こそ、財界本位の税の集め方・使い方を根本的に転換し、社会保障制度の充実を図
る必要があります。
朝日新聞も消費税増税をけしかける
1月6日の朝日新聞は社説「未来への責任 逃げぬ政治で国民合意を」の大見出しで
「新年度予算で介護や医療の給付抑制策、負担増は先送りが目立つ。将来世代がしわ 寄せを受けかねない」と社会保障の削減がまだ足りないと政府を突き上げ、世代間分断 の上で「選挙に左右されずに…目先のことに振り回されず、将来を腰を据えて考える」こ とを要求しました。
そして5年前、民主党が自公両党と合意した「社会保障と税の一体改革」(消費税増税と
一体で社会保障は削減)を評価の上、「ポスト一体改革」を提起し、首相の年頭の誓い 「未来への責任」を果たせ、と結んでいます。
ここでは法人税減税、軍拡など予算全体に目を向けずに社会保障費が増えるから消
費税増税で賄え!と、いわばアッチ向いてホィッなのが特徴です。
削減先行の逆立ち!
格差と貧困が広がるもとで、少子高齢化や財政難を理由に国民の暮らしをますます疲
弊させる医療・介護の負担を増やすのは許せません。
先ずは国民の暮らしを守るためにどうするのか?問うのが基本ではありませんか。無駄
遣いを棚上げして「先行き稼ぎの見通しが悪いから、ジィさんバァさん!医者通いを減ら してくれ、長生きも程々にしてくれ」という家族があるでしょうか。
安倍政権は、`15年決定の「経済財政運営と改革の基本方針」で"社会保障給付の増加
抑制は、経済成長に寄与"と書き込みました。企業の成長を重視して、国民の土台であ る社会保障を邪魔者扱いする冷酷さです。憲法25条の規定、特に「国は、すべての生活 部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければなら ない」を安倍政権がどう考えているのか、厳しく問われるべきではないでしょうか。
安倍政権は、世代間を対立させ現役の負担軽減を言うものの、本音は財界意向通り、
企業の社会保険料負担軽減です。他国比でも低率な社会保険料なのに経団連は負担 増を阻止し利益最優先の発想です。
真に現役を顧慮するなら、正社員を増やし、賃金を上げて社会保険料納付の総額を増
やす、高給者の厚生年金保険料の応能負担を強化する、結婚・子育てし易い社会にし て次世代が増えるようにする、国連の社会権規約委員会が要請の最低保障年金の導入 …など大小様々の具体策の早期実現が重要です。
ある!ある!具体策
具体策の一つに厚生年金保険料の応能負担があります。
今は標準報酬(毎月の給料などの報酬の月額を区切りのよい幅で区分した金額で保険
料の算定基礎となる)は30等級で、一番上は62万円です。(健康保険は一番上が139万 円)。月給百万円、2百万円の人でも62万円の人と同じ保険料で済んでいます。健保なみ の標準報酬で取れば、企業の負担分と併せて厚生年金の保険料収入は1.5兆円(共産 党・倉林参院議員)とのことです。大企業の経営者や上級管理者210万人が該当とみら れており政府・厚労省の怠慢です。 政府は、定年や雇用の延長を喚起しても賃金激減 を放置してきましたが、同一労働同一賃金の原則で賃下げせず、社会保険料を企業負 担共々まともに納付すれば良いのです。所得税収も確保可能です。厚生年金の支給繰 り延べで60歳の支給開始を61歳にし、1年分の年金額を「節約」ということで06年から15 年までで約14兆円も減らしたとの試算があります(河村健吉氏)。
少子高齢化といっても、結婚し子育てしたい若年層の雇用・賃金の確保改善を政治の
責任で実現すれば、次世代は増え社会保険料・税収は確保できて社会保障の土台は築 けます。
問われるマスコミの立ち位置
こういう基本点を軽視したり骨抜きにしたりする「一億総活躍」「働き方改革」では少子高
齢化が改まりません。これらの問題点をマスコミは追及せず政府の言うなりを垂れ流し、 財界と同じ立ち位置で自公民三党合意の「税と社会保障一体改革」を社是としていま す。
日経や朝日前掲記事はその一例です。国民に知らせるべきことを知らせず、財界寄り
のマスコミの報道には乗せられない注意が肝要と思います。
新春時事パロディ百人一首
詠人=在原万年平 (`17.1.1.)
音に聞く安倍政権の悪政は かけじや期待裏切られこそすれ
(本歌)音に聞く高師の浜のあだ波は かけじや袖のぬれこそもすれ
TPP民意も聞かず安倍政権 から回り気味で推進するとは
(本歌)ちはやぶる神代も聞かず龍田川 からくれなゐに水くくるとは
年金を削りにけりないたずらに 生活貧困ながめせし間に
(本歌)花の色は移りにけりないたずらに わが身世にふるながめせしまに
ゆゆしきや失言暴言とめどなく 目に余るなり自民の議員よ
(本歌)ももしきや古き軒端のしのぶにも なほあまりある昔なりけり
これやこの南スーダン派兵とは 知るも知らぬも憲法違反
(本歌)これやこの行くも帰る別れては 知るも知らぬも逢坂の関
背を丸め答弁せかされ稲田氏は 涙の末にしどろもどろに
(本歌)瀬を早み岩にせかるる滝川の われても末に逢はむとぞ思ふ
心あてに原発稼働認可して 民まどわせる規制委員会
(本歌)心あてに折らばや折らむ初霜の 置きまどはせる白菊の花
嵐吹く米大統領選その結果 トランプ勝利の錦を飾る
(本歌)嵐吹く三室の山のもみぢ葉は 龍田の川の錦なりけり
豊洲市場うち出でて見れば床下の 盛り土なされず時間は過ぎつつ
(本歌)田子の浦にうち出でて見れば白妙の 富士の高嶺に雪は降りつつ
沖縄の県民踏み分け基地広げ 怒号聞くときわれは悲しき
(本歌)おくやまに紅葉踏み分け鳴く鹿の 声聞くときぞ秋は悲しき
この法案人もうらめし腹立たし ギャンブル依存を物思う身は
(本歌)人もを氏人もうらめしあぢきなく 世を思うゆゑに物思う身は
トシはとってもゴマ化される訳にいきません!
私めは今月を以て遂に75歳、後期高齢者となりました。この名称は「もう後が無い!」とい
う感じですが、気持はまだ第三コーナーに差し掛かったつもりです。厚かましいと言われ るかも知れませんが…。
後期を「光輝」と言い換えて慰めてくれる先輩もいますが、頭頂部の先行きを示すような
感じです。中身の進化はありえませんが、問題や話題の続出著しい時代、ボヤかずに世 の流れに遅れないよう、ゴマカシを見抜く気力は維持したいと思うこの頃です。
少子化なら仕方ないか?
後期高齢者になった先輩達から先ず聞かれるのは、健康保険の不当な別扱いと負担の
問題です。しかし「少子高齢化の時代だから仕方ない」というのが共通のようです。健康 保険に限らず、介護保険、年金などでも共通するこのフレーズは若い人も含め、ゴマカ シやマヤカシが無いのか?一考の余地がありませんか。
先ず、少子化は社会保障の後退・削減の口実に使われることが多いだけに、誤魔化さ
れないようシッカリと考えたいものです。
第一に、少子化は自然現象では無いし、社会現象に見えても突っ込んでみると政治の
問題です。フランスなども一時は少子化が進みましたが国民の運動と政治の力で出生 率を引き上げてきました。
日本の少子化の要因は何か?―色々な調査もあり晩婚化、価値観人生観の多様化、な
ど指摘されますが、問題なのは結婚したくてもお金が不足、子どもを希望数産み育てたく てもお金が不足、保育所が不足、教育費が高いなどにぶつかる人たちが多いことです。
これが永年指摘されてきたのに打開されないのは政治の責任です。「賃金を決めるのは
企業だ、政治が口出しするな!」と経団連など主張してきましたが、巨額の利益を貯め込 み、賃上げや雇用増に回さない弱肉強食の流儀に批判が高まり、やっと安倍首相も動 き出したものの口先に留まっています。労働者の突き上げもあって春闘が闘われて出た 結果を「官製相場」と持ち上げる大手新聞のマヤカシ、安倍首相へのへつらいに誤魔化 される訳にゆきません。
政治の力で可能な筈の最低賃金の引き上げペースも先送り。強欲資本主義の親玉・ア
メリカでさえ最低賃金を1,500ドルに引き上げた実績があり、安倍首相もこういうことこそ 見習うべきだし、マスコミも世にアピールすべきではありませんか。
少子化の背景に控えるのは?
賃上げなどは労働者が労働運動で勝ち取る課題でもありますが、わが国では財界・大
企業の圧力采配で労使協調路線が根強く、賃上げ・雇用・社会保障など重要課題で財 界意向に沿う状況が続いてきました。
春闘で大企業が物価上昇にも届かない低ベアで妥結すると、これが世間水準とされて中
小の労働組合が頑張っても抑えられるという困難も続いてきました。要するにこの少子 化の問題でも、自民党流政治を進めさせてきた大企業・財界が控えており、ここに根因 がありませんか。(銀行が自民党に巨額の政治献金と貸付をしている事実も軽視できま せん。)
これを棚上げし「少子化だから高齢者厚遇の社会保障は削らないと…」「老後も自己責
任で」など巧みにマスコミも使い誘導します。「進歩的」と信じ込まれている朝日新聞でも 注意が必要です。日経・読売などと論調は同じで「将来の年金受給世代と働き盛り世代 との間で、負担と受け取る給付について、ぎりぎりの利害調整を図る難しい努力が求め られる」という具合です。
現役と受給者を対立関係に分断するのは健康保険、介護保険等でも共通しています
が、「利害調整」された挙句にいずれ若い層は老後に至り、削られた社会保障にぶつか るのであり、打破すべきマヤカシであり屁理屈です。
いま、国会に提案されている年金カット法案は、賃金が下がると物価が上昇していても
下がった賃金を基にして年金を削るというトンデモ提案です。
安倍政権は物価よりも賃金が下がった場合に年金を引き下げる条項は「万一、不測の
経済状況が起きた場合の備え」と滅多にないかのように言います。しかし今年1月政府 は「物価が前年比0.8%上がり賃金は0.2%下落」と発表しました。年金は据え置かれたも のの、仮に新ルールだった場合は引下げられます。国会答弁やマスコミの垂れ流しでは 誤魔化されてしまます。
少子化でも乗り越える道が
少子化が進んでも、国民個々人が豊かになれば社会保障など支えられます。つまり、格
差と貧困の打開、働く者への賃上げなどで分配が増え、所得税や社会保険料の負担能 力が高まれば可能です。
本来は生産力・経済の発展に伴い、労働者・国民が豊かになれる筈なのに、企業が利
益蓄積に励み過ぎ、配当増や優遇税制で富裕層は益々豊かになり、庶民は社会保険料 や消費税の負担増・年金減額なども加わって購買力は縮み、格差と貧困は拡大するば かりです。企業の社会保険料負担が他国に比べ低率ということなども含め悪政が問題を 深刻化しています。
今でも、その気になれば多少の改良可能なことはあり、一つは厚生年金保険料です。
保険料は給与に応じて納付する応能負担ですが、標準報酬62万円以上の高給者はこ
れが納付の上限に留まっており、62万円以上給与を得ていても保険料は据え置きです。 こうして応能負担を免れているのは大企業の役員・部長はじめ約120万人もおり、法文 からすると新たな上位区分で負担させるべきなのが放置されています。一部の研究者・ 政党が取りあげても政府もマスコミも無視です。
こんな仕組みを転換すれば人口が減っても一人当りの所得が増→所得税や社会保険
料の納付額も人数も増→社会保障制度拡充…に繋がります。そして購買力の増→企業 も売上増→設備投資増→企業利益増→経済成長の好循環に繋がります。
物価上昇は必要な目標なのか?
物価とて、技術革新等で下がれば結構なことで、携帯電話やパソコンなどその典型で
す。安価になって更に消費量が増えれば国民は豊かになれますし、結果として企業も潤 いGDPも伸びます。それなのに、賃金も年金も消費量も抑え込んでおいて「物価上昇が 必要」と言う発想は、逆立ちです。賃金や年金が増えて購買力が高まり供給を上回るか ら結果として物価が上昇するというのが本質です(循環のように見えますが基本的な起 動力は需要)。
こういう点では、そもそも「物価上昇目標を掲げて値上がりしそうというインフレ心理へ誘
導すれば消費が増えデフレから脱却できる」というアベノミクスはゴマカシ・マヤカシでし た。「物価が上がりそうだから早く買おう」なんて余裕ある庶民はどれほどいるのか?―そ んなことはお構いなしにアベノミクスを推進し、またヨイショし続けたマスコミに誤魔化さ れる訳にゆきません。
安倍首相と肩を組んだ日銀総裁はとうとう物価上昇目標を先送り、当面のゴマカシ策(例
えば「指し値オペ」)も見通し難です。トランプ大統領当選の影響で円安になっていますが 先行きは不透明です。金利・為替・放漫財政などの幾つもの要因で国債が暴落するリス クも依然として排除できません。
やはり、国民本位の目線で基本に立ち返ることが重要ではないでしょぅか。つまり、労働
基準法などの遵守徹底で働き方を変え雇用も余暇も増えて、また年金もきちんと出して 一人当たり消費が増える、それも趣味やレジャーなど現役にももっと広がれば人口が減 っても、総体として経済が成長できる道はあると思いますが如何でしょうか。
誰のため何のための経済か
経済成長と言うとスグ企業の成長やGDPに誘導されがちですが、GDPの六割を占める
国民の消費・購買力こそ重要ではありませんか。
ここを軽視して企業が目先の利益と蓄積に走り過ぎて、国民が豊かになれないために需
要不足・供給過大のデフレとなっています。購買力が高まり供給を上回れば結果として 物価が上昇…となるのに、この基本に目を塞いで、物価上昇を目標に掲げる金融緩和・ アベノミクスは逆立ちです。目標達成困難は当然で先送りしても弊害を増大させるだけ です。
経済の語は「経国済民」に由来しており、国民を救済することなし国を治めることはあり
得ませんし出来ない筈です。経済成長と併せて為政者や財界人の心・志の成長も必要 に思います。企業経営者は目先の利益を最優先で追求し、従業員・利用者・取引先あっ てこその利益という点が霞んでいませんか。遂には国家の経済興隆も総論賛成でも各 論的には人減らし・労働強化・賃金抑圧を己の使命としていませんか。
「少子化」「物価上昇2%目標」などに幻惑呪縛されぬよう、政治転換で国民本位の経済
(ホントの経国済民)を願いたいものです。
フィンテックの進捗は、行内の仕事を大きく変えてしまいそうだ
樋口昭男 16.9.23. (旧東銀)
最近、話題のフィンテックの仕組みはまだよく理解できていない点もあるが、私が現役時
代にやってきた仕事がほとんど不要になるような感じでちょっとショックだ。
例えば外国送金。私が現役の頃の仕組み(現状ではまだ大きくは変わっていないと思う
が…。)は概略次の通りだ。
お客から依頼を受け日本の円を受取り、客が指定した海外の相手の近にある銀行に、
例えば相手銀行にある自行の口座を引き落としたお金(外国通貨)で相手客へ支払えと 電報などで依頼するという仕組みだ。だから送金が相手に着くまでの日数は時差の違い だけではなくそれぞれの段階での作業時間が必要なので早くても一日二日はかかる。で も、フィンテックの一種のブロックチェーン(BC)を介在して送金人と
受取人間で直接インターネットにつながったコンピューター処理で
即時に資金のやり取りが出来るとのこと。輸出、輸入などの貿易の
やり方やそれに関わる資金決済の今までの仕組みの概略は次の通り。
海外にいる相手の信用状態が不明なので、船で貨物を海外に出しても代金が受け取
れるのか不安なので、前もって銀行に信用状というものを出してもらう。輸出者はこれに 記載された条件通りの書類であれば銀行が支払いを保証してくれる。銀行は輸出者か ら書類を「買い取り」の形でまず代金を輸出者に支払う。その後、相手銀行との間の資 金決済をこの書類の受け渡しで行い、輸出者に支払った資金を回収する。この複雑な 取引もブロックチェーン(BC)を介在して輸出者と輸入者間で直接インターネットにつな がったコンピューター処理で即時に資金のやり取りが出来るとのこと。
この技術が進めば銀行内の外国送金の係りも、輸出・輸入の係もいらなくなるばかり
ではなく、それらの資金決済が正しく記帳されているのかを点検する係(例えば自行の海 外における口座の入り払いや残高が正しいかどうかの検査など)がいらなくなる。
ブロックチェーン(BC)はこれらの分野だけでは無いようなので銀行業務全体への影
響は計り知れないと思う。行内の多くの人がこの分野の情報を正しく理解すべきだし、今 後の進捗状況も見守る必要があると感じました。
安倍政権の無責任と筋違いは公的年金・企業年金両方に
与謝糠晶太 16.9.16.(旧三菱)
公的年金の積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は昨年度(16/
3期)の運用実績が5.3兆円もの赤字だったと7月に発表して直ぐ、8月には今年4〜6月 期は5.2兆円の赤字だったと発表しました。
さらに、公的年金が昨年夏以降、株価が下落している時期、4.4兆円を株式に追加投資
していたことが先月判明しました。下ったから買うというのは、株価を最重視する安倍政 権の意向によるもので、株価の下落局面下、年金が株式の買い支えに使われたことを 示しています。全体の時価計算での含み損も考えると安倍政権の責任が改めて厳しく問 われます。
政権と業界の関係も問題
安倍首相は3年前、公的年金の運用見直しのための有識者会議を設置、大手証券とそ
の系列下の大和総研、野村総研のエコノミストが委員に就きました。彼らの勤めている 企業が公的年金の株式運用を受託しており、この会議の討議を経て安倍首相は国内債 券の運用比率を下げ、株式運用の比率を50%にまで倍加させたのです。
公的年金が投機的な運用で損を出した他方、運用を委託されている金融機関は巨額の
手数料で潤っています。15年度に支払われた額は14年度比92億円増の383億円で、過 去最高でした。株式売買の委託先には有識者会議のメンバーが出ている3社と3メガバ ンク系列の信託銀行、米英の大手金融機関が並んでいます。
筋違いを無自覚の異常
年金積立金は、国民の老後の年金保障が目的で、安定運用が大原則です。国民の積
立金を自らの政権維持のために注ぎ込み、老後の安心を危機にさらすことは筋違いで す。
投機的運用で損失が出れば結局、年金削減や保険料引き上げとなります。実際、安
倍首相は、2月に「想定の利益が出ないなら当然、支払いに影響する」と悪びれることも なく年金減額に言及しています。
こんなGPIF運用に先月のNHK世論調査で「不安を大いに感じている」45%「ある程度感じ
ている」28%、計73%が不安とのことでした。こういう民意を意に介しないで続行
の安倍首相は「人のふんどしで相撲」と変わりありません。
しかも、積立金による株価つり上げは市場を歪め、投機筋や銀行・証券会社が巨額の
利益を手にする一方、一般投資家や労働者は株価変動で苦しめられます。そのため、 「金融大国」の米国でさえ公的年金を株式運用していません。安倍内閣の姿勢は世界的 にも異常です。
安倍政権になって国の年金給付額はマイナス3.4%の目減りです。国民には支給削減
や保険料アップを押しつけながら、「アベノミクス」・株価維持のために国民の財産を危 機にさらすなど許せません。しかも安倍政権は、株式運用の拡大では飽き足らず、厚労 省の年金部会で「リスク分散」の名で巨大開発や不動産への投資に踏み出そうと有識者 会議で画策しています。
かつて年金保養施設「グリーンピア」を全国各地に建設して巨額損失を出し、年金積立
金を浪費したことへの「反省」はどこへ行ったのでしょうか。
政策の転換を
そもそも今の年金制度は現役が受給者に言わば「仕送り」する形の「賦課方式」をとって
おり年金積立金は巨額保有する必要がありません。
ヨーロッパ諸国では、公的年金の積立金は、給付費の数カ月分しか用意していません。
給付費の3年分という日本の"貯めこみ"は異常です。
大企業の減税、軍事費増のうえ社会保障予算を押さえ、細らせる給付に必要な資金を
投機で稼ごうという安倍政権の姿勢と政策は全くの逆立ちです。
積立金の投機的運用を止め、過大な積立金は計画的に取り崩して給付に活用する、と
いう方向に転換し公的年金に税金を投ずる必要があります。と同時に、厚生年金保険料 は報酬月額605千円で頭打ちの所、応能負担の原則に立ち企業役員など高給者の保険 料を引き上げる、非正規の正社員化、全体的な賃上げ推進の下で保険料の増収を図 る、など制度の充実も必要です。
年金制度の安定に最も重要なことは、年金制度を支える現役労働者の雇用と賃金の改
善です。生産年齢人口が減っても働く人が増えれば支え手は減りません。少子・高齢化 は自然現象ではなく、結婚し子を産み育てたいのに困難な労働条件・社会・政治にこそ 問題と要因があります。
公的年金も企業年金も大転換を国民本位に!
`12年に自公民三党合意で「社会保障と税の一体改革」が打出され年金改悪を今もマク
ロ経済スライド強化など推進中です。そして「国の年金が細るから自助努力を促す」と今 では確定拠出年金で個人加入を促進すると共に、企業年金の制度改悪を推進中です。
大手新聞は「社会保障と税の一体改革」を支持・督励する社説を出し続け、企業年金を
も含む年金改悪を庶民の立場でまともに報道していません。企業年金についてたまに報 道があっても、金融市場の変動によって給付が変動する仕組みに異を唱えず、企業の 給付責任には殆ど触れません。
こうして私達の周囲には「年金は難しい」「なるようにしかならない」という声が少なくない
のですが、為政者に任せておくとトンデモない方向に押し流されてしまいます。
特に、アベノミクスの破綻を糊塗するように日銀はマイナス金利を導入し企業年金の運
用が困難な状況になりました。21日の政策決定会合で「マイナス金利の深堀り」は見送 ったものの展望の無い小手先の策を弄しています。このままでは日本の金融経済が一 段と崖っぷちに至ります。こういう下で財界は確定給付企業年金については企業の負担 とリスク転嫁に都合よいリスク分担型DBの施行を厚労省に急がせています。
年金はいずれにしても株式など金融相場に影響を受ける筋合いには無 く、国・銀行共
に現役にも受給者にも安定給付の責任を果たすことが求められています。公的年金、企 業年金両方共に情報と知識を共有して受給権を守ってゆく運動、そして基本的に日本の 金融経済をまともな方向に転換する政治を求めていく運動が重要ではないでしょうか。
厚労省改悪案に新たな問題提起 (XP生 `16.9.15.)
リスク分担型確定給付企業年金(DB)について厚労省は今年四月施行の段取りで昨年
から急ピッチで企業年金部会等開き推進してきましたが、どういう訳か大幅に遅れてい ます。
筋違いな案は今…
厚労省案は、本来企業が負うべき責任、コスト、リスクを現役と退職者に「分担」させると
いう筋違いな制度で、私達受給者としても加入者(現役)としても許せないものです。
現役の場合は、組合の多数決と労使間の合意によって筋違いを糊塗できる面があると
しても、退職者すると受給権は個々人固有の確定した債権ですから、多数決で変更する ことは法的に(民法・債権法)通用しません。
しかし厚労省案は、現役の労使合意でもって退職者の受給権をリスク分担と称して侵
害・減額可能、(現行確定給付企業年金から移行の際、減額でなければ)同意獲得の必 要なし、という仕組みで法的にも全く通用しない酷さです。(他にも、労使間の分担は五分 五分と見せかけて、そうなる保障は無い、など重要問題点が多々あります)
それでも厚労省はこれを強行突破しようと政省令案を5月に公表、「行政法」で法律上
義務づけられている「意見公募」を5月27日から一ヶ月間規定通りに実施しました。当会 の会員有志も応じ、案の問題点、矛盾点を突き疑問を提出しました。
厚労省は意見公募で出てきた意見、質問に見解を公表する義務があり、いつ、どんな内
容で発表されるか?この2カ月余注目されてきました。しかし、一向に発表されないので厚 労省に照会すると「もう少しです」と言うものの今だに何もナシです。当会では「進展」を 待っている訳ではなく、厚労省が無理筋なのを自覚してギブアップするのを待ちたい方で す。
企業会計でも疑義や批判が…
厚労省案は「労使合意で決めたリスク負担分の掛金を企業が出せば、後で不足金がど
うなろうと現役と受給者に負担させる、とにかく企業は後から追加拠出の義務は無い」と いうものです。
確定給付企業年金は追加拠出して責任を果たす仕組みなのに「必要も義務もない、企
業会計上は確定拠出年金(DC)と同じ扱いにする」ということですから、これは企業会計 制度でも重大な問題です。
厚労省は「企業会計基準委員会」に提起し、同委員会は二ヶ月間に亘り意見公募した
ら、会計学専門家・実務家から批判、矛盾指摘が相次ぎました。これは8月30日開催の 同委員会で討議され動画でも公表されましたが、公認会計士協会、監査法人、数理人 会、大学院などから出ている当然の注目すべき内容です。
受給権侵害阻止の連帯を!
例えば、厚労省案は市況悪化により過大な不足金が発生の場合、DC同様に追加拠出
の必要なし、としているのに「労使協議により追加拠出も可能」としている点です。これは 現役の合意を得やすくするための文言と見られますが、公募意見では「曖昧だ」など批 判が出ました。
厚労省案が会計上DCとしながら、DB同様に追加拠出があり得るなら、実質的に退職給
付債務が膨れ、株主・投資家はリスクを予測し難くなるため曖昧なのは困るという訳で客 観的にも当然の批判です。
他にも案の不備や不明確を指摘する意見が様々に出ており、目下、厚労省は指摘され
た矛盾の糊塗にエネルギーと時間をかけているのでないかと推測されます。
厚労省案は労使で分担するリスクの種類に金利変動も含めることを、日銀がマイナス金
利導入後打出しています。16/3期決算で上場企業がマイナス金利政策の余波を受けて 企業年金で用意すべき退職給付債務が膨れ上がり、減益要因になっていることが企業 名と金額など報じられています。
年金の積立不足は、これまで10年程度の期間に毎年分割して費用処理していたのが、
14/3期決算から全額負債に即時計上し、自己資本を減額して貸借対照表に反映させる ことに12年に変更されました。アベノミクスで潤った間は問題にならなかった企業でもア ベノミクスの破綻、内外経済情勢の困難等から、積立不足の膨張やその即時計上を嫌 って、一段と厚労省案の施行強行を迫ることになり、油断できません。受給権を守るた めに私達としては現役と共に一層の情報普及・共有と連帯が必要となってきます。
当会に未加入の方はどうぞお入りください。(手続きはトップページで!)
経営陣の情勢認識と方針をどう考えますか (当会一事務局員`16.8.8.)
三菱UFJフィナンシャルグループ平野社長は先月発行されたデイスクロージャー誌(銀行
法が義務づけている年次広報誌)で中期経営計画1年目だった前期の成果や向後の課 題について、長い文章を書かれています。大要を敢えて次の黄文字のように紹介し私見 を記してみます。各位も本支店に備え置かれているこの広報誌をご覧になって下さい。
社長メッセージ
中期経営計画初年度は銀行窓口を全面的に活用して証券顧客とは異なる幅広い投資
家層を開拓し、「貯蓄から投資へ」という流れに貢献できた。法人事業では、貸出が堅調 な伸びを示したほか、企業の潤沢な手元資金の運用ビジネスや活況な市場環境を捉え た銀行・信託協働による不動産ビジネスに顕著な成果があった。
ICT(情報通信技術)戦略では、デジタルイノベーション推進部が銀行・信託・証券など傘
下の事業会社横断的に新たな金融デジタル技術やビジネスモデルの研究・開発に取り 組みグローバルな態勢を構築。フィンテック分野でも活発な取り組みを続行。
良いことずくめですか?
私見→庶民にとって預金利息は「通帳のシミ」程度となる他方で株・投信へ誘導されるも
のの損失や目減りが広がり難儀な個人客が増えていませんか。法人貸出は増加と言う ものの、資金需要のある中小企業向けは伸びが僅か(前期で1.2%、当四半期は開示な し)で中小企業向け融資比率は低下傾向です。ICTで利便性向上に努めるのは良いので すが金融持株会社に禁じられている業態横断連携の推進はどう考えたらいいのでしょう か。
社長メッセージ
今「三つの逆風」に直面している。@海外経済、特にアジア経済の減速は成長のブレー
キ。A低水準で推移してきた与信費用の反転、B世界的な低金利継続。特にマイナス 金利は、単に資金収益を圧迫するだけでなく、先行きの不透明感から家計・企業とも新 たな投資・運用を手控える傾向にあり、金融機関の経営に大きな影響を与えている。
このように経営環境が大きく変化するなかで「国内に確りと軸足を置きつつ、海外に成長
の機会を求める」という基本戦略は変わらず「お客さま起点、グループ起点、生産性の 向上」を軸とした「進化と変革」への挑戦を加速させ難局を乗り越える。そして、変化をチ ャンスとして捉え、新たな成長を実現していく。
マイナス金利の根底にある重要問題は?
私見→マイナス金利は銀行経営上マイナスだけでなく日本経済から家計まで広範な悪
影響を及ぼしています。企業年金とて割引率引下げで困難と問題が広がっています。銀 行は国債購入特別資格を返上しましたが、根底にあるアベノミクス、異次元緩和を正面 から批判し転換しないと国民経済も家計もよくならず、ひいては「お客様起点」も噛み合 わず銀行経営も悪影響を受け続けます。
社長メッセージ
◆海外経済の減速に伴う既存事業領域の成長鈍化に立ち向かうため貸出中心型から、
預金・為替・付随する業務へ転換し、資産収益率の改善をめざす。
◆与信費用は、国内で多額発生増とは見ていないが、超金融緩和下でのバブルの発生
には目を光らせる必要がある。
◆マイナス金利影響については、低金利政策の効果を有効に捉え、資金需要の積極的
な発掘や投資運用商品開発に注力と共に、複数の対応策に着手。 そこで
〇経費の抑制や生産性の向上。海外拠点、銀行・証券の実質的統合など重複機能の見
直しのほか、銀行では今後10年で総合職を3,500名削減するなどスリム化を進める。
〇リスクリターンの改善。新たな顧客ニーズを捉えると共に、サービスの手数料見直しも
テーマ。
〇政策投資株式(いわゆる持ち合い株)の削減。
対応の施策はこれで良いのか?
私見→アベノミクス破綻の下、消費減退、設備投資不振なのに「低金利政策の効果を有
効に捉え」るのは容易でない筈。
むしろ銀行・FG自ら賃上げを実施し経団連としても賃上げ促進に動き、日本全体で消費
拡大による経済成長を図ることが求められています。
アベノミクスを加速させると経営難・倒産が広がり、金融緩和でバブル化進行が一段と
懸念されます。バブル化進行中なのに今更「目を光らせる」というよりも、早く政策転換を 求めるべきです。こういう根本問題抜きに合理化策や手数料引き上げ策を図るのは従 業員や利用者から批判されるだけではありませんか。
政府に及び腰
銀行は国債購入の特別資格返上で政府日銀に叛旗と言われましたが、FG傘下の証券2
社は返上せず従来通りであって僅かな意思表示に止まっています。FGの株主総会(6. 29)への「事業報告」では"個人消費は雇用者所得の増加が下支えとなりましたが、暖冬 による購買意欲の低下もあり、総じて見ると横ばい圏内の動き"…と分析!消費税増税 による個人消費減退は誰しも認める重大問題なのに一切触れず、アベノミクスの問題点 指摘はありません。このような情勢分析・認識から的確な方針・戦略は出てくるのでしょ うか。中途半端な「叛旗」で金融・経済政策の歪み是正や、ましてアベノミクスの転換は 無理です。
人減らし宣言の重大性
FG社長が傘下の銀行に直接「3,500人削減」と言うのは如何なものでしょうか。倒産間際
でも無いのに、何故必要なのか、どういう分野でどうして可能になるのか、しかも組合を 通さず人員削減を、説明も根拠も抜きに広報誌に宣言するのは乱暴極まりないことで す。
FGとしては「従業員満足度向上」を掲げているものの、人減らしの一方的宣言は、労使
対等で労働条件を決めるという意識も姿勢も窺えず、労働関係法令でのコンプライアン スは空文句なのでしょぅか。今も問題になっている残業・休暇取得難・メンヘルなど改善 する意識はあるのでしょぅか。
大量の削減は雇用対策法など関係法令・政府施策にも背馳し、雇用面での社会的責任
はどう自覚されているのでしょぅか。銀行協会の「行動憲章」にある企業倫理・法令遵守 事項に沿うことなんでしょうか。
日本の金融・経済に影響力をもつ大銀行が巨額の内部留保を蓄えており、FGとして高
配当し続けて、FGも銀行も、ステークホルダー(関係当事者)との関係重視を言い「お客 様起点」を強調しています。しかしお客と従業員の働きがあってこそ利益を上げている自 覚は実態としてどうなんでしょぅか。
人を減らして手数料見直しも推進、と宣言してサービス向上になるのか?「顧客満足度」
が高まるのか?法令とは別角度で問われる問題がでてきます。
法定の広報誌で世間にこんな姿勢を広言することは従来なかったことではありません
か。これは社長一個人の発想発言というよりも経営陣共通の意識なのか、社外取締役 の判断はどうなのか。知りたいところです。
経営の逆風、リスクを先ず行員に転嫁する姿勢は、リスク分担型DBにも通ずる感がしま
す。組織ぐるみでコンプライアンス無視軽視の姿勢なら、退職者の企業年金だって「目の 上のたんこぶ」と見て、リスク分担型DBへの移行もあり得るかも知れません。そんなこと の無いよう、現役とも連帯し当会としても頑張りたいものです。
アベノミクス破綻と銀行の行く手 (`16.7.22. 一事務局員)
安倍首相は「アベノミクスは道なかば」と言うものの「道なかば逆さに読むとばかな道」の
川柳がある程。筆者としては「ばかな道引き返せずに墓へ着く」と言いたいところです。
アベノミクスの綻びが明らかになるにつれ、かつては賛同していた側からも異論がでてき
たのが注目されます。
安倍政権に体制側からも批判と叛旗
先月、IMFが日本経済についてアベノミクスを真っ向から批判する報告書を出しました。
石破大臣が選挙の街宣で堂々とアベノミクスを批判したことは象徴的なことです。
マイナス金利政策には、三菱UFJフィナンシャルグループ(FG)平野社長が異を唱え、三
菱東京UFJ銀行が国債入札の特別資格を返上したことは、政府・日銀への叛旗と見なさ れています。こういう状況下、金融業界の機関誌とも称されている「金融財政事情」(7/ 11号)がアベノミクス批判の特集を組みました。
冒頭論文で野口悠紀雄氏(早大大学院顧問)は「アベノミクスはもはや持続不可能」の表
題で「円高により企業業績は後退、株価は下落。日銀の国債買い上げ策は行き詰まり で金利暴騰の可能性あり…大規模な補正予算を組んでも効果は一時的」と警告してい ます。
小幡績氏(慶応大大学院准教授)は「マイナス金利政策は経済成長率を押し下げる」のタ
イトルで重要問題点を指摘の上、金利上昇・国債暴落となる時が近づきつつあり、金融 緩和期待を一刻も早く打ち消せと警鐘。アベノミクスを初めは評価していた識者達が今 では批判側に立つ例が増えています。
英国のEU離脱が世界経済に大きなインパクトを及ぼし金融市場も荒れました。今後の
日本経済への影響、企業経営のリスクも様々に論じられていますが、不透明感が漂うば かりです。海外に展開している大銀行の経営陣は大きな環境変化に対応を迫られてい ます。
銀行の姿勢に警戒を!
前期決算で銀行は経常利益段階で減益となり、マイナス金利下、盛り返し策を中長期的
にも練っています。フィンテックへの進出など積極策も報じられていますが、他方ではコ スト圧縮策は常に定番であり、人件費総額は当然対象になりましょう。従来型のDB(確 定給付企業年金)では低金利下で割引率引下げとなって退職給付債務*が増えるという 問題も出てきます。
(*将来給付の必要額が百億円なら現在はプラス金利で運用、90億円何がしの用意で済
む、という計算に用いるのが割引率。この問題は他企業でも同じで、利益減の影響大と 実名入りの報が増えてきました。例えば東洋経済7/23号は三菱UFJFGと傘下のアコム は割引率が▲0.05%と掲載。銀行の前期有価証券報告書では0.00%〜0.74%の幅で表 示、前々期比引下げです。)
こういうとき、経営陣が現役のみならず、退職者も視野に入れ、企業年金改悪を企図す
る可能性は、あり得ないことでしょうか。この点でリスク分担型DBは企業にとってお得な 仕組みであり、警戒を一段と強める必要があります。
リスク分担型DBについては、依然として「分り難い」という声が多いのですが、端的に言
えば「現役の労働組合が企業と合意すれば、退職者も一括して新制度移行可能というこ とです。
当初導入段階でリスク分担率五分五分の設計なら"減額無し"として扱われ、受給者の
意思を問うこともなく、勿論3分の2以上の同意獲得も不必要で「十分な説明と一時金選 択の提示」で受給者は給付減・不安定化の新制度に組み込まれ、後で局面によっては 分担率五分どころでない大減額もあり得る、という仕組みなのです。
企業年金部会の資料や議事録を見ると複雑で分り難くいことは事実ですが、権利侵害
が一段と強まろうとしている時に私達としては情報と知識を共有し「三菱東京UFJ銀行の 企業年金を考える会」を大きくしたいものです。
こんな意見を出しました!
リスク分担型DBの政省令公布に先立ち厚労省が実施した意見公募にあたって、当会は
団体名で、また事務局員各人は個人名で意見を提出しましたが、ポイントは次の諸点で す。
受給権を侵害するな!
★企業年金は企業が全責任をもって給付すべきものであり、加入者受給者にリスク分
担を求めるのは、企業年金の本質を歪めるものであり認められない。
★現在のDB受給者は退職時に受給額が確定しており、後になって変更するのは受給権
の侵害となり許されない。仮に金融市場の状況で給付が増えることがあっても減額とセ ットでは不確定で不安定である。
★仮に労使が合意しても受給者にまで適用して受給権を侵害できる法的根拠はどこに
あるのか。
★民間企業の年金なのに強制的に法律・政省令で変えるのはおかしい。労使合意を前
提にするとは言うものの受給者には発言の機会も無い。余計なことはしないで欲しい。
★公的年金を減らしておいて、更に企業年金の方まで減らそうとするのか。
★現行DBからリスク分担型DBに移行する場合に減額となるなら受給者の3分の2以上
の同意を求める手続きを課すとしているが、同意しない受給者個別の債権をどういう法 的根拠があって侵害することが可能なのか、受忍して当然と貴省は判断するのか。
★憲法25条が行政に求めるもの、行政官としてどのように考えておられるのか!
★もともと厚労省は、国民が「健康に、働き、安心して生活を送る」
ということが行政の基本的な考え方ではないのか。
現行から移行する手続きはズサン!
★減額とならない移行なら@3分の2以上同意の手続きは不要、A十分な説明、B一時
金の選択給付、でリスク分担型DBに受給者が強制的に移行させられるが、@の手続き は何故不要と判断するのか、不同意者に対して退職時に確定した債権が完全履行され なくても良いとする法的根拠は何か。
Aでいう「十分」とは、対象者のうちどれ程の割合でもって十分と判定するのか、全国各
地に分散している受給者に会合形式で十分な説明を履行させるにはどんな要件を企業・ 基金に対して課すつもりなのか、説明会で出される意見疑問に対して十分な説明を担保 する手続きとして何を考えているのか。
B一時金の算定が公正な保証はあるのか、公正としても終身給付に及ばない。
参画させると言うが結果責任の押し付け!
★資産運用について加入者代表を委員会に参画させても、専門的知識や情報獲得の機
会の少ない加入者が監視し、問題提起しても是正させることは現実に非常に難しく形式 に流れ、とどのつまりは責任だけ負わされ、受給権を守れない可能性があるでないか。
★リスク分担型DBの運用に関して「受給者の参画を妨げず」とあるが代表をどのように
選任するのか、当事者任せで一応書いただけのことか。
参画など実現したとしても参画者以外の意向をどのように集約し反映させる措置・手法
があると判断しているのか、これでもって受給者の権利と利益を守り得るのか。
現役と企業が合意し受給者を無理やり…
★一つの基金で従来型とリスク分担型と併存を認めない原則とする理由は何か、受給
者の意識と権利を考慮しての判断なのか、労使間合意があれば退職済みの受給者の 意向を把握する必要なしとする根拠は何か。
★例外として併存を認めるとも言うが、どうして180度異なる選択肢を提示できるのか、
利害の異なる加入者と受給者の分断・対立を作り、混乱を齎す可能性があるリスク分担 型DB自体に根本的な無理と矛盾があると考えないのか。
★第17回企業年金部会では委員からリスク分担型DBは、もはや確定給付企業年金と
は言えない、加入者は納得できない、この言い方は止めるべき、などの批判が出ていた が、貴省は言わせておいて切り捨てるつもりか、どこかで反映斟酌する意思はあるの か。
★本件はDB法の重大改悪なのに国会上程・審議を経ることなく、政省令で片付けるの
は国民主権、民主主義に反すると考えないのか。
支払保証制度創設のやる気が無いのか!?
★支払保証制度の創設は15年前に国会決議された重要課題なのに貴省
は財界主張を並べて先送りしてきた。AIJ事件に絡んで「健全化法」が制定された国会
審議では附帯決議で「母体企業が退職金規程等に基づく退職給付義務を履行するよう 指導を行うこと」を政府に求めた。しかし厚年基金解散・減額など受給権侵害が進行して いるにも関わらず政府厚労省の対応は見られず、提訴など聞かれないなかで、支払保 証制度創設を棚上げしてリスク分担型DBを急いでいる。国会決議を何と心得るのか。
★本件は企業年金普及に資する施策と言うが、中小零細企業のなかで事前にリスク対
応掛金を拠出できる余裕のある企業はどれほどあるとの認識か。本当の狙いとしては、 余裕ある大企業などが事前拠出で損金処理など税制恩典を受け、金融機関がその拠出 資金で運用する事業の機会と規模を拡大することにある。真に普及を図るなら、中小零 細企業の振興を図り、賃金水準を引上げ、DB制度の創設・拡充に取り組める条件を政 府として整備し、「中退共」など現にある制度を改善し普及を図ることでないか。
★企業年金部会は労働者・労働組合の代表が僅か二人である上に議事録公表が極め
て遅い。国民が知らない内にコトが進められている事態を貴省としてはどう考え、今後ど う対処しようと考えているのか。以上の質問文には回答公開を求める。
先行き不透明な時に年金を守るには?
(A.I.16.6.30)
このところ意外な問題が相次ぎ、企業年金との関連もツイツイ気になってしまいます。
その一つは英国のEU離脱です。大方の想定外とされ、金融市場が激動、様々な論評
がされていますが、コトの重大性と今後を考える上でも歴史的に振り返るとどうでしょう か。
シリアなどから英国への移民難民の急増が英国民のEU不信感を高めて離脱派を増や
したと見られていますが、その背景にある中東の不安定不透明な情勢は、永年の英国 などの植民地支配の歴史、近時は英国がアメリカと一緒になって軍事対応してきた結果 が生み出したものであり、英国は、国家としては(恐縮表現ながら)自業自得の状況に追 い込まれた面がないでしょうか。
また、国民レベルでは昔から資本主義経済の発展爛熟と共に格差と貧困が広がり、税
負担でも富裕層より庶民の負担率が重いとか、企業が安価な移民を優先雇用し英国庶 民が失業するとか、移民と対立関係に置かれて排斥意識が広がった面があります。
英国では大企業がEU加盟でメリットを享受してがっぽり儲け、社会保障などの必要に貢
献しない他方で、恵まれない国民と移民難民が対立関係に置かれて多数が離脱に傾い た、という面は私達としても、他山の石とし
て見つめておきたいと思います。
日本はどうなる・どうする
英国のEU離脱判明後、金融市場の激動は過剰反応で短期的には落ち着くと見られます
が、本質的な懸念は以前からいわれている「欧州発」の金融危機の発生です。それゆ え、欧州の景気減速感やEU全体の政治的リスクが強く台頭した際には、世界の株式、 債券、為替相場が再び混乱しませんか。
先行き不透明感が増す程に投機筋が跋扈して
激動のなか企業業績の低下やら企業年金の運用難やら様々な悪影響が危惧されます。
こんな中でも気になるのは、日本の株下落・外為相場乱高下が他国以上という事実で
す。これはアベノミクスが異次元金融緩和で円安とし、海外から投機資金を呼び込んで 株価を吊り上げる政策をとってきたことに要因がありませんか。政府与党は懲りずに更 なる金融緩和・国債増発前提の財政出動・公共工事等拡大を画策していますがトンデモ ないことです。
銀行も矛盾が昂じて…
大企業減税など進めながらの
放漫財政で国債暴落の危険を抱えながらの綱渡りでは、国債保有の金融機関も大変で
す。英国のEU離脱問題の前に、三菱東京UFJ銀行が国債入札の特別資格PD(プライ マリー・ディーラー。財務省が国債入札の安定を保つために導入した制度で、参加者は 応札や落札の義務を負うかわりに、当局と意見交換できるなどのメリット付与。22の銀 行・証券など対象)を返上しました。
特権返上に至ったのは「もうこの政権に付き合い切れない」と反アベノミクスの旗色を鮮
明にしたもの(三菱総研顧問・高橋乗宣氏)との指摘はご尤も!と思います。
銀行の総資金利ザヤがマイナスで本来業務が儲からないのに、なお政府・日銀がマイナ
ス金利を続ける、アベノミクスのエンジンを噴かせる…という方向では、大銀行とて展望 を見いだせる訳がありません。
アベノミクス下の約3年半、大企業や大株主は儲けを記録的に増やしていますが、その
殆どは内部留保や新たな投機に向かっており、国民の暮らしも日本経済もよくなってい ません。実質賃金は5年連続、個人消費は2年連続のマイナスです。デフレの主因が個 人消費低減にあるのが明らかなのに、金融緩和でインフレ誘導とするのは間違っていた ことが明確になりました。
デフレ克服には、大企業の内部留保の一部を賃上げなどに回し個人消費を増やし企業
の売上増→設備投資増→貸出増の流れを強め、この過程で雇用増、税収増、社会保障 拡充も図って経済成長・財政好転の展望を切り開けます。
日本の大企業・銀行はどう動くか?前述のようにアベノミクスに反旗を翻し金融・経済政
策の大転換を求めるのがスジですが、土台無理な話です。
三菱UFJフィナンシャルグループの株主総会(6/29開催)に株主から「日銀にマイナス金
利政策撤廃要望書の提出を求める定款一部変更」の提案が出たことが議案書に掲載さ れ、提案理由にはまともなことが書かれていました。(ただ、定款変更の要求であったた め取締役会が「不適切、反対」と肩透かしの反対意見を記載) 大企業大銀行を民主的 に規制、動かしていくには先ずは有権者の力で政治を転換することでしょう。
年金はどうなる?
既にマイナス金利定着下、資金運用が困難となり国民の年金資産が託されているGPIF
の赤字・資産目減りは不可避(15年度通して7兆円の損失との試算も…)危険な運用で年 金財政が悪化すれば、ツケは給付削減や保険料引き上げとなって押し付けられます。
企業年金の運用悪化も様々に報道されており、マイナス金利下では一段と運用が悪化
します。確定給付企業年金(DB)を実施している上場企業の場合、従業員に将来支払う 年金を退職給付債務(PBO)として計算しますが、100億円必要なら今現在必要な金額は いくらか?長期金利相場の利率を前提に90億円何がし準備すればよい…という風に割 引率を用いて計算します。この割引率は金利相場が低くなると低下し、巨額用意しない と必要金額の備えができなくなります。こうしてPBOが膨らめば企業は一定期間で費用 処理する必要に迫られます。
三菱UFJFG傘下のアコムが四月に割引率をマイナスにしましたが、このあと、名だたる
企業が割引率を引下げ、結果として膨らむPBO処理費用が業績悪化に繋がっている… という実態が経済誌紙で報じられています。
リスク分担型DBはNO!
視界不良の中で企業が採る方針としては、利益確保のため人件費圧縮は定番であり、
賃金と企業年金が槍玉に挙がるのは不可避です。丁度こういう時に企業にとって格好の 施策がリスク分担型DBではありませんか。
現行のDBでは、前述のように積立て不足を決算に即反映するため、追加拠出が必要と
なります。こういうリスクに備えて財界の要求で厚労省はリスク分担型DBの具体化を急 いできました。この新型を採り入れると企業は前もって積立てた分だけ(最長20年間の 積立てで、途中ドカンと財政悪化しても積立てた分だけ)かぶって後は加入者受給者が 減額の憂き目にあうという仕組みです。このために会計基準も近々正式に変更見込み です。
厚労省は今年中の施行を目論んでいます。「まさかウチとこみたいな大銀行が退職者に
まで負担を求めるなんてしないだろう」という声が少なくないのですが、安心できますか。 昨年は最高益をあげながら脱法的な年金制度を導入しました。今では特権的な国債入 札資格をプラスにならないとドライに返上し政府にタテつくという変化ぶりです。
リスク分担型DBは、企業が組合に合意させれば退職者も巻き込んでリスクもコストも軽
減できる「重宝」な制度だという基本点をシッカリ見つめて、暮らしと受給権を守っていき たいものです。
マイナス金利政策と企業年金 (`16.4.18.A.I.)
安倍政権がデフレ克服と称した「アベノミクス」は異常な金融政策で円安株高を推進し、
大企業は利益を増やしてきたものの、実体経済はGDPに示されるように低迷が続き、物 価上昇、消費税増税、年金引き下げ、実質賃金低下などが国民生活を直撃していま す。
賃金・年金を抑え込む企業・政府の政策転換こそが購買力を高めデフレ克服に向かう
政策であるにも関わらず、物価上昇の目標を掲げて異常な金融政策で追求しても真の 解決にならないことが明白となっています。
失策の上塗り
安倍首相が三年前アベノミクスを掲げたときは大手新聞や評論家たちがヨイショしました
が、三年余の経過から批判的論調が目立つようになりました。
それでも黒田日銀総裁は失政を隠蔽上塗りのようにマイナス金利政策を導入し更なる
矛盾と混乱を引き起こしています。
「やらない」と言っていたこの政策をサプライズで騙し撃ちのように採り入れたものの、直
ちに円高株安となりました。
この要因は
@アメリカがこれまでのドル高の是正に動いた、
A原油など資源安で貿易赤字縮小・訪日客増も加わり経常黒字が拡大して円の上昇圧
力になっている、
B海外投機筋が円売りから中国の市場混乱を背景にリスク回避の円買いに転じた、な
ど挙げられています。
これらを読みとれず黒田総裁は反対する政策委員を一票差で押し切ってマイナス金利と
したものの、円高株安へ逆回転です。
トンデモ政策の悪影響
マイナス金利導入で銀行は早速預金金利を引き下げました。1百万円1年定期で預けて
も百円!通帳のシミみたいだった利息がカスミになってもう見えない有様と言われます。 住宅ローン金利低下でメリットを受ける人たちはいても全体として庶民はデメリット大で
はありませんか。
金利低下で減った預金利子(逸失利子)と軽減されたローンなど支払い利子(軽減利子)
を比べた損得はどうか?…日銀発表では、1991年の利率が2014年まで続いた前提でこ の24年間で家計部門の逸失利子は606兆円、軽減利子は214兆円、差引392兆円の損 失とのことです。企業部門は逸失利子271兆円、軽減利子849兆円、差引578兆円のプ ラスです。国民犠牲の金利政策だったのです。
企業の対応は
マイナス金利政策で円高となったことを主因として企業の減益予測が広がっています。
中国経済の減速ほか世界経済の変化も絡んでいますが、こういう中でベースアップは、 特に大企業で軒並み前年割れ。大銀行も殆どベア見送りです。賃金は企業業績とは本 来連動する筋合いにありません。連動すべきは役員報酬や株主配当なのに、こっちは 高水準のままで赤字確定でもないのにこんな筋違いをやらかす大企業経営陣・財界が 政権と一体になって目先の利益獲得となる金融経済政策を推進しています。
庶民離れの発想
しかも振り回すリクツがいけません。デフレ脱却のためには、インフレにして先行き物価
が上がりそうにすると消費が増え物価が上がる…という見立てですが、これは金持ちに 言えることです。金利が下がったからマイカーやマンションを追加して買おうなんて国民 がどれ程いるのでしょうか。
賃金は増えず社会保障は削られ負担は増え…では益々消費を抑え全体的な消費は低
下。モノが売れず設備投資も貸出も増える訳がありません。金融政策で庶民を動かそう なんて!安倍首相・日銀総裁が庶民の暮らしを知らないなら失格、知っていてやるなら 確信犯、どっちみち彼らを国民の力でとっ代える他ありません。
銀行でどんな問題が…
マイナス金利政策で銀行は軒並み減益と観測されています。預金金利は下げたもの
の、貸出金利は鈍い状況とのことですが、利ザヤが縮小しているため抵抗大と見られま す。
他方、マイナス金利政策で国債売買価格が上昇し銀行は利益を得ます。しかし持株の
下落が大です。こうして総体的に地銀の減益幅は二割ほど、メガバンクは海外ウエイト が高くて減益幅は5〜8%程度と見られています。
全国銀行協会・国部会長(三井住友銀行頭取)は「アベノミクスの下、経済の好循環の流
れは崩れてない」と安倍政権を評価し、日銀への批判は口にせずマイナス金利への理 解を述べています(ニッキン4/1)。
地銀・信金などは地方経済の衰退で融資業務の先行きが案じられている所へマイナス
金利です。合併・統合に拍車がかかり融資先の発掘や分捕り合いなど激戦の由ですか ら、この会長発言はどう見られているでしょうか。
三菱東京UFJ銀行の小山田新頭取は、マイナス金利は「資金需要を直接喚起する効果
は大きくない」と述べてこの拡大を牽制。そして赤字の中小企業にも踏み込んで融資す るなどの方向性を語っています(日経新聞4/4)。
三菱UFJ・Fg平野社長はマイナス金利に苦言を呈し「体力勝負の厳しい持久戦が長期
化する」と発言(日経4.14)しており、大銀行が利益確保のため、特に人件費総額の抑え 込みのためにどんな施策を展開するか?企業年金についてどう出るか?警戒が必要で す。世の為人のためになる事業展開は望ましいのですが、ベア見送りとした銀行は企業 年金についてどう出るか?気になりませんか。
企業年金の難題
マイナス金利政策で企業年金分野では、資金運用自体が困難になる問題と積立不足の
問題が出てきます。確定給付企業年金の場合、企業は将来に生じる年金費用を予測し て現時点で用意すべき金額(=退職給付債務)を算定します。例えば三年後に百億円必 要なら割引いて90億円何がしを今用意して運用すれば良いということです。
この計算に使う割引率は長期金利に依っており、マイナス金利で長期金利が低下する
と、割引率を下げ、退職給付債務が増大します。これが10%以上増えると決算に反映す る必要があり、企業は負担としてこの回避のために何をするか?警戒が必要です。
前前から大企業・財界は確定給付企業年金の負担軽減のためにキャッシュバランスプ
ラン(CB)など手を打ってきました。三菱東京UFJ銀行はCBを現役に実施し、更には脱法 的な確定拠出年金を昨年始めました。最高利益記録を更新しながらこんな策を講じてき た銀行の経営姿勢は従来と異なり要警戒です。
財界・厚労省の施策展開
いま、厚労省は財界の要請を基にリスク分担型確定給付企業年金の具体化を練ってい
る最中です。本来は企業がコスト・リスクを負担して給付すべきなのに現役や退職者に 分担させるという不条理なものです。厚労省案には数多くの疑問があり、企業年金受給 権を守る連絡会が厚労省に質問状を出しましたが無回答です。(詳しくは当会HPに掲 載)
国の年金ではマクロ経済スライドの強化や積立金の危険運用など厚労省が財界意向に
即した動きです。こういう面からも政治の転換が求められているのではないでしょうか。
企業のリスク負担を受給者・現役に分担させる改悪画策
厚労省が推進中の「案」に警戒、批判を! (`16.4.1.与謝糠晶太)
金融市場の揺れが続く中「リスク分担型確定給付企業年金(DB)」という仮称で厚労省は
15年ぶりの企業年金改悪の準備を推進しています。企業年金には無関心という方でも、 財界大企業が利益のために筋違いな身勝手を強要する一例として、また、次世代に悪 影響を及ぼす問題として以下をご覧頂ければ幸いです。
現役・退職者に筋違いの画策
企業年金は元々企業の責任でコストとリスクの負担を覚悟の上で実施している制度です
から、企業の負担が大だからと、加入者(=現役)、ましてや受給者(=退職者)にリスク 分担を求め企業の軽減策を図るのは全く筋違いです。
厚労省は案を練るに当り、有識者会議、専門委員会、企業年金部会など開催してきまし
たが、企業側に立つ学者や財界代表が殆どで、肝心のる加入者、受給者の意向を反映 すべき委員は二人程度です。それも労使協調路線の連合や同質組合から選任されてい るのです。
これまでの意見公募では、受給者や諸団体から受給権を守るべきなどの要望が多数寄
せられました。しかし今度の厚労省案には僅かな記述で、しかも問題含みです。
責任だけ取らされる
これまで企業年金基金では加入者代表を参画させてきましたが、案では更に加入者や
受給者に意思決定参加という名でリスクを負担させる仕組みです。
しかし重責を担うべき代表の選任は簡単ではありません。これまで、労働条件の決定な
ど労使対等が原則とは言え、対等と言えない実態、形式的に流れている実態が、企業 規模の大小を問わず、余りにも多い現状を考慮する必要があります。
少なくとも、労働組合のない場合の過半数代表者の選任は、一個人に重責を負わせる
点で形式的に処理されることは許されません。議題を独自に掲げて説明を十分に行なっ た上で代表者を投票で選任する民主的手続きが必要と考えます。
案には、加入者が運用の意思決定に参画することなど盛られていますが、運用環境が
厳しいなかで"方針通りの資金運用かどうかの確認"とか"結果についての議論"という 任務を遂行していくには、広くて深い専門知識・情報に精通していることが求められま す。
さらに企業と同等に結果責任を問われる事態もあり得ます。参画させることでリスクを分
担させるという狙いが浮彫りで、形式的な労使参画で加入者や受給者は安心できませ ん。
真に加入者の意思を反映させるのであれば、加入者の利害を代弁できる代理人を加入
者が選任できる等特別の方策を採り入れるとか何らかの選択肢が必要とも言えます。
更に、「受給者の参画は妨げない」と消極的表現がありますが、「受給者」とは代表者
なのか、どのように選任するのか、有志個人でいいのか、など不明確だし困難な案で す。
これらの問題点は、そもそも企業が経営責任で負担すべきリスクを加入者・受給者に分
担させようとするから出てくる問題です。入口から無理・筋違いがあるのです。
受託者の責任・義務は?
企業年金では「受託者責任」という定めがあり、年金給付の事業を受託する基金・銀行
などは自己の利益でなく加入者・受給者の利益に専念する忠実義務が規定されていま す。それでも不十分な面があり、企業年金部会や意見公募でもこの強化が求められてき ました。
厚労省は、これらに「今後の検討課題とする」「来年の春以降、企業年金部会で議論して
はどうか」と述べてきましたが、案には殆ど反映が見られません。
支払保証制度も永く先送りのまま
受給権で重要なのは、支払保証制度の確立です。16年前の国会で年金二法(確定給付
企業年金法、確定拠出年金法)の審議でこの確立が論議され、政府(=厚労省)に対して 特別に附帯決議が可決されました。
しかし厚労省は費用や公平性を理由に検討課題として先送りのままです。企業年金は
元々企業の責任・費用でやるものという基本点や加入者・受給者より企業の都合優先な のです。
減るだけでない増えることもアリとは!?
確定給付企業年金を実施している企業・基金がリスク分担型DBに移行する場合の手続
についても案は重大欠陥と問題があります。
案は、原資を多めに積立て、運用結果によって@積立が増えれば給付を増やす、A積
立が減れば給付を減らす、Aの確率が高い制度設計なら従来の給付減額と同様に加入 者・受給者の同意が必要、逆なら手続き無しで切り替え可能、としています。
これまで続いた経団連の要求を見ると、案は企業負担軽減のためのものですから、「減
ることもあるが増えることもある」という誘言にうっかり乗れません。
既に確定した給付を受けている受給者に、退職時に想定外の減額可能な制度に移行す
ること自体、筋違いです。
しかも、移行手続きは「a.十分な説明、b.3分の2以上の同意、c.希望者には一時金支
給」で可能としていますが、aはどの程度のものか問われます。りそな銀行の場合、いい 加減な説明会で済ませ、裁判でも問題になりました。
b.同意も重大問題です。退職者は企業・基金に対して独立した一人の債権者です。個別
の債権が多数決によって減額させられるのは理不尽なことです。厚労省は省令によって 3分の2以上としていますが、債権を規定する民法などの規定に矛盾しています。労働組 合などが多数決で議決する「団体法理」は個別受給者には当てはまりません。
退職者に後になって不利益を強要するのは問題であり、厚労省自身、"減額は同意した
者を対象とすることが可能"との通達を発出(年基発第0316001号平成16年3月16日) しており、一部の大手商社が減額のときに不同意者はそのままと
した事実もあります。
大事なことを国会抜きとは
以上は大筋の問題だけであり、詳しくはインターネットで「厚労省 社会保障審議会 第
16回企業年金部会」の三つの語句セットで検索しご覧下さい。
とにかく厚労省案は確定給付どころか不確定不安定な給付を行なうものです。確定給付
企業年金法が第一条に定める目的「国民の生活の安定と福祉の向上に寄与すること」 に背馳するものです。
こんな重大な問題ある制度を厚労省は省令によって公布、`16年中に施行しようと準備
を急いでいます。しかし、本来は、新たな法案として国会に上程し、国民的関心を高めつ つ民主的な討議を経て施行するか廃案とするか、立法府で決定すべきものです。
法治国家としては放置できない問題が進行中です。厚労省案を沢山の方々が知り、反
対世論を広げていく必要があると思います。
厚労省は案を政省令で公布する前に、法定の手続きとして、意見公募(パブリックコメン
ト)します。この時にどれほど多くの意見が厚労省に出るか、一つの山場です。
オカミはいつの時代でも「知らしむべからず、因らしむべし」とばかりに、国民多数が知ら
ないうちに、コトを進める傾向があります。草の根から案の背景・意図・具体策を掴み、 しっかり対応していきたいものです。
財界意向に即した厚労省の新制度案 X.P生(`16.3.6.)
リスク分担型(仮称)確定給付企業年金は昨年1月の社会保障審議会企業年金部会で厚
労省が「議論の整理」文書に「柔軟で弾力的な給付設計」の言葉を盛り込んで登場した ものです。このままでは判然としなかったものが9月の部会で厚労省は40頁の文書で具 体的に発表、短時間の討議で「了承」とされました。
私は1月、9月両方の部会を傍聴しましたが、難解な部分があり何回も読んでから色々な
ことが見えてきました。
ポイントは会報26号以降に掲載していますが、最大の問題は、本来、企業年金は企業
の責任でリスクとコストを担って給付すべきものなのに、リスクを労働者・受給者に分担 させる、場合によっては減額する、という仕組みで企業年金の基本を崩すものです。具 体的なことはややこしくなるのでさて置きますが、大きな流れをよく見ておく必要があると 思います。
財界都合の制度改定
バブル経済崩壊後、厚年基金が自民党政治の矛盾からうまくゆかなくなり、財界も人件
費コストを更に抑え込むために1990年代からあからさまに退職金廃止・企業年金改革を 主張していました。こうして厚年基金の代行返上と連動の年金二法=「確定給付企業年 金法」「確定拠出年金法」が財界の目論見通り2001年に成立したのです。
確定拠出年金は元本保証が無いため不人気でしたが、金融業界が力を入れ普及する
ようになりました(15/12末加入者5.7百万人)。確定給付企業年金は厚年基金の代行返 上と共に横滑りの形で移行、14百万人台を維持、15/3期末では13.8百万人が加入して います。
しかし、財界としては@不況などで企業年金の運用成績が悪化すると企業が資金拠出
を求められ、業績が悪いときに負担大、A積立不足になると決算に負債として計上義務 がある、ということから、労働者だけでなく受給者にまで負担を転嫁するリスク分担型DB を考案した訳です。
ゴマカシで筋違いを正当化
企業年金なんて私企業のことなのにナゼ社会保障審議会で議論?という疑問がありま
す。この審議会の中の年金部会で議論していたのは公的年金の削減ですが、国民の自 己責任、社会保障の公助から自助へ!を強める策として企業年金、特に確定拠出年金 の改定と確定給付企業年金のリスク分担型の制定と移行促進を画策するため企業年金 部会を新設した訳です。
労使間で決める問題を政府が口出しする点で、厚労省は筋違いな弁明と正当化を図
っています。中にはゴマカシがあり私としては看過できないと考えます。
その一つは「企業年金制度等は…公的年金を補完する形で事業主による企業年金の実
施や個人の自助努力を促し老後所得保障を図る制度である」「法の中で公的年金を補 完するものと明記されている」としています。
しかし、確定給付企業年金法第1条は「公的年金の給付と相まって国民の生活の
安定と福祉の向上に寄与することを目的とする」と規定しています。「相まって」とは、「二
つのことが作用しあって」「重なり合って」という語義であり、「補完」とまで拡大解釈でき ませんし明記もありません。逆に企業年金が不振になり減額が広がったら公的年金で補 完するのか?となると、やらないし不可能の筈です。言葉遊びみたいなゴマカシやウソは 許されません。
公的年金は憲法第25条に基づき国が責任をもつべき分野であり、企業年金に補完を求
めたり、まして個人に自助努力を求めたりすることは、筋違いです。公的年金の先細りを 無くすためには、正社員雇用促進、最低賃金引上げ、など次世代が育ち増え労働力に なり得る条件・環境を充実させ社会保障の土台拡充となる基本的根本的議論と政策策 定こそが重要の筈です。企業年金の理不尽な改悪推進は全く筋違いではありません か。
アベノミクスの一環の新制度案
また、厚労省案は安倍内閣の「日本再興戦略」に基づくものであると明記して
います。確かに14年改定版には記されていますが、そもそもこの戦略は財界の要求に
呼応して安倍政権が財界本位の成長戦略としてのメニューを並べたものであり、国民の 側に立っての老後の所得保障や受給権の保護などの記載はありません。企業年金につ いてこの戦略は「@金融・資本市場の活性化等」の中の「B豊富な家計資産が成長マネ ーに向かう循環の確立」の項目で提起し、確定拠出年金に重点を置いています(・確定 拠出年金の一層の普及等を図るため、国民の自助努力促進の観点から確定拠出年金 制度全体の運用資産選択の改善、ライフスタイルの柔軟性への対応等(マッチング拠出 における事業主拠出額以下との制限の取扱いや中小企業への確定拠出年金制度の普 及等)について、3階部分も含めた公的年金制度全体の見直しとあわせて検討を行う)。
この提起に基づき確定拠出年金については昨年の国会に改定案が出され、今は参院に
回されています。私達受給者には直接響かないことですが現役や次世代に関係する問 題として見ておきたいものです。
これは、@確定給付企業年金の無い公務員・主婦・中小零細企業労働者と、A確定給
付企業年金制度のある企業の労働者をも対象にするもので文字通り国民全層に元本保 証の無い金融商品へ投資誘導させるものです。(当銀行が既にフライングで昨春から開 始、三井住友銀行が法改定前なのに四月から開始との報道)
天引きで金融市場に資金を提供させ、元本を割り込んでも自己責任とする仕組みの他
方で、着実に稼げるのは金融機関です。天引き分だけ購買力減退となり、全体として経 済成長に繋がるというよりも、金融機関の成長に資するものではありませんか。
厚労省は企業のニーズがあるとして企業年金連合会の調査も引用していますが「減額
や確定拠出年金への移行を検討している22%」に注目し、「検討予定なし36.4%」など多数 派(中小企業が多い)は無視軽視の姿勢です。法令や調査結果を恣意的に歪めてまで金 融・資本市場の活性化を重視することは厚労省の任務としては如何なものでしょうか。
厚労省設置法で「厚生労働省は、国民生活の保障及び向上を図り、並びに経済の発展
に寄与するため、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進並びに労働条件 その他の労働者の働く環境の整備及び職業の確保を図ることを任務とする」と定めてい ます。
財界・大企業・金融業界の意向に即して国民の命綱である年金制度改悪にまい進する
厚労省に対して、私達としては厳しい目を向け巧妙な案の仕組みをシッカリつかみ反 撃、受給権を守る運動を発展する必要があると思います。
年 頭 ご 挨 拶
当会は2011年1月に発足して六年目を迎えることとなりましたが、この五年間、企業年金
を巡って大きな動きが相次ぎました。当会としては、銀行の企業年金の新施策、厚労省 の動向と施策の問題点、この背景にある財界の動きなどを会報、ホームページでお知ら せし勉強会も開催してきました。
お蔭さまで会員も着実に増えつつありますが、情勢の変化に対応しつつ、さらに存在感
のある会となるよう努め「安心できる老後」を目指してまいりますのでご理解ご協力のほ ど宜しくお願いします。
当会設立後5年間の主な動き
2010年11月、有志が当会設立準備を開始した二日後、銀行は現役に対しキャッシュバ
ランスプランへの移行を提案、翌年四月に導入しました。これは確定給付企業年金法の 精神にそむき、確定給付の名称にも反する変動的不安定給付となる制度でした。
2012年、厚労省は黒字企業であっても一定条件で企業年金を減額可能とする政省令を
出したのに続いて、AIJ事件を契機に厚年基金制度の改変を2013年に断行し、基金の 解散条件弾力化など受給権の侵害につながる措置を講じました。
さらに厚年基金だけでなく確定給付企業年金についても規制緩和を進め、キャッシュバ
ランスプランの「設計弾力化」(基準利率の下限は全期間ゼロで可、単年度マイナスもあ り得る等)を提起して意見公募を行ないました。当会も他団体と共に意見を提出しました が、通過儀式であったかのように2014年、厚労省は政省令の公布で実施に踏み切りま した。
これらの背景には、財界が政府に対して企業の負担軽減と現役・受給者への犠牲転嫁
の要求を一貫して突き付けてきた経過があります。
こんな流れの中で銀行は昨年、脱法的な確定拠出年金制度を導入しました。これは財
界として要求してきたものを先取りした内容で、法律改定も待たずにフライイングスタート したもので、かつ姑息な銀行側の節税策なども独自に仕組んだものでした。銀行が巨額 の利益記録を更新しつつ、こんな制度を導入する点で、当会では警戒を要すると考えて います。
財界は社会保障全体について、公的責任を定めた憲法に反して国民に自己責任・自助
努力を求める姿勢と政策要求を強めており、安倍内閣の暴走と相まって次のような重大 な政策実現の段階にきていることを当会として重視しています。
当面の重大な問題
厚労省は社会保障審議会の企業年金部会で次の具体化を図
っています。
1. 確定給付企業年金の「運営弾力化」
「リスク分担型確定給付企業年金」と言われるもので、これには次の二つの施策があり
ます。
(1)企業の掛金拠出の「弾力化」と、
(2)「柔軟で弾力的な給付設計」により、財政悪化時に積立が不足したら労使で分かち合
うとして給付減額があり得る、という制度です。
これは昨年九月の企業年金部会で厚労省が41頁の文書を示して短時間の説明と委員
発言で「了承された」として`16年度の実施を目指し細部を煮詰めているところです。骨 子は次のようなものです。
(1)企業の掛金拠出の「弾力化」
企業は財政悪化の時に不足する資金を拠出する義務がありますが、不況で母体企業の
業績が悪化している時に拠出するのは困難として、事前に不足額を見積もり、纏めて拠 出できるようにするものです。
一見、受給権の保護につながる面はありますが、
@企業は拠出金全額を税法上損金処理でき、その分、法人税を節減、
A積立不足で企業の拠出が必要となっても拠出しないため決算上、債務計上を免れ
る、という企業にメリットある仕組みです。
労使間でリスク分担と言うものの、労使合意した金額を越える不足が生じた場合、母体
企業が負担を免れる仕組みなのです。
(2) 「柔軟で弾力的な給付設計」
現役のみならず受給者も減額があり得る仕組みという点で重大です。特徴なのは次の
点です。
◆「財政悪化時に想定される積立不足」を予め労使間で決め(例えば給付現価=将来分
の給付も含めて必要な額の現在価値=の一定%)これを5%とするとこの半分2.5%は企業 が拠出する。
◆実際に2.5%分を超えて積立不足の事態となったら企業負担は拠出済みの2.5%に留め
て、後の残りは加入者や受給者が給付減額とする。いうことでリスクの負担を分かち合 う。→削除
◆「財政悪化時に想定される積立不足」の半分を企業が拠出するが、これを少なく決め
ると、企業はこの範囲内の拠出で済む。これを超える不足分は受給者の給付削減で片 付けられ、五分五分でリスクを分かち合うとは限らない。(厚労省は目下、細部を検討中 と言い、曖昧な回答)
◆例えば、積立不足を100億円と見積もり企業が50億円を拠出、もし積立不足が110億
円に達したら企業は50億円の負担で済ませ、残り60億円は受給者の減額と定める可能 性もある。
◆予測を上回る積立となれば給付を増やすこともあるとしているが、この仕組みはあくま
でも不足の場合の企業負担と受給者・現役の減額対応を狙いとしている本質がある。
◆基金型の場合、母体企業と現役双方が代議員会をつくって主要事項を決定する。受
給者が土俵外であることは従来通り。
◆案は"現役がリスク負担に見合う形で運用の意思決定に参画するための仕組みが必
要、受給者の参画を妨げない"としているが、現役代表・受給者代表をどう選ぶのか、全 体の意思をどのように集約するのか、仮に集約できたとしても採決権限や企業・現役と の議決権比率はどうか、運用失敗の責任転嫁の口実にされるだけでないのか、など多く の疑問がある。
厚労省は、財界意向に即して「リスクを労使で分担」との口実でオランダの事例を援用し
ての制度ですが、オランダでの普及率は10%程度であり、財界に好都合ゆえの提案で す。
元々企業年金は企業が経費もリスクも負担するものであって、労働者や受給者にリスク
や責任の転嫁を図ること自体が筋違いであり、退職年金の本質を一段と突き崩す根本 的欠陥を持つ仕組みです。
しかも、こんな重要な改悪内容なのに、政省令の公布で実施するのは尚のこと問題です
が、個別企業・基金が導入するかどうかは別問題です。導入には受給者に規約変更の 提案と説明会開催などが必要であり、全体の3分の2以上の同意が必要です。
したがって、銀行が導入をしないように受給者が団結し、提案があっても3分の1以上の
受給者が同意しなければ導入されません。法令によって外堀が埋められるようにも思え ますが、言わば内堀での反撃で受給権を守ることができます。
2. 確定拠出年金の加入対象の拡大
確定拠出年金は今の受給者に直接関係しませんが、様々な点で看過できない内容があ
ります。
従来は、企業が拠出する範囲内の金額で現役も拠出する制度であったものが、◆現役
の拠出額を増やす、◆企業と無関係に公務員、専業主婦なども新たな対象とする、◆確 定給付企業年金制度に加入している現役も並行して確定拠出年金に加入できるように する、というものです。
公的年金が細ることを前提に自己責任で老後資金を確保せよ、という狙いですが、▲企
業の責任も国の責任も減退霧散、▲元本保証もない仕組みで老後保障にならない、▲ 加入者の増加は金融業界のプラスになるものの、家計を抑えて拠出する人達の拡大 は、家計消費の減退・経済成長にブレーキ、など様々な問題があり、私達の次世代にも 日本経済にも悪影響の及ぶ内容です。
厚労省は確定拠出年金法「改正」案を昨年国会に上程し、衆議院可決後の今は参議院
で継続審議となっています。
皆の力で受給権を守りましょう
以上のように振り返ると、企業年金の基本点を財界などが一貫して崩してきたことが浮
かび上がります。そして一連の改変改悪に当って厚労省は受給権・受給者・現役を無視 ないし軽視し続けてきました。
三菱東京UFJ銀行の会長は経団連の副会長に就いていますし、頭取は安倍政権の掲
げる"日本再興戦略"の「成功に向けて貢献する」と述べています。
銀行は26年間も据え置いてきた退職金・年金を改善すべき責務があるのに、行員負担
の新制度導入では不満が出る可能性が高まります。銀行がこれをかわすために受給者 に対して何らかの改悪改変に乗り出す可能性は排除できません。法令の改定制定は進 められつつあり、銀行が人件費圧縮のために導入可能道は用意されつつあります。
当会としては、沢山の受給者に情報を届けて受給権を守る運動を広げ、現役とは同じ屋
根の下で生計を立てる間柄として連帯していきたいと考えています。
大阪で初の勉強会「何でもだべろう会」を開催
先月6日、大阪で勉強会と懇親会を開催しました。冒頭に、当会事務局から今日までの
企業年金の歴史、動向、会の考え方と活動報告など行ない、質疑応答の時間を戴き意 見交換しました。
大阪では初めての開催で、話題が多々あったものの、師走の開催のため長時間戴く訳
にもゆかず、一応レジメに盛り込んだ内容のうち重点的な事項の説明にとどめました。 ご参考までに報告大要と質問に答えた点を含めて概要を記します。
1. こんにち迄の年金の歴史
(1)全体的な流れ レジメに掲げた年表の内、次の点を強調。
1889年 ドイツのビスマルクが労働者を対象とし社会保険としての年金制度創設。軍費
調達の狙いもあった。
1905年(明治38年)日本初の企業年金として鐘淵紡績が始め、その後三井物産など大
企業に普及していった。
1939年(昭和14年)に船員の年金保険法公布。
1941年(昭和16年)労働者年金保険法に適用対象を拡大(1944年、厚生年金保険」に改
称)。ナチス・ドイツの年金制度を範とし戦費調達を目的として国民皆年金制度を目指し た。
1958年(昭和33年)に国会議員互助年金、1959年(昭和34年)に「国民年金」開始。
1966年(昭和41年) 厚生年金の改善に反対した財界意向に押され厚生年金基金制度
創設。
(2)現在の制度
会報25号に掲載の図に基づき説明。基礎年金、厚生年金、企業年金が基本的枠組み
だが、企業年金が厚年基金、確定給付企業年金、確定拠出年金に展開した上で複雑に なってきたのは、財界の意向に基づいて厚労省が企業の利益と都合に合わせて改変し てきたことによる。
(3)企業年金―原点は企業の負担・経営責任での「退職年金」だが基本点が財界意向に
基づいて突き崩されてきた経過がある。
@創設時―退職金の延払い(企業の負担平準化という企業の都合)。資金原資は人件
費として営業費。金融市況の変動は無関係。
A転換第一段階―厚生年金の給付・保険料引上げに際し財界が「自社の年金制度と
負担が二重になる」と反対。他国に例の無い厚生年金基金制度創設。
大企業が保険料を自前で運用可能としてメリット享受。
ただし、財界意向に反対した党や労組などの意見を反映して、●企業の倒産などに
備えて基金は企業と別法人扱い、●財政難になると母体企業に拠出義務あり、など
受給権保護がある程度組み込まれた。
B転換2―バブル崩壊、アメリカへの追随金融政策で低金利に。こんな情勢のもとで、運
用難、基金の財政難なら給付削減も仕方ないとか、金融市場連動の金融商品的な誤解 が拡散した。退職時に受け取る裁定書は給付を金額で表示しており利率など一切無い ことでも確信を持つべきである。
さらに、大企業中心にリスク・負担軽減へ画策が強まる。企業の業績が悪化しても、これ
に無関係に企業に給付義務があるのに「赤字なら減額可能」と厚労省が動き、次いで、 黒字であっても減額可能へと省令公布。
退職金の変質が更に進み ▲確定拠出年金、▲キャッシュバランス制度が導入される。
C転換3―AIJ事件を「千載一遇」として財界が更なる波状攻撃。
財界…経団連の悪質性が際立つ。経済同友会も相似(日本商工会議所は異なる面あり)
アメリカ従属の金融政策(低金利、自由化etc.)を前提に、会計基準の変更もあって経 団連は毎年、政府に要求突き付け▲経営コスト負担の転嫁▲新たな収奪を画策。
厚労省…財界の意向を受けて有識者会議、専門委員会、社会保障審議会企業年金部
会で審議。民主的な装いをこらしつつも財界意向を貫徹。
確定給付企業年金法第1条「公的年金の給付と相まって国民の生活の安定と福祉
の向上に寄与することを目的とする」に背馳する事態。
国会…受給権保護のために附帯決議をしたのに無頓着で棚上げのまま。
2. 現段階の問題
(1) 公的年金の最近の問題点
@マクロ経済スライド(当然に増えるものを抑え込む)の更なる改悪を画策。
A所得代替率(現役の賃金水準に対する年金の比率)引下げ。
B年金積立金をGPIFが危険運用。
株相場のバブル化のもと、安倍内閣の支持率維持の手立てにしている。14年度は15.3
兆円黒字だったものの15年7-9月の三カ月間に約8兆円の損失。
「長期的に見るべき」発言の無責任→長期的に安定的に給付保障すべき年金の原資な
のに!アメリカ社会保障基金は殆ど非市場性の財務省証券で運用。
(2) 企業年金の最近の動向
@ 確定拠出年金法の改定
安倍政権の「日本再興戦略」の一メニューとして具体化。
▲確定給付企業年金から確定拠出年金へ移行の企業が増大中。更に新しい確定拠出
年金(確定給付企業年金に加入していても並行して確定拠出年金へ加入)へと現役が誘 導され、総じて確定拠出年金が主流となる方向。
▲受給者と現役の分断化、対立化が危惧される。確定給付企業年金基金から現役が脱
退し基金解散となる場合、厚労省は受給者向け「閉鎖型」へ移行のメニューを提示。受 給権が完全に保証されるかどうか不明点あり。
A 確定給付企業年金の改悪 (厚労省は16年度に政省令公布をめざす)
(3) 銀行の最近の動向 …「儲かっていれば安心」なのか?
@ 銀行のリスクと危機意識
a.融資事業―国内の利ザヤ縮小。アベノミクス・異次元緩和の低金利などから来る矛盾
があり、他行競争激化。自己資本比率の規制回避のため貸付業務よりも手数料稼ぎの ビジネスへ傾斜。
b.海外―三割超の利益源だが海外融資は資源価格下落、中国経済低迷の影響などリ
スク増大。東南アジアに重点を置いて事業展開を企画中。
c.市場部門―株式、国債の変動大などでリスクと不透明感を抱え不安定。
d.自己資本比率規制―大金融機関への上積み規制強化のなか、株式持ち合いの解消
も。自社株価維持・株主還元のため自己株取得で比率微減の矛盾も。
e.トップは「今の世界経済は超金融緩和の海の上に浮かぶ船。地政学リスク、原油等資
源価格の大幅下落、米国の出口戦略など何かが起きればマネーフロー変調、実体経済 に想定外の影響が及ぶリスク」と発言、危機感あり。
A対応戦略、施策としては
a.10年先の長期戦略 (FG発足10周年の節目) 志向
b.三か年の中期経営計画
c.フィンテックを入り口に金融持株会社の規制緩和の狙いも。
d.人事労務は 過去最高益記録更新しつつ▲ベア抑え込み▲脱法的「確定拠出年金」の
実行=他企業に無い欺瞞的狡猾な先取り施策。▲従来の経営トップと異なる発想・思考 に警戒必要。
(4)銀行の企業年金基金
会報26号に基づき説明。読みたい方はお申し出ください。(当ホームページトップにアド
レス記載)
3.受給権を守る闘い
(1) 当会―設立準備開始(2010.11.23.)の翌々日に銀行が現役にキャッシュバランスプラ
ン提案、
2011.1.29.設立総会。勉強会、ホームページ、会報発行に注力。
(2) 銀行年金守る会―2003年7月に発足。りそな銀行が受給者への減額を強行、提訴し
た原告団を支援。勉強会、ニュース発行など活動。
(3) 年金者組合・金融班―金融機関の受給者が参加、公的年金と企業年金の両分野を
視野に入れてニュース発行、勉強会開催、集会参加、レクなど活動。
(4) 企業年金受給権を守る連絡会―2005年結成。NTT、TBS(東京放送)、松下電器(現
パナソニック)、りそな銀行、早大など受給者減額問題で提訴していた受給者団体や、 KDD、法政大学、明治大学などの受給者団体が参加。裁判闘争の支援、厚労省との問 い質し、労働団体との協議交流など展開。
(5)受給権を守る闘いの意義―財界・銀行が企業年金の基本点を崩しつつあるのに流さ
れずに、★自分達で権利を守ると共に、★年金・社会保障などでの財界・銀行・政治の 横暴な面について現役、国民各層と連帯して民主的に阻止規制を求める運動に加わる ことも重要。
基本に立ち返り受給権を守りましょう
以上のように振り返ると、企業年金の基本を財界などが崩してきたことが浮かび上がり
ます。そして一連の改変改悪に当って厚労省は一貫して受給権・受給者・現役を無視な いし軽視してきました。
三菱東京UFJ銀行の会長は経団連の副会長に就いていますし、頭取は安倍政権の掲
げる"日本再興戦略"の「成功に向けて貢献する」と述べています。
銀行は26年間も据え置いてきた退職金・年金を改善すべき責務があるのに、行員負担
の新制度導入では不満が出る可能性が高まります。銀行がこれをかわすために受給者 に対して何らかの改悪改変に乗り出す可能性は排除できません。法令の改定制定は進 められつつあり、銀行が人件費圧縮のために導入する道は用意されつつあります。
当会としては、沢山の受給者に情報を届けて受給権を守る運動を広げ、現役とは同じ屋
根の下で生計を立てる間柄として連帯していきたいと考えています。
主な質問と回答−上記概要に含めた点以外は次の通りです。
Q 銀行の新制度を「脱法的」と言っても大丈夫なのか?
A 銀行は確定拠出年金法に定めていないことを実施した。つまり、法律は企業が拠出
する範囲内で従業員が自己拠出すると定めているのに、銀行は拠出せず、従業員が拠 出した分を銀行が拠出したことにする仕組み。これによって銀行は節税し社会保険料納 付額も圧縮できる。銀行は福利制度と称したが、元本保証の無い制度は福利の名に値 しない。巨額の利益記録を更新しながらこんな制度を法改定以前に実施する経営姿勢 に対しては厳しい表現も必要。
Q 銀行の企業年金を守るといっても、企業年金の無い人たちからすると「殿様のケン
カ」みたいに言われる。
A 気持ちとしてはご尤もな面はある。しかし、企業年金の減額や制度改悪は法律に反
するし労働契約に反する内容。しかも企業・財界の側が利益のために仕掛けている。弱 肉強食の法令違反や契約違反、これを助長する政治は国民全層に及んでいる。「恵ま れている」と言われていても五十歩百歩であって、どんどん暮らしも厳しくさせられていっ ている。悪政に対峙し皆で一緒に肩を組むべき間柄だ。
個々の権利侵害や兆しに対して当該の人達で跳ね返す活動と共に、お互いに共通する
違法や悪政に連帯して向かっていく必要がある。高い水準と思われる年金や賃金でも引 き下げることで低い人達が救われる訳でもない、むしろ高い水準へ向けて連帯した力で 運動するのが筋でないか。理屈だけですんなり受け止められない面があるだろうが、バ ラバラのままでいいことは何もないと思う。
感想・意見
★年金は難しいと思っていたが、直接話しを聴き黒板の図示も見ると、よく理解できた。
これまでの歴史や経過などよく知らないと、つい流されてしまい、権利侵害とも分からず に損することになる。権利は皆の力で守らなければならないとつくづく思う。
★世の中全体がいま色々と大変になってきた。特に若い年代の人達は大変だ。
わが子三人それぞれに企業年金の種類が違い、よく分かっていない面がある。若い層
は賃金も年金も低い。高齢層と共に連帯して悪政と闘っていかないと展望が出てこな い。
★年金積立金の運用損失はとんでもないことだ。年金については公的年金も企業年金
も恐ろしい世界に入りつつあるので、知らないでいる人達、若い人達に訴えていかないと いけない。
★りそな銀行の減額提案の当時は、受諾しないと基金解散だとか脅しや誘導があった。
年金知識の普及がとても大事だと思った。
年金でなく一時金払いの選択肢もあって手にした人の中には株投資に失敗した人とか、
数億の信用取引損で支援要請の手紙をあちこち出した支店長クラスの人とか、反面教 師的な話が多い。
この他、新制度導入のときの職場討議の実態と問題、派遣社員や精神疾患の多い職場
実態、大阪でも会員をもっと増やそう、学習会も開催していこう、など活発な意見交換が されました。
「公的年金減額は違憲」と年金者組合が提訴 H.A.(`16.15.)
銀行退職者の中には地元で全日本年金者組合(通称は単に年金者組合)に加入して、
色々なクラブ活動や新春のつどい・お花見会などの催しなどに参加している方も多いと 思います。
年金者組合は体と頭を動かして地域の高齢者同士が親睦をはかり高齢期の生活を充
実する活動を続ける一方、暮らしを維持していく元である公的年金を安定的に保障させ る運動をしています。
いま日本の高齢者で企業年金を受給している人は少なく、多くは公的年金のみで暮ら
しを立てており、中には低年金・無年金の方もいます。この状況の中で物価上昇、消費 税引き上げ、各種社会保険料の引き上げと給付削減などで生活が大変な方々もいま す。その上、年金が2013年から2015年にかけ毎年1%引き下げられ、合わせて2.5%も下 げられました。
そこで「この引き下げの決定は認められない」として行政不服審査請求を私を含めて全
国で12万6千人以上の人が2014年に提出しました。結果は「却下」という決定をすべて 同文で送付してきました。
このような決定は不満だと「再審査請求」を社会保険審査会という所に2万5千人の人達
が提出しました。当会としても会員の皆さんに呼び掛けて提出して頂きました。
半年くらい経った一昨年の秋頃、「厚生労働省保険局」の封筒に「特定記録」の朱印が
押されたものが簡易書留で届きました。中には「裁決書」の謄本が入っており、仰々しく 審査会委員長の大きな朱肉印が押されていました。全部で4ページもある文書で長々と 書かれているが、要するに「この引下げは法律に基づくもので適法である」とのことをお 役所用語で記載しているものでした。
このままでは、今でも暮らしが苦しい低年金・無年金の方は、憲法25条が保障している
「最低限度の文化的生活」が出来なくなる。年金者組合は、そのような憲法違反の引き 下げを認めるわけにはいかないと集団的な裁判を起こしました。
企業年金を受給している人にとっても公的年金は暮らしを支える大きな柱です。公的年
金は少子高齢化を理由に「マクロス経済ライド」などと称して今後、継続的に年金を減額 する方向なので今の若い人たちの将来も不安です。
さらに「高所得」とされる人への増税(公的年金等控除の引き下げ)も検討されており、一
部の高齢者だけではなく広く年金生活者全体の問題だと思います。更に年金保険料の 納付率が下がって年金財政を圧迫しているとしているが、その原因には非正規雇用者 の増大・低賃金もあると思うので世代を超えた国民全体の問題でもあると思います。
政府は年金だけではなく社会保障・社会福祉を全体的に削減する方向なので、この裁判
で争われるのは単に年金減額問題だけではなく、国民の生きる権利、憲法25条違反の 政策全体に問題を投げかけるものだと思います。他人事だと思わずに多くの人が自分 の問題だと関心を持ち、是非、応援していきたいと思います。
安倍首相は年金積立金を何と心得るのか! X.P.(`16.15.)
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が昨年7-9月に巨額損失を出したことは10月
初め、推計値と共に報じられていましたが、二か月かかってやっと確定額(7.9兆円)が公 表されました。
株式市場が一時2万円台回復と共に、この損失は解消した模様との観測記事が経済紙
などに尤もらしく掲載されましたが、相場は年初から大きく下げ、又ぞろ大損が予測され る大激動です。
この間"運用益を上げるにはリスクをとることも必要""長期的に見るべき"などGPIFや
御用学者の言い分をメディアが流しました。しかし、基本となる法律には「年金事業の運 営の安定に資することを目的とする」と明記されており、この定めに背くことは許されま せん。
危ない橋を渡る安倍政権
資本主義経済で市況が変動するのは当然ですから、波をかぶらないように安定優先の
方針・運用であるべきなのに、何と昨年10月以降は外国のジャンク債(信用度の劣る債 券で高利率だが「投機的水準」とされているダブルB以下) にも運用との報道です。安倍 政権の法律無視は言語道断です。
日経ビジネス(`15.12.21)でさえ批判論を書き次の指摘もありました。
◆安定志向の年金なら禁じ手なのに、GPIF幹部は"分散投資の一環で料
理のスパイスのように少し効かせるには最適な手法"と発言。
◆ジャンク債の本場アメリカでは、格付けの低い金融商品ほど不安定な
値動き。12月初めにジャンク債中心運用のサード・アヴェニュー・ファ
ンドが顧客からの解約・換金を一部停止した。
◆ジャンク債はシェール関連企業の発行も多く、原油安が進めば業績悪化で債務不履
行のリスクも高まる、との金融機関幹部指摘もある。―――
ジャンク債については経済雑誌でも論評が増え、週刊ダイヤモンド(新年合併号)は「ジャ
ンク債市場のバブル崩壊」との見出しでこんな指摘をしています。
▲ジャンク債の行き詰まりの契機は原油価格の低下。米国内で台頭していたシェールオ
イル関連企業の多くはジャンク債で資金調達していた。原油安で経営破綻リスクを回避 する投資家がファンド解約に走り、投資家の不安の連鎖拡大となりジャンク債下落を招 いている。
▲ジャンク債を組み込んだ投信は日本でも人気商品だが、基準価格の下落は勿論で、
ファンドが損失穴埋めのための換金に走れば影響は広範囲に及ぶ。
▲ファンドの清算が続出するようなら「リーマンショックの再来か」との悲観論が市場から
聞こえるようになった。一部ファンドの換金停止の騒動はエネルギー関連に限定されて いるが、ジャンク債を含むハイイールド債市場全体への投資が控えられ叙々に他の業 界にも波及してきた。
もっと危険な道も画策!
さらに安倍首相はGPIFが直接株式を売買できるように厚労省の年金部会で具体化を諮
っています。(1月18日の年金部会でも審議)
現状GPIFは金融機関に運用を委託して巨額の手数料(2013年度は222億円)を払ってい
ますが、手数料節約、機動的運用のために自前で独自運用・売買が可能なように変える とのことです。
こんなことを口実にして自前で運用と言っても、政権がGPIFに指示介入可能であり、引
き立てたい企業、恩義を受けた企業、懲らしめたい企業など操作し出すと大変です。一 応「経営委員会」を設置し合議制とする段取りですが、選任は最終的に政権です。保険 料の拠出者が過半数を占めるならまだマシか…との意見もありますが、根本的なところ からボタンの掛け違いです。
公金を何と心得るのか
安倍政権の人為的な株価吊り上げ・市場介入の続行は、市場を歪め、意図的買い支え
で下落時に損失発生…をさらに招きやすくなります。ジャンク債運用など含め、もっての 外です。まともな成長政策を採らず、己の支持率浮揚をも狙う政策は予算編成にも示さ れています。
今年度の補正予算に続き、来年度予算案でも来夏の参院選に向け、消費税増税時の
軽減策、低年金の高齢者向け給付金の前倒し支給など「選挙対策」同然の施策が次々 出されていることは重大です。公金に向き合う姿勢が歪んで、財政も民主主義も歪める ものです。
国民の暮らしからすると消費税再増税の中止こそ必要ですし、低年金者には最低保障
年金で支えるべきではないでしょうか。
冬に向かって・・・「ふとん談義」 (S.N生・旧三菱) 15年11.月
「三菱東京UFJ銀行の企業年金を考える会」が発足して早や5年となり会員交流の「会
報」も今回で27号の発行となり誠に嬉しい事です。
企業年金への関心が一段と深まる中、見えにくいところ(厚労省の部会)で本質に関わ
る検討会で逆風も強まり、こんな局面から目を離せません、私たちの会報の位置づけが 大切で会員皆さまとの連携の輪が極めて重要と感じます。
個人的な意見ですが、会報内容が刻々と変化する環境の情勢変化に伴いタイムリーな
問題提起(当会の趣旨として当然の事ですが)及び少々お説教気味な為に戸惑いを感じ てポジティブ気分には程遠いかも知れませんが、生きていく為に経済的な保障に繋げる 情報源としてご支援よろしくお願いいたします。
先般、ネット対談番組の中で中野晃一上智大学教授が「夏は、あんまり掛布団がいら
ず、敷布団だけあれば寝られるんですが、冬になると、あったかい掛け布団があると嬉 しい。寒さって下からくるので、敷布団がしっかりあって断熱してくれるから、上に掛布団 (出来れば羽生布団)があれば、あったかく感じる!」とのお話を聞いて・・・こんなこと独 善的にヒラメキましたが?
私たちの年金を「基礎的国民年金」を敷布団。「厚生年金」「企業年金」を二枚の掛布団
に置き替えて考えてみると面白いなぁ・・・と思った次第です。
国民年金は基礎年金としての役割は、正に「敷布団」としての役割で毎日(万年床のごと
く?)の暮らしに必要不可欠な私たちの貴重な財産です。
一方「厚生年金」「企業年金制度(自助努力分含む)」は制度の運用を前提に成り立ち、
こじつければ「掛布団」の役割と言えるのではないでしょうか!
取り分け企業年金は、われわれの諸先輩が遠い将来を見越して創設されものでその、
先見性は驚嘆です。又、制度持続のため環境の変化に都度対応して改定すると共に、 資金運用などに英知を発揮された先輩の功績も大きいでしょう。今、受給中の私たちは この歴史的背景を鑑みて、制度を引き継ぎ一歩も後退させることなく、次世代に引き継 ぐ責務がある事を肝に感じるべきと考えます。
(自分が受給中の間はこのまま続けば良いなぁ? なんて間違っても・・・)
「三菱東京UFJ銀行の企業年金を考える会」の存続意義は、上記の「掛布団」が薄くな
らないように、そして、剥がされないように!ここにあります。
従来のバブル期を代表するような右肩あがり(夏の陽気)は過去のことです。
地球規模のグローバルな変革の中、わが国の現状を垣間見る時、私たちの経済環境は
下降(冬の陽気)を否定できないと思います。
老後を有意義に過ごすには、日々の健康管理、精神面の充実など大切ですが、何んと
言っても個々の経済面の仕組みのメドが伴わなければ、安心して生きる幸せと人間の尊 厳が守れません。
皆さんと一緒に企業年金を「考える会」です?
大いに考えて「ふとん談義」で暖まりましょう!
銀行が政治献金を再開するとは!(`15.11.14.)
メガバンクをはじめ、全国の銀行が参加する全国銀行協会(全銀協)が、自民党への献
金再開の動きを強めていることが注目されています。全銀協の佐藤会長(みずほFG会 長)が先月の記者会見で、経団連の呼びかけに応えて、各行に「自主的判断」で献金す るよう求めたものです。
銀行業界は1998年以来、献金を「自粛」しています。経団連の献金呼びかけ再開に続
き、かつては自民党の最大の資金源だった銀行業界の献金再開は、お金で政治を動か すものとして見過ごせません。受給者としても、どんな問題があるか考えてみたいもので す。
これまでの「自粛」は?
銀行業界は1998年以来、献金を「自粛」しています。経団連も「自粛」していた献金呼
びかけを再開、実行するのに続き、銀行業界も献金再開すると、自民党政治全体を応 援し、お金の力で銀行業界の政策実行を迫るものではありませんか。
銀行業界が電力や建設業界と並んで、かつては"献金御三家"と呼ばれたこともある大
口の政治献金提供者だったことは有名です。その銀行業界が献金「自粛」に追い込まれ たのは、電力同様、公共性の強い企業が特定の政党に献金することへの批判に加え、 1990年代の金融危機のなか銀行の経営を支えるため巨額の公的資金が投入され、 国から税金を受け取りながら政治献金するのは税金の還流になるとの厳しい批判にさら されたからです。
公的資金投入だけでなく、政府・日銀の異常な低金利政策によって銀行は預金者にま
ともな利息も払わず、一方「金融再編」の名による中小銀行の取りつぶしや採算が上が らない店舗の整理・淘汰、預金者が自分の口座を利用するのにも手数料を取るなど、利 用者・国民犠牲の経営を続けてきました。公的資金を投入されたメガバンクなどは、「不 良債権」が残ることを口実に、最近まで1円の法人税も納めてきませんでした。
「社会的貢献」とは?
全銀協は、経団連の呼びかけに応じた政治献金を「社会的貢献の一環」だといいます
が、利用者・国民に通用しましょうか。銀行は現在もまだ低金利政策をはじめ様々な恩 恵を受けており、預金者や利用者への犠牲を続けています。公的資金は返済し、不良 債権を口実に法人税をまけて貰う制度も使えなくなっていますが、「社会貢献」をいうなら 特定の政党に献金するのではなく、まず利用者・国民に還元すべきです。
第一次安倍政権の2006年にも、三大メガバンクなどは「公的資金は返した」と献金再
開に動いたことがあります。しかしその時には幾ら何でも法人税を納めていない銀行か らの献金は国民の理解が得られないと、自民党が「受け取り自粛」を発表し、中止になり ました。
メガバンクなどが法人税を納めるようになったので献金の障害がなくなったとでも考え
ているならそれこそ思い違いです。「社会貢献」をいうなら、税金は納めるのはもちろん、 預金金利や手数料も見直すべきです。
献金は政治買収そのもの
経団連が呼びかけている政治献金が「社会貢献」などでないことは明らかです。経団
連が献金呼びかけと同時に発表した「政策評価」には消費税の増税、法人税の減税、原 発再稼働など財界の身勝手な要求が並んでいます。まさに献金は政治の買収そのもの です。
政治をゆがめる企業・団体献金は本来全面禁止すべきです。公共性の強い銀行の献
金など、絶対許されるべきものではありません。
私達受給者としても、銀行が健全な経営姿勢で世間の支持を得られるように進んで貰
いたいものです。 (山田醍旺)
「企業年金 何でもだべろう会」を開催 (`15.5.1.)
急に初夏の気候になったと思ったら台風が到来など戸惑うばかりですが、私達の暮らし
も戸惑いっ放しです。
年金の実質削減、介護保険料の引上げ、医療改定法案の審議など、年金受給者にとっ
ても困る状況です。"社会保障の後退は不可避、国としては「公助」から「自助」へ転換が 必要"と今国会で幾つもの法律改定・制定を推進していることは重大です。
この間、企業年金では財界の方針に基づいて厚労省が、企業の負担とリスクを、現役や
受給者に転嫁する仕組み作りなど進めています。銀行は過去最高の利益記録を塗り替 えている他方で、脱法的な「確定拠出年金」を四月から開始したし、厚労省が退職者の 確定給付企業年金を一段と不安定な給付にし得る制度作りに踏み込んでおり、今は重 要な局面に来ていると考えられます。
こんな折、4月28日に「企業年金 何でもだべろう会」と題して勉強会を開きました。講師
の冒頭報告と質疑を織り込み、その後の新情報を加えてまとめたものを以下に掲載しま す。事務局
年金は大丈夫?安心できますか?
−全体の流れからみるとー
経済…筋違いな「アベノミクス」
安倍政権が「アベノミクス」を推進して二年余、株高・景気回復が言われるものの、実体
経済はGDPにみられるように低迷が続いています。昨年度GDPは名目1.4%とのことです が、実質は1.%の低下であり、肝心の実質個人消費はマイナス3.1%と過去最大の落ち込 みとなりました。円安、物価上昇、消費税増税などが国民生活を直撃、とりわけ、年金生 活者にとって厳しい現実となっています。
年金の受給権を守るという点では、受給権の法律面、行政面だけに目を向ける訳にゆ
きません。政府・日銀がインフレ目標を掲げるなど、生活破壊に向かう問題を直視する 必要があります。
この点で、「アベノミクス」は重大です。そもそも、永年のデフレは、大企業を先頭にした
雇用削減、非正規化、賃金の抑え込みなどで国民の購買力が低下した点に主因があり ました。
しかし、安倍内閣はこの是正克服に取り組むのではなくて、物価引き上げの目標を掲げ
「異次元の金融緩和」で資金を過剰に供給し、期待感で需要を喚起して"大企業が儲か れば、おこぼれが国民に滴り落ちる"という筋違いな政策を推進しています。
実際に、国民の購買力増大で経済成長に繋がる訳でもなく、過剰になった資金は株式
や不動産に向かっています。実体経済が低迷のままの株価上昇は、バブルに繋がりま す。
GDPと株式時価総額の対比で株式相場の過熱ぶりを測る「バフェット指標」はアメリカで
有名ですが、日本の場合はどうか?―「東証の時価総額とGDPで求めると足元は117% と、過熱感は米国以上」との日経新聞(5.2)の指摘があります。
円安は物価上昇や中小企業倒産を招いています。今は原油安で物価上昇は落着いた
ものの、別の不安定要因やリスクがあります。
金融…「異次元の金融緩和」の異常
年金給付義務を負っている銀行と私達との関係からすると、金融の在り方も警戒すべき
問題です。
「異次元の金融緩和」で日銀は、禁止されている国債引き受けと同然の買い入れを巨額
続けていますが、国家財政の放漫を招き国内外の投資家から信認されなくなって国債が 暴落するリスクを抱えています。
国債の乱高下が進行
10年国債の利回りが、1月に史上最低の0.195%となって、2月中旬にこの2倍を超える水
準に急騰(=国債価格は急落)という異常局面がありました、5月も乱高下が続いていま す。
この背景には、14年に外国勢が買い越していたのが短期間に急減した要因がある、と
の報道でした(日経新聞2.21)。海外からの日本国債格付引下げは12月に2社、5月に1 社と相次いでいます。つれてメガバンクの社債格付も下げられました。
この他にも様々な先行き懸念が出ており、マスコミは「異次元の金融緩和」を称揚・肯定
的だったのが、今年に入って批判的論調が目立つようになりました。
「来年にも国債市場消滅の衝撃」(1.31.週刊ダイヤモンド)、「異次元緩和は空回り、金利
正常化の過程で大混乱も」(3.3エコノミスト)、「導入二年賞味期限切れ」「効果なき実験 は終わった」(須田前日銀審議委員、4.9毎日)など数多くの記
事が掲載されています。
日銀の国債購入で矛盾拡大
そもそも今の低金利がずうっと続くことはあり得ず、政府自身も上昇=国債下落を認
めています。(内閣府「中長期の経済財政に関する試算」`14/7=によれば`20年度には 長期金利が2.7〜3.9%へ、この後は3〜4%台へ上昇見通し。国債利払い負担も増大。官 庁ゆえ未だ過小評価気味)
国債下落=金利上昇は、銀行保有の国債のみならず、他の債券・株式などの暴落を
引き起こし、巨額の評価損が発生します。勿論、企業年金基金の資産も直撃を受けます から人ごとではありません。
国債問題で銀行に及ぶことは?
ボタンをかけ違えた政策がいずれ行き詰まるのは明らかですが、黒田日銀総裁は自身
の政策を棚に上げて"国債圧縮のため消費税増税を延期するな"の持論です。
二月の経済財政諮問会議で黒田総裁は安倍首相たちに行なったオフレコ発言は、今頃
やっと知られてきましたが、異常で矛盾のある政策を推進していることからくる責任転 嫁、為政者たちの内輪もめです。
黒田総裁は、国際的な銀行の資本規制で、国債が金利リスク資産とされ、評価損回避
のため銀行など売却推進へと向かい国債が暴落するから、基礎的財政黒字化を!と強 調した由です。報道では、メガバンクのみならず、信託銀行や大手地銀も対象にする方 向とのことで、国債の売却圧力は更に高まります。
国債を日銀が買い支えるにも限界があるなか、銀行としては、一段とa. 国債の売却、b.
自己資本の積み上げ=利益の積み上げに力を入れることになります。
銀行がa.に走る程、価格下落=金利上昇を招き、金融市場は荒れ、日本経済は打撃を
受け、銀行の取引先が受難と共に銀行の業績も急低下します。
このような事態にならぬよう、政府に健全な金融経済政策へ転換させることが重要な運
動課題となってきます。
財界…企業負担を国民に転嫁
経団連は、安倍内閣にアベノミクスを推進させていますが"経済成長には個人消費が不
可欠"との筋論・世論を認めざるを得なくなって、賃上げ容認の姿勢に転換しました。
しかし、物価上昇率以下のベアであり、人件費総額抑制の方針に変わりはなく、労働法
制改悪(派遣法改悪や残業代なしの制度など)や企業年金の改悪などについても政府を 突き上げています。
特に派遣法改悪は、正社員を低賃金の若年層に一段と置き換えることで社会保険料納
付も減り、年金をはじめとする社会保障制度の土台を弱めることにつながり、年金受給 者にも響いてくる重大問題です。
経団連の規制改革要求は毎年で、13年「今後の企業年金制度の在り方」、14年「多様で
柔軟な企業年金制度の構築に向けて」を発表。現役向け確定拠出年金の拡大、受給者 を含めた給付減額要件の緩和など多項目を厚労省に審議会や企業年金部会などへ提 起させています。自助自立を押しつける方針は不変で、今年1月の「豊かで活力ある日 本の再生」でも掲げていることは軽視できません。
公的年金…政府は財界要求通りに改悪
政府は、過去の物価下落時に年金額の減額をしなかった「特例措置解消分」2.5%の減
額を強行しました。今後の方向として、物価下落時にもマクロ経済スライドを適用する案 を練り、年金者組合の運動や国民世論に押され撤回したものの、物価上昇期に纏めて 減額する画策を推進中です。
兎に角、政府は社会保障の更なる改悪を進め、国の責任を投げ捨てて、公助から自助
へと転換すべく今国会で幾つもの法律改悪・制定を推進していることは重大です。安倍 政権は、受給者のみならず現役に対しても公的年金の改悪を企図し、将来の給付開始 年齢繰り延べ方針を公然と打ち出しています。
企業年金…リスク転嫁と受給者無視
様々な問題が続出ですが、次の二点は私たちにとって重要なポイントです。
(1)既に決まったこと
厚労省が経団連の要求に応えた次の点を決して忘れる訳に行きません。
▼12年9月に、黒字企業でも一定条件によって受給者の給付減額を可能とする省令を
公布。
▼14年4月に、@厚年基金の特例解散に関する措置などと共に、Aキャッシュバランス
プラン(=CB)の更なる「設計弾力化」などの政省令を公布。(CB=国債など市場金利によ って積立・給付の額が変動)
@は、意見公募に示された受給者の要求を退けて国家が受給権を侵害する措置を含ん
でおり人ごとにできません。
Aは給付を更に不安定不確実にする仕組みを個々の基金が多数決で導入可能としてお
り、不同意者の受給権を侵害する点で極めて重大です。
(2)決めようとしていること
厚労省は、企業年金部会で昨年四月から「企業年金全般のあり方」を議論するとして、
経団連のかねての要求や金融業界の要求の実現のための新たな年金制度作りを進め てきました。
今年一月の第15回会合まで主に現役に向けての新制度を論議し、国会提出法案に関
わる論点を煮詰めて一段落しましたが、この間、受給者、受給権に関わる重要問題が 棚上げしたまま、今後の検討課題など掲げており、次のような問題点があります。
●公的年金の給付が細ることを前提に企業年金を拡充するとして、実態はリスクを企業
から労働者に転嫁する確定拠出年金(DC)へ一段と傾斜。退職金の延払いである企業 年金の本質から逸脱。
●今後の検討課題の一つに「柔軟で弾力的な給付設計」と称して、確定給付企業年金
について「積立状況に応じた柔軟性を持つ給付を組み合わせる設計」など記載。企業が 積立と給付に責任を持つべき基本点を曖昧にしそうな方向を示唆。
●中小企業への普及として、受託保証型確定給付企業年金(主に生保・信託など受託者
が責任をもつ)を推奨。普通の確定給付企業年金についても企業負担軽減のために推 進される可能性。
●「手続きの簡素化は中小企業に限らず企業全般に有効なので拡大」と明記。制度変
更に当っての同意要件が既に一部崩されている経過からしても警戒必要。減額など規 約変更に"受給者の3分の2以上の同意が必要"の要件を"2分の1以上にせよ"との経団 連要求が実現しないか懸念される。
●ライフコース多様化への対応とし、非正規労働者、高齢労働者、専業主婦にも適用す
るし、既存の確定給付企業年金や共済年金の加入者も対象とする個人型確定拠出年 金を新設。企業とは無関係の私的投資・投機コースであり、運用の損益は自己責任。
三菱東京UFJ銀行が四月から始めた制度は、言わばこの仕組みの先がけ。法律が定
めてもいないものを実施した点で脱法的。金融業界は市場へ加入者の資金を誘導、ビ ジネスチャンス拡大。
●部会の委員には受給者代表が出ていない。「連合」などから参加の委員二人は、現役
擁護の立場をとりつつも基本的には財界要求に応じた発言。
●意見公募で厚労省に出された質問や要求などを無視。ガバナンス(=統治)などでも受
給者について欠落、脱退扱いのままカヤの外。
銀行…儲けていてもリスクと危機意識が
銀行はメガバンクを中心に巨額の利益を挙げています。三菱UFJフィナンシャルグルー
プは前期決算で純利益1兆737億円、銀行単体では5,717億円となりました。しかし、どこ も様々のリスクを抱え危機意識を持っています。
▲国債暴落懸念 前述の通りの利回り不安定化で利益を挙げ難くなったし、保有額の更
なる圧縮に努めているようです。前期は一年間で4.9兆円減らして28.9兆円保有していま す。各行が圧縮へと同じ方向に動くほど下落のリスクが強まります。他方では国債を金 融取引の担保として確保する必要があり売却限度もあり、保有分には評価損のリスクが あります。
4月22日に日銀が公表した「金融システムリポート」は"国内の長短金利が一律1%上昇
の場合、全国の銀行・信金に7.5兆円の損失が発生"との試算を出しました。
▼自己資本規制強化 前期末の総自己資本比率は17.23%でバーゼルVの規制8%を超
えていますが、リーマンショックの反省から巨大銀行には更に大幅な積み上げが必要と され、19.5〜25%が19年1月から求められる方向で検討中とのことです。
銀行がリスク資産圧縮のため融資の選別・削減に向かうと自ら首を絞めることになりま
す。国際的な規制が新段階に進むと、更に内部留保の積上げが必要となり、利益獲得 に走ることになります。海外投資家の圧力から増配も実施しながらの経営は厳しくなりま す。
▼総資金利ザヤの圧縮・逆ザヤ 前期の国内総資金利ザヤはマイナス0.06%です。前々
期はマイナス0.03%でしたから、0.03%逆ザヤ幅が拡大しています。(但し、九月中間期は マイナス0.07%でしたから後半期に少し戻ったことになります。)
背景には異次元の金融緩和がありますが、銀行同士の貸出競争も一因です。「週刊東
洋経済」(4.18号)は「最高益でも今そこにある危機」「生か死か、迫る金融最終戦争」の 見出しであれこれ報道。「三菱東京UFJ銀行・平野頭取の表情は冴えない」として「利鞘 がマイナスというのは大変危機的な事態」との発言を紹介しています。
▼海外進出リスク 海外部門に一段と進出する程、リスクが高まります。
平野頭取は1月に「今の世界経済は例えて言えば、超金融緩和の海の上に浮かぶ船の
ような面があり、@欧州・ロシア・中東等の地政学リスク、A原油など資源価格の大幅な 下落、B米国の出口戦略など何かが起こればマネーフローの変調を通じ、実体経済に 思いがけない影響が及ぶリスクがある」(旧三菱退職者の会での挨拶)と発言。
タイのアユタヤ銀行を傘下に収め、海外での投融資・子会社からの配当も巨額挙げてい
るものの銀行としては、質・量共に多大なリスクに直面しています。
▼不良債権リスク 低利融資競争の他方でアベノミクスの矛盾から破綻懸念の取引先
が増えつつあり、幅広い業種の中小企業を破綻懸念先に認定した可能性、指摘した報 道もあります(日経新聞4.27) 。大手商社でも原油問題で損失発生、シャープの大口引 当なども含めて貸倒引当金の積み増しが必要となっています。
MUFGの前期決算では、引当過大となっての戻し益計上は無くなり貸倒引当金増により
「与信関係費用総額」は170億円増え707億円となっています。
こんな中で経営戦略は様々に練られています。考えたいのは次の二点です。
●金融持ち株会社の規制緩和 融資以外に"EC(電子商取引)モール"など、他業態他
産業進出の議論が三月の金融審議会で始まりました。
戦争の反省から禁止していた持ち株会社を98年の金融ビッグバンで解禁し、その中でも
何とか禁じていた他業進出を解禁するとは!―新分野のリスクは大丈夫か、儲けさえす れば受給者としても安心なのか?…儲けていても賃上げ・退職金改定に及び腰の銀行 の姿勢には危惧を覚えます。
●人件費 「週刊東洋経済」(4.18)は「銀行が抱える内憂外患」の一つに「進まぬコスト
削減」を掲げました。報道されなくても、人件費の抑え込みは銀行の常なる命題です。
三菱東京UFJ銀行が最高益を更新しているのに、従業員組合のベア要求を0.5%カットす
る、脱法的な確定拠出年金を始める、という現実を直視する必要があります。特に、こ の確定拠出年金は、○頁に掲げたように軽視できません。
私たちの企業年金を守るために!
受給者には「銀行は儲かっている」「年金基金も運用益が上がっている」と安心してい
る傾向があります。しかし、銀行の方は、順調に儲けているように見えても、リスクを抱え 危機意識を示しています。
特に総資金利ザヤがマイナス状況では人件費圧縮が重要課題の筈です。企業年金で
は、現役に退職金改善を25年間やらないで、現役負担の確定拠出年金を始めたことは 従来考えられなかった経営姿勢ではありませんか。
三年前、現役にキャッシュバランスプランを導入移行したことも併せると、現役との不均
衡を口実に、受給者への対策(キャッシュバランスプランなど)を練ってくる可能性を排除 できません。
大企業の中には、現役を確定給付企業年金から確定拠出年金に移行させる企業の施
策が広がりつつありますが、現役が確定給付企業年金基金から抜けると基金解散とな った事例(08年の興亜火災海上保険)があります。法律上は、受給権は侵害できないこと になっていますが、どんな事態になっても受給者が知識・情報を
しっかり得ていることが重要と思います。
今は法律面、行政面がドンドン変えられつつあり、その先も厚労省は企業年金部会で
の検討を予定しています。いわば外堀が埋められつつある状況ですが、銀行が法律・行 政の改定を受給者に対しても「活用」するかどうかは別問題です。
銀行・基金が新法・政省令などに基づいて受給者に制度改悪の規約変更への同意を
迫ってきた場合に、今は3分の1以上の不同意者がいれば阻むことができます。受給者 が受給権について知識・情報を一段と広げ共有していけば筋違いな改悪・減額は阻むこ とができます。当会が更に多くの会員を迎え、運動が発展できるよう努めたいものです。
銀行の目指すべき方向は? 山田春雄(`15.1.11)
三菱UFJフィナンシャルグループは四半期(=三か月)毎に「MUFG通信」を株主に送付し
ており、先月届いた中間決算の報告では、好調な業績が色々と記されています。「経営 戦略について」の頁では「事業基盤の強化」「質の高いサービス提供」「収益成長へつな げ」などの説明があります。
言及していない問題が…
しかし説明の無い大事な問題があり、その一つは、グループの「母屋」とも言うべき三
菱東京UFJ銀行の総資金利ザヤの低下です。新聞や経済週刊誌などでもたびたび指摘 されていることで、株主だって気にしているでしょうに、全く言及は無いしその対策・戦略 も記載ナシです。
銀行業の根幹業務は、資金を預かって必要な所に融資して産業・経済活動が円滑に進
むようにする公共的使命であり、結果として利ザヤを得て必要経費を支払って利益も計 上することです。しかし現在はこの根幹部門で経費を賄えず、逆ザヤという事態が続い ています。しかもこの幅が少しずつ拡大しています。今期の4〜9月期の総資金利ザヤは マイナス0.07%で前年同期0.04%よりも更に悪化しています。
この要因としては、営業費(一般企業の販売管理費に相当)が膨れたこと、つまり「アユタ
ヤ銀行の連結化や海外業務拡大に伴う費用の増加、為替の影響、消費税の増加など により前年同期比1,153億円増加」との説明が別頁にあり、ある程度の理解はできます。
しかし根本的な要因は、資金運用利回りが今中間期で0.65%(前年同期0.71%より更に縮
小という低さにあります。海外部門や市場部門で利益をあげて
いるから問題にしないのかも…という見方も成り立ちます。融資先が恩恵に預かってい
るからいいのでは…という見方もありましょう。
でも大銀行は、デフレ下に業績低迷の企業に融資するよりも、好調な企業、回復力のあ
る企業に低金利で融資する戦略です。現に、貸倒れや懸念先が減って引当金を戻し入 れて利益増加に繋がっています。他行と優良融資先の奪い合い・業績追及で大変なこと が現役からも伝わっています。
更に注目すべきなのは、三菱東京UFJ銀行が単独で低金利攻勢を展開しているだけで
なくて、金融業界が全体として低金利を余儀なくさせられていることです。12月22日の日 経新聞は「異次元緩和で逆ザヤの銀行が11行に増加」と報じました。この記事には、み ずほが▲0.06%、あおぞらが▲0.27%の逆ザヤも示しています。
根底にある「異次元」の金融緩和
アベノミクスの一環として日銀が異次元の金融緩和で資金供給を行ない、長期金利が歴
史的低水準に下がり、年末は0.320%(長期金利の指標である新発10年国債の利回り) という状況でした。年初には更に低下し記録更新中です。8年前には2%に届いていたの ですから「異次元」の言葉通りです。住宅ローンの金利も低下し三菱東京UFJ銀行は変 動制で0.775%というのもあって先頭を切っています。
こういう中で、地銀・信金・信組などは経営が厳しくなり統合や合併の話が相次いでいま
す。本当に資金が必要な所に融資している金融機関が経営に難儀し、大銀行が海外・ 市場部門で利益をあげて国内優良先に低金利攻勢で融資する状況はどう考えたらいい のでしょうか。
借り入れている企業や個人は異次元の金融緩和でメリットはありますが、一面的に見る
ことはできません。金融・経済全体で考えてみる必要がありましょう。
国民の購買力が低下してデフレなのに、インフレ方向へと物価引き上げ目標を掲げて資
金を過剰供給し、円安・物価上昇や増税・社会保障切り下げ・年金減額などで国民の購 買力が低下する…、こんなことではモノが売れず設備投資も健全融資増加も期待できま せん。
こういう状況下で、銀行が総資金利ザヤがマイナスだからと、人件費・年金の抑制策を
取るとしたら筋違いです。内部留保も活かして賃上げ・雇用拡大に努め、GDPの個人消 費拡大に寄与すること、資金需要先に適正利率で融資すること、逆立ちした金融経済政 策の転換と国民本位の財政政策で国債暴落の事態を阻止するよう政府に求めていくこ と、など大銀行としてやるべきことがあるのではないでしょうか。私たちとしてもこの方向 に向かって声を挙げていく必要があると思います。
財界の方針では困ることに 山田春雄(`14.9.25.)
もともと企業年金=退職年金は企業の自己責任で給付するものでした。それなのに今、
厚労省が推進中の、労働者にも資金を出させるDC(確定拠出年金)は退職年金の本質 から逸脱した仕組みです。
この旗振り・財界は「拠出限度額」の大幅増加を図りDCへの移行を促進する意図が企
業年金部会でも明らかです。
長く続いた厚年基金が壁にぶち当って基金も減り金融業界のパイが減り、株価頼み内
閣にも不都合要因となりそう、ということで財界は何とか労働者の賃金から天引きで金 融市場へ資金を誘導しようと中小零細企業、非正規労働者にも新型企業年金に加入さ せる画策を進めているのが現段階と言えます。
経団連は9月16日付けで「多様で柔軟な企業年金制度の構築に向けて」という政策提言
を出し、従来の基本姿勢の上に新たな厚かましい要求も掲げています。
公的年金を細らせながら「老後保障」の美名で労働者に負担とリスクを転嫁させる施策
が普及拡大すると、GPIFの国債売りと株投機で金融市場の変動リスクを増幅し、今の 受給者にとっても基金の財政が不安定化する要因となります。
労働者の拠出枠拡大で可処分所得が減ると、内需減退の要因となって経済成長のブレ
ーキとなります。受給者にとっても日本経済にとっても問題のある方向へ進みつつあると 考えざるを得ません。
銀行のリスクと課題 中村和男 (`14.9.25.)
先日送られた「MUFG通信」に、今期第一四半期の業績好調が記されています。しかし
国内融資の伸び悩みや様々なリスク、課題があり、このなかの二点について気になりま した。
国債暴落懸念問題 ずっと指摘され続けていますが、アベノミクスの矛盾が深まると共
に、国債暴落の危険性は高まります。
日銀は四月の「金融システムリポート」に、金利1%上昇で債券(国債比率大)の時価損
失が大手行だけで2兆6千億円と試算しました。大銀行は数年分の利益が吹き飛びま す。MUFGの国債保有額は38.3兆円(銀行単体の保有額は四半期決算では非公表)で 10%の下落では四年分の利益相当が消えます。
国債・社債の暴落にとどまらず株式・金融商品の暴落、国内不況を招き、貸倒関係費用
巨額化など大変な事態に突入します。
自己資本比率規制 リーマンショックの教訓からG20中心の金融安定理事会が世界の
巨大金融機関に対し自己資本比率の引上げを検討してきました。
日経新聞報道(9.14)では、現行8%を16%〜20%の間で決める方向で調整に入った由で
す。
6月末の自己資本比率は、三菱UFJ=15.53%、(三井住友=16.18%、みずほ=14.86% い
ずれもフィナンシャルグループ) となっており1%引上げには数千億円必要、仮に貸し出し などに対し資本を20%積むよう義務付けられた場合、単純計算では3メガバンクで計10 兆円必要との日経新聞の観測です。
これへの対応としては、増資や劣後債の募集がありますが、3メガバンクが揃ってやると
巨額すぎて消化に難儀とか市場の需給バランスを崩す懸念が指摘されています。
また銀行は、自己資本比率の分母=リスク資産を減らそうと融資姿勢も厳しくする懸念
があります。利益の積上げも当然急ぐことになり、人件費(退職給付も含め)圧縮が一段 と重要課題になります。
金融危機などに際して公的資金依存でなく自力で損失補填できる準備をするのは当然
ですが、融資姿勢、現役、受給者に矛先を向けないよう監視が必要になります。
受給権・暮らしを守る道
受給権を守り暮らしを守るためには、銀行の経営が健全であること、日本経済が安定
して成長することが不可欠です。ところが銀行は高リスクを抱えていますし、「アベノミク ス」は矛盾を強めています。
物価上昇の目標を掲げて推進するのは、年金の実質減額となりますし、いずれ金利上
昇を招く愚策です。今は異次元の金融緩和で低金利ですが、未曾有の膨張予算編成に よる国債乱発で国際的信認が揺らぎ暴落=金利急騰が懸念されます。
日銀は国債買い入れを年末まで続け190兆円にすると決めていましたが、打ち切ると暴
落要因となるからいずれ続行…と観測されています。しかしこれでは過剰資金供給でバ ブル化を促進し膨張させるだけです。
アベノミクスへの批判強まる
今では経済誌のみならず体制側の人達もアベノミクスの矛盾を批判するようになりまし
た。安倍首相のお仲間・本田悦朗内閣官房参与は「総理と刺し違えても消費税10%は阻 止」と首相官邸でインタビュー(週刊現代9/20・27日合併号)。日本維新の会の藤巻健史 参議院議員は「今の低金利は続かず財政破綻のリスクが高まっている」と主張。ノーベ ル経済学賞を得たクルーグマン教授は消費税を5%に戻すべしと警告しています。
アメリカ財務省高官は、欧州と日本の景気減速について懸念を表明し、マイナス成長に
陥った日本については「需要や実質賃金が低迷し新たな懸念が浮上」と12日に語ったと の報道(日経新聞など9.13)です。
安心して企業年金を受けられるように!
金融市場混乱・大不況突入のリスクが高まる下、銀行は国債を売って減らすなどしてい
ますが、こんな対応で間に合いましょうか。
雇用確保と賃上げ・年金拡充で内需拡大し日本経済が健全成長し、庶民目線での財政
健全化と金融円滑化が図られてこそ銀行は国内での融資業務も伸び社会的責任を果た せます。
政治・経済・金融のあり方、銀行の経営姿勢を正してこそ私達は受給を確かなものとで
きるのではないでしょうか。
国の年金も企業年金も守るために金融、財政なども含む広い視野で国政に目を向け、
企業年金の無い人達の理解・連帯も得られる努力が必要に思います。こういう中で子、 孫たちが金融商品的な企業年金=確定拠出年金やハイブリッド型などにより元も子もな くさないようにしていく必要があります。
公的年金の縮小を前提に企業年金を投機的方向に広げようとする財界・政府の画策は
現役・次世代も困る施策です。
銀行決算も年金も株価だのみ? 河上次朗
銀行の経営も年金資産の運用も金融財政も株価で大きく揺れ動く状況が強まってきまし
た。このままでは年金も暮らしも守れなくなります。こんな方向に受給者も現役も黙って おれるのか?!そんなことを考えています。
目先の利益を追う経営へ
かつて決算は年一回で、途中に中間決算だったものが、米国流のグローバル化とやら
で三ヶ月に一度となりました。銀行に限らず大企業は株式投資or投機、M&Aの対象とな るため、常に時価評価を行ない投資家に必要な財務等情報を提供する仕組みとなった のです。(企業年金の積み立て不足も重要な問題となることから銀行は現役についてキ ャッシュバランスプランを二年前に導入)
このため経営陣は長期的観点で取引先・労働者・社会との関係を重視するより、目先の
利益を重視せざるを得なくなります。外国投資家の持株比率が各行で上昇し、三菱UFJ の場合は三割を超え(前期末では38.4%)、彼らの意向にも添って配当金額は増大してい ます。(三菱UFJは昨年度2,266億円!)
国民の暮らしに即した生産やサービスの事業よりも、マネー投機の事業がウエイトを高
めて行くのは、資本主義経済の成熟化の必然的流れとも言われます。
「アベノミクス」もその流れと言うべきか、株価の上昇を企図し、法人税減税はじめ、あの
手この手を総動員しています。
しかし、これらは年金受給者をはじめ庶民の暮らしと日本経済を悪化するものであり「株
頼み内閣」では困ります。
特に安倍首相が異次元の金融・異例の財政政策を追求しており、その中でも年金に絡
む次の二つの問題が重要だと考えています。
1. 国債から株へ国民資産を移す手口
GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が運用している資金約130兆円の内、国内株
式への投資比率を引上げる方針が前倒しで固まりつつあります。国民の重要資産を投 機に注ぎ込むことは許せませんが、この方針が新たな矛盾を生む可能性も重大です。
つまり、株式購入のためGPIFが保有する国債を大量に売却すると、需給バランスが崩
れて国債価格が下落し、巨額保有している銀行は評価損を抱え込むことになります。
ただ当面は、日銀が「アベノミクス」の一環として買い込む体制なので国債の下落には至
らないと見られています。
しかし「異次元の金融緩和」と言って国債を買い続けて資金をジャブつかせ、金融市場で
風船を膨らませ続けると、バブル破裂に至りますから、出口戦略つまり国債買い込みな ど量的緩和の解除、ゼロ金利の解除に向かうときを迎えざるを得ません。
日銀は今年12月末までに長期国債保有高を91兆円(`13.3)から190兆円にすると公言し
ており、国債買上げ期限は一応到来となります。では、暴落可能性のある国債を日銀に 代わって買い込むのはどこか?となると答えはみつかるでしようか。
仕方なく日銀がまた買い込み続けるかも知れませんが、矛盾爆発を先延ばしするだけで
あり危険事態は必ず来る!と警告する論者が増えつつあります。(日本維新の会の参議 員・藤巻健史氏 [モルガン銀行の元ディーラー]もその一人)
Xデーが来ると市場金利は上がるし国債は下落するし、他の債券や株式も下落、企業業
績は悪化、銀行は不良債権を抱え込み、貸倒の発生や貸倒引当金の積み増しで赤字 転落など大変な事態になります。勿論、他の産業・企業も経営難となり法人税収も減り、 日本経済も財政も大変な事態に突入します。
銀行は既に国債を日銀に売って減らしつつあるものの30兆円台ですし、問題は銀行の
国債評価損にとどまらない、国民全体に及ぶとてつも無い危機が待っていることを洞察 する必要があるのではないかと考えています。
2. 企業年金変質でマネーゲーム拡大の手口
@7月25日の日経新聞は「企業年金に新制度検討 会社と社員が運用リスク分担」との
見出しで、新しい企業年金の制度を厚労省が策定中と報道しました。これは従来の確定 給付企業年金と確定拠出年金の中間的な制度とするものです。
A8月5日の日経新聞は一面トップに「年金掛金 増額しやすく」と新たな報道です。確定
拠出年金で労働者が最高5割まで拠出のルールを見直し、自由に拠出分を引上げられ るようにするものです。
@Aとも企業年金の本質を一段と突き崩し、老後の暮らしについて企業や国の責任を
個人に転嫁し、自己責任へと追い込む大方針によるものであり、現役は勿論、受給者も 警戒する必要があります。
いずれにしても企業の自己責任で給付すべき退職年金の原資を労働者にも拠出させ、
限度を緩めてマネーゲームに誘導すると、為政者や業界は株価アップや手数料増収で 喜ぶんでしょうが、労働者は元本保証無くスッテンテンの事例が広がる可能性も出てき ます。
株投資で庶民のくらし日本経済は?
賃金からの天引き拠出が増えて暮らしが厳しくなります。全体的にも賃金が伸びないの
に手取り賃金減では個人消費が更に低迷するし、日本経済の成長を阻害します。
巨額資金が株式市場に更に誘導され、株価変動が激化すると、企業年金の基金財政も
翻弄されるし、株価頼みの政治経済の脆弱性が外資の好餌となり、「株も国債も売り浴 びせの可能性あり」との論も増えつつあります。
受給者も現役も共通する重要問題として関心を高め警戒していかなければと考えていま
す。
受給者や現役抜きの企業年金部会 中川寛一
社会保障審議会の企業年金部会が「企業年金のあり方」をテーマに審議を重ねていま
す。8月15日に公表された第四回議事録を読むとトンデモ発言が相次いでいます。財界 の意向に即している一人は、厚労省・香取年金局長です。発言ポイントは、
▼公的年金はマクロスライド発動などで給付水準が低下する(→維持向上を図るのが彼
の役目なのに!)、▼非正規労働者や女性の就業が増えるしライフスタイルが変化す る、▼そこで公的年金に準ずる所得保障の制度ということで上乗せとなる企業年金を見 直す、▼諸外国でも公的年金と企業年金の組み合わせ議論が進展(→ドイツでは公的 年金が改善方向なのにダンマリ)、▼中小企業では退職金、退職年金が減退傾向なので 取り組みやすい制度づくりを、▼確定給付と確定拠出の折衷方式も考えたい…という論 立てを展開しています。
経団連・小林委員
▼企業経営を取り巻く環境は大きく変化し企業グループ内の会社分割や統合、海外も
含めた合併や買収等、企業再編が加速、労働市場も流動化が進み終身雇用は変化… (→自然現象のように語るが経団連が推進してきた)、▼そこで企業がより高い自由度を 得られる環境整備が必要。企業年金制度のあるべき姿を考えていくに当っては、小幅な 改善をめざすのではなく、現行法令の枠組みに囚われない抜本的な検討をするべき。
厚労省・黒田課長
▼企業年金は労使で決めて労使でお金を出し合って、というものをこの部会でイの一番
に議論する話…(→企業年金は元々企業が負担する退職金の延払いという基本を棚上 げ)
森戸英幸・部会長代理・慶応大教授
▼企業年金は枠組みとしては公的年金の上乗せでなくて逆。自助努力とかが
あって、その中に企業年金…がある。(と曖昧な言い方で自助努力を強調、終身年金も
問題視)
大企業・財界のための年金論議で一貫
第5回以降の討議は一貫して大企業、金融業界(銀行・証券・生保・損保)の望む方向
です。厚労省が選んだ部会メンバーには労働団体から二人入っていますがガス抜き程 度のようで、受給者代表的な委員はいません。
中小企業にも企業年金を!との議論が格差是正の角度からあります。格差を問題にす
るなら基本的に賃上げが重要なのに、これよりも確定拠出年金で金融市場に資金を天 引きで誘導する論議では歪んでいます。厚年基金の廃止でも資金獲得、商機拡大を狙 う業界意図が見え見えです。
厚労省が財界意向に即して動いてきたのは今に始まったことではありませんが、経団連
と蜜に意見交換の場を持っていることは「経団連タイムス」で公表されています(6月12日 付では企業年金部会と同内容の注文と意見交換)。
年金の問題を通して国の政治経済が財界本位で進められている実態を直視することが
大事ではないでしようか。
公的年金の切り下げ画策は止めて!
山田春雄(`14.7.11)
私たちにとって公的年金とは一階部分の基礎年金と二階部分厚生年金です。今年は財
政検証ということで、5年ごとに被保険者や受給者の人口要素と、物価や賃金の上昇、 運用利回りなどの経済要素を基に先行きを見通し、必要な政策を決める年です。
厚労省は先月3日、標準ケースの試算で30年後に給付が20%減るなど発表しました。今
後の政策方向は、
▲マクロ経済スライドをデフレ下でも発動、
▲週20時間以上働くパート労働者などに厚生年金の加入適用拡大、▲国民年金保険
料を5年延長し65歳まで強制加入・保険料納付、
▲高齢期の就労と年金受給の在り方を変える、
▲高所得者の年金給付と年金課税の在り方を変える、
と提起しており、警戒が必要です。
あっち向いてホイッの世代分断
6月27日に厚労省は、経済成長率、物価や賃金の上昇率など経済条件によって給付
がどう変化するか?の試算を発表しました。
現在40歳以下の世代が受け取る厚生年金の金額は、経済が成長しても現役世代の収
入の半分強、マイナス成長だと半分以下に留まり、今年度65歳になる人が現役収入の6 割強の支給を受けるのに対し、世代間格差が明らかという試算です。
公的年金は、高齢者になって受け取る年金は同時代の現役世代に賦課する保険料など
から仕送りを受けるという仕組み(=賦課方式)です。
物価や賃金は長期的に変動するため財政検証では、受取金額だけでなく、現役世代の
賃金比どれだけの割合か?という所得代替率が重要になります。法律では受給開始時 は50%と定めています。
しかしこの発表の翌日、大手新聞は、いずれこの所得代替率が50%を切る、生まれ年に
よって格差が拡大する、と一様に大きく報道しました。
経済成長率が低く、少子高齢化が進むと当然の道ですが、これを避けるにはどうする
か?という根本策の追究や当局批判はせずに、厚労省発表の垂れ流しでした。
日経新聞などは世代間格差を問題視し、現在の高齢者の給付が想定よりも多い、給付
抑制を先送りしてきたツケを現役世代が払っている、と決め付け世代間対立を煽ってい ます。さらに払い込んだ掛金が後で給付としてどれ位の比率で戻ってくるか?という試算 にまで言及しましたが、これは賦課方式の基本を無視した記事です。
こういうマスコミ情報が広がるために現役は不信感を持ち、財界が喧伝する「自己責任」
の考え方に染められ、確定拠出年金などへ誘導され易くなり、国民年金の納付率は低 下する要因にもなります。
そしてまた「今の高齢者は恵まれ過ぎている」と批判する傾向が強まります。今の現役労
働者でも非正規の人たちは国民年金加入が多いはずですが、未納付率が高くなってい ます。この大きな要因は月額約15千円にも及ぶ保険料と、満額でも受給は約64千円に しかならないという問題にあります。現役労働者の雇用を安定させ社会保険料を負担で きて、給付もまともな金額になる道をめざすことが必要です。
根本策に目を向けて!
政府やマスコミの分断策に乗せられ減額が推進されて行くと、いず
れ後年、受給者になって困ることになります。せっかく到達した水準
を維持し、充実させるにはどうすべきか?という政策追究が不可欠です。
そもそも、年金のような社会保障財源は憲法第25条2項に謳われているように国の責
任で確保すべきであり、負担能力のある大企業や大資産家に応分の税金を求めるとい う応能負担の原則が基本です。貧困層にまで一律の消費税を課し社会保障に充てると 欺き、更に社会保障の後退策を練るなんて言語道断です。
また、派遣法改悪などで非正規を増やし雇用不安定化、解雇自由化など目ざす財界本
位の政策を止めさせ、雇用安定化と年収引上げで結婚・子育ての展望を持てて社会保 険料も納付できる現役を増やす政策、賃上げで家計を潤し内需が盛り上がることで経済 成長をめざすことも根本的に重要です。現役も受給者も根本策の実現に向けて力を合 わせ、年金制度を歪めている財界と政権の悪政を転換することが不可欠です。
トンでもない「成長戦略」
安倍首相は盛んに第三の矢「成長戦略」を喧伝しています。中身も効果も無く、むしろ
害悪を広げる可能性大なのが特徴です。その中の一つに、年金の積立金を株投機に回 すというのがあります。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の陣容を入れ替え、 129兆円の資金の一部で株を買い、儲けようというものです。いず
れ枯渇するかも…と言われている年金財源に充てたいとも言います。
この構想が具体化するにつれて株相場は期待感で上がり、実際に
高値で買い込めば、これ以上買い進む期待も財源も減って相場は下落、GPIFは大損の
可能性が出てきます。 しかも、国債を売って投機資金を捻出すると、銀行など保有して いる国債の下落要因となり、金融市場を混乱させる可能性が高まります。
内需盛り上げを基本とするまともな成長戦略が無ければ経済失速は必至ですし、内外
の投資家から見放されて株価が下落する要因となります。
7月4日の発表では、GPIFの収益額は13年度に10兆2,207億円で、12年度の11兆2,222
億円に次ぐ成果とのことです。しかし07年にはサブプライムローン危機で5兆8,400億円 の損失、08年にはリーマンショックで9兆6,670億円の損失でした。
そもそも株投機は、当事者の予測や努力とは無関係に損得が発生します。株投機で年
金財源を捻り出すというのは博徒的邪道で無責任です。裏目に出た場合の責任は誰が 取りますか。国民にツケが回るだけです。国民の暮らしと日本経済を良くしようと、まとも に向き合わない政策は早く転換すべきです。
財界言いなりの厚労省の矛盾 山田春雄 (14.6.3.)
銀行退職者の皆さんと企業年金について話すると「分かりにくい」「なんか面倒…お任
せ」などと敬遠されることが多くあります。資金運用が順調な時代と違って、今は市場の 様相が大きく変わり、また財界が安倍政権に都合よい改悪を進めさせていることに注目 したいものです。
特に、法律、省令、通達など難解で何回読んでも難しくさせている官庁官僚が相手の
場合は、注意が必要です。その点で四月からの改定法、政省令施行に伴い看過できな いことがあり、駄文を綴りますのでお役に立つなら幸いです。
財界言いなりのキャッシュバランス
銀行の受給者にとって重要なのはキャッシュバランスプラン(=CB)の問題です。これは
給付額が変動する制度で、定額給付とは全く異なる不確定不安定な仕組です。これが、 更に四月から改悪されました。
▲基準利率の下限はゼロ以上であればよい、
▲基金の運用実績を基準利率としてよい=低実績を基準に給付を下げられる、などと
決定。
財界は前々から確定給付企業年金の負担とリスクを嫌ってCBに移行させたがってい
たので私たちとしてもこの問題は的確に見ておく必要があります。こんな仕組みへの変 更は経団連の規制改革に合致しますが、法律との合致はどうか?受給者の願いとの合 致はどうか?が重要です。
確定給付企業年金法の第1条「公的年金の給付と相まって国民の生活の安定と福祉の
向上に寄与することを目的とする」ことに沿っているのか、厳しく問われます。特に公的 年金の更なる改悪・切り下げが進んでいる今、両方ともに、基本点たる法律から吟味し て厚労省と背後に控えている財界・自公政権を批判する広範な世論が必要です。
キャッシュバランスでの厚労省の矛盾
CBに限ってみても、経団連の要求に屈した厚労省の姿勢転換、歪みは判例からも明ら
かです。
2005年にNTTが黒字であるにも関わらず減額する、CBに移行する、と認可申請したの
に対し、厚労省は認可しなかったため、NTTに提訴されたことがあります。
この時、厚労省は「CB移行時の支給金利が現行金利を下回る場合には、原則給付減
額にあたる」と反論、東京地裁は判決(同年10月19日)でこの通り判示しています。
また、確定給付企業年金法の受給権保護規定は、同意しない者の受給権保護にある、
として「少数の減額不同意者の受給権は多数決では決められない」という判示内容なの です。
しかし、あれから7年、今の厚労省は様変わりです。実質的に減額となるCBへの移行で
あれば、NTTへの地裁判示からすると、移行を必要とするやむを得ない客観的理由要 件を定めることが必要です。
受給者に不利な変更をやるのであれば、企業・基金の側にやむを得ぬ理由でもない限
り、一方的な押付けは許せるものではありません。理由ナシに、三分の二以上の同意が あれば不同意者も纏めて不利益強要とは横暴不当ではありませんか。
今、銀行は確定給付企業年金ですが、経団連はAIJ事件を好機に厚年基金の改廃とセ
ットで確定給付企業年金の制度改悪まで踏み込んできたこと、厚労省が判例とも違う施 策を推進していることは決して看過できないと思います。
いま、銀行の決算状況が好調だから企業年金は心配無用、という見方が多いのです
が、銀行はアベノミクスの矛盾から低金利・逆鞘・国債下落可能性etc.の弱点、矛盾を 抱え込んでおり、人件費圧縮・企業年金のリスク回避の意欲は強いと見ざるを得ませ ん。
人ごとに思えない厚労省の施策 中村和夫 (14.6.2.)
四月からの法律改訂と政省令の施行について少しかじってみると厚年基金の人たちだ
けでなくて私たちにも及んで来かねない問題があることが分かります。
厚年基金の受給者は減額だ、基金解散だ、と大変な状況に直面していますが、困る状
況に追い込んだ財界と厚労省は実は確定給付企業年金の制度にも困る問題を持ち込 んでいる、可能性をもたらしている点を直視する必要があります。
いま改めて、法律や政省令がどうなっているのか、私たちはどこまで守られているのか、
いないのか、など今のうちに理解し、他の制度の人たちと連帯もしていく必要がありま す。
受給者を軽視無視
この点で共通して問題にすべき一つは受給者の意思確認、意思尊重がいい加減である
ことです。
現在の法律では、厚年基金であれ、確定給付企業年金であれ、減額とかCB移行の時
は受給者に対して同意を求め、三分の二以上の多数決で決める仕組みです。
しかし、基金の解散と言う重大問題については受給者の意思を問う必要はなく、現役と
企業だけで決定することが可能です。銀行の場合、基金解散まで想定したくありません が、法的な欠陥が放置されていることは放置できません。
国会決議を実行すべき厚労省の怠慢
企業年金は退職金の延べ払いであり、企業としては退職金規程等に基づく支払い義務
があります。基金が左前になったとしても企業は他の方法で義務履行の責任はある訳で す。
このため、四月に厚年基金改廃の一連の法律が施行されても、受給権が侵害されない
ように国会は特別に附帯決議をしました。特に厚生年金基金の解散・移行にあたり、母 体企業が退職金規程等に基づく退職給付義務を履行するよう指導を行うこと、の項は重 要です。
まだある受給者軽視!
銀行の受給者にとって基金解散など今は無用な話かも知れませんが、厚年基金につい
て現実に起きている問題には注目したいと思います。
つまり、基金解散という重要問題を議決する代議員会では事前に、全受給者に対して、
解散理由等に係る説明を文書又は口頭で行なう要件を掲げているもののこれでいいの か?という問題があります。受給者を大事に考えるなら、口頭でなく文書での情報開示 を義務付け、一定%以上参加の説明会開催や質疑応答の義務を課す必要があります。
りそな銀行の減額強行の時、情報開示が不十分で、説明会も何%の受給者に実施した
のか?など問題がありました。人ごとにし得ない問題のように思います。
勝手な口実で国会決議棚上げ
企業・銀行は常に利益第一で動き、リスク対応を強めています。国内業務が逆ザヤにま
で進んだり国債下落で数年分の利益が吹き飛ぶ可能性があり得る今、私たちとしても 様々な可能性に目配りが必要ではないでしょうか。 そのうちの一つが、企業年金がイ ザ不払となった時に必要な支払保証制度の問題です。
これは当然のように欧米で措置されているのに日本ではできていません。しかも国会が
決議したのに財界の横槍で棚上げされていることは重大です。
2001年に確定給付企業年金法が国会で議決された時の附帯決議は「支払保証制度に
ついては、企業年金の加入者及び受給者の受給権保護を図る観点から、モラルハザー ドの回避などに留意しつつ、引き続き、検討を加えること」としています。
しかし、厚労省は財界の圧力で先送りです。立法府が行政府に課した決議をサボるとは
許せません。退職金の延払いですから企業の負担でやるべきなのに厚労省は、制度創 設の費用、公平性の観点で課題があるなどと引き延ばしてきました。酷いのは、制度創 設の必要性までもが新たな検討対象と明記されたことです(3月24日「寄せられたご意見 について」)。これは国会決議からの逸脱です。
私達の知らない内にどんどん後退し、財界ペースで歪んでいる実態はもっと知られるべ
きことです。受給者皆で情報を共有し受給権を守る運動の輪を広げていく必要がありま す。
好決算でも安心できますか? 山田春雄(`14.5.19.)
三菱UFJフィナンシャルグループ(FG)の前期決算は当期純利益9,848億円、三菱東京
UFJ銀行(MTU)単体は6,502億円との発表です。こういう決算からも、「企業年金は何も 心配いらないのでは…」という声が少なくありません。
しかし、FG、MTU銀行は常に利益を追求し、人件費コストの押さえ込みを追求し続けて
います。この数年間、銀行は好決算を重ね続けてきましたが、ベースアップでは従業員 の意向を無視し続け、やっと19年ぶりに実現したと言っても0.5%で消費税アップ分にも及 びません。企業年金でもMTUは現役には二年前にキャッシュバランスプランへ移行しま した。
安心できない銀行の経営実情
FGもMTUも今後の見通しは脳天気でありません。常にリスクに備えコスト圧縮に懸命
です。今は"アベノミクスのお蔭で"とか言っていても、アベノミクスの矛盾破綻も視野に 入れざるを得ない状況です。
既に金融緩和で金利低下も加わり、預貸本業では利益を稼ぎ難くなって株売買・投信手
数料などで利益をあげています。MTUは国内の平均貸出利回りが1.11%と、前年度比0. 13ポイント下がり、国内部門が経費を賄えない逆ザヤに初めて陥りました。(みずほ銀は 資金運用での利回りと調達コストの差である「総資金利ざや」がゼロになりました。)
金融市場の不安定も輪をかけつつあり、アベノミクスの矛盾から国債暴落の危険性を依
然としてはらんでいます。
MTUの場合、前期末(14/3)約33兆円の国債を保有していますが、過剰発行から価格暴
落の危険性は既に指摘されていますが、5%の下落で1兆6千億円の評価損が出ます。こ れは年間利益の2年分以上です。
先月24日、日銀が発表した試算では、国債下落などで長期金利が1%上昇すると、大手
銀行全体で3.2兆円吹き飛びます。こうなると日本経済全体が不調に陥り、貸倒引当の 増額や倒産多発、保有株式の評価損巨額発生で銀行の収益は急減…、となります。
ですから、銀行としては企業年金の負担軽減にも乗り出さざるを得ません。永年、経団
連の副会長を大銀行から出し、政府に要求を突きつけ続けてきた実績を忘れる訳に行 きません。
永年の財界要求
日本の企業年金は大企業が良い労働条件で人材獲得のために始め、厚生年金の保険
料引上げ時、資金を国から預かり運用する公私混同の厚年基金制度を作りました。そ の後、企業本位で制度を後退させてきた経過が1990年代以降、特に顕著です。
2002 年から 2008年までの輸出主導の景気回復期であっても、経団連は賃金抑圧と共
に企業年金についても身勝手な沢山の要求を毎年政府に突きつけ続けていました。
2002 年から 2008年までの輸出主導の景気回復期であっても、経団連は賃金抑圧と共
に企業年金についても政府に身勝手な沢山の要求を毎年政府に突きつけ続けていまし た。
2011年には何故か要求内容を非公開とした程で、厚顔無恥な内容がテンコ盛りであっ
たと推測されています。公表を再開した直近分は昨年1月政府に提出しています。
厚労省は財界の圧力を受けて2012年には、黒字企業でも一定条件により受給者の給
付を減額できるよう、法律によらず厚労省令で可能としたことは他人事と見るわけに行 きません。
そしてAIJ事件を好機として厚労省は厚年基金の改廃を断行して沢山の現役・受給者の
受給権を侵害する措置を四月の政省令公布で施行するに至ったのです。
基金解散の場合、受給者は意思を聞かれることもなしに受給権を失う措置もある点で、
厚労省・財界は冷酷であり、これが私たちにも波及する姿勢である点で、人ごとにできま せん。
私たちに及ぶ問題は?
銀行の受給者は確定給付のため「厚年基金とは別。関係ない」との受け止めが殆んどで
すが、実は厚年基金解散から他の制度に移行する選択肢の一つとされている確定給付 企業年金の制度に実質的改悪が行なわれたのです。
つまりAIJ事件を千載一遇とばかりにドサクサに紛れて財界は永年の要求を目立たない
形で盛り込んだのです。
その一つが「キャッシュバランスプラン(CB)の更なる弾力化」で、経団連が10年以上前
から要求していたものです。
CBは国債など市場金利に合わせて給付などが変わる仕組みで、確定給付企業年金か
ら、CBへ移行すると受給者に不利益が生じます。それを今回更に「ゼロ金利でも良い」 などと弾力化するのでは受給権の更なる侵害になります。
CB導入の企業は「減ることもあれば増えることもある」とPRするのが常です(りそな銀行
は受給者にも導入済み)が、金融市場が不安定さを増していく時、乗れる話ではありま せん。
厚労省が政省令で仕組みを改悪しても、これを銀行・基金が導入するかどうかは別問題
です。導入の場合、受給者に対し規約変更を提案して同意を求め、三分の二以上が同 意したら移行、となります。従って、CBの問題点、これを更に「設計弾力化」する財界・ 厚労省の狙いや効果を掴んでおく必要があります。
財界・厚労省の狙いは?
そもそもCBは、財界が確定給付企業年金では市場の変動で企業の負担・リスクが大き
いから避けて受給者・現役に転嫁するために持ち出した仕組みであることを見抜く必要 があります。
ストレートの減額では同意を得にくいので、増える可能性を云々し、同意を得やすいよ
う、いわば変化球みたいに持ち出したものです。
「企業年金はややこしくて難しい」とよく言われますが、敬遠のままでは財界・厚労省・企
業の思惑通りに運ばれますから、お互いに知識・情報を共有し、その輪を広げ、皆で食 いついて行く必要があります。
そして、このホームページをご覧の方で未入会の方は是非ご入会戴き、お知り合いの方
にはホームページの転送などご紹介戴ければと思います。
財界・厚労省の新たな動きに警戒を(`14.4.12.山田春雄)
厚労省がAIJ事件を千載一遇の好機とばかかりに、実は前々からの財界の要求(ほ
ぼ毎年要求、直近では昨年1月)を受けて大掛かりな制度改悪を新政省令に盛り込み4 月1日から施行されました。
その上に更なる改悪を企業年金部会で今月から審議しようとしています。3月18日開催
の企業年金部会に提出した厚労省の資料と議事録を読むと、とても看過できない内容 があることが見えてきました。
看過できない問題
厚労省は、厚年基金の実質廃止・他制度への移行促進・既存制度の変質など、これま
でにない大改革を推進するに当たり、「制度改正の背景・必要性・趣旨・方向性」などを 「参考資料1」の冒頭に述べています。
しかし、厚労省は永年、財界の要求に即して動いてきただけに、財界目線の理屈・言い
分が書かれており、眉に唾つけて読み込み、見抜くべき内容があると思います。
●入り口からゴマカシが…
「制度改正の背景と必要性」の項では「資産運用を取り巻く環境は不安定さを増している
状況」「高齢化の進行で現役よりも年金受給者の割合が高まり」などを挙げています。
ここには金融・経済の不安を永年招いた政治、正規社員削減・労働力人口減少につな
がった政治の問題が棚上げされ、厚労省の基金への指導監督責任が抜けています。
こういう姿勢が企業年金制度を財界本位に歪め、現役や受給者に様々な悪影響を及ぼ
してきたことを見抜く必要があります。
そもそも、「高齢化の進行」云々は自然現象ではありません。企業年金での現役の減
少・受給者の増大は企業の利益本位の恣意的な雇用政策によります。
そして企業年金は退職金の延払いとして在職者数に対応して積立てて行く制度ですか
ら、後に続く現役の減少は基本的に受給者に関係なく、高齢化の影響は小さいのです。 それなのに公的年金と同列においた詭弁に誤魔化される訳にはいきません。
公的年金は、現役が受給者を支える仕組みですが、公的年金の財政問題を企業年金も
共通であるかのように意図的に混同させる誘導が政府や財界に見られたことを看過で きません。
公的年金の場合、正規社員の削減は、受給者を支える人数と保険料の減少に繋がり、
財政の大問題ですが、企業年金は正規社員だけを加入させ受給者も元正規社員ですか ら限定されており社員削減自体の影響は別問題なのです。
●「自己中心」ではないか?
厚労省の文書では、「制度改正の趣旨」は「公的年金と企業年金の役割分担、企業年金
の事業主・加入員が負うべき役割とリスクを再整理する」と述べています。
元もと公的年金と企業年金は戦前から別物だったのに、財界の圧力で両者を融合させ
た調整年金という他国に例の無い公私混同の制度=厚年基金を作ったことが問題だっ たのです。それが運用困難となってリスク・負担を外すために今更「役割分担」と言うの は「自己中心」ではありませんか。
「加入員が負うべきリスク」まで事業主と同列に並べて、新たな負担を押付けてくることに
注意が必要です。
そもそも、厚年基金制度では加入員が負うリスクは、企業の倒産や企業財務の悪化で
あり、資産運用のリスクは負担せず、企業が不足資金の拠出義務を負います。加入員 は企業の財政が悪化して制度の継続が難しいとき、初めて給付減額や制度廃止のリス クを負担します。
厚年基金は、国に納付すべき資金の一部を企業側が肩代わりして"運用益を得る良い
仕組み"と財界が宣伝したものの、運用次第では逆回転になる、という基本的問題など 批判がありました。
ですから当然、労働団体・野党などが反対したのに、それを押し切って創設したのです。
この点を曖昧にして事業主と同列の「リスク・負担の役割分担」を仕組むことは許されま せん。
●企業年金変質の狙い
このような厚労省の姿勢の延長線として、企業年金を更に変質させる方向が提起されて
います。
つまり、厚年基金を解散して他の制度へ移行する受け皿として政省令はa.キャッシュバ
ランスプラン(CBと略記)の設計弾力化やb.確定拠出年金の規制緩和など打ち出しまし た。
a.は企業の責任、負担を大きく軽減して現役・退職者に転嫁させる仕組みですし、b.は自
己拠出ウエイト拡大へ進めるのと併せ退職金とは異質のものへ一段と変質させます。
現役に響く問題ではあるが
社会保障審議会は既に「公助」を軽減し「自助」へ傾斜させる制度改悪を明確にしていま
すが、企業年金分野でもこれと軌を一にした議論が展開されつつあります。企業年金部 会のメンバーには、これまでの専門委員会などで「自助」を唱え「IRAやリースター年金を 参考に!」と提起してきた人たちがおり、今月から始まる討議に注目が必要です。
(IRA=アメリカの個人年金制度の一つ、退職口座Individual Retirement Account。雇
用主とは関係なく、銀行口座のように個人が自分で開くもの。税制の恩典を付与)
(リースター年金=ドイツの任意加入の個人向け確定拠出年金。公的年金の給付削減を
国民の自助努力で補完するために2002年に導入。拠出時に政府の助成措置あり、事業 主は拠出なし。時の蔵相の名をとって命名)
問題点はまだある
厚労省が述べていることで看過できない点は他にもあり、次の記述は一例です。
…我が国では、平成16年の年金制度改革において、公的年金を徐々にスリム化する方
向性が明示されており、今後、企業年金の重要性は高まっていくと考えられます。…
公的年金のスリム化とは「よく言うよ!」です。「百年安心」の触れ込みでやったことは、
保険料の毎年引上げ、マクロ経済スライドと称する給付押さえ込み、現役賃金比での給 付比率引下げetc.です。
こんな"安心度のスリム化"と引き換えのように企業年金の重要性に触れていますが、
現実にやっていることは、財界の要請に応えて企業の負担軽減と現役・受給者へのリス ク・負担の転嫁です。
厚労省は、企業年金は労使間の自治問題として丸投げですが、現実の労使間の力関係
も考える必要があります。しかも、非正規雇用の場合は公的年金に一部分が加入できて も企業年金には加入させない実態ですから、格差と差別が一層拡大します。
要するに、公的年金も企業年金も老後の生活安定から遠ざける政策を推進していると
見ざるを得ません。
これらは今の受給者には直接関係ないにしても、現役・次世代が、私たち自身の子、孫
が悪影響を受け、日本の経済成長、貧困化など様々な問題に繋がっていく重要問題で ある、と主体的に考えてゆきたいものです。
受給者に及ぶ問題は
新政省令はAIJ事件を契機としているものの、実は他制度にも波及させる大きな狙いが
込められている諸点をしっかり見ておく必要があります。
つまり、厚年基金を解散し他制度へ移行する施策に絡めて、他制度の現役や受給者に
影響する問題があることが重要なのです。
例えば、CB弾力化は、給付が不安定不確定となる重大な問題がありますが、企業が確
定給付企業年金の受給者にも導入しようとすれば、規約変更を提起して、受給者の三 分の二以上の同意を得ることで可能な仕組みなのです。
規約変更には経営難などの理由要件は不要であり、手続要件のみ求められています。
銀行としてはCBに移行すればリスクと資金負担が大きく減るためメリットがあり、運営が やり易くなっています。
今度の政省令公布で以って直ちに企業・基金が採用するかどうかは別問題ですが、私
達としては警戒し、採用を許さない運動を展開する必要があります。
受給者・受給権をないがしろに
厚年基金を改廃するための有識者会議や専門委員会、厚労省の対応など、これまでの
経過や資料を通して見られることは、企業・基金の都合や事情を反映した施策を練り上 げているのに、重大なことは肝心の受給者・受給権が一貫して無視軽視されていること です。
またパブリックコメント(=意見公募)でも同様です。(意見公募は政省令公布の前に実施
することが義務付けられており、昨`13年11-12月、新政省令案に関するパブリックコメ ントを実施。全体で128通と、前`12年8月のパブコメ比5通だけ多いという結果。前回の パブコメは黒字企業でも給付減額可能とする省令への意見公募)
パブリックコメントで出された意見とこれらに対する回答を示すことも法律で義務付けら
れており、厚労省の「考え方」として公表されましたが、読むと、企業・基金からの意見や 疑問には懇切丁寧に答えている他方で、受給者や加入員側の意見には、冷淡、的外 れ、形式的、肩透かし、無答が殆んどという有様です。
例えば、支払保証制度についてみますとー。
「欧米各国にあるように、支払保証制度の確立に向けて議論の場を設け、規制当局とし
て厚生労働省は前向きな取り組みを行うよう要請する」との意見に対して「厚生労働行 政へのご意見として承ります」と回答。
後の同類意見には「支払保証制度については、その必要性、企業年金の性格、受給権
との関連、モラルハザードの回避方策など整理すべき課題を踏まえて、慎重に検討する 必要があると考えています」との回答が出ています。いずれにしても、12年も前の国会附 帯決議をまだ先送りする無責任な姿勢です。
このような姿勢は、企業年金や厚労省に限ってのものではありませんが、受給者・現役
は国民であり主権者であることを思い知らせたいものです。
厚労省が財界・企業や基金に向けている顔と頭を国民向けに転換させるには、パブリッ
クコメントにもっと受給者・現役側の意見を出して行くことも大切ですし、その機会に限ら ず平時でも意見や疑問を出すことが必要だと考えています。
********************************************************
「三菱東京UFJ銀行の企業年金を考える会」の拡大強化
を! (`14.4.12. 事務局)
「三菱東京UFJ銀行の企業年金を考える会」は三年前に設立され、「銀行年金守る会」
「企業年金受給権を守る連絡会」と共にパブリックコメント提出、情報交換、共同行動な ど行なっています。
今月から社会保障審議会の企業年金部会は「企業年金の在り方」を審議の予定です。
社会保障制度の改悪と一体で施策を練ることが予想されます。
こういう情勢の下では今後、受給権を守り拡充していく運動を強めることが一段と重要
です。政策が仕上がってから批判したりパブリックコメントで意見を出したりすることも大 切ですが、そこに至る過程で、検討されている内容について問題点を解明し、提案する ことが大切です。
例えば、支払保証制度の課題でも、財界・企業ペースにならないよう厚労省に問い質し
ながら対案を出して世論化することも大事です。
このように考えますと、「銀行年金守る会」「企業年金受給権を守る連絡会」の運動前進
と共に「三菱東京UFJ銀行の企業年金を考える会」の会員拡大・相互交流・組織強化・ PR活動の活発化と拡大が重要となります。ホームページをご覧の方々にはご意見ご提 案をお願いします。ホームページトップのメールアドレスでご送信下さい。
そしてご入会をお待ちしています。ホームページの「ご入会案内」の頁でお手続できま
す。
*******************************************************
現役も受給者も安心しておれますか
(`14.4.12.中村和夫)
三菱UFJフィナンシャルグループなどメガバンクの業績が引続き好調と報道されていま
す。(例えば日経新聞4月1日)
好業績の要因には「アベノミクスによる景気回復」「株価上昇」などが挙げられています。
しかし、これらの要因は安定的に続くと見ることが出来るでしょうか。
アベノミクスの抱えている矛盾は、いずれ金融市場・日本経済を撹乱する危険性を持
っていると考えられます。前にも度々小紙で書きましたように、銀行の金利、保有国債評 価、貸倒引当金などを直撃します。
他にも銀行にとって警戒すべき問題があります。企業年金の積立不足は直ちに負債・
損失計上などとするように会計基準が変更されました。
今は業績好調でも、色んな事態に備えて銀行は様々な対策を重ねています。
19年ぶりのベースアップ、派遣労働者の直接雇用化などで人件費押さえ込みの必要度
も高まっているはずです。
自己資本比率規制についてはクリアしていますが、新しい規制(バーゼル3)に対応して
劣後債(経営破綻した時に通常社債より返済順位が低い)を2兆円まで発行できる手続を 行なったとの報道(4/3日経新聞)もあります。
私たちも銀行の動向、財界・厚労省の動向を注視しながら、受給権を守るために力を合
わせて行きたいものです。
年金減額に不服申し立ての意味は? 伊吹洵(1.17)
会のホームページには、国の年金減額に対し不服申し立ての審査請求の運動が載って
います。減額には困る、という人が多いものの、審査請求したって「どうせ厚労省は法律 に従って正しく処理していると回答する結末が見え透いている、無駄ではないか」といっ た声も少なくありません。
しかし「法律による」と言っても、特例措置廃止の法案を国会に出したのは政府・厚労省
であり、「法律通りに処理する」では形式論の肩透かしです。厚労省としては、出された 審査請求には誠実に対応し再考するべき責任があります。
また、重要なのは、法律で決めても、厚労省は実施について裁量権限があることです。
現に四月からの減額1%は物価上昇を勘案して圧縮する検討が始まったとのことです(日 経新聞12.28.)。
この検討は、年金減額が日本経済の成長にとってブレーキになることを分かってのこと
でしょう。消費税アップ、社会保障後退なども加わると個人消費が大きく落ち込み、モノ が売れず、設備投資や雇用にも悪影響が及びます。
こういう点を考えると年金減額を止めよ!という不服申し立ては大義のある取り組みと
思います。
気になる銀行の動き 山田春雄 (`14.1.8.)
月刊誌「選択」12月号に「首位陥落で衝撃走る三菱UFJ」というタイトルの記事が載りました。
フィナンシャルグループとしては首位ですが、単体としては三菱東京UFJ銀行(BTMU)が三井住
友銀行(SMBC)に実質業務純益の段階でで抜かれたことを記事は取り上げ、貸出金残高が多 いBTMUが抜かれた要因としては、@国内の預貸金利回り差がBTMU=1.10%への微減に対 し、SMBC=1.40%を維持、
A経費率(=物件費や人件費の総額が業務粗利益に占める比率)がBTMUは56.7%へと数年間
で効率化しているものの、SMBC(08年上期で48.5%達成) に及ばない、など指摘しています。
こういう事態を上層部はかなり重視してSMBCを追い抜くために色々と動きを強めているとの
話も伝わっています。
利益さえ挙げれば良いのか?
いつの時代も銀行は「利益第一、トップに!」など目指していますが、銀行事業は株主ばかりで
なく取引先、従業員、社会などステークホルダーといわれる関係者によって成り立っています。
頭取は常日頃、社会貢献など言い、新年挨拶でも「選ばれる銀行、信頼される銀行」となるよう
呼びかけましたが、実際には利益優先の姿勢であって、中期経営計画必達の号令をかけてい ます。
人件費抑え込み姿勢は相変わらずで、現役には新たな人事制度の導入で人件費総額の削減
を図っています。
また世論と運動の高まりで派遣労働者2万5千人の直接雇用化を進めていますが、この人件
費負担を先行きも含めて軽減するためか5年限度の有期契約制を検討中とのことです。これ は労働契約法の脱法となる内容ですし、安倍政権が画策中の限定正社員制度の先取りです。 これで「選ばれ信頼される銀行」になれるのでしょうか。
気になる企業年金
こういう利益優先の経営姿勢が企業年金に影響しないか?気にしないわけにゆきません。
と言いますのも、全日空、NTT、りそな銀行など大企業・銀行が現役に対して「確定拠出年金」
の導入を推進する流れが強まっており、銀行業界への波及が懸念されます。確定拠出は確定 給付とは異なり、従業員が自己責任で運用する「金融商品」に他ならず元本保証もありませ ん。
現役にこんな制度導入となれば「退職者にも応分の負担を…」という方向に動き出す可能性が
あります。
三年前、現役にキャッシュバランスプラン(CB)を導入した時、銀行は従業員組合に対して「受
給者(=退職者)に相応の負担をお願いすることを検討してきた」と述べました。
こんな発想で、現役に対して確定拠出とかCBの更なる弾力化の制度を導入し、併せて受給者
にもCBの類似制度導入なんてことにされては困ります。
私たち受給者としては、現役の皆さんとも連帯する立場で企業年金に関する情報や知識を交
流し深めていくようにしたいものです。
銀行の4-9月決算をどう見ますか?
これから先の安心・安定感は?
(`13.11.20.山田春雄)
三菱東京UFJ銀行の4〜9月期決算が発表されました。業務純利益は4,895億円、税調整後純
利益2,699億円、三菱UFJフィナンシャルグループ(以下FGと略記)としての純利益は5,302億円 でトップ、との報道です。(銀行単独の決算とFGとは区別が必要) 今期FGは減益と見込んでい ましたが、通期の連結純利益が前期比7%増の9,100億円になるとの予想を発表しました。
「こんなに稼いでいるのなら企業年金は心配いらない」と言った声が聞かれます。しかし、銀行
の収益の実態や今後の稼ぎ方を考えると安定した業績を挙げ続けられるのでしょうか。
稼ぎの柱は?
この半年間の業績好調の要因は、株高・円安の環境が反映し、前年同期に株価低迷での評
価損や貸倒引当金を計上していたものが大幅に減ったこと、アベノミクス効果で個人向けの投 資信託販売が伸びたこと、貸し出し関連の手数料収入も増えたこと、とのことです。
しかし、他方では国債や株式の売買を行なう「市場部門」としては2,101億円減っています。
特に、これまで国債の売買で稼いでいた巨額の利益が急減という面が出ています。この半年
の「国債等債券関係損益」の項目は銀行単体(FGではない)で490億円計上していますが、前年 同期の1,163億円に比べて58%の減少です。
このような要因もあって、銀行単体4-9期の業務純利益は前年同期比24.6%の減少となってい
ます。
銀行は国債の下落に備えて売却を進めており、この半年間に銀行としては6.6兆円減らし35.1
兆円に減らし(FGとして7.4兆円減らし41.7兆円)に圧縮しています。
本業はどうなのか?
株・債券など売買のビジネスよりも銀行本来の事業とされてきた融資部門は冴えない実態で
す。
今年9月末の貸出金合計は76.3兆円で、3月期末比2.2兆円増えていますが、国内の増加分が
1.0兆円で、海外1.2兆億円の増加という状況です。また中小企業向け貸出しは33.5兆円で3月 期末比僅かながら603億円の増加です。低下し続けていたのが増えたのは良いとしても、率に して0.17%の伸びです。需要の多いはずの住宅ローンは2,158億円の減少です。
低金利政策の下で優良貸出先へ、他行と競って融資することもあり、貸出金利回りは1.14%で
前年同期比0.12%幅の低下です。預貸金利回は前年同期0.76%からこの半期は0.69%へと漸減 傾向のままです。
国内融資は金額面で増加傾向にあると言うものの、本業の不振は否めず経済誌や新聞でも
共通の指摘点です。三菱東京UFJ銀行は政府が10月に公表の「戦略市場創造プラン」の3分 野に着目し、成長産業育成の政府戦略を金融面で支援する方針との「ニッキン」報道です。
「アベノミクス」で上昇傾向と言われる景況であっても、真に資金を必要としている業界や企業
などに対する方針はどうなのでしょうか。当銀行は海外進出や株・債券・投信分野にも力点を 置いていますが、保証協会付保の貸付は伸ばしても成果評点が低いとか、現役はこぼしてい ます。
国内で大銀行としての社会的責任をもっと果たし評価され信頼される方向に舵を切ることが求
められていると思います。
収益さえあげれば良い…では困ります。現役には18年間ベースアップをやらず、企業年金で
はキャッシュバランスプランを入れました。収益のために人件費コストの圧縮に走り過ぎるこん な姿勢を転換しないと、年金受給者としても先行き安心できないのではないでしょうか。
みんなの力をあせて改悪阻止を! 2013.9.15.
「三菱東京UFJ銀行の企業年金を考える会」事務局 .
制度改悪でも導入阻止は可能
金額が確定している給付を不確定不安定にするキャッシュバランスプラン(CB)を更にユルユル
にする方向へ企業年金の制度改悪が進行中です。
確定給付企業年金法の目的に背馳するのにも関わらず法律改定もせずに、受給者が知らな
いうちに国会もすっ飛ばして改悪し、企業・基金が何時でも新制度を活用可能にするのはトン でもないことです。
しかし、厚労省・財界がいわば「外堀」を埋めても、各企業がこの新制度を取入れる「内堀埋
め」に取り掛かるかどうかは別問題です。
仮に企業が「内堀埋め」をやる場合は受給者の2/3以上の合意が必要で、裏返すと1/3以上の
不同意者が意思表示すれば阻止できます。
銀行は儲かっているから大丈夫か?
今は高収益ですが、国債の売買益が多いこと、安定的利益源でないことが特徴的です。銀行
単体で今年第1四半期(4-6月)の国債売買益は516億円で、前年同期の1,958億円に比べ74% もの減です。
アベノミクスの矛盾から国債暴落のリスクがあります。銀行は売却に努めて三ヶ月間で7兆円
減らしましたが約37兆円保有しています。仮に国債が5%下落すると2兆円近い評価損計上とな り、数年分の利益が消えます。
国内の融資低迷のなか、海外進出に努めていますが、高リスクが伴います。タイのアユタヤ銀
行を5,600億円で買収決定した一件では、高すぎるなど論評も経済雑誌に出ています。「リスク をとらないと利益はとれない」という発想で、安定した経営は望めるのでしょうか。
また、第1四半期のフィナンシャルグループとしての連結最終利益は、三菱UFJが三井住友に
331億円もの差をつけられて二位となり、焦っている面があるとの批判もあります。
FGとして銀行としての利益競争は海外勢も含めて熾烈であり、コストカットの対象としては退職
者の年金だけ例外扱いできるのでしょうか。
基金も運用益が巨額のハズ?
前期はどこの基金も株高などで運用益は増えており、私たちの基金も好成績と推測されます。
(銀行の基金だよりは近々発行される予定)。
しかし銀行の基金は前から少しずつ「オールタナティブ」と称する高リスク運用の比率を引き上
げてきました。
金融・経済のグローバル化の下で、且つアベノミクス推進の矛盾増大の下で、様々なリスクが
高まるなか如何なものでしょうか。
稼げればそれで良いのでしょうか。老後の生活安定に見合うように投機的稼ぎから安定的融
資や公債投資などへの転換など求められます。
今は良くても…
昨年九月に厚労省は、黒字企業でも一定条件により給付減額を可能とする省令を出しました
が、この直球は受給者の反対も出易いため、今度はCBという変化球を投げる格好に見えま す。
このところ、銀行は高収益、基金の運用も好調、景気も上向き、と楽観され易いのですが、私
たち「考える会」は、財界・厚労省は先を読んで手を打っていると考えています。
今度の政省令案については、行政手続法という法律に基づいてパブリックコメントが実施され
ます。
昨年は、黒字企業でも条件次第で企業年金の減額が可能とする省令案を厚労省が公表し、
パブリックコメントが実施されましたが、賛否の数が公表された訳でもなく、厚労省案の通りに 施行しました。
セレモニーでないかとの批判もありますが、そうさせないためにもっと沢山の方々が意見を寄
せる必要があると思います。
私たち「考える会」としては、受給者として政府・行政の動向や財界や銀行の戦略、危機意識
などをよく掴み、それらの情報と知識を受給者みなさんが共有し、制度改悪を許さず、「確定給 付」の企業年金を守るためのネットワークを作り上げることがいま、必要になってきていると強 く考えております。
どうかお知り合いの方々に当「考える会」のご紹介とご参加のお声かけを是非ひろげていただ
きたいと思います。また、ホームページのご紹介も合わせてお願い申し上げます。お力添えを 宜しくお願いします。
AIJ事件にひっかけて財界・厚労省が制度改悪!
これから私たちに必要なのは?
「三菱東京UFJ銀行の企業年金を考える会」事務局 (`13.8.17.)
昨年来の厚労省の方針転換は驚くばかりです。うまく運用できない状況下でも無理やり
制度存続の前提で動いていた厚労省が、民主党政権の下で廃止・解散へ転換、自民党 政権になったら一部存続へと方針変更しました。
この背後には信託銀行・生保が動いたとの指摘がもっぱらです。国会の議事録を見ると受
給者や受給権のことを正面から追及したのは共産党ぐらいなものです。
申し訳のように参議院厚労委員会で付帯決議がされましたが、直後に厚労省が出したQ&
A集を読むと、受給者や受給権を軽んじ、折角の決議内容を歪曲する記述があり驚くばか りです。
こんな状況下、私たちには何が必要でしょうか?
第一に、企業利益最優先の財界、これに押される厚労省、国民の立場に立たないで賛成
する政党に対し、批判し政治転換を求めていく世論や、財界主導の金融経済政策を国民 本位に転換するよう求めていく世論の広がりが必要ではないでしょうか。
消費税増税とセットで社会保障の全面的後退計画が練られている時、草の根からの関心
増大、批判増大が重要です。企業年金では九月に予定の政省令案のパブコメには皆で反 対の意見を提出する必要があります。
第二に、企業年金の改悪の動きに対し受給者が受給権を守る運動を発展させることです。
「銀行は高収益だから心配ない」との声は多いのですが、銀行は国債が暴落する大きなリ
スクなどを抱え込んでいます。4-6月期決算は好調で国債も減らしているとの報道ですが 「現役に18年間ベースアップなし」の一事が示す通り、利益最優先の姿勢に変わりありませ ん。
受給者にCBを導入する可能性はあります。
仮に銀行が提案しても1/3以上の不同意者があれば阻止できます。
これが可能となるよう「三菱東京UFJ銀行の企業年金を考える会」では情報提供と会員拡
大に努めています。どうぞホームページをご覧の上、会にご加入下さい。このホームページ のトップページ庭園写真の左側の掲載項目の中の「ご入会案内」をクリックしてお手続き下 さい。
そしてお知り合いの方々に当会とホームページをご紹介下さい。
![]()
山田春雄(`13.7.1.)
(お台場夜景)
![]() ![]()
受給者I生
銀行の年金積立不足が第一位!(11月5日一部追加)
![]()
次の投稿がありましたので掲載します。
題名をクリックすると内容文の頁に移ります。
掲載日が過ぎていても重要な内容のものは残しておりますのでご覧下さい。
意見公募(パブコメ)は何のため? 山田春雄 ( 2012. 10.4)
そもそもの基本を大事に Q生 (2012.10.3.)
経団連の厚かましさに批判の目を! A.K生(2012.10.3.)
業績低下と言っても… `12.7.31. 山田太郎
企業の利益のみ優先では困ります`12.7.29.徒然亭閑居生
おかしな「改正」のやり方 `12.7.28. 伊吹和夫
`12.7.27.日経新聞一哀読者
![]()
(12.6.20.日経新聞一哀読者)
6
(徒然亭閑居生 12.4.25.)
(2012.4.28. 与謝糠憮然)
|