
| 聴力低下が見られたらすぐ専門病院へ |
| おたふく風邪の症状がでない不顕性感染(ふけんせいかんせん)がありますので注意しましょう。治療は早ければ早い方が良いです。 (1)電話での聞こえの悪さ、電話を持ちかえるようになった。 (2)耳がもやもやすると訴えるようになった。 (3)おたふくの流行っている時期に嘔吐した。 (4)いつもは元気で遊ぶ子供がふらふらして座り込むようになった。 こんな症状が見られたら”指こすり”をして聴こえを確かめ、すぐ耳鼻科専門病院へいきましょう。耳のような感覚器の障害は神経細胞や有毛細胞といった弱く再生能力に乏しい細胞の損傷であることが多く、治療が早いほど予後が良いと言われています。ムンプス難聴も進行が早く、回復率も低いですが、発見時の聴力低下が深刻ではなく早く治療に入る方が回復度が高いようです(資料室を参照して下さい)。腫れがひいたら治るだろう(治る例もありますが)、仕事が忙しくなくなってから・・といった対応はお勧めしません。また、小児科医や耳鼻科医にムンプス難聴に関する十分な知識がないために見逃してしまったり、安易な点滴や投薬をする医師も希にいます。病院選びは慎重に行い、納得出来ない場合はセカンドオピニオンをもらって下さい。 →診察を受ける上で役立ちそうな情報 |
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ムンプス難聴以外に片耳の難聴につながる病気に関しては、こどもの片方難聴を参考にして下さい。おたふく風邪以外の感染症でも難聴が起こる例もありますし、中耳炎を繰り返した末に難聴になる例もあるそうです。もちろん先天性のものもあります。また、子供でも希に突発性難聴や心因性の難聴もあります。 こどもの場合は出生時の聴力検査や3歳児の聴力検査(普通は指こすり)で異常がないことや、おたふく風邪や中耳炎の既往症の記録、ムンプスウイルスに対する抗体検査、上記に上げたような所見から判断することが多いです。 |
| 聴力検査 一般的な検査 |
聞こえの検査としては、⇒<聞こえの検査>に、詳しい解説があります。 耳鼻科で一般的に行われている聴力検査は「純音聴力検査」で、最も基本的、最も重要な検査です。周囲の雑音が入らないように防音室に入ります。ヘッドホンである音の高さの音を少しずつ大きくして聞いてもらい聞こえた音の大きさを聴力とします。 音の強さの単位はdB(デシベル)単位で表し数字が小さいほど正常な聴力です。0〜20dBが正常な聴力です。40dBの大きさは普通の会議室や図書館の雑音の音です。人の声の高さ(0.5KHz〜2KHz)を中心として設定されていて、125Hzから倍音に250Hz、500Hz、1KHz、2KHz、4KHz、8KHzの7つの音の高さで検査しそれぞれの音の強さで聴力を決めます。ムンプス難聴はそのごく初期の段階で音の高い領域が低下し、ひどい場合には残念ながら全領域聴こえなくなります。 また、片耳の感音難聴なのでマスキングと呼ばれる検査をします。健聴側に同位相の雑音を入れて難聴側の耳から突き抜けてくる音を健聴側で拾うのを避けるようにします。マスキングしていないと意味がありませんので注意して下さい。 また難聴には伝音難聴と感音難聴がありますが、耳の後ろの硬い骨(乳様突起と言います)に機械をあてて振動させ、ここから音を伝えるようにすると鼓膜や耳小骨を通さずに直接内耳に伝わるので(骨導聴力といいます。ヘッドホンで調べたものは気導聴力といいます。測定結果には、Bone/Airと書かれます。)内耳そのものの聴力を調べることができます。 骨導聴力、気導聴力に余り差がない場合には、感音難聴で内耳それより脳側の病気となります。 |
| 聴力検査 特殊な聴力検査 |
| ムンプス難聴は蝸牛(かぎゅう)にある有毛細胞が障害を受けていると推定されています。特殊な検査方法をすることにより、ある程度障害部位を特定することができます。 (1)聴性脳幹反応(ABR:Auditory Brain Stream Response) ヘッドホンから音を聞かせると音が脳に伝わって脳の聴覚に関係する場所が反応し脳波として記録できます。頭に貼り付けた電極からこの脳波を測定します。詳細は<難聴の検査ABR>を参照下さい。 (2)耳音響放射(OAE:Oto Acoustic Emission) 比較的新しい検査方法です。不思議なことにある音を聞かせると内耳はその音に応じた小さな音を出すことが知られています。この音を誘発耳音響放射と呼び、有毛細胞のうち外有毛細胞自身が出している音と考えられます。外有毛細胞が障害で死んでしまうとこの反応は記録できなくなりますので、この検査は外有毛細胞に異常がないかを検査する方法です。 |
| 画像診断 の有効性 |
| (1)CTレントゲン(コンピュータ断層撮影) 単純な耳のレントゲン検査よりも、最近では良く使用されるようになりました。こちらのムンプス難聴のお部屋でもムンプス難聴になったお子さんにCTをされています。側頭骨ターゲットCTと呼ばれる方法で耳を中心に骨の細かい変化を写します。耳の構造は骨によって作られているので骨の仕組みを見ることで多くの病気の変化が判ります。撮影時間も短く子供でも受けやすく中耳炎などの伝音難聴の診断には極めて有効です。また、感音難聴でも内耳奇形が判ります。 (2)MRI(核磁気共鳴画像) X線を使わない検査で骨以外の部分を映し出すのに適しています。内耳・内耳道はリンパ液などの液体で満たされており、蝸牛神経などの様々な神経が通っているので、様々な撮影条件を選ぶことでより細かな内耳の観察ができます。 |
| ムンプス難聴 の治療 |
| ただちに静かな場所で安静を保ちます。とにかく早めに専門医に相談してください。血管拡張薬、ステロイドホルモン、ビタミン剤などが有効なこともありますが、感音難聴ですので薬が届きにくく治療には長期間かかります。内耳と血液の間には血液内関門というバリアがあって、内耳に有害なものが入ってくることを防ぐ働きもしますが、薬もこのバリアを突破することは容易ではないようです。残念ながら高度難聴のまま固定してしまうこともあります。 実際にこちらのムンプス難聴には次のような薬が使われていました。 また、並行して高気圧酸素療法を実施し体の免疫を高めて治療に取り組まれたお子さんも居ます。 (1)ステロイド系の投与 副腎皮質ホルモンのひとつで内服で投与されることが多いようです。内耳の炎症を抑え血液循環を軽くして内耳組織の障害を改善させる効果がると考えられています。突発性難聴の治療法としては最も広く使われていて、ムンプス難聴でも使われます。炎症を抑える為には非常に有効ですが副作用があることが知られていますが、(うつ状態になるとか、血糖値や血圧に影響するなど)、感音難聴の場合2週間ほどの投与でで終えるので副作用に関しては余り心配する必要はないと書物には書かれています。 (2)高気圧酸素療法 投薬の補助で使用されるものです。高い気圧の下で酸素を吸入させることで、血液中の酸素を増やし免疫を高めるのが高気圧酸素療法で、様々な疾患の治療に用いられます。体への負担も大きいですが、果敢に1時間ずつ2週間に及ぶ治療を受けられたお子さんもいらっしゃいました。 (3)鍼灸治療 治療ではないと言われますが、鍼灸治療に取り組まれた方もこちらのHPには居ます。一掌堂治療院の突発性難聴ハリ治療ネットワークBBSで、2005年10月ごろにムンプス難聴の大人で中程度まで回復した例があります。残念ながら子供は回復が難しいようです。集中治療方式と言って、始めのうちは、1日2回、毎日の治療を行うようです。幼児期の場合、1日2回は刺激が強すぎるという指摘がありますので、鍼灸師とよくご相談頂けたらと思います。日本鍼灸師会から、ご自宅近くの鍼灸院を捜すことができます。 首のところから耳に行く血管は1本しかなくて、それが疲れで首がパンパンにはると血流が阻害されます。さらに首から耳の方に入って、内耳の蝸牛(かぎゅう)の栄養を供給する血管条(網のように蝸牛を走っている血液と特別な役割をする細胞)の血流障害を起してしまいます。血管条は蝸牛内の音を聴く主役の有毛細胞とかラセン神経節細胞に栄養を供給しているので、耳の後ろとか、首筋の疲れを取ることは健康な耳を保つために大切なことです。 めまいと難聴を伴う難病であるメニエールやリンパ水腫にも血管条は関係が深いですから、特に首凝りによる血行障害を取ることは大切なことです。(メニエールの8割に首凝りがあるそうです。) (4)自宅での小児鍼、マッサージ 自宅での小児鍼、マッサージも、首筋の疲れを取り健康な耳を保つには役立つと思います。 有限会社 前田豊吉商店 ジャンボローラと小児鍼は有限会社タガシン TEL 03-3651-4955から購入することができますし、鍼灸治療院でも購入できるようです。自宅で小児鍼を使う場合、耳介(耳たぶ)の付け根を押します。耳たぶの付け根に沿って小児鍼で上下、前後、その間の8箇所を各箇所9回くらいずつ押してあげます。耳たぶの下後ろ側は血行を良くする所なので、丁寧に少し数を多くやってあげると良いと聞いています。 ジャンボローラは、力を入れると背中がキズだらけになりますので、一枚下着を着せてあげて、背中を30回くらい背筋に沿ってローラをころころ転がしてあげます。首筋の側面と後ろ側も軽くころころ転がしてあげれば良いと思います。首回しも手軽です。 |
| 自宅でのケア方法 高度難聴が固定してしまった場合 |
| 「健聴側を大事にしてね」は耳鼻科医が言われることですが、ポイントをまとめてみました。 1:難聴側の聴力カバーと注意点 耳鼻科医のお話では、幼児期に失聴した場合、難聴側を健耳がカバーするようになり健耳が140%働くようになります。また聴こえないと本人が自覚して音のするほうに顔を向けるようになるので、日常生活には殆ど支障がないでしょう。--- というのは、こちらの投稿より、本当かと思います。 ただ咄嗟の場合には、聴こえない方向があるので注意が必要です。以前にyosieさんより難聴側にちょっとした机の上げ下げの事故BBS<Tue, 13 Dec 2005 23:14:47>の話がありましたので参考にして頂きたいと思います。 咄嗟の場合、音の方向の誤認識があります。左耳を失聴した場合の例ですが、右後ろを左前と判断します。後面左は殆ど聴き取れません。耳介の構造上やむをえないですが、後方左は本人も聴き難い自覚があるので自分なりに注意しますが、咄嗟の場合、右後ろの音は左前と思って左前に子供が駆けて行きますので、親御さんも少し注意して頂けたらと思います。 2:耳の病気 健聴側の聴力を低下させる、場合によっては難聴が固定してしまう病気の代表例である中耳炎、内リンパ水腫には注意しましょう。ムンプス難聴の場合、既に片耳が聴こえなくなっていますので、そちらが原因耳になって後年きわめて稀ですが発生する一群(遅発性内リンパ水腫)があるみたいです。メニエールと似た原因ではないかと推測されているので、<睡眠不足、疲労、ストレス、首凝り、運動不足・・・特に幼児期は体が柔らかいので問題ないと思いますが、受験期以降同じ姿勢が続くことの首凝りには注意してください。>を心に留めておいて頂けたらと思います。首凝りがあったらマッサージなどで軽減して頂けたらと思います。 3:耳鳴り、めまいについて ムンプス難聴後に耳鳴りやめまいを伴うことがあります。暫くしたらなくなると言いますが、ひどい耳鳴りやめまいが続く方もいらっしゃるようです。原因は良く判らないようです。耳鼻科医の話を総合すると、有毛細胞(外有毛細胞ダメージによる耳鳴り)の位置と前庭(一般に三半規管と呼ばれる器官でバランスを取るセンサー)が近いですから、前庭もダメージを受けることは否定できないということです。症状がメニエールと良く似ているので、メニエルさんたちのおしゃべりパーティーが参考になるのではないでしょうか? |