私は、昭和36年に地元の先生から、「東北から初めて日本一が出たぞ!青森の鈴木三成
だ!」と言われました。現全日本弓道連盟会長の鈴木先生が、36歳で天皇杯を戴いた年で
す。それを聞いて、すかさず、「俺も取って見せる!」と何も考えず、啖呵を切っておりました。
21歳の弓を始めたばかりの小僧でした。勢いで言った言葉でしたが、言ったらやる!負けん気
が顔を出しました。それから、私の大きな射の探求が、始まりました

 弓を習い始める時に、「カケは、上達を一番左右させるものだ!高くとも、とにかく良い物を
求めろ!」と、強く教えられました。それで、当時、大変離れが、鋭いと話題になっておりまし
た、県の副会長のカケを拝み倒して譲り受け、手解きを受けました。
 
 結果的に、三度天皇杯を戴けたのは、正直、あの使い込んだ、柔らかい離れの良いカケを
譲って戴けたお陰です。初めに、あのカケとの出会いが無かったら、今の私は、無かったかも
しれません。
 
 大きな離れの射法を深求していくなかで、カケは、最重要ポイントと思い、カケを独学で作り
始めました。


売るためだけにに作られたカケではなく、弓馬鹿が大離れの弓を夢見て作り出したカケ
です。


特長1

 指先を使って離そうとしなくても、弦を前腕で強く払えば、勝手に離れて行くように作られてい
ます。

 体力に合った弓力の弓を、使用していれば、弦は、矢の方向に、戻ろうとはしますが、反対
(妻手)方向には、動きません。帽子は、動かない弦に、ロックされていますから、妻手方向に
は、動きません。動かない帽子に対して、前腕で、弦を払います。力は、帽子を支えている指よ
り、前腕のほうが強いです。帽子は、支えていた指から、離されてしまいます。

 帽子から、支障なく弦が、離れていくには、帽子が、弦に負けて、パタンと軽く起きる必要が
あります。無争ガケは、写真@のように、会の状態から写真Aのように、帽子が起こされて、
離れていきます。控えが硬いと、写真Cのように、弦が、帽子に引っ掛かるために作為的に、
指先で離す動作を、しなければなりません。その事が、離れに色をつけたり、悪くする原因なの
です。

 しかし、しっかり伸び合いを維持しながら、指先を開いて,離れに色をつけずに出来る器用な
方もおられます。不器用な方は、長年修練されても出来ないという事です。

 離す動作をしなくとも、写真Aのように離れていけば、、色も付かず、一線に離れていきま
す。指先を、意識的に開いて離すのか、開かされて離れていくかの違いです。

 無争ガケは、弦を離してやるようには作られていません。弦を払うと、勝手に離れて行くよう
に作られています。

  
  
 帽子の根元から、折り曲がるより、より軽くパタンと戻りやすくするために、帽子根元は硬く、
折れ曲がる箇所を2〜3cm手首側にずらしてあります。写真EF 

        


特長2

 弦枕は、使い込んで参りますと、どうしても深くなったり、
浅く崩れたり等して参ります。離れに関係する大変重要な
箇所です。それなのに、無頓着に、崩れまま使用されてい
る方が、多く驚いております。                 
                                  
 これを防ぐため、特殊加工を施してあります。半永久的
に、変わりません。御自分の好みに合わせて、深さなど調
整も可能です。弦スベリも良く、離れも鋭くなります。   
       

特長3

 写真の様に、指先の力を抜いても帽子が引っ掛かりや
すい様に、帽子を支える指の部分は、厚く硬めに二重構
造にし、凹の形状にしております。              
                                   
 帽子を支える指の皮が、柔らかかったり、太過ぎますと、
引分けで、皮がよじれたり、ズリ出します。支える事が、出
来ず、帽子を押さえ込む事になり、軽い離れに、支障がで
ます。つまり、弦にカケを任せる事が、出来なくなります  
                                   
 安心して弦にカケを任せるには、硬い凹の部分に、帽子
を引っ掛ける事が得策です。体を支える場合も、柔らくグラグラ動く物より、硬く動かない物に
つかまった方が、安定するのと同じです。

特長4

 フックは下の写真の様に、小紐を小紐通し側はゆるく、フックよりくるぶし側は、普通に結び
ます。

 引分けに従い、帽子は、スムーズに親指から、抜け出します。くるぶし側には、小紐が引っ掛
かっておりますので、必要以上に抜け出しません。

 帽子と親指の間に遊びが、生まれます。この適当な遊びは、車のハンドルに遊びがあるよう
なもので、遊びがある事により、凹凸道でもスムーズなハンドル捌きが出来るのと同じです。軽
く鋭い離れが、容易に生まれる訳なのです。遊びがありませんと、早い帽子のハネ戻りの動き
に、中の親指が邪魔して、鈍い離れになりがちです。抜け加減は、紐の結び加減で、調整でき
ます。

 フック取り付けは希望により選択です。
  


特長5
 
 立体成型を施して在ります。カケは、ダーツを取って、手の形 
に合わせる訳には行きません。その為、どうしても手首の部分 
の皮が余り、浮いてしわになります。それを、少しでも解決する
為、裁断した皮を、写真のように成型して、製作しております。 
それにより、カケが手にフィットするようになりました。

  


  一日も早い決断と実行を!!

 無争ガケは、弓手も妻手も強く、そして、思い切り引けば、多少射が違っていても、簡単に離
れて行くように作ってあります。小細工せず、壮快さを味わおうとすれば、答えてくれる構造の
カケです。
 
 強く、と申し上げますと、弱い弓には向かない、と誤解されるかもしれません。しかし、伸び合
う強さと、弓力との兼合いですから、ご自分の力に合った弓を引いていれば、全く問題ありませ
ん。10の力の人が、10の力の弓を引くのと、5の力の人が、5の弓を引くのは、兼合い的に同
じだからです。強い弓でも、弱い弓でも、鋭く離れて行きます。

 また、三指カケでなかなか上手くいかない方は、四指カケに代えてみられる事も、一つの方
法です。

 三指カケは、どうしても、中指に負担がかかります。上手くいかない方の多くは、帽子を押さ
えてしまっているようです。また、その三本の指は、日常よく使う器用な指です。その器用さが、
災いして、指先で弦を離してしまい、離れに色をつけてしまいがちです。

 四指カケは、薬指への負担が、三指カケより少なく、そのうえ薬指は、不器用な指です。指先
が使いにくいため、離れに悪さをすることが、少なくなります。それが、良い結果に繋がります。
豪快さも出てくるようです。

 四指カケに代えて、成功された方が、たくさんおられます。

 どんな作業にも、道具があります。その作業に適した道具か否かで、作業効率、出来上がり
が違ってきます。カケも同じです。知らずに、間違っていませんか?高段になってから、良いカケ
を求められるより、弓歴が浅く、悪い癖が固まらないうちに、1日も早く対処する事が、未来を
開く鍵です。ズルズル大切な時間を無駄にしない事です。

 カケを、代えることは、不安と抵抗を感じるものです。しかし、先送りは、問題解決にはなら
ず、難しくするだけです。求められるのは、決断と実行です。

         
上達・昇段の早道