成形不良とその対策

このページでは、射出成形入門書程度の成形不良の原因と対策と、弊社で起こったハプニングに対する処置などを盛り込んで作り上げてみました。

従いまして、必ずしも求めていらっしゃった対策が見つけられないかもしれませんので、予めお断りしておきます。

主に成形条件に於いての対策を取り上げておりますので、設計段階(金型の改造を要するもの)、設備(機械の能力などに係るもの)上の対策についてはあまり触れておりません。飽くまで不良が出て困った、何を修正したら良いの?といった時のヒントとお考え下さい。

 尚、対策にはある局面から限定的に見たものもありますのでご注意下さい。ご不明点や間違いにお気づきの場合はご一報頂けましたら幸いです。飽くまで作者の知識レベルであることをお断り申し上げます。

不良特性

原因

対策(原因の逆)

ショートショット(充填不良)

充填された樹脂量が不足しているか、充填圧力、充填速度が低く、製品が完全な形状を形成する前に固化している。ノズルタッチからの樹脂漏れ。シートリングの割れ、ノズル詰まり。ランナー、ゲートの異物確認。エアベントの詰まり、潰れ。

 計量値を増やす。射出圧力、射出速度を上げる。樹脂温、型温を上げる。スプルーブッシュの傷の確認、ノズルセンターのズレ、ノズルが短い←ロングノズル使用。シートリング交換。シリンダー〜ゲート間での異物除去。エアベントの掃除、修正。

バリ(過充填)

計量が大きい。金型(P/L)の傷。型締め力<樹脂圧力×投影面積※難しい場合は射出圧力過大の解釈で可。射出速度が速い。樹脂の粘度が低く製品からはみ出す。

 ショート、ひけ対策の逆。計量値を下げる。射出圧力、射出速度を下げる。型締め力を上げる。樹脂温度、型温を下げる。

ひけ(シンクマーク)

充填樹脂の不足(風船が十分に膨らまないイメージ)。射出圧力の不足。射出速度が速い。樹脂温度、金型温度が高い。冷却不足。

 ショートショットの対策と粗同じ。計量値を増やす。射出圧力を上げる。保圧を上げる。樹脂温度を下げる。型温を下げる。冷却時間を延ばす。

ボイド(空洞)

ひけと粗同様。材料の乾燥不足。

 金型温度を上げる。射出時間を延ばす。材料の乾燥時間を伸ばす。シリンダー温度を下げる。

きれつ(クラッキング)

突出しスピードが速い。射出圧力、保圧が高い(結果離型抵抗が大きい)。金型温度、樹脂温度が低い。

樹脂温度、金型温度を上げて、金型内圧を低く保ちながら充填する。突き出しはゆっくりやさしく。

ひび(クラッキング)

きれつとほぼ同じ。製品が過充填になると、残留応力で経時的にひびを生じることもある。

 きれつ対策と同。

きず

射出圧力、保圧が高い。樹脂温雅低い。金型に返り(傷)がある。冷却時間が不十分。製品落下時の摩擦(金型と製品、製品同士)。梱包時の摩擦。運搬時の摩擦。保管時の積圧、荷扱の箱の変形による摩擦。

 

 金型に抜きテーパーが少ない場合、突出し時に製品表面に傷が生じます。同じようにキャビティー内圧が高くても傷が発生するので、射出圧力、保圧を下げる。樹脂温、型温を上げるなど。成形条件とは外れますが、製品が暖かいうちに外部と接触するとその摩擦で傷が生じます。完全に冷えてからは比較的傷が付きにくい為、冷却時間を長く取るのも有効な手段。

ウェルドマーク(ウェルドライン)

樹脂温度、金型温度が低い。射出速度が低い。その結果、樹脂の合わさり目に線ができる。ガス抜けが悪い場合は、先端だけが溶着して、ウェルド上に穴(ショートショット)を生じる場合がある。

 樹脂温、金型温度を上げる。射出速度を上げる。ガスベントを掃除する。ガスベントを増やす。

フローマーク

樹脂温度が低い、金型温度が低い。射出速度が遅い。

樹脂温、金型温度を上げる。射出速度を上げる。

 銀条(シルバーストリーク)

射出速度が速い。射出圧力、保圧が低い。材料温度が高い。乾燥不足。異材の混入。

射出速度を落とす。射出圧力、保圧を上げる。材料温度を下げる。乾燥時間を延ばす。材料内に異物確認。水漏れなど(冷却配管、製品駒)の発生はないか。

そり

射出圧力が高い。樹脂温度が高い。金型温度が高い。冷却時間が短い。突き出し速度が速い。

射出圧力を下げる。樹脂温、型温を下げる。冷却時間を延ばす。突出し速度を下げる。固定側、可動側の金型温度差を付ける。アニーリングを行う。

やけおよび黒条

樹脂温が高い。樹脂の滞留時間が長い。射出速度が速い。ガスベントが詰まっている。製品面に油などが付着している。

 樹脂温が高すぎたり、シリンダー容量に対して、製品重量(計量値)が少ないと、滞留によって樹脂が分解する為、持し温度を下げる。射出速度を下げる。ガスベントの掃除または、追加。製品部の清掃。

ジェッティング

樹脂温度、金型温度が低い。射出速度が速い。

 冷えた樹脂が製品部に飛び込まないようにする。樹脂温を上げる、型温を上げる。ゲート口の注入速度を遅くして、その後スピードを上げる。

はく離

樹脂温度、金型温度が低い。射出スピードが低い。保圧が低い。異材の混入。

 樹脂温度、金型温度を上げる。射出スピードを上げる。異材の混入には徹底的な清掃あるのみ。

ゲート残り

ゲートが固化していない為、切れる位置が安定しない。一般に保圧時間が長い、保圧が高い。冷却時間が短い。型開き速度が遅い。

射出時間の短縮(1時圧時間で充填を粗完了して、保圧時間を短くする)。冷却を延ばす。型開き速度を速く(ゲートカット時間を短く)する。※製品(型内密度)が満タンでないうちに射出を止めても、ゲート残りが発生することもあるので、この場合は射出時間を十分に掛けると直る。

色むらおよび分散不良

スクリュウ回転が速い。背圧が低い。

サイクル上(原価上)可能な限り背圧を上げる。スクリュウ回転は遅い方が効果あり。

Wショット

成形品の離型不良、製品の落下不良。ショートショットの金型内残留。ネジ製品でコア抜き(ネジ抜き)時間が短い。

エジェクターピンで突出しをしていて、ストロークも十分な場合は、連続突出しを掛ける。安全の為、製品取出機を使用すると、製品確認をしないと次サイクルに入らない。ショートショットの場合は(ショートの項参照)、成形条件(温度、圧力…大きくはこの2点)とゲート部その他に異物の確認を行う。ネジ抜き時間の延長。

ネジ山めくれ(マクレ)

ネジ製品でコア抜き(コア回転)機構が付いている場合に、ネジが十分に抜ける前に突き出しが掛かると、ネジが引き出される。

ネジ抜き時間を延長する。ネジ抜き開始時間(または位置)を早くする。型開き速度の延長、型開きストローク延長。

 練込みおよび異物混入

樹脂温度の設定が高い。ショット重量が射出容量に対して小さすぎる。粉砕材の粉の混入。外部から、材料ホッパー、粉砕機、混合機に異物が混入する。

 樹脂温度を下げる。小さい成形機(樹脂容量)があれば乗せ換える。3S、5Sの徹底で異物を徹底的に取り除く。

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