「武本睦子ポルトガルのえんとつ」

武本比登志●小品展示室




サント・アンドレの家
Santo Andre  2号・23x16cm
武本比登志 2007年作

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トロイア半島を1時間ほど南に走ると道は小さな村に入る。
その曲がり角には可愛らしい教会があり、
町角の広場のベンチには老人たちが腰掛けてお喋りを楽しんでいる。
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大煙突の家並
Montemor-o-Novo  2号・23x16cm
武本比登志 2007年作

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アレンテージョ地方の家には巨大な煙突が付いている。家に煙突が付いているのか、
いや、煙突に家がへばり付いているように見える。煙突の下は台所の暖炉で、
そこで薪を燃やし、その火の上に3本足の鉄鍋をかけてことことと煮炊きをする。
巨大煙突は大黒柱で、暖炉で、かまどで、そしてアレンテージョのシンボルだ。
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ドーム屋根のチャペル
Evora Monte  2号・23x16cm
武本比登志 2006年作

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エヴォラに行く途中、遠くに小高い丘があり、丘の上には古城が見えた。
城を目指して上り始めると、どこからともなくビーニョの香りが漂ってきた。
角を曲った所に農協の倉庫があり、5リットル入りの大瓶が山積みされている。
良い香りはそこから流れ出していたのだ。
さらに上ると小さなチャペルがぽつんとあった。
話し声がぼそぼそと聞こえてきたので裏に回ると、
そこには爺さんたちが3人腰かけている。
「ボアタール」と挨拶をすると、3人とも少しびっくりした様子だった。
毎日なんとなく集まり、日がな一日そこに座って下界を眺めているらしかった。
下界にはぶどう畑やオリーブ林が広がり、素晴らしい景色だ。
そこから少し上った所に城があった。

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大きな煙突のある家
mourão  0号・18x14cm
武本比登志 2004年作

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アレンテージョではギョッとするほど巨大な煙突のある家が目に付く。
しかも村々によってその形にも特長がある。
モウラオンの煙突はまあるくて特別でかい。
巨大な煙突の正体は、台所の暖炉。
そこに足付きのぶ厚い鉄鍋を置き、豆などの煮込み料理を作ったりする。
冬は家中の暖房も兼ねている。
暖炉脇にはチョリソ(サラミソーセージ)などがぶら下げてあり、
薪を燃やす時の煙で、いつのまにか燻製ができているというわけ。
二月ごろは各地でチョリソ祭が催される。
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夏のアレンテージョ
Alentejo  0号・18x14cm
武本比登志 2004年作

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ポルトガルの夏はあたり一面が枯れ野原になってしまう。
4月から6月の初めまでは百花繚乱、野原は草花で埋め尽くされ、
思わず息を飲み、陶然となる。
それが7月になると灼熱の太陽に焼き尽くされて、すっかり枯れ野原。
でもコルク樫や松の大木は大きな影を作る。
そんな木の下で椅子に腰掛けて珈琲片手に本を読むのもいいだろうなあ…。
サッチモの歌声が聞こえてきそうだ。
夏よ、早く来てほしい!
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ポルト・コーボの礼拝堂
Porto Covo
0号・18x14cm
武本比登志 2004年作

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我家から50キロ程真南に下った海に面した小さな町の礼拝堂。
夏には海水浴客で賑うがオフシーズンには人影はめっきり少なくなる。
冬の陽だまりの礼拝堂。
壁のベンチに座った一人の老人と大きな犬が話をしていた。

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ポルトガルの風車
Moinho
0号・18x14cm
武本比登志 2003年作

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ポルトガルには風車が多い。
風当たりの強い丘の上など、あちらこちらに風車の姿を見かける。
少し前までは風車小屋を管理しているというだけで一つの職業になったけれど、
今ではほとんどの風車が廃墟になっているか、
またはリメイクされて住居や観光用の飾りになっている。
でも現役で働いている風車も少しはあるようだ。
近在の農家から小麦などが持ち込まれ粉に挽かれる。
風車で挽かれた粉で作ったパンは粘りがあって旨い。
マリナは趣味でパンを焼いている。
粉は絶対に風車で挽いたものにかぎると言う。
わざわざパルメラの風車まで粉を買いに出かけて行く。

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アレンテージョの農家
Alentejo
0号・18x14cm
武本比登志 2003年作

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アレンテージョ地方はコルク樫の森と、丘の斜面に整然と並ぶオリーブ畑、
そして広大な牧場が広がる地域である。
ポルトガル人の心のふるさと的な景色がそこには見られる。
牧場には牛や馬、黒豚などがのんびりと草を食んでいる。
ときには羊の群れを引き連れた羊飼いに出会う。
ついこの間は、黒豚の群れを追いたてながら移動している
羊飼いならぬ黒豚飼いを見かけた。
春には色とりどりの草花が咲き乱れ、
まるでペルシャ絨毯を敷きつめたように美しい。
でも夏になると毎日40度ほどの猛暑にさらされ一滴の雨も降らず、
あたりはたちまち枯れ野原になってしまう。
九月の始めに雨が降り始めると、いっせいに緑が息を吹き返し、
枯れ野原はぐんぐんと緑の草地になっていく。
そんなアレンテージョ地方を私は好きである。 MUZ




©2005,Mutsuko Takemoto
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