遙か短文朔部屋です。一番上が最新です。
とりあえず、望美&朔の話。
あとヒノエ→朔ともとれるけどどっちかというとオールキャラなコメディとかもここに。
シリアスほのぼのコメディごっちゃまぜ、ネタバレ考慮一切しておりませんのでご注意!




炎の向こう側




炎に包まれたあの日。
視界が真っ赤に染まって、息をすると燃える空気が肺を焼いた。
じりじりと炎の熱が肌を焼く感触。
どうすることもできずに。何もできずに。
その日、私の世界は壊れた。



「・・・望美、望美?」

呼ばれる声に意識が浮かび上がる。

誰・・・?
よく、知っている声だ。
これは、この声は。

「望美、もう朝よ」
「・・・朔?」
「おはよう。・・・目が覚めた?」
「うん・・・」

朔の笑顔。やさしい朔。大好きな朔。
あの日、炎に包まれて・・・

「・・・望美、どうしたの?」

朔が心配そうに覗き込んでくるのがわかって、こみあげる涙を止めようと強く目を瞑る。
それでも嗚咽が止められず、望美は腕を上げて顔を覆った。
朔はそんな望美の頭にそっと手を伸ばす。
触れるその手があまりにも優しくて、余計に望美の涙を誘う。

朔、大好きな朔。
あの日、望美の世界は炎に包まれて壊れた。
手に入れた逆鱗を使って、時空を超えたけど・・・あの日の朔はどうなったんだろう?
私が逃げたあの世界は、どうなったんだろう?
私が時空を超えた事でなかった事になったんだろうか? 
私はあの日の朔を・・・見捨ててしまったんだろうか?

「朔・・・ごめんね。ごめんなさい」

泣きながら望美が朔の腰に腕を回してしがみつく。
望美の涙が朔の膝を濡らしていく。朔は何も言わずただ望美の髪を優しく撫でた。
望美が何故泣いているのかなんて、分かるはずもないのに。
それでもその手の暖かさに、望美はまた涙を流す。

「謝らなくていいのよ・・・貴女が毎日頑張っている事はよく分かっているもの。たまには甘えてくれて いいのよ」

望美の涙も愚痴もすべてを受け止めてくれる、朔はいつでも望美に甘いと思う。
だから・・・今だけは、望美も朔に甘えよう。
何も聞かずにいてくれる朔。
あの日、あの炎の中に捨ててきてしまった優しい人。

こんな運命を受け入れられない、みんなを助けたい、守りたい・・・。
そう思ったあの日。

それはたくさんの大切なものを捨てる選択でもあった。
一つの運命を選んだ時、望美は確かに何かを・・・誰かを切り捨てているのだ。
その事に気付いても、それでも戻れない。
戻りたくはない・・・炎に包まれたあの日には。
あの日望美の世界は確かに終わり・・・そして始まった。

「朔・・・」

大切な人を捨ててまで手に入れた、今。
この暖かい腕に抱かれている穏やかなとき。

絶対、今度こそ守ってみせる。
きっと運命を変えてみせるから・・・。

「ごめんね、朔・・・ありがとう」




一周目直後の望美ちゃん話。あれは無かった事になるのかなあ。
望美ちゃんにしてみればきっと怖いだろうな運命変えられるとか分からないわけだし。とか色々思ってたやつです。
朔大好きなんで朔ばっか心配してる望美ちゃんになった(笑)



大団円ED後有川家にて




「ね、朔は私の家にくるよね?」

異世界から現代にやってきた八葉たちを、夜があけきって通勤ラッシュがはじまる 前に・・・(格好が変なのはコス●レですとなんとかごまかせても銃刀法違反なの はやばい)と必死で家までダッシュしてなんとか無事に(途中ですれ違いざま犬の 散歩中のご老人に腰を抜かされたり新聞配達の勤労青年が自転車でこけたりしてい たがとりあえず無事に)連れて帰って、一息つくとすぐに望美はそう言った。
とりあえず今は何故かうまいこと両親ともに留守中だった(龍神様のご加護だろう か)有川家にいるのだが。

確かに現代日本の住宅事情と照らし合わせると、有川家は広かった。
いきなり異世界から八人の客人が来たところでどうにかなる程度には。

「でも、貴女のご両親はいらっしゃるんでしょう?」

現代での事情はまだよく分かりはしないが、いきなり異世界から連れて帰った友人 です、と紹介するわけにはいかないことくらいは朔にだって分かるのだ。

「う・・・大丈夫!なんとかするから!」
「そうだね、望美ちゃんがそう言ってくれるんだったら朔だけでもそうしたほうが いいんじゃないかな〜」

シスコンと影で言われている(誰にでしょう)景時が、いつもの笑顔で望美に賛同 する。

「でも、私は皆と一緒でいいわよ」

京でも鎌倉でもどこでも今までだって皆で同じ屋敷内にいたのだから、と朔にとっ ては二人の提案の意味がよく分からない。

「なんだったらちゃんと鍵のかかる部屋もありますから、朔一人でそこを使っても らっていいですよ」

話を聞いていた譲が加わる。

「まあ、それで部屋数は足りるのかしら?」
「そうですね、一人一部屋とはいきませんが、共同で使えばなんとかなりますよ。 」
「え〜私の家でいいよ」
「実際にどうやっておじさんおばさんに説明するんですか?」
「・・・考え中」 
「だったら俺にまかせて下さい」
「大丈夫かなあ」
「平気ですよ」

望美はくいくいっと譲を手招きして、朔その他に聞こえないよう小声で最大の懸念 点を話す。

「・・・ヒノエくん対策は?」
「やはり牽制の意味をこめて叔父の弁慶さんと同室にしましょう」
「駄目!かえって危ない!」(神子の弁慶さんへの信用度がうかがえます)
「更にリズ先生も一緒だったら安心でしょう?」
「・・・うーんそうだね、先生には悪いけど」
「しっかりお願いしておきます」
「・・・貴方たち、さっきから何を話してるの?」
「いやこっちの話」
「大丈夫、朔のことはしっかり守るからね!」

何をそんなに心配しているのか分からずに、朔はきょとんとするばかりだった。


ちなみにすっかり存在を忘れられている景時さんだが。
壁に額をぴったりくっつけて俯いて、ひたすらブツブツと

「望美ちゃんと一緒のほうが安心なのにこっちがいいなんてやっぱり朔は八葉の誰 かが好きで一緒にいたいと思ってるとか・・・まさか『兄上と離れると不安だもの 』な〜んて可愛いこと考えてくれてたりして!ってそれはないよなあ・・・てこと はやっぱり考えたくないけど(延々と続く)」

と呟いていた。


その夜、全く信用のないヒノエくんは哀れなことに。
右隣を弁慶さん、左隣をリズ先生に挟まれて、仲良く川の字で寝るはめになった。

・・・ごめんね、ヒノエくん(日頃の行いがモノを言うのです)。




ヒノエ×朔というかヒノエ→朔にすらなっていない謎なコメディです。
でも書いてて楽しかった!(笑)



満天の星




対の少女に手をとられて、街を歩く。

彼女と一緒ならどうにか朔もこの慌しい街の中を歩けるようになっていた。
いまだに慣れはしないけれど。

「ねえ、どこに向かっているの?」
「内緒」

どこか嬉しそうな望美の顔をみて、「仕方のない人ね」と朔もそれ以上は聞く事をやめる。
そして二人が向かった先は・・・


「ぷらねたりうむ?」
「うん、こないだ朔が夜空見上げて星が少ないって言ってたでしょう」

言われて思い当たる。
何もかもが違う世界に戸惑って、不安が消えなくて。
少しでも同じものを探して見上げた夜空の星の少なさに寂しさを感じて。
夜空でさえ違う、ここはやはり違う世界なのだと。
そうして見上げていた私の手を握っていてくれたのは彼女だった。

「今はね空気が汚れてるから星が見えにくいだけなんだよ」
「まあ、そうなの?」
「うん、だから本当の夜空の姿が観れるようにって作られたのが」
「ぷらねたりうむ、なのね?」
「うん」



異世界にやってきてはじめてみた満天の星空。
あれは偽者の星、ただの光なのだと言うけれど。

あれは彼女が私に見せてくれた星。私に見せてくれた光。

隣に座って手をつなぐ彼女の手は暖かくて。
二人で見上げた星空は綺麗だった。


きっとどんな星空よりも。




望美&朔。
3の何が良かったって黒龍の神子と最初っから仲良しってのが良かったよねー。朔大好き!