プロジェクト・モーガルは優先度1Aのトップシークレットプロジェクト。モーガル気球は成層圏と対流圏の間の大気層まで上昇して、そこでとどまるよう設計されていた。地球上のどの場所で起こった爆発音でもこの大気層で検知できる。この性質を利用して、上空を伝わる低周波の音波を継続的に監視し、ソ連が核実験を行っているか判断しようということで始められた計画である。ただ、費用がかかりすぎるために地震検知器による方法に切り替えられるという結果となり、あまり成功したプロジェクトとは言えないようだ。
モーガルの気球は 1947/05 ~ 1947/09 の間に、ロズウェル近郊のアラモゴート基地より15回打ち上げられている。アラモゴートでの気球打ち上げは、フライトNo.3以降である。
ブレーゼルが残骸を発見した日付から考えると、調査の対象となるのは、フライトNo.3~No.6までに絞られる。No.5とNo.6はきちんと回収されていること、ポリエチレン製気球を使っていることから、可能性があるのはNo.3かNo.4ということになる。
フライトNo.3とフライトNo.4では、異なったレーダー・ターゲットが用いられていたらしく、残骸の写真からフライトNo.4の残骸ではないかと考えられた。
当時モーガル気球の打ち上げ作業を行っていたチャールズ・ムーア博士は、残されている当時の気象データを利用し、フライトNo.4の飛行経路をシミュレーションしている。そのシミュレーションによると、気球は打ち上げ後にアラモゴート基地から北東に向かって上昇していき、北西から北東へと向きを変えながら徐々に下降していって、最終的にアラモゴート基地から北東に140km程の地点に落下した可能性が高いと見られた。この場所はフォスター牧場の位置に近い。
ポリエチレン製気球は、モーガル計画のためにチャールズ・ムーア教授が開発した気球。それまでは、ネオプレン製気球が使われていた。
それまで使われていたネオプレン製の気球に比べて、非常に性能が優れていたため、モーガル計画以外でも大いに使われるようになる。
初期の大型気球は、ほぼ毎回多数のUFO報告を生んだという話である。その報告の多さによって、レーダー追尾の不完全さを補い、気球の飛行経路を把握できるほどだったそうだ。
マンテル事件の原因とも言われる海軍のスカイフック計画などにも用いられた。スカイフック計画の気球は巨大なUFOとして報告されることが多かったようである。また、高空で爆発した際には、光を反射した破片が多数のUFOとして報告されたり、数多のUFO目撃報告を生んだ罪作りな気球である。
1947年当時、まだUFOといった呼び方はされておらず、Flying Disc、Flying Disk、Flying Saucerという呼び方だった。日本語では全て「空飛ぶ円盤」と訳すのが普通である。
「円盤」という呼び方だからといって、円盤型の飛行物体に限定して使われていたわけではないということは、当時の資料を読む上で注意すべきポイントである。当時、「空飛ぶ円盤」という名前で呼ばれていたのは、「正体不明の飛行物体」であった。つまり、UFOの本来の意味である「未確認飛行物体(Unidentified Flying Object)」という風に考えて良い。
「空飛ぶ円盤」が一般に宇宙人の乗り物といった解釈をされるようになった時期を特定するのは難しいが、おおよそ1950年代以降と考えて問題ない。
参考までに、ロズウェル事件当時の「空飛ぶ円盤」に対する一般人の認識を確認したギャラップ世論調査を示す。このように、宇宙人仮説はリストにも上がらない状態であった。
「あなたは円盤を何だと考えますか?」(1947年8月 ギャラップ世論調査)
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- 無回答・わからない 33%
- 空想・光学的錯覚・蜃気楼など 29%
- アメリカ軍の秘密兵器・原子爆弾の一部など 15%
- 悪ふざけ 10%
- 気象予報用の機器 3%
- 飛行機のサーチライト 2%
- ロシアの秘密兵器 1%
- その他 9%
合計 102%
現在では、「UFO」という呼び方も、本来の「未確認飛行物体」という意味で用いられることはあまりなく、一般的な認識は「宇宙人の乗り物かもしれないもの」という意味になってしまっている。
そのため、現代の感覚で当時の記事を読んだ人は「オーソン・ウェルズの『火星人襲来』パニックのような自体が起こる可能性を考えなかったのだろうか?」とか、「本当に気象観測用気球ならば、なぜ空飛ぶ円盤などと呼んだのか?」といったような疑問を抱く場合があるが、「空飛ぶ円盤」という言葉の含む意味合いが現代とは全く違うということを理解すれば、不思議に思う必要がないことを理解できると思う。
アメリカが扱っていた装置には、円盤と見間違えられてもしょうがないと思われるようなものもあった。CHANCE-VOUGHT XF5U-1(フライング・パンケーキの愛称で知られる)や、ARUP TAILLESS MONOPLANEのように円盤型に近い航空機は比較的有名だが、他の機器はそれほど知られていない。
もしかしたら、軍のUFO回収に関する証言をしている人の中(ロズウェル事件に限らないが)には、このような物体をUFOと考えてしまった人もいたのかもしれない。但し、殆どの機器はロズウェル事件当時のものではなく、後年のものである。
ここでは、『THE ROSWELL REPORT : CASE CLOSED』より画像を引用して紹介する。(※画像はクリックで拡大)
バイキング宇宙探査機のロールアウト時の写真
ボイジャー宇宙探査機用のエアロシェル
バイキング宇宙探査機のテストのために高高度気象観測用気球で打ち上げられた機器
バイキング宇宙探査機のもの
1965年3月にニューメキシコ州ホロマンAFBで上げられた「Vee」気球。『The Truth About the UFO crash at Roswell』の宇宙船と非常に似ている。
ホロマンAFBで高高度気象観測用気球に取り付けられた珍しい機器の例