青空とそよ風と大地と
   温室を建てる   
目次
 (1)基礎部分  
 (2)棟上げ  
 (3)防腐・防虫処理  
 (4)シート張り  
 (5)波板張り  
 (6)  
 (7)温室  
 (8)バナナ  
 (9)パパイア  
(10)胡蝶蘭(ファレノプシス)  
(11)温室の増築  
(12)マンゴー  


 4月に種(*1) を播いたパパイアは、夏が過ぎて青い実をつけている。 6月に入手した三尺バナナ(*2) の稚苗は、次第に大きくなった。 今では20枚以上の葉が茂り、高さも2m近くになってきた。

 もうすぐ小春。
 防寒対策をしてやらないと、枯れてしまう・・・。
 ということで、温室を建てることにした(*3)。 ところで、下は完成した温室に植えたバナナが生長して40枚以上の葉が出てきた後に見られる「止め葉(flag leaf)」である。 バナナの普通の葉は「長楕円状」の大きなものであるが、最後に出てくる葉はこのような「旗状」のものである。 この最後の1枚である「止め葉」が、その後に出てくる「花序」の露払いである。 これを見ることができるのは栽培しているものの特権である。 花序の中に花の集合体である「花房」が詰まっていて、これが成熟してバナナの実となる。
 閑話休題、温室としては、
(a) パイプで組んで、透明な(ビニールなどの)シートを張ったもの
(b) アルミフレームに(アクリル板などの)透明板を取り付けたもの
(c) 角材の骨格にビニールなどのシートを張ったもの
が考えられる。
 (a)は、パイプハウス用のパイプや取り付け金具、フィルムなどがセットで市販されている。 パイプ長さを変えることにより、任意の大きさの温室が作れる。 セットを購入(*4) して、組み立てることができる。
 (b)は、小規模のものは組み立てが可能であるが、基本的には専門業者による施工となってしまう。
 (c)は、木材による組み立てとなる。 大きさは、使用する木材に左右される。
 作ろうとしている温室の条件としては、
(1) 自作できるもの
(2) 10畳程度の広さのもの
(3) 積雪に強いもの
(4) 保温効果の高いもの
などである。
 ということで、(c)を選んだ。
 骨格は、2寸(60mm)角材とする。 販売規格は、長さ3mまたは4mである。 そこで、基本寸法を2m(4m角材を2分割したもの)と3mとする。 高さは、柱部分で、基本寸法の2mとする。 間口は、もう一つの基本寸法である3mとする。 奥行は、2mと3mを繋いで、5mとする。 建坪は15m(4.5坪、9畳)となる。
 保温のための外周は、農業用透明シート(厚さ0.1mm)で覆う。 その外側を、雪や強風に対処するために、透明ポリカ(ポリカーボネート)波板を張る。 使用する透明ポリカ波板は、6尺長さのものを使う。 手間を考えると、8尺などの長さの波板を使う方が便利だが、ここはコストパーフォマンスの良さ(6尺物は安価に入手できること)を優先する。 波板では隙間ができるが、それは透明シートで防げる。 透明シートと波板で、2重に断熱できる。
 

(*1) パパイアの種は、ここから入手した。

(*2) 「(有)フタバ種苗」生産、「(有)東京花壇」卸売のバナナ稚苗を、近在の園芸店から購入した。

(*3) バナナとパパイア以外に、温室の完成後に、「チェリモヤ(cherimoya)」の接ぎ木2年生の苗木を入手した。 チェリモヤが属しているバンレイシ科には、バンレイシ(釈迦頭、sugar apple)や、釈迦頭とチェリモヤを掛け合わせて育成したアテモヤ(atemoya)、ポーポー(pawpaw)などがある。 チェリモヤは「森のアイスクリーム」と呼ばれている。
 このチェリモヤは、残念ながら、裁植した翌年に枯れてしまった。 営利栽培に成功している農園が少ないのも、このような栽培の難しさによることが原因であろうか。

(*4) 近所のホームセンター以外に、農業用資材の通信販売サイトなどから入手できる。


(1)基礎部分

ブロックによる基礎

基礎部分
 基礎のブロックを、柱の位置に置く。 ブロックの下に、大きめの石を突き固めて、水平を維持する。 畑地であるので、丁寧にする。
 基礎部分の間口方向の土台(2寸角、3m)を置く。 その角材に、奥行方向の土台(2寸角、2m+3m)を置く。 向こう側が2mの角材である。
 基礎のブロックと土台とは、かすがいとコンクリートで固定する。

(2)棟上げ

(1)奥の方から建ち上げて

(2)小屋梁を渡し
 土台の上に、2mの柱を立てる。 向こう側から、2m、1.5m、1.5m間隔である。
 その柱に、小屋梁を固定する。 その梁には、屋根の傾斜を決める小屋束を、予め固定しておく。 小屋束に、軒桁、母屋、棟木を渡す。
 屋根の形状を「かまぼこ型」とするため、垂木は用いない。

(3)間に柱を入れ

(4)骨組みが完成

(3)防腐・防虫処理

ソート塗り
 防腐・防虫処理のため、ソートを塗る。 従来から使われていたクレオソートは、有害物質を含んでいるため、ここでは使わない。

(4)シート張り

シート張り
 透明な0.1mmの農業用シートを張る。 重なりを充分にとって、張っていく。
 「かまぼこ型」屋根の側面の三日月形の部分は、農業用シートを2重かそれ以上に重ねて張っておく。 それは、この部分の形が不整形であるので、透明ポリカ波板を張らないことにしているから。 もし断熱の必要が生じた時には、硬質ウレタンフォームを形に切断して取り付けることにする。

(5)波板張り

波板
 透明ポリカ波板を、農業用シートの上から張る。
 屋根は3m幅であるので、2枚の6尺波板を、棟木部分で繋ぐ。 この温室では、屋根を「かまぼこ型」  にしているので、2枚の波板の重なりが密着させられ、波板の重ね繋ぎがスムーズにいく。
 垂木を使わなかった点が、重要である。 もし垂木を取り付けたとすると、棟木のところに角ができて、2枚の波板に隙間が生じてしまう可能性があるから。
 側面の高さは2m以上あるので、6尺の波板では長さが足らない。 裾部分で、60cm長さに切った波板を足している。 この波板の下端は、空気が流入しないように、土の中に埋めてある。

(6)戸

入り口の戸
 入り口の戸を設置した。

(7)温室

外観

温室の内部
 温室が完成したので、兎に角、寒さに弱いバナナとパパイアを植え付けた。 さらに、チェリモヤの苗を植え、カトレアや胡蝶蘭などを持ち込んだ。
 日中、曇天雨天だと室温の上昇はないが、温室への日照効果は予想以上で、晴天の日には40度前後まで上昇してしまう。 家庭用換気扇とサーモスタットを使用して、32度を超えると、自動的に換気するようにしてあるが、昇温の方が勝ってしまう。 蓄熱による保温効果を活用するため、植物の状態が良好である範囲で、多少の高温状態なることは許容することにする。
 最大暖房熱量3.6kWの家庭用石油温風ヒーター(*5) を使って、夜間は、年内のこの時期では、20度を保つことを目標とする。
 年が明けて寒さが厳しくなってきたので、温室の最低温度を18度とする。 塩ビフィルムと透明波板で二重に断熱していることもあって、最も外部気温の低い未明の時間帯でも、この温度を維持していける。
 

(*5) 最近の家庭用の石油温風ヒーターは、室温の変化によって、暖房運転の停止、起動ができる点で、電気による暖房と遜色がない。 暖房器具としてのコストパーフォマンスは、購入費と運転費を含めて、家庭用の石油温風ヒーターが優れている。
 ただ、この種のヒーターは、連続運転が3時間を超えると停止するようになっている。 この点を解決しないといけない。 簡単な解決法は、一定時間ごとに、機械的な機構を使って運転延長操作をすればよい。
 連続運転による排気ガスで、ハウス内の雰囲気が悪化してしまう心配がある。 これについては、空気が汚れてくると、温風ヒーター内部のセンサーで自動的に停止するようになっている。 この安全装置は結構敏感で、僅かなことで運転停止するようだ。 最近の器具は、安全性に関して、予想以上によく配慮されている。
 このような用途の暖房器具としては、安心して使用できるものと思われる。
 なお、空気の汚れによる自動停止に関して、対策せねばならない。 空気の汚れを自動で監視することは難しいので、一定時間ごとに強制的に換気してしまうことにする。 一定時間ごとの強制的な換気は、たとえば「24時間デジタルタイマー」を使って、1時間毎に1分間だけ換気扇を回すようにする。 このとき、機械的な回転式のタイマーでは、1分間や2分間だけオンになるような設定ができないので換気扇が動く時間が長くなってしまうということ、10回を越えるオンとオフが市販品では不可能であることで、これの使用は不適当である。 さて、この排気動作のために、換気扇の数を、増やしたくない。 それは、換気扇は薄い板一枚で外部と隔てられているだけであるので、(換気扇が動作していないときであっても)特に厳冬期では、換気扇の部分で多くの熱が逃げていってしまうから。
 既に、温室内部の温度が高くなったときのために、温室外への排気用に30cm換気扇が取り付けてある。 これは、「サーモスタット」を使って、ある一定の温度以上になると排気動作をするようになっている。 「サーモスタット」での換気扇のスイッチオンと「24時間タイマー」でのスイッチオンを統合して、1つの換気扇で実現する。 最も簡単な方法は、「リレー」を使うことである。
 さて、換気扇部分で寒気の流入を防ぐため、写真のようなもの を設置した。 この箱の中に、30cmの換気扇が入っている。 箱の前面の白いものは、架橋反応によって強度を高くした発泡ポリエチレン板である。 断熱性能に優れている。 発泡ポリスチレンも断熱性能は良好であるが、強度に難点があるので、使用しない。
 この発泡ポリエチレン板の取り付け方は、外部へ空気が流れ出るときには開放するが、外気の温室内への流れ込みを閉止できる構造としている。 冬期の北風や台風の強風にも耐えられ、それらが温室内に入り込むことはない。 換気扇が作動していないときには、空気が出入りしないように密着している。 換気扇が回るとこれが開いて、空気が排出される。
 なお、後日のことであるが、この換気扇とは対称的な位置に、「有圧換気扇」を設置した。 これは、夏の日中に、換気扇による排気では温室内の気温を下げられずに、多数の蘭を枯らしてしまったことによる。 この有圧換気扇も、サーモスタットで制御している。 排気ではなくて、吸気モードで使っている。 冬期には、有圧換気扇の部分で空気(と、それに伴う熱)の出入りがないように、ビニールフィルムなどで厳重に封止してしまう。


室温と湿度

バナナとパパイア

バナナ

パパイア
(葉陰に青い実が)

チェリモヤ

洋蘭

(8)バナナ
 バナナは、真夏だと5日に1枚のペースで出葉していたが、寒くなった今では、ほとんど葉が生長してこない。 それが、温室へ入れたら、葉が生長し始めた。 葉が40〜50枚ほど出ると、開花するという。 あと20枚ほどの出葉で、待望の開花が見られる。
 温室内での2枚目の出葉は10日後、3枚目、4枚目の出葉は、それぞれの9日後であった。 この後、どうなるか・・・。
 3月の末、苗の時期から9ヶ月余が経過して、待望の止め葉が出た。
 止め葉が出て、1週間後。 花序が下がってきた。 温室の高さが2m半程度であるので、花序の先端が天井につかえていた。 それが、花序が下がってきて、天井との間に、徐々に、隙間ができてきている。 花序が下がりはじめてから半日経過すると、以前のアングルでは、上部しか見えないほどに花序が下がってしまっている。 もうすぐ開花。
 花序が下がってきてから1日後、第1段目の花房が見えてきた。 第1段目花房にある果指は、27本あるようだ。
 第2段目の花房では、30本の果指が認められる。 果指を包んでいる苞葉が厚くて硬いので、なかなか開いた状態ならない。 果指は、苞葉に被われた状態である。
 第3段目以降は、20本前後の果指がついている。 ほぼ1日に1段の速度で、苞葉が捲れて花房が表れてくる。
 下段の花房は、日が経つにつれて、果指の根元が黒ずんできている。 根元が黒ずんでしまった果指(*6) は、生育が良くない。 そのうち、これらの果指は落ちてしまうだろう。
 どの段の果指まで成熟できるかで、バナナの収穫量が決まってしまう。
 果指のすべてが成熟するのは、おおよそ10段目の花房までのようである。 それ以降であっても、成長する果指があるが、歯抜けのような状態である。
 

(*6) 根元が黒ずんでしまった果指からなる果房であっても、相当に重いものである。 その重さが、花序に負担をかけるようである。 しかし、この果房の位置で果軸を切断することは、絶対にしてはならないことである。 もし切断してしまうと、切断位置から果軸が腐り始める。 時間とともに、この黒い果軸の腐りが、正常に生育している果指の所まで進んでいく。 すると、果指が熟していないにもかかわらず、果指が果軸から外れて落下してしまうことになる。



温室で初めて出た葉
(苗から27枚目)

温室での2枚目の葉
(28枚目)

3枚目の葉
(29枚目)

4枚目の葉
(30枚目)

5枚目の葉
(31枚目)

6枚目の葉
(32枚目)

7枚目の葉
(中央に次の葉が)

バナナの止め葉(flag leaf)(左)、花序(右)

左:花序の直径約10cm、
右:偽茎の直径約22cm

止め葉が出て1週間後の
垂れ下がり始めた花序

半日後の太い花軸(左)と
更に垂れ下がった花序(右)


第1段目の花房(27本の果指)(左側から2番目:1番目の1日後、3番目:同2日後、4番目:同6日後、5番目:同2週間後)

第2段目の花房(30本)(右:4日後)

第3段目の花房(22本)

第4段目の花房(22本)

第5段目の花房(22本)(中:開花後4日目、右:開花後10日目)

第6段目の花房(19本)

第7段目の花房(17本)

第8段目の花房(22本)

第9段目の花房

第10段目の花房(中:10日後、右:右端に生育不良の果指が見られる2週間後)

第11段目の花房(右:2週間後に1本だけ大きく成長している果指)

第12段目の花房(右:10日後)

第13段目の花房(右:4日後)

第14段目の花房

第15段目の花房(右:4日後)

第16段目の花房

第17段目の花房

第18段目の花房

第19段目の花房

第20段目の花房

第21段目の花房

第22段目の花房

第23段目の花房

第24段目の花房

第25段目の花房

第26段目の花房

第27段目の花房(右:左方向に開いている苞葉が27段目)

第28段目の花房

第29段目の花房

第30段目の花房

第31段目の花房

第32段目の花房

第33段目の花房

第34段目の花房

第35段目の花房

第36段目の花房


着果したバナナの房

  樹上では上から順に熟していく房  


1本で210グラムと
充分に大きくなった
樹上で完熟したバナナ



完熟バナナの糖度は15.4%
重さ/kg 実の数/本
第1段目 4.0 27
第2段目 5.7 33
第3段目 3.4 23
第4段目 3.3 22
第5段目 2.9 20
第6段目 2.4 19
第7段目 2.2 17
第8段目 1.9 16
第9段目 1.2 13
第10段目 0.7
第11段目 0.2
27.9 200
  
重さ/kg 実の数/本
第1段目 4.3 26
第2段目 3.0 20
第3段目 2.9 19
第4段目 2.5 17
第5段目 2.4 19
第6段目 2.1 15
第7段目 1.7 15
第8段目 1.3 14
第9段目 1.1 11
第10段目 0.3
21.6 159

(9)パパイア
 パパイアを露地に置いておいたときには、寒くなるにしたがって花が咲かなくなってきた。 それが、温室に入れると再び咲くようになってきた。
 雌花は、花軸の所が丸く太っている。 雄花は、花軸がスマートなラッパ型である。 果実は葉腋部に1個ずつ着果するはずであるが、栽培条件が悪いと、雌花が欠落してしまうようである。
 着果したものは、徐々に大きくなってきている。
 着果して半年も経過して、やっと、果皮がわずかながら色づいてきた。 冬の時期を挟んでいたから、果実の生育が遅いのか・・・。
 左写真の左下側に写っているパパイアの完熟果を収穫。 果重は、400gである。 その糖度を測ると、11%前後である。
 種が3粒しかなかった。 受粉が不完全で、そのために糖度が上がらなかったのか、それとも、冬を挟んだ寒い時期での成熟であったためか。 これから次第に成熟していく果実があり、これらが次々と完熟していく。 これからの収穫果ではどうなるか、楽しみである。
 その2週間後に収穫した550gのパパイアは、種がたくさんあった。 それの糖度を4つの部位で測ると、15.1%、14.4%、13.1%、14.3%である。 おおよそ14%である。 果菜類であるスイカなどよりは甘いが、果実としては22%以上が必要で甘さが足りない。 後日談であるが、温室を増設して、そこにパパイアを植えた。 増設温室の加温は、以前からある温室からの温風を流し込んでいるだけで、単独での暖房設備は用意していない。 したがって、増設した温室の室温は、前からの温室に比べて、冬季では数度ほど低い。 温度不足で、ここでのパパイアは元気がなく、成長が止まってしまったものもある。 温室温度の差から、パパイアが正常に成長していくにはある温度以上が必須であり、それが最低室温として18度程度であるということが分かった。 同じ場所でバナナは次々と葉を出しているので、パパイアはバナナよりも高温性の作物であるということである。 果実を完熟させるためには、成長していくよりも更に高い室温でなければならない。 閑話休題、パパイアの開花・結実を初春に持っていければ、果実が熟す時期が初夏から真夏になり低温による成熟不良を回避できるであろう。 それを満たすためには、パパイアの適切な播種時期を探らなければならない。

パパイアの雌花(左)、雌しべ(右)

果実

半年後の果実

雌雄花(左)、雄しべと雌しべ(右)

雄花(左)、雄しべ(右)

400gの完熟パパイア(種が3粒)
糖度(3ヶ所測定):11.1%、11.5%、10.5%

990g
(上写真右下の果実)

550g
(上写真中央の果実)

1100gのパパイア

パパイアの果実

1070g

1490g

(10)胡蝶蘭(ファレノプシス)
 胡蝶蘭も、温度の管理と光の管理ができる温室なので、寒い時期にもかかわらず次々と咲いてくる。
 花の色と大きさの変化を狙って、交配してみる。 受粉させる側(母)として、白色の大きい花を咲かせるものを選んだ。 ピンク色の花を咲かせるものを、花粉を提供する側(父)とした。
 受粉は、雌しべの表面が(ユリの雌しべと同じように)粘液状になっているので、花粉塊を空洞内部にある雌しべに押しつけるだけでよい。 ただ、棒状に突き出ているユリの雌しべと違って、胡蝶蘭の雌しべは空洞内部にあってその入り口は下を向いている。 受粉のためには、花粉塊を下から上へ差し入れることになる。 注意深くしないと、花粉塊を取り落としてしまう。
 受粉後数日で、花が萎れてきた。
 受粉して2週間後には花軸の根元部分が、1ヶ月後には軸の中程まで太くなり、2ヶ月後にはその太くなった軸が更に伸びている。

胡蝶蘭

左が母、右が父

中央の黄色玉が
人工受粉した花粉塊

受粉後2週目(右下:受粉時)

受粉後1ヶ月

受粉後2ヶ月

受粉後3ヶ月

受粉後4ヶ月

受粉後5ヶ月

左:雄しべと雌しべの部分(キャップで覆われている)
右:キャップ(取り外した状態)

左:キャップの中に隠れていた
雄しべ
(黄色をした花粉塊)
右:花粉塊(取り外した状態)

下方から見上げた雌しべ

(11)温室の増築

増築部分の骨組み

増築部分の屋根
右側に今の温室の屋根が

(屋根の高さに違い)

温室の全体

増築部分の内部

今の温室のバナナ
葉の先が天井につかえて
ジャングル状態に。
手前が増築部分
 温室の天井が低くて、バナナの木が天井につかえてしまう。 そこで、天井の高さが80cmほど高い温室を、今の温室に繋がる形で、増築することにした。 増築部分は今の温室とほぼ同じ面積であるが、幅を3mから4mに広げて、横の長さを3.6mとする。 この横方向の3.6mという長さは、2×4規格の12フィート長さのものを使うことにしたから。
 柱は2寸(60mm)檜角材を2.8mの長さで、奥行き方向の梁は同じ2寸檜角材を規格長の4m長さで、組み立てている。 屋根部分は、2×4規格の12フィートで構成している。
 今の温室面積の15m2(4.5坪)に、増築分14.4m2(4.4坪)が加わって、合計面積29.4m2(8.9坪)となる。
 断熱性を考慮して、周囲には0.1mm厚の農業用ビニールフィルムを、2重かそれ以上に重ねて張ってある。 冬期の暖房費が、温室のもっともコストがかかる部分である。 昨冬では、暖房用の灯油の使用量は、計585リットルであった。 温室を増築したので、暖房費は更に大きくなってしまうので、少しでもそれを抑制する意味で・・・。
 その外側に、強風対策に、塩ビ波板(10尺長さ)を張った。 今の温室はポリカ(ポリカーボネイト)波板を張ってあるが、増築分は「塩ビ」にした。 「ポリカ」は紫外線を透過しない性質(*7) がある。 温室としては、植物のために紫外線が必要であると思われる。 そこで、「塩ビ」では耐候性は良くないことを承知の上で、使用することにした。
 増築部分に、半年前に苗採りしておいた3尺バナナを植えた。 この部分の天井が高いので、葉や花軸は、伸び伸びと育つことができよう。
 

(*7) 「ポリカ」波板の説明書には、紫外線の不透過性により、ナスなどの栽培には向かない旨の断り書きがある。 それ以外の植物であっても、紫外線の不足が、わずかであっても生育に影響を与える可能性があることが考えられる。 「ポリカ」の耐久性も捨てがたいものがあるが、植物のために、使用しないことにする。


(12)マンゴー

マンゴー
手前:玉文、奥:アーウィン

玉文の花軸

玉文の花

受粉直後

幼果

成熟してきた果実

収穫した果実

玉文の糖度
 温室が拡張できたので、マンゴーを植えた。 ひとつは「アーウィン」である。 「アップルマンゴー」と呼ばれているものである。
 もうひとつは、「玉文」である。 玉文は、アーウィンよりも大きな果実である。 また、地植えであるので、鉢栽培よりも多くの果実を、着果させることができる。 接ぎ木3年生苗であるので、来春には開花が期待できる。
 植えて2年目の春である。 アーウインは次々と葉が出てくる。 その葉のいくつかは、病気のためか、葉先から枯れてくる。 正常な葉が少ないので、成長は遅々として進まない。
 玉文は、アーウインに比べると葉が大きい。 そのため、葉数は多くない。 葉は病気には強いらしく、部分的に枯れが入っても葉全体には広がらない。 主枝の先端がそのままに伸びるようにして、花軸が成長してきた。 その花軸に、多くの花枝が出てくる。 それぞれの花枝には、ブドウの実のように多くの蕾がついている。 それらが咲き始めた。 花枝の先端に近い部分にある花の方が、果実にまで成長するようである。 花枝の根元に近い花が受粉して幼果まで成長しても、いつの間にか落果している。 それは、養分移流の偏りによるものであろうか。 左の幼果は、開花して6週間後のものである。 花の残骸は見られるが、成長が良くない幼果は落果してしまっている。 その幼果が2ヶ月半経過すると収穫できる程度に熟してきた。 木が小さいので、果実は鶏卵大である。 糖度は、22.4%である。 甘い。 イチジクの甘さと同じである。 果菜類であるスイカやトマトなどでは糖度12%以上で甘いと感じられるが、メロンや果実であるイチジクなどでは22%を超えないと甘いという評価ができない。 その点では合格点を与えられる。 今後、地植えであるので木がより大きくなって、大きな果実が収穫できるようになるであろう。
 
   
「玉文」と市販のマンゴー
(赤くて丸いものが市販のマンゴー)
 「玉文」を定植して4年余、木は大きくなってきたが、姿は貧弱である。
 マンゴーの新葉は、新しく伸び出た枝軸の先端に、10枚程度が出てくる。 その葉が一旦落葉してしまうと、その部分から「新葉」が出てくることはない。 温室での栽培であるので、病気や虫、冬季の低温などで落葉してしまうことが多い。 落葉するにしたがって、その木の「葉の数」は、その分だけ減っていってしまう。 枝軸の先端部の葉をすべて失った状態が続くと、他の植物でも同様であるが、その枝軸は枯死してしまう。 マンゴーでは、古い枝からの出葉がないので、この枝軸の枯死が顕著になる。
 その「玉文」に、大きな実がついた。 左側写真の手の大きさと比較すると、実の大きさが分かる。 「市販品のマンゴー(左写真の赤くて丸いもの)」と比べても、遜色はない。 収穫して測ってみると、500グラムほどである。

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(since June 15th, 2014)
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