『青い海と愛すべきモノ』

ウェンリー:カルタゴの港街に住む14歳の少年
フォスリン:ウェンリーの家の隣に住む老人。
バルサック:フォスリンを訪ねて来た老人。
ジョセフ:カルタゴの港街に店を構える干物屋の老主人。
ピアーネ:ウェンリーが恋する同い年の女の子。
ブルック=レイス:港を荒らす海賊のキャプテン。
ジャン・フィオロ:ブルック=レイス一味の副キャプテン。
ガーベラ:ブルック=レイス一味の女海賊。

≪6:2:0≫


ピアN:大きな湾の片隅にある小さな岬にあるカルタゴの港街。
    その人口の大半は漁業で生計を立てている様な小さな街。
    特にこれといった特産もないけれど・・・
    風光明媚で豊かな自然に囲まれた平和な街だった。
    そう、この港にあいつらがやってくるまでは・・・

レイス:オイ!荷物をとっとと積み込みやがれ!

ベラ:あ、いたいた・・キャプテン!

レイス:なんだ?

ベラ:何とか言ってやってよ!
   ジャンのヤツがまた女のケツを追い回してるよ。

レイス:ゲハッハッ!しょうがねぇ野郎だなぁ〜
    おい、ジャン!油売ってねぇで仕事しろぃ!!

ジャン:ぁ・・・キャプテン、すいやせん・・・
    オラッ!てめぇら逃げるんじゃねぇよ!!

ピア:おねぇちゃん!!

ジャン:うるせぇ!ガキ、人の心配してる場合かぁ?

ピア:ャ!離してよ!!

ジャン:へっへっ・・・ガキの癖に気が強ぇじゃねぇか。

ピア:ウェンリー!お願い・・・助けに来てぇ!!

ジャン:お〜ぉ〜、いっちょ前に男を作ってやがるのか?
    最近のガキどもと来たら、節操ってモンがねぇなぁ・・・

ベラ:あんたが言えるガラ!?

ジャン:ガーベラ!?副キャプテンの俺様に・・・

ベラ:いいから!さっさと仕事をしちまいな!
   あんたより偉いキャプテンからの命令だよ!

ジャン:チッ!わぁったよ!!
    オラァ〜!!てめぇら、この船倉に入んだよっ!

ピア:押さないでよぉ!!

ベラ:まったく、うるさいガキだねぇ・・・
   少しは状況を考えてモノ言いな!!

ピア:キャァ・・

ジャン:ふぅ〜、手間取らせやがって・・・
    あ〜ぁ、疲れた。

レイス:積荷の作業は終わったかぁ?

ジャン:あらかた終わりやしたぜ!

ベラ:あんたは女のケツ追い回してただけだろ〜?

ジャン:うるせぇ!!

レイス:てめぇもウルセェ!積み込みが済んだなら
    とっとと船を出さねぇか!

ジャン:アイアイサ〜!
    ひと使いが荒れぇなぁ・・・まったく。



リー:ジョセフ爺さ〜ん!

ジョセ:やぁ、ウェンリー。いらっしゃい。

リー:えーと、今日はスズキの干物とアジの干物を・・・
   あとイワシの塩漬けも!

ジョセ:あいよ。今日もフォスリンの所で字の勉強かい?

リー:うん!そういえば・・・
   ジョセフ爺さんはフォスリン爺さんと知り合いなの?

ジョセ:ああ、昔、ワシが船乗りをしとった頃、
    地理学者じゃったフォスリンを乗せて、
    よく海を旅したものじゃ。

リー:ジョセフ爺さんが船乗り?

ジョセ:ほっほ、こう見えても、
    昔は名の売れた冒険家じゃったんじゃぞ?

リー:ぇ〜?ホントかなぁ・・・

ジョセ:ホントじゃとも。
    それで今でも潮の香りが忘れられんで、この港で
    潮の香りのする干物を売って商売にしとるんじゃ。

リー:ふぅ〜ん。

ジョセ:だからウチの干物の香りは世界一潮の香りがするんじゃ
    今日のアジなんぞは最高じゃぞ〜?

リー:あははっ、結局、自分の店の自慢かよー。

ジョセ:ほっほっほ。そうじゃ、自慢せんと売れ残っちまうでの。

リー:はいはい。また買いに来るよ!

ジョセ:フォスリンのヤツにもよろしくなぁ〜!

リー:わかったぁ〜!!



バル:相変わらずだの・・・

フォス:ぉー、これは珍しいの・・・バルサックではないか。

バル:いいかげん片付けというモノを覚えたらどうじゃな?

フォス:別に散らかしておる訳ではないぞぃ。

バル:この汚い部屋の方が落ち着くと言うのじゃろう?

フォス:落ち着くという訳ではないのじゃが・・・
    読みたい本が手の届く所にある方が効率が良いんじゃ。

バル:それにしても、久しぶりだの・・・
   おぬしも老けたか。

フォス:それはお互い様じゃ。
    いや、それにしても久しぶりじゃ・・・
    もう何年になる?

バル:20年かの・・・・最後におぅたのは
   ベロスの遺跡調査の時なのじゃから22年ぶりになるかの・・・

フォス:で、今は何をしておる?
    さすがにまだ傭兵家業などしておるまい?

バル:うむ、剣を取るのは、おぬしと別れて程なくして辞めた。

フォス:ほぅ、それは意外じゃな。
    お前さんなら、もうろくしても『若い者には負けん!』
    などと言って剣を振るっておるかと思ったのじゃが?

バル:おぬし、マルコという男をを覚えておるか?

フォス:マルコロッソ・カルチーノ、
    お前さんに付いてまわっていた若造じゃろ?

バル:死んだよ・・・。

フォス:そうか・・・。

バル:そして、この老いぼれが生き残った。
   別にワシが戦う事を辞めたからといって
   何が変わる訳でもない。だがの・・・
   ワシは剣を取らんようになっておった。

フォス:そうか・・・それも仕方あるまい。
    じゃが、歳は取りたくないものよのぉ・・・
    懐かしい顔ぶれがいつの間にか墓の中じゃ・・・
    ・・・・あ〜、そうじゃ、もうすぐココに
    元気な坊主がメシを作りにやって来おる。
    お前さんも食べて行くがよかろう。
    老いぼれ2人が喋っておっても、
    寂しい話しか出てこんからの。

バル:そうだの。・・・ん?

リー:こんにちは〜!フォスリン爺さん居る?

フォス:ほれ、うわさをすれば、来おったようじゃ。
    ウェンリーかぃ?お入りなさい。

リー:こんにちは、ぁ・・・お客さんでしたか・・・

バル:キミがウェンリー君かい?
   ワシはバルサックじゃ。フォスリンの古い友人だの。

リー:バルサックさんですか?
   はじめまして!ウェンリーです。
   あ、じゃあ食事、3人分作ったほうがいいですか?

フォス:うむ、そうしてくれるか?

リー:はい!
   じゃあ少し待っててくださいね〜♪すぐ出来ますから!

バル:元気な小僧だの・・・

フォス:毎日ココに文字を学びにやって来おるんじゃ。
    それでお礼にと、いつも食事の準備やら
    掃除やらをしていってくれとる。

バル:道理で散らかしておる割には
   埃が積もっておらんと思ったよ。

フォス:えらい言い様じゃのぉ・・・

ジョセ:お〜ぃ!!フォ〜スリン!

バル:ん?あの声は・・・ジョセフのヤツか!?

ジョセ:おるか!?
    なんじゃ、おるなら早よう返事せんか!

フォス:何じゃ!?久しぶりに顔を見せたと思ったら騒々しい・・・

ジョセ:今日はお前にゃ用はないんじゃがの。
    それよりウェンリーが来ておるじゃろう!?

フォス:どうしたと言うのじゃ・・・
    今しがた来て、昼食の支度をしておるよ。

ジョセ:そうか。
    ・・・ウェンリー!どこじゃ!大変なんじゃ!!

リー:ジョセフ爺さん?どうしたんですか?

ジョセ:えぇっと、何じゃ・・・
    お前さんの友達の女の子がおったじゃろうが・・・

リー:女の子?ピアーネの事?

ジョセ:そ、そうじゃ!その子がブルック=レイスのヤツらに
    捕らわれたそうじゃぞ!!

リー:ピアーネが!?

ジョセ:海賊どもはもう出航しちまったようじゃが・・・
    ウェンリーなら、あの子の家を知っとるじゃろ?
    家族の者に早よう伝えてやらんと・・・

リー:ピアーネの両親は僕らが小さい頃に嵐で亡くしてるんだ・・・
   今は遠縁のおばあさんと二人で暮らしているけど・・・

ジョセ:そうじゃったか・・・可哀相に・・・

リー:そんな事よりも、早くピアーネを助けに行かないと!!

ジョセ:待て!子供のお前一人でどうするというのじゃ!

リー:でも!僕が行かないと誰がピアーネを助けるっていうんだ!

バル:ジョセフ、船を出してやれぃ。

ジョセ:バルサック・・・お前さんは赤髪の傭兵バルサックじゃないか!?

バル:おかげさまで、すっかり髪は白くなってしもうたがの。

ジョセ:お前さんが居るなら話は早いわい!
    ブルック=レイスの小僧などお前さんの剣で
    叩き斬ってやってくれ!

バル:無茶を言うな。
   もう剣を握らなくなって20年も経つんじゃぞ?

ジョセ:なんじゃと!?
    そうじゃのぉ・・・
    ワシらも歳を取ってしもうたんじゃった・・・

バル:だがの・・・
   ワシはこの小僧の作った料理をご馳走にならんとイカンでな?
   この小僧に死なれる訳にもイカンのじゃ・・・

フォス:ピアーネを助けてやってくれるのか?

バル:老いさき短い人生じゃからの。
   若いモンの為に命を張っても惜しくは無かろうて・・・

リー:ホント!?バルサックさん!・・・ありがとう!!

フォス:ウェンリーはどうするつもりじゃね?

リー:もちろん助けに行くよ!
   ピアーネの事を人に任せっ放しする訳にいかないもん!

バル:おぃおぃ、待ちなさい。子供の遊び場じゃないんじゃぞ?

リー:だけど・・・僕だってただ待てるのは嫌だ!

バル:フォスリン・・・何とか言ってやる事じゃの・・・
   戦いは命のやり取りじゃというのに・・・まだわかっとらんようじゃ・・・

フォス:ふむ・・・そうじゃなぁ・・・わかった。
    ワシも一緒について行こう。

バル:おぃ・・・おぬしまで・・・

フォス:ウェンリーの事じゃ、付いてくるなと言うても
    一人でも向かってゆくじゃろうし・・・
    それならば無茶をせんように
    一緒に行動を共にしておる方が安心じゃからな。

バル:んー・・・たくっ学者らしからぬ無鉄砲ぶりは相変わらずだの?
   わかった、くれぐれも小僧が無茶させんよう見張っておいてくれよ?

ジョセ:よし!ならば、船はワシが何とか用意しよう。

リー:ジョセフさん!ありがとう!

ジョセ:じゃが、お前さん達も、もう歳なんだじゃから
    無茶はきかんのじゃぞ。わかっとるのか?

バル:なにを言っておる。
   おぬしも行くんじゃぞ?

ジョセ:ま、待て・・・ワシの歳を考えろ!?

バル:ワシらと変わらんじゃろうが・・・

ジョセ:そ、それはそうじゃが・・・

フォス:誰が海賊のアジトに船を出すモンがおると言うのじゃ・・・
    お前さんが船を出すんじゃよ。

ジョセ:ワシが航海士じゃったのは10年以上も前なんじゃぞ?

バル:ワシが最後に剣を握ったのは20年も前じゃ。

ジョセ:わかったわい!この不良老人どもめ!

フォス:ワシら3人が組むなんぞ、それこそ何年ぶりかのぉ?

ジョセ:ワシがまだ40代もそこそこの頃の話じゃ、
    軽く30年は経っておるわい!

バル:さて、昔話もこのぐらいで終わりじゃ!
   ウェンリーが待ちかねきれぬようじゃからな。

フォス:そうじゃな。ウェンリー、支度をしてくるのじゃ
    戦いに巻き込まれぬようにはするがの・・・
    いざという時の為に護身用の武器ぐらいは無いとの・・・

リー:はい!じゃあ、行って来ます!
   すぐ戻りますから!

ジョセ:10年ぶりの操船じゃ・・・腕がなるのぉ。

リー:うん。ジョセフ爺さん!お願いします!

ジョセ:あーわかっとる。
    ほれ、早よう行け。

リー:はい!



ピア:痛っ!もぉ〜真っ暗で何も見えないじゃない!!

ベラ:威勢の良いことね・・・

ピア:おねぇちゃんをどうしたの!?

ベラ:あんたと一緒にいた酒場女かい?
   さぁねぇ・・・ジャンのヤツがどこか連れて行ったみたいだけど
   可哀想にね。

ピア:あなたもその海賊の仲間でしょ!?

ベラ:そうよ?
   でもアタシの専門は宝石と装飾・・・あー、それにドレスとかも良いわねぇ。
   だ・か・ら、捕らえた女がどうなるかなんてアタシには興味ないね!

ピア:おねぇちゃんは優しくてすごくいいひとなのよ!?
   街で困ってた私にもいろいろ良くしてくれて・・・

ベラ:あら、そうなのぉ?
   でも・・アタシには関係ないわねぇ〜
   ま、どうなったのか想像はつくけどね?

ピア:・・・・おねぇちゃん。

ベラ:ほら、いいから大人しくしてな!
   面倒おこすんじゃないよ!?



レイス:ジャン!お宝の勘定はどうした!?

ジャン:わ、ちょっ!?ちょっと待ってくだせぇよ・・・

レイス:また商品に手ぇつけやがったな?

ジャン:生娘でもありやせんし、ちょっとぐらいかまわねぇでしょ?

レイス:たくっおめぇというヤツは・・・
    それよりも勘定はどうした?帳簿はつけたのか!?

ジャン:勘定ならホセの野郎に言いつけといたんですがねぇ?
    まだ報告してきやせんか?

レイス:お宝の管理は副キャプテンのてめぇの仕事だろぃ!

ジャン:へへっ・・・どうもガキん時から数字ってのが苦手で・・・

レイス:いいから服を着ろぃ!野郎の裸なんぞ見ても何の得もありゃしねぇ・・・

ジャン:ヘイヘイ・・・



ジョセ:おーぃ!こっちじゃぁ〜!!

バル:小汚い船じゃの・・・

ジョセ:馬鹿いうねぇ〜ワシの稼ぎで新造艦が買える訳ないじゃろうが・・・
    コイツでも苦労して譲ってもらったんじゃ。

フォス:まぁ良いじゃろう・・・かえって警戒されんですむしの。

リー:ねぇ!それより早く出航しませんか!?

バル:シビレをきらしておるな・・・
   じゃが、出航は明日の日の出前だの。

リー:どうして!?

フォス:海賊どもも夜は警戒しとる。
    船が近づけばすぐに発見されるじゃろう・・・
    じゃが朝には酒が回って眠りについておるじゃろうからな。

バル:それにの、今からでは日もまだ落ちていないのじゃ、
   とてもじゃないがアジトにも近づけん。

ジョセ:日の出前には漁船も出港しておる。
    小さな船が近づいても不振がらんじゃろうて・・・

リー:でも・・・

フォス:ピアーネを無事に連れ帰りたいんじゃろ?
    今はガマンの時じゃ。

リー:わかったよ。

フォス:いい子じゃ。



ピア:ウェンリー・・・助けてよぉ・・・



ジョセ:さぁ!出航じゃぁ〜!!

フォス:ウェンリー、まだ眠いのか?

リー:うんん、大丈夫!・・・・ふぁぁ〜

バル:大きなアクビをしとるではないか・・・
   しっかり目を覚ましておくんじゃぞ?

リー:大丈夫だよぉ〜これからピアーネを助けに行くんだもん!!

ジョセ:その調子じゃ。

フォス:うぉおっと・・・
    なんじゃ!?

ジョセ:ちぃ・・・岩礁にかすったわい。

フォス:しっかり操船せんか・・・

ジョセ:ひさしぶりの操船なんじゃ、少しぐらいは大目に見んか・・・

バル:大目に見るのは良いがの・・・無事にたどり着くのか?

ジョセ:大丈夫じゃ。ひさしぶりで勘がにぶったがの・・・
    岩礁域はもう抜けるわい。


レイス:ガーベラ!酒はどうしたぃ!?

ベラ:キャプテン呑み過ぎですわよ?

レイス:なーんだぁ?俺様に意見しようてのかぁ?

ベラ:キャプテンのお体を思っての事ですわ?
   お気にさわりまして?

レイス:・・・・まぁいい。
    今日はヤメだ・・・おぃ!俺様はもう寝るぞ!!

ベラ:はい。おやすみなさいませ。

レイス:ジャン!見張りは任せたぞ!!

ジャン:ヘィヘィ・・・
    何で見張りまで俺がやんなきゃなんねぇ〜んだ?

ベラ:信用されてるって事じゃないのさ・・・

ジャン:ふん、見張りなんざ、下っ端にやらせときゃいいのよ。

ベラ:また叱られるよ?

ジャン:ヘンっ!知った事か・・・
    おぃ!ピエール!朝まで見張り台に立ってろ!
    居眠りなんざすんじゃねぇぞ!!

ベラ:じゃあアタシは先に寝るからね。

ジャン:あ?とっとと寝ちまえ!

ベラ:あらそ、お・や・す・み



ジョセ:ウェンリー。アジトが見えてきたぞぃ。

リー:待っててね!ピアーネ・・・

バル:では、乗り込むとするかの・・・

フォス:作戦はどうするのじゃ?

バル:ワシが一人で乗り込む・・・
   おぬしたちは船で待っておるのじゃ。

リー:そんなぁ!

バル:正直に言っての・・・足手まといは邪魔じゃ。
   気持ちはわかるがの、フォスリンと一緒に待っておるんじゃ。

リー:だけど・・・・・・
   ・・・・わかった。

バル:もしワシが日の出過ぎても帰って来なかったら、
   構わず船を出してくれ・・・

リー:バルサックさん!?

フォス:了解した。

リー:フォスリン爺さん!?

バル:小僧・・・ここはどこじゃ?

リー:どこって・・・海賊のアジトの前でしょ?

バル:そうじゃ・・・ここには海賊がわんさかおる。
   そしての、ワシはこれから命のやり取りをしてくるのじゃ。
   無事に帰れる保障などない。

リー:・・・・無事に帰って来てください。

バル:そうでありたいものだの。

フォス:無事・・帰って来い。
    お前さんを置き去りにしたくはないからの・・・

バル:娘っ子も助けてやらんとイカンからの。

リー:うん。よろしくお願いします。

バル:うむ、待っておれ。



ジョセ:遅いのぉ・・・
    何やっておるのじゃ・・・

リー:・・・・

フォス:大丈夫じゃ、あやつは赤髪の傭兵と呼ばれた男じゃぞ?

ジョセ:もぉ白髪になってしもうとるではないか・・・

リー:ピアーネ・・・無事で居てよ・・・

ジョセ:ウェンリー・・・

フォス:・・・大丈夫じゃ。
    バルサックのやつが連れ帰ってくれるわい。
    信じて待つんじゃ。



ピア:はぁはぁはぁ・・・

バル:お嬢ちゃん大丈夫かの?

ピア:はぁはぁ・・うん。

バル:もう一息じゃ!
   そこの岩影に船が留まっておる。

ピア:キャア!!

レイス:どこに行こぅってんでぇ!

バル:ぬぅ・・・追いつかれてしもうたか・・・

レイス:そんなガキ一人奪われた所で困りゃあしねぇが
    俺達にもメンツってもんがあるんでなぁ

バル:ぬっ!

ジャン:爺さんがまた無茶したもんだぜ。

ベラ:あんたが見張りをサボったからガキに逃げられたんだろう!?

ジャン:うっせい!

バル:お嬢ちゃん、先に行け!

レイス:ガーベラ逃がすな!

バル:待てっ!

ジャン:おっと、爺さんの相手はこっちだ!

バル:ええぃ、邪魔だ!

レイス:爺さんよ、人の心配してる場合じゃねぇぜ?

バル:若造が・・・



ベラ:待ちなっ!!

ピア:きゃぁ〜

リー:ピアーネ!?

ジョセ:お嬢ちゃん!バルサックのやつは・・・
    あんたを助けに行った爺さんはどうしたのじゃ!?

ピア:そこまで一緒に逃げてきたんだけど・・・
   海賊に追いつかれて・・・

ジョセ:やられちまったのか!?

ピア:わからない・・・私を逃がすために、海賊の前に残ったの・・・

ベラ:今頃あの世に行ってるさ!あんたたちも同じ運命だけどねぇ!

ジョセ:ウェンリー、船は動かせるか?

リー:走らせるだけなら・・・

ジョセ:よし、それで十分じゃ。
    お嬢ちゃん!こっちまで早よう来るんじゃ!

フォス:行くか?

ジョセ:仕方なかろう・・・

フォス:無鉄砲な乾物屋じゃの?

ジョセ:無茶をする学者に誘われたからの・・・

リー:どこ行くの!?

フォス:ウェンリー、おぬしはピアーネを連れて逃げるんじゃ!

リー:お爺さん達は!?

フォス:ピアーネを守ってやるんじゃろ?

ジョセ:お嬢ちゃんを連れ帰るために来たんじゃろ。
    何としても逃げ切るんじゃ!

ピア:ウェンリー!!

リー:ピアーネ!

ジョセ:ほれ、早よう逃げぃ!

リー:ジョセフ爺さん!

ベラ:逃がしはしないって言ってんだろ!?

フォス:そうはさせんよ!

ベラ:ジジイが邪魔なんだよ!!

フォス:ぐほっ・・・

リー:フォスリン爺さぁん!!!

フォス:だ、大丈夫じゃ・・・早よう行かんか・・・

ジョセ:もう綱はほどいた。ウェンリーや、行け。

リー:お爺さ〜ん!!

ピア:ウェンリー・・・

リー:ピアーネ・・・

ピア:逃げましょ・・・?

リー:でも・・・

ジョセ:ワシらなら大丈夫じゃ!
    なぁに船がなくても何とかなるじゃよ!
    じゃが、お前達が逃げてくれんとワシらも動きが取れん!

リー:わかった!絶対帰ってきてね!!

ジョセ:ワシにも手料理をご馳走すると約束するかの?

リー:もちろんだよ!!腕によりをかけて作るから!!

ジョセ:よし、じゃあ早よう行け。

ピア:ウェンリー?

リー:わかった。

ベラ:ガキども・・・
   ん!?・・・離せこのジジイ!!

フォス:離しはせんよ。
    二人が無事に逃げおおせるまではの・・・

ベラ:離せっていってんだろ!?

フォス:ぶほっ!

ジョセ:ワシもおるぞ!

ベラ:ちぃ!!ジジイどもが・・・
   ぅあ!?・・・離せこのぉ〜!!

フォス:離さんと言っておろうが・・・

ジョセ:そうじゃ!死ぬまで離すもんかぃ!!

ベラ:ぐぅぅ・・・!!



レイス:爺さん・・・
    もう観念したらどうだぃ?

バル:はぁはぁはぁ・・・

レイス:あんたの年でよくやったと褒めてやるぜ・・・
    だがなぁ・・・俺達にかなうと思ってるのかい?

バル:若いモンには負けん・・・なんてのが通用するとは思っとらんわい
   じゃがの・・・ひく訳にはイカンようでの。

ジャン:このジジイ!!俺の!俺の腕をぉぉ!!
    ぶち殺してやる!!

レイス:てめぇは爺さん相手に油断してっから
    そういう目にあうんだ!
    おとなしくしてろぃ!!

ジャン:でもよぉ!!

レイス:じゃかっしい!!
    だまってろぃ!!!

バル:おぬしは、このもうろくジジイ相手にも
   手を抜かぬというんじゃな?

レイス:そうだ。
    俺はヘマはしねぇ・・・だから、爺さん・・・
    てめぇはここで終わりだ。

バル:そうか、なら頼みがある。

レイス:頼みだぁ?命乞いでもしようってのか?

バル:そんな事はせんよ。
   ワシに負けぬなら一騎打ちで戦こうてくれんか?

レイス:タイマンでやろうってか?

バル:ワシも老いたとは言え、剣の道に生きた男じゃ・・・
   死に花ぐらいたむけてくれても良かろう?

レイス:てめぇの最後はブルック=レイス様の手で
    葬り去られてぇってか?

バル:そうじゃ・・・

レイス:いいだろう・・・

バル:恩にきる。

レイス:ならば、これがたむけだ!死ねぇぃ!!!

バル:ふんんっ!!!・・・・ぐはっ。

レイス:野郎・・・狙ってやがったな?

バル:ふぉっふぉっ・・・最高のたむけじゃろうて・・・

レイス:ブルック=レイス様の命を冥土のみやげにするたぁ・・・
    いけ好かねぇ爺さんだぜ・・・ぶはっ!!

ジャン:キャプテン!!!!

バル:ぅぐ・・・頭を失えば、とうぶん悪さもできまい・・・
   ぁー・・・お嬢ちゃんは無事逃げたかの・・・
   どうやら、使命は果たし切ったようだの・・・迎えが来おったわぃ・・・

ジャン:野郎どもこのジイイを刻んじまえ!!



フォス:ジョセフ・・・まだ・・・生きとるか?

ジョセ:あー、まだ死んではおらんよ・・・

フォス:立てるか?

ジョセ:無理じゃな・・・

フォス:そうか・・・

ジョセ:腹を刺されとるでな・・・もう感覚が残っとらせん

フォス:ワシもじゃ・・・

ジョセ:ウェンリーは・・・2人はうまく逃げきったかの?

フォス:あぁ、きっとうまく逃げたじゃろう・・・
    ワシの出来のいい生徒じゃったからのぉ・・・

ジョセ:2人ともええ子じゃったのぉ・・・

フォス:そうじゃな・・・

ジョセ:なんじゃ・・・騒がしいの・・・

フォス:海賊どもが来おったようじゃ

ジョセ:どうやら潮時じゃな・・・

フォス:仕方なかろう・・・

ジョセ:約束を破ってしもうた・・・
    手料理を無駄にしてもうたかの・・・

フォス:嘘つきじゃからな・・・お前さんは。





ピア:港の近くを漂流していた私達は街の漁師によって助けられた。
   私とウェンリーは無事に逃げ戻る事ができたのだ。
   それからというもの、この街に海賊が姿を現すことはなかった・・・
   でも、私達の前に3人の老人が姿を現すことも永久になかった・・・

リー:5年後、僕はピアーネと結婚し、今ピアーネのお腹には
   僕達の子供が宿っている。
   今の僕はカルタゴの港街、昔、海賊のアジトがあった場所が見える丘に
   小さな家を建て、地理学者のタマゴとして勉強にいそしんでいる
   夕食には3人分の手料理を用意し続けて・・・

ピア:あなた〜!夕食の時間よぉ?

リー:ああ、今行く・・・
   お爺さんたち、いつまで待たせるんです?
   僕はちゃんとピアーネを守ってますよ?


ピア:大きな湾の片隅にある小さな岬にあるカルタゴの港街。
   その人口の大半は漁業で生計を立てている様な小さな街。
   特にこれといった特産もないけれど・・・
   風光明媚で豊かな自然に囲まれた平和な街です。