『HAPPY END』2 俺 ・・・・20代前半の男性。本編の主人公。 彼女 ・・・・10代後半の女性。主人公の彼女。 友人 ・・・・20代前半の男性。主人公の友人。 友達 ・・・・10代後半の女性。彼女の友人。 刑事 ・・・・40代中盤の男性。ベテラン刑事。 謎の視線に悩む彼女に相談され彼女の部屋に行った俺は 視線の正体が怨念の類だと感知。 元凶となった一ヶ月前の旅行先で何かが判るかも知れないと 俺の友人と彼女の友達を連れ、瀬戸内海に浮かぶ孤島にへとやって来た。 そこで俺達は彼女の友達のご両親の変死事件と遭遇する。 【2日目の朝】 俺M:ウミネコの鳴き声が聞こえる・・・ 寝た気がしないが、屹度少しは眠っていたのだろう。 何時の間にか空が白けている。 今日からは、この島の観光地を虱潰しに調べ回るしかない。 頼りは俺を昨日から苦しめている胃を掻き回す吐き気だけだ。 何とも頼りない事だが、他に方法が考え付かなった・・・ 彼女:ん・・・起きてたんだ? 俺 :ああ、あまり寝就けなかった。 彼女:もしかして、ずっと起きてたの? 俺 :いや、少しは寝たよ・・・三時間位は眠れたんじゃないかな? 彼女:そう・・・じゃあ、朝ご飯の用意するね。 俺 :ああ、悪い。 友達:・・・・ん〜。お早う御座います。 俺 :あ、お早う。よく眠れた? 友達:はい。 彼女:あら、起きたの?丁度良かった。 今から朝食作るから手伝って。 友達:え?あー。うん、分かった。 友人:・・・・あっ俺、大盛りで・・・Zzzz・・・ 俺 :あ?・・・・なんだ、寝言か・・・ 友達:ぷっ・・・あはは。お友達さんは面白い人ですね! 俺 :寝ながらにして笑いを取るか・・・器用な奴だ。 俺M:でもご両親が亡くなったショックが紛れて良かったかも知れない。 それともまだ、実感が湧かないのかも知れないな・・・ 兎に角明るい表情が見れて良かった。 彼女:何?朝食って言っても、材料が・・・ 友達:え?材料が無いの? 彼女:一応あるんだけど・・・ご飯と卵と味噌と魚の干物。 俺 :ぅわぁ〜正に和食的朝ご飯だね。 俺M:急な事で用意も出来ないだろうという事で 空き家の持ち主さんのご好意で朝食の一食分の食材は 冷蔵庫に入れておいてくれているとの話だったのだが。 彼女:う〜ん。 俺 :和食は苦手? 彼女:苦手って事は無いけど・・・あまり好きでは無いかな・・・ 俺 :そっかぁ、ならご飯は仕方無いとして、 卵は目玉焼きかスクランブルエッグとかにした方がいいかな? 友達:干物は如何します? 俺 :イタリア料理には干し魚って結構あるんですよ? まぁ解した干物をツナ缶と和えて、サンドウィッチにしても良いね。 食パンとかは後で買いに行けばいいし。 彼女:干物のサンドウィッチ!? 大丈夫?・・・それ食べれるの? 俺 :失礼な奴だな・・・身を解すのに手間は掛かるけど。 味は大丈夫だ!保障する。 彼女:でも、魚の形でお皿に乗るよりは良いかな・・・ 俺 :結構、好き嫌い多い方だっけ? 彼女:そんなに多くは無いよ? でも臭いの強いモノは苦手かなぁ〜魚とか人参とか・・・ 俺 :人参ってそんなに臭いキツかったっけ? 友達:この子は他にも苦手なモノ一杯あるから・・・ 好きなモノがそんなに多くないんだよね? 彼女:酷いなぁ〜そこまで酷くありません! 友人:ふぁあぁ〜・・・なんだ、皆早いなぁ・・・ 友達:お早う御座います。 俺 :よく寝てたな・・・ 友人:昨日は何かと疲れたからな。 彼女:今朝食作りますんで。 友人:ぉ!やっぱ女の子と一緒は良いねぇ〜 俺 :っ!・・・今の状況を分かっているのか!? 友人:あ、すまん気に障ったか? 俺 :いや、悪い。落ち着きが無いのは俺かも知れんな。 友人:それは仕方ない・・・一日に死体を二人も見たんだ・・・ 正直言って俺も落ち着かんからな・・・ 友達:・・・・お母さん・・・お父さん・・・・ 友人:あ・・・ 友達:ぅっ・・・うぅ・・・ 友人:いや・・こりゃ悪い。 ご両親の事だもんな・・・不用意な発言だった。謝る。 それもこれも怨霊のせいだったっけ・・・? 何としても仇を取らないとな。 俺 :そうだな。 友人:でも、如何したら良いんだ? 人間でも無い犯人なんて捕らえ方も分からないぞ? 俺 :取り敢えず、 俺は自分の霊感を頼りに怨念の強い所を探して見るつもりだ。 友人:そうか・・・でも、今はそれに賭けるしかないか・・・ で、怨念の強い場所が見つかったら何をするんだ? 俺 :いや、それが・・・前にも言ったが、 俺には霊感があるだけで、何かを出来る訳じゃない。 そこで何か手掛かりを探すしかないな・・・ 彼女:もし、その場所に何も無かったら? 俺 :その時は俺の霊感はお手上げ・・・ この島の伝承とかを調べるしかないなぁ・・・ 彼女:そんなぁ〜 友人:まぁ専門家でもないからな・・・ 兎に角、腹ごしらえして出掛けよう。 考えてても始まらないんだしな! 俺M:慣れない釜戸で少し焦げ気味のご飯を炊き、 スクランブルエッグと珈琲で朝食にする。 落ち着いたせいか吐き気は少し治まりをみせていた。 友人:で、何処から回るんだ? 友達:最初に行ったのは・・・海岸沿いの散策道を通って砂浜よね。 彼女:うん。泳げる季節じゃないけど、 折角浜辺があるんなら見てみたかったし。 友人:折角なら泳ぎたかったよなぁ・・・ 友達:風邪を引いてしまいますよ? 俺 :そうだぞ、馬鹿は風邪引かない、なんてのは昔の話で、 今は健康管理も出来てない馬鹿の方が引くんだからな。 友人:無茶ばかりして万年寝不足になってる様な奴に言われたくないね。 刑事:御免下さい。警察の者ですが・・・ 友達:警察?昨日言ってた本土の刑事さんかしら? 友人:かもしれないね。 ・・・・今開けますよ〜待ってくださいね〜。 俺M:刑事の訪問に皆が玄関へと移動する。 聞かれる事等決まっているのだ。 刑事:君達かね?通報をくれた遺体の第一発見者と言うのは・・・ 友人:ええ、そうですよ? だからって第一発見者が一番怪しいなんて言わないで下さいよ? 昨日この島にやって来たんですから・・・ 刑事:いや、分かってるよ。 遺体は見せて貰ったけども・・・ 如何見ても昨日一昨日に亡くなったモノでは無かったからね。 君達を疑ってる訳じゃない。 友達:それで、何か判ったんですか? 刑事:君は亡くなられた被害者の娘さんかね? 友達:・・・・そうです。 刑事:君には聞かせ難いんだが・・・ お母様は漁に使う銛で腹部を刺されたのが致命傷だった様だ。 その他にも数箇所・・・同じ凶器による刺し傷が見付かっている。 お父様については、見ての通り、切腹による自殺と見て間違いない。 残念だが、状況から見て、お父様がお母様を銛によって殺害した後、 自分の犯した罪を悔いて自殺というのが真相の様だな。 友人:つまり、捜査は打ち切りって事ですか? 刑事:いや、一応の捜査は続けられるよ。 だから当分の間は事件のあった民宿には立ち入り禁止だ。 まー、その間はこの空き家を無料提供してくれる事になってるから 君達の滞在中は、この空き家を使ってくれていて構わないよ? 友達:一応って・・・ 刑事:気持ちは分かるがね・・・ 外部犯の可能性も非常に低い。 何せ、この島の人間は皆、家族の様な付き合いをしている。 揉め事があれば島中に伝わるからね。 元々観光業の盛んな島でも無いし、釣りをしに若干の来島者が居るだけだ 寧ろ、君達の様に観光を目当てとする人達の方が珍しいんだよ。 友達:だからって父が・・・ 刑事:・・・お気持ちは察するがね・・・ 今日はご両親の遺体についての話をしに来たんだ。 さっきも言ったが捜査は継続する。 と言っても解剖に回して不自然な所が無いか調べない事には 何も出来ない。 そこで、娘さんである君に解剖の許可を貰いに来たのと 解剖の結果が出るまで遺体をお返し出来ないって事を話に来たんだ。 友達:はぁ・・・ 刑事:解剖の方は如何すれば良いかね? 友達:・・・して下さい。 死亡した日時も詳しく知りたいですし・・・ 刑事:分かった。 じゃあね、気をしっかり持ってね。 では、失礼するとしよう。 俺M:警察は用件だけ済ませたという様に署に戻って行った。 俺達は気を取り直し、準備を済ませると玄関を出た。 砂浜に向う為、海岸沿いの散策道を進む。 飛び交うウミネコはこの不気味な事件等気にも留めていない様だ。 15分程歩いたところで、やや小さな砂浜に出た。 友人:これが砂浜?思ってたより狭いなぁ〜 友達:海水浴の出来る所は幾つかありますけど、 砂浜になってるのは此処だけなんです。 彼女:この前来た時に他の浜辺も案内して貰ったけど・・・ 砂浜と言うより小石浜って感じだったもんね。 俺 :海水浴場の砂浜は殆ど人工のものさ。 天然の砂浜ならこんなものだろう。 彼女:そうなんだ? 俺 :海水浴ってのは立派なレジャー産業だからな。 彼女:確かに有料の所とか多いもんね・・・ 友人:ありゃ、浜の管理費用だろ? ゴミの回収とか整備とかに結構金掛かるそうだぜ? 友達:うん。ここは島の子供とかしか使わないし、 漁師の家が多いから、海を汚す様な事をする人は居ないわ。 海開きの前には島ぐるみでゴミ拾いもするしね。 友人:島の者に海を汚す人居ないんだろ?・・・あ、釣り客とかか? 友達:それもあるけど、漂着物も結構多いのよ? 友人:へぇ〜。漂着物ね・・・ で、霊感少年!如何だ?何か反応あるかね? 俺 :いや、特に何も感じないな・・・ 彼女:そう・・・・でも少年は無いんじゃない? 友人:それもそうか、じゃあ霊感男! 俺 :どこぞの掲示板の話でもあるまいに・・・普通に呼べ! 友人:はいはい。で、次ぎは如何する? 友達:えーと、次ぎは海岸沿いをぐるっと一周したのよね? 彼女:うん。他の浜辺も見たいって言って・・・ 友人:んじゃま、一周しますか! 俺M:島の東側は遊歩道・・・と言ってもハイキングコースの様な山道で 民家等は殆ど無い。 途中、少し休憩を入れながら二時間程で島を一周する事が出来た。 しかし、俺の霊感が何かを感じ取る事は出来なかった。 海辺には何も無い様である。 友人:一寸疲れたな。何時だ? 友達:11時過ぎですね。 友人:もう昼前かぁ・・・昼飯は如何すんだ? 俺 :借り家に戻る序でに食料の買出しに行こう。 和食は誰かさんが苦手だという事だし・・・ 調味料さえ揃えば、洋食ぐらい作れるだろうからな。 友人:そういやお前・・・料理、得意だっけ? 俺 :一人暮らししてるんだぜ? 友人:俺もだが? 俺 :少しは自炊しろよ? 友人:分かった。外食に飽きたらそうする。 友達:料理好きの奥さんを早く貰わないといけませんね。 友人:その前に彼女だな・・・いい子いない? 友達:禁則事項です。 友人:ちぇっ。 俺M:島にはスーパーやデパートといったモノは無く。 お婆さんが一人で経営している雑貨屋が一件あるだけである。 3日に一度、船で品物が運ばれて来るだけだそうで 賞味期限の短いモノは殆ど置かれていない。 バジルやオリーブオイルがあれば良かったのだが・・・ 結局カレー粉と塩胡椒、それにツナ缶と食パンを一斤買うだけに止まった。 彼女:お昼ご飯は朝言ってたサンドウィッチなの? 俺 :それで構わないだろ? 彼女:まぁ構わないけど・・・夕食は如何するの? 俺 :午後の調査が終わったら帰りにまた買いに行けばいい。 魚介類なら豊富にありそうだしな。 友達:お肉もちゃんと売ってますよ? 牛肉は無い時もありますけど・・・ 友人:俺は豚でも鶏でも構わないぜ? 俺 :そういう事なら食材には困りそうにないな。 友達:やっぱり海のモノの方が安いですけどね。 彼女:でしょうね。 俺M:干物のサンドウィッチは俺の予想通りに好評を博した。 調理中は何かと怪訝な顔をされたが、要はアンチョビの代用である。 干物は天日に干される事で旨みが増しているし、 臭みさえ取ってやれば十分サンドウィッチの具にはなる。 俺と友人は其れだけでは腹が満たされず、朝の残りのご飯に 卵を掛け食べたのだが・・・ 友人:ご馳走さん! で、昼からは如何するんだっけ? 友達:島の東側にある神社に・・・ 友人:神社か・・・お化けとかを探すには良さそうだな。 彼女:確かに古い神社で、少し不気味だったわね。 友達:ええ、私も話を聞いてからは、あの神社が本命じゃないかなって・・・ 俺 :そっか、まぁ本命でも本命じゃなくても行ってみるしかないからね。 友人:そういや、神社って言えば神道なんだから塩とか持って行った方が良いかな? ほら、清め塩とか言うだろ? 友達:清め塩と言うと粗塩ですね でも、効果とかあるんですか? 友人:気休めにはなるだろ? 彼女:そうですね、粗塩位すぐに用意出来るし。 俺 :あのさ、夕食までには戻って来るつもりだけど、 何か食べ物も持って行った方が良くないかな? 友人:突然如何したんだ? 俺 :いや、何となくな・・・ 友人:ふーん。ま、お前がそう思うなら持って行った方が良いだろうな。 途中菓子パンか何か買って行こうぜ? 友達:じゃあ、さっきの雑貨屋さんに寄りましょうか。 俺M:俺達は清め塩を持ち、先程寄った雑貨屋で菓子パンを幾つか買い込むと 島の東側にある神社を目指した。 神社への道は途中から仄暗い山道に入り、何時迄も続く階段を登り 漸く終わった階段の上に朽ちた鳥居がその姿を現した。 その鳥居を潜った刹那、俺の胃は是までに無い違和感に襲われた。 友人:如何した?顔色が悪いが・・・何か反応があったのか? 俺 :ああ、鳥居を潜った直後から胃が焼ける様だ・・・ 兎に角、此処に何かがあるのは確からしい。 彼女:私も・・・さっきから誰かに見られてる様な感じが・・・ 友人:俺は何も感じないけどな・・・ 友達:私もよ? 俺 :霊感の差だろうな・・・ 友人:如何する?どっちからか気配がするとかあるのか? 俺 :神社の奥の方だ・・・詳しくは分からんが・・・ 友人:この神社には神主とか居ないのか? 友達:ええ、代々神主をされていた方が居た様ですが、 私が幼い頃には、もう無人になっていました。 友人:そうなのか・・・ 刑事M:朝から何やら嗅ぎ回っていると思ったら・・・ こんな神社で何をしておるんだ? 彼女:兎に角、奥の方から気配がするのよね? 俺 :ああ、境内の方だ。 友人:取り合えず行ってみよう。 俺 :そうだな。 俺M:俺達は神社の境内に向って歩を進めた。 謂れも無い恐怖心が身を包み・・・纏わり付く様な固形化した空気が 俺の身体に圧し掛かってくる。 境内に迄辿り着いたが尋常ならぬ気配は更に奥から伝わって来ている様に感じた。 彼女:ねぇ、境内の裏手の方じゃない? 俺 :ああ、本殿は関係なさそうだな・・・ 俺も裏手の方から気配を感じてる・・・ 友人:とりあえず行ってみようぜ? 今はそれしか出来ないんだからよ。 友達:そうよね・・・でも、何だか怖いな・・・ 友人:大丈夫さ!此処まで来たんだ。 怖がっててもしょうがないよ! 友達:そうよね・・・ 俺M:境内の横を回り更に奥へと進む。 もう何年も手入れされていないのか、雑草が生い茂っていた。 友人:たくっ・・なんだよこの草は!俺M:友人は適当な木の枝を拾うと生い茂った雑草を腰の位置で薙ぎ払い 先へ進む為の道を切り拓く。 友人:大丈夫か?草でも肌が切れる事あるから気をつけてな。 友達:有難う。 彼女:ねぇ・・・あれ・・・ 友達:ぇ? 友人:コンクリの小屋? 俺M:雑草に紛れて其処に在ったモノは コンクリートブロックの壁とトタン波板の屋根で出来た汚れた小屋だった。 唯一の出入り口である鉄板の扉には鎖をかけ南京錠で留めてある。 ・・・・しかし、鎖は錆びが酷く、その目的は果しそうになかった。 友人:これなら開きそうだな。 友達:ここが怪しいの? 彼女:うん。多分そうだと思う・・・だよね? 俺 :間違いない・・・けど、如何なんだろう? 見た感じ只の小屋だろ? 友人:そうだな、コンクリだし、用具入れか倉庫的な感じだもんな・・・ 友達:でもこの中が怪しいんでしょ? 彼女:うん。 友人:じゃあ、入るしかないな。 いいか?開けるぞ? 俺M:友人は近くに落ちていた礫大の石を拾うと、鎖の錆びの酷い部分に叩きつけた。 ガシャリともジャリジャリとも言えぬ音を立てて鎖は崩れ落ちた。 友人:暗いな・・・ 俺M:開かれた扉・・・ 最初に目に入ったのは古く朽ちかけた社である。 社の前には木造の鳥居が建てられている。 しかし、そんな事よりも俺が感じたのは強烈な霊気の方だった。 悪意、憎悪、殺意・・・それらの負の感情を圧縮したような霊気は 過去に感じた事の無い程の強さを持ち、思考回路すら破壊する様な感覚に 只、威圧されるだけだった。 刑事M:こんな所に・・・何の用だ? 様子を見てみるか。 友人:何かヤバそうだな・・・ この小屋の中に入った途端、背中がゾクゾクしてきやがった・・・ 友達:うん、私も・・・ さっきから謂れの無い恐怖感が・・・ 彼女:ねぇ・・・引き返さない? 頭がぼやけてるの・・・さっきから・・・ 此処は危ないって警告されてる様な感じで・・・ 俺M:如何やら霊感の無い人間でも、この圧倒的な霊気には 何か感じる所があるらしい。 しかし俺の霊感は最早、麻痺したかの様に働かなくなっており 社に祭られる銅鏡に興味を惹かれていた。 その銅鏡は長年放置されていたであろうに、曇り一つ無く。 仄暗いこの建物の中にあって淡い反射光を発している。 友人:如何かしたのか?何かあったのか? 俺 :あ・・・いや、銅鏡が気になってな・・・ 友人:銅鏡!?・・・あぁ、あれか・・・ 俺 :ああ・・・ 彼女:それより早くこんな所、出ようよぉ〜 何か絶対ヤバいよぉ・・・ 友人:でも怪しい所は調べないと・・・その為に来たんだろ? 友達:ん〜・・・そうよね・・・ 彼女:でも・・・ 俺 :うん・・・そうだな。まずは出直そう。 この神社について調べれば何か分かるかも知れない。 友人:じゃあ、この銅鏡は如何するんだ? 取り合えず持って帰るか・・・ん?地震!? 俺M:友人が不用意に銅鏡に触れた瞬間、地面は大きく揺れ、立つ事も儘成らない。 俺達はその場につっ伏せ揺れが収まるのを只待つしか出来なかった。 暫くの激しい揺れの後、辺りは暗闇に閉ざされていた。 友人:なんだ?・・・お、収まったのか? 俺 :みたいだな・・・ 彼女:何だったの?今の・・・ 俺M:あれ程の地震があったというのに、今は何事もなく静まり返っており、 辺りは何時の間にか真夜中の様に暗闇に閉ざされていた。 友達:まだお昼過ぎよね? 彼女:神社に向ったのは昼過ぎだった筈よ? 友人:・・・・ビンゴったって事だろ? この状況は如何考えって異常だ・・・ って、事は俺達が望んでいた状態になったって事だ。 友達:でも・・・・ 彼女:ねぇ灯りになる物はない? 友人:ああ、遅くなると思って懐中電灯は持ってきたぜ? 俺 :俺も持ってきた、ペンライトだけどな。 友人:取り敢えずこの暗がりの中よりはマシだ・・・ 友達:ねぇ・・・これから、如何したらいいの? 俺 :そうだな・・・銅鏡がやはり気になるんだ。 何か手掛かりがあるかも知れない。 友人:手元照らそうか? 俺 :ああ、頼む。 俺M:俺は銅鏡を友人から受け取ると懐中電灯の灯りの下に照らし出す。 思ったよりも比較的新しい物に見える。 裏を見ると・・・・一番最初に『封』の文字が目に入った。 その他にも難しい漢字が羅列されていたのだが・・・ 友人:何かわかったか? 俺 :いや・・・漢字が難しくてな・・・ 友人:なんだよ・・・頼りねぇなぁ・・・ 彼女:結局、何も分からないの? 俺 :ああ、だけどこの銅鏡からは邪気は感じない。 それと裏面なんだけど、他は読めないんだが、 ここに『封』の文字があるだろ? 友人:ああ。 俺 :たぶん、怨霊を封印をする為に使っていた祭器なんじゃないかな? 彼女:じゃあ如何して封印が解けちゃったんだろ? 怨霊が悪さをしてるって事は・・・今は封印されてないんだよね? 友人:その辺も昔の資料を調べてみないと何も分からないんじゃないか? 俺 :そうだな・・・そういう事だと思う。 友達:でも、この暗闇は放って置いて良いの? 友人:放って置いて良いかは分からんが・・・今の俺達には如何する事も出来ん。 兎に角、町まで戻って出来る事からしないとな。 刑事:如何なった?・・・あいつ等、小屋に入ったきり出て来んな・・・ もう彼是一時間近くは経つというのに・・・ 中で何かしているのか?覗いてみるか・・・ 刑事M:小屋に忍び寄り中の様子を窺う。 ひと気がない。社?小屋の中に社なんて豪く不自然だな? 年甲斐も無く、仄暗い小屋の雰囲気に臆病風が吹いていた。 刑事:馬鹿な・・・中に誰も居ないだと!? 入り口は俺の入って来た扉一つだ・・・窓も抜け道も見当たらん。 四人がこの小屋に入った事は俺の目でしっかりと見ているし、 その後も出入りが無かった事は確認している。 一体これは・・・ 俺M:暗闇の中、懐中電灯とペンライトの灯りを頼りに町へと下って往く。 人の寝静まる深夜の様な深い闇の中だが、腕時計で確認したところ 現在は午後三時を過ぎたところだ。 兎に角、この先の行動を考えなくてはならない。 俺達は地理に詳しい友達を中心に対策を練る事に決めた。 友達:図書館ですか? 友人:ああ、資料を調べるなら図書館位だろ? 友達:この島に図書館はないですよ・・・あ、資料ならあそこにあるかも! 彼女:あそこ? 友達:この島の歴史資料館。 子供の頃に入った事はあるけど、昔の漁で使っていた道具とかの展示ばかりで 特に資料があった覚えは無いけど・・・ 資料館って言う位なんだから、資料庫とかに保管してあるかもって思って! 友人:確かに資料館なら資料はあるだろうな・・・ その漁師の道具が資料だ。なんて言ってなけりゃ。 俺 :まぁ、そう言うオチが無いとも限らないが・・・ 彼女:今は其れしか思い当たらないなら行ってみて損はないと思う。 俺 :そうだな。 俺M:帰り道の山道は行き以上に長く感じられたが、漸く町へと後少しという所まで 戻って来ていた。光は依然、足元を照らすライトの灯りだけだったが この不可解な状態から抜け出す為には何かをしなくてはならないと言う思いが 俺達をパニック状態に陥る事から救っていた。 もう遣るしかない。非現実さを増したこの現状から抜け出す事が出来るのだろうか? そんな疑問を押し殺しつつ、歴史資料館へと道を急いだ・・・ ・・・・つづく。