三騎士英雄譚〜第二章〜

エドワード・レザースミス(23歳)男 愛称=エド
セルディア王国第六近衛騎士団所属。
革鎧職人の息子として生を受け16歳で戦時召集により兵士となる。
王都で開催されたトーナメント(馬上試合)の前座で行われた
勝ち抜き剣術試合で脅威の60人抜きを果たし近衛騎士の叙勲を受ける。
民衆寄りの考え方から上官との諍い(イサカイ)は絶えないが
剣の腕は王国一とも大陸一とも噂される。

ランスフォード・シュタイン(29歳)男 愛称=ランス
セルディア王国の無名の騎士の家生まれる。第三紺碧騎士団副団長。
父アーデル・シュタインは国王命令無視の罪により
騎士資格剥奪という憂いに遇うが、当時14歳であったランスに
異例の騎士叙勲を与え御家断絶の危機を逃れる。
また、29歳で騎士団副団長の要職への出世も異例。

サーバルド・アンセル(29歳)男 愛称=セル
セルディア王国第三紺碧騎士団中隊長。
ランスの同期であり親友。
槍術、馬術ともに長けているのだが
不真面目な所があり騎士としては優秀とは言えない。

アルフレッド・ローランド(26歳)男 愛称=アル
セルディア王国第三紺碧騎士団小隊長。
ランス、セルの部下。
弓術の名手であり中隊長昇格も間近と言われている。
セルと対照的に真面目。

アンジェリカ・アンセル(24歳)女 愛称=アン
セルの腹違いの妹。
婚約者がいるがランスと相思相愛の関係にある。
剣術を学んでおり、細身の剣の試合での実力は兄にも勝っている。

ダーニトン・ハウマン(36歳)男
ガルニア要塞の城門守備の隊長
獅子殺しの異名を持つ豪傑。

舞台説明



ランスN:ガルニア要塞攻略の為、要塞内の井戸に続く洞窟へと進む、我々・・・

セルN:てか・・・この道マジで要塞まで続いてるのかよ・・・

ランスN:一瞬の油断も許されない・・・少数精鋭の斥候
    要塞の城門を内より開放する役目にある。

セルN:敵のど真ん中に突っ込む訳だから、そりゃヤバイわな・・・

エド:ランスフォード卿・・・本当にこの道を行くんですか?

セル:道ってか・・・池だな・・・

アル:井戸の水源となっている地下水脈の出口ですからね。
   泳ぐしかありませんよ。

ランス:正面から城壁を登る方が危険だ。この経路が要塞内に通じている事を
    ティナ嬢が確かめているのだから、進むしかあるまい。

セル:溺れて戦場に着く前に死亡なんて嫌だぜ?

アル:その為に膠(ニカワ)で固めた革鎧キルボアールに着替えたんですから。
   羊革の浮き袋の中の空気で呼吸すれば・・・少々、水中を行軍しても
   問題ないですよ。

ランス:とにかく、我々は進むしかない。
    ティナ嬢がすでに通った経路だ。泣き言を言っていては笑われるぞ・・・

エド:そうですね・・・

アン:お兄様は幼い頃から泳ぎが得意ではありませんものね♪

セル:バカっ!俺はセルデンのマーマンと呼ばれた男だぞ!?

アン:では私はマーメイドですの?

ランス:では人魚姫・・・参りましょうか?

アン:えぇ、愛しの騎士様♪

セル:たくっ兄貴の前でよくやるよ・・・

アル:では半魚人殿・・・我々も参りましょうか?

セル:うっせぇ!誰が半魚人だ!!

アル:ご自分で『セルデンの半魚人』だと仰られたのではないですか?

セル:マーマンだ!人魚!!
   勝手に逆さまにするな!

エド:サーバルド卿・・・あまり騒がれては・・・

セル:心配すんなって・・・
   ここで騒いだところでデミドーラの奴らにゃ聞こえねぇよ

ランス:とにかく先を急ぐんだ!
    ふざけているなら放って行くぞ!

セル:ヘィヘィ・・・

エドN:洞窟内の地底湖を泳ぎ進む俺達。
    洞窟の天井はどんどんと低くなり
    ついには水中へと潜る形となる・・・

セルM:たくっ・・・呼吸が出来るの有難いが・・・
    なんて息苦しいんだよ・・・

アンM:なんて臭いなの・・・!?
    革の臭いは鎧下(ヨロイシタ)のクィラスで慣れたつもりだったけど・・・

エドN:真っ暗な地底湖の中、円状の淡い光が差し込んでいる場所がある。
    あの上に井戸がある。
    皆、歩き泳ぐ速度をあげ、その光の輪の中へと急いだ。

セル:ぶはぁ〜

アン:ハァハァ・・・ここを登れば要塞内の中庭に出るんですのね?

ランス:その様だ・・・戦いはこれからだぞ。

アル:望むところですよ、副団長・・・いえ、ランスフォード卿。

セル:いっちょ憂さ晴らしに暴れてやるか・・・

エド:では、私が門を・・・

セル:エドワード卿、お前さんは俺と一緒に引き付け役だぜ?
   門の突破はランスに任せときゃいいのさ!
   敵の前に立ち塞がり防げる人間が受け持つのが戦場の決まりさ

ランス:セル、お前には10本に1〜2本しか後れは取らないが?
    俺は敵を防げないと言うのか?

セル:この前の稽古は3本取ったぜ?
   それに、俺は暴れたいだけよ・・・

アル:私は開門の邪魔を蹴散らしましょう。

アン:お手伝いしますわ

ランス:仕方ない・・・門の開放の役目と言う訳か・・・

アン:ランス様お守りしますわね

ランス:立場逆転か・・・

アル:役割が決まったところで・・・
   井戸から出るとしますか。

ランス:濡れた鎧も動ける程度には乾いたしな

エド:サーバルド卿と私が先に・・・

アル:出来るだけ敵からの発見は遅れるよう・・・
   静かにお願いしますよ・・・サーバルド卿。

セル:・・・・・・

アルN:引き付け役の2人が先に井戸を登る。
    続いてランスフォード卿、アンジェリカ嬢・・・・
    最後に私が井戸から要塞の中庭へと出た。

アン:見つからない様にと言っても・・・

ランス:隠れるほうが無理か・・・・

アルN:要塞内に突如現れた私達の姿に目を疑うも
    いつまでも戸惑っているはずもなく・・・
    要塞内全体に警戒の激が飛び、要塞内部から敵兵が飛び出して来る。

ランス:門の開放が先決だ!セルとエドワード卿をしんがりに
    城門側に退くぞ!

エド:これでも喰らえ!

アルN:エドワード卿の投げナイフが攻め寄せる敵兵に突き刺さる。

セル:俺もジャベリンでも持ってくるんだったな・・・
   まとめて串刺しにしてやったものを・・・

ランス:後方は任せたぞ!アルフレッド!アン!一気にいくぞ!

アル:了解しました。

アン:分かりましたわ。

ランス:死にたくなければそこをどけぃ!!

ダーニ:侵入者は少数だ!守りを固めろ!

アン:人数が多くても技量が足りませんわ

ダーニ:なっ!?女相手に何を後れを取っておる!

アン:戦場に女も男もありませんわ!
   強い者が生き残るのよ!

ダーニ:各個にまとめてかかれ!同時に4本の刃は躱(カワ)せまい。

アル:アンジェリカ嬢!後ろ!!・・・ハァッ!!

アン:アルフレッド卿ありがとうございます。

ランス:でぃりゃぁぁ〜〜!!

ダーニ:つ、強い・・・

ランス:アルフレッド城門の鎖を叩き斬れ!

ダーニ:させるか!!

ランス:おっと・・・貴様の相手は私がさせてもらおう

ダーニ:獅子殺しのダーニトン・ハウマン
    止めれるものなら止めてみるがいい!!

ランス:では、お手合わせ願おう!

ダーニ:勝手に来たまえ!・・・開門を防げ!!死守するんだぁ!!

ランス:では、いざ・・・せぃりゃぁ〜〜!!!

ダーニ:ふんっ!!

ダーニM:なんて早くて重い一撃だ・・・
     間合いを逃したか・・・

ランス:やるな・・・

ダーニ:ぅぉりゃ〜〜!!

ランス:ふんっ!てりゃっ!!
    ・・・やるな・・・・・獅子殺しの異名は伊達じゃない様だ・・・
    しかし、剣の戻りが遅い・・・

ダーニ:がふっ・・・

ランス:稽古が足りなかったな・・・

ダーニ:セルディアの騎士にしては・・・
    やる・・・な・・・ぐふっ。

セル:ちょ・・・おめぇら!早く門を開けろ!!

エド:このままじゃ防ぎきれませんよ・・・

アル:うぉ〜〜〜りゃぁ〜〜〜〜!!

アン:アルフレッド卿!がんばって!!

アル:くぅ〜・・・・がぁっ!!やった!

ランス:よくやったぞアルフレッド!
    門は開放した!要塞外に退避するぞ!!

セル:待ってましたっ!!ってか囲まれちまって動けねぇ・・・

アン:お兄様!!

エド:サーバルド卿!援護します!

セル:バカ!来んじゃねぇ!
   お前らまで巻き込んじまう!!

エド:!?・・・しかし・・・

アル:味方本隊がこちらに突撃を始めました!

ランス:・・・・お前を失う訳にはいかん!
    全員!セルの援護にまわれ!!

セル:ランスっ!!お前はアンを連れて退避してくれ!!
   頼む!!

アル:ランスフォード卿・・・ここは私が・・・

ランス:アルフレッド・・・

アル:母国セルディアに栄光あれ!参ります・・・うぉぉ〜〜〜〜!!

エド:アルフレッド卿!

ランス:エドワード卿!そなたは退けぇ!!
    アルフレッドとセルの意思を無駄にするな!

エド:しかし・・・

ランス:私達は騎士だ・・・戦場では自分の役目を果たすことを考えろ・・・

エド:私の役目とは何ですか!?

ランス:お前は民衆の為にこれからも生き、守る義務がある・・・
    民衆の心が分かる騎士は決して多くはないのだ!

エド:民衆を守る・・・アニス・・・

ランス:セル!アルフレッド!本隊の援軍が届くまで持ち堪えてくれ!
    死ぬなよ!・・・・頼む・・・

セル:誰が死ぬかよ・・・早く行っちまえ!!

アル:私達の実力はお知りのはず・・・早く本隊に合流してください!

ランス:すまん・・・アン・・・行くぞ!

アン:お兄様ぁーーーー!!


エドN:ガルニア要塞の門は開かれた。
    敵兵の追撃の中、退避をする俺達・・・
    2人、騎士をその白刃の嵐の中に残して・・・
    開門から間髪おかず突撃を開始するセドリック卿率いる本隊との
    わずかな距離が果てしなく遠い・・・




                    三章へつづく・・・
                           次回に続く。