三騎士英雄譚〜第五章〜

シャルル・フォン・フランソワーズ(29歳)男 愛称=シャル
セルディア王国フランソワーズ子爵家の当主。
剣より学問に通じ、第一黄金騎士団に所属するも
自領の統治に尽力を尽くしている。
セディとは幼少からの付き合いがある。
学者肌の貴族。

グレゴール・ファントム(25歳)男 愛称=グレイ
エスティア人の傭兵。
通り名は死神グレイ。彼は今まで危険な任務をこなして来たのだが、
その為、彼の戦友のほとんどは戦死を遂げている。
戦場から、ただ一人生き帰る彼を傭兵仲間は死神だと噂するようになった。
無口で一見、無骨だが本当は心優しい男。

セドリック・フォン・ラグワルト(32歳)男 愛称=セディ
セルディア王国ラグワルト伯爵家の次男。第二白銀騎士団中隊長。
貴族の名家の生まれだが華やかな社交界を嫌う変わり者。
いまだ独身を通しており、剣の道に進むが
うらはらに婦人からの人気は高い。
物腰は柔らかく、文才に長けるが剣の腕は白銀騎士団随一の腕を持つ

ティナ(15歳)女
ラグワルト家に盗みに入った泥棒。
セディに一目惚れして付き纏う。

舞台説明



シャルN:ガルニア要塞の攻略が成功し
     攻略戦に参加した騎士達の傷も癒えようとしている。
     ガルビア・フォン・クライセン候の暗躍も気にはなりますが・・・
     この要塞の守備を任された以上、その対策に奔走せねばなるまい。

ティナ:シャル!例の傭兵の様子見て来たよ。

シャル:ありがとう・・・で、どう見ます?

ティナ:なんか無口でつまらないね・・・
    悪い奴ではなさそうだけどね。

セディ:金貨三千枚を要求するぐらいなら腕には自信があるのでしょうが・・・
    剣の腕は立ち合ってみない事には・・・わかりませんね

シャル:セディ、立ち合ってくれますか?

セディ:いいでしょう。
    傭兵相手ならば後れを取ることもないでしょうから

ティナ:傭兵が負けたら報酬の値切りもしやすいしね♪
    交渉はあたしに任せてよ♪

シャル:ではティナ、彼を訓練場まで連れて来てもらえますか?

ティナ:わかった!

【要塞内 訓練場】

シャル:君が私に雇われたいという、傭兵かい?

グレイ:ああ、俺はグレゴール・ファントム
    あんたの指揮は完璧だった・・・

シャル:それ程のものでもないよ

グレイ:いや、味方の損失も抑え、敵兵の命も無駄には取っていない。

ティナ:それって完璧なの?

セディ:兵士達も国が違うだけで、皆同じ人間です。
    忠誠心高い騎士なら別ですが・・・
    一般の兵は戦に負ければ散り散りに逃げてしまいますから・・・

シャル:深追いはしなくていいんですよ。

グレイ:ああ、要塞の兵は急な増強の為に
    そのほとんどが、俺と同じような傭兵だった。

シャル:やはり・・・

グレイ:それで・・・雇って貰えるのか?

セディ:その前に腕試しだ・・・三本勝負でその結果で決めさせてもらう。

グレイ:それで訓練場に呼ばれた訳か・・・

シャル:金貨三千枚は安い買い物ではありませんからね

グレイ:で、相手は誰だい?

セディ:私が務めさせてもらおう

グレイ:わかった・・・武器は愛剣でいいのか?

セディ:構わないですよ

グレイ:手加減、無用・・・

シャル:では・・・一本目・・・始め!

セディ:ハッ!!

グレイ:なっ!?

セディ:まずは一本・・・

ティナ:ぇ!?一撃で決まっちゃった・・・

グレイ:開始直後で高速の突き・・・
    戦場なら俺の命は無くなっていたな・・・

セディ:ここは戦場ではなく訓練場です。
    二本目もありますよ

グレイ:次からは今の様にはいかない・・・

シャル:二本目・・・始め!

セディ:セィ!

グレイ:フンッ!!

セディ:なかなか重い剣ですね・・・

グレイ:うぉぉぉ〜〜〜〜ぉ!!!

ティナ:セディ様が押されてる!?

シャル:いえ、ちゃんと攻撃を流してますよ・・・
    なかなか思い通りには斬り返せないみたいですが・・・

ティナ:もしかして、あの傭兵・・・強い?

シャル:金貨三千枚は伊達では無いようですね・・・
    あの剣技なら近衛騎士でも十分に通用しますよ

ティナ:でもあんな大振りの剣なら隙も多そうに見えるんだけど・・・

シャル:大振りですが正確です。
    斬り返すには相手の斬撃を受け流すしかありませんが・・・

ティナ:でも・・セディ様は受け流してるよ?

シャル:傭兵の一撃一撃が重くて、
    受けた剣が流しきれず持っていかれてます。
    あれでは反撃に出る前に傭兵が体勢を整えてしまう。

ティナ:もしかしてセディ様が危ない?

シャル:セディの事です。大丈夫だと思いますが・・・
    段々流せなくなっているようですよ・・・

グレイ:そろそろ手が痺れてきたかい?

セディ:くっ・・・

ティナ:あっ!セディ様の剣が!?

セディ:なかなか重い剣だ・・・私の剣が叩き落されるとは・・・

グレイ:これだけ長く俺の剣を受け流し続けた男はあんたが始めてだ・・・

セディ:一勝一敗・・・次が勝負ですね・・・

グレイ:勝ちは頂く・・・俺の就職がかかっているんでね

シャル:では最後です。3本目・・・始め!

グレイ:もう俺の剣は受けられまい!
    だぁぁ〜〜!!・・・っ!?

セディ:残念ながら・・・・私の勝ちです。

ティナ:何?何!?セディ様は受けただけなのに・・・
    傭兵の剣が飛んで行っちゃった!?

シャル:鍔先で受けて刃を絡め取る様にひねったんですよ。

セディ:同じ相手に何度も使える技ではありませんけどね

シャル:ネタがバレてはだたの受けになりますからね・・・
    手にかかる負担が大きい分隙だらけになりますし

グレイ:ぃゃ・・・俺の負けだ

シャル:しかし、金貨三千枚でも安いぐらいの腕である事は解かりましたよ

セディ:この傭兵は合格ですか?

シャル:ええ、傭兵としてなんて勿体無い・・・私の私兵として
    傭兵団長の任に就いてもらいます。

グレイ:ありがてぇ・・

シャル:ただ・・・

ティナ:ん?

シャル:私の私兵の給金は金貨にして450枚
    傭兵団長の要職に就いてもらうのですから
    一般の給金ではありませんが・・・
    金貨800枚になりますね

ティナ:げっ!?すごい値切り方!!

シャル:値切ったと言うか・・・正規の給金を支払うと言ってるだけですよ?

グレイ:・・・・解かった。
    あんたの元に就きたかったのはカネの為じゃないからな・・・

セディ:手柄に応じての褒賞は出すつもりなんでしょう?

シャル:ええ、手柄次第では三千枚を超える事だってあるでしょうね

ティナ:なんかさぁ〜盗賊のあたしより・・・
    貴族の方がよっぽど抜け目無い様に思えてきた・・・

シャル:知恵をどこに使うかという問題の違いだけですよ。

ティナ:はは・・シャルってホントは腹黒いでしょ?

シャル:嫌ですねぇ〜善良な国民と領土の平安を望んでるだけですよ(笑)

セディ:では、グレゴール傭兵団長、
    私室は空いてる部屋を使ってくれればいいですから
    
グレイ:わかった・・・

セディ:ティナ、バーニィにグレゴールの世話をしてやってくれるよう
    伝えてもらえるかな?

ティナ:はぁ〜ぃ。

【要塞司令室】

シャル:セディ、あなたに会いに来られた方がいらっしゃいますよ

セディ:私に?

シャル:セディは会いたくない人物かもしれませんが・・・

セディ:しかし、こんな前線の要塞まで来られたのだ・・・
    よほどの用があるのでは?

シャル:まぁ・・・そうでしょうね

シャルM:ここは静観するとしましょうか・・・
     あのご婦人も情熱的なところがありますからねぇ

セディ:な、なんです?私の顔に何か付いていますか?

シャル:優しげな目と整った鼻と口がね・・・

セディ:どういう意味です?突然、気持ちの悪い・・・

シャル:まぁそういう事ですよ・・・(笑)

セディ:ふんっ!いつもはぐらかすんだからな・・・シャルは・・

シャル:アハハハっ・・・・・
    ・・・・・まぁ・・気をつけてくださいね?
    思い過ごしなら良いのですが・・・
    案外、気を許せない人ですから・・・

セディ:わかった。


ティナM:数日後、私達はこの要塞を出る事になる。
     水面下で怪しくうごめく策謀に
     知らぬうちに巻き込まれるハメになる事を
     この時はまだ・・・私は気づいてさえいなかった・・・



 
                    〜六章につづく。
                           次回に続く。