三騎士英雄譚〜第七章〜 エドワード・レザースミス(23歳)男 愛称=エド セルディア王国第六近衛騎士団所属。 革鎧職人の息子として生を受け16歳で戦時召集により兵士となる。 王都で開催されたトーナメント(馬上試合)の前座で行われた 勝ち抜き剣術試合で脅威の60人抜きを果たし近衛騎士の叙勲を受ける。 民衆寄りの考え方から上官との諍い(イサカイ)は絶えないが 剣の腕は王国一とも大陸一とも噂される。 グレゴール・ファントム(25歳)男 愛称=グレイ エスティア人の傭兵。 通り名は死神グレイ。彼は今まで危険な任務をこなして来たのだが、 その為、彼の戦友のほとんどは戦死を遂げている。 戦場から、ただ一人生き帰る彼を傭兵仲間は死神だと噂するようになった。 無口で一見、無骨だが本当は心優しい男。 アニス・ベル(24歳)女 酒場で働く娘。エドの幼馴染であり エドに想いを寄せる。 性格は勝気だが本当は寂しがり屋 マグナルーク・フォン・クライセン(31歳)男 セルディア王国、第一黄金騎士団中隊長。 ガルビア侯の甥にあたる。同クライセン家であるが爵位は子爵 ガルビアの懐刀として暗躍する。 デュレク・フォン・グリマン男爵(38歳)男 ホニフの村を含むグリマン領を収める領主。 悪政を振るう。 トルム(57歳)男 ホニフの村の村長。 領主の悪政に頭を痛めている。 舞台説明 トルムN:王都セルデンより三百名余りの歩兵がこの村に詰めて はや1週間が経とうとしている。 歓迎の接待と称して村の食料はそのほとんどを徴収され わしらの生活は貧窮しておった。 アニス:まったく・・・酒場に酒も料理も無いってどういう事よ? トルム:アニス・・すまんの・・・ アニス:村長のせいじゃないわ、グリマン男爵といい! 今度の司令官の貴族といい・・・どうして 貴族ってのは嫌な奴が多いのかしら!? トルム:3日前にガルニア要塞のエドに手紙を出しておいたのじゃ。 エドにばかり頼るのは忍びないが・・・ あやつなら、また村を救ってくれるやも知れん・・・ アニスM:エド・・・また無茶をしなければ良いのだけど・・・ グリマン:これはこれは・・村長、昼間から酒場通いとは・・・ よほど暇と見える。 トルム:これは・・・男爵様・・・ グリマン:まぁよい、今日はお前ではなく、そこの女に用がある。 アニス:わ、私に・・・? グリマン:こんな客のおらん酒場の娘とはいえ・・ 酒の相手ぐらいできるんだろう? クライセン子爵様の接待役、そなたに任せる事と相成った。 光栄と思うが良い。 アニスM:あの嫌味な司令官の!? グリマン:その身一つで我が館に来れば良い。 着飾るにもボロ布以外持っておらんだろうしなぁ・・・ アニス:な・・・ グリマン:いっその事、そんなボロを身に纏わんでも、 素っ裸で踊りの一つでも舞った方が客が集まるやも知れんぞ? アニス:ちょっと!・・・・ トルム:男爵様!お言葉が過ぎるのでは御座いませんかな!? グリマン:なんだ?平民風情が私に意見するというのか? トルム:男爵様ともあろう方が・・・ちと、品が無いのではないですかな? グリマン:ふん!まぁよい・・・ とにかくその娘には我が屋敷に来て貰わねばならん 早く用意するがよい。 【村はずれ】 グレイ:へぇ・・・あんたが生まれた村ねぇ エド:あぁ、先日、村から手紙が届きましてね グレイ:あー、村の領主が後詰めの兵の歓迎で食料を徴収したってヤツだな? エド:はい、司令は近衛騎士団長のフォルテウス様、 そんな横暴を許すはずが無いんです。 グレイ:エドの元直属の上司なんだよな? エド:そうですよ グレイ:まぁ、村に着けば全て解るだろうよ。 エド:もう見えて来ました、あの村です。・・・ん?、あれは村長? トルム:エドぉ〜・・・・やっと来てくれたか・・・! エド:村長・・・そんなに慌ててどうされたのですか? トルム:おぬしが着く頃じゃと思っての・・ 村を出た所でおぬしらの姿が見えたでな グレイ:爺さん大丈夫かい?そんなに息切らして 歳考えたほうがいいぜ? トルム:そんな事よりじゃ! エド、アニスのヤツが男爵の屋敷に連れて行かれたのじゃ! エド:アニスが!? トルム:名目は宴の接待役としてじゃが・・・ 突然そんな役目を押し付けるなんぞ・・・ 男爵の事じゃ・・アニスの身が心配じゃ エド:アニス・・・ そうだ!司令官のフォルテウス様は今何処に!? トルム:フォルテウス・・様・・・ 村に駐留する歩兵団の司令官様は・・・ マグナルーク・フォン・クライセン子爵様と おっしゃる方じゃよ? エド:マグナルーク・・・!? クライセン侯爵の懐刀か!! 後詰めの任はフォルテウス団長のはず・・・ グレイ:どうやら、キナ臭い匂いがしてきたな・・・ 【グリマン領主屋敷】 アニス:・・・ちょっと!何するのよ!? マグナ:エドワード・レザースミスの女と言うのはお前か? アニス:ちょ、・・なに馬鹿な事言ってるのよぉ〜!? ・・・・あたしは・・エドとは・・・そんなんじゃ・・・(照) マグナ:なにを一人でモジモジしている!?きしょくの悪い・・ 兎に角、お前には当分この部屋で大人しくしててもらおう。 アニス:ちょっと!あんたエドに何する気!? マグナ:なーに、保険と言うやつだ・・・ レザースミスという輩は身分を心得ん奴だと聞くんでな ま、得てしてそう言う奴ほど身内を犠牲に出来んものだ。 アニス:あんた最低ね・・・ グリマン:子爵様になんと言う口の利き方だ!? マグナ:ふん、かまわん。 グリマン、この娘、部屋から出すでないぞ。 それと・・小生意気なメス猫には少々調教が必要なようだ 素直になるまで餌は与えんでいいぞ・・ククッ グリマン:それはそれは・・・心得ております 【ホニフの村】 グレイ:どうする気だ? エド:まさか司令官がクライセン子爵だとは・・・ 何故、フォルテウス団長が司令官を辞任したのかも気になります グレイ:まずは探りを入れるか・・・ エド:さて、どう探りを入れるかだな・・・ トルム:歩兵団はガルニア峡谷の砦で駐留してもらう訳にはいかんのかのぉ? エド:予定ではガルニア要塞に駐屯する手筈となっていたはず ホニフで長期間の駐留自体、予定されていなかったはずです。 グレイ:事情を調べるにも直接、領主館に忍び込むしかなさそうだな・・・ エド:こんな時フランソワーズ様やラグワルト様が居れば いい方法を考えて戴けるんだろうけど・・・ グレイ:なーに・・あんたと俺なら、いざとなっても何とでも切り抜けられるさ エド:結局、出たとこ勝負って事か・・・ グレイ:ま、そんな所だな。 【グリマン領主屋敷】 グリマン:あのじゃじゃ馬め・・・部屋で暴れている様ですな マグナ:女の力で破れるほどチャチな造りでもあるまい。 グリマン:それと・・・村にレザースミスの奴めが現れたそうです。 マグナ:フン、近衛騎士風情に何ができる。 面会を望んだとて、こちらが拒否してしまえば、それまでだ・・・ グレイ(小声):やっぱり忍び込んで正解だったな・・・ エド(小声):早くアニスの居所を探さなきゃ。 グレイ(小声):こっちだ、派手に騒いでくれて助かるぜ! アニス:なに考えてるのよ〜!!いい加減ここから出しなさいよぉ〜! エド:アニス! アニス:エド! グレイ:よいしょっと・・お嬢ちゃん無事かぃ? アニス:エド、この人は? エド:グレゴールさん、フランソワーズ様の傭兵団長様だよ グレイ:そんな大層なモンじゃねぇーが、グレゴール・ファントムだ グレイで構わんよ。 アニス:エドの事、宜しくお願いします・・・ エド:そんな挨拶してる場合じゃないだろ? とにかく・・・ここから出なきゃ・・・ アニス:そうね、 グレイ:ちょっと退いてな・・ エド:ちょっと、待っ・・ グレイ:うぉりゃぁぁ〜〜!!!・・・・ほら、開いたぜ? グリマン:何事だ!? マグナ:貴様ら・・・!! グリマン:レザースミス!また貴様か!? エド:あたた・・・早速ご対面か・・・ グレイ:嬢ちゃんは返してもらったぜ? マグナ:侵入者だ!皆の者何をしておる!! エド:クライセン司令・・・ ここに詰めている兵達は私達に手出し出来ませんよ? マグナ:何!? グレイ:忘れてんのか? ここに居る歩兵団はガルニア要塞の増強の為に 集められたんだぜ? エド:現在、ガルニア要塞所属の騎士である私と 要塞守備司令官たるフランソワーズ子爵から 歩兵団指揮の引継ぎを命じられたグレゴール団長に 刃を向ける訳にはいかない筈です。 マグナ:なんだと・・・ グレイ:要は、お嬢ちゃんさえ人質に取られてなきゃ 俺達は自由に暴れれるって事だよっ! グリマン:ヒィ・・! マグナ:貴様・・・ グレイ:今度はこっちが人質をとる番だ・・・ こんなチョビ髭じゃぁ色気はねぇがな・・? グリマン:クライセン様・・・お、お助け・・下さ・・ひっ!? マグナ:何が望みだ!? エド:速やかに、増援の歩兵を引き渡して戴ければ・・・それで結構です それとも、ガルニア要塞までマグナルーク卿が従軍願えますか? マグナ:フン、わざわざこんな村まで迎えを遣すとは デミドーラ軍の襲撃に震えているようだな? よかろう・・・連れて行くがいい! エド:わかりました。 それと、この度の増援、フォルテウス団長が指揮につくと 聞いていたのですが・・・ どうなされたのですか? マグナ:さて、私は詳しく知らぬが・・・ 謀反を画策して幽閉されたとか・・・ あの男も、馬鹿な男だ。 エド:そんな馬鹿な!? マグナ:詳しくは知らぬと言っただろう・・・ 大方、過ぎた権力でも望んだのだろう? エド:あの方がそんな事を望むものか! マグナ:私は知らんよ・・・ では、これで失礼しよう グリマン:ク、クライセン様・・・私めは・・? マグナ:私は帰ると言ったのだ!好きにしろ グレイ:さて・・クライセンが逃げたって事は・・・ 今度の騒ぎの落とし前は、お前が被るって事で良いんだな? グリマン:貴族の私を・・・こんな事をして・・・ グレイ:わりぃな・・こちらにも貴族の後ろ盾があるんでね? 切り抜けたきゃ実力で俺達をブチのめすしかねぇなぁ 生憎、そんなナマっちょろい体じゃ、無理な話だろうがな エド:グリマン男爵・・・贈賄とも呼べる接待で行軍を妨げ、 アニスを・・・村の娘を意味も無く監禁した行為・・・ 申し開きはフランソワーズ子爵の前で行ってもらう! グリマン:くっ・・ぅぅ・・・ エド:無事、三百名の歩兵団と共に要塞へと帰り着いた俺達、 グリマンの処遇はセルディア軍に甚大な被害を与えたものとし 私財没収、ホニフの村の領主権を失うという事で 身柄は解放された。 ホニフの村は没収されたグリマンの私財より 食料など、いくらかの返還があり、 村の管理としては、一時的ではあるが ランスフォード・シュタイン卿が着任する事となる。 兄の消息が不明になられた アンジェリカ・アンセル嬢の休暇も兼ねてとの フランソワーズ子爵の心遣いが私にとっても嬉しかった。 八章へつづく・・・ 次回に続く。