メルキーの町の南で一人暮らしをしている若い冒険者、
エルマ(俺)の元に、一通の封筒が届いた。


「親父からだ、どれどれ…。」


俺は封を開け、中の手紙を取り出す。


『拝啓 愛しき我が息子よ…』


「前置きがムダに長いな…こういう退屈な長文は読み飛ばして、さっさと本題に移るに限るな。





俺は手紙を読み終え、親父が俺に伝えたいことを大体理解した。


「しっかし、親父に『珍しいモンスターを連れてこい』なんて頼まれたが、一体どうしたものか…。」


   バタン!


と、突然、家の扉が勢いよく開き、何かが俺の胸に飛び込んできた。


「た、助けて〜!!」


   ドンッ ジュゥゥ〜


「うわっ!何なんだよお前!というか熱っ!」


「あ、ご、ごめんよ…。」


俺からゆっくりと離れる『何か』。その姿をよく見てみると、淡いオレンジ色の光を放ちながらふわふわと浮かんでいる、
球体(俺たちの世界では、ウィスプと呼んでいるモンスター)だった。


   パチパチ…


俺の服の胸の辺りの部分が、彼の高熱のせいで燃えだしている事に気がついた。


「大変だ、早く消火しないと!」


「モードチェンジ、チリージャック!」



彼がそう言った瞬間から、瞬く間に彼の身体の色が橙から青へ変わっていった。


   ジュワァ〜


「ふぅ…、これでもう大丈夫だね。」


「マジで何なんだお前…、というか今度は冷たっ!」


「実は…」


彼は、やっと興奮が収まったようだ。


「ボクの弟が、ボアクナ洞窟に住んでる悪い魔法使い達に捕まっちゃったんだ。」


「そうか、それは大変だな。」


「奴らは、今からメルキーの森に行って、そこの川の流れに乗って、弟を遠くへ連れて行っちゃうつもりなんだ!」


「でも、ボク一人じゃどうにもできない…。」


「…それで、戦闘に長けた冒険者であり、森の構造に詳しい俺に助けを求めに来たってワケか。」


「そう。他の人を探してる時間はないんだ、助けてエルマ!」


たく…、俺が、こんな初めて会った人間…じゃなかった、モンスターに、協力なんかすると思うか?
…いや、待てよ?こいつはひょっとしたら…。


「おい、お前、今の『モードチェンジ』って奴は、自分の意思で何度でもできるのか?」


「ああ、魔法力が続く限りは何度でもできるよ。」


「モードチェンジ、フレアジャック!」
「モードチェンジ、チリージャック!」
「モー(ry」



「もういいもういい、よし、お前の弟救助に力を貸してやろう。」


「ホントに!?やったー!」


「…ただし、弟を助けた後に、お前は俺と一緒に、
俺の親父に会いにいく、という条件付きでな。」


「そんな条件ならお安いごようさ!さあ、早速ロロを助けにいこう!」


「お前の弟の名前はロロって言うのか。それで、お前の名前は?」


「ジャックだよ、よろしくね、エルマ。」


「ああ、こちらこそよろしくな、ジャック。」





こうして、人間の冒険者とウィスプの子供は、一時の協力関係を築いたのであった。





……しっかし、色や性質を自分の意思でコロコロと変えられるウィスプなんて、前代未聞だぞ。
こいつなら、ベテラン博物学者の親父も大いに喜ぶな。
あまりにも珍しいんで、親父の実験の材料に使われちまうかもしれないな。ククク…。






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