医薬の製造におけるグリーンケミストリー
最近、生体触媒と呼ばれる一連の物質がキラル化合物合成のための触媒として利用されている。さて、化学反応と生体触媒反応はどのように違うのだろうか? 胃の薬である塩酸セトラキサートは現在化学法で製造されているが、生体触媒法への変換が考えられている。
図1に製造プロセスを示すが、これを見て、まず分かるは生体触媒法と化学法のステップ数の違いであり、生体触媒法は2ステップであるのに対して、化学法では、4ステップの行程が必要となる。それは、化学法ではエステルが存在する場合にニトリル部位の加水分解だけを選択的に行うことができないからである。そのために、先にニトリルを加水分解し、次の反応のためにベンジル基で保護する必要が有る。反応後に不要なベンジル基を水素添加によりはずす必要があり、4ステップとなるわけである。それに比べて、生体触媒法では官能基選択性が高いため、エステルが存在してもニトリル部位だけを選択的に加水分解することが出来るので、保護および脱保護の必要が無く、2ステップで塩酸セトラキサートが合成出来るわけである。さらに、化学プロセスでは水素添加などの大規模では危険な反応が必要となるが、生体触媒反応では、その必要はない。その結果、比較すると、原子利用率、毒性、省エネ、安全性の4点において生体触媒法はグリーン度が高い。