6月13日(金曜日)

眠れない。
真夜中のテレビをウツロウツロしながら見てた。
痛い。おなか痛い。
数分間隔で痛みの波がやってくる。

すぅー、はっ、すぅー、はっっ。

看護婦さんが何回かやってきて子宮口を計る。
(10センチになってからいきんで出産する)
病室でどうやって計るのかと思ったら
手にビニールをはめて指をあそこに入れて指が何本分入るか
で計るんだそう(なんかすごいかも)。

4センチ・・・ですね」
けっこうな痛さになってきた。
ひっひっふーではないが呼吸に気をつけるとすこしは痛みが楽になる。
痛みの波の合間にうとうとと眠くなる。
あ・・・きたきたきたー。
すぅー、はっ、すぅー、はっっ(痛い痛い痛い)

早朝のニュースがテレビで流れている。

足がつる。MINE(旦那)にもんでもらう。
「10分だけ寝かせて」
だめっっ(怒)
・・・MINE(旦那)によるとこのときの私はとっても怖かったそうです。
足に湿布をはりまくる。
(呼吸が下手だったから酸素がきちんと足のほうまでいってなかったから足がつったのかも、と看護婦さんに言われた)

朝になって点滴から促進剤をすこしずつ入れる(子宮口があまり開いてなかったから)。
ご飯も食べられないので点滴をする。

すぅー、はっっ、すぅー、はっっ

痛みに耐えるのでせいいっぱい。

痛い痛い痛い

おなかの子の心音が響く(機械から)。

どくどくどく。どくどくどく

「うまく呼吸しないと赤ちゃんに酸素がいきませんよー」
「ゆっくり呼吸してー」
看護婦さんの声が遠くで聞こえる。

母がいつのまにか来ていた。
うちわであおいでくれる。

5センチ・・・んー、おまけして5センチかなー」
まだなのー

このあたりから、だろうか。
私は痛みに襲われるたびに雄叫びをあげていた。

痛みの波と休憩の時間が数分ごとにある。
休憩の時間のとき私は死んだようにぱったりたおれてるしかなかった。

すぅー。うおーあああああー。すぅー。おおおおー

看護婦さんが数十分ごとに見に来てくれるのだがいっこうに子宮口は開いてないらしい。

5センチ

まだ?

まだ?

まだ?

うおおおおおー。うおおおおおー。

痛くて痛くて、もー嫌だー。
はやく産みたい。終わらせたい。まだなの?

「やっと6センチ・・・かな」
なんですとー。

お昼の番組が流れてる。

陣痛が苦しくて自殺しちゃった人なんていないんだろーか。
もーここから飛び降りてしまいたい。

すぅー。うおおおおおおー。あああああー。

泣けてきた。号泣。鼻水もたれてきた。

「ナースコールしてー。」
「そんなのでしてたら恥ずかしいよ」と母。
こんなときまで世間体か?!もーどー思われようとかまわん。
痛い!痛い!痛い!
勝手に枕元のボタンでナースコールする。
「まったく・・・」あきれる母。

看護婦さんに手をにぎっててもらう。
子供のように泣きじゃくる私。

「ゆっくり呼吸してー」
無理無理無理。できん。

もうなんだかよくわからない。

すぅー。うおおおおおー。あああああー。

「まだ7センチ
「まだ様子をみましょう」
なかなかおなかのこが下に降りてこないらしい。

まだまだまだまだまだまだまだまだ・・・・。
頭の中でぐるぐる“まだ?”が回ってる。

出産予定日だって遅れたんだ。「まだ?」「まだ?」って言われたんだ。
私のせいじゃない!
この私が一番“まだ?”って思ってる。
まだなのー!!!!!!!!!!

おしりがむずむずする。腰が痛い痛い痛い

もー嫌だ!!!!!!!

そばにいた母と看護婦さんに弱音を吐きまくる。
“まだ?”“まだ?”ってみんなに言われたのぉ」
「わたしがいちばん“まだ?”って思ってるのぉ」
「もうすぐだ、って思ったのにぃ」
「まだなのー?」
「わたしが悪いのぉ?」
「もーいやだぁぁぁぁ!!!」
「まだなのぉぉぉぉ?」
「もーやめるぅぅぅ!!!」

遠くでMINE(旦那)が眺めているのが見えた。
・・・呆然としている。
もうこんな野獣のような女が妻だなんて浮気されてしまうに違いない。

父は見てられないらしく姿はない。

すぅー。うおおおおおー。あああああー。

痛みが少しでも軽くならないかと寝返りをうったり、クッション抱いてみたり。

「8センチ」

すぅー。うおっっおうー。あああああ。

私の後に病院に来た人が出産を終えたらしい。
あまりにもわたしが騒ぐのでやっと分娩室行くことを許可された。

「やっと産めるんですか?」
「先生に診てもらってまた部屋にもどるかもしれないけど・・・」
「えー、ですぅぅぅ、もうここにはもどらない!」

すぅー。うおおおおおー。あああああー。

「車いすで行く?」
「・・・歩いていきますぅ」
周囲から笑いがもれる。まだ元気なんじゃないの、とでも言いたげ。
(おしりがむずむずしててすわれそうになかったのだ)

点滴を手によたよたと立ち上がる私。

もう早く終わらせたい!!!

産むぞー!

産むぞー!

産むぞー!