ようこそいらっしゃいました。当サイトは現在大学院で学んでいる私、いのうえ個人の運営による、ヨーロッパ中・近世都市史研究を中心とした学術情報に関するものです。
こうしたサイトを立ち上げようと考えた理由は幾つか挙げられますが、先ず何よりも、今のところWeb上に日本語で参照することの出来る西洋中・近世史関連の情報が極めて乏しいという現状があります。幾つかのサイトを除いた他は、ファンタジーやゲームから中世に関して調べたことを載せているサイトが多く、それはそれでよいのですが(実際よく調べてあるものもあります)、やはり論文執筆を目的とした場合にはナカナカ満足の行くものがありません(とりわけ文献情報として)。また、言うまでもなく趣味や教養の知識としての歴史と研究の対象としての歴史は区別する必要があります。
Labylinthのような立派なものではなくとも、何かしら参照出来る学術情報がWebにおいても開示されるべきでしょうし、今後インターネットの更なる普及と共にその必要性及び重要性は益々高まって行くだろうと思うのです。何も研究者のみが対象として限定されるのではありません。卒論を考えている学部生やこれから大学に進学する高校生も、有益な情報を欲しているのです(寧ろ若年層の方がインターネットを利用する頻度が高いのかも知れません)。
直接的な契機となったのは、Web上での二つの重要な出会いでした。
一つは、リエージュ大学の平井浩博士によるbibliotheca hermethica(BH)です。日本では未だ殆ど学術的研究が為されていない錬金術史を中心とした、近世の科学思想史に関する文献情報を豊富且つ網羅的に紹介しているサイトで、同時に運営されているメーリングリスト(ML)や、平井博士の一時帰国に合わせてこれまで三度開かれたミーティングなどを通じて、近世研究者間の交流促進にも大きな貢献を果たしています。回を重ねるごとにミーティングへの参加者は増え、Webが情報開示だけでなく、研究者間のコミュニケーション促進に非常に有用であることが改めて実感されました。
実際、インターネットは遠く離れたところに居る人とも容易にコミュニケーションをとることを可能にします。そして、様々な情報交換の場となっています。これを学術的交流の手段として用いないわけには行かないのではないでしょうか。
二つ目の出会いが、そのことを私に確信させてくれました。京都工芸繊維大学で教鞭を取られた後、現在は北白川学園北白川幼稚園の園長をなさっていらっしゃる山下太郎氏の主宰するラテン語MLがそれです。ラテン語に関する話や雑談から、メールによる読書会や初級勉強会などが開催されています。当初、私は「ラテン語習得に何か益するところがあれば」という到って軽い気持ちで参加し、稀に発言するだけで殆どをROM(Read Only Member:投稿せずに見ているだけ)で過ごしているのですが、一人が発した質問が沢山のメンバーの反応を呼び、更に提供された情報が新たな情報提供のきっかけとなって行くという状況が、非常に刺激的なのです。MLの参加者の一人が仰っていました、「一人の発信源からみんなの情報になるというのは、 いつもながらすごいなあ、と思います」と。思わず、激しくうなずいてしまいました。
これらの出会いによって、中世や近世に関する歴史研究でも、Web上の情報開示と交流の場が必要である、という私の思いは強まりました。もう、待っては居られません。自分の研究テーマに関することを中心にして、私にもアクションが起こせるのではないだろうか、そう思いました。まぁ、つまるところは「誰も作らないのなら自分でやってしまおう」ということなのですが。
勿論、私はやっと修士論文を書き上げたばかりの若輩者で、研究者の卵にも成り切れていない状態です。それ故、平井博士のBHの様な充実した情報を提供することは不可能ですし、山下氏のラテン語MLの様に他人を導くようなアドヴァイスをすることも出来ません。それでも、こうしたサイトを立ち上げることが、西洋中・近世史研究におけるWeb利用に何らかの刺激となれば、という期待があります。また、当サイト(でも他のサイトでも良いから)を一つの結節点として、Webを介した西洋中・近世史研究者間のネットワークが構築されることを願って止みません。
なにはともあれ、その様なわけで、多々不備もあるかとは思いますが、当サイトが皆様にとって少しでも有益であれば幸いに思います。(最終改訂2006年1月28日)