◇◆「長崎新聞」2005.5.3◆◇
佐世保市の元高校教員、江口茂さん(85)が、4年前から反戦を掲げ描き続けている風刺漫画。活発化する改憲への動きに危機感を強め、これまでの92点をまとめた本が憲法記念日の5月3日に出版された。 新聞を見て「カチン」ときた事柄を割りばしや竹を使って墨で漫画に描く。登場回数が最も多いのは小泉首相。経済界と手を結んで憲法九“城”の堀を埋め戦争を仕掛けようとしたり、「有事法制」の目標を笑顔でブッシュ米大統領に贈呈する漫画などは辛らつ。 江口さんは佐世保海軍工廠の技術士官だった。島瀬町の官舎で佐世保空襲に遭い、目の前で焼夷弾が同僚を直撃した。疎開先で玉音放送を聞き、真偽を確かめるため単身船で工廠に戻った。「灯火管制や物不足に疲れ果て、終戦が心底うれしかった」 戦後は県高教組で「教え子を再び戦場に送るな」と訴え、退職後も九条保持をチラシで市民に呼び掛けた。だが、反戦や護憲のイベントに足を運んでも同じ顔ぶればかり。平和運動の頭打ちを感じ、無関心層を取り込めないかと思い立ったのが漫画だった。 小川みさ子・鹿児島市議が出版を持ち掛け、発売にこぎ着けた。 「権力が平和憲法を握りつぶそうとする限り、監視をやめるわけにはいかない」。平和への思いを漫画に込め、江口さんはきょうも竹ペンを握る。 ◆他 2005年5月18日「南日本新聞」
長崎新聞社