母が部屋干しするようになったのは 部屋の真ん中でタバコを吸うひとが いなくなった後のこと アコーディオンカーテンの向こうで 部屋に渡したピンク色の洗濯ひもに 洗濯物を吊るしていく 互いの音は漏れていて 私の吐く息には煙が混じっている 母は私がタバコを吸うのを見たことがない 夜の物干し台から戻った膝元に 抱きついたときのにおい 分かったのはいつのことだろう だからタバコのことを話したこともなかった
うちはなんだかんだで全員喫煙者だ。 おやじは部屋ではタバコを吸わなかった。 ただ、それぞれタバコを吸う姿を見たことがない。 変な話だと思う。