無題



新聞を読む
期間の定めのない
関係
あの
名前のない
言葉の指示するところ
私の言葉の指示するところ
悪い
という言葉
に感じるところに
彼が
私に言う言葉
悪い
に翻されて
部屋の隅に
おっちんしたところ
言葉の指示するところ
私は
部屋の中にいる
あれは電気
あれは水
あれはタオル
くらしに役立つもの
彼が来る前に部屋を見渡す
長いもの
長くなるもの
私の電気をしないように
私の水をしないように
私のタオルをしませんように
しないように仕向ける
やってきた彼は体を使う
私はできるだけ退屈を差し出す
私はできるだけ従順を差し出す
彼は疲れる
彼の眠気を誘う
夜が長くなるから
長くなった夜に
私は逃げる
を組み立てる
組み立てて眺める
眺めていると朝になり
彼が目を覚ます
目には私が映る
目は私の言葉を知らない
目は私の準備を知らない
準備
すら果たせなくて
新聞になる
私は
新聞を読んで
タオルを感じる
私は
幸せだ
彼に
傷をささげる
順調に
増える傷の奥に
彼を組み込む
私の算段は
彼の夜を長くする
私の昼は長くなる
長くなるものは
隠さなくてはならない
私は隠す
私は大きくなる
彼は小さくなる
小さな彼の夜
大きな私の昼
を差し引いて
距離を測る
逃げ切れる距離を測る
じゅうぶんな距離を測る
小さな彼は
たぶん
台所に行くだろうから
彼の長い夜の中
私の長い昼の中
私はあの闇を抜けて
あの闇のまっただ中にいる
私は息をする
闇は少し残る
それは私のランプに入っていて
たまに灯すと
たいてい電話がかかってくる
電話は
言う
後ろは
彼の闇でざわざわしている
そう思いながら
詩を書く
あの闇を抜けきった命が今更
抜けきっている
ここに
驚きもしない
帰ってきて
私はこうだった
道を歩いて
私はこうだった
本を読んで泣く
私はこうだった
パンを買って泣く
私はこうだったかな
かしげた頭は
要らなくなった闇で重すぎて
もたれる
あの闇の中で少し輝きすぎた
頭は
まだ元に戻らない
とりすぎた距離に泣く
夜
ただ
うつむいて
もう
誰だか
わからない
わからなくなった
あの言葉の指示するところ
行かなくていい
それだけで
笑う









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