日本語を話す



呉
という字は緊急脱出したパイロットの象形文字
呉市は緊急脱出したパイロット達が興した村
屋根の瓦が落ちて
くだける
もうしわけていどに道の端に寄せる
自転車のグリップを握る
覇気のないサラリーマン達がどっちつかずに歩くのを
追い越して
いく
シャッターを開けようと屈みこむ
むちっとした社会人の女の
抱えた花束
髪の毛のボサボサ具合で年齢を推測し
上であろうが下であろうが
尻を見る
お風呂に蟻が来る
シャワーで流す
ごはんを探しに来て流される
壁のヒビ
支えきれなくなったとき
私ははだか
泡だらけで
押し潰される
砂を掘って穴で暮らす
意味がわからない
お隣が物置を開ける音は
雲の奥の雷の音
に似ている
立て付けの悪い敷居の上を
木戸が
走る
お隣は
何かをしまうか
とりだすか
するために
物置を開けている
健康診断の朝
朝食を抜くと
久しぶりの便意
胃
便所に向かう
観光バスが交差点で右折待ち
反射するところに
反射するものが映る
血を抜かれて笑ってしまう
しゃがんで話すと
ひどく
仲間になったような気になる
僕の声は柱のせいで横の子に届かない
真向かいの男が笑い
つられて笑う
女の子
通訳がいない
日本語を話す









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