恋におちている。 いつもの工場で。 エレベーターを閉めるとき、 目で追っている。 ドコモポイントを二人分のチケットに交換して、 レンタカーでどこかに行きたいと思う。 できれば他府県の遊園地。 三重のナガシマスパーランド。 部屋に掃除機をかける。 今年こそは、 冬になる前にダッフルコートを買っておこうと思う。 でも、そうじゃないと思う。 恋というより、 もっと手前のこと。 赤ん坊のようなもののこと。 それを知っていて、 だから、 それを狙っているということ。 それの何が悪い、と 心がずっと軋んでいるのに、 体はそれを望んでいること。 暴力。 踏み潰そうとすること。 踏みつけて、飛ぼうとすること。 君を車に乗せて、 どこかに連れて行くこと。 それはきっといいこと。 人は食べないと生きていけない。 当たり前のこと。 僕は今、君をきっかけに 生き返ろうとしている。 時間がないと、焦っている。 定時になるまで、 壁掛け時計を見つめている君の背中を、 道連れにしようと企んでいる。 恋におちている。 いつもの工場で。