タンカー



フェイスブックで
懐かしい名前をたどっていくと
変わり果てたひとに行き着いた

整形し尽くしても
残る面影に

そうなりたかったんだ
って笑う

ドバイの富豪のしっぽ
すっぽぬけないように
必死の形相で
抱きしめている

おんなじ教室から出て行ったのに
わからないもんだね

つまんない毎日だよ

ほしいものに手をのばすひとが
ひどくぶざまに見えて
なんにもさわってこなかったから

みんな子どもを抱っこして
「幸せそう」にしているのに

私からはドバイのほうが
近くに見えて

動きすぎた君と
こらえすぎた私はまだ
おんなじところにいる気がする

粘っこい
重油まみれの
やせほそった海鳥と

沖で座礁した
外国籍のタンカーが

なぜだか
交配をこころみていた

そんなころがあった

君はぶぐぶぐ沈んでいって
私は体温調節ができずに震えるだけ
だった
あの季節

それでも
変てこなバランスで
たしかに繋がっていた

もし
同じぐらいの大きさに
生まれていたら
抱っこして
ここらへんに隠れて
「幸せそう」にしていられたのに



そうなりたかったんだ
って

笑う







+++++

フェイスブックで
懐かしい名前をたどっていくと
変わり果てたひとに行き着いた

整形し尽くしても
残る面影に

そうなりたかったんだ
って笑う

ドバイの富豪のしっぽ
すっぽぬけないように
必死の形相で
抱きしめている

おんなじ教室から出て行ったのに
わからないもんだね

つまんない毎日だよ

ほしいものに手をのばすひとが
ひどくぶざまに見えて
何にもさわってこなかったから

みんな子どもを抱っこして
「幸せそう」にしているのに

私からはドバイのほうが
近くに見えて

動きすぎた君と
こらえすぎた私はまだ
おんなじ放課後にいる気がする

粘っこい重油にまみれた
やせほそった海鳥と
沖で座礁した
外国籍のタンカーが
なぜだか
交配をこころみていた

そんな馬鹿げたころがあったねえ

君は勝手にぶぐぶぐ沈んでいって
私は体温調節ができなくて震えるだけだった
あの季節

君は欲張りで持ちすぎて
私はこわがりで持たなすぎて
それでも
変てこなバランスで
たしかに繋がっていたのにねえ

同じぐらいの大きさに生まれていたら
抱っこして
ここらへんに隠れて
「幸せそう」にしていられたのに



そうなりたかったんだ
って

笑う
++++++++++++
フェイスブックで
懐かしい名前をたどっていくと
変わり果てたひとに行き着いた

整形し尽くしても
残る面影に

そうなりたかったんだ
って笑う

ドバイの富豪のしっぽ
すっぽぬけないように
必死の形相で
抱きしめている

おんなじ教室から出て行ったのに
わからないもんだね

つまんない毎日だよ

ほしいものに手をのばすひとが
ひどくぶざまに見えて
何にもさわってこなかったから

みんな子どもを抱っこして
「幸せそう」にしているのに

私からはドバイのほうが
近く見えて

動きすぎた君と
こらえすぎた私はまだ
おんなじ放課後にいる気がする

粘っこい重油にまみれた
やせほそった海鳥と
沖に座礁した
外国籍のタンカーが
なぜだか
交配をこころみた

そんな馬鹿げたころがあったねえ

君は勝手にぶぐぶぐ沈んでいって
私は体温調節ができなくて震えるだけだった
あの季節

君は欲張りで持ちすぎて
私はこわがりで持たなすぎて
それでも
変てこなバランスで
たしかに繋がっていたのにねえ

同じぐらいに生まれていたら
抱っこして
ここらへんに隠れて
「幸せそう」にしていられたのに



そうなりたかったんだ
って

笑う
+++++++++++

フェイスブックで8


フェイスブックで
懐かしい名前をたどっていくと
変わり果てたひとに行き着いた

整形し尽くしても
残る面影に
そうなりたかったんだ
って笑う

ドバイの富豪のしっぽ
すっぽぬけないように
必死で
抱きしめている

おんなじ教室から出て行ったのに
わからないもんだね

ほしいものに手をのばすひとが
ひどくぶざまに見えて
何にもさわってこなかったから

みんな子どもを抱っこして
平気でしあわせそうにしているのに

私からは
ドバイのほうが
近くに見える

動きすぎた君と
こらえすぎた私は
まだ
声が出せない器楽室で

漏れでた
粘っこい重油にまみれ
温度調節できずに
震えている
一羽の
やせほそった
う

沖に打ち捨てられた
外国籍のタンカー
が

交配を試そうとした
馬鹿げた季節に
そうなりたかったんだ
って笑う
++++++++++++

フェイスブックで8


フェイスブックで
懐かしい名前をたどっていくと
変わり果てたひとに行き着いた

整形し尽くしても
残る面影に
そうなりたかったんだ
って思う

ドバイの富豪のしっぽ
すっぽぬけないように
必死で
抱きしめている

おんなじ教室から出て行ったのに
わからないもんだね

ほしいものを手にするひとが
ひどく寂しく見えて
何にもさわってこなかった

みんな子どもを抱っこして
平気でしあわせそうにしているのに

私からは
ドバイのほうが
近くに見えて

動きすぎた君と
こらえすぎた私は
まだ
声のない放課後を過ごす

漏れでた
粘っこい重油にまみれて
温度調節できずに
震えている
一羽の
やせほそった
う

沖に打ち捨てられた
外国籍のタンカー

ふたりで
交配しようとした

とんでもなく
馬鹿げた季節に笑う
++++++++++++
フェイスブックで7


フェイスブックで
懐かしい名前をたどっていくと
変わり果てたひとに行き着いた

整形し尽くしても
残る面影に
そうなりたかったんだ
って思う

つかんだ
ドバイの富豪のしっぽ
振り落とされないよう
気をつけて

おんなじ教室から出て行ったのに
わからないもんだね

ほしいものを手にするひとが
ひどく寂しく見えて
手触りすら
確かめてこなかったけど

みんな子どもを抱っこして
平気でしあわせそうにしているのに

私からは
ドバイのほうが
近くに見える

動きすぎる君と
こらえすぎて動けない私は
声のない
おんなじ放課後を過ごしている

まだ
ふたり

漏れでた
粘っこい重油にまみれて
温度調節できずに
震えている
一羽の
やせほそった
う

と
沖に打ち捨てられた
外国籍のタンカー
は
きっと
交配しない
++++++++++++

+++++

フェイスブックで6


フェイスブックで
懐かしい名前をたどっていくと
変わり果てたひとに行き着いた

整形し尽くしても
残る面影に
そうなりたかったんだ
って思う

つかんだ
ドバイの富豪のしっぽ
振り落とされないよう
気をつけて

おんなじ教室から出て行ったのに
わからないもんだね

ほしいものを手にするひとが
ひどく寂しく見えて
手触りすら
確かめてこなかったけど

みんな子どもを抱っこして
平気でしあわせそうにしているのに

私からは
ドバイのほうが
近くに見える

動きすぎる君と
こらえすぎて動けない私は
声のない
おんなじ放課後を過ごしている

まだ
ふたり

漏れでた
粘っこい重油にまみれて
温度調節できずに
震えている
一羽の
やせほそった
う

と
沖に打ち捨てられた
外国籍のタンカー
は
きっと
交尾ができない
++++++++++++

+++++++

フェイスブックで5


フェイスブックで
懐かしい名前をたどっていくと
変わり果てたひとに行き着いた

整形し尽くしても
残る面影に
そうなりたかったんだ
って思う

つかんだ
ドバイの富豪のしっぽ
振り落とされないよう
気をつけて

おんなじ教室から出て行ったのに
わからないもんだね

ほしいものを手にするひとが
ひどく寂しく見えて
手触りすら
確かめてこなかったけど

みんな子どもを抱っこして
平気でしあわせそうにしているのに

私からだと
ドバイのほうが
なぜだか近くに見える

動きすぎる君と
こらえすぎて動けない私は
おんなじ放課後を過ごしている

まだ
ふたりとも

漏れでた
粘っこい重油にまみれて
温度調節できずに震えている
一羽の
やせほそった
う

沖に打ち捨てられた
外国籍のタンカー

そんな距離にいる
++++++++++++
フェイスブックで4


フェイスブックで
懐かしい名前をたどっていくと
変わり果てたひとに行き着いた

整形し尽くしても
残る面影に
そうなりたかったんだ
って思う

つかんだものは
ドバイの富豪のしっぽ
振り落とされないよう
気をつけて

おんなじ教室から出て行ったのに
わからないもんだね

ほしいものを手にするひとが
ひどく寂しく見えて
手触りすら
確かめてこなかったけど

今はみんな子どもを抱っこして
しあわせそうにしている

ながめていただけの僕からは
ドバイのほうが
なぜだか近く見える

動きすぎる君と
こらえすぎて動けない僕は
育たない
放課後を過ごしている

両方ともぶっ壊れたまんま

漏れでた
粘っこい重油にまみれて
温度調節できずに震えている
一羽の
やせほそった
う

沖に打ち捨てられた
外国籍のタンカーをながめている

空を見上げて
まもなく沈む
+++++++++++

フェイスブックで3



フェイスブックで
懐かしい名前をたどっていくと
変わり果てたひと
に行き着いた

整形し尽くして
それでも残る
面影に
そうなりたかったんだ
って思う

おんなじ教室から出て行ったのに
わからないもんだね

つかんだものは
ドバイの富豪のしっぽ
振り落とされないよう
気をつけて

ほしいものを手にするひとが
僕にはひどく寂しく見えて
手触りすら
確かめてこなかったけど

今はみんな子どもを抱っこして
しあわせそうにしている
連綿とした日常を
ひた隠して

ながめていただけの僕からは
ドバイのほうが
なぜだか近く見える

感じすぎて動きすぎる君と
こらえすぎて動けない僕は
今も
なんにも変わらないままで

沖に打ち捨てられた
タンカーから
漏れでた
粘っこい重油にまみれて
温度調節できずに震えている
一羽の
やせほそった
う
のように

ふたりだけは
放課後残る

+++++++++

フェイスブックで2



フェイスブックで
懐かしい名前をたどっていくと
変わり果てたひと
に行き着いた

整形し尽くして
それでも残る
面影に
そうなりたかったんだ
って思う

おんなじ教室から出て行ったのに
わからないもんだね

つかんだのはドバイの富豪のしっぽ
振り落とされないよう
気をつけて

ほしいものを手にするひとが
僕にはひどく寂しく見えて
手触りすら
確かめてこなかったけど

今はみんな子どもを抱っこして
しあわせそうにしてる

ながめていただけの僕からは
ドバイのほうが
なぜだか近く見えて

君が過剰に感じたように
僕がこらえすぎたように

極端すぎたんだろうね

沖に打ち捨てられた
タンカーから
漏れでた
粘っこい重油にまみれて
温度調節できずに震えている
一羽の
やせほそった
飛べない
う
のように
立ち尽くしていれば

いつか
おんなじ海にかえれる気がする

+++++++

フェイスブックで
懐かしい名前をたどっていくと
変わり果てたひと
に行き着いた

整形し尽くして
それでも残る
面影から
僕に流れこんでくるのは

(そうなりたかったんだ)

おんなじ教室から出て行ったのに

果てしないね

つかんだのはドバイの富豪のしっぽ
振り落とされないよう
気をつけて

ほしいものを手にしているひとが
ひどく寂しく見えて
さわらないで来た
手触りすら
確かめてこなかったけど

そんな
遠くまで行けるんだ

みんな子ども抱っこして
しあわせそうに
してるよ

ながめていただけの僕からは
なぜだか近く見えるのは

君がさわらない寂しさを過剰に感じたように
僕がこらえすぎて変になったように

極端すぎたんだろうね

僕はたぶん一生
まちがっているんだと思いながら

沈む君を
じっと見つめていると思う

かなしい
と言われそうな目つきをしながら

君から
漏れでた
粘っこい重油にまみれて
温度調節できずに震えている
一羽の
やせほそった
飛べない
う
のように
立ち尽くして

ひとり
耐え切れなくなるまで

+++++++

フェイスブックで
懐かしい名前をたどっていくと
変わり果てたひと
に行き着いた

整形し尽くして
それでも残る面影から

そうなりたかったんだ、って。

僕はすこし恥ずかしい
ような

おんなじ教室から出て行ったのに

果てしないね

つかんだのはドバイの富豪のしっぽ
振り落とされないように
気をつけて

ほしいものを手にしているひとが
ひどく寂しく見えて
さわらないで来た
手触りすら
確かめてこなかった
怖くて

みんな
染まっていくのを
遠くでながめていた
黙って

漏れでた
粘っこい重油にまみれて
温度調節できずに震えている
一羽の
やせほそった
飛べない
う
のようになりながら
立ち尽くして

なんで
そんなに遠くまでいっちゃうかなあ

みんな子ども抱っこして
しあわせそうに
してるよ

ながめていただけの僕からも
遠くて


君がさわらない寂しさを過剰に感じて
僕がこらえすぎて変になって

極端すぎたんだろうね

僕はたぶん一生
まちがっているんだと思いながら

沈む君を
じっと見つめていると思う

かなしい
と言われそうな目つきをしながら

ひとり
耐え切れなくなるまで

おんなじ海にかえることだけ


+++++++

++++++

フェイスブックで
懐かしい名前をたどっていくと
変わり果てたひとがいた

整形し尽くして
それでも残る面影に

果てしないね

おんなじ教室から出て行ったのに

つかんだのはドバイの富豪のしっぽ
振り落とされないように
気をつけて

そうなりたかったんだ
あのころから?

恥ずかしくない?

ないよね

僕はすこし恥ずかしい
のか
胸が痛むのか
わからないまま
だんだん染まっていく

ほしいものを手にしているひとが
ひどく寂しく見えて
さわらないで来た
手触りすら
確かめなかった
怖くて

みんな
染まっていくのを
遠くでながめていた

座礁した君の
顔から
漏れでた
粘っこい重油に
温度調節できずに震えている
一羽の
やせほそった
飛べない
う
のように

目が
体中が
油膜に覆われて
もう

そんなになってまで
どこへ



果てしないね

君がさわらない寂しさを過剰に感じて
今そこにいる
僕がこらえすぎて変になって
今ここにいる

僕はたぶん一生
まちがっているんだと思いながら

沈む君を
じっと見つめていると思う
かなしい
と言われそうな目つきをしながら
死ぬまで
おんなじ海で

+++++++

フェイスブックで
懐かしい名前をたどったら
変わり果てた
ひとがいた

整形し尽くして
それでも残る面影に
(果てしないね)
おんなじ教室から出て行ったのに

つかんだのはドバイの富豪のしっぽ
振り落とされないように
気をつけて

そうなりたかったんだ
あのころから?

恥ずかしくない?

ないよね

僕はすこし恥ずかしい
のか
胸が痛むのか
わからないまま
だんだん染まっていく

ほしいものを手にしてるひとが
ひどく寂しく見えて
さわらないで来た

つかもうともしないで
手触りすら
確かめなかった
怖くて
遠くでながめていた

座礁した君から
漏れでた
粘っこい重油に
温度調節できずに震えている
一羽の
やせほそった
飛べない
う
のように

目が
体中が
油膜に覆われて
もう
だめなんだ

そんなになって
どこへ



君は果てしないね

君がさわらない寂しさを過剰に感じたのか
僕がこらえすぎて変になったのか

僕はたぶん一生
まちがっているんだと思いながら

沈む君を
じっと見つめていると思う
死ぬまで
おんなじ海で

++++++++

フェイスブックで
懐かしい名前をたどったら
変わり果てた
ひとがいた

整形し尽くして
それでも残る面影に
(果てしないね)
同じ教室から出て行ったのに

つかんだのはドバイの富豪のしっぽ
振り落とされないように
気をつけて

そうなりたかったんだ
あのころから?

恥ずかしくない?

ないよね

僕はすこし恥ずかしい
のか
胸が痛いのか
だんだん染まっていく

それ楽しいの
って

どっちがいいかなあ
なんて

ほしいものを手にしてるひとが
ひどく寂しく見えて
さわらないで来た

つかもうともしないで
手触りすら
確かめなかった
怖くて
遠くでながめていた

さわって
染みなかったことに
今さら
なんとなく焦っているけど

目が
体中が
油膜に覆われて
もう
だめなんだ

ドバイ沖で座礁した君から
漏れでた
粘っこい重油のにおいに
あてられて
温度調節できずに震えている
一羽の
やせほそった
飛べない
う
のような

でも

そんなになって
どこへ



君は果てしないね

君がさわらない寂しさを過剰に感じたのか
僕がこらえすぎて変になったのか

正解は死んでも出ないけど
僕はたぶん一生
まちがっているんだと思いながら

沈む君を
恨みすら感じないで
じっと見つめていると思う

死ぬまでおんなじ海で

+++++++++++

フェイスブックで
懐かしい名前をたどった先に
変わり果てた
ひとがいた

整形し尽くして
それでも面影が残る
痛み
が漏れだして

君は果てしないね

同じ教室から出て行ったのに

とんだねえ

つかんだのはドバイの富豪のしっぽ
振り落とされないように
気をつけて

でも
そうなりたかったんだ

恥ずかしくない?

ないよね

僕はすこし恥ずかしい
のか
胸が痛いのか

それ楽しいの
って
負けおしみさあ

僕は楽しくない毎日
でも
どっちがいいかなあ
なんて

ほしいものを手にしてるひとが
ひどく寂しく見えて
さわらないで来た
つかもうともしないで
手触りすら
確かめなかった
怖くて
遠くでながめてた

だから
染みないで
今なんとなく焦ってるけど
目が
体中が
油膜に覆われていて
もう
だめなんだ

ドバイ沖で座礁した君から
漏れでた
粘っこい闇に
あてられて

でも

そんなになって
どこへ

家なんて
ほんとはないんだねえ

君は果てしないね

君がさわらない寂しさを過剰に感じたのか
僕がこらえすぎて変になったのか

正解は死んでも出ないけど
僕はたぶん一生
まちがっているんだと思う

ただ
歩きたい

…とんだねえ


同じところに不時着しよう

トップページに戻る