33の作品 第一章 〜栄光の門〜 第3話
- 56 名前:33
[sage] 投稿日:2006/05/16(火) 01:41:32
- 「では、市内観光とでも行くか。案内よろしく。」
「こちらことよろしく。では行きましょう。」
御前試合が終わったのはもうすでに日が傾き始めた頃だった。
軍への出頭は次の日の朝とのこと。その前は自由活動の時間になるわけだ。
ご親切にも、幕僚本部から案内役としてイスミナ少尉が派遣されてきた。
ここに来て初めて人間扱いされた感じだ。しかも美人が案内役とは。
「私の顔に何かついていますか?」イスミナは明るい笑顔で聞いた。
「(むっ、これなんていうエロゲ!?)
いーっや、その、イスミナ少尉って笑う時鼻にこうしわが寄るね。なんか子供みたいでかわいいな。」
「えーなにそれ、ほんと?」
「ほーらまだやった。子供っぽいというかネコっぽい?」
「もーうからかわないでよ。」
よしっ!!話術の修行は無駄じゃなかった!ギャルゲーじゃないが、確実に好感度うpを実感できた。
くだらない雑談を交わしながら、イスミナはセックール王都オパイ城の城下町を案内してくれた。
さすが王都だけのことはあって、石造りの建物が多く、石敷きの街道がまっすぐで広い。
しかし戦乱が続いてきたせいか、道行く人はみすぼらしい格好をしたものが多く、
難民の群れもそこかしこに佇んでいる。
「確かこの大戦は今年で4年目になるな。セックールの国力もこのままだと危篤に陥るだろう。」
「悠久の境では修行以外にも色々やっていたみたいね。」
「強い兵士一人増えたって戦況は変わらないよ。おれもできるだけのことはやりたい。
ただでさえ肩身狭い立場なんでね。」
「そんなことないよ。異世界人は我が軍にとって大事な戦力なんだから。」
城下町の見学をきりのいいところで締めくくり、おれとイスミナは夕食も一緒に食べた。
まるでデートのような楽しい一日だった。
- 57 名前:33
[sage] 投稿日:2006/05/16(火) 02:23:47
- 「今日は本当に楽しかった。付き合ってくれてありがとう。」
「いいえ、私も休みができたみたいで楽しかったわ。」
おれは爽快な気分であてがわれた宿舎へ戻っていった。
そしてイスミナはおれが宿舎に入っていくのを確認した後、
幕僚本部へ向かった。おれの観察報告を頭の中で整理しながら...
次の日、イスミナとのデートを思い返していい気になっているおれが、
時間通りに軍機処へ出頭した。ティアンムへ一礼した。
軍機処諜報部隊についてのブリーフィングを受けた。
軍機処は簡単に言えばイギリスのMI5,MI6、アメリカのCIAのような情報機関だ。
エリートが出世するための登竜門であり、諜報部隊の軍人が同じ部署に1年間以上留まることはない。
1年の内に栄転するか、さもなければ危険なミッションで命を落とすかどちらしかない。
「さて、君が属する小隊はもう決まっている。今日中にミッションもあるからすぐに装備品をもらっておけ。」
内心「いきなりミッションかよ」と不満を述べながら。武器庫へ装備支給してもらうために出向いた。
諜報部隊の基本装備は黒いブリガンダインアーマースーツ。ナイフやら魔法閃光弾やら応急医療セット
などがベルトポーチに仕込まれている。武器の選択は自由。
さすが諜報行動に大剣は無理なのでおれはバスタードソードを選んだ。
それでもデカすぎるが大剣フェチとしてそれより小さい武器を使う気にはならない。
- 58 名前:33
[sage] 投稿日:2006/05/16(火) 03:13:27
- 小隊長エーモン:「おまえが異世界人の新入りかい。おれが隊長のエーモンだ。
なんだ、そのデカい剣は?蛮族ヒーロー気取りかいウヒヒヒヒヒ」
「エーモン隊長ですか。ドラエモン隊長でもホリエモン隊長でもどざえもん隊長でもなくて、
ただのエーモン隊長ですか。」
「ウヒー“ただのエーモン隊長”とはなんだ、おまえ!無礼にもほどがある!」
ティアンム将軍との会見でわかったことだが、おれは死罪になるようなことをしでかさない限り、
処罰されることはなさそうだ。異世界人はどうしても戦力として活用したい軍の方針のせいだ。
後で聞いた話だが、このエーモン隊長というのは諜報部隊勤務歴2年というめずらしい男だ。
どうやら栄転は無理だから、ミッションでくたばることを期待されているらしい。
「まあまあ、仲良くいこうや。異世界人が隊員とは心強いぜ。」
副隊長テレンス。長身のイケメンで腕も立ちそう。好感が持てる人柄だ。
「あ...私、衛生兵のレナです。どどうぞよろしく。」
緊張しまくりの巨乳衛生兵。こいつに手当てしてもらうとオパーイが当たりそう。
その他隊員数人は雑魚なので紹介は省略する。
「今日のミッションは威力偵察だ。どこかのばかがどデカい剣を振り回し敵の注意を
引いたりしなければ大した任務じゃないさウヒヒヒヒヒ」
バスジャックでもしてろ。
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