33の作品 第二章 〜戦友〜 第2話

 

127 名前:33 [sage] 投稿日:2006/06/21(水) 16:28:47
仕事中だがかまわず真紀子。 
ちなみにペソについてのつっこみですが、砒素銅における砒素の比例は知らないから、 
ソードスチールより安いのは確かだが実際の値段はどうなのかいまいちわかりません。 
妄想だから許してください。 

悠久の空間で軍事についていやというほど勉強したが、やはり実戦経験は前の威力偵察だけだった。 
なので訓練は有意義なものだ。むろん、悠久の空間歴が一番長いおれの実力も独立戦闘連隊の連中を驚かせた。 

「皆さんお疲れ様。私の奢りだからってあんまりがっつかないでください。」 
入隊から一週間、今日は連隊隊長バーテツ・ゼフォヌ大佐と仕事後の一杯に付き合うことになった。 
ゼフォヌ大佐はごついエラが張った顔の大男だが、物言いが穏やかで感情を露にしない。 

「いいえ、せっかく奢って頂けるから、遠慮したら逆に失礼ですね。」 
とイスミナは陽気な声を出す。すかさず強そうなカクテルとおつまみを注文した。 
軍中央から連隊の参謀へという、左遷とも言える人事異動だが、明るい振る舞いは一向に変わらない。 

「今宵は新入りの歓迎会であるが所以、無礼講ぞよ。33殿、注文はいかがなさる?」 
ホーエングラム中隊の小隊長、露出度が高いゴス系の衣装がよく似合う術士サラ・グレイブ准尉。 
酒場に入るなりにおれの隣の席を何気なさそうにゲットした。 

「ウォッカ・ライムがいいな。レナは?」 
「うーん、エールにする。」 
ゼフォヌ大佐の奢りということで皆は好き勝手に注文した。 

128 名前:33 [sage] 投稿日:2006/06/21(水) 16:31:21
「さあ、乾杯といこうぜ。」 
中肉中背、優男と言えなくもない魔剣士、連隊副隊長ダシュカン・マイヤー中佐。 
ムードメーカーを自任しているかのように場を盛り上げようとする。 

他愛のない会話の中でも、連隊に関する情報がそこかしこに嵌め込まれている。 
どうやら近いうちに困難な前線任務があり、今の厳しい訓練はそのための準備らしい。 
連隊総本部の猛反対にもかかわらず、おれたちは幕僚本部から提案された無茶な作戦の一角を担がねばならない。 

「33殿、レナ嬢とは如何様なる関係かえ?」 
酔っているサラはおれの二の腕を掴んでいきなり聞いた。 

「そうだな...前の任務で色々あったんだ。そして今レナはおれにとって特別な人で、 
いなくてはならない大切な人なんだ。」 
要は恋人とか付き合っているとか直接認めなくて誤魔化すれゃ、後はなんとでもなる。 
「左様...」 
なにやら考え込むサラ。やはり何気なさそうに聞いているイスミナ。 

129 名前:33 [sage] 投稿日:2006/06/21(水) 16:36:12
入隊して約2週間が経ったところ、訓練の一環として独立連隊内部の武闘大会が開催された。 
武器は剣先が落とされた鈍刃限定。おれはもちろん参加した。 
独立戦闘連隊は個人戦闘能力が高いことを入隊条件にしている故、 
なんと3人も異界人が所属している。運悪くおれは決勝戦にたどり着くまで2人にもあたる組み合わせになった。 
テレンスはシーフの腕を買われて抜擢されたので、大会には参加していない。 

異界人以外にも腕が立つ戦士がいたが、やはりおれの敵ではない。 
2人の異界人も『気功剣みだれうち』『電気ウナギの夢』などの戦闘術を使うまでもなく倒した。 
武器の制限は重さで相手を叩きのめす両手剣を使うおれにとって有利なルールだ。 

そして決勝戦。 

観戦に来たイスミナと会場で出くわした。 
「おっ、イスミナちゃん、見に来たのか。決勝戦はちょっとだけ本気出してみるから、楽しみにしてよ。」 
「武運を祈る...別に祈らなくても良いほどすごい自信だけどね。」 
「本気出したら相手が可哀相かもな、はははは」 

選手控室にて... 

「ちょっとだけ本気出すだとぅー?ぶっころすぞイェローモンキーが!」 
おれの話を盗み聞くとはもしやストーカー? 

130 名前:33 [sage] 投稿日:2006/06/21(水) 16:39:36
決勝戦の対戦相手...身長が2メートル近くある金髪の大男。顔はこれといって特徴はないが、 
青い目に狂気の光が宿っているように見える。こいつの試合は二回見た。 
大槌を扱うダシュカンや、歓迎会にいた同じ中隊の隻眼の槍使いイシュマイルを 
風貌に似合わない鮮やかなサーベルとマインゴッシュの二刀流で負かせた。 

「種族差別って裏を返せば自分の血統以外誇れるものがないと自分から言っているようなものだ。 
でも『ちょっとだけ本気出す』との言葉を撤回する。全力でお前を倒すから感謝しろよ。」 


「独立戦闘連隊武闘大会決勝戦、第1中隊副隊長アルヴァイン・デス・ピザロ少尉対第3中隊副隊長33曹長。始め〜!」 

スタートと同時に、おれはアルヴァインの真上を目掛けて物凄いスピードで跳んだ。 
脳天を狙う一撃は、鈍刃とはいえ直撃すれば即死に間違いない。 
アルヴァインは必死そうに前転で避けた。 

着地するやいなや、おれは脇構えで相手へ突進した。抜刀技を模した逆袈裟斬り。 
アルヴァインは曲芸みたいな体勢で大剣の一閃を回避し、サーベルでおれの足を薙いだ。 
が、その前におれは一歩踏み出してサーベルの間合いから脱し、回転斬りを繰り出した。 
大剣技の基本中の基本、だからこそこの技を極めた。アルヴァインはサーベルで受け流そうとした。 
攻撃は外されたが、サーベルの先端の数センチは綺麗に切り落とされた。 
鈍刃の意味がほとんどないな。 
そこで怯まずに、マインゴッシュがおれの脇腹を狙って鋭く突いてきた。 
間一髪で避ける。危うくテクニカル負けしてしまうところだった。 

「うお〜〜〜〜!!!」 

観客から鼓膜をつんざくばかりの歓声が沸き起こった。 

131 名前:33 [sage] 投稿日:2006/06/21(水) 16:57:45
「次で決めるぞ。何か言い残したいこととかないか。」 
おれは余裕をぶっこいて相手をからかいながら、八双の構えに移った。 

「ほざけ。」 
アルヴァインは意外と冷静だ。大胆にも二刀を構えなおして間合いをつめてくる。 

八双の構えのままアルヴァインに向けて疾走した。ギリギリ届く距離で横なぎの斬撃。 
アルヴァインは体を沈め攻撃を回避しさらに間合いを詰めた。だが、これは連続技の一撃目にすぎない。 
おれは斬撃の流れに沿ったローキックを放った。足で防ごうとしたアルヴァインだが、 
あんまりに力強い蹴りだったのでバランスを崩された。 
重心をさらに沈め左手のマインゴッシュで防ぐのが正解だった。 
それなら連続技の三撃目までちゃんと決められるが。 

「はい、チェックメイト。」 

おれの大剣はアルヴァインの首に載せられている。 


「...というところで試合は33曹長の勝利に終わりました。」 
「ご苦労であった。少尉、もう下がってよろしい。」 

(この男...御しやすい分、あの生意気のよりは役に立ちそうだ) 
イスミナの報告書を手に、エルラン将軍はしばらく考え込んだ後、 
一人の幕僚を呼び寄せ指示を出した。 

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