33の作品 第二章 〜戦友〜 第3話
- 152 名前:33
[sage] 投稿日:2006/06/28(水) 14:48:55
- 結局かなり長編になって今日書き込むはめになった。
大会優勝でささやかな金額の賞金をもらった。
装備購入、そしてデート出費で倒産寸前のおれにとってはなんともありがたい。
しかし、どうやら優勝の賞品はそれだけではない。
「お、コルド谷の人斬り33様だ。これからも帝国の鬼畜どもをやっつけてください!」
「わーい、33ちゃま〜サインくだしゃい〜」
独立戦闘連隊は元冒険者の隊員が多い。
従ってこの世界のマスコミにあたる吟遊詩人たちに注目される部署でもある。
優勝した後、吟遊詩人たちはおれの戦歴を掘り出して、
コルド谷(栄光の門第4話に出る敵の砦)の人斬りというあだ名までつけて詩のネタにした。
それがこの世界のニューズであり、ポップミュージックでもある。
「これじゃゆっくりデートもできないな。」
「とうとうデートしていることを認めたわね。」
「キスまでのはカウントしないから。」
「スケベ!」
今日もレナと仕事後に街をぶらぶら歩き回っている。
大会の後は巡邏、警備の任務が多く、女を口説くチャンスは結構多かった。
大会優勝によるネームバリューも手伝って、元々そこそこ親密になったレナをついに口説き落とした。
- 153 名前:33
[sage] 投稿日:2006/06/28(水) 14:55:22
- 「あ、魔メール入った。」
軍の装備品である魔念石から鈍い振動が伝わってきた。
発送装置に念を送り込み、受信の魔念石からは魔力を媒体として念を読み取る。
携帯のメールに似ているが、念の送信なので音声と画像を同時に送られる。
保存はできない、そして使用者の魔力によってメッセージが朦朧になったりするという欠点がある。
例えば隻眼になった時の負傷で魔力が傷められたイシュマイルなどは魔念石を上手く使えない。
メールはイスミナからのものだ。プライベートチャンネルじゃなくて軍の発送元からだ。
ちなみにプライベートで魔メール送ることは大金持ちにしかできない。
「...レナ、隊員召集のメールだ。“あの任務”のブリーフィングだという。」
「ついに来たわね。」
“あの任務”とは幕僚本部が連隊に押し付けた無茶な作戦のことだ。
イスミナのブリーフィングによると、作戦はモリスヒルの要塞化を目的とする。
モリスヒルは最近の会戦でようやく帝国から取り戻した王国の領土。
そこには半壊した砦が残っており、それを修築し要塞に仕立てるという。
もちろん敵はそれを座視するはずがなく、必ず攻撃をしかけてくる。
第二軍団はその迎撃の任を負い、我が独立戦闘連隊は敵の前線基地を襲い、
補給物資を破壊するとともに第二軍団と交戦中の敵軍の士気を挫く。
「敵地へ深く侵入する故、大軍を送り込むことはできない。そこで潜入に適している独立戦闘連隊にこの任務を与える。
基地の物資を爆破させ、爆音と煙に気付いた敵軍は士気阻喪し敗走すること必至である。」
イスミナはブリーフィングをこう締め括った。
- 154 名前:33
[sage] 投稿日:2006/06/28(水) 15:00:12
- 「要するにゲリラ部隊に城攻めをさせるわけだ。無謀としか思えない。」
イシュマイルはブリーフィングが終わるなりに毒づいた。
「物資を爆破させれゃいいわけだし、潜入工作だけで済むじゃねーの。」
とダシュカンは楽観論を主張する。
「基地の物資を悉く破壊するが目的である以上、城攻め同様に難しいぞよ。」
相変わらず変な言い回しで反論するサラ。
「33、何考え込んでいるの?」
レナは討論に参加しないおれに聞いた。
「物資の破壊、敵主力の士気低下...おれが思うには、別に両方を同時に行う必要がないじゃないかな。」
「というと?」
テレンスは短く、だが興味深そうに問いを続けた。
「作戦を考えたけど...おれの部屋で説明しようか。やはりここの仲間にだけ話したい。」
特に幕僚本部に繋がりを持っているイスミナの耳に入れたくない話でもあるからだ。
「ほほー、これでも成功率が低い危険な作戦だが、前みたいな無茶なものではなく理に適ったものだ。」
「ぜってーこっちのが面白そう。おれも賛成だ。」
イシュマイルとダシュカンはおれの作戦には納得した。
「流石33殿、妾が見込んだ男ぞよ。」
思った通りおれに目つけてたんだなサラ。
「必要の物品を敵地に持ち込むのは骨が折れそうだが、やれそうだ。」
「わざわざ壊すために持ち込むなんて、許可が出るかどうか問題だね。」
「ゼフォヌ大佐なら納得してくれるはずだ。部下の安全を優先してくれるだろう。」
テレンスとレナはもう実務的な話を始めた。
- 155 名前:33
[sage] 投稿日:2006/06/28(水) 15:03:27
- 「合図の狼煙だ!独立戦闘連隊、やってくれたか!」
「敵は補給を失った、この戦勝ってるぞ!」
「おおお〜!」「つっこめー!」
王国軍は敵の後方から見える煙で基地破壊の成功を確信した。
帝国主力の本陣では、煙はおろか爆音まで聞こえていたに違いない。
「よし、爆破は上手くいった。サラ、見事な火術だな。」
「33殿...いいえ作戦のため頑張り申すぞよ。」
「これより我々ホーエングラム中隊は敵の迎撃の準備に入る。33、潜入部隊は任せた。」
「はっ!」
作戦はネタばらしたら極めて簡単なものだった。
敵軍に守られている基地の物資を爆破させるのは至難の業だ。
だが基地の近くに自ら持ち込んだ物資を爆破させれば、敵主力を牽制できる。
しかも基地を攻める代わりに、基地から出撃してくる守備兵を迎撃すればいい。
敵の探索魔法の対策として、王国軍の老朽化した本物の武器防具、魔法爆弾などの物資を爆破に使った。
「いいか、敵が小部隊を偵察に出してきたら全滅させる。
我らと同じ規模の部隊なら戦いを長引かせ、我ら以上の戦力が出撃すれば逃げて敵を誘う。
要は基地の近くに潜んでいる部隊を基地に入れさせるだけでいい。」
ゼフォヌ大佐は今回の任務に自ら出陣し、前線指揮を取り仕切った。
- 156 名前:33
[sage] 投稿日:2006/06/28(水) 15:05:15
- 「守備隊の約半分が基地を離れました。どうなさいますか副隊長?」
「これ以上の状況は望めないな。よし、皆爆破任務に入るぞ。」
元々主力部隊が出撃して手薄になっている基地守備隊がさらに半分になったから、
人数から言えばおれらよりまだずいぶんと多いが基地全体を守るには不足だった。
故に敵の物資を順調に破壊できた。
潜入部隊は撤退を始めた。もちろんおれらに物資を破壊された守備隊は追撃してきた。
おれは懲りずにまだ殿を務めた。
「コルド谷の人斬り、ここにあり!死にたい輩はかかってこい!」
と某無双ゲームの名乗りセリフを叫んでみる。
「まだかっこつけですか副隊長。」
今回はおれ以外に、分隊長への昇進を果たした雑魚C(栄光の門第4話参照)、
そして中隊の中でもずば抜けて戦闘力に優れた連中が一緒に殿として敵に当たった。
「お、おい...魔獣召喚かよ。」
押し寄せてきた敵の中、魔法耐性が強く格闘戦が得意のレッサーデーモンが姿を現した。
「たじろぐな。デーモンはおれが相手する。」
やっと出来上がったおれの「フォルディング・ブレイド」を試す機会が来た。
- 157 名前:33
[sage] 投稿日:2006/06/28(水) 15:08:21
- ご大層な名前をつけているが、デザインは某未来サイボーグ格闘漫画(GU○M,又は○夢)
の主人公のダマス○スブレードのぱくりである。違うのは折りたたんだ時、
銅の柄の部分にでこぼこがあり、打撃用の武器として使えることだ。
「悪いが、せっかく召喚されてきたところ地獄に戻っていってもらうぜ。」
伸ばした時は2メートル近くある刃を横薙ぎに振るっただけで道が開いた。
おれの刃を死神の鎌の如くに恐れ、敵兵は近づこうともしない。
デーモンを目掛けて突進し、射程範囲に入った魔獣に容赦なく「気功剣みだれうち」を叩き込んだ。
「ガ、ガオーー(゚皿゚) ーー!」
「なに、まだ生きているとは...」
クリーンヒットしたのにまだピンピンしているデーモン。油断したおれに会心の一撃を加えた。
HP5桁でもやはり痛い。
「...仕方ない、奥の手を使うか。連続魔!」
クイックと連続魔のコンボで、ブリンクプロテスブレイブホーリー魔法剣ホワイトウインドの魔法のオンパレード。
名付けて「連続魔ドーピング」。白魔法は使えないが青魔法ホワイトウインドでなんとか苦境を耐え抜く。
そこで捨て身のもろば斬りがデーモンに炸裂した。
ホーリー剣(FF5ルールではホーリー剣は白魔法じゃない)の付加効果も相乗して、デーモン消滅。
体力はほとんど使い果たしたが、とりあえず任務達成だ。
おれは疲労しながらもドーピングしまくったおかげで敵陣を切り抜けて戦場を離脱した。
第4話へ→
←目次