異世界ファンタジー編 第3話

 

981 名前:1 [] 投稿日:2005/03/14 (月) 00:23:51
第3話
夜が明けた。結局、昨晩はほとんど眠れなかった。死ぬ気で深田の稽古を受けたのでとにかくしんどい。最悪のコンディ
ション。朝食をとり、魔王の城に突入するべく登山口までやって来た。深田と雑魚2人は、武器防具ともにまともな装備
をしているのだが、俺には錆びた青銅の剣(攻撃力+5)だけ。防具に至って何一つ身に着けていない。
「敵が攻撃してきたらどうしよう。俺すぐ殺られちゃうよ」
「多分ちょっとした盾とか鎧くらいなら、中で調達できるから大丈夫ですよ」
と至って無責任に深田。いよいよ突入。結界のゲートをくぐる。ここから先は魔物が跋扈する伏魔殿だ。昼なお暗い木々
の鬱蒼と茂る登山道を、俺達は黙々と登っていく。そして最初のエンカウント。茂みから這い出てきたのはロッティング
コープスだ。しかし深田の稽古が功をなしたのか、冷静に彼らを打ち倒す。
「やった…」
「あなた素質ありますよ」
深田に褒められて照れる俺。真岡兄弟はしかめっ面。その後、黒ゴブリン(ちょっと強い)やらボーパルバニー(首を切
られそうになる)やらオーガやら出現するが、何とか撃破(活躍度は深田7:真岡兄弟2.5:俺0.5)して進んでいく。
そして辿り着いた魔王の城。重圧感漂うゴシック建築。扉を開けると中はお馴染みの迷宮。松明に火をつけると、そこら
辺に挑戦者の亡骸や灰が散乱している。とにかくもの凄い死臭。ふと見ると装備品もゴロゴロ転がっている。
「これなんかどうですか〜!」
いつの間にか死体を物色していた深田が持ち上げたのは高級そうな鋲付き革鎧(防御力+7)。俺はすすめられるままに
それを装備した。結構しっくりくる。死体を横目に続けて迷宮を探索する。1、2階とよくRPGであるようなカラクリを
クリアしながら4階にたどり着く。魔王の城は5階建てなので次の階が最上階だ。特に苦戦する敵も現れていない。
「ところで魔王の名前って何?」
俺は訊こう訊こうと思って忘れていたこと、深田に尋ねてみた。

982 名前:1 [] 投稿日:2005/03/14 (月) 00:24:24
「フィカブーです」
「フィ、フィカブー…」
「はい、魔王フィカブーです」
何とも魔王らしくない気の抜ける不思議な響きだ。今の調子だと魔王というのも名だけで、案外大したことないのかもし
れない。こっちには天才魔術剣士深田もいることだし。と、そんな楽観論を打ち砕く者が。20mほど先の暗がり、曲が
り角から何かを引きずるような音が聞こえる。壁に掛けてある松明はこちらに歩いてくる巨大な影を映し出した。
「やばい!!グレーターデーモンだ!?」
真岡(弟)が雑魚満開で叫んだ。そして現れたのは、二本の山羊の角が生えた悪魔。尻尾を引きずりながら、通廊を塞がん
ばかりの巨体でこちらに向かっている。その紅蓮に燃える目と、目が合い立ちすくむ一向。
瞬間、悪魔が深く息を吸い込んだ。
「危ない!!隠れて下さい!!」
「え!?」
爆炎がこちらめがけて渦を巻く。俺は深田に手を引かれて壁の影に隠れた。が、哀れ真岡兄弟は逃げ遅れて炎に巻かれ
兄弟仲良く死去。深田は炎が止むのを待つと、すかさずグレーターデーモンに向けて疾走。重い一撃で敵の胸部を斬り付
ける。だがその鱗は鋼か何かで出来ているのか、一向にひるむ様子は無い。デーモンの長く太い爪での反撃をかわすのに精
一杯の深田。ピンチ。
「深田さん!」
俺は正直生きた心地がしない。が、ここで彼女を見捨てるわけにはいかない。男として。
錆びた剣を鞘から抜くや、グレーターデーモンの首筋めがけて剣を突いた。するとどうだろう。ちょうど鱗と鱗の間の、と
ても柔らかくて繊細な部分に剣が突き刺さった。悶絶するグレーターデーモン。そこに深田が高位炎系魔術で止めを指す。
グレーターデーモン撃破(ここで俺LVアップしまくり)。
「真岡達が…」
俺は見るも無残な2人の死骸に目を細めた。
「お気の毒なことです。まぁ、彼らも覚悟の上だったでしょうから…さ、決戦です。行きましょうか♪」
雑魚2名の冥福を淡白に祈りつつ、俺達は魔王の間へと歩を進めた。
                                                                 続く

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